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No.18480の一覧
[0] 【ネタ】今宵の虎徹は血に飢えている【恋姫無双×装甲悪鬼村正】[ぬー](2010/05/20 21:32)
[1] 第一編 悪鬼来訪-1[ぬー](2010/05/05 20:15)
[2] 第一編 悪鬼来訪-2[ぬー](2010/05/05 20:15)
[3] 第一編 悪鬼来訪-3[ぬー](2010/05/08 21:22)
[4] 第一編 悪鬼来訪-4(5/9 加筆)[ぬー](2010/05/09 19:08)
[5] 第一編 悪鬼来訪-5[ぬー](2010/05/14 22:22)
[6] 第二編 歳在甲子-1[ぬー](2010/05/19 15:01)
[7] 第二編 歳在甲子-2[ぬー](2010/05/20 21:29)
[8] 第二編 歳在甲子-3[ぬー](2010/05/23 00:17)
[9] 第二編 歳在甲子-4 ※15禁相当[ぬー](2010/05/24 20:55)
[10] 第二編 歳在甲子-5[ぬー](2010/05/24 21:12)
[11] 第二編 歳在甲子-6[ぬー](2010/05/25 02:46)
[12] 第三編 延焼拡大-1[ぬー](2010/05/26 01:04)
[13] 第三編 延焼拡大-2[ぬー](2010/05/26 21:48)
[14] 第三編 延焼拡大-3[ぬー](2010/06/03 14:15)
[15] 第三編 延焼拡大-4[ぬー](2010/06/11 15:47)
[16] 第三編 延焼拡大-5[ぬー](2010/06/14 02:47)
[17] 第三編 延焼拡大-6[ぬー](2010/06/14 02:44)
[18] 第三編 延焼拡大-7[ぬー](2010/06/15 05:31)
[19] 第三編 延焼拡大-8[ぬー](2010/06/15 05:43)
[20] 第三編 延焼拡大-9[ぬー](2010/06/18 23:39)
[21] 第三編 延焼拡大-10[ぬー](2010/06/21 13:37)
[22] 第四編 覚醒-1[ぬー](2010/07/02 11:10)
[23] 第四編 覚醒-2[ぬー](2010/08/28 02:28)
[24] 第四編 覚醒-3(9/12加筆修正)[ぬー](2010/09/12 16:33)
[25] 第四編 覚醒-4[ぬー](2010/09/15 18:48)
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[18480] 第四編 覚醒-1
Name: ぬー◆eda86ea1 ID:e44b41a0 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/07/02 11:10
望みを果たす為には、代償が必要だ。
それは時には財産であったり、時間であったり…命であったりする。
そして望みが大きければ大きいほど、より大きな代償が必要となる。

分かっている――分かっていた筈だった。
分かった上で、覚悟を決めたつもりだった。

それでも、それを成したいと思った。
争いを無くし、苦しむ人々を救う。
皆が安心して生きていける世界へと。
それは自分だけでなく、桃香や愛紗、鈴々をはじめとした仲間たちの願い。
その高潔な夢を叶える為に――戦争にも参加した。
争いを嫌いながら争いに参加する、その矛盾さえも、その志のために飲み込んだ。
戦争は、大勢の人間の命を奪う。
数を別にすれば、戦争はいつだって敵味方関係なく命を奪う。
分かっていた筈だった。

恋達は命を落とした。
霞も恋も、「前の世界」では大事な仲間であった。
その記憶が一刀に痛痒をもたらす。
だが、それにも耐えた。
この苦しみは己のみのものだ。
今の仲間たちにとっては、ただ敵将が倒れたという事実でしかなかったのだから。
自分さえ耐えられれば、良い。

もちろん忘れてはいけない。
勇ましく、また陽気な霞の姿も。
動物に囲まれて柔らかく笑う恋の姿も。

大事な記憶だ。
優しい、少女たちの姿。
それを犠牲にしてまでも歩んでいる道なのだと、思っていなければ。
その苦しみさえ感じなくなったならば自分は畜生に落ちる。

だから耐えていた。
それでも成したい志があったから。
通したい義があったから。

分かっている。分かっている。…だが!

これは…これはあんまりではないか!


一刀の意識は真っ白に染まっている。
だが、己の聴覚はその機能を失わない。
受け入れがたいその言葉を、否応にもなく伝える。

「深い矢傷から病が入り込み、全身痙攣を起こしています。今は…一時的に痙攣こそ穏やかですが…次に意識を失えば、再び目覚めることは難しいでしょう」

――星。
彼女の命が、今宵で尽きるという事実を。










「おや、皆お揃いでいらしたのですか?床についたままで申し訳ない」

口調こそ、普段通りに近い。
だが、その姿は…
これが星なのか、信じ難くなるほどの―――
皆が衝撃を受ける中、なんとか桃香が声を発する。
「…星ちゃん…」
「…自分の体のことです。分かっております。桃香様、申し訳ございませんが、この趙子龍の道は、ここまでのようです」
「あぁ…星…星!!」

一刀はその場に崩れ落ちる。
堰を切ったかのように涙が落ちる。
星の姿を見られない。
嗚咽で言葉を発することもできない。

「主…」
「ご主人様…」

何故なのだろう。
自分には前の世界の記憶がある。
今度は、もっとうまくやれる。
そう思って行動していた。
それなのに、何故。
こうも大切な人が次々と命を落とすのか。

「主…参戦したばかりのこの身に、そこまでの情を示してくださるか」
「そ…そんなのは関係ない!星は…星は大切な仲間だ…」
「そうだよ星ちゃん!一緒に頑張ろう!!星ちゃんなら…病にだって勝てるよ!!」

桃香の瞳からも涙が溢れ続けている。
一刀と桃香のその姿を見て、星は柔らかく笑った。

「主…桃香様…共に過ごした時間が僅かであったが…そこまでこの身を想ってくださる。その深い情、その姿こそが、皆を惹きつけるのでしょうな…」

そう言いながら、何かに耐えるような表情をする星。
痙攣しようとする身体を抑えているのだろうか。
傷から発生する病。
一刀は現代の知識から、その病がおそらく破傷風と呼ばれるものだと知っていた。
だが、知っているだけではどうにもならない。
医者でもなんでもない、ただの学生であった一刀にはその治療法なども分からないのだから。
自分の無力さを噛み締める。
何が前の世界よりもうまくやれる、だ。
自分の行動が変化をもたらし、その代償が、星の命だ。
思い上がっていた自分に殺意を覚える。

「この趙子龍、ここで命を落としても、主達に組した事に微塵の悔いなど有りませぬ。…その厚き義、そのために戦えたこと、誇りに思います」

呼吸をすることも難しい病状で、星は続ける。
大切な何かを伝えようと。

「趙子龍は、病に倒れるのではなく、矢傷に倒れるのでもない。義のためにこの命を使った、それのみです。…だから、そのような、自分を責める顔はしなさるな、主」
「…星……」
「だから…その情を…苦しんでいる全ての民に分けてあげて下さい。我らの志を成すこと、それが最大の望みです」
「うん、星ちゃん、皆が安心して暮らせる世界にするよ、絶対に!だから、だから星ちゃんも一緒に!」
「…桃香さま。…情けないことですが…実は先ほどから、身体の感覚がどんどん失われておりましてな…どうやら…冥府の門は…近いようです…」
「星ちゃん!」「星!」

苦痛に侵されているのだろう、星は一瞬表情を歪めて瞼を閉じる。
もう一度開かれた瞳には、穏やかさが見て取れる。
その暖かな視線が――星の生の終わりが近いのだと、感じさせる。

「…自分の認めた、主に看取られて死を迎える。…将にとって…これに勝る終わりはない……主、桃香様。お二人の栄光を…祈っております…」

星の瞼がゆっくりと閉じられる。
そしてその瞼は、二度と開かれることはなかった。





















「…湊斗、あなたの今後について、話があるわ」
「丁度良い。こちらからも話があったところだ」

そう言って曹操の前に立つ。
視線を周囲に向けると、荀彧を始めとした側近が控えている。
皆表情が堅い。
特に荀彧などはその視線に恐怖が浮かんでいる。

装甲した武者の力を見れば、当然のことか。
恐怖の対象は己だけでなく、茶々丸も含まれている。
鎧に変化する人間など存在するはずもないため、怪生のものとも思われているのだろう。

「戦で見せたあれは、あなたの…天の国の戦い方なの?」
「そうだ」
「では、天の御使いは皆あのような甲冑を持っていると?」
「皆が持っているわけではない。あの北郷という者が武者かどうかは分からないが…少なくとも、今川雷蝶、奴は武者だ。今は修復中のようだが、それが終われば使ってくるだろう」

その言葉に動揺を見せる荀彧。

「あ…あんた以外にもあんなのがいるなんて…!どうにもならないじゃない!」

然り。
人の身で武者に対することなど不可能である。
厳密に言えば、熱量という弱点もあるため万単位の人海戦術で長期戦に持ち込まれればあるいは可能性もあるだろうが…
態々そのようなことを伝えるつもりはない。

「…そう。茶々丸、あなたはあの、何といったかしら?武者?」
「あてみたいなのは、剱冑って呼ばれてるよ。まぁあては剱冑の中でも特別だけど」
「剱冑、ね。湊斗、剱冑の使用は剱冑に対する時以外、使用を禁じるわ」

そうか、の一言と共に認めようとした景明であったが、茶々丸が不満そうに言う。

「あてのアイデンティティー否定かよ!理由は?」
「アイデン…?理由は、そうね。天下の統一は人の手で行わなければならないからよ。」
「どういう事?」
「私の目指すのは、刹那の平和ではないわ。恒久…とまではいかなくとも、長い間太平の世を継続する体制を作ることを考えている。それはもちろん、私の死後も。だから、ただ天下を統一すれば良いというわけではないわ」
「う~ん、でも既にあてらの力使ってるじゃん」
「今までのあなたたちは、人間の力の範疇を大きく逸脱してなかったから。あくまで天は御旗、天の御使いは後見人に近い立場と考えることもできた。でも、剱冑、あれは別。あんな力を使って統一すれば、それは人の力ではなく天の力によって統一したと人々は考える。なら、その力が失われれば再び世が乱れるは必然。もしあなた達が恒久的に力を貸してくれるのならば問題はないけど、そうではないでしょう?」

そう言って景明に視線を向ける。
景明は軽く頷く。

「無論」
「ならやはり、剱冑の使用は控えてもらうわ。ただ、もし今川雷蝶、かの者が剱冑を使ってきたのなら別。その時は剱冑を使って対処して」
「その剱冑のことだが、こちらからも話がある。…茶々丸。」
「うん。剱冑なんだけどね、あてと、雷蝶の膝丸とは別に、あと2本この世界に来てるんだわこれが」
「何ですって!?」
「それがどこにあるかはあてにも分からないんだけど。…でもそう遠くはない、少なくともこの大陸のどこかにはいるはず」
「あのような常軌を逸した力が、あと二つ…」

呆然とする曹操。
それを見て、一呼吸を置いてから景明が口を開く。

「そこでこちらから提案だ。曹操、配下を使って剱冑の情報を集めてもらいたい」
「…それが、あなたの"目的"?」
「直接的な目的そのものではないが、それに繋がることであることは確かだ。だから普段は茶々丸と共に、自らも捜索にあたる。有事の際には力を貸すが…」
「断れば出奔するのでしょうね」
「然り。まぁ、これはそちらにとっても悪い話ではあるまい?剱冑の存在は強力だ、それをこちらが何とかするというのであれば返答は決まっているだろう」
「…そうね。分かったわ。各地に放っている間者に伝え、情報を集めさせるわ。あなた達にも普段の行動の自由を与えるわ。…桂花!」
「はっ!」
「これまで湊斗が勤めてきた軍務に代わりをあてて。…後は、情報の伝達の方法ね。」
「各地の間者の数を増やしましょう。もし湊斗に伝えることがあれば、現地の者に伝えさせれば良いでしょう」
「そうね。ただそれだと、湊斗、あなた達の行動を各地の"目"が見ることになるけど…構わないかしら?」
「監視を受けるのは不快だが…特に見られて困ることもない。それで良い。剱冑の情報があれば伝えてくれ」

2本の剱冑。
それがどの剱冑であるかは分からない。
六波羅の四公方のものかもしれない。
茶々丸や雷蝶がいることを考えれば、それが自然。
いや、茶々丸が接したことのある剱冑、という条件であれば村正である可能性すらある。
銀星号である確証などない。

――だが、不思議と景明には予感があった。
剱冑の一本は、間違いなく銀星号であると。
そしてその事こそが、己がこの世界へと降り立った意味なのではないかと。




















「まだ目覚めぬか。」
「はい。依然として眠り続けています。」

ここは彼女、孫策の屋敷である。
袁術の陣営で肩身の狭い思いをする彼女ではあったが、客将としての扱いは一応受けている。
仕える際に貰い受けた屋敷に、孫策は自身の手勢でも尤も手馴れの者数名にこの屋敷を警護させている。
その屋敷の中でも、最も奥に位置する一室。
孫策の寝室の隣に位置するこの部屋にその少女はいた。
孫策の目にその少女が映る。
少女は眠り続けていて、静かな呼吸を繰り返すのみ。

「病、というわけではないのだろう?」
「はい。完全に健康で、病の兆候も、傷の跡もありません」
「では何故目覚めぬ」
「私にもさっぱり…」
「良い拾い物をしたと思っていたが…これでは無駄骨だったか?」

眠り続ける少女を見つけたのは、孫策である。
流星と共に現れたこの少女を、孫策は天の御使いではないかと思い、連れて帰った。
これが孫家隆盛への切欠になるのではないかと期待していたが、孫策の意に反し少女は眠り続けていたのだった。

「まぁ、もう少しだけ様子を見ましょう。唐突に現れたように、唐突に目覚めることも有るでしょうから」

孫策は知らない。
この少女が、湊斗光という名であることを。
孫策は知らない。
湊斗景明が、どれほどこの少女を想っているか。
――孫策は知らない。

光が"穏やかに眠り続けている"、その事実がどれほど驚愕をもたらすことであるか。

それを知る人物、湊斗景明は未だ遠く。
両者の邂逅には今しばらくの時が必要であった。






ーーーーーーあとがきーーーーーーーーーーーーー

星さんファンの皆さん、申し訳ございません!
いや、私も星は大好きですし、SS上で動かせやすいキャラなので重宝したかったのですが。
ここでの重要キャラの死はどうしても必要だったので…

彼女の分まで、一刀達には活躍してもらいましょう。


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