<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

チラシの裏SS投稿掲示板


[広告]


No.16427の一覧
[0] 【習作】 マブラヴ オルタネイティヴ~我は御剣なり~(現実→オリジナル主人公・チート気味)[あぁ春が一番](2012/08/13 20:03)
[1] 本作歴史年表[あぁ春が一番](2011/07/11 21:36)
[2] 戦術機設定集(簡易)[あぁ春が一番](2011/08/15 13:48)
[3] 兵装・その他の装備設定集(簡易)[あぁ春が一番](2011/08/15 13:47)
[5] プロローグ[あぁ春が一番](2010/03/08 18:31)
[6] 第01話[あぁ春が一番](2010/06/06 12:15)
[7] 第02話[あぁ春が一番](2010/06/06 12:20)
[8] 第03話[あぁ春が一番](2010/07/10 09:03)
[9] 第04話[あぁ春が一番](2010/11/05 00:07)
[10] 第05話[あぁ春が一番](2010/11/05 00:24)
[11] 第06話[あぁ春が一番](2010/11/05 00:35)
[12] 第07話[あぁ春が一番](2010/11/05 00:45)
[13] 第08話[あぁ春が一番](2010/11/06 23:42)
[14] 第09話[あぁ春が一番](2011/01/27 22:47)
[15] 第10話[あぁ春が一番](2011/04/20 00:59)
[16] 第11話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:17)
[17] 第12話[あぁ春が一番](2010/11/07 22:29)
[18] 第13話[あぁ春が一番](2010/11/07 23:04)
[19] 第14話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:19)
[20] 第15話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:49)
[21] 第16話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:22)
[22] 第17話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:23)
[23] 第18話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:24)
[24] 第19話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:29)
[25] 第20話[あぁ春が一番](2010/11/10 00:41)
[26] 第21話[あぁ春が一番](2010/11/11 00:05)
[27] 第22話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:50)
[28] 第23話[あぁ春が一番](2010/11/11 23:29)
[29] 第24話[あぁ春が一番](2010/12/12 15:48)
[30] 第25話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:51)
[31] 第26話[あぁ春が一番](2010/12/12 15:48)
[32] 第27話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:51)
[33] 第28話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:52)
[34] 第29話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:53)
[35] 第30話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:53)
[36] 第31話[あぁ春が一番](2011/05/15 01:42)
[37] 第32話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:54)
[38] 第33話[あぁ春が一番](2011/05/25 00:04)
[39] 第34話[あぁ春が一番](2011/05/25 00:05)
[40] 第35話[あぁ春が一番](2011/05/25 00:05)
[41] 第36話[あぁ春が一番](2011/07/11 21:25)
[42] 第37話[あぁ春が一番](2011/08/15 13:46)
[43] 第38話[あぁ春が一番](2011/10/24 00:46)
[44] 外伝 TE編・上[あぁ春が一番](2012/07/23 11:57)
[45] 外伝 TE編・中[あぁ春が一番](2012/08/13 20:03)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[16427] 第12話
Name: あぁ春が一番◆17cd7d65 ID:bc6cc51c 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/11/07 22:29


モンゴル領ウランバートルハイヴの間引き作戦への参戦にあたり、中隊長よりBETAについての説明を受ける事になった。

斯衛軍訓練校時代にも説明を受けたが、ここで再度確認をしたいと思う。

BETA(ベータ)とは Beings of the Extra Terrestrial origin which is Adversary of human race の略で、人類が火星で始めて発見した、
人類に敵対的な地球外起源種のことをさす。

BETAの生態系についてはほとんど解明されておらず、外見や戦闘能力に応じて便宜的に区分されているのが現状である。

既知の8種は以下のようになっている。
光線属種
光線(レーザー)級,重光線(レーザー)級
大型種
要撃(グラップラー)級,突撃(デストロイヤー)級,要塞(フォート)級
小型種
戦車(タンク)級,闘士(ウォーリアー)級,兵士(ソルジャー)級


光線(レーザー)属種
光線属種は重光線級と光線級の2種が確認されている。
光線属種が放つレーザーは光線属種の種類によって異なるが、長距離での驚異的な命中精度と味方への誤射は絶対にしない等 共通する点もある。
また、標的を捕捉し照射準備に入ると動きが止まり、標的の追尾以外行動をとらなくなる。
レーザー照射にはインターバルがあるが、各個体がレーザー照射間隔をずらす事で、レーザーを絶え間なく照射する行動を見せることが確認されている。
1990年代に入ってからは、AL(アンチレーザー)弾の被撃墜による重金属雲の形成によって光線属種の無力化を図り、
支援砲撃部隊が光線属種の殲滅を目的とした面制圧を実施、その後戦術機を主力とした制圧部隊を投入する戦術が主流になっている。

光線 (レーザー)級
全長:1.2m,全幅:1.6m,全高:3m,俗名:ルクス
最小の二足歩行型光線属種でその動作は比較的俊敏であり、戦術機や戦車を十分に破壊可能な高出力レーザーを照射する。
高出力レーザーは、高度1万メートル程度であれば30kmも離れた標的を撃ち落す程の威力を持つ
(それよりも低い高度だといくらか大気による減衰が加わるため有効射程は短くなる)。
レーザー照射のインターバルは約12秒となっており、短時間で再照射することが可能である。
なお、最新の対レーザー蒸散膜をコーティングした耐熱対弾装甲材を使用した対レーザー装甲で、最高出力照射を約5秒間無効化できる。
防御力,耐久力は低く、36㎜突撃砲による砲撃が有効であり、接近できれば戦術機四肢による打撃でも充分殺傷可能である。
一般的に光線級という場合は、重光線級を含めた光線属種のことを指す。

重 光線 (レーザー)級
全長:15m,全幅:11m,全高:21m,俗名:マグヌス ルクス
最大の二足歩行型光線属種で、光線級に比べて遥かに高出力のレーザー照射が可能であり、その出力は大気,
天候による減衰が全く期待出来ないほどである。
高出力レーザーは、高度500mで低空進入してくる飛翔体を約100km手前で撃墜することが可能で、
戦艦の耐熱対弾装甲をも10数秒で蒸発させる威力があるが、その分再照までのインターバルは36秒と長い。
動作は緩慢だが防御力が高く、唯一の弱点とも言える照射粘膜にも瞼状に展開する保護皮膜を有するため、
攻撃に際しては100mm以上の砲弾、戦術機に於いては120mm砲での攻撃が推奨されている。


大型種
全高が10mを超える大型種は、小型種に比べて対人探知能力は低くなっているが、ダイヤモンド以上の硬さとカルボナード以上の
靭性を持った外殻(前腕や装甲殻や衝角等)を持つため、その攻撃力は極めて高い。

要撃 (グラップラー)級
全長:19m,全幅:28m,全高:12m,最大全幅:39m,俗名:メデューム
BETA群に於ける大型種の約6割を占める多足歩行種であり、比較的高い対人探知能力を有する。
二対の前腕衝角による打撃を最大の武器とし、直径39mにも達する前腕攻撃範囲と驚異的な定常旋回能力を有するため、
確認されている中では最強の近接格闘戦闘能力を誇る種である。
前腕衝角部の硬度はモース硬度15以上、ダイヤモンド以上の硬さとカルボナード以上の靭性を誇り、
その前腕で殴られると戦術機といえども一溜りもない。
また、前腕衝角は対弾防御力にも優れているため、側面及び後方からの攻撃が推奨されている。

突撃 (デストロイヤー)級
全長:18m,全幅:17m,全高:16m,俗名:ルイタウラ
BETA群の先鋒を担う多足歩行大型種、要撃級の前腕と同様の極めて強力な前面装甲殻を持つため、面制圧での生存率が高い。
また、装甲殻は驚異的な再生能力を有しており、目玉状の模様は全て再生した砲弾痕である。
平坦な直線であれば時速170km/hの長時間走行が可能であり、自身を対象物に衝突させる突撃戦術が主な攻撃手段となる。
その突撃戦術は、戦術機でもまともにぶつかれば大破、即死は免れない。
また、BETA中で最速の走行能力を有するためか、対BETA戦では必ず突撃級が先頭にいる事になる。
だが、旋回能力や俊敏性は著しく低く、装甲殻のない本体は比較的脆弱であるため、背後からの攻撃が推奨されている。
背後からの攻撃ならば36mm弾での撃破が可能であるが、前面からでも36㎜の一点集中攻撃や120㎜の連続攻撃により、
前面装甲を貫通させ撃破することが可能である。

要塞 (フォート)級
全長:52m,全幅:37m,全高:66m,俗名:グラヴィス
要塞級は地球上で確認されている中では、最大の多足歩行大型種で、10本の足を有しているがその体構造は昆虫に似ている。
主な攻撃方法は、要撃級と同様の硬度と靱性を誇る装甲脚による踏撃に加え、尾節に収容された全長約50mのかぎ爪状の衝角付き触手による鞭撃と、
その先端から分泌される強酸性溶解液となっている。
10本の脚による打撃は要撃級の攻撃に勝るとも劣らないうえ、先端が鋭くなっているため踏みつけられると戦術機といえども串刺しとなる。
そして、触手を器用に振り回して攻撃してくるため、側方・後方にも死角は存在しない。
動作自体は比較的緩慢であり対人探知能力も高くはないが、防御力・耐久力共に非常に高く、有効な攻撃ポイントは三胴構造の体節接合部に限定される。
36mmではほとんど効果がなく、120㎜砲もしくは近接戦闘で、三胴構造各部の結合部を狙うのが効果的とされる。
また、胎内から光線級を含む小型種が多数出現した例も確認されているため、撃破後の安全確認にも十分配慮しなければならない。


小型種
全高が3m以下の小型種は、対人探知能力は極めて高く、動きも俊敏であるが攻撃力と防御力は大型種と比べると高くはない。
しかし、大群で群がることで種類によっては戦術機にとっても十分な脅威となる。

戦車 (タンク)級
全長:4.4m,全幅:1.9m,全高:2.8m,俗名:エクウスペディス
BETA群中最大の個体数を誇る中型の多足歩行種で、極めて高い対人探知能力を有する。
浸透力と機動力に優れ、不整地であっても時速約80km/hでの走行が可能である。
金属やコンクリートをかみ砕く強靭な顎が最大の武器であり、装甲車輌や戦術機ごと喰われた兵士の数は計り知れない。
ちなみに、もっとも多くの衛士を戦術機ごと喰らっているのがこのBETA種である。
防御力自体は低く、歩兵が携行する重火器でも対処は可能であるが、常に数十から数百以上の群体で行動するため、
近接格闘は可能な限り回避する事が推奨されている。

闘士 (ウォーリアー)級
全長:1.7m,全幅:1.5m,全高:2.5m,俗名:バルルスナリス
確認されているBETA中最小の二足歩行種で、防御力は低いが対人探知能力と俊敏性が非常に高く、象の鼻を想起させる前肢は
人間の頭部を引き抜くほどであり、歩行部隊による近接格闘では大きな脅威である。
闘士級は俊敏だが戦術機にとって驚異ではなく、戦術機相手には敵わない。

兵士 (ソルジャー)級
全長:1.2m,全幅:1.4m,全高:2.3m,俗名:ヴェナトル
兵士級は1995年に初めて確認された最小の多足歩行種で、既知のBETAの中では最も対人探知能力が高く、平面移動の静粛性と速度、
人間の数倍~十数倍に及ぶ強力な前肢と顎は、歩兵に対する十分な脅威となる。
しかし、全BETA中で一番弱いため、戦術機や機械化強化歩兵の相手ではない。








第13独立戦術機甲試験中隊が間引き作戦に参加する事になった、モンゴル領ウランバートルハイヴ(18番目のハイヴ)は、
今年に入って建造が確認された新しいハイヴで、現在フェイズ2の規模になっていると考えられている。

既に数回にわたって間引き作戦が行われているが、他のハイヴから増援が来ている為であろうか、一向にBETAが数を減らす気配を見せていない。

このウランバートルハイヴに対する間引き作戦が俺の初陣となった俺は、第13試験中隊の出番が来るまでの間、
コックピットの中で搭乗機である不知火の最終チェックを行っていた。


「こちらベル9(佐々木 少尉)、御剣聞こえるか?」


「こちらベル12(御剣 少尉)、聞こえていますよ佐々木さん、
 どうしたんですか?」


「これがお前の初陣だ、震えてないか確認してやろうと思ってな・・・。」


「震えはいないと思いますが…、もし震えていたとしてもそれは、ただの武者震いですよ。
 これでも、10年以上奴らと戦う事を考えながら生きてきたんです。
 戦闘開始が待ち遠しくて、仕方ないんですよ。」


「ひゅ~・・・、流石斯衛出は言うことがちがうな。」


佐々木 少尉は、俺とエレメントを組んで突撃前衛小隊を務めている人で、年齢は俺の二つ上の20歳である。

戦術機の操縦では高機動戦闘を得意としており、特殊な場合を除いて隊内の不知火を駆る者の中で、
唯一俺の機動についてくることができる腕前を持っている。

そして、佐々木 少尉が俺を心配していたのは、エレメントを組んでいるというだけではなく、
今回第13試験中隊に合流した新人が俺だけだったためだろう。

つまり、中隊内で初陣を迎えるのは俺一人なのだ。


「貴様ら、もう作戦は始まっているんだ、無駄口は慎め。」


「「は、申し訳ありません。」」
 

「今回は多めに見るが…、次は無いぞ。

 ベル12(御剣 少尉)、貴様は今回が初陣だったな。
 貴様の訓練を見る限り、問題は無いとは思うが…、もしもの時は先任たちが援護する。
 気楽に行け。

 残りの者はベル12(御剣 少尉)を注意してやれ…、こういう時に実力を見せておかないと先任としての面目が立たんぞ。」


そう言って、本郷 大尉は笑みを見せる。

2週間の間に行われたシミュレーター訓練で、俺に対して負けが込んでいる先任たちをからかったのだろう。


「それと、最終確認だ。
 いつも通り、最優先目標はベル7の生存確保だ。
 たとえ自らの命が犠牲になろうとも、ベル7の生存を優先しろ。」


本郷 大尉が言ったベル7の生存を最優先目標とする理由とは、ベル7が搭乗する機体が中隊内で特殊なポジションについているためだ。

その機体はTSF-TYPE92-B(R)/不知火 強行偵察装備と言われ、情報収集能力を高めるために不知火の両肩に大型のレドームが取り付けられ、
可動兵装担架システムには情報処理装置として大型のバックパックが装備されている。

この装備により、各機体のセンサーから得られたデータを収集し、そのデータを持ち帰る事が中隊の最優先の任務となっているのだ。

また、この機体のお陰で各機はデータ収集のために余計な負荷をCPUにかけることなく、BETA戦に集中することができるようになった。

その武装は生存性が最優先に考えられ、87式突撃砲×1(36mm/ガンカメラ・予備弾倉4),65式近接戦闘短刀×2,92式多目的追加装甲×1となっており、
腰部にある小型可動兵装担架システムには小型ドロップタンクが装備され、稼働時間の延長が図られている。

この強行偵察装備の不知火に搭乗する武田 香具夜 少尉は、部隊の中で若手ナンバーワンと言われる実力者である。

その実力は戦術機の操作だけではなく、他の試験中隊では簡易のCPとしての役割を持たすために、複座になっている強行偵察装備の不知火を
一人で操縦し、CPの役割も果たすなどマルチな才能も備えている。

しかし、能力とは裏腹にその外見は、長い黒髪がよく似合う少女である。

佐々木 少尉と同期の20歳になるはずだが、身長が145cmで童顔なこともあり、どんなに見積もっても中学生にしか見ることができないのだ。

そんな彼女に始めてあった時、思わず持っていた飴玉をあげて頭を撫でてしまったとしても、誰も俺を攻めることはできないだろう。

ただ、彼女の方は撫でられることに関してはご立腹だったようで、すぐさま反撃をしてきた。

あの時は、追加でチョコレートをあげて何とかしたんだが・・・、許してくれているだろうか?





俺が機体の最終チェックを終えくだらない事を考え始めた頃、ようやくロンド・ベル(第13独立戦術機甲試験中隊)の出番が来た。


「ベル7(武田 少尉)よりベル1(本郷 大尉)へ、
 HQより間引き作戦の目標撃破数に足したため、予定通り戦車連隊を後退させるとの事じゃ。
 HQは他の戦術機部隊と合同で、戦車連隊の退却完了までBETA群の足止めすることを要請しておる・・・。」


「ベル1(本郷 大尉)了解。
 それでは、これよりロンド・ベル(第13独立戦術機甲試験中隊)は、BETAとの戦闘を開始する。」


AL弾を光線級がレーザー照射したことで発生した重金属雲によって、光線級の脅威度が低下している間に行われた支援砲撃を受けたBETA群は、
その数を減らしながらも戦術機部隊が展開する地点より2000mの位置まで接近していた。

BETA群の先頭に立つ突撃級の最高速度が170km/h(巡航速度120km/h)で、中衛の要撃級や戦車級で最高速度が100km/h(巡航速度60km/h)なので、
整地での最高時速が70km/hの戦車部隊では退却することは事実上不可能である。

そのために、戦術機部隊がBETA群を拘束するために戦う必要があるのだ。

幸いにも匍匐飛行が可能な戦術機は、俺が乗っている第三世代機の不知火で最高速度700km/h(巡航速度170km/h)の速度を出すことが可能であり、
第一世代機は最高速度400km/h(巡航速度110km/h)であるが、第三世代機が殿を務めれば戦術機部隊が退却することは十分可能だった。

俺たち戦術機部隊は、戦車部隊よりも射程距離が長い自走砲やMLRS(自走ロケット砲車)からの砲撃支援を受けながら、
この地域に進出してきた旅団規模(3000~5000体)BETAと戦闘を行うことになった。


「ベル1(本郷 大尉)より、ロンド・ベル(第13独立戦術機甲試験中隊)各機へ、
 敵は砲撃支援によって隊列を乱している、このまま楔壱型(アローヘッド・ワン)で突っ込むぞ。」


「「「「「了解!」」」」」


こうして戦闘を開始した、ロンド・ベル(第13独立戦術機甲試験中隊)は突撃前衛長であるベル2(南 中尉)を先頭にして、BETA群に突入していった。

BETA群は、中隊長が言った通り群れの密度が低下していたため、戦術機が比較的自由に平面機動を取れる状況になっており、
ベル2(南 中尉)が先頭の突撃級の足をすれ違いざまに切り落とし、BETA群に突入した後は突撃砲をばら撒くだけだった。

初めての実戦に最初は興奮して頭に血が上っていた俺だったが、頭の中ではどこか冷静に考えている部分があり、
俺が操る不知火は確実に一体一体BETAにとどめをさしていった。

俺は予想以上に心が落ち着いていることに、前の世界で設定した能力の一部では無いかという思いが頭を過ぎったが、
もはやどうでもいい事だと考え、戦闘続行する事にした。

俺がBETAと戦い始めてからの数分は、自分でも分かるほど動きがぎこちない戦い方だった。

そのぎこちなさは、戦術機の戦闘機動よりもその攻撃に顕著に現れていた。

例えば、突撃砲の砲撃で相手が動かなくなるまでBETAに36mm弾を叩き込み、長刀での攻撃でBETAの四肢を切断した後も斬りつけるなど、
過剰とも言える攻撃を繰り出してしまっていたのだ。

しかし、そのような過剰な攻撃も、BETAの戦闘能力喪失を見極める事ができるようになると、一気にスマートになっていく。

BETAが動かなくなるまで撃ち込んでいた突撃砲も、急所に6発ほど叩き込むだけで要撃級を撃破できるようになり、
長刀での攻撃もどこを斬れば効率的に無力化できるかを理解しだしていた。

また、戦いの中でBETAに対しての小さな発見をした事も収穫だった。

それは、BETAにも個性というものがあり、個体によって体格や動きの癖が異なっているということだった。

この発見によって対BETA戦が、始めにイメージしていた機械と戦うルーチン的な戦闘というより、
一種の猛獣と戦うような気の抜けない戦闘になることを理解したのだ。

そう理解した時、俺は戦術機の戦闘機動を切り替えることにした。

第2・3世代機の特性である、機動力と運動性を生かした戦闘機動から、斯衛軍訓練校で乗っていた瑞鶴ら第1世代機に近い戦闘機動に切り替えたのだ。

これはBETAの動きに集中していれば、主脚による運動や体捌きを重視して最小限の動きでBETAの攻撃を回避する事が可能であり、
そうした方がすばやく攻撃に移れると感じたためだった。

そして、次第に動きを滑らかにしていく俺の戦闘機動を見た他の隊員から、

『新人なんて絶対嘘だ。』

『少し戦場から離れていた、ベテランじゃ無いのか?』

等と言われる事になった。

正直にいれば、BETAと一対一なら確実に勝てると考えていた俺にとって、このくらいのBETAの密度ではそれほど脅威を感じていなかったのも事実だった。

だから、跳躍ユニットを多用しない第1世代機の戦闘機動を行えるのだ。

第1世代機と第2・3世代機の戦闘機動の大きな違いは、跳躍ユニットと主脚走行を使用する割合にあると俺は考えている。

重装甲の第一世代機は、跳躍ユニットを多用しすぎると直ぐに推進剤切れになってしまうため、一番推進剤を消費する初期加速を主脚走行で補うことで、
推進剤の消費を抑える技術が求められている。

それに対し、軽量化と出力の向上した跳躍ユニットを持つ第2・3世代機は、初期加速に使う主脚走行の割合を減らすことで、
より滑らかな機動を取る技術が優先されている。

無論、どちらの戦闘機動が優れているかを論じるつもりは無い、なぜなら主脚走行により燃費を優先することも大切だが、
主脚走行による照準のブレや、上下運動による衛士への負担増も戦場では問題になってくるからだ。

したがって、第1世代機の機動は必要が無い限りは、本来行う必要が無い機動なのだ。

しかし、俺はあえてこの戦闘では主脚走行の割合を極端に増やした戦闘機動を選択した。

それは、俺が主脚走行による揺れを問題としない事や、突撃砲の照準をマニュアルで行うため照準のブレを無視できることだけが理由ではない。

移動の70%を主脚走行で行うことになると言われているハイヴ突入時の事を想定して、この戦い方を実戦で試したかったという事も理由の一つだった。

今回のBETAの密度は、ハイヴ内と比べ物にならに程低いことは理解しているが、今後も激化が予想されるBETA戦の中で、
戦闘方法を試す機会がそうあるとは思えなかったため、余裕があるうちにと考えたのだ。

俺がこうして自分の実力を試している間に、衛士の壁と言われる死の八分はいつの間にか過ぎ去っていたのだった。








順調に進んでいた戦術機部隊によるBETAとの戦闘は、戦車部隊の退却完了の報を受け、戦術機部隊の退却へと段階が移り変わっていた。

第1世代機の部隊が退却した後、第2世代機の部隊と同時期に退却を開始しようとしたロンド・ベル(第13独立戦術機甲試験中隊)だったが、
俺の進言によりその場に一時留まる事になった。


「ベル12(御剣 少尉)・・・、急に停止を進言するとはどういう事だ?」


「嫌な予感がしまして・・・、それに今なら退却するにしても時間の余裕が有りますので・・・。」


「予感だと?
 
 そういった、勘を否定するわけではないが…。」


「子供の時から、危険には敏感でしたので・・・。

 ・・・来ました、BETAが地中を進行する時の振動パターンと一致する波形です。」


「何だと!」


中隊長の驚きの声と同時に、他の隊員からも息を呑む声が聞こえてきた。

そしてその数瞬後、


「ベル7(武田 少尉)よりベル1(本郷 大尉)へ、

 偵察装備の振動センサーでも、地中進行時の振動パターンを感知したようじゃ。

 その出現予測地点は・・・真下っ!?」


その報告を受けた中隊長は直ちにHQに報告を行ったが、その回答を待っている間に震源はかなり浅い所まで移動してきていた。

そして、HQの回答が間に合わないと判断した中隊長が全回線(オープンチャンネル)で各部隊に警告を発した直後……、

地獄の蓋が開けられた。

地中から湧き出たBETA群によって、第三世代機で構成されたロンド・ベル(第13独立戦術機甲試験中隊)を含む3個中隊は、
完全に包囲される事になるのだった。



******************************************************************************************************

コメント

皆様、いつも御世話になっております。
皆様の声援に支えられ頑張ってみましたが、今週はここで打ち止めです。
今回は、設定を色々調べる事に時間を割いてしまった事と、文章量が多くなってしまった事から、
この様なところで、話を区切ることになりました。


また、本文の半分近くを占めるBETAの設定は、

「マブラヴ オルタネイティヴ」のまとめwiki
ウィキペディア(Wikipedia)
マブラヴ オルタネイティヴ インデックス ワークス(公式メカ設定資料集)

に書かれていた内容をまとめ、戦術機での戦闘に使われる知識を抜粋したものですので、
私の書いた文章と言えるものでは有りません。
しかし、BETAの説明(特に光線級での記述)が一定していない部分がある事や、
BETAの特性を再確認してもらいたかった事から掲載することになりました。


更に、戦術機の移動速度についても具体的な数値を調べようと思ったのですが、なかなか出てきませんでした。
不知火の最高速度が600km/h位と、どこかで見たことがあるような気がしたので、それを参考に巡航速度を考えてみました。

第一世代機:撃震  最高速度360→460km/h位(巡航速度140→170km/h位)
第二世代機:陽炎  最高速度500→600km/h位(巡航速度200→240km/h位)
第三世代機:不知火 最高速度600→700km/h位(巡航速度250→300km/h位)

一応、ある程度の距離を離さないとBRTAは追っかけてくるということで、搭載燃料の関係もあり第一世代機では、
逃げられないと考えているのですがどうでしょう?

原作の詳しいスペックをご存知の方がいらっしゃれば、教えていただけると幸いです。
皆様のご指摘により、戦術機が意外と早いことが判明しました。
後書きで書いてある値は暫定値です、どのように扱うか次回までに考えたいと思います。



返事

皆様のご感想を原動力に動いている私としては、出来得る限りご要望には応えたいと考えているのですが、
恋愛に関しては、理由が納得できないとくっつけないように、厳しく行きたいと考えています。

事実、フラグを立て忘れたキャラクターに関しては、大幅な改定を出さない限りそのままスルーして、
物語を進行しています。

しかし、マンガ版も購入した事で増えた知識や、恋愛表現を学ぶ事で私の技量が上がった暁には……、
だめだ…妄想が止まらない、ここはメモをしておこう。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.024700880050659