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No.16711の一覧
[0] 【習作】東方農家伝【東方、オリ主】[ヤッタラン](2010/03/12 16:36)
[1] 【習作】東方農家伝【東方、オリ主】其の01[ヤッタラン](2010/03/12 16:35)
[2] 【習作】東方農家伝【東方、オリ主】其の02[ヤッタラン](2010/02/23 11:40)
[3] 【習作】東方農家伝【東方、オリ主】其の03[ヤッタラン](2010/02/25 08:16)
[4] 【習作】東方農家伝【東方、オリ主】其の04[ヤッタラン](2010/03/12 18:55)
[5] 【習作】東方農家伝【東方、オリ主】其の05[ヤッタラン](2010/03/31 23:58)
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[16711] 【習作】東方農家伝【東方、オリ主】其の03
Name: ヤッタラン◆2fabd112 ID:1d1bbdd7 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/02/25 08:16
私は朝餉の前に顔を洗い姿見の前で身だしなみを整え、髪を三つ編みに結う。
日常的にしゃがんだりする姿勢が多いので仕方がないが代わり映えしないのも確かだ。
とはいえ以前結びもせずいたときにかまどで髪を焦がして以来、邪魔にならないこの髪型に落ち着いている。

そう思いつつ飾り気のない紐で三つ編みの先を縛っているときだ、戸を叩く音が聞こえてくる。
紫ならまちがいなくスキマで直接あがりこんでくる筈なので人里の誰かかと思いつつ玄関に向かう。

「え、と……、風見憂香さんで間違いないですか?」
戸を開けるとそこには気弱なのか、えらくオドオドしている一人の少女がいた。
白のレースをあしらった赤のワンピースに白の帽子という出で立ちに加え金色の髪と瞳というのも珍しい、南蛮…西方の出なのだろう。
それ以上に両手で抱えるように持っている身の丈程度の大きさの外刃の大鎌が一際目立つ。
「……とりあえず中に入ってくれ、朝餉がまだなんでな。」


囲炉裏をはさんで座り、ほどよく煮えた朝餉の雑炊を少女に手渡す。
おっかなびっくり受け取って一口すするや否や慌てて食べ始める。よほど腹を空かしていたらしい。
火傷しないように注意して私も食べ始める。やはり雑炊は(個人的だが)味噌が口に合う。

昨夜の紫程ではないが四杯のお代わりをしてご馳走様となる。
そのころには人心地ついたのか、オドオドした雰囲気もなりを潜めてくれたようだ。
茶を二人分煎れ、ひと啜りしてから話を始める。

「そういえば名前を聞いてなかったな。」
「あっ!すいません……。えと…はじめましてエリーといいます。あの……、ご飯とっても美味しかったです。」
どうやらろくな食事にありついていないらしい。やって来たときより明らかに血色が良くなっている。
これまでの幻想郷の食糧事情の深刻さは野良の妖怪でもそう変わらないらしい。
「気にするな、それにそう畏まらなくてもいい。別にとって喰うつもりもないからな。
ところで、今朝ここに来たのはスキマに言われてなのか?」
「いえ、九尾からです。昨日の夜いきなりやってきて明日……今日ですね、ここに行ってこれから憂香さんに従うように……と。」
一人さっさと布団に入って式神に面倒事を押しつける紫の姿が容易に想像できる。今度藍に好物を振る舞ってやらねば。

しかし昨日の夜に頼んで翌朝に用意するとはあまりに早すぎるのだが、あの紫ならすでに目星をつけていたのだろう。
そういう観点から考えれば、目の前のエリーはまず外れはありえないと考えてよい。
日常的、私生活などではだらしないが、少なくとも幻想郷に関することなら熟慮しけして手は抜かないのが八雲紫だ。
出会って数日だがこれに関しては断言できる。


「藍のことだろうから私がどういう事をしている……これからする予定かは聞いているだろう。
エリー、貴方には今日から私の助手……見習いになるか、それで雇いたい。
取りあえずはここでの雑用などから覚えて欲しい。但し分からぬ事があれば勝手に判断せず、私に必ず聞くようにしてくれ。」
「はいっ、よろしくお願いします。」
「うむ。ところで、エリーの得意なことや特技は何だ?あと能力は持っているのか?」
能力は農作業に関係するものなら有り難いが、特技でもやり方次第ではいくらでも応用なりできる。
そのためにも今現在のエリーの実力は把握しておきたかったのだが、彼女の返答はいささか意外なものだった。

「えと…、見ての通りだとは思いますが鎌の扱いなら自信があります。能力なんですが……、ポルターガイストというのはご存じですか?」


「よくは知らんが……悪霊が起こす妖精の悪戯みたいなものだったか……?」
「そう考えてもらえたら結構です。そういったことを行う悪霊や怨霊を使役することができるのが私の能力です。」
そう言いながらエリーが手を軽くかざすと、囲炉裏に置かれたままだった鍋がひとりでに浮かび、台所の方へ向かっていった。
「といっても具体的にできることといえば浮遊や移動、後は目くらまし程度の光や音を出すのがせいぜいですか。」
「……死神なのか?」
「正確にはブルターニュのアンクウという種族……といいますか、といっても半端もので以前は貴族の門番や御者を勤めていました。」

それからエリーの身の上話や故郷の特産や料理、栽培されていた穀物などを聞いているといつの間にか昼近くになっていた。
昼過ぎに人里と妖怪の山に挨拶のため出向く予定があるため、昼餉を軽く済ませて支度をすることにしたので、
「早速だがエリーの郷土料理を食べてみたい。頼めるか?」
「頑張りますっ!……えっと憂香さま、平鍋と蕎麦粉はありますか?」

そう言ってエリーが用意してくれたのはガレットという水で溶いた蕎麦粉を薄く焼き、野菜などを包み挟んだものだ。
米のお焦げとも違う香ばしさと食感が独特で、エリー曰く中の具は野菜や肉など問わずに包めるらしい。
餡などを包んで菓子にしてもいいと思いつつ、昼餉を済ませて出かけることにした。



エリーを伴い、まずは丘を下って程近くにある人里に向かう。
飛んでもよいが道中にある田畑を眺めておきたいので歩くことにすると、早速昨日収穫に参加していた農民に声をかけられる。
「どうも憂香様。昨日はあんなにたくさん頂いてありがとうございますだ。
人里に帰ってすぐ皆と分け合いまして……みんな感謝しております。ああ、ありがてぇありがてぇ。」

早速拝み半分に挨拶をしてくる。しかも後ろからはエリーの驚愕とも混乱ともつかない視線も感じる始末だ。
これではいろいろ先が思いやられるので取りあえずは作物の育ちや対策諸々を聞きつつその場の水田の土や稲を確認する。

(肥やしは十分ではないにせよちゃんと含まれている、稲の葉をみる限りでは害虫や病でもない……。
水は……っ!)

水田の水が手を引っ込めたくなるほど冷えている。まるで汲んですぐの井戸水だ。
秋が近いとはいえまだ季節はまだ夏。いくら幻想郷が北国でもこの水温はおかしい。
「この水はどこから引いてきている?」
「へい、霧の湖から用水路を通って近くの溜め池で貯めてますだ。案内しますんでついてきてくだせぇ。」

暫し歩いた先にある溜め池はそれ自体何の変哲もないが、風に煽られてかうねりができている。
「この辺りは風が強いのか?」
「へい。あっちのほうからよく滅法きつい風が妖怪の山の方……ウヘッ。」
狙いすましたかのように強い風が吹く。麦藁帽子を手で押さえながら風を感じているとあることに気づく。
(潮の香り……?)
人ではまず気づかない程度の、微かではあるが確かに感じる。おそらく幻想郷の外、海からの風が遠くここまで届いているのだろう。
風上の方角は先程農民が指した方向…その反対、風下には人里を逸れて先に妖怪の山がそびえ立っている。

(そういえば紫が昨日岩塩を天狗が採取していると言っていたな……。)
おそらくこの風で流れてきた塩が妖怪の山でなんらかの方法なりで凝縮され岩塩にしているのだろう。
これが自然に起きているものでないのは明らかだ。


「憂香さま?」
暫く風を感じて考え事をしていたのを不審に思ってか、エリーが声をかけてくる。
「?ああ、すまん。そういえばエリー、さっきの風や田畑に怨霊の類はいなかったな?」
水が冷える大体の理由は解ったが、ごく希に怨霊などの類が空気を冷やすという可能性も考えられるので一応確認はしておく。
「怨霊ですか?いえ、今は昼間ですし、特にその類はいないみたいですね。」
「そうか、原因の大元はわかったから人里に向かおう。
それから紫、すまんが妖怪の山からも誰か来るよう伝えてくれ。」
ついでに明後日の方向にむいて声をかけるとその方向の空中にスキマが現れ紫が顔を出す。

「私を伝言に使うなんて貴方が初めてよ、憂香。まあいいわ、人里の寄り合い所で待っているから。」
いきなり現れた紫に驚くエリーや農民に目もくれず紫はそう言ってスキマに顔を引っ込める。
私も腰を抜かした農民を起こして人里のほうに向かうことにした。



半刻後、寄り合い所に人里の長老や農民の代表者数人、守護者である慧音、妖怪の山から来た大天狗と文、そして私達と紫が集まった。
まずは互いの紹介から始まり、人里と妖怪の山双方から昨日の作物の件での礼を受け、大天狗からは妖怪の山に出向く夜に宴をする旨の話を聞く。

宴の方は取りあえず置いておき、まずは先程の溜め池の水温について説明をする。
隠れ里も同然の幻想郷故か、元々そういった知識を持つ者がいなかったらしく、皆予想外だったらしい。
ただ紫や妖怪の山から来た天狗達の顔は優れるはずもなかった。

「外の世界から潮の風を向かい入れる術式は幻想郷が生まれた頃から機能しているんです。
それにここではこの術式以外で塩を手に入れる方法がないんですよ、止めるわけにもいきません。」
文の発言に慧音や人里の者達も悩み顔になる。

「………兎にも角にも、溜め池の水を冷やさぬようにするしかないな。
用水路に蓋をして、溜め池の周囲には風よけの木を植えて後は……。」
「そういや、用水路から水をとってる霧の湖にゃ氷の妖精がいるんじゃあなかったか?
ホラ、冬になると寝ぼけて氷ごと溜め池に来ることだってあるじゃあねえか。」
「んだ、あいつをとっちめちまえばすこしはましになるかもしんねぇだ。」

私が対策を話していると農民達から突飛な発言が飛び出してきた。
エリーに聞くと霧の湖にはチルノという氷を操る妖精がいるらしく、知恵は回らないが妖精としては破格の能力を持っているらしい。

「待て、いくらなんでもこちらの勝手で氷精を退治するわけにはいかん。
第一あの精霊と今回のことは無関係であるし、何も悪さはしていないのだぞ。私は反対だ」
「しかし慧音先生、それじゃああっしらはどうすりゃあいいんです?」
農民達と慧音の議論は白熱するが、解決策にもならんだろう。
第一妖の楽園たる幻想郷で余程の悪事でも働かない限り、精霊であっても一方的に退治するとも思えない。
より他の方法を模索した方が建設的だ。

「エリー、幻想郷で温泉や間欠泉といったものはあるか?」
「温泉……ですか?いえ聞いたこともないですね。でもそれがどうしたんですか?」
「今に解るさ……。エリー、一度家に戻って鍬(くわ)を持って溜め池の近くまで来てくれ……。」
エリーに小声で指示を出し、中座すると言い残して寄り合い所を出る。
私の意図を理解したであろう紫を除いて皆驚いていたが、それを無視して寄り合い所を出て空を飛び、溜め池に向かう。



溜め池の上空から下を眺めて溜め池を挟んで田畑と反対の方角に向かい、少し離れた場所に目星をつけて降りる。
所々に岩が顔を出しており、立地も溜め池からそれほど離れてはいないので申し分ない。
それからまもなくエリーが鍬を抱えながら上空を飛んできたので、位置を知らせるため適当な方向へ光弾を放つ。

「これでよかったですか?」
「ああ助かる、これから少し危なくなるから少し離れてくれ。
おっと、それとすまんがこれを預かってくれ。」
すぐに私の所にやってきたエリーから鍬を受け取ると麦藁帽子を預け、この場から離れておくように伝える。


エリーが離れたのを確認すると目を閉じ、手にする鍬に流し込むように能力を発現させる。
軽く体を回転させ、半回転と少し。目を開き手にした鍬をおもむろに振り下ろす。

刹那、僅かな地響きと共に鍬を入れた場所から湯が噴き出す。
その量もみるみるうちに増えて周りの土や石を退かし、瞬く間に源泉を形成していく。


ある程度の量になったところを確認してその場を離れた時にはすっかり濡れ鼠になってしまった。
上空で待機していたエリーがやって来て手拭いを受け取り、水気を拭き取る。

「お見事。」
いつの間にか隣にスキマから上半身を出した紫がいた。
「人里の者達がじき来るだろうから溜め池までの用水路を造るよう言っておいてくれ。後日また様子を見に行く。」
「あら、折角の温泉なのに入らないの?一番風呂なのに。」
「ご覧の通りさっき浴びたさ。それに風呂は一人静かに入る主義なんで今日の所は家でゆっくりさせてもらう。」
紫に誘われて幻想郷入りして以来、忙しくしていたので数日はのんびり過ごしたい。
先程できた温泉もじき入浴できる設備なり用意されてからでも構わない。

「なら私は久しぶりに温泉を楽しませてもらうわ。そうそう、なんなら貴方の家の風呂とあの温泉を繋げておこうかしら?」
「頼む……と、冷えてきたな。またな紫。」
紫にそう言い残して家路に急ぐことにする。流石に濡れ鼠のままでは寒い。


後日我が家の庭には新しく源泉かけ流しの露天風呂が用意された。
(実際の作業を藍が行ったのは言うまでもない)。

















※⑨でもできるういかりんのさっと一品※

小麦粉で代用、ガレットの巻

エリーの故郷?おフランスはブルターニュの郷土料理も小麦粉で簡単に。
※本場ブルターニュは土地が痩せていたから荒れ地で育つ蕎は重宝されていたそうで、今でもそこのお袋の味だそうです。
材料:小麦粉(薄力粉)、水、塩、後は挟んだり包んだりしたい具を適当に。

①、ボウルに小麦粉を振るって入れ(ダマにならないように、金網のザルでOK)、塩と水を加えて混ぜて30分寝かせる。
(水は数回に分けて入れ、そのつどよくかき混ぜること)
②、平鍋かフライパンを熱し、バターか油を入れて溶けたらお玉一杯分の①を流して焼く。
(円を描くように流すときれいな円になる)
③、野菜やクリームなどを挟む場合は生地の表面が乾いて焼けてきたら生地の端を竹串などで静かにはがし、皿に広げて具を適当に挟んで出来上がり。
  包む場合は表面が焼ける前に生地の上に具を乗せて、焼き目が付いたら四方を内側に折りたたんで出来上がり。

ワンポイント:
基本的な作り方はクレープとそれほど変わらないからとっても簡単。
本格的に蕎麦粉を使う場合は①のとき手で混ぜて一晩寝かせるのが本場流。
蕎麦粉の方がよりパリッとするからこっちもおすすめ。
卵にチーズ、ハム、刻んだトマトなどを包んでみてもおいしい。






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リグル辺りはあまりに安直すぎると思い、旧作キャラを出してみたが設定のあまりのなさに気づいたときの感想。
「どうにでもなーれ。」

ヤッタランです。

フラワーマスターはWin版同様基本は常に一人、孤高の方ですので旧作は夢幻館の門番に登場して頂きました。
プレイ動画をみてなんとかへたれキャラであることは把握してますが、気がついたら単に気弱なキャラに……。


幻想郷寒冷化のネタは単に東北で冷害が多発していたな→適当に調べて斜め読み→いつものやっつけなんでつっこみどころ満載ですが
気にしないでください。どうせこの時点で解決したも同然ですから。

皆様のご感想本当にありがとうございます。これを書く阿呆の活力源なってますので。




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