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No.18281の一覧
[0] 【ネタ】 咎人の剣(ベルセルク)[ゲイツ](2010/04/21 15:37)
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[18281] 【ネタ】 咎人の剣(ベルセルク)
Name: ゲイツ◆eadefcc4 ID:50b61374
Date: 2010/04/21 15:37
  咎人の剣





 それは突如として生じた。

 行為もたけなわ頃、俺に押し倒されてよがっていた女が奇怪に変貌し始めた。

 端整な顔は醜く裂け、艶のあった肢体は餓鬼の様にみすぼらしく歪んで行く。

 『掛かったなぁ? 小僧ぉぉおお!?』

 先程までの色気のあった嬌声は何処へやら。嗄れた婆よりも不細工なそれに熱り立っていた物が一気に萎む。

 百足みたいな無数の脚を俺に絡み付け、そのまま引き摺り込もうとするおん・・化け物。

 引き剥がそうとしても尋常じゃない膂力で拘束され、抜け出せる気配がまるで無い。

 常人なら発狂しても可笑しくないこの状況に、俺は嗤った。狂おしい衝動が全身から込み上げる。

 「掛かったのは、てめぇだ」

 脚に捕らわれていない左腕、手首の固定具を外した義手をばっくりと開けた口腔にブチ込んでやる。

 瞬後、周囲に響き渡る爆砕音。仕込まれた大砲より放たれた特大の鉛は百足女の脳髄を微塵に消し飛ばした。

 満たされる。俺は、この一時だけあらゆる重しから解き放たれるのだ。

 「く。くくくく」

 豪々と燃え盛る元娼婦を見下ろし、再び嗤う。

 溜め込んでいた感情を吐き出す様に。嗤って、嗤って。

 「はははははははははははははははははははははははははははははははっ!!!」

 一頻り嗤い終わった頃には完全に日が登っていた。

 

 

 

 歩きに歩いた末、漸く人里を確認する。

 俺の目先にある風景はコカ城。大して重要な土地である訳でも観光地としても名高い事も無い。

 何処にでもある様な寂れた城下町。誰もがそう思うだろう。

 好き好んでこんな所に来る暇人なんぞ貴族にもいるかどうか。だが、俺にはある。

 にたり、と嗤いながら思う。何処だ、何処にいやがるんだ?

 絶え間無く疼く首筋の痣を擦りながら俺は剣の柄を殊更強く握り締めていた。

 

 「悪い。ちと店を汚すぜ」

 カウンターに銀貨数枚を置いて腰を上げる。

 運が良いと言うべきなのか。ベクトルは兎も角、俺はこういった巡り合わせには本当に恵まれている。

 捜す手間が省けた。思いながら、義手に装填したボーガンのトリガーを躊躇い無く引いてやる。

 風を切る様に飛ぶ凶刃。高速で飛来した矢は勢いそのままに目先の野郎共に迫り、

 「げっ!?」

 「あ!?」

 「うごっ!?」

 狙い通りに標的に吸い込まれ、年季の入った木目に濁々と紅い染みを広げる。

 これで残りは六人。こいつらの戦闘力を幾ら評価しても劣勢にはならない。

 勢い余って皆殺しにしちまいたくないからな。少なくとも、一人は生き残って貰わないと。

 懐に手を突っ込んだまま近寄って行くと、案の上ゴロツキ共は切れていた。

 何しやがると目を血走らせ、腰の獲物を片手に臨戦態勢に入っている。

 もう少し穏やかに声を掛けても良かっただろうか。まあ、これが俺の性分だ。

 俺は軍師じゃない。ごちゃごちゃとご託を並べるよりも―――

 鼻息荒くにじり寄って来た先頭の男を左手でぶん殴る。こういう方が向いてるってもんだ。

 再生不可能なまでに変形させた男の顔面から鋼鉄の義手を引き抜き、来いよとばかりに挑発してやる。

 『野郎っ!?』

 それが開戦の合図となった。

 突然の奇襲で半数近い仲間を失った一団は、今まで嬲っていたエルフなど意識から切り捨てて俺に大挙する。

 ―――が、遅い。

 身体付きからして、唯の盗賊では無いとは思うが如何せん酒が入り過ぎていた。

 そこらの街人からすれば、脅威的な悪意も俺に取っては千鳥足の酔っ払いと変わらない。

 力の限りに振り下ろされた剣を一歩動いて裂け、お返しに膝蹴りを叩き込む。

 鮮やかにレバーに極まった一撃は男の胃液を逆流させるのに十分な威力を備えていた。

 腹を抱えて膝を付く男を尻目に、俺は再びボーガンを連射。

 ぐえっ、と蛙が踏み潰された様な断末魔。

 十数発の豪針は、横手に迫っていた二人目の顔面を文字通り蜂の巣にする。

 あと三人。奥の一人は生かして置くとして・・・。

 残りの二人を葬ろうとしたが、忽然と姿を消していた。

 同時に背筋をピリリと僅かな寒気が駆け抜ける。ちっ、少し油断し過ぎたか。

 俺は舌打ちしつつ背中に担いだ大剣に手を掛け、

 「―――後ろっ!!」

 鳥籠に囚われていた妖精の大声とリンクする様に振り返り、引き上げていた竜殺しを一息に振り下ろす。

 ばしゃばしゃと飛び散る赤黒い液体に俺を顔を顰める。昔みたいに兜でも被るべきだったか。

 真中から上下半身が断絶された男二人は、内容を物を撒き散らしながらテーブルに突っ込んでいった。

 当然、即死だ。使徒ですら屠る魔剣に唯の人間が抗える筈も無い。

 さて、後は・・・。

 俺は最後に残った一人の男、死んだ仲間を見捨てて逃げ出そうとしていた野郎に追い着き、

 「がっ、あ!」

 ふん掴んだ首根っこを思い切り壁に叩き付ける。ミシリ、と嫌な音がしたが気にせず押し付けて行く。

 いやいやと首を振り、小便を垂れ流す情けない男の鼻っ柱に俺は矢を一つ刺し込んで、

 「親玉に伝えろ。黒い剣士が来た、と」

 簡潔に命令すると踵を返す。

 懐の銀貨をもう一枚店主に弾き、俺は騒然となった酒場から立ち去った。

 

 

 

 ベルセルクを読んだら書きたくなった。

 

 


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