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No.16711の一覧
[0] 【習作】東方農家伝【東方、オリ主】[ヤッタラン](2010/03/12 16:36)
[1] 【習作】東方農家伝【東方、オリ主】其の01[ヤッタラン](2010/03/12 16:35)
[2] 【習作】東方農家伝【東方、オリ主】其の02[ヤッタラン](2010/02/23 11:40)
[3] 【習作】東方農家伝【東方、オリ主】其の03[ヤッタラン](2010/02/25 08:16)
[4] 【習作】東方農家伝【東方、オリ主】其の04[ヤッタラン](2010/03/12 18:55)
[5] 【習作】東方農家伝【東方、オリ主】其の05[ヤッタラン](2010/03/31 23:58)
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[16711] 【習作】東方農家伝【東方、オリ主】其の01
Name: ヤッタラン◆2fabd112 ID:1d1bbdd7 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/03/12 16:35
「人生惰性で生きていると末期には必ず後悔する。故に後悔せぬよう日々精進せよ。」

昔からよく言われる言葉だが、精進に関係なく末期には後悔するものではないだろうか?
ついでに付け加えると、たとえ事故で即死であっても走馬燈は見るものであるし、後悔もするものである。

なにせ実体験で死んだことのある……もとい、死んだ時の記憶が残っているのだから。
まあここまで書けば死亡→転生→第二の人生とかいうおなじみのパターンかと思いきや、そう簡単には問屋がおろさない。


まず今の私は人ではない。一般的に妖怪と言われる類の、それも大妖怪とされる程度の能力を持ち合わせているらしい。
『らしい』というのはこれまで飽きもせず私の命を狙ってくる退治師連中の言葉に曰くというやつであって、
自分自身では妖怪であることは認めても自称『大妖怪』などという痛い真似などした覚えはない。

尚生まれたとき(二度目)から両親らしき存在は一度も目にすらしていないし、第二の生を迎えて早うん百年以上経つが成長も老化する気配すらない。
因みにほぼ同時期、同じところで生まれたらしい妖怪を姉と呼び(顔つき等もそっくりであったし)結構長いこと一緒に生活していたが、
ある時不覚をとって住処を焼き討ちに遭った際に離ればなれになって以来、残念なことに現在はお互い音信不通である。

まああの姉が敗れるなどということはまずあり得ないはずなので(所々うっかりなところがあるが)、いずれ再会できるとそれほど心配もしていない。
その辺は姉も私も妖怪なんで暢気な考えでいられるのだ。


ともあれ姉と別れて以降私はしばらく趣味と実益と退屈しのぎを兼ねて各地を放浪していたのだが、
道中相も変わらずちょっかいをかけてくる連中にいい加減嫌気がさしたため現在は人知れぬ田舎の山中に隠れ住んでいる。
近辺には人里一つないため生活はほぼ全てにおいて自給自足だが特に不便は感じていない。
しかも周囲には結界を張っているためここに住んで以来襲撃もされず、必要な食料なども『能力』のお陰ですぐ用意できるので問題はない。


さてここでひとつ説明しておく必要がある。いわゆる『能力』というやつだ。
妖怪に限らずそのほかの人外や一部の人間にはそれぞれ何かしらの能力を持っており、「~程度の能力」と称される。
その内容も千差万別で、火や冷気風といった自然のものから、果ては不死や奇跡といった反則級まで様々だったりする。

その中で私の能力というと「実らせる程度の能力」といい、呼んで字のごとく種や果実といった実を実らせることができる。
おかげ様で妖怪となってこの方食料に事欠いたことは一度もないし、放浪していたときは路銀の足しにもなる等大変重宝している。
そのやり方も実に単純で、私の住居の横にあるそれほど広くもない畑に肥やしの灰と糠を撒き、後は作物などの苗や種を植えて念じるように『能力』を使うだけ。
すると早送り再生も真っ青な速度で作物は成長し、瞬く間に収穫ができる。所要時間の殆どが肥料を撒くという辺り、農業に喧嘩売っているとしか思えない。

兎にも角にも、こうして代わり映えすることない気ままな生活を送ることができている。
時間と仕事に追われていた前世や鬱陶しい退治師に神経を逆なでされていた過去と比べるとまさに極楽の日々なのだ。



そんなことを考えながら我が家の台所でぬか床を弄っているところであった。
重圧といって差し支えないほどの強烈な妖気を唐突に感じ、思わず後ろを振り向く。

先程まで誰もいなかったその場に一人の妖怪が立っていた。
金色の髪に紫を基調とした服、手には傘と扇子を持ち、どこか得体の知れない笑みを浮かべた姿に戦慄じみたものすら感じる。
私などより目の前の妖怪こそ大妖怪と呼ぶにふさわしいだろう。思わず唾を飲み込み、警戒を強める。

「そう警戒する必要はありませんよ、風見憂香さん。」

余裕たっぷりにそんなことをのたまってくるが、警戒しないわけにはいかない。なにせ結界を張って以来初めての侵入者だ。
しかも結界が破られた様子もないらしくどうやって侵入してきたのかすら分からない。

暫し警戒しつつ観察してみるがその妖怪は襲ってくる様子もなくただ泰然としているばかり。
終いにはこちらがただの間抜けにすら感じられてくる始末だ。

どうやら本当に襲ってくるつもりはなさそうなので、足下のぬか床から茶請け用にキュウリを一本取り出し、かまどに向かう。
得体の知れない相手だが、敵意はなさそうなので茶の一杯も出しておいたほうがいいだろう。
おっと、ひとつだけ文句は言わせてもらわねば。
「茶を用意するので奥で待っていてほしい。それから屋内で傘は差さないでくれ、縁起が悪い。」

そのまま相手の顔を見なかったことを後々私は後悔することになる。なにせ極めて珍しいスキマ妖怪の間抜け面を見逃したのだから。



ちゃぶ台(お手製)をはさんでお茶とキュウリのぬか漬け(いずれも自家製)に爪楊枝を添えて出す。

「あら、おいしい。」
キュウリのぬか漬けを一口かじった目の前の妖怪の反応である。

随分前におぼろげな前世の記憶を頼りにでっち上げたところから作り始めてみたものだが、今では自信を持って出せる一品に仕上がっている。
自分で消費するにしても茶請けによし、酒の肴によし、日々の食事の引き立て役によしと毎日欠かさず消費している。


先程までの胡散臭さも幾分和らいだので、つかみは上々といったところだろうか。
「さて、私の名を知っているのなら自己紹介は不要だろう。
こんな田舎の山中で世捨て人…もとい妖怪に何の用かな?物好きな妖怪さん。」

「物好き……、確かにそうかも知れないわね。
改めまして、八雲紫と申します。よろしくお願いしますわ風見憂香さん。」
胡散臭く物好きな妖怪こと八雲紫はキュウリをかじりつつそうのたまう。相当な狸だな。

「下手な探りあいはなしにしたい。用件はなんだ?」

私の問いに八雲紫はキュウリを全て平らげ、お茶をひとすすりした後こう切り出した。

「幻想郷というのをご存じかしら?」



幻想郷。

各地を放浪していた頃から幾度となく聞いたことのある名だ。
なんでも遙か昔から天狗や河童といった妖怪や妖精、鬼などの人外たちの多く住む地らしく、私にちょっかいをかけてきた連中も躍起になって探しているらしい。
紫(本人の希望によりそう呼ぶことにした)は彼の地の創立から深く関わっているそうで、現在も同地の管理を担っているとのことだ。

もっともいろいろと問題を抱えているらしく、特に最近になって人や人外に拘わらず数が増えたことによる食料の確保などには苦労しているらしい。
辺境の人里で一度不作となれば最悪餓死に至ることもよくある話だが、そしてそれが力ある人外ともなると事態は深刻になる。
今のところ人外達の実力者である天狗や鬼の協力と外からの食料調達などで最悪の事態は避けられているものの、
『衣食足りて礼節を知る』という言葉通り、毎年秋から冬にかけてのいさかいは絶えないらしい。
おまけに彼の地は元々北国の痩せた土地らしく開墾しようにも思った成果は得られないとのことだ。

「貴方の考えている通り、以前からその対応に追われて難儀していましてね……。」
その時の紫の表情はどこか憂鬱さを浮かべながらも、彼女が真剣に取り組んでいるのが見て取れた。
正直に言うと一人で気楽に暮らしている現状は気に入っている前世からの性分か、面倒事はあまり請け負いたくはない。
とはいいつつもその一方で力になってやりたいと思ってしまう辺り、妖怪になって数百年経っていながらも人間くささが残っているのかも知れない。

そういえば姉にも時々そう指摘されていたな……などと考えつつ、本題の方へ戻る。
「詰まるところ、私にその面倒ごとを引き受けろと……?」
「そこまで無体ではないわ。別にいさかいの調停まで頼むつもりはないし、それはそれぞれ束ねる者達の領分よ。
貴方には幻想郷から不作と食糧難を過去のものしてもらいたいのよ。」
「そこで田畑を耕し、おまえ達のために作物を用意しろと?」
「いいえ、それをするのはあくまで農業を営む人や妖怪達よ。貴方はそれを見守り、不作にならぬよう気をつけてもらいたいだけ。
欲を言えばあなたの能力で幻想郷を肥沃な土地にしてもらいたいけれど……。」
生憎だがその日の内に種撒き→収穫などということができるとはいえ、土地の改良まではできん。
「先に言っておくが土地を肥やしたいなら肥やしと土を作る虫を撒くぐらいしか知らんし、第一私の能力ではそこまでできんぞ。」

私の言葉に紫は怪訝七割、驚き三割の目で見てきた。
「……貴方の能力でどれだけのことができるのか気づいていなかったの?」
いささか非難されたような言い方に眉間にしわが寄るの感じる。
「『実を実らせる程度の能力』だぞ。作物を作るぐらいなら得意だがそれ以外……。」
「……実らせる実が植物であるとは限らないのじゃあなくて?」
その言葉に一瞬思考が停止してしまう。


「大願も努力も執念も恋も全て実り実現するものよ。貴方がその気になれば奇跡に類することだって『実を結ぶ』ように望んだ結果となるわ。
たとえば貴方が構築したここの結界、その能力なしではまず造り出すことはできないでしょうね。
幻想郷の結界に関わっている私でも見つけ出すのにここまで苦労させる程度の出来映えなのだから。」

八雲紫の発言は的確であり、私自身身に覚えがない訳だけではない。
詰まるところ望む結果のため行動や努力さえすればたとえ天変地異であっても『実を結び』、実現できるということになる。
彼女の指摘したここの結界は確かに私が構築したものだが、その時はあまりにも簡単に出来上がったので拍子抜けした上こんなものかと早合点していた。
それを今更ながら指摘されただけに、そして本音としては一笑に付してやりたいところだが、それができないのが理解しているだけに悔しい。

しかし『実る』ものなら何でも実らせるとは我ながら呆れるほど反則じみているし、この能力のことが知れればよけいな面倒ごとが増えるのは目に見えている。
詰まるところその点も考慮に入れた上で、幻想郷に移り住んでもらいたいということらしい。私の能力を考えれば是が非でも、という枕詞付きで。


「私の願いと意見は伝えたけれど、答えを聞いていいかしら?」
八雲紫は残りのお茶を飲み、私にこう切り出してきた。
その得体の知れなさを深めた笑みは、どちらにしても力づくで連れて行く腹づもりなのをこれ以上なく表していた。

(それに私の能力に深みと新しい可能性を示した……というのかな。兎に角、それに対する恩義なり義理なり果たさねばならない……か)。
そんな考えがよぎった私は彼女の提案を了承することにした。



引っ越しともなれば下手をすれば数日がかりの作業となる。当然人手も相応に必要となる……はずなのだが。
「空間の固定も終わったわ。ここはもう幻想郷よ。」
紫(移住に際し名で呼ぶことにした)のこの言葉に私はぐうの音も出なかった。

先程まで家と畑の周囲を囲っていた森は消え失せ、眼下には山々や湖、森や集落や田畑の広がる風景が広がっていた。

移住を了承して早々「今から引っ越しをするから準備は何もしなくていい」などと紫は言いだし、
訝しむ私を尻目にいきなり空間を切り裂きそのまま私の家を畑ごと移動させてくるとは予想もできなかった。
というよりあまりにインチキすぎて何も言えない。

おまけに隣にいた紫が軽く咳払いをするまで私は間抜け面を晒し続けてしまっていた。不覚の極みというやつだ。
私が赤面しつつ取り繕うのを可笑しそうに微笑み、やがて紫は畏まるかのように姿勢を正すと、

「ようこそ、全てを受け入れし楽園たる幻想郷へ。
この地の管理者として、この地に住む者として新たな住人を歓迎するわ。」

掛け値なしの笑顔でそうのたまった。
そして私も自分でできうる限りの笑顔でそれに返した。

「こちらこそよろしく頼む。」





※⑨でもできるういかりんのさっと一品※

料理をしたこともない人でもできる超簡単漬け物

ぬか漬けや自家製みそは手間もかかって敷居が高いとお嘆きのあなたにおすすめ、

材料:塩もしくは市販の浅漬けの元、キュウリやキャベツなど適当な野菜。

①、野菜は一口大に切ってビニール袋に放り込む。
(口を密閉できるしっかいした袋が便利。)

②、蓋を閉めて袋の上からひたすらもむ。
(袋を破かないように気をつけて)
③、冷蔵庫に入れて冷やした後、水分を捨てて出来上がり。

ワンポイント:
生より柔らかくなるし、塩味も付いてご飯の共に、お酒の肴にどうぞ。
辛いと感じたら水で軽く洗って塩っ気を抜いて調節してね。

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後書き
初めまして、もしくはお久しぶりです。ヤッタランと申します。
少し駄文を書ける程度の時間ができたので思ったまま書き殴っていくと思いますがどうぞよしなに。

読んでのごとく、某フラワーマスターの家族?という微妙な位置づけ+他のキャラと能力がかぶり気味ですが気にしない方が幸せです。


以前投稿していたゼロ魔作品のリメイクもやれそうでしたらやってみたいですがいつになる事やら……。




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