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No.17034の一覧
[0] 【習作】涼宮ハルヒの平穏【完結】[光流](2010/03/22 05:32)
[1] 涼宮ハルヒの平穏 プロローグ[光流](2010/03/09 20:30)
[2] 涼宮ハルヒの平穏 第一話[光流](2010/03/08 13:57)
[3] 涼宮ハルヒの平穏 第二話[光流](2010/03/05 17:08)
[4] 涼宮ハルヒの平穏 第三話[光流](2010/03/06 06:08)
[5] 涼宮ハルヒの平穏 第四話[光流](2010/03/06 22:41)
[6] 涼宮ハルヒの平穏 第五話[光流](2010/03/07 21:01)
[7] 涼宮ハルヒの平穏 第六話[光流](2010/03/08 02:34)
[8] 涼宮ハルヒの平穏 第七話[光流](2010/03/22 04:53)
[9] 涼宮ハルヒの平穏 第八話[光流](2010/03/09 17:57)
[10] 涼宮ハルヒの平穏 第九話[光流](2010/03/22 04:55)
[11] 涼宮ハルヒの平穏 第十話[光流](2010/03/12 16:40)
[12] 涼宮ハルヒの平穏 第十一話[光流](2010/03/15 00:21)
[13] 涼宮ハルヒの平穏 第十二話[光流](2010/03/15 09:29)
[16] 涼宮ハルヒの平穏 第十三話[光流](2010/03/15 12:35)
[17] 涼宮ハルヒの平穏 第十四話[光流](2010/03/17 01:30)
[18] 涼宮ハルヒの平穏 第十五話[光流](2010/03/19 00:27)
[19] 涼宮ハルヒの平穏 第十六話[光流](2010/05/05 20:35)
[20] 涼宮ハルヒの平穏 第十七話[光流](2010/03/22 03:04)
[21] 涼宮ハルヒの平穏 第十八話[光流](2010/03/22 05:23)
[22] 涼宮ハルヒの平穏 エピローグ[光流](2010/03/22 03:12)
[23] 涼宮ハルヒの平穏 後書き(見なくてもいいですよ)[光流](2010/03/22 20:49)
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[17034] 涼宮ハルヒの平穏 第十八話
Name: 光流◆3a6665d2 ID:028bcc4c 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/03/22 05:23
次の日の七月七日、つまり七夕の日に登校すると俺の後ろの席には顔にガーゼのようなものを張ったハルヒがいた。

「その顔、どうしたんだ?」
「転んだのよ、本当に痛かったわ」
「どこで転んだんだ?」
「わたしの家よ。まさかこの私ともあろうものが自宅で転ぶなんて思いもしなかったわ」

ハルヒが嘘をついている感じはない。おそらくだが本当に自宅で転んだんだと思っているんだろう。

「なあ、ハルヒ。陸奥京子って名前聞いたことあるか?」
「むつきょうこ?……どっかで聞いたことあるような気もするけど……いえ、やっぱ知らないわ」

まあそうじゃないかと思ったさ。学校に来た時点で陸奥の下駄箱だったはずの場所が誰も使っていない風になっているのを確認したし、
教室の中の掲示物なども陸奥京子という名前が入っているべき場所が空欄になっていたからな。
朝倉はカナダへ転校したが、陸奥は文字通りこの学校から姿を消したという事だ。
ちなみに他の奴二人ほどに同じ事を聞いてみたがそれぞれ

「陸奥さんねぇ。聞いたことないな。どんな字を書くんだい?」
「陸奥京子?誰だそれ?お前の知り合いか?可愛い女なら俺に紹介しろよ!」

こんな感じの答えが返ってきた。まあ言うまでもないが一つ目が国木田で二つ目が谷口だ。
これ以外の奴には聞いてないがおそらく意味はないだろう。そしてこれをもってある事に説明がいくようになった。
そう、大人バージョンの朝比奈さんのセリフだ。あの時朝比奈さんは陸奥京子なんて知らないと言った。
それもそうだろう。おそらくあの大人版の朝比奈さんも高校時代に陸奥京子という女にはあっていたのだ。
ただ今回と同じ流れをたどり朝比奈さんの中にある陸奥に関する記憶は消去されてしまったのだろう。
だから朝比奈さんの記憶と現実の流れが合致しなかったのだ。
あの時、朝比奈さんは記憶は絶対的なものではないという風にも言っていた。
もしかしたら大人版の朝比奈さんはうすうす自分の記憶のほうがおかしいと気づいていたのかもしれないな。

そこまで考えた後ハルヒのほうに意識を向けると、なんだかハルヒは真面目に何かを考えているようだった。
おそらく今日の七夕におけるSOS団の活動をどう盛り上げるか考えているのだろうが。


さて、これまで一カ月半ほど俺の心を揺らし続けそしてあっさりと居なくなってしまった陸奥京子。
結局本人の口から語られることはなかったが、俺はその正体についてすでに確信を持っている。
陸奥京子の正体、それは……





         俺だ





そうだ、客観的に考えれば明らかなことだ。明らかに関係者でなきゃ知らない情報をいくらなんでも知りすぎてる。
極めつけの発言はアレだ。
『おでんの感想聞いてもいいかしら?あなたが以前ここで食べたものほどは美味しくは出来てなかったとは思うけどそれなりだったでしょ』
この発言はあり得ない。何故俺が長門の家で朝倉のおでんを食べた事を知っているのだ?
あの改変された世界の記憶を持つのは俺だけなのだ。あの世界には宇宙人も未来人も超能力者もいなかった。
それどころか宇宙人の親玉たる情報統合思念体すらも存在しなかったはずなのだ。
あの世界の事は誰も知らない。唯一知っている可能性があるのは長門だが、あの世界の長門はただの人間だった。
今の長門があの時の事を覚えてるかってのも微妙なラインだろう。
そしてあいつが俺なら俺の心を読んだかのようないくつかの発言についても説明がつく。
俺自身なのだから、わかって当たり前というやつだ。

しかし当然問題は発生する。あの陸奥京子が俺なのだとしたら、その俺はどこから来たのかという事だ。
それについてもあいつの発言から推測を立てることは出来る。
あいつが最後の方で言ってた『今回はいわゆる規定事項ってやつらしいから』って発言だ。
規定事項という言葉が必要になる人間は誰だか決まっている。未来人だ。
あの陸奥京子という俺は未来からやってきたのだ。

思えばあいつが来たころからある意味で伏線みたいなものは色々あったのだ。
外見は可愛いという事は出来るが、悪く言えばありきたりで普通だと客観的に判断していたし、
勉強が俺たちより進んだところまでやったことがあったのは未来から来ていたからだろうし、
運動能力は俺と同じくらいというのも俺自身なのだから当然と言えば当然なのだろう。
ハルヒの『あんたと同じ普通で平均的でごく一般的でありきたりな』という発言と普通である事を誇りにしてもいるという発言。
SOS団の中で一般人である事がアイデンティティになっている俺ならば変な発言ではない。
そしてハルヒがやけに遠慮がなかったのもそうだ。おそらくハルヒは直感的に陸奥の正体に気づいていたのだろう
唯一、性格に関しては俺と似ていないような気もするが、あいつは性格を偽っていたと言っていた。
一番最後の発言では言動も俺と同じような感じだったしな。


ここまであからさまな感じだというのに俺が気づかなかった理由で一番大きかったのはおそらく長門の発言だ。
俺は長門に陸奥が宇宙人、未来人、超能力者、異世界人ではないかと二度ほど聞いた。
その時の長門の発言はあいつは一般人だというものだ。これは陸奥京子が未来から来た俺と言う事とは矛盾するのだ。
しかしこれもよく考えれば大したことではなかった。
俺が長門に『あいつは宇宙人や未来人や超能力者や異世界人じゃないんだな?』と訊いたときのあいつの返答はこうだった。

『彼女は私のようなインターフェースではないし情報操作の能力は無い
 朝比奈みくるのように時間移動する能力は存在しないし
 古泉一樹のようなある一定の空間内で特殊な力を発揮することも無い
 こことは違う異世界からやってきてもいない』

よくよく考えればおかしな返答だ。俺の質問における宇宙人などの言葉の定義は長門なら知っているはずだ。
ならば俺の質問に対してあいつは普通に「違う」とでも答えればいいのだ。
わざわざ能力を持っているかいないかに言及した言い方にする必要なんてないのだ。
そんな言い方にしたのは単純に俺の言う未来人のカテゴリに陸奥京子という女は該当してしまうからだ。
そして、それを俺が知ればもしかしたら俺は陸奥の正体に感づいてしまうかもしれない。
だから長門は嘘はつかずに俺が勘違いするような言い方をしたのだろう。

結局今回の事については誰も嘘は言っていなかったのだ。
長門の発言もそうだし、朝比奈さんの陸奥を知らないという事も、古泉の宇宙人の関係者というのも
陸奥自身が言っていた力を持たない普通の人間っていうのもだ。俺は特殊な能力は持ってないからな。
それに長門の正体を五月に教えてもらったというのも嘘じゃない。あいつは別に今年の五月だなんて言わなかったからな。
おれは確かに長門の正体は去年の五月に教わったのだ。
俺は情報不足だとか情報過多だとかで意味がわからないなどと思っていたが、そうではなかった。
単純に俺の考えが足りなかっただけなのだ。今思えば、気づいてもおかしくないほど大量の情報があったのだ。

ここまではずっと推測で話してきたが、実はすでに陸奥の正体が俺であるという確固たる証拠をすでに持っている。
家に帰った後に俺はカバンの中にある一冊の見覚えのないノートがあるのを見つけた。
そのノートの中には陸奥京子として俺がどうすればいいかという事が細かく書かれていたのだ。
流石にすべてってわけではなかったがセリフ指定をされているところまで存在した。
これが陸奥の言っていたシナリオって奴なんだろう。こんなものが用意されている理由は俺が思うに今回は朝比奈さんが俺を導くことができないからだろう。
こういうときは大人版朝比奈さんがナビゲート的な役割を果たすのが常なのだが今回は何が起こっているのか朝比奈さんは知っていては駄目なのだからな。

シナリオによると過去への移動、俺という男が陸奥京子という女になること、学校への編入などのほとんどの情報操作は未来の長門に
終わった後の記憶消去はその時代の長門に任せるらしい。まあ結局時代が違うだけですべての作業は長門任せってわけだ。
そこまで長門を頼るのは忍びないのだが規定事項というやつだからどうしようもないのだろう。

そしてあの陸奥京子に関する謎の吐き気を伴う嫌悪感。
あれは自分と同一人物、しかも女になった自分にあった事による自己嫌悪の類いだと考えたのだが実は一概にそうとは言えないらしい。
シナリオを読んでわかった事だが嫌悪感は確かにその通りらしいが、吐き気の発生は長門の情報操作によるものらしい。
つまり吐き気を消したのは陸奥に依頼された長門だったのだが、吐き気自体も陸奥に依頼された長門が引き起こしたものだったのだ。
酷いマッチポンプである。補足説明で『万が一にも陸奥京子に対する嫌悪感を失わせないため』などと書いてあるが、何とも説得力に欠ける話だ。
まあだからといって未来の俺を怒鳴りつけることも出来ないわけだから、仕方ないから俺もいずれ過去の俺に吐き気を食らわせてやることにしよう。
もしかしたらあの吐き気は陸奥京子たる俺の単なる憂さ晴らしなのかも知れないな。


結局のところ今回の一件は言ってしまえば俺の考えすぎだったのだ。
陸奥はこの一カ月半の間最後の告白を除けばこれといって何も起こさなかった。陸奥が加入してからも俺の心以外は平穏そのものだったのだ。
今回の事は事件とも呼べないぐらいのただのいつもとはほんの少しだけ、陸奥という女が加わっただけの普通の日常だったのだ。
今の今まで未来の俺に心を振りまわされていたわけだが、取り越し苦労のくたびれ儲けというやつだったという事だ。
まあとは言えこれで陸奥京子もいなくなり、今回の出来事も無事終了という事だ。
せいぜい今日のSOS団七夕祭りは何の杞憂もなく楽しむことにしよう。


シナリオによれば、俺が過去に飛ばなければいけないのはどうやら卒業間近ぐらいのことらしい。
かなり先の事だ。そのころには朝比奈さんたちも卒業してしまっているってことでもある。
もしかしたら陸奥が何も言わず何もせずにただSOS団の活動を眺めていたのは単純に懐かしんでいたのかもしれないな。
おれもそんなときが来るのかと感慨に浸りたくもなるがそんなことはその時がやってきたら考えればいいのだ。
しかし俺にもしなければいけないことというのはある。過去へ飛ぶその瞬間のために準備は必要だ。ひとまず……



出来る限り美味しいおでんを作れるようにならんとな。



後書きのようなもの
次でラストです。なんだか感慨深いですね。


「それに長門の正体を五月に教えてもらったというのも嘘じゃない。あいつは別に今年の五月だなんて言わなかったからな。
おれは確かに長門の正体は去年の五月に教わったのだ。」
という文を後から追加しました。
入れるつもりだったのにすっかり忘れてたぜ


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