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No.16427の一覧
[0] 【習作】 マブラヴ オルタネイティヴ~我は御剣なり~(現実→オリジナル主人公・チート気味)[あぁ春が一番](2012/08/13 20:03)
[1] 本作歴史年表[あぁ春が一番](2011/07/11 21:36)
[2] 戦術機設定集(簡易)[あぁ春が一番](2011/08/15 13:48)
[3] 兵装・その他の装備設定集(簡易)[あぁ春が一番](2011/08/15 13:47)
[5] プロローグ[あぁ春が一番](2010/03/08 18:31)
[6] 第01話[あぁ春が一番](2010/06/06 12:15)
[7] 第02話[あぁ春が一番](2010/06/06 12:20)
[8] 第03話[あぁ春が一番](2010/07/10 09:03)
[9] 第04話[あぁ春が一番](2010/11/05 00:07)
[10] 第05話[あぁ春が一番](2010/11/05 00:24)
[11] 第06話[あぁ春が一番](2010/11/05 00:35)
[12] 第07話[あぁ春が一番](2010/11/05 00:45)
[13] 第08話[あぁ春が一番](2010/11/06 23:42)
[14] 第09話[あぁ春が一番](2011/01/27 22:47)
[15] 第10話[あぁ春が一番](2011/04/20 00:59)
[16] 第11話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:17)
[17] 第12話[あぁ春が一番](2010/11/07 22:29)
[18] 第13話[あぁ春が一番](2010/11/07 23:04)
[19] 第14話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:19)
[20] 第15話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:49)
[21] 第16話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:22)
[22] 第17話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:23)
[23] 第18話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:24)
[24] 第19話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:29)
[25] 第20話[あぁ春が一番](2010/11/10 00:41)
[26] 第21話[あぁ春が一番](2010/11/11 00:05)
[27] 第22話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:50)
[28] 第23話[あぁ春が一番](2010/11/11 23:29)
[29] 第24話[あぁ春が一番](2010/12/12 15:48)
[30] 第25話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:51)
[31] 第26話[あぁ春が一番](2010/12/12 15:48)
[32] 第27話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:51)
[33] 第28話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:52)
[34] 第29話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:53)
[35] 第30話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:53)
[36] 第31話[あぁ春が一番](2011/05/15 01:42)
[37] 第32話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:54)
[38] 第33話[あぁ春が一番](2011/05/25 00:04)
[39] 第34話[あぁ春が一番](2011/05/25 00:05)
[40] 第35話[あぁ春が一番](2011/05/25 00:05)
[41] 第36話[あぁ春が一番](2011/07/11 21:25)
[42] 第37話[あぁ春が一番](2011/08/15 13:46)
[43] 第38話[あぁ春が一番](2011/10/24 00:46)
[44] 外伝 TE編・上[あぁ春が一番](2012/07/23 11:57)
[45] 外伝 TE編・中[あぁ春が一番](2012/08/13 20:03)
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[16427] 第15話
Name: あぁ春が一番◆17cd7d65 ID:bc6cc51c 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/05/15 23:49


「んん・・・・・・んぁ~~~。」

俺はその日、長春防衛戦が終わってから初めて悪夢を見ることなく、しっかりと睡眠を取る事ができた事に、幸福感すら感じていた。

こうして、気持ちいい朝を迎える事ができるのも武田さんのご利益なのだろうか?

女性に抱きしめられただけで安心して眠れるなど、我ながら単純なものだと考えなくはなかったが、あのまま睡眠不足が続けば
部隊の崩壊に繋がる可能性も有った事を思うと、素直に感謝する気持ちになっていた。

そこで俺は、ベッドの中で久しぶりに感じた気持ちよさを満喫しようと、睡眠で硬くなった体を軽く伸ばすことにした。

しかし、動き出して直ぐ、自分がなにやら軟らかいものを抱きしめて寝ている事に、気が付くことになった。

俺はそれが何だか分からなかったが、目を開けるのも億劫だったので、手でそのものを弄る事にしたのだ。


「こら、御剣。
 そのように強く抱きしめられては、痛くてかなわん。
 女子を抱きしめる時は、もっと優しくするものじゃ。」


「・・・・・・え?」


俺は突然かけられた声に驚き、眼を開けると同時に間抜けな声を発していた。

そして、自分が抱きしめていたものの正体に気が付き、大いに混乱することになる。


「た 武田さん、どうしてこんな所にいらっしゃるのでしょうか?」


「・・・やっと起きたようじゃな。
 お主が寝入った時に、ベッドに押し倒されてしもうたのじゃ。
 しかも、離れようとすると軽く関節を極めてくるから始末におえん・・・。」


「は~、そうなのですか。」


「そうなのじゃ、じゃから仕方なくここで寝ることにしたのじゃ。
 し 仕方なくじゃぞ。」


そう言われた俺は、始めて聞く自分の寝相の悪さと女性と一緒に寝ていたという事実に驚愕し、ベッドから離れることも出来ずに、
武田 少尉としばらくの間見つめ合う事になった。

そして二人の沈黙は、突然の来訪者によって終わりを告げることになる。


「う~す、御剣起きてるか?
 今日の訓練についてなん・・・だ・・・が!?」


この時の俺は、自分の胸の高さ程の身長しか無い女性に抱きついている体勢・・・、見方によれば少女にも見える女性をベッドに
押し倒しているようにも見える状況だった。

この光景を目撃することになった佐々木 少尉は、驚きの表情の後に妙に納得した笑顔を見せた。


「お前が歓楽街に行かない理由がようやく分かった・・・。
 まさかロリ・・・、いや人に嗜好をとやかく言うと、碌な事が無いな。
 では、急いで皆に知らせて来るか・・・。」


そう呟いた佐々木少尉は、親指を上に立てた拳を前に突き出し、満面の笑みを浮かべた後、足早にテントから立ち去っていくのだった。








その日慌しい朝を過ごした俺は、ロンド・ベル隊全員で隊員が6人になってから何度目かになる、シミュレーター訓練を行っていた。

前回の戦いから前衛・中衛・後衛のバランスが取れた隊員が生き残ってはいるが、12人から6人になった影響は大きく、
昨日まで今まで通りのポジションでシミュレーター訓練を続けていたが、思うような結果が残せていなかった。

思うような結果が残せない一番の理由は、打撃力不足であった。

反応炉到達が第一目標になるハイヴ攻略では、BETAを回避する事が可能であるためそれほど打撃力は重要視されないと俺は考えていたが、
俺たちが主に従事することになる間引き作戦や防衛戦ではそうは行かなかった。

特に防衛戦では、いかにBETAを効率よく大量に殲滅するかが求められるため、打撃力不足は深刻な問題になるのだった。

更に、試験中隊であるロンド・ベル隊は戦闘を行いながらも不知火・強行偵察装備を守りきり、
戦術機及び兵装の運用データを持ち帰ることが最優先目標である事も影響していた。

運用データを持ち帰るために偵察装備の護衛に力を入れると、どうしてもBETAに与える力が不足し、
BETAに包囲殲滅されるという結果になってしまうのだった。

その事にここ数日頭を悩ましていた俺は、副官に任命していた武田 少尉と相談して、思い切ったポジション変更を行うことにした。

新しく考えた編成は、俺と武田 少尉の二人でエレメントを組み後衛となり、残りの四人をアロー隊形とし前面に立たせると言うものだった。

これによって、偵察装備の護衛を行う機体を俺一機とし、偵察装備の不知火も87式突撃銃と92式多目的追加装甲を持つ安定したスタイルから、
より攻撃的で前衛を援護できる装備に変更したのだった。

そして、後衛に下がる事になった俺の不知火と武田 少尉が乗る偵察装備の不知火には、最新のラインメイタル Mk-57中隊支援砲の
大口径タイプが装備され、中衛の強襲掃討装備には通常口径の中隊支援砲が装備されることになった。

この中隊支援砲は、BETA群に突入する戦術機部隊を支援するために開発された戦術機用の支援重火器で、
1997年の今年に入り欧州で配備され始めた兵装である。

欧州各国軍では戦術機が携行する大口径支援砲が標準装備されており、Mk-57中隊支援砲は通常使われる57mm砲弾以外にも、
220㎜や105㎜砲弾に対応した数種も存在している。

散弾・多目的運搬砲弾も使用できる本砲は、57mm砲弾の場合で最大120発/分の制圧射撃を行う事が可能であり、
要撃級,戦車級に対して極めて有効な兵装であると考えられていた。

これらの大口径支援砲は、欧州において戦車や自走砲の代用として運用されており、戦術機に装備されている事で機動性や、
地形に影響されない展開能力が評価されているのだ。

今回、御剣重工では将来的にライセンス生産を行うことを目標に、西ドイツのラインメタル社から57mm,76mm,90mm,105mm砲弾を発射できる
4種類のMk-57中隊支援砲を購入し、各種の運用データを取る事になった。

その関係で、不知火での実戦時の運用データを取るために、ロンド・ベル隊に配備されてきたのだ。

御剣重工がこの4種類の砲弾を選択した理由は、戦術機の一般的な兵装である87式突撃砲の36mm砲弾を上回る火力が求められた事と、
120mm以上の砲弾では、その反動や携行できる弾数が制限されることが問題になったからだ。

57mmより口径の大きくなった種類の中隊支援砲は、一発の威力が増加した分57mmよりも発射速度が低下する事になった。

それによって面制圧能力が低下する事になったが、欧州で求められていた面制圧能力は、戦車や自走砲が担うことが帝国軍の方針であり、
御剣重工としても将来的には撃震・改修型が担うという構想であったため、必ずしも必要な能力ではなかったのだ。

俺はこの四種類のMk-57中隊支援砲に対して、57mmは欧州で使われている面制圧として運用し、76mm,90mm,105mmは87式支援突撃砲の変わりに
後衛から前衛を援護するための支援砲として運用する事を考えていた。

現在、アジアや帝国で戦術機の支援火器として主に使われている87式支援突撃砲は、87式突撃砲に専用バレルを取り付けた物であるため、
87式突撃砲と同じ36mm砲弾が使われている。

しかし、36mm砲弾では支援砲撃を行っても、命中した瞬間にBETAを行動不能にするほど威力がないのだ。

それを不満に思っていたところに配備されたMk-57中隊支援砲は、命中すればほぼ確実にBETAの動きを止める威力を有しており、
部隊の支援砲としても非常に有効な兵装であると考えられていたのだ。



この新しい編成と装備を試そうと提案した時、各隊員は新しいポジションと部隊連携の方針に戸惑う事になった。

今回編成された陣形は以下のようになっている。

ポジション
ベル1 御剣 信綱 臨時中尉  前衛→後衛   (突撃前衛装備→砲撃支援装備)
ベル2 武田 香具夜 少尉   後衛→後衛兼中衛(強行偵察装備→支援偵察装備)
ベル3 佐々木 浩二 少尉   前衛→前衛   (突撃前衛装備→突撃前衛装備)
ベル4 宮本 隆志 少尉    中衛→前衛   (迎撃後衛装備→強襲前衛装備)
ベル5              中衛→前衛   (強襲掃討装備→強襲前衛装備)
ベル6 竹下 少尉        後衛→前衛兼中衛(打撃支援装備→強襲掃討装備)

装備内容
突撃前衛 装備 87式突撃砲×1, 74式近接戦闘長刀×2, 65式近接戦闘短刀×2, 92式多目的追加装甲×1
強襲前衛 装備 87式突撃砲×2, 74式近接戦闘長刀×2, 65式近接戦闘短刀×2
強襲掃討 装備 Mk-57中隊支援砲(57mm砲弾)×1,87式突撃砲×2, 65式近接戦闘短刀×2
砲撃支援 装備 87式突撃砲×1, Mk-57中隊支援砲(90or105mm砲弾)×1, 74式近接戦闘長刀×1, 65式近接戦闘短刀×2
支援偵察 装備 Mk-57中隊支援砲(76or90mm砲弾)×1, レドーム×2, 情報処理用大型バックパック, 65式近接戦闘短刀×2

部隊陣形
         前
         ▲←ベル3(佐々木 少尉)
  ベル4→■   ▲←ベル5
ベル6→■  
         ● 
         ↑  ●←ベル1(御剣 臨時中尉)
     ベル2(武田 少尉)
         後



新しいポジションについては、精鋭が集められた部隊であった事と、近接格闘を苦にしない隊員が多くいた事も幸いし、
大きな問題にはならなかった。

問題になったのは、他の隊員が初めて後衛に徹することになった俺の実力を信用できず、動きが消極的になってしまうという事だった。

今までも守られる立場で有りながら、的確な援護射撃ができていた武田 少尉は、他の隊員から信頼されていたのだが、
いくら腕が良くても実績が無い俺は、完全な信頼を得ることが難しかったのだ。

しかし、連携訓練を繰り返す中で後衛の俺からも的確な援護が来ることが分かると、隊員はしだいに動きがよくなっていった。

また、俺と武田 少尉のエレメントも相性が良く、初めての連携においても不知火・支援偵察装備の護衛は、上手く機能していたのだった。

結果として一日の訓練で、今までで最も良い成績を残すことができていた。


「朝から見せ付けてくれたのは、エレメントの予行演習だったのか?」


訓練の後、佐々木 少尉はそう言って朝の出来事を蒸し返してきた。

佐々木 少尉の発言に合わせる様に他の隊員からも冷やかしの声が聞こえてくる。

しかし、その中には無理して明るく振舞おうとする雰囲気も感じ取ることが出来るのだった。

久しぶりの明るい話題に、無理にでも明るく振舞っているのだろうが、ネタの内容を考えるとネタにされる方としては、
たまったものではなかった。

俺はすかさず反論を行うことにしたのだった。


「佐々木さん、それはもうやめてもらえませんか?
 それに、佐々木さんが思っているような事はしていませんよ。」


「だが、ベッドで抱き合っていた事は事実だろ?」


「確かに、寝ぼけて武田さん押し倒しましたが、それ以上の事をするつもりはありませんでした。
 何しろ寝ぼけていたもので・・・。」


押し倒した後に一晩同じベッドで寝ることになったが、俺自身にはそれを実行しようとする意思が無かったので、
今の発言は嘘を言っているわけではなかった。


「御剣はそう言っているが、武田からは何か言う事は無いのか?」


「御剣がそういうのなら、そうなのじゃろう。」


どうやら、俺の発言に気に入らない部分があったようで、武田 少尉はそう言って不機嫌そうに顔をそらす事になった。

その顔を見た俺は、なんとも言えない罪悪感に駆られる事になった。


「皆さん、15:30よりブリーフィングを始めます。
 遅れないようにブリーフィング用車輌に集合してください。
 では!」


これ以上この場にいても墓穴を掘るだけだと判断した俺は、ブリーフィングを理由にその場から逃げ出すことにするのだった。








本日行われたブリーフィングにおいて、今日行った連携訓練についての分析が行われ、
ポジションと陣形の変更が有効に機能していたと判断される事になった。

そして、皆の賛同が得られた事で、しばらくこの編成で行くことが決定された。

次にブリーフィングで議題に上がったのが、機体の整備についての問題だった。

それについて、整備主任から現状の報告がされることになった。


「ロンド・ベル隊で運用している不知火は、今まで帝国軍から補修パーツが供給されていたのですが、
 長春防衛戦での損害により、帝国軍内でもパーツが不足している状況ですので、
 こちらに供給されてくるパーツも当然のように、減少しています。
 したがって、このまま行けば2ヶ月ほどで補修パーツが底を付くことになります。」


この発言を受け、俺はこの数日で考えていた計画を皆に通達することにした。

それは、独自に調達し6機分の補修パーツがあった不知火・斯衛軍仕様試験型のパーツを使い、前衛の不知火4機の補修を行うというものだった。

不知火・斯衛軍仕様試験型のパーツがここまで豊富にある理由は、この世で不知火・斯衛軍仕様試験型を運用するのが
ロンド・ベル隊だけであったからだ。

つまり、先の防衛戦にて不知火・斯衛軍仕様試験型は、御剣重工の倉庫に眠るプロトタイプを残すのみとなり、
完全に戦場から姿を消すことになったのだ。

そして、後衛の2機は残った不知火のパーツと前衛から外された消耗の少ないパーツを使って、補修を行うという計画だった。

不知火と不知火・斯衛軍仕様試験型のパーツには、ある程度の互換性が確保されていたが、単純に組み付けただけでは制御系に不具合が発生するため、
その部分の調整が必要である事が問題にあげられる事になった。

また、互換性が無いパーツは試験中隊にある工作機械を使って、追加の加工を施す必要があったのだ。

しかし、それ以外にパーツを調達する方法が無かったため、結局俺の計画がそのまま採用されることになった。

「次に、先日到着した新型管制ユニットに付いての説明に移りたいと思います。
 この新型管制ユニットは、次世代CPUの開発により既存のシステムを小型化し、
 空いたスペースに衛士の生存性を高める新機能を搭載する事に成功したもので・・・・・・。」

この後、数十分にも渡り新型管制ユニット開発主任から、新型管制ユニットとそれに伴う兵装と運用方法についての説明がされる事になるのだが、
それを要約すると以下の用になる。

次世代CPUの開発により、管制ユニットの小型化に成功。
          ↓
それにより、管制ユニットを完全ブロック化する事が可能になった。
          ↓
ブロック化により、独自の装甲を有することになった管制ユニットは、
装甲を爆薬で強制排除した後、管制ユニットに取り付けられたグリップをメインアームで掴むことにより、
戦術機で管制ユニットを容易に回収する事が出来るようになった。
更に、管制ユニットを稼動兵装担架システムに搭載することも可能で、
一機の戦術機が最大4人の衛士を管制ユニットごと救出することも可能である。

また、衛士救出用として戦術機の補助兵装に、小型可動兵装担架システムに装備できる小型のショットガンが新しく配備されており、
至近距離でも戦術機の装甲に殆どダメージを与えることが出来ない威力に作られたショットガンは、戦術機に群がる戦車級を効率的に
排除する事が可能になっていた。

そして、管制ユニットのブロック化は予備機があれば、管制ユニットを乗せ替えるだけで再出撃すら可能という、
整備に関しても劇的な変化をもたらす可能性すらあった。

開発主任は、この装備がいずれ全ての戦術機に採用されることになるだろうと熱く語った後、ようやく話を終えたのだった。


「え~と・・・、結論から言うと救出や整備が容易になっただけで、
 性能は上がっていないと考えていいのか?」


開発主任の長い説明に頭を痛くしていた隊員たちを代表して、佐々木 少尉が質問を行った。

それに対して、開発主任は先ほどの説明よりも熱く、その質問についての返答を返すことになる。

開発主任が熱くなった理由とは、ブロック化だけに留まらず新型管制ユニットには、
慣性力を低減するための機構を搭載することに成功していたからだった。

これは、他人の戦術機機動にあわせて、強制的に揺さぶられることになる救出された衛士のことを考え、搭載が検討されたものであったが、
予想以上の性能を見せ、通常の戦闘時にも衛士の負担を軽くすることに成功していたのだ。

それに着目した俺は、新型管制ユニットに搭乗制限を限定解除するショートカットコマンドを装備することを提案したのだ。

搭乗制限の解除はある意味ドーピングのようなもので、衛士と機体の負荷をかけることを引き換えに、
一時的ではあるが機体の性能を上げる事ができる設定だった。

それが、新型管制ユニットによる慣性力の軽減で、衛士の負担が緊急時に使う短時間なら十分許容できる範囲に収まると考えたのだ。

これにより新型管制ユニットは、機体側への負担も考え常に搭乗制限を限定解除を行う事出来なかったが、一回30秒間,
再使用に3分間のインターバルという制限が付くものの、ボタン一つで搭乗制限を限定解除し機体性能を10%押し上げる機能が
装備されることになった。

たかが10%の性能向上をたった30秒間だけで、何ができると思う人もいるかもしれないが、
この僅かな差が生死を分ける場面において重要になってくるのだ。

俺は新型管制ユニットの開発に携わった事もあたため、開発主任の熱い思いに大いに賛同していた。

そして、開発主任の熱い説明で武田さんに関する追求が逸れればいいなと、淡い期待を抱くのだった。




「信綱様、試験型のパーツの件は、よろしかったのですか?」


ブリーフィング終了後、御剣重工から派遣されていた整備担当者がそう話しかけてきた。


「俺の機体は、それほどガタはきていないはずだ。
 パーツ交換が必要の無い機体に試験型のパーツを取り付けるほど、整備員は暇では無いだろう。」


「・・・信綱様の戦い方が特殊なのです。
 普通なら消耗するパーツは、衛士によって偏りが生まれますが、全ての関節を満遍なく磨耗させているのは貴方だけですよ。
 このまま行けば、パーツを交換するより管制ユニットごと入れ替えた方が整備を楽に出来そうです。」


人間には利き腕があるため、戦術機のメインアームにも使用頻度の差が発生し、それが関節部の消耗が左右で異なっている原因になる。

そして、腕と同様に足にも左右で利き足と軸足という使い方の差が発生してしまう。

制御的に左右の差が無いように調整してはいるが、サイドステップの使用頻度が左右で異なることもあり、
左右の足で消耗する関節が異なる場合が多くなるのだ。

それに対して、騎乗(乗り者の乗り方やその能力・特性を理解できる能力)という特殊能力により、関節部の消耗がなんとなく分かる俺は、
それを調整し左右の関節部が同じように消耗させることが可能だった。

この乗り方自体は、直ぐに整備を受けられる状況ではアドバンテージになるものではないが、最前線であまり整備時間が取れない時などに、
大きな差となって出てくると考えたのだ。


「その言い方だと、素直に喜んでいいのか微妙な表現だな・・・。
 ともかく、前衛の整備を頼む。
 多少互換性があるとはいえ、残り1週間で4機の不知火に試験型のパーツを付けるのは骨だろう。」


ロンド・ベル隊に通達された予定では、10日後には前線行きとなっているため、実機訓練の時間も入れると整備には一週間しか使えない計算だったのだ。








長春防衛戦後、二週間の間機体整備と部隊連携の訓練を行ったロンド・ベルは、再び最前線での任務に従事することになった。

その任務は、主に戦車や自走砲などの支援兵器の退却時や、突出したBETA群に対して遅滞戦闘を行い、可能なら殲滅するというものだった。

この内容を見ると、ロンド・ベル隊には戦力を半減させる前と変わらない任務と負荷が、割り当てられた事に気が付く。

この事からも帝国軍及び各国軍が疲弊しており、半分に数を減らした中隊の戦力でも活用せざるおえない、今の窮状が伝わってくるのだ。

俺たちは度重なる要請に対して、現状の部隊にできる範囲で答えて行くことになる。

俺が執った部隊指揮の方法は、大まかな目標だけを指示するだけで細かな指揮は一切行わないというものだったが、
各隊員がBETA戦というものを理解しており、経験豊富であることもあったため、息のあった連携を見せる事になった。

個人の活躍としては、ワントップという重要な役目を担うことになった佐々木 少尉がその実力を遺憾なく発揮し、
前衛の経験が浅い隊員に対しては、武田 少尉がしっかりとカバーを行う事ができていた。

そして、俺は武田 少尉を守りながらも、部隊全員を見回し満遍なく援護を行うことになった。

俺と武田 少尉の後衛が的確な支援を行うことによって、背後を気にする必要がなくなった前衛は、
次第に水を得た魚のようにその実力を発揮することになる。

普段の俺は左で突撃砲を保持し、右の稼動兵装担架システムを動かして右の脇の間から前に持ってきた中隊支援砲を、
右手で保持するというスタイルで各隊員の援護を行っていた。

俺が中隊支援砲から放った砲弾は、ある時にはBETAの隙間を縫い光線級の照射粘膜を捉え、ある時には前衛に殴りかかろうとしていた
要撃級の腕を根元から吹きとばす事になった。


「中隊支援砲のこの威力・・・、なかなか使える。
 個人的には105mmの威力が魅力的だが、90mmの方が取り回しを考えると一般受けするかな?」


俺はこの中隊支援砲から放たれる砲弾の予想以上の威力に、突撃前衛として最前線で戦えなくなった不満を忘れるほど興奮する事になる。

しかし、順調であった部隊連携も光線級の出現に対しては、なかなか上手く機能していなかった。

少数の光線級なら中隊支援砲で対処できたが、数が多くなった時には戦車部隊や自走砲部隊などに砲撃支援を要請するしか手が無かったのだ。

そんな状況の中でも、少しずつ前衛部隊を連携させることで光線級を撃破する事ができるようになっていった。

そしてこの事を切掛けにロンド・ベル隊員は、空へ跳び上がる事への恐怖を克服し、第3世代機とEXAMシステムの相乗効果により可能となった、
三次元機動の基礎を身に付ける事になった。

前衛部隊が安定したことで、俺が単機でBETAに突撃する機会は、次第に減って行くことになる。

ただし、完全に前衛というポジションから離れた訳ではなかった。

部隊が包囲されそうな状況に陥った場合に限り、部隊の指揮を武田 少尉に任せ俺が先頭に立つ陣形に移行する場合があったのだ。

この陣形により、ロンド・ベル隊は総合的な力が低下する変わりに突破力を最大化させ、BETA群の真只中を突破する事すら可能になるのだった。








こうしていくつもの激戦を潜り抜けていったが、所詮中隊の半分しかない人数のロンド・ベル隊では、戦況を変える力があるはずも無かった。

そして、ついにピョンヤンが陥落し、人類は朝鮮半島の半ばまで押し込まれることになる。

各国軍の奮闘もむなしく、韓国領に鉄原ハイヴ(20番目のハイヴ)の建設が確認された時、朝鮮半島に住む者達から発せられた絶望の声を、
俺たちは胸を締め付けられる思いで聞くことになるのだった。

こうした状況の中において、帝国内からは前線でも不足している不知火を、国内のある基地に集中配備したという情報が、
不知火の生産に携わっている御剣重工の裏情報として伝わってきた。

この情報により俺は、帝国が招致し香月 夕呼 博士が総責任者を務めるオルタネイティヴ第4計画の実働部隊として、
A-01連隊が発足した事を察知することになった。

また、御剣商事からも宇宙への不自然な物資の輸送があるとの報告を受けていた。

俺はこの事に、いよいよ対BETA戦における運命の分かれ道が近づいている事を実感するのだった。




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コメント

皆様、いつもご感想ありがとうございます。
だんだん投稿が遅くなってきましたが、仕事に支障が出ない範囲で頑張りたいと思っています。


この話の始めのエピソードは、朝起きてプロットに書き加えたものだったのですが、
その日の夜に改めてみてみると、原作のオープニングに似ている事に気が付きました。

今回は原作のエピソードでしたが、この間まで私が読む専門だった事を考えると、
いつか無意識のうちに他の作者様のネタを使ってしまうのではと、心配になってきました。

今のところ、怪しいエピソードは無いと思っているのですが・・・。


そして今回は、色々な装備を登場させました。
中隊支援砲は調べている間に、日本で標準口径である57mmが使われている形跡が無いことに
気が付いてしまいました。
無視してもよかったのですが、中隊支援砲が他の種類の口径に対応していることや、
あまり多くの種類の砲弾を使用したくなかった事もあり、76mmを使用する事に設定しました。

もし、57mmも日本で使われているという情報を持っている方がいらっしゃれば、
感想板に書き込んでいただけたら幸いです。


修正により、中隊支援砲の口径を4種類に変更いたしました。

これらの兵器を上手く活用して、BETAと戦って行こうと思っていますが、
部隊の人数を減らした事や、性能のいい方の機体を全滅させた事を今更ながら後悔しています。
このままでは、まったく活躍できずに戦場で埋もれてしまいそうです。
さて・・・、どうしましょうか。



返信

前回登場した多足歩行型の戦術機(撃震・改修型)が、思っていた以上に受け入れられて
大変嬉しく思います。

私はあまりACをやったことがないので、多脚型で思い浮かぶのがFMの機体になってしまいます。
また、この多足歩行型戦術機はゾイド程激しく動きませんが、その代わりに四基の跳躍ユニットで
通常の戦術機同様 長距離の跳躍が出来ます。
そのうち、戦闘シーンでも出てくると思いますので、その時に多脚型の火力と装甲,機動力を生かした
表現が上手く書けたらいいなと思っています。

その他にも多くの感想をいただきましたが、その事については今のところ検討中であります。
二話以上先は私にも分からないため、検討が終了するか本編で採用した時点で、
返信をさせていただきたいと思います。


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