レベル1 07
「ふむ、今日はこのくらいにしておくか」
ティアとレイチェルのレベルが10を超えた辺りで、モンスターが寄りつかないように俺の気配をまき散らす。
その気配が広がるに従ってモンスターが俺の視界から逃げて行く。
コレが出来るようになったのは何時からだっただろうか?
「悪いが、アイテムの収拾を頼む。さすがに敵を遠ざけながらそう言った細かい事は出来ないんでな」
俺の指示に従って、今まっで隠れていた2人が壁際に出来たアイテムの山を回収して行く。
「悪いが、アイテムの収拾を頼む。さすがに敵を遠ざけながらそう言った細かい事は出来ないんでな」
ふぇ~
やっぱり先生は凄いね~
えっと、これがロングソードで、こっちがクッキー……
クッキーはまとめて保存した方が良いよね?
その方が取りだす時楽だし!
あれ?
レイちゃんボーっとしてるけどどうしたのかな?
「レイちゃんレイちゃん!ぼーっとしてるけどどうしたの?」
……ふぇ?
返事が無いよ?
本当にどうしちゃったんだろ?
「悪いが、アイテムの収拾を頼む。さすがに敵を遠ざけながらそう言った細かい事は出来ないんでな」
ゼオルドさんから再度闘気が放たれたかと思うと、それまで押し寄せていたモンスターの波が消えました。
今のは一体なんだったんでしょうか?
モンスターが寄って来ないようにするスキルなんて聞いた事がありません。
ゼオルドさんに言われた通り、アイテムの収拾をしますが、頭の中は今目の前で起こった現象で一杯です。
「レイちゃんレイちゃん!ぼーっとしてるけどどうしたの?」
ここへ来るまでモンスターは影も形も見えず、ゼオルドさんが闘気を緩めるとモンスターが寄って来た。
そして再び闘気が強まると、モンスターが逃げて行った。
その間に起こった戦闘も確かに凄かったですが、私はそれよりも闘気の方が気になります。
……それとも、私が知らないだけで、実在するスキルなのでしょうか?
帰ったら兄さんに聞いてみましょう。
む~!
ダンジョンから出てもレイちゃん返事してくれないよ~!
何か考えてるみたいだけど、一体何を考えてるのか分からないし……
「レイチェル、体調でも崩したのか?」
「い、いえ……なんでもありません」
ぶ~
何でゼオルドさんの声には答えて私の声には答えてくれないのかな?
「換金については以上だ。明日からはモンスターに対する対処の仕方を教えて行く!」
「はい、分かりました。お疲れ様です!」
やっぱり私だけのけものにされてるよ~!
良いもん!良いもん!
ティアちゃんいじけちゃうんだから!
でもでも、今日もゼオルドさんがカッコ良かったから許しちゃう!
うんうん!
ティアちゃん優しい!
「所でティアよ……お前は家に入り浸る気か?」
ふぇ?
あれれ?
何時の間にゼオルドさんの家に着いちゃったんだろ?
ゼオルドさんと別れた後も、私は今日の事を考えて居ました。
アレは一体……
「お!レイチェル帰って来たっすか!」
「兄さん、入る前にノックをして下さいと言った筈ですよ?」
妹とは言え兄さんは何故こうも女性の部屋へ向遠慮に入って来るのでしょうか?
「あははは、気にするなっす!オイラは気にしないっす!」
「着替えてたりしたらどうするんですか?」
「何言ってるっすか、オイラが1度でも着替え中に入って来た事が有ったっすか?」
はぁ……
そうなんですよね。
兄さんが明けるタイミングが良いのか、それとも私のタイミングが良いのか、そう言った気不味くなるような事は一度もないんですよね……
「それで?今日はどうだったっすか?」
そうでした!
兄さんにあの事を聞かなければいけません!
「それで?今日はどうだったっすか?」
オイラが聞くと、レイチェルは深刻な顔つきで今日の事を話しだしたっす。
ダンジョンンの奥深く……道順聞いて分かったっすけど、最深部っすね……に着くまでモンスターと1匹も出会わなかった。
アニキの闘気みたいなのが収まるとモンスターが寄って来た。
大剣を左右の手に1本ずつ構えて、左右の壁へモンスターを薙ぎ散らしていた。
しばらく戦闘が続いてアニキの闘気みたいなのが戻ったかと思うと、モンスターが逃げて行った。
は~
やっぱりゼオルドのアニキは凄いっすね。
「アレは一体何ですか?」
あ~
そう言った事もアニキに聞けば良いのに……
いや、案外アニキも知らずに使ってるのかも知れないっすね。
「それは多分威圧とか言われてるもんっすね」
「それはスキルなのですか?」
「いや、違うっすよ?上級冒険者が低級ダンジョンで狩りをするのが禁止されて無いのは知ってるっすよね?」
「はい。ですが、上位の冒険者によるモンスターの独占を防ぐ為に暗黙の了解で禁止されているのだと兄さんから聞いたのを覚えています」
相変わらずレイチェルは優秀っすね。
けど、どこか頭でっかちな所が有るのが玉に瑕っす。
知識だけで全部分かった気になってたら、何時か痛い目見るっすよ?
型破りなアニキの所で学べば何か得る物が有るかと思ったんすけど、初日じゃこんなもんなんすかね?
「アレは別に暗黙の了解だからってだけじゃないんすよ」
「アレは別に暗黙の了解だからってだけじゃないんすよ」
どう言う事でしょうか?
「上級冒険者が低級ダンジョンへ行くとモンスターが自分とのレベル差を感知して逃げちまうんすよ。現にオイラももう少しで上級者入りっすけど、モンスターが逃げ始めてるっす」
……それで、私へ直に教えてくれなかったのですか。
思えばおかしな話だったんですよね。
兄さんが教えてくれれば良いのに、他の冒険者を紹介しようとするなんて。
けれど…だとするなら、ゼオルドさんは……
「頭の良いレイチェルなら気付いてるかも知れないっすけど、ゼオルドのアニキはレベルが上がらないってだけで、上級冒険者並の力を持ってるって事になるっす」
そんな事って……
「頭の良いレイチェルなら気付いてるかも知れないっすけど、ゼオルドのアニキはレベルが上がらないってだけで、上級冒険者並の力を持ってるって事になるっす」
驚いてるっすね。
そう言うオイラも実際驚いてるんすねどね。
上級冒険者特有の気配を出し入れ出来るなんて聞いた事無いっす。
けど、低級冒険者のレイチェルにそこまで言う必要はないっすね。
自力で気付いた時にどう思うかが楽しみっす。
「どんな事があっても、アニキが一緒なら守ってくれるはずっすから、安心して色々学っすよ?」
頭を撫でてやると気持ちよさそうに「はい」とだけ返事をしたっす。
あぁ、こんなに可愛い妹が誰か他の男の嫁に行くかと思うと複雑っすね……
「ふぅ~やっぱりゼオルドさんのご飯は美味しいです!」
……本気で入り浸る気か?
「ゼオルド先生!」
ん?
飯を食い終ったと思ったら何だ?
「ダンジョンで、モンスターが逃げたり集まったりしてたのって、ゼオルド先生が何かしてたんですか?その時、先生にぎゅ~ってされてるみたいで苦しいような気持ち良いような感じがしたんですけど?」
あぁ、アレの事か。
最深部へ行く際に、モンスターが寄って来るのが鬱陶しかったので、今では重宝している。
「自分でも良く分からんが、いつの間にか身に付いていた。おそらく、レベルが上がればお前達も出来るようになるのではないか?」
しかし、アレは周りから苦しかったり気持ち良かったりするものなのか?
「ふぅ~やっぱりゼオルドさんのご飯は美味しいです!」
うまうま♪
優しくて強くてご飯まで作れるなんて、ゼオルドさんは凄い人です!
あ!
そう言えば今日不思議な事が起こったのを忘れてました。
「ゼオルド先生!」
あのぎゅ~って締め付けられるような感じが何だったのか気になります!
「ダンジョンで、モンスターが逃げたり集まったりしてたのって、ゼオルド先生が何かしてたんですか?その時、先生にぎゅ~ってされてるみたいで苦しいような気持ち良いような感じがしたんですけど?」
「自分でも良く分からんが、いつの間にか身に付いていた。おそらく、レベルが上がればお前達も出来るようになるのではないか?」
へ~
あんな事が出来るようになるんだ~
でもでも、そうなったら今度は私がゼオルドさんをぎゅ~って出来るようになるのかな?
………ぽっ!
そ、それって抱きしめ合うみたいになるのかな?
あぅ~
どんな感じなんだろう?
きっときっと、気持ちいいんだよね?
この娘はやはり良く分からんな……
俺の話を聞いていたと思ったら、急にくねくねと悶え始めたぞ?
今の会話の何処にそんな事をする要素が含まれていた?
まぁ良い。
俺はコイツとレイチェルに教えられるだけの事を教えるだけだ。
深入りは互いの為にならないからな……
後書き……にしよう!
取りあえずダンジョン脱出!
そしてティアが私特有の狂ったキャラクターへ変貌を始めました!
何で私の書くキャラクターは何処かおかしくなるんだろ?