――それは、一方的な“虐殺”だった。
閃光が、宇宙(そら)と惑星(ほし)を埋め尽くし、焼き尽くす。
響き渡るのは、悲鳴のような声。それは痛みによる苦しみか、はたまた同胞を失った悲しみか。
ヤメテ、イタイ、ヤメテ、イタイ
オネガイ、ハナシヲキイテ。オネガイ、ハナシヲキイテ。
声にならない“声”が、叫ばれ続ける。目の前に立つ存在と、解り合おうとするために。
――しかし、無常にも閃光は放たれ続ける。
蝶の羽が、不死鳥の煌きが、繰り出された拳が、光り輝く翼や剣が、“声”を蹂躙してゆく。
“彼ら”は“声”に耳を傾けない。なぜならば、“彼ら”は人形でしかないのだから。
そして、“声”がひとつ、またひとつと消えていく。
タスケテ、ダレカタスケテ
そんな中、1つの“声”が宇宙(そら)にうずまく光の中に消えていく。目指す先に、自らを救ってくれる存在を探して。
“彼ら”は穴の中に消えた“声”を追いかけようとするが、残された“声”が必死にそれを食い止める。
たとえ生まれ育った惑星(ほし)が滅びようと、最後の希望だけは護るために。
タスケテ、ダレカタスケテ
最後の“声”は、必死に叫び続ける。この“声”が、誰かに届くようにと。
惑星(ほし)と“声”を焼き尽くし終わった“彼ら”もまた、最後の“声”を追って光の中へと飛び込んでいく。
ただ1つだけ己に刻まれた、使命を果たすために。
“彼ら”の名はGUNDAM。閉ざされた箱庭の守護者。
“彼ら”は戦う。ゆりかごの中で眠る人類(ひと)を護るために。
――人類(ひと)が、幼年期を自らの手で終わらせる日が来るまで。