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No.16584の一覧
[0] 【習作】『Doggy Boy & Clay Girl』(ゼロの使い魔・ただし壊れ&TS)[KCA](2010/02/17 23:33)
[1] Doggy Boy & Clay Girl 第1話.使い魔は退役済み[KCA](2010/02/17 23:43)
[2] Doggy Boy & Clay Girl 第2話.使い魔と少年魔法使[KCA](2010/02/17 23:36)
[3] Doggy Boy & Clay Girl 第3話.使い魔は歴戦の勇士[KCA](2010/02/17 23:37)
[4] Doggy Boy & Clay Girl 第4話.使い魔としての再契約[KCA](2010/02/17 23:38)
[5] Doggy Boy & Clay Girl 第5話.乙女は使い魔に○してる?[KCA](2010/02/20 05:23)
[6] Doggy Boy & Clay Girl 第6話.使い魔イン・ホリデー[KCA](2010/02/20 05:33)
[7] Doggy Boy & Clay Girl 第7話.使い魔と転校生[KCA](2010/02/22 17:36)
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[16584] Doggy Boy & Clay Girl 第2話.使い魔と少年魔法使
Name: KCA◆f4e2dba4 ID:251c7024 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/02/17 23:36
 寮の内部は、ボロ…いや、簡素で古びた建物のわりに、よく整備されており、雨漏りでもするのではないかと戦々恐々としていた才人も少しだけ安心した。
 「やぁ、改めてこんにちは。僕はギーシュ、ギーシュ・ド・グラモン。今年度から、ここの寮長を務めさせてもらっているよ。ふたつ名は、「青銅像のギーシュ」さ」
 「ぼ、僕はマリコルヌ・ド・グランドプレ。ふたつ名は「神風」。よろしく、サイトくん」
 「あ、ああ……よろしく」
 全員貴族かつ魔法使いのはずの男子寮生たちは、意外なほどフレンドリーで、才人としてはちょっと戸惑ったが、ギーシュと副寮長のマリコルヌに、ある部屋に案内されたことでその謎が解けた。

 男子寮生共有の娯楽室だというそこは、日本で言う10畳ほどの広さがあった。
 現在の寮生は、今日からここに住む才人も含めて計15人だと言うから、全員集まるのも、多少窮屈だが不可能ではないだろう。実際、休日の午後などは、ほとんどの者がここに集まってお茶しているらしい。
 ただし。
 「魔法の国の貴族の子弟たちのお茶会」なぞという言葉から連想される優雅でハイソなイメージとは程遠い光景であろうことは、才人にも断言できる。
 なぜならば。
 壁面に所狭しと貼られたアニメ絵のポスター。
 部屋の一角には昔懐かしい14型ブラウン管テレビが鎮座し、そのテレビ台の下には旧型PS2と白サターンが置いてある。隣りの角にある木製の棚には、才人にも見覚えのあるDVDやコミックスがビッシリ詰め込まれている。
 テレビの前には、4畳半分ほどの畳が敷かれており、その中央には一辺120センチくらいのコタツが置かれている。ご丁寧にも、天板の上には盆ザルに積まれたミカンまで完備されているのだ。
 「ひとり暮らしの日本のアニヲタの部屋かよ!?」
 「はっはっはっ、”本場”の人にそう言ってもらえるとは光栄だよ」
 ニコやかにギーシュが笑いつつ、右拳を突き出してサムズアップする。
 「本当に白い歯がキランと光るヤツっているんだな~」と密かに関心しつつ、才人はふたりに説明を求めた。
 「ふむ……ミス・ヴァリエールから、ハルケギニアと君たちの住むチキュウの関係について、説明は受けたかい?」
 「あぁ、一応な」
 「ならわかるだろうけど、ハルケギニアから赴く”魔法少女”達のチキュウでの活躍は、こちらの人間にとっても注目の的なんだよ」
 なるほど、たとえて言うなら、イチローみたく日本からアメリカに渡ってメジャーリーグで活躍してる選手のようなものか。いや、聞いた話から想像する限りでは、ステータスや人気はもっと上なのだろう。
 「幸い近年のチキュウには、記録媒体として磁気を利用した「ビデオ」や、電気信号による「デーヴイデー」があるからね。しかも、彼女たちの活躍を娯楽仕立てにまとめて見られるという神仕様だ!」
 「さすがに貴族も含め一般家庭ではおいそれとチキュウの品は手に入らないけど、ここは”魔法少女学院”だからね。お金とコネさえあれば、なんとかなるんだよ」
 ギーシュの言葉をマリコルヌが補足する。
 「なるほど、それで魔法少女アニメのDVDが大半なのか」
 しかし、「プリキュア」や「しゅごキャラ」レベルならともかく、「セーラームーン」や「東京ミュウミュウ」まで、魔法少女に含めてよいものだろうか?
 「それも理想的な魔法少女となるための資料だよ。現地でどのようなヒロイン像が望まれているのかに関する研究も大切だろう? 知ってのとおり、チキュウの人々の心を豊かに、幸せにすることで、我々ハルケギニアの地も、より大きな魔力を授かることができるのだからね。
 同様の理由で”魔法”とか”奇跡”とかが関係する作品も集めてある」
 一連の京アニkey作品や、「レイアース」、「チャチャ」などを指さしつつ、ギーシュが真面目くさって言うが、才人はジト目で突っ込んだ。
 「──で、建前はともかく、本音は?」
 「い、いちごタン萌え~! ご奉仕してほしいにゃん」
 「何を言うか、萌えの基本にして元祖はセーラーサターンこと土萌ほたるちゃんじゃないか!」
 あまりにアレすぎるふたりの返しに苦笑する才人。彼自身、ライトヲタであり、2ちゃ●ねるのアニメ板なども時々のぞいてはいたが、さすがにここまでディープな問答を、異世界くんだりまで来て聞くハメになろうとは思ってもみなかった。
 本当にココは異世界なのだろーか? 「ドッキリ」と書いた看板を持ったADが入って来ても、今なら信じられる気がする。
 「はいはい、萌え談義はそこまで。まぁ、大義名分のほかに個人的な趣味嗜好も関連してるってことだよな。
 でも、この世界にはモノホンの魔法使いや魔法少女がいるんだろ? ……て言うか、そもそもお前さんたちも、魔法使いの卵なんじゃないのか?」
 才人のもっともな問いに、フッ、と黄昏るギーシュ達。
 「確かに、僕ら一部の貴族の男性も、魔力を扱うことは可能だ。しかし……魔法使いと言うにはあまりにも”地味”、地味なんだよ!!」
 「サイト、きみに想像がつくかい? 来る日も来る日も、森や野原をうろついて、魔力の豊富な土壌や薬草などを探し回り、採集する日々を!
 そうやって集めた素材から、魔力をいくつかの器具にかけて少しずつ濾過し、分離し、結晶化させる退屈な作業の時間を!」
 「さらに、その結晶化した各属性の魔力を用い、教本に載ってる基本に個人のインスピレーションに基づくアレンジを加えつつ調合し、あるいは魔法陣上で熟成させ、あるいは魔法炉で精錬していく行為の単調さを!」
 滝のような涙を流す男ふたりに詰め寄られ、タジタジになりながら、かろうじて答える才人。
 「あ~……聞いてるだけだと、魔法使いって言うより、錬金術師みてーだな」
 「そう、まさにそのとーり!」
 才人の言葉に、得たり!と頷くギーシュたち。
 「そりゃあ、「アトリエ」シリーズは名作だよ? でも、アレはまだ、仲間と冒険の旅に出て、強力な攻撃アイテムを使ってバンバン敵を倒したり活躍もできるじゃないか」
 「もし、アレが調合&販売だけを繰り返すゲームだったら、はたしてあそこまで人気が出ただろうか? 否!」
 どうやらサターンやプレステ2を如何なく活用しているらしい。
 「えっと……そーゆーの、しないの?」
 恐る恐る尋ねる才人の質問に対して、ドヨ~~ンとしたふたりの眼が、答えを物語っていた。
 「う……りょ、了解。つまり、男性の魔法使いは総じて地味で、あまり華々しい活躍をする機会はないと。でも、それがどうして魔女っ子アニメ偏愛に結び付くんだ? 同級生とかもいるだろうに」
 フッと、寂しげな微笑みを浮かべるギーシュ。
 「三等星のごとくささやかな光しか持たない僕らにとっては、彼女たちの太陽の如き輝きは、眩しすぎるのさ」
 マリコルヌもしたりげに同調する。
 「そうそう。だから、せめて魔法少女の戦いの記録を収めた作品を見て、彼女たちの活躍をしのぶしかないんだ」
 「……要するに、言い寄って、相手にしてもらえる自信がない、と」
 彼女いない歴=年齢の才人としては、わからないでもない気持ちだが、あまりに屈折し過ぎてないだろうか?
 (でも、コイツらもアレな趣味のおかげで、日本から来た俺に友好的なんだろうから、別にとやかく言う筋合いはないけどな!)
 と、軽く現実逃避する才人。
 「と、ところで、さっき自己紹介の時、ふたつ名とか言ってたけど、アレは何なんだ?」
 あまり深く追求すると藪蛇のような気もしたので、話題を変える。
 「ああ、あれは僕らの魔法使いとしての特性や特技を、簡潔に表しているんだよ」
 「たとえば、このマリコルヌは、男性魔法使いでありながら、祖母からの遺伝か、ほんの一瞬だけごく小規模なつむじ風を起こす魔法が使えるんだ!」
 「いやいや、僕なんて。たかだか紙や軽い布を僅かに持ち上げる程度の、風とも言えぬ程度の代物だしね」
 謙遜しつつ、微妙に自尊心をくすぐられたのか、鼻孔をピクピクさせるマリコルヌ。
 「は、はぁ」
 確かに凄い……かどうか、よくわからない能力だ。大体、使い道があるのだろうか?
 「ふぅ~、キミには失望したよ、サイトくん」
 さすが外人(異世界人?)、「やれやれだぜ」という風にギーシュが肩をすくめる姿は、なかなか様になっている。
 「いいかい? 逆に言いかえれば、彼の魔法は、軽い紙や布程度なら持ち上げられるんだよ?」
 ────! まさか。
 ある可能性について戦慄する才人。
 「気づいたようだね。そう、彼の力を使えば……女子のスカートをごく自然にめくることができるんだ!!」
 「な、なるほど……それで「神風」か」
 確かに、居合わせた男子一同にとっては恵みの神風に違いあるまい……対象とされた女子には、いい迷惑であろうが。
 「でも、バレないのか?」
 「フッ、そう簡単に尻尾をつかませるようなヘマはしないさ」
 そうアッサリ言ってのけるマリコルヌ。小柄でやや小太りな彼の体から、別人のような自信に満ちた気配が感じられて、才人は思わず気圧される。
 ……いや、やってるコトは、ただのスカートめくりなのだが。
 「そ、そうか。で、ギーシュはなんだ、”ブロンズ”だっけ?」
 まさか聖闘士の真似事できるのかと思いきや、ギーシュは笑って否定した。
 「いやいやいや、僕にできるのは、コレくらいさ」
 懐から太さ2センチ、長さ10センチくらいの金属製の丸棒を取り出すと、器用にコタツの天板の上に立てる。
 さらに、指揮者のタクトのようなモノを片手に目をつぶって何やら口の中でモゴモゴ唱えたあと、ギーシュはカッと目を見開いた。
 「キたッ、”錬金”!!」
 不可視(なはずのに、なぜか才人には見えた)の力がギーシュのタクトから金属棒に流れ込み、モコモコと形を変え始める。
 変形終了までおよそ1分あまり。そこには、ゴスロリちっくなミニドレスに身を包んだ、美少女の姿が再現されていた。
 「おおおーーーーーっ」パチパチパチ
 思わず手を叩いてしまう。
 「ふぅ、ザッと、こんなところかな」
 「うわ~、これって、ルイズだよな?」
 8分の1サイズとは言え、髪型や顔つき、身体つきまで本物そっくりによく出来ている。
 「なぁ、もしかして、これ動かせるのか?」
 「ん? いや、それは無理だ。F●gmaのごとく関節可動性を持たせたものも作れないことはないけど、今の僕の実力では十倍以上の時間と魔力が必要だしね」
 なんで、Fi●ma知ってんだよ……と思いつつ、才人は首を横に振った。
 「いや、そうじゃなくて、歩いたり踊ったり……」
 「?」
 「ああ、ギーシュ、サイトが言ってるのはこういうことだよ」
 どこから取り出したのか、紙切れをもじぴったんのごとき簡易な人型に切ったものをペタペタと畳の上で歩かせてみせるマリコルヌ。
 「うん、それそれ!」
 「なぁんだ、そう言うことか。はっはっはっ……そんな魔法のようなこと、ムリだよ」
 「え? そんなアッサリ……」
 つーか、お前、今自分の存在意義を否定しなかったか? と心の中でメタな突っ込みをする才人。
 「確かにごく軽いものなら動かすことはレビテーションの応用で不可能ではないだろうけどね。僕ら男性魔法使いには、それでさえかなりの難行なんだよ。
 比較的その方面が得意なマリコルヌさえ、紙切れを歩かせるのがやっと。某ハラペコ人形使いみたく、踊らせたり宙返りさせるなんて至難の業さ」
 「まして、ギーシュの青銅人形はそれなりの重量もあるからね」
 「そりゃあ、僕だって、ホイホイさんとか武装神姫のごとく、愛らしい我が作品達に飛んだり跳ねたりしてほしいさ。でも……ムリ、無理なんだよ、サイトくん」
 血の涙を流すギーシュを見て、「悪いコト言ったかな~」と才人は後悔する。
 「ま、まぁ、たとえ動かなくても、このブロンズ像が精巧でよくできた代物であることには変わりないって。だから、元気出せよ!」
 「うぅ……そう言ってくれると、多少は気が楽だよ。いや、キミはいい人だね、サイトくん」
 今度はうれし泣きか。どうやらこの少年、美形な外見に反してやたら感情の振幅が激しいようだ。むしろ、お笑い方面でなら成功できるかもしれない。
 「──ギーシュ、そろそろいいんじゃないかな?」
 「ん? ああ、そうだね。それでは、サイトくん、そろそろキミの部屋に案内しようか」
 正直、才人としても、いろいろあって今日は疲れたので、休憩できるのはありがたかった。
 連れて行かれたのは、2階よりさらに上にある狭くて埃っぽい屋根裏部屋……などでは決してなく、ごく普通の2階の一室だった。しかも……。
 ガチャッ。
 「へぇ、ここが俺の…「「「「「サイトくん、入寮おめでとう!!」」」」」…うわっ、なんだなんだ!?」
 ドアを開けた瞬間、中から彼を歓迎する声が聞こえてきたため、面食らう。
 「僕らで君を誘導しているうちに、皆にちょっとした歓迎会の用意をしておいてもらったのさ」
 見れば、部屋の中には大きめのテーブルが持ち込まれ、その上に所狭しと食べ物や飲み物が並べられている。
 「はは、まぁ、こんな時間だし、たいしたものは用意できなかったんだけどね」
 寮生の中でも年かさと思しき少年が穏やかに笑う。ギーシュとはタイプの異なる、ちょっとインテリ風のこの美形が、昨年の寮長のベリッソンだと後で聞かされた。
 「お、俺のために、わざわざ?」
 小・中・高校とも転校などしたことがない才人だが、いまどき日本の学校でも、こんな粋な心遣いをしてくれるところは稀だろう。ちょっと感激してしまう。
 「なーに、いいってことよ。このウルカヌス寮に住むからには、俺達は仲間じゃねーか」
 貴族にしては柄の悪い物言いをする少年が、バンバンと才人の肩を叩いた。少し馴れ馴れしいが、決して悪い気はしない。ギーシュたちと同級で、ギムリというらしい。
 そこからは、乾杯とともに無礼講の時間となった。
 寮生たちは、「貴族」という言葉から想像されるようなイヤミで高慢な性格とは程遠い、気さくで親切な人間ばかりだった。それでいて、ギムリのような一部例外を除いて、礼儀正しく上品な物腰は、育ちの良さを感じさせる。
 後日、一番の親友となったギーシュに聞いてみたところ、彼は優雅に肩をすくめた。
 「”貴族であること”自体を自慢するなんて、よほどの三流貴族か昨日今日に貴族の位を得た成り上がりくらいのものだよ。
 ああ、誤解しないでくれたまえ。別に成り上がり自体が悪いと言うんじゃない。実際、1、2代前に貴族となった家系でも、立派な人間は沢山いるからね。
 僕が言いたいのは、つまり大事なのは「貴族として何を為すか」だ、ということなんだ。僕ら貴族は、確かに自らの血統に誇りを持ち、おおよその平民よりも財力があり、また魔法使いを輩出する機会も多い。
 だけどね、「どんな力を持つか」ではなく、「どういうことをして、国や領地を豊かに、周囲の人々を幸せにしたか」こそが、貴族の値打ちを量る目安となる──この学院の院長先生は、そのことを僕らに教えてくださったんだ」
 なるほど、コレが本物の上流階級のご令息と言うヤツなのか……と、才人は感心したものだ。

 もっとも、年齢に似合わずよくできた少年たちだが、そうは言ってもやはり若い男の子。日本人の才人より体格がよい者が多いので忘れがちだが、彼らは全員中学生くらいなのだ。
 アルコールが入るにつれて、多少はハメを外し気味になったのも無理はなかろう。
 「そ、そう言えばサイト、確かパソコン持ってきてるって言わなかったっけ?」
 「ん? ああ、確かにあるけど……」
 マリコルヌの何気ない(風を装った)質問に、気軽に応えた才人だが、その途端、部屋の中の喧騒がピタリと止まる。
 エアリード能力の低さには定評がある才人だが、さすがにここまで露骨だと一拍遅れてだが、気がつく。
 「えーっと……もしかして、みんな見たい?」
 ブンブンッ!
 14の首が一斉に縦に振られる様は、ある意味圧巻であった。その迫力に押されて、「仕方ないなぁ」と頭を振りながら、もったいをつけて肩にかけた鞄から愛機を取り出す。
 コンパクトモバイルEX6K●16MA。知り合いの先輩から、ほとんど新品に近い品を安く譲ってもらった代物だ。
 モニターはワイド11.6型と少々小さいが、機能的には数年前のノーパソに準じるレベルで、才人のようにインターネットとせいぜいギャルゲーくらいしかしない人間は、これで十分こと足りていた。
 「ど、どんな美少女ゲームをインストールしてあるんだい、サイトくん?」
 (鼻息荒いぞ、ギーシュ。それにどもるな!)
 「それより、画像! エロ画像はないのか?」
 (ギムリ、もうちょっと言葉をオブラートに包め)
 「まぁまぁ、諸君、落ち着きたまえ。……それで、18禁の二次創作SSとかを保存してあると、個人的にはうれしいんだけど?」
 (S・H・I・T! ベリッソン前寮長、アンタも、ムッツリか!)
 心の中でいちいちツッコミは入れているものの、才人とて友人達とする猥談やバカ話の類いが嫌いというわけではない。
 夜中近くまで、ウルカヌス寮のメンバーとモニターを囲みつつ、ハイテンションに盛り上がった。
 勢いで、男子寮生全員(プラス女子や教職員数名)から成る、「現代地球文化を研究する会」、略して「げんちけん」というサークルにも、才人は加入してしまったのだった。
 ……自分でも、異世界くんだりまで来て、何をやってるという気がしないでもなかったが。

-つづく-
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男子寮の面々の濃さ、どんだけ~!
いろいろパロってますが、自重はしませぬので、あしからず。


<オマケ>
 「あ、そろそろバッテリーがヤバいかも」
 「うむ。夜も更けたことだし、それならお開きとしようか。サイトくん、そのノートを充電したいなら、娯楽室にコンセントがあるから使ってくれたまえ」
 「……ん? そういえば、機械の電源はどうしてるんだ?」
 「ああ、君も”げんちけん”のメンバーとなったんだから、知る義務と権利があるね。こっちだよ」
 ギーシュに案内された娯楽室の一角には、ジムなどで見かけるトレーニング用のエアロバイクのような器具が置かれていた。ただし、後部からは太いケーブルが延びて屋外キャンプなどで使うバッテリーにつながっているが。
 「も、もしかして……」
 「うむ、我らげんちけんのメンバーは全員、週に1度はコルベール先生謹製のこの”エレキテルなヘビくん”を1時間漕いで、蓄電する義務があるのだよ」
 「じ、人力……魔法の国なのに、人力で発電かよ……」
 この世界に来て何度めかの価値観崩壊の危機にさらされる才人であった。


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