作られた外史−。
それは新しい物語の始まり。
終端を迎えた物語も、望まれれば再び突端が開かれて新生する。
物語は己の世界の中では無限大−。
そして閉じられた外史の行き先は…かならずしも元のところに行くとは限らない。
さあ。外史の突端を開きましょう−。
「流れ星が落ちたってのはこの辺じゃないっスかねー?」
「…でも丞相閣下の言ってた予言って昔の話なんでしょ」
「そうっスねー。でも文句は面と向かって言った方がいいっスよ。」
「ああ、それは言えないなぁ。ムリムリ」
「あ、そこに男の人が寝てるっス」
…なんだ?うるさいな。寝てたのに…あれ?なんで俺、寝てるんだ?
!!
愛紗は!鈴々は!朱里は!みんなは!外史はどうなった!
慌てて飛び起きた俺の頭は、俺の顔をのぞき込んでいたらしい女の子のアゴを見事にヒットしていたのだった。
「イテテテテ。酷いっス」
「ごめんごめん…ところでココどこ?」
とりあえず謝る。あと、なんとなく判った。愛紗達に出会った時の様に、どこかに飛ばされたって事が。
「どこって。蜀の成都の郊外に決まってるっス。変なコト聞くっスね〜」
「…蜀?なんで!」
「あのー、そのキラキラした服、伝説の『天の御使い』ではないですか?」
もう一人の女の子が聞いて来た。…これまたなんとなく判った。多分、この二人、武将だ。それも蜀の。蜀?
「ああ、そう言われる存在だと思うけど…一つ教えてくれない?あい…関羽は?張飛は…諸葛亮は…どうなったの?」
「え?御使い様は丞相閣下をご存知なの?」
「じょ…じょーしょーかっか?」
「ええ、孔明様は蜀の丞相であらせられれ…う、舌噛みそう」
なんか随分と後の時代に飛ばされた感じがする。
「…盈ちゃん盈ちゃん。見付けたはいいけどこれからどうするっスか?」
「丞相閣下から天の御使いを見付けたらこの袋を開ける様言われてるわ」
なんかごそごそと長い袋から竹簡を取り出す女の子。
小学生の使う物差しと物差しケースみたいだなぁ…とか思って見守る。
「…宮殿まで連れて来なさい…だって」
「わざわざ指示書く程の事っスかね?ソレ」
連行…もとい歩きながら話の続きをする。
「っス」とか喋ってた女の子は王平。
袋を持ってた女の子は張翼というそうだ。
聞いた事がある様な…ない様な…。部下には居なかったと思うけど。
んで驚愕の事実を知る。
「関羽様は襄陽で呂蒙に…」
ええ!?愛紗が!…死んでしまった?
「張飛様は『鈴々はぜったいゆるさないのだー』とかおっしゃって弔い合戦をしようとしたのですが…」
鈴々が?鈴々が?嘘だ!
「出陣前夜におなかを出して寝てしまったので風邪をひき帰らぬ人に…」
なにその死に方!もとい、嘘って言ってくれ!
「劉備様は張飛様から伝染った風邪をこじらして…」
劉備…?アレ?劉備?いなかったよね劉備。
俺が三国を統一し、左慈とかと闘ったあの後じゃない…のか。
俺が愛紗や鈴々に拾われた歴史でなく、劉備と桃園で誓いを立てた、そういう歴史の後なのか…。
じゃ、朱里も俺の知っている朱里とは別人?俺の事を知らない?そんな!
「あ、見えてきたっス」
劉備の娘、劉禅の治める成都。
その宮城へ二人の案内で向かう。
まず朱里直々の尋問を受ける事になるらしい。
朱里…もしこの外史の朱里が、俺の事を全然知らなくても…それでもいい。
会いたい。彼女の「はわわ」がたまらなく懐かしい。
「おはいりなさい」
ええ!!!!!!
何この妖艶な美女は!
…続きません。