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No.16427の一覧
[0] 【習作】 マブラヴ オルタネイティヴ~我は御剣なり~(現実→オリジナル主人公・チート気味)[あぁ春が一番](2012/08/13 20:03)
[1] 本作歴史年表[あぁ春が一番](2011/07/11 21:36)
[2] 戦術機設定集(簡易)[あぁ春が一番](2011/08/15 13:48)
[3] 兵装・その他の装備設定集(簡易)[あぁ春が一番](2011/08/15 13:47)
[5] プロローグ[あぁ春が一番](2010/03/08 18:31)
[6] 第01話[あぁ春が一番](2010/06/06 12:15)
[7] 第02話[あぁ春が一番](2010/06/06 12:20)
[8] 第03話[あぁ春が一番](2010/07/10 09:03)
[9] 第04話[あぁ春が一番](2010/11/05 00:07)
[10] 第05話[あぁ春が一番](2010/11/05 00:24)
[11] 第06話[あぁ春が一番](2010/11/05 00:35)
[12] 第07話[あぁ春が一番](2010/11/05 00:45)
[13] 第08話[あぁ春が一番](2010/11/06 23:42)
[14] 第09話[あぁ春が一番](2011/01/27 22:47)
[15] 第10話[あぁ春が一番](2011/04/20 00:59)
[16] 第11話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:17)
[17] 第12話[あぁ春が一番](2010/11/07 22:29)
[18] 第13話[あぁ春が一番](2010/11/07 23:04)
[19] 第14話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:19)
[20] 第15話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:49)
[21] 第16話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:22)
[22] 第17話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:23)
[23] 第18話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:24)
[24] 第19話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:29)
[25] 第20話[あぁ春が一番](2010/11/10 00:41)
[26] 第21話[あぁ春が一番](2010/11/11 00:05)
[27] 第22話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:50)
[28] 第23話[あぁ春が一番](2010/11/11 23:29)
[29] 第24話[あぁ春が一番](2010/12/12 15:48)
[30] 第25話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:51)
[31] 第26話[あぁ春が一番](2010/12/12 15:48)
[32] 第27話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:51)
[33] 第28話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:52)
[34] 第29話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:53)
[35] 第30話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:53)
[36] 第31話[あぁ春が一番](2011/05/15 01:42)
[37] 第32話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:54)
[38] 第33話[あぁ春が一番](2011/05/25 00:04)
[39] 第34話[あぁ春が一番](2011/05/25 00:05)
[40] 第35話[あぁ春が一番](2011/05/25 00:05)
[41] 第36話[あぁ春が一番](2011/07/11 21:25)
[42] 第37話[あぁ春が一番](2011/08/15 13:46)
[43] 第38話[あぁ春が一番](2011/10/24 00:46)
[44] 外伝 TE編・上[あぁ春が一番](2012/07/23 11:57)
[45] 外伝 TE編・中[あぁ春が一番](2012/08/13 20:03)
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[16427] 戦術機設定集(簡易)
Name: あぁ春が一番◆17cd7d65 ID:bc6cc51c 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/08/15 13:48
戦術機設定集(簡易)

戦術機設定集は、この作品のオリジナル設定を確認するためにまとめていた資料の一部です。
設定が分からなくなった時の確認用としてご使用下さい。
また、必要最低限の情報にまとめていますが、多くのネタバレを含みますので、初見の方はご注意下さい。
なお、話の進行よりも改定が遅れる場合があると思いますが、ご容赦下さい。



設定カバー話数:第01話~第37話

目次

1-1  F-4『ファントム』
1-2  F-4J/77式戦術歩行戦闘機『撃震』
1-3  F-4J改/82式戦術歩行戦闘機『瑞鶴』
1-4  F/A-4J-E/98式戦術歩行攻撃機『鞍馬』
1-4-a F/A-4J-E(FS)/98式戦術歩行攻撃機『鞍馬・支援装備』
1-4-b F/A-4J-E(I)/98式戦術歩行攻撃機『鞍馬・迎撃装備』
1-4-c F/A-4J-E(C)/98式戦術歩行攻撃機『鞍馬・輸送装備』
1-4-d F/A-4J改-E/??式戦術歩行攻撃機『鞍馬型瑞鶴(仮)』
1-5-a F-4JF/98式戦術歩行戦闘機『烈震』
1-5-b F-4F『スーパーファントム』

2-1  F-15J/86式戦術歩行戦闘機『陽炎』

3-1  TSF-TYPE92-B/92式戦術歩行戦闘機『不知火』
3-1-a TSF-TYPE92-B(R)/92式戦術歩行戦闘機『不知火・強行偵察/支援偵察装備』
3-1-b TSF-TYPE92-C/92式戦術歩行戦闘機『不知火改』
3-2  TSF-TYPE92-1B/92式戦術歩行戦闘機『不知火壱型乙』
3-3-a TSF-TYPE92-2A/92式戦術歩行戦闘機『不知火弐型(甲)/先行試作不知火弐型』
3-3-b TSF-TYPE92-2B/92式戦術歩行戦闘機『不知火弐型(乙)』
3-3-c 『不知火弐型(丙)/技術試験用不知火弐型』
3-4  『試作型武御雷』

4-1  TSF-TYPE93-B/93式戦術歩行戦闘機『吹雪』
4-1-a TSF-TYPE93-B(R)/93式戦術歩行戦闘機『吹雪・強行偵察/支援偵察装備』
4-1-b TSF-TYPE93-N/93式戦術歩行戦闘機『吹雪・海軍仕様』
4-1-c TSF-TYPE93-A/93式戦術歩行高等練習機『吹雪・高等練習仕様』
4-1-d TSF-TYPE93-C/戦術歩行試作戦闘機『吹雪改(仮)』
4-1-e 『吹雪・国際標準仕様(仮)』
4-1-f 『吹雪・国際標準仕様改(仮)』

5-1  YF-23『ブラックウィドウⅡ』

6-1  『試作型八咫烏』



登場機体

1-1
F-4『ファントム』(第1世代機)
 F-4E『ファントム』(第1.5世代機)

1974年米軍に制式採用された人類初の戦術機。
1997年、開発元であったマクダエル・ドグラム社が御剣重工とボーニング社に買収された際、
既に米国での生産が終了し、米軍でも全機が退役しているため、ファントムのライセンスは御剣重工が所有する事になった。
1998年から生産拠点をオーストラリアに移し、アビオニクスの刷新と装甲材の軽量化、跳躍ユニットのエンジン換装により、
準第2世代の性能が付与された改良型であるF-4Eが、主にアジアやアフリカ地域への供給されている。

1-2
F-4J/77式戦術歩行戦闘機『撃震』(第1世代機)
 →後期生産EXAMシステムver.1搭載型『撃震』(第1.5世代機)
 
1977年に帝国軍で実戦配備が開始された、F-4 ファントムの日本向け改修機。
1998年時点で、撃震の生産は補修部品の生産がメインになっており主力量産機の座を吹雪に譲っているが、
依然として帝国軍が保有する戦術機全体の57%を占める主力戦術機である。
近代化改修によって第二世代機と同等の性能を確保する予定だったが、吹雪の制式採用で撃震へ配分される予算が削減されたため、
撃震のハード面からの改良が一部凍結される事になった。
その結果、近代化改修を受けた撃震は第二世代機に迫る性能に留まっている。
ただし、撃震の30%に導入されたEXAMシステムver.1により、一部の性能で第二世代機を上回る事になった。

1998年、BETAの本土侵攻以降の消耗とF-4JF/TSF-TYPE98/98式戦術歩行戦闘機『烈震』烈震の制式採用により、
撃震は2000年中に、全機が烈震もしくは吹雪に置き換えられる事が決定する。
1999年、明星作戦に参加する大東亜連合へ、若干の調整が加えられたEXAMシステムver.1搭載型撃震が供給された。
主な理由は、帝国内だけでは衛士の供給が追いつかない事とされている。
ハード面ではF-4Eに劣っているとされた撃震だったが、生み出す戦果がF-4Eに劣らない事を目の当たりにした各国は、
日本帝国が有する技術力の高さを大きく評価する事になった。
烈震の登場後、帝国軍内で全機が置き換えられる事が決定した撃震だったが、退役後も輸出や鞍馬への改修が行われており、
今後も活躍が期待される戦術機である。


1-3
F-4J改/82式戦術歩行戦闘機『瑞鶴』(第1.5世代機)
 →後期生産EXAMシステムver.2搭載型『瑞鶴』(第2世代機)

1982年に斯衛軍で配備が開始された撃震の改造機。
1996年に斯衛軍で制式採用された不知火・壱型乙の出現によって、生産数が縮小されている。
制式採用後、撃震と同様に装甲の軽量化・アビオニクスの刷新・小型可動兵装担架システム・対レーザー蒸散塗膜加工装甲の導入などの近代化改修が行われ、
CPU換装管制ユニット+ EXAMシステムver.2が導入された瑞鶴は、第2.5世代機とも戦える機体となった。


1-4
F/A-4J-E/98式戦術歩行攻撃機『鞍馬』(第1世代機)
 開発時の名称:『撃震・改修型』

1998年に、帝国軍に制式採用された撃震の改修機。
1994年から御剣重工により極秘裏に改修計画が進められ、1997年先進戦術機技術開発計画 通称「プロミネンス計画」に日本帝国が参加した際に、
初めて公にされる事になった。
1998年、朝鮮半島撤退作戦(通称:光州作戦)に参加した鞍馬(当時:撃震・改修型)を運用する第03独立戦術機甲試験大隊が大きな戦果をあげた事で、
国内外から注目が集まっている。
その後の日本帝国本土防衛戦でも活躍を見せ、国内での配備が急がれる事になった。
1999年、明星作戦に参加する大東亜連合へ、若干の調整が加えられた鞍馬が、F/A-4J-E『クラマ』として供給を開始された。
同年、欧州連合への試験導入も開始される。
型式番号のEは、馬の学名である『Equus caballus(ラテン語名:エクゥウス・カバッルス)』から付けられた。

この機体は、フェイアチルド・リムパリック社(米)が開発した戦術歩行攻撃機A-10『サンダーボルトⅡ』を意識して開発された機体である。
鞍馬は、サンダーボルトⅡを上回る火力と機動力を確保する事を目標に計画されていたが、
早い段階から二足歩行ではそれを実現することが難しいと考えられていた。
そのため鞍馬は、前部ユニットになる撃震の臀部に、新しく作られた動体ユニットと撃震の下半身がセットになった後部ユニットが
取り付けられ、二足歩行から四足歩行へと形態を変化させる事になった。
その外観は、ギリシャ神話にでてくる上半身が人で下半身が馬の姿をしたケンタウロスを彷彿とさせるものとなっている。

四足歩行への改修は、強力になった火力の反動を二足歩行では支えられないと判断されたため導入されたものであったが、
結果として四基の跳躍ユニットが第3世代機に迫る機動力を生み出すし、四速歩行により主脚歩行時の振動が低減されることになった。
主脚歩行時の振動低減により必要な衛士適正が低くおさえられたため、衛士適正ではじかれて戦車兵になった者や、
年齢で予備役に入ったものも搭乗できる可能性が出てくることになる。
ただし、四足歩行の欠点とされたのが、旋回性能及び運動性の低さと整備性・輸送等の運用面での問題であった。
旋回性能及び運動性の低下については、対戦術機戦ではいい的になるだけだと評価を受けることになったが、
その点はサンダーボルトⅡも同様であり、むしろ第三世代機に負けない前進速度と反応速度により、
正しい運用方法を行えばサンダーボルトⅡよりも使い易いとも考えられた。

鞍馬には、戦車部隊に随伴し護衛と戦術機への支援を行うための支援装備と、拠点防衛や戦術機部隊に随伴し支援を行う迎撃装備がある。
いずれの装備にも共通するのは、サンダーボルトにも搭載されているガトリング砲(GAU-8)二門である。
また、メインアームは完全にフリーになっているため、戦術機の装備をそのまま装備ができる。
近接武器には、撃震と同様に装備されているナイフシースに搭載されている65式接近戦闘短刀で対応するとされているが、
その他にも前面装甲に施された反応装甲を爆破することでクレイモアのように散弾をばら撒く事ができる追加装甲が装備されている。
しかし、基本的には近接武器を使用する距離までBETAに接近される前に、退却する事が想定されている。
またその仕様や、四足歩行の制御の難しさから管制ユニットは複座のみを採用することになった。

帝国軍のF-4JF/98式戦術歩行戦闘機『烈震』制式採用後は、F-4J/77式戦術歩行戦闘機『撃震』の部品比率を徐々に烈震へ変更し、
機体の強化を図っている。


1-4-a
F/A-4J-E(FS)/98式戦術歩行攻撃機『鞍馬・支援装備』
支援を英語ではFighter Supporterとされ、略称にFSを用いる。
装備 GAU-8 Avenger(ガトリング砲)×2(予備弾倉×2),OTT62口径76㎜単装砲×1


1-4-b
F/A-4J-E(I)/98式戦術歩行攻撃機『鞍馬・迎撃装備』
英語で迎撃を表すInterceptorの頭文字Iを用いる。
装備 GAU-8 Avenger(ガトリング砲)×2(予備弾倉×4),30連装ロケット弾発射機×2
馬の背中にあたる部分に、GAU-8の予備弾倉と30連装ロケット弾発射機が搭載されている仕様である。
これにより予備弾倉分まで全て使用すると、GAU-8は一度の戦闘で砲身の寿命をむかえるまで砲撃が可能となると計算されている。


1-4-c
F/A-4J-E(C)/98式戦術歩行攻撃機『鞍馬・輸送装備』
英語で輸送を意味するCargoの頭文字Cを用いる。
大型のコンテナを装備し、兵装は通常の戦術機が主腕(メインアーム)に装備する事の出来るものだけである。
緊急時、前線に展開する戦術機に物資を届けることを目的としている。
また、ハイヴ内での物資輸送という任務でも、その性能が注目されている。


1-4-d
F/A-4J改-E/??式戦術歩行攻撃機『鞍馬型瑞鶴(仮)』
1999年、瑞鶴を高機動・高火力化した機体として、鞍馬の機構を採用した瑞鶴の開発を開始。
鞍馬の仕様に対して、単座,高い近接格闘能力が加えられており、その仕様を満足させる為に、
『コンボ』機能を有するEXAMシステムver.3を標準搭載する方向で、計画が進行中。
多くの新機軸を盛り込んだ事で、開発コストが上昇する懸念がある。

この計画は裏でいくつかの憶測が飛び交うことになったが、
瑞鶴を長年使ってきた将校が酒の席で『俺の考えた最強の瑞鶴』を披露した所、なぜかその話が城内省へ行き、
鞍馬導入を真面目に検討した斯衛軍の企画書もほぼ同時期に城内省へ出されていた為、その両方を見た役人が、
『上手く合わせれば、両方の要望を満足させられるし、予算も増える』と考えてしまった事で起きた、
偶然の産物だった。

斯衛軍での最大運用数は2個大隊程度になると目されているが、帝国軍内にも鞍馬の単座仕様を望む声があるため、
何処まで生産数が伸びるかは未知数である。



1-5-a
F-4JF/98式戦術歩行戦闘機『烈震』(第2.5世代機)
 開発時の名称:F-4JX『撃震改(仮)』

1998年に光菱重工が提案した撃震近代化計画により作られた機体で、開発完了と同時期に本土防衛戦で消耗した帝国軍によって、
制式採用される事になった。
1999・2000年の帝国軍における最多調達機種は、烈震となった。
2001年以降は、調達数が削減される予定である。

撃震近代化計画とは、EXAMシステムver.1搭載型の撃震と、撃震の改修機である瑞鶴のEXAMシステムver.2搭載型が想定以上の性能を示した事により、
撃震を第三世代機に準じた装備にし、EXAMシステムver.2を搭載するという計画である。
OBLと電子装備(アビオニクス)が刷新されEXAMシステムver.2を搭載した撃震は、2.5世代機クラスの性能を発揮すると試算されていたのだが、
これらの改修によって製造コストが上昇した撃震は、現行の主力生産機である吹雪と比較すると、開発するほどのメリットがあるか疑問視されていた。

帝国軍の支援を受ける事ができなかった光菱重工は、EXAMシステムを開発した御剣電気と撃震(F-4J)のライセンスもとである
御剣重工(マクダエル・ドグラム社の一部吸収合併)に支援を求める事になった。
それに対して御剣側は、撃震の基であるF-4『ファントム』がアビオニクスの近代化と装甲の軽量化、
跳躍ユニットの強化によって準第2世代まで引き上げられたE型が現在でもアフリカ戦線等で運用されている事や、
第3世代機を導入する余力がない国にとっては、導入コストも低く抑えられる計画である事から、輸出用とする事を前提に開発に協力する事になる。

しかし、1998年から始まったBETAの日本本土への侵攻で、戦術機の欠乏に喘いだ帝国軍に98式戦術歩行戦闘機『烈震』として、
制式採用される事になる。


1-5-b
F-4F『スーパーファントム』(第2世代機)
1999年、EXAMシステムver.1搭載型のF-4JF/98式戦術歩行戦闘機『烈震』をE型の上位機種として、JFE社より海外販売が開始された。
主な輸出先は大東亜連合だが、供給数はコストの問題ゆえか帝国軍から退役後、定期修理(アイラン)された撃震に負けているのが実情である。



2-1
F-15J/86式戦術歩行戦闘機『陽炎』(第2世代機)

1986年に帝国軍に制式採用された戦術機。
1999年にEXAMシステムver.1搭載型陽炎(一部の機体は管制ユニットを交換してver.2からver.1へダウングレードされている)が、
明星作戦に参加する国連軍へ譲渡され、帝国軍内で陽炎を運用する部隊は消滅することになった。

1986年当時、マクダエル・ドラグム社が欧州に対してF-15 イーグルの輸出攻勢を行っている情報を入手した御剣財閥がライセンス生産を持ちかけ、
接近戦闘能力を強化し伝送系を全て御剣電気製に交換した、日本向けのイーグル改修機である。
御剣重工がイーグルのライセンス権を獲得したという話を聞きつけた帝国国防省は、
順調なイーグルの改修と進まぬ次世代戦術機開発プロジェクトの事を考慮し、帝国国防省は御剣重工のイーグル改修機を陽炎(仮)として、
12機を技術検証を目的に試験導入する事を決定した。

その後、マクダエル・ドラグム社からの要請とアメリカ政府からの日本帝国政府への圧力もあり、陽炎(仮)の本格量産の話が持ち上がる事になる。
その話は、当然のことながら次世代戦術機の開発を行っていた他の企業(富嶽重工、光菱重工、河崎重工)からの猛烈な反発にあい、
日本帝国政府内も米国派と国産派に分かれて対立する事となった。
そんな中、1986年8月18日 日米合同演習にてF-4J改 瑞鶴とF-15C イーグルのDACT(異機種間戦闘訓練)が行われ、
巌谷大尉が乗る瑞鶴がイーグルに勝利するという驚くべき結果がもたらされる。
結局、陽炎(仮)は86式戦術歩行戦闘機 陽炎として制式採用するものの、最大100機までの限定生産とする事と、
陽炎で第二世代戦術機の生産・改修技術を確保した、御剣重工と御剣電気が日本帝国の次世代戦術機開発プロジェクトに参加する事になった。

世界的には、幅広く採用された最強の第二世代機と言われるイーグルだったが、日本帝国ではあまり広がる事はなかった。
ただし、不知火・吹雪が制式採用されるまでの間に、現場からの要求を断りきれなかった結果、総調達数は100機を越える結果となっている。
1998年時点で陽炎は、30%がCPU換装管制ユニット+ EXAMシステムver.2,70%が第三世代機用CPU+EXAMシステムver.1の改修が施されている。
これによりEXAMシステムver.2搭載の陽炎は、F-15E ストライク・イーグルに匹敵する性能を有する事になった。



3-1
TSF-TYPE92-B/92式戦術歩行戦闘機『不知火』(第3世代機)
 先行試作時の名称:TSF-TYPE92-A『不知火・先行量産型』

1992年に、帝国軍に制式採用された戦術機。
不知火の開発には、富嶽重工,光菱重工,河崎重工,御剣重工の四社が参加している。
1991年に吹雪とトライアルが行われ、機体性能は吹雪に勝っていると評価されたが、
帝国軍の仕様要求を満たすために突き詰められた設計がされていたため、量産機としては生産コストが高くなった。
これを受けて、撃震に変わる主力量産機の座を吹雪に譲り渡す事になる。

原作に比べ、内蔵式カーボンブレード,小型可動兵装担架システムが搭載された事で、汎用性が増している。
ちなみに、先行量産型は上記の二つの装備が無いため、外観からも見分ける事が可能である。
EXAMシステムが導入された不知火は、EXAMの特性によりフレーム及び関節の消耗が激しくなる事が報告され、問題となっている。


3-1-a
TSF-TYPE92-B(R)/92式戦術歩行戦闘機『不知火・強行偵察/支援偵察装備』

偵察を意味するReconnaissanceの頭文字を意味する。
主に、試験部隊の情報収集とCPの役割を担うために、特別なユニットが取り付けられた機体である。
不知火の両肩に大型のレドームが、可動兵装担架システムには情報処理装置として大型のバックパックが装備されている。
これにより、各機体のセンサーから得られたデータを収集し、そのデータを持ち帰る事が可能となり、
他の機体はデータ収集のために余計な負荷をCPUにかける必要が無くなった。
また、腰部にある小型可動兵装担架システムには小型ドロップタンクが装備され、稼働時間の延長が図られている。

武装
強行偵察 装備 87式突撃砲×1(36mm/ガンカメラ・予備弾倉4),レドーム×2,情報処理用大型バックパック,65式近接戦闘短刀×2,92式多目的追加装甲×1
支援偵察 装備 Mk-57中隊支援砲×1,レドーム×2,情報処理用大型バックパック,65式近接戦闘短刀×2


3-1-b
TSF-TYPE92-C/92式戦術歩行戦闘機『不知火改』

92式戦術歩行戦闘機『不知火』を強化するために、新型機である弐型のパーツが一部導入された機体。
現在配備されている不知火を、比較的容易に強化出来ると言う企業側の提案で実験が行われていた。
1999年時点では、富士教導隊に代表される複数の精鋭部隊にて運用中である。
99式戦術歩行戦闘機『不知火弐型』の制式採用に合わせて、こちらも制式な改修機として登録されている。
帝国軍の不知火は、機体の定期修理(アイラン)時に、全機不知火改への改修が決定している。
また、斯衛軍から帝国軍へ移管された不知火壱型乙も同様の扱いとなる。

その仕様は、不知火弐型の下半身との置き換えと98式管制ユニットが標準装備としたものとなっている。
今までの不知火にはなかった、腰部装甲ブロックへの小型推力偏向スラスターの搭載によって癖のある機体となっていたが、
実戦経験を多く積み戦術機の操縦に余裕が生まれているベテラン衛士にとっては、大きな障害とはならないというデータもある。
また、脛・膝・足の甲・踵部の外装にスーパーカーボン製ブレードが装備された事で、近接格闘能力も向上している。


3-2
TSF-TYPE92-1B/92式戦術歩行戦闘機『不知火壱型乙』(第3世代機)
 先行試作時の名称:TSF-TYPE92-1A『不知火・斯衛軍仕様試験型(壱型甲)』

1996年に不知火・壱型乙として、斯衛軍に制式採用される。
斯衛軍専用ならTSF-TYPE96とし、不知火とは別名を与えられるべきだが、事実上斯衛軍専用機となっているものの、
形式的には通常の量産機となっている。
1Aとなっているのは、城内省のせめてもの抵抗であるとも考えられている。
1995年より不知火・斯衛軍仕様試験型の実戦テストが行われ始める。
1992年より、帝国軍で制式採用された不知火・吹雪は、その性能により帝国軍の中で高い評価を得ていた。
しかし、吹雪に量産機の座を奪われた形となった不知火を開発した、御剣重工以外の三社(富岳重工,光菱重工,河崎重工)は、
不知火の生産台数を増やすために斯衛軍に不知火を採用するよう、強力な働きかけを行うことになる。
斯衛軍を管轄する城内省は、瑞鶴の後継機としてまった別の戦術機を開発する事を計画していたが、
帝国議会が早急に瑞鶴に変わる機体を求めた事や、様々な方面からの説得を受け、不知火の改修機を採用する事が決定された。
1999年、本土防衛戦・明星作戦と続いた戦力の喪失に喘ぐ帝国軍から、不知火弐型の配備優先権を斯衛軍へ譲渡する事と予算を引き換えに、
衛士付で不知火・壱型乙 一個連隊の譲渡を打診された斯衛軍は、不知火弐型の制式採用と不知火・壱型乙の譲渡を決定した。
その後、有力武家出身ではない衛士と一般衛士へ配備されていた不知火・壱型乙が帝国軍へ移管され、
山吹以上の色を持つ少数の不知火壱型乙のみが、新型戦術機の配備と生産が安定するまで維持する事となった。

斯衛軍の仕様要求は、帝国軍以上に難しいものだったが3年の時間をかけ、その要求を全て満たす事に成功する。
その機体性能は、総合的な能力で不知火を上回るものになり、接近格闘能力では不知火を圧倒するまでになっていた。
ただし、増設されたバッテリー及び燃料タンクでも稼働時間の低下を補うことはできず、
統計的に見て稼働時間が不知火の80%ほどになってしまう問題点もある。
さらに、大幅な製造コストの上昇と整備性の悪さや、高い衛士適正を必要とする点も問題とされたため、
導入された時点では少数精鋭の斯衛軍くらいしか運用する事ができない機体となっている。
(原作の不知火・壱型丙と武御雷の中間のような機体、その性能は原作武御雷よりも劣っている。)
瑞鶴と同様に機体の仕様により、Type-92-1BRの紫(将軍専用機)と青(五摂家用),Type-92-1BFの赤(五摂家に近い有力武家用)と黄(譜代武家用),
Type-92-1BAの白(武家用),Type-92-1BCの黒(武家以外の一般衛士用)に分けられている。

余談だが不知火・斯衛軍仕様試験型のデータにより、対レーザー蒸散塗膜加工装甲の有効性が証明され、
機体EXAMシステム搭載を前提とした機体開発の必要性が判明するなど、多くのデータが収集され新型機の開発に反映される事になった。
また、不知火で問題になったフレーム及び関節の消耗は、強化されたフレーム・関節と十分な整備が受けられる環境である事から、
問題となっていない。


3-3-a
TSF-TYPE92-2A/92式戦術歩行戦闘機『不知火弐型(甲)/先行試作不知火弐型』

1999年に、帝国軍に制式採用された戦術機の先行試作型。
1998年に実機テストが開始される事になった、不知火を全面改修する事により次期量産機を開発すると言う計画により、開発された機体である。
この計画には、不知火の開発に携わっていた富嶽重工,光菱重工,河崎重工,御剣重工の四社が引き続き参加している。

不知火は、EXAMシステムの導入という想定外の出来事があったとはいえ、僅か5年で再設計を行う必要が出るほど、拡張性が確保されていなかった。
そのため不知火の改修計画では、実に不知火の60%を再設計する程の見直しが行われ、
今後10年以上現役で使う事が可能なように拡張性が確保される事になった。
またそれと同時に、不知火開発から積み重ねた六年間の技術と各国の戦術機のデータを元に改良が加えられ、不知火は正常進化する事になった。
似たような事例で、米国においてF-15CイーグルをF-15Eストライクイーグルに改修したというものがあるが、
基礎構造が優秀だったイーグルの改修とは異なり、開発する余裕が残されていない不知火の改修は、メインフレームの検討から行われる事になった。
メインフレームから検討するという改修案に、一から新型機を開発したほうが良いのではないかと企業側が提案したが、
不知火・吹雪の実戦での運用が良好だった事と、導入・運用コスト削減の為に不知火・吹雪との互換性を確保したいという軍の要望に応えることになる。
不知火・斯衛軍仕様試験型 後の不知火壱型乙で初めて実装され、実戦証明を行ったEXAMシステムver.2が大きな戦果をあげた事を受け、
急遽ver.2搭載を前提に設計が行われる事になり、不知火の改修機だった弐型はEXAMシステム対応のテストベッドとしての側面も持つ事になる。
EXAMシステム搭載の決まった段階で弐型の開発はかなり進んでいたが、修正できる範囲でEXAM特有の急激な機動変化により発生するフレーム及び、
関節部の負荷を考慮した設計がされる事になった。

この計画により不知火弐型は、機体性能が不知火・壱型乙高機動仕様と同等で、
量産が開始されれば不知火の二割増し程度のコストまで圧縮できるとされている。
また、本土防衛戦が近づく1998年時点で最も重視されていた不知火系統三種類の強化は、
この機体で使われているモジュールの一部を搭載する事で行われる予定となっている。
このように、一見成功しているように見える弐型であるが、試作型の段階で連続稼働時間が不知火と同等である事に対し、
一部の現場に近い衛士から更なる延長を求める声が上がっているなど、問題点も指摘されている。
1998年7月時点で、不知火弐型の試験結果は、良好なデータを残しており、優秀な機体である事が伺える。
一部の情報では、斯衛軍も採用する可能性があるという噂もある。

先行試作不知火弐型の仕様は以下のようになっている。

メインフレーム及び関節部の強化:
メインフレーム及び関節部を再設計した事により、今後も機体各部に新たな装備を追加できる余裕が確保された。
また、高められた強度によりEXAMシステムver.2の機動でも、十分に実戦を戦い抜ける耐久力が確保された。

機動力の向上:
主機・跳躍ユニットの出力を上げると同時に、空気抵抗を低減するために装甲形状が変更された。
これにより、最高速度・巡航速度共に上昇する事になった。

運動性の向上:
YF-23 ブラックウィドウⅡを参考に、腰部装甲ブロックへ小型の推力偏向スラスターが搭載され、
肩部にはJ-10 殲撃10型を意識した複数の噴出口を持つ、大型の推力偏向スラスターを搭載する事になった。
また、肩部の大型の推力偏向スラスターは下方や後方の噴出口から推力を取り出す事で、跳躍ユニットの補助としての役割を果たし、
機動力の向上や跳躍ユニットが一基1機破損しても跳躍が可能となる等、運動性の向上以外にも様々な部分に影響を与えている。
更に、頭部や肩部に空力機特性を改善するためにカナードが追加され、ナイフシースも大型化する事になった。

近接格闘能力の向上:
不知火・壱型乙で採用された、ナイフシースの外装カバーと脛部分のスーパーカーボン製ブレード以外にも、膝・足の甲・踵部の外装に
ブレード機能が施された。

可動兵装担架システムの増設:
YF-23 ブラックウィドウⅡを参考に、今まで小型可動兵装担架システムと併せて2+1個だった可動兵装担架システムを、4+1個に増設する事になった。
肩部に増設された2つの可動兵装担架システムは、87式突撃砲程度の重量を搭載するのが限界であったが、
突撃砲を多く装備できるだけでも大きなメリットが有った。

電子装備(アビオニクス)の強化:
頭部に搭載された、新型アクティブレーダーやデータ通信装備の増設により、目標の捕捉能力と部隊内の連携能力が向上した。

98式管制ユニットの標準装備:
EXAMシステムver.2を標準装備する98式管制ユニットを採用する事で、機体性能の向上を図ると同時に衛士の安全性を確保した。
また98式管制ユニットには、ボタン一つの操作で搭乗制限を30秒間限定解除し、機体性能を10%押し上げる通称『フラッシュモード』が搭載されている。
フラッシュモードは主に緊急時の対応に使う事を想定されており、再使用に3分間のインターバルが必要という制限が付く。

汎用性と稼働率の向上:
機体各部をモジュール化を進めたことで、補給・整備が迅速に行えるようになったため、大幅な汎用性と稼働率の上昇が見込まれている。

オプションパーツの装備:
機体各部のモジュール化により、各種オプションパーツを取り付けることが可能になった。

稼働時間の確保:
フレーム強化と拡張性の確保、バッテリー、燃料タンクの増設により、機体がやや大型化(太くなっている)している。
ただし、それ以上に主機及びスラスター出力が向上しているため、機動力・運動性は向上している。
また、新型の電磁伸縮炭素帯の採用によって、出力効率が上昇した事で消費電力は低減されており、バッテリーの増設は最小限に抑えられた。
これにより、連続稼働時間は通常の不知火と同等が確保される事になった。

生産・導入コスト:
不知火系統と呼ばれる不知火,不知火・壱型乙,吹雪と共通するパーツが40%、新パーツが残り60%となっている。
弐型の制式採用後も、撃震が完全に退役するまで不知火・吹雪とも生産が続けられる計画のため、
不知火系統の機体と共有できるパーツが確保された事は、大幅なコストダウンにつながっている。
更に、機体のモジュール化を進めた事で、モジュールごとに生産を行い最後に組み立てる事で、製造時間とコストが圧縮される事になった。
また、全高が不知火と同じである事も整備用の器具が不知火と共有でき、導入コストを低減する事に一役買っている。


3-3-b
TSF-TYPE92-2B/92式戦術歩行戦闘機『不知火弐型(乙)』

1999年に、帝国軍に制式採用された戦術機。
同年、斯衛軍も92式戦術歩行戦闘機『不知火壱型乙』との入れ替えを目指して、制式採用を決定する。
2000年の生産数は、100機以上となりその内90機が、斯衛軍に配備される予定となっている。

制式採用の不知火弐型タイプBになる際には、整備性を上げるために改良された部分や細かな装甲形状、センサーのレイアウト変更以外に、
以下のような改修が施される事になる。

・大型の可動兵装担架システムの配置を、従来の戦術機の仕様に両肩部サブハードポイント2基を追加した仕様から、
 ブラックウィドウⅡの仕様を部分的に採用し、両肩部メインハードポイント2基・背部サブハードポイント2基という仕様に変更。

・背部可動兵装担架システムを小型の物にした事で余裕の出来た、二基ある可動兵装担架システムの間にマガジンラックを増設。
 様々な機動を行った場合でも、比較的動揺が少ない胴体部にマガジンラックを設置した事で、弾倉の交換が素早く安定的に行えるようになった。
 またこれにより、腰部装甲ブロックへの小型推力偏向スラスター追加によって、除かれた予備弾倉分を補う事に成功した。

・サイドのスカートの増設。
 今までに無かった腰部の左右に装甲を増設する事で、そこに予備弾倉修める事になった。
 予備弾倉を搭載できる数が増加した事で、弐型になって増加した兵装に応えられる弾薬を保持できるようになった。

また、ローラーブレード及び、フロントドロップタンクというオプション装備も制式採用される運びとなり、
総合的に見ても以前の不知火よりも稼働時間が延びることになった不知火弐型は、ベテラン衛士達が求める要求をほぼ満たす機体となっていた。
今後も様々なオプションパーツが開発される予定とされている。

3-3-c
『不知火弐型(丙)/技術試験用不知火弐型』

制式採用機である不知火弐型タイプBを基に、様々な最新技術が試験的に投入されたテスト機。
そのカラーリングは赤と白のツートンカラーとなっており、一部の関係者からはタイプCと呼ばれている。

不知火弐型タイプCでは、俺の要求である戦闘継続時間を削らない、信頼性を可能な限り確保すると言う意見に沿った範囲で、
受動型低反発磁気軸受,脚部スラスターモジュール,肩部機関砲,超音波振動ナイフ等のテスト運用が行われている。


3-4
『試作型武御雷』(タケミカヅチ)

ハイヴ攻略用コンセプト第三世代戦術機『武御雷』は、富嶽重工と河崎重工を中心とする第壱グループが、
新型戦術機開発計画に従い、YF-23の解析結果と不知火弐型の開発データを基に開発した機体である。
武御雷は、現行のハイヴ内戦闘理論に従い、補給線を確保する為に必要な最低限度の戦闘いつつ、反応炉を目指すという戦術を採用した。
その結果武御雷は、脚部を大型化する事で重武装と戦闘継続時間の向上を両立させ、ハイヴ内戦闘に必須の超接近戦闘が可能な戦術機となった。
機体の完成度は非常に高く、2000年に先行量産型生産開始というスケジュールが提出されている。

武御雷は、弐型よりも積載重量と連続稼働時間が増加させた上に、軽量化に成功しているなど、開発者の意地が窺い知れる機体で、
武士もののふを戦術機として具現化したようなその洗練されたフォルムからは、
色気すら感じられ見たものの多くが息を呑む事になる。
下記に、試作型武御雷の仕様をまとめる。

全高:19.4m
86式戦術歩行戦闘機『陽炎』の18mよりは大型であるが、92式戦術歩行戦闘機『不知火』の19.7mとほぼ同じである。

装甲:
空力特性の更なる向上を目指して、装甲形状のほぼ全てが見直され、特徴的な烏帽子のような前頭部大型センサーマストや、
流線型を多用した装甲が取り入れられる事になった。
ただし、近接格闘能力を向上させる為にBETAと接触する可能性が高い部位には、カーボンブレードエッジ装甲が積極的に使われた結果、
一部には鋭角の装甲が採用されている。

機動力:
主機・跳躍ユニットはライトチューンが施された程度で、極端に出力を上げることは無かったが、
装甲形状の見直しと軽量化により、懸架重量が増したにも拘らず、最高速度・巡航速度共に上昇している。

運動性:
装甲形状の見直しによる空力特性の改善と、腰部装甲ブロックの小型推力偏向スラスター及び、
複数の噴出口を持つ肩部大型推力偏向スラスターの配置を見直す事で、大幅な改善を確認。
その結果、運動性向上の為に大型化されていたナイフシースを排除する事で、機動力向上へ力を振り分けることになった。
また、肩部の大型推力偏向スラスターが、跳躍ユニットの補助としての役割を果たし、跳躍ユニット一基での跳躍を可能とする点に変更は無い。

懸架重量:
両肩部2基と背部2基の合計4基のメインハードポイント,腰部に小型可動兵装担架システムを有し、国産機では最大の懸架重量を誇る機体となった。

脚部:
脚力は弐型の30%増しとなっているが、脚部のサイズは一見不知火弐型と変わらないように見える。
これは、内部構造に沿うように形作られた装甲による成果である。
また、接地面圧を上げる為に靴型の足から2本の爪の様な形状となった。

稼働時間:
脚部の強化と機体の軽量化により主脚走行速度が向上した事で、戦闘中の主脚走行時間の割合を増やすことに成功、
結果的に、弐型と比べて連続稼働時間を20%増やす事にとなった。
また、弐型に使われたドロップタンクの装備が可能であるため、連続稼働時間の更なる向上が可能である。

近接格闘能力:
ナイフシース部のカーボンブレードは排除される事になったが、前腕外側部に内蔵する飛び出し式カーボンブレードを大型化し、
高周波発生装置を搭載した事に加え、機体各部にブレードエッジ装甲を施した事で、弐型と比べても大幅に近接格闘能力が向上している。
腕部ナイフシースの廃止に併せて、ナイフシースは吹雪で実績の有る脇腹部へ変更されている。

管制ユニット:
98式管制ユニット(EXAMシステムver.2)の性能を最大限に引き出すため、戦術機の通常戦闘によるデータと搭乗制限を限定解除するフラッシュモードのデータを検証し、
機体と衛士が許す限り最大の反応速度と加速度と成るように設定がされた。
事実上、高レベルの衛士適正を持つものしか、戦闘機動が行えない機体となった。
帝国軍衛士の上位10%という試算が確かなら、帝国(明星作戦前の戦術機:約5000機)には武御雷に乗れる衛士が500人(約5個連隊分)いる事になる。

電子装備(アビオニクス)の強化:
烏帽子のような前頭部大型センサーマストの採用により、不知火弐型よりも索敵・通信能力は向上している。

コスト:
メインフレーム,主機,跳躍ユニット,電子装備(アビオニクス)は、不知火弐型のものを流用しているが、
装甲形状,部品配置,部品精度が異なる事から、パーツ共有率は40%に止まった。
したがって、その調達コストは不知火の2倍(不知火弐型の1.7倍)となり、運用にはきめ細かな整備が必要であることから、
運用コストは不知火の3倍になると試算されている。
ただし、フェイズ3のハイヴ突入部隊を全て武御雷とした場合、1個連隊(108機)での攻略が可能という試算がある事から、
通常の戦術機甲部隊4個連隊(432機)を投入するよりも、コストパフォーマンスの点で優れている。



4-1
TSF-TYPE93-B/93式戦術歩行戦闘機『吹雪』(第3世代機)
 指揮官ヘッドの型式:TSF-TYPE93-B(C)『吹雪(指揮官ヘッド)』 commanding officerの頭文字から。

1992年に、帝国軍に制式採用される。(形式が不知火とかぶるため、93式となっているが採用は不知火と同時期)
先行量産型と制式量産型に大きな変更が無かった珍しい戦術機としても知られている。
不知火の試作機を基に、御剣重工が開発した『低コスト第三世代機』で、開発計画時から不知火と『Hi-Low-Mix』で運用する事が前提とされていた。
その性能は、不知火に劣りギリギリ帝国軍の仕様要求を満たすものであったが、紛れも無く第三世代機としての性能を有しており、
1991年に行われた不知火とのトライアルでは、当初こそ不知火に性能が劣る事が問題にされたが、
コストを同じにした中隊規模のトライアルにおいて、不知火を中心とする部隊を圧倒する成績をたたき出す事に成功した。
(中隊規模のトライアル:吹雪12機(二機が指揮官ヘッド)対不知火8機,
           吹雪12機(二機が指揮官ヘッド)対不知火6機+撃震6機の2パターンが比較された。)

吹雪が不知火に対して評価された点は、極限まで無駄を省くことでパーツ数を減らし、
一部の機構に第一世代機や第二世代機に使われている信頼性の高いものを採用した事による高い稼働率と整備性,
パーツ簡略化によりコスト削減と生産期間の短縮に成功した高い生産性,
主機・跳躍ユニットの出力低下を軽量化で補う事により機動力と運動性を確保した事で得られた低い必要衛士適性,
の三点である。
その結果、撃震に変わる主力生産機の座を手に入れ、1995年にはついにその生産台数において撃震を上回る事になった。
1999・2000年、烈震に主力生産機の座を奪われる事になるが、2001年には返り咲く予定となっている。
ただし、不知火弐型の制式採用によって、最終的には可能な限り不知火弐型へシフトする事も帝国軍内部で決められていた為、
この事が足かせとなり吹雪に関する大幅なアップデートが妨げられる事態となる。

不知火と同様にEXAMシステムが導入された吹雪は、EXAMの特性によりフレーム及び関節の消耗が激しくなる事が考えられていた。
しかし、予想に反して装甲の簡略化により軽量化されていた吹雪は、不知火よりフレーム・関節強度に余裕があったため、
EXAMの悪影響は最小限に抑えられている。
ただし、不知火同様に現場からは改修を行なう要望が出されている。

通常の不知火に対し吹雪は、以下のような部分が異なっている。

装甲形状の簡略化:
上半身の装甲は簡素な形状に変更され、肩部装甲は限界まで切り詰められている。

主機・跳躍ユニットの変更:
主機・跳躍ユニットに使用される部品の材質を見直すことで、コストダウンを図った。
これにより主機・跳躍ユニットの出力が8%ほど低下している。

電子戦装備の制限:
指揮官用の頭部ユニットを持った機体と情報をリンクさせることで、通常の吹雪に搭載されるセンサー類,対電子戦装備を必要最小限に抑えた。
指揮官用の頭部ユニットとの情報リンクは、不知火との情報リンクで代用可能。

ナイフシースの変更:
不知火で前腕外側部に装備されている接近戦闘短刀格納モジュール、通称ナイフシースの場所を脇腹部に変更。
脇腹部より飛び出したナイフを、鞘から抜くようにして取り出す簡易な機構とした。
ナイフシースが有った部分には、小型のカナードが装備され、複雑な取り出し機構を簡略化したことでコストが削減された。
総合的に前腕部の重量は軽減され、これにより前腕の稼動速度が向上した。

内蔵式カーボンブレードの搭載:
前腕外側部に飛び出し式のカーボンブレードを装備。
65式接近戦闘短刀を抜く暇も無いときに使用される、補助的な役割を持つ。
収納時にはそれ自体も装甲として機能するように考えられており、重量増加を最小限に抑えている。
後に、不知火にも同様の機構が採用された。

小型可動兵装担架システムの搭載:
背面に2基搭載されている可動兵装担架システムを小型化したものを腰部に搭載。
これにより、予備弾倉や小型ドロップタンク(使い捨て外付け小型燃料タンク),新開発の手榴弾・スタングレネード 等小型で軽量の物を
搭載することが可能になった。
後に、不知火にも同様の機構が採用され、日本帝国に採用された戦術機の標準装備となる。


4-1-a
TSF-TYPE93-B(R)/93式戦術歩行戦闘機『吹雪・強行偵察/支援偵察装備』

不知火・強行偵察/支援偵察装備を吹雪に置き換えたものである。
詳しくは、不知火・強行偵察/支援偵察装備偵察を参照。


4-1-b
TSF-TYPE93-N『吹雪・海軍仕様』

不知火と同じ跳躍ユニットを搭載する事で跳躍距離を伸ばし電子戦装備を充実させるために、
指揮官用の頭部ユニットを標準装備とした海軍仕様の吹雪である。
海軍は、戦術機揚陸艦から発進し橋頭堡を確保するための戦術機として撃震を採用していたが、
戦術機揚陸艦がなるべく陸地に近づく必要が無くなるように跳躍距離を伸ばす事を求めていた。
吹雪が採用された理由は、軽量化によって搭載重量に余裕があり、海軍が求める装備を搭載し跳躍距離を確保するには、
不知火よりも吹雪が良いと判断されたためだった。
しかし、1998年時点で海軍は吹雪の更なる軽量化と跳躍ユニットの強化を求めた改修案を提案しているが、未だ計画は進行していない。
その一番の理由は、改修に見合ったコストの増加を求める企業側と、大陸で戦っていた陸軍に比べて予算が減らされていた海軍との間で、
意見が一致しないためである。


4-1-c
TSF-TYPE93-A/93式戦術歩行高等練習機『吹雪・高等練習仕様』

主機と跳躍ユニットにリミッターをかけ、出力を低下させた吹雪が第三世代高等練習機。
型式番号は、不知火と同じくBタイプを量産型としたために、練習機がAタイプとなった。
後に、EXAMシステム練習機としても運用される事になる。


4-1-d
TSF-TYPE93-C『吹雪改(仮)』

93式戦術歩行戦闘機『吹雪』を強化するために、新型機である不知火・弐型のパーツが一部導入された機体。
現在配備されている吹雪を、比較的容易に強化出来ると言う企業側の提案で実験が行われている。
高性能な機体を要求する優れた衛士は、不知火への機種転換が行なわれている為、不要だと言う声も有ったが、
吹雪を主力戦術機とする海軍と御剣重工のある思惑により、開発が決定したと言う噂もある。

不知火弐型の制式採用に合わせて、不知火改が制式な改修機として登録されたが、
海軍が要求する全ての仕様を飲んだ場合に、コストが掛かり過ぎるとして陸軍が採用を断念し、
吹雪改が制式な登録を受けることは無かった。


4-1-e
『吹雪・国際標準仕様(仮)』

1999年、日本帝国のプロミネンス計画第二弾(XFS計画)として、開発が計画されている機体。
開発は、御剣重工がメインとなり、各社がサポートに回る体制で行われている。

不知火弐型を次期主力量産機とする動きに対して、吹雪の更なる量産体勢を確立し、早期に撃震・烈震を第3世代機に置き換える事を望む陸軍内のグループと、
改めて低コストで調達可能な吹雪の強化型を望む、諸所の事情により陸軍と比べ戦術機用の予算が不足している海軍が結び付き、
烈震の開発経緯を参考にして、輸出の為の仕様変更を名目に予算獲得へ動いた事でこの計画は動き出す事になった。
吹雪世界標準仕様(仮)販売の初期ターゲットは、ローコスト第3世代機の導入を検討していると噂のある欧州連合とされ、
アジアや中東・アフリカ諸国に対しては、烈震というステップを踏む事で順次吹雪へとシフトさせて行く事としている。

紆余曲折の末、帝国陸軍(本土防衛軍)及び輸出用の標準機,高性能化を求める帝国海軍にはオプションパーツ搭載と小規模改修だけで、
標準機を海軍の仕様に合わた機体を供給するという計画に書き直された後、計画は正式決定される事となった。
また、ライバルと成り得る戦術機の開発を主導するアメリカに対して、明確に敵対する事を避ける為に、
ボーニング社及びノースロック・グラナン社との技術提携を模索中である。
帝国政府は、計画の実行に併せて米国議会でのロビー活動、帝国と関係が深い大東亜連合への先行量産機一個大隊の無償供与、
欧州連合へは過去の技術支援,制御OSの教導及び先行量産機の一部を無償供与する事を打診する等、様々な方面への呼びかけを行う事になった。

1999年時点で、吹雪世界標準仕様のライバルと考えられていた機体は、以下の様な低コスト第三世代機や2.5世代機と呼ばれる戦術機群である。

①米,ボーニング社(マクダエル・ドグラム社を吸収合併)製 F-18E/F『スーパーホーネット』
②米,ボーニング社製                        F-15E『ストライクイーグル』
③米,ボーニング社製                        F-15・ACTV『アクティヴ・イーグル』
④米,ロックウィード・マーディン社製               FX-35『ライトニングⅡ 』
⑤ソ連,スフォーニ設計局製                    Su-37『チェルミナートル』
⑥ソ連,ミコヤム・グルビッチ設計局製              MiG-29OVT『ファルクラム』(後のMiG-35)
⑦スウェーデン王国,サーブ社製                 JAS-39『グリペン』

これらの中で注目されているのは、欧州連合,アフリカ連合が参加しロックウィード・マーディン社(米国)を中心に、
国際共同開発が進められている最新鋭第3世代戦術機 FX-35『ライトニングⅡ 』と、
米 ノースロック(現ノースロック・グラナン)社製のF-5フリーダムファイター/タイガーⅡを発展改良し開発された多任務第3世代戦術機 JAS-39『グリペン』である。
これらの戦術機に対して導入時期が古い吹雪は、ステルス性を有し近接格闘戦を考慮に入れているとされているライトニングⅡにカタログスペックで負け、
総合評価で近い性能とされるグリペンにコストで劣っているとされていたが、EXAMシステム搭載の優位性を活かしたドッグファイトでの性能評価と、
その信頼性において優位に立っているとされている。
ただし、ライトニングⅡの配備がこれ以上先延ばしになった場合、低コストと汎用性の高さを武器にしたF-18E/Fや、
数多く居るイーグルユーザーへのF-15E供給開始の方が、手ごわいライバルとなる可能性もある。


4-1-f
『吹雪・国際標準仕様改(仮)』

吹雪・国際標準仕様をオプションパーツで強化した、海軍仕様の機体となる予定。



5-1
YF-23『ブラックウィドウⅡ』(Black Widow II)

米国で行われていた次期主力戦術機を開発する計画、通称ATSF(先進戦術歩行戦闘機)計画で最終選考に残った2機種のうち、
ノースロック社(現ノースロック・グラナン社)がマクダエル・ドグラム社(ボーニング社と御剣重工に分割買収される)の協力を得て開発した試作戦術機。
ブラックウィドウⅡは、競合相手のロックウィード・マーディン社が開発したYF-22や、
それ以前の米国製戦術機が遠・中距離砲戦能力を重視していたのと対照的に、
長刀・銃剣の標準装備などの対BETA近接戦闘能力を設計段階から考慮されていたのが特徴の機体である。

YF-22との間で熾烈な実機模擬戦闘試験が繰り広げられた結果、対BETA近接格闘戦能力に於いてはYF-22を遙かに上回り、
総合性能でもYF-23が優位にたっていたと噂されていたが、調達コストと性能維持に不可欠な整備性、
何よりもその開発コンセプトが米軍の戦闘教義(ドクトリン)と合致しないと判断された為、
ATSF計画は1990年にYF-22 現在のF-22A『ラプター』を次期主力第3世代戦術機とする事を決定、不採用となった。

だが、ブラックウィドウⅡが調達コストと整備性といった部分に問題を抱えているものの、その機体性能の高さと開発コンセプトは、
帝国軍の戦闘教義(ドクトリン)と完全に合致していると判断した御剣重工が行動に出る。
開発終了から七年後の1997年、機体の開発に協力していたマクダエル・ドグラム社の買収を切掛けとして、
博物館に収蔵されそうになっていたブラックウィドウⅡの取得に乗り出した。
マクダエル・ドグラム社の買収に関しては、ボーニング社と御剣重工が分割買収する事で決着。
そして、第3世代戦術機開発に乗り遅れたノースロック・グラナン社が欲していた、第3世代戦術機の運用データを提供する事を条件に、
YF-23 ブラックウィドウⅡは帝国内持ち込まれる事となった。

御剣重工の工場に搬入された2機のブラックウィドウⅡ(試作1号機 通称:スパイダー,試作2号機 通称:グレイゴースト)は、
ステルス機能を除く為に電波吸収塗装が完全に削り取られ、装甲の一部も詳しい形状が分からないように処理された結果、
装甲の地金がむき出しとなっていた。
2機は、一度完全に分解して実物と提供された図面に差が無いか調べられ、8年間の歳月により時代遅れになった部分や、
伝送系を最新の日本製のものに交換され、調整が行われた後データ取りの為のテストを受ける事になる。

ブラックウィドウⅡは御剣重工での改修により、納品前に装甲が削られていた事と帝国軍の仕様でステルス性能が求められていなかった事が影響し、
対BETA近接格闘戦能力とステルス性を同時に高める目的で多用されていた直線的な装甲の一部が、
近接格闘能力に影響が出ない範囲で空力特性の高い曲線を使った装甲に変更される事になる。
また、ATSF計画の仕様ではステルス機能と並んで、相手の火器管制網を麻痺させる事を目的とした対電子戦装備が組み込まれる事になっていたが、
国家機密であるその機能は、御剣重工がブラックウィドウⅡを買取る条件の中で外されており、
その空きスペースにはEXAMシステムver.2.5をテストする目的で、新型の演算ユニットが搭載される事になった。
ただし、完全な帝国軍仕様とは成っていないため、使い方によっては切り札に成り得るS11を搭載していない。

その中身を最新の物に置き換えられたブラックウィドウⅡは、結果としてATSF計画の最終段階と比べて若干装甲形状が変更されたものの、
第3世代機特有の空力特性を追求した装甲形状と、廃熱処理なども考慮するステルス対策の部品配置が生み出した特徴的な外観を多く残した機体となり、
各国で開発中の第3世代戦術機の中でもトップクラスの性能を有する事となった。
その後のテストで、優秀な成績を叩き出したYF-23 ブラックウィドウⅡは、試作2号機,通称グレイゴーストが実戦テストの為、
とある試験部隊へ配備される事になったが、僅か一日で大破する事になる。
しかし、グレイゴーストが残した実戦データは、今後の戦術機開発に大きな影響を与える事となった。
その後、修復されたグレイゴーストを含む2機のブラックウィドウⅡは、新技術のデータ取り用の機体として利用される事になる。



6-1  『試作型八咫烏』

ハイヴ攻略用コンセプト第三世代戦術機『八咫烏』は、御剣重工と光菱重工を中心とする第弐グループが、
新型戦術機開発計画に従い、今までの戦術機開発の経験を全てハイヴ攻略という命題に集め開発した機体である。
八咫烏は、現行のハイヴ内戦闘理論とは異なり、補給線を確保するという手間を可能な限り省き、最短時間で反応炉を目指すという戦術を採用した。
これは、戦術機を反応炉破壊兵器の輸送手段としてとらえ、ある一定の懸架重量以上にする事とハイヴ内平均移動速度を最大化する事、
この二点のみが求められた機体とも言い換えることが出来る。
その結果八咫烏は、大幅に小型軽量化が行われ、ハイヴ内での道程の殆どを長距離噴射跳躍によって移動するとしており、
汎用性を捨て去った分、限定された空間での戦闘では世界最高峰の機体性能を有する事になった。

御剣重工は1996年末頃から水面下で、従来からの戦術を採用したハイヴ攻略用戦術機の本体設計を始めていた。
この当時のメイン計画は、YF-23 ブラックウィドウⅡの解析結果を反映する計画だったが、
運用思想の変更により、サブ計画であった元遠田技研出身の技術者が中心となって設計していた小型超高機動戦術機が、
メイン計画に昇格する事になった。
この計画は、世代を跨ぐ毎に大型化の一途を辿っていた戦術機開発のトレンドに逆行する異端とも思えるモノであり、
買収までしてYF-23の入手に動いた御剣重工が、最終的にブラックウィドウⅡのコンセプトを捨て、他のグループが参考とした事は、皮肉と言うより他無かった。
この開発計画の変更による遅延を取り戻しきれなかった第弐グループの開発計画は、先行量産型生産のスケジュールが武御雷よりも1年遅い、2001年となっている。

その空力を最優先させた飾り気の無いその意匠は、武御雷よりもさっぱりとしている為、
不知火に対する吹雪の様に、如何しても地味な印象を受けてしまい、あまり一般受けしそうに無かったが、
装甲の細部に渡って複雑な曲線を描く部分がある事を確認した一部の将校には、
忍者ニンジャの様だと評され、受け入れられた様子である。

下記に、試作型八咫烏の機体データをまとめる。

全高:15.8m
92式戦術歩行戦闘機『不知火』より4m近く全高の低い八咫烏は、制式採用されれば世界最小,最軽量の戦術機となる。

装甲:
空力特性が最優先された結果、センサーマストの極小化,肩部装甲の小型化,ナイフシースの廃止が行われ、
各関節部には凹凸が無いように稼動装甲が施された事で、空力制御用のフィン以外の突起は最小限に抑えられた装甲形状となった。
また、カーボンブレードエッジ装甲は、不知火弐型で採用された部位以外への追加は見送られている。
ただし、ハイヴ地下茎構造内での高速移動を考えた場合、壁面やBETAと接触する可能性が高い事から、
機体の防御性能を犠牲にするという選択肢は採用しなかった。

機動力:
小型の機体にも係わらず、主機は不知火弐型に使用された物と同じ性能が要求され、
素材変更による効果もあり、性能をほとんど落とす事無く主機は機体に収められた。
また跳躍ユニットは、小型化と燃費が優先され結果、メインフレームとの比率的には大型化し、最大出力が15%低下したものの、
機体軽量化の効果が大きいため、その重量推力比は現行の戦術機を圧倒している。
肩部小型推力偏向スラスターと脹脛(ふくらはぎ)部に装備された推力偏向スラスターを駆使する事で、
八咫烏は長距離噴射跳躍では無く、短距離飛行が可能となっている。

運動性:
複雑なハイヴ地下茎構造内において、巡航速度を最大化する為には、機動力の向上と合わせて運動性の向上が必要不可欠だった。
機体の軽量化と腰部小型推力偏向スラスター,肩部複列小型推力偏向スラスター及び、脹脛部推力偏向スラスターを搭載した上に、
手足の角度を調整する事で空力特性を大きく変えるという特殊な姿勢制御を行うことで、驚異的な運動性が達成された。
これにより、ハイヴ内での高速巡航移動が可能とされている。
ただし、この特殊な姿勢制御による機動は、八咫烏が巡航時両手に武装を持たないことを前提としている。

懸架重量:
背部に3基のメインハードポイントを有しているが、帝国軍機の標準になりつつあった腰部の小型可動兵装担架システムは廃止された。
また、運用思想とは異なるが、手腕にも装備を行い出撃する事は可能である事から、不知火と同等以上の懸架重量は確保されている。

脚部:
機体が小型化されたにも係わらず、不知火弐型と同等の強度とパワーが確保されている。
足先は、鳥のように前に3本、後ろに1本の指を有する形状になっている。

稼働時間:
八咫烏は、フェイズ3ハイヴの反応炉まで無補給で到達し破壊後、帰還する事がコンセプトに組み込まれている為に、
跳躍ユニットを多用する事を前提としていながら、不知火弐型と同等の連続稼働時間が確保されている。
また、フェイズ3以降のハイヴ対策として、臀部に尻尾のように装備する事ができる専用のドロップタンクが計画されている。

近接格闘能力:
脛部・膝・足の甲・足先の外装にスーパーカーボン製ブレード、前腕外側部に内蔵する飛び出し式カーボン高周波ブレードを搭載した事で、
弐型と遜色無い近接格闘能力を有している。
腕部ナイフシースの廃止に併せて、ナイフシースは吹雪同様に脇腹部へ変更されている。

管制ユニット:
98式管制ユニット(EXAMシステムver.2)の性能を最大限に引き出すため、戦術機の通常戦闘によるデータと搭乗制限を限定解除するフラッシュモードのデータを検証し、
機体と人類の限界に挑んだ設定がされている。
事実上、最高クラスの衛士適正を持つものしか戦闘機動が行えない機体となった。
帝国軍衛士の上位2%という試算が確かなら、帝国(明星作戦前の戦術機:約5000機)には八咫烏に乗れる衛士が100人(約8個中隊分)いる事になる。

電子装備(アビオニクス)の強化:
不知火弐型より、性能を落とすことはされていない。
機体の反応速度と情報処理能力の向上を目指した結果、サブ情報処理装置が搭載されることになり、腰部が膨らむ事になった。
このサブ情報処理装置の採用により、小型可動兵装担架システムは廃止されている。

専用武装:
反応炉破壊用S11バズーカ砲(装弾数5発),防風カバー付XAMWS-24B 試作新概念突撃砲改良型,XCIWS-2C 試作近接戦闘長刀改良型の開発。

コスト:
ほぼ全てのパーツ及び武装が新規開発部品であるため、量産したとしても生産コストは不知火の4倍(武御雷の2倍)になる。
また、運用に専属に教育された整備部隊が必要である事から、運用コストは不知火の6倍になると試算されている。
ただし、フェイズ3のハイヴ突入部隊を全て八咫烏とした場合、2個中隊(24機)での攻略が可能という試算がある事から、
通常の戦術機甲部隊4個連隊(432機)を投入するよりも、コストパフォーマンスの点で優れている。


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