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No.16584の一覧
[0] 【習作】『Doggy Boy & Clay Girl』(ゼロの使い魔・ただし壊れ&TS)[KCA](2010/02/17 23:33)
[1] Doggy Boy & Clay Girl 第1話.使い魔は退役済み[KCA](2010/02/17 23:43)
[2] Doggy Boy & Clay Girl 第2話.使い魔と少年魔法使[KCA](2010/02/17 23:36)
[3] Doggy Boy & Clay Girl 第3話.使い魔は歴戦の勇士[KCA](2010/02/17 23:37)
[4] Doggy Boy & Clay Girl 第4話.使い魔としての再契約[KCA](2010/02/17 23:38)
[5] Doggy Boy & Clay Girl 第5話.乙女は使い魔に○してる?[KCA](2010/02/20 05:23)
[6] Doggy Boy & Clay Girl 第6話.使い魔イン・ホリデー[KCA](2010/02/20 05:33)
[7] Doggy Boy & Clay Girl 第7話.使い魔と転校生[KCA](2010/02/22 17:36)
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[16584] Doggy Boy & Clay Girl 第7話.使い魔と転校生
Name: KCA◆f4e2dba4 ID:f24ef23a 前を表示する
Date: 2010/02/22 17:36
 「フランスより参りました日系3世のグレース・門倉(かどくら)です。本日より、こちらのクラスでお世話になることになりました。
 なにぶん不慣れなことが多いため、ご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いします!」

 さて、中高生の諸氏にお聞きしたいのだが、そんなふうな挨拶をした転校生がいたら、皆さんのクラスでは、いったいどのような事態が発生するだろうか?
 しかも、その転校生が、飛びっきりの美少女で、多少緊張はしているものの、決して無愛想ではなく、むしろ好奇心旺盛に目をキラキラ輝かせていたとしたら?
 よほどのヒネクレ者でもない限り、それなりに注目し、興味を抱くのではないだろうか。

 (――母さんが、朝イヤに上機嫌で早めに学校に行くことを薦めたのは、このためかよッ!)
 教壇に立ってニコニコしている親友の「少女」(正直、そう表現することに、未だ慣れないのだが)を見て、才人は頭を抱える。大方、才人をビックリさせるため、彼に気づかれないようグレースをコッソリこの学校に送り届けたに違いない。
 しかも、それだけではすまなかった。
 「あ~、門倉は平賀の家にホームステイしてるんだったな。ちょうどいい、平賀! お前が面倒見てやれ」
 ……などと担任教師の後藤がのたまったものだから、今度は才人にクラスメイトの視線が集まることとなったのだ。
 (ジーザス! 後藤センセー、アンタ俺に恨みでもあるのか!?)
 ただでさえ、「19歳の高校2年生」ということで、微妙に浮いた感のある自分をこれ以上目立たせないでくれ、と切に願う才人だった。
 とは言え、グレースの面倒をみること自体には彼も異論はない。
 ハルケギニアの学院の男子寮では随分と寮長だった彼女(当時は「彼」だったが)に随分お世話になったのだし、その恩返しをするいい機会である。
 「やぁ、済まないね。改めて、よろしく頼むよ、サイトくん」
 「おぅ、任せろ、グレース」
 隣席に座ることになったギーシュの挨拶に、力強く頷いてみせたのだった。 

 さて、後藤先生がHRを終えて教室を出た途端、グレースの席の周りにはいきなり人だかりが出来る……というのが学園マンガの定番だが、生憎と彼と入れ替わりに入って来た数学の教師は新任2年目の堅物で、転校生の存在にもさして注視するわけでもなく、すぐに授業を始める。
 そのおかげで、才人とグレースはしばしの相談タイムを持つことができたので、多少は幸運と言えるかもしれない。

 ところで、ハルケギニアの魔法使いと使い魔のあいだには、アニメやラノベでありがちな「念話」や「テレパシー」のラインなどというものは存在しない。
 いや、正確には、「伝心」という魔法もあるにはあるのだが、魔法使いなら誰もが習得しているわけではなく、習得難度もそれなりに高い。さらに言えば、魔法なので多少なりとも魔力を消費する。
 反面、心の通ったパートナー同士であれば、細かい意思疎通はともかく、互いのピンチを察するくらいはできる。実際才人も一度ならず、それでルイズの危地を救ったことはある。
 つまり、ふたりが授業中にどうやって相談したかと言えば、「教科書を見せるフリで机を近づけつつ、こっそりノートで筆談」という原始的な手段をとるしかないのである。
 しかし……想像してほしい。
 欧州から来た転校生の美少女と、クラスでもちょっと目立つ存在である少年が、仲睦まじく(はたからはそう見える)体を寄せ合い、何やらコソコソしている風景を。
 ブッちゃけ、物凄く周囲の注意を引いていた。
 ぐーたら凡人を自認し、あまり目立つことを嫌う才人だが、実はクラスでの注目度は何気に高かったりする。
 「17歳の時から2年間海外を放浪してたため、現在19歳だが高校2年生」という偽装プロフィールを転入してきたときに披露したのだが、高校生くらいの少年少女にとって「海外放浪」という行動は憧憬に値する経歴だろう。
 また、実際年上であることに加えて、才人自身、日本にいては到底遭遇しえないだろう様々な経験に揉まれて、色々な意味で人間的に成長している。とくに、くぐった修羅場──戦闘的な意味でも色恋的な意味でも──の数は伊達ではない。(もっとも、後者については才人自身はルイズたちをあくまで「妹」として見ていたため、あまり意識してなかったりするのだが)。
 不良じみた生徒にからまれてもアッサリこれをいなし、逆に視線でビビらせたり、クラスメイトの女子にちょっとした気遣い(これは、主にパリでのルイズとの同居生活で身に付けたものだ)が出来たりしたため、転入からひと月経たないと言うのに、男女問わず「頼れる兄貴分」的なポジションで一目置かれているのだ。
 そんな少年が、ひとつ屋根の下で暮らしているらしい謎の転校生と親しげにしていれば、そりぁ邪推のふたつやみっつを呼んでも無理はないだろう。
 よって、グレースは才人との筆談で、彼女の表向きのプロフィールと、才人との「向こう」での関係を確認していたのだが、次の休み時間に噂好きのクラスメイト達から思いがけない方面の質問を多数受けて慌てるハメになった。
 しかも、「その気」がないわけではないから言動にもそれがあからさまに透けて見え、何人もの女生徒から「がんばってね、門倉さん!」と激励を受けたのである。
 ……まぁ、結果的に彼女自身のプロフィールに深く突っ込まれなかったのだから、ある意味結果オーライかもしれないが。

 そんなこんなで迎えた昼休み、教室では落ち着いて弁当を食べられないと見た才人は、グレースと連れ立って屋上にやって来ていた。
 召喚される前は学食派だった才人だが、日本を離れて過ごした2年間で和食(ないし家庭料理)への執着心が生まれたのか、現在は母の作った弁当を有り難く持参して登校している。無論、グレースにも同じ内容の弁当が渡されていた。
 「あ! グレースさん、才人さん、こっちです!」
 屋上には、驚いたことにヴェルダンデの姿まで見える。それもこの学校の女子制服を着て!
 「いいっ!? ヴェルダンデさんも、この学校に入ったんスか?」
 「はい、実はそうなんです♪」
 制服の学年色から見て、どうやら才人たちのひとつ上の3年生のクラスに転入したらしい。

 積もる話もあるが、とりあえずまずは昼食をとることにする。
 弁当の中身は、チーズ入りポークカツレツ、イワシのフライ、プチトマトとキャベツのサラダ、箸やすめのオリーブのピクルス……と、グレースたちのことを考慮したのか洋風の献立だった。
 貴族だけあって舌が肥えているはずのグレースも美味しそうに食べているのを見て、才人もホッとひと安心だ。
 なお、げんちけんOBの「お土産」で、ギーシュもカップ麺などを何度か食べており、一応箸を扱うことはできたりする……多少手つきがあやしいが。

 「て言うか、そもそも、グレース自体、高校に通うとは思ってなかったよ、俺は」
 弁当箱が8割方空になった段階で、ヴェルダンデが差し出す水筒のお茶をすすりながら、才人は肩をすくめた。
 昨年のルイズの実習時は、ちょうど住んでいたアパートの1階がカフェ&レストランになっており、彼女は日中そこでウェイトレスとして働いていたのだ。
 なにぶん魔法少女見習いへ支給される地球での生活費は、貴族の子女に対するものとは思えぬほど慎ましい金額なので、本業に差し支えない範囲でこういうバイトも認められているとのこと。
 ちなみに、才人自身は同じカフェの厨房で働いていた。主に下ごしらえや雑作業担当ではあったが、門前の小僧なんとやらで、喫茶店で出すようなメニューをいくつか作れるようになってたりする。
 「しかし、また、なんで?」
 「ああ、それはね……」
 グレースの場合は赴任地が日本と言うことから、昼間は学生をしていることが推奨されていたらしい。無論中卒で働いている子もいないわけではないが、やはり目立つのは確かだ。
 「才人さんのお家に下宿させていただくことで、随分やりくりが楽になりましたしね」
 平賀家という格安の下宿(ふたり合わせて月1万円で、食費・光熱費も不要)が見つかったことで、大幅に経済的な余裕が出来たそうだ。
 ちなみに、地球での滞在費に関しては、ヴェルダンデが主をさしおいて財布を預かっている。もっとも、グレースに渡すと無駄遣いして金欠になってる光景が容易に想像できてしまうため、正しい判断だと言えるだろう。
 「そこで、(使い魔は)できるだけ近くにいたほうがよいとの判断から、浮いた分のお金を使ってわたくしもこうして転入させていただいたんです」
 「ま、確かに、それは道理か。某ゲームのごとく、使い魔のルーンで瞬時に召喚できるとかならよかったのにな」
 「おいおい、才人くん、それじゃあルーンが3回で消えちゃうよ。むしろ、ここはカードで「アデアット!」じゃないかい?」
 「「ネ●ま!」かよ!?」
 残念ながらハルケギニアの使い魔契約にそんな便利機能はなかった!

 それにしても、ヴェルダンデさん、3年とは言えよく生徒として潜りこめたな~と、ボヘーッと彼女の制服姿を見ながらヘンな方向に感心する才人。
 彼女の人間時外観は、普段はパッと見21、2歳といったところ。正直、女教師のほうが無理なかったのでは……。
 「──才人さん、失礼なことを考えていませんか?」
 彼女が妙にサワヤカな笑顔を浮かべたたため、ブンブンッと激しく首を横に振る。
 「い、イエイエ、トテモオニアイデス、ハイ……」
 ロボ口調で称賛する才人に、プクーッと頬を膨らませるヴェルダンデ。
 「もうっ、わかってますよ! わたくしだって、さすがに17歳とか言い張るのが無茶だってことは自覚してるんですから」
 「いやいや、ヴェル…姉さん、よく似合ってると思うよ」
 スネる「姉」をなだめるグレース。ここらヘンのフォローができるのは、ギーシュ時代からの変わらぬ美点であろう。
 設定としては、「実年齢は20歳だが大学には行っておらず、妹と同じ学校を体験してみたいので3年生に編入した」、ということにしたらしい。
 「まぁ、そのあたりは海外からの留学生だから融通が効……!!」 「「!」」
 才人が唐突に言葉を切るとともに、ハッとしたように傍らの女性ふたりもあらぬ方向に目をやる。
 「……これって、間違いなくアレだよな?」
 一応、周囲を慮って、才人は直接口にするのは避けたが、ソレは紛れもなく、一昨日倒したのと同種の「魔物」の気配だった。
 「でしょうね。先日よりは小物のようですが……」
 「やれやれ、転校初日から午後の授業をエスケープするハメになるとはね」
 言いながらも弁当箱を片づけて用意をするグレースたち。
 「才人くんはどうする? この気配から判断して、ボクらだけでも何とかなりそうだけど……」
 「──ばーか、お供が主の身を放っぽり出して、自分だけ安穏と授業受けてるわけにもいかねーだろ」
 躊躇はほんの一瞬で、才人もまた戦いを覚悟した空気をその身にまとう。
 「さ、「聖銅のグレースと陽気な仲間たち」、出動するとしようぜ!」

-つづく-
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以上です。なお、ヴェル姉さんの制服姿をコスプレとか言うの禁止。
(まして、イメク●とか言うとヌッ殺されますよ?)
ちなみに、ヴェルダンデはグレースのことを一般人の前では「グレースさん」と呼びます。妹に対する呼びかけとしては微妙ですが、「自分は妾腹の子で、グレースさんのほうが正式な家の跡取りですから」という説明で納得させてたり。
次回は「聖銅の戦乙女」団の初出陣ですが、以外な弱点が露呈することに……?

<キャラクター解説3・ヴェルダンデ>
●本名:ヴェルダンデ(通称。本来の名前は人間では発音不可。日本では、「ヴェルダンデ・門倉」と名乗る)
・年齢:?歳(外見年齢20代前半/日本では「20歳」ということにしてある)
・ふたつ名:潜行のヴェルダンデ
・立場:高校3年生/グレースの使い魔
・能力:土の精霊の加護を受けたジャイアントモール(大モグラ)。本性のモグラ時には、地中・地上ではかなり強力な肉弾戦闘能力を有する。
 (1)土精の加護:地中ないし地上にいる限り、精霊の加護で表皮の防御力が大幅に上昇する(常動型)。また、土中を馬の並足程度の速さで掘り進める。土系攻撃魔法も利きづらい。ただし、水中、空中では無効化される。
 (2)怪力:元々優秀なモグラの全身の筋力が、使い魔として魔力を受けたことでさらにパワーアップ。パンチ一発で分厚い鋼板もねじ曲げ、体当たりで身長5メートル近い鉄のゴーレムを転ばせたことがある。また、人間形態でも、その筋力はある程度引き継がれている。
 (3)陥没:地面に立っている敵を前触れなしで地中に引きずり込む、ヴェルダンデの決め技。下半身のみ土地に埋めて上半身を地上の主たちの攻撃に任せることも可能。ただし、地面が露出した場所でないといけないため、日本ではこれを使えない状況が多い。
 ※人間時のボイスイメージは井上喜久子(エレオノール声ではなく某女神様の雰囲気で想像してください)

<サブキャラ解説3・ロングビル>
トリステイン魔法少女学院の超有能な院長秘書。本名がマチルダ・オブ・サウスゴータなのは原作と変わらず。
30サントから10メイルまでの大小様々なゴーレム作りとその操作が得意だが、複数同時制御はやや苦手。
ティーンの頃はアルビオンで「人形遣い(ドールマスター)・レディ=マチルダ」として活躍していたが、引退を目前にした20歳の誕生日に起きたある事件により、故国より逐電。その後、「魔法の怪盗・フーケ」と名乗ってトリステインを中心に義賊活動をしていたが、2年半ほど前にオスマン院長の手で密かに捕縛され、以来彼の監視下のもと、秘書業務に励む。
学院では、(元怪盗にも関わらず)はっちゃけ気味なオスマンに対する「外付け良識回路」としての働きを期待され、文句を言いながらもよくこなしている。


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