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No.16427の一覧
[0] 【習作】 マブラヴ オルタネイティヴ~我は御剣なり~(現実→オリジナル主人公・チート気味)[あぁ春が一番](2012/08/13 20:03)
[1] 本作歴史年表[あぁ春が一番](2011/07/11 21:36)
[2] 戦術機設定集(簡易)[あぁ春が一番](2011/08/15 13:48)
[3] 兵装・その他の装備設定集(簡易)[あぁ春が一番](2011/08/15 13:47)
[5] プロローグ[あぁ春が一番](2010/03/08 18:31)
[6] 第01話[あぁ春が一番](2010/06/06 12:15)
[7] 第02話[あぁ春が一番](2010/06/06 12:20)
[8] 第03話[あぁ春が一番](2010/07/10 09:03)
[9] 第04話[あぁ春が一番](2010/11/05 00:07)
[10] 第05話[あぁ春が一番](2010/11/05 00:24)
[11] 第06話[あぁ春が一番](2010/11/05 00:35)
[12] 第07話[あぁ春が一番](2010/11/05 00:45)
[13] 第08話[あぁ春が一番](2010/11/06 23:42)
[14] 第09話[あぁ春が一番](2011/01/27 22:47)
[15] 第10話[あぁ春が一番](2011/04/20 00:59)
[16] 第11話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:17)
[17] 第12話[あぁ春が一番](2010/11/07 22:29)
[18] 第13話[あぁ春が一番](2010/11/07 23:04)
[19] 第14話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:19)
[20] 第15話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:49)
[21] 第16話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:22)
[22] 第17話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:23)
[23] 第18話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:24)
[24] 第19話[あぁ春が一番](2011/05/03 18:29)
[25] 第20話[あぁ春が一番](2010/11/10 00:41)
[26] 第21話[あぁ春が一番](2010/11/11 00:05)
[27] 第22話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:50)
[28] 第23話[あぁ春が一番](2010/11/11 23:29)
[29] 第24話[あぁ春が一番](2010/12/12 15:48)
[30] 第25話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:51)
[31] 第26話[あぁ春が一番](2010/12/12 15:48)
[32] 第27話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:51)
[33] 第28話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:52)
[34] 第29話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:53)
[35] 第30話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:53)
[36] 第31話[あぁ春が一番](2011/05/15 01:42)
[37] 第32話[あぁ春が一番](2011/05/15 23:54)
[38] 第33話[あぁ春が一番](2011/05/25 00:04)
[39] 第34話[あぁ春が一番](2011/05/25 00:05)
[40] 第35話[あぁ春が一番](2011/05/25 00:05)
[41] 第36話[あぁ春が一番](2011/07/11 21:25)
[42] 第37話[あぁ春が一番](2011/08/15 13:46)
[43] 第38話[あぁ春が一番](2011/10/24 00:46)
[44] 外伝 TE編・上[あぁ春が一番](2012/07/23 11:57)
[45] 外伝 TE編・中[あぁ春が一番](2012/08/13 20:03)
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[16427] 第06話
Name: あぁ春が一番◆17cd7d65 ID:bc6cc51c 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/11/05 00:35


御剣財閥誕生から、3年程が経過した1991年。

昨年より始まった大規模BETA群の東進により、ユーラシア北東部,東アジア,東南アジアは主戦場と化していた。

そして日本帝国は、BETAの東進を自国の危機と判断し、東アジア戦線への帝国軍派遣を帝国議会で決定する。

そんな激動の時代に、いよいよ第3世代国産戦術機のトライアルが行われ、富嶽重工,光菱重工,河崎重工,御剣重工の
四社合同で開発した『不知火』と、御剣財閥で開発した『吹雪』が量産機の座を争う事になった・・・。






現在俺は13才という年齢ながら、高校2年生をやり無現鬼道流を学び、会社の重役も務めるという多忙な日々を送っている。

そして、夏休み明けには高校3年生に上がり、来年の春には大学生をしている予定だ。

そんな俺が今いる場所は御剣重工の会議室、ここでは後二週間に迫った第3世代国産戦術機トライアルで行われる事になっている、
プレゼンテーションの対策会議が行われていた。

俺は吹雪の開発での苦労を思い出し、プレゼンテーションの内容を感慨深い思いで聞いていたのだった。

吹雪の開発に関して、当初の俺は開発を指示するだけで余り深く関るつもりはなかったのだが、
吹雪開発には予想以上の大きな困難が待ち受けていたために、深く関らざるおえない状況に陥る事になる。

開発が難航した理由は、不知火の開発にメインの人材が投入されていたために残っていたのが、
経験はあるが考えが古いベテランと知識はあるが経験が浅い若者が殆どだったためだ。

つまり、俗に言う油の乗り切った世代が不在だったのだ。

俺は人員不足をカバーするために、グループ各社から使えそうな人材を集めると共に、自分の特殊能力をフルに活用する破目になる。

俺が持つ特殊能力とは、乗り物に乗るだけでその乗り方や乗り物の性能・特性を理解する事ができる騎乗という能力だ。

俺は日々改良を加えられる不知火のコックピットに座ることでその性能や特性を感じ取り、
それを吹雪と比較してどの部分がどれだけ異なっているかを吹雪の開発者達に報告をするのだった。

これは、吹雪の開発には不知火というベースが有るからこそできる裏技に近いものだったが・・・。

ともかく、俺が指摘した所は多岐にわたり、それを抜粋すると以下のような事があった。


「不知火に対して、膝関節がふにゃふにゃしすぎじゃないか?
 具体的に言えば、強度が30%ダウンくらい。
 テストパイロットに、この程度の強度で実戦で通用するか確認してきて~。」


「この間不知火で導入したパーツを吹雪に導入すると、反応速度が3%ほど上昇するけど、コスト的にいるの?」


「このモーションをすると、ここの装甲が干渉しているんだけど大丈夫?」


「昨日交換した低コストのパーツだけど・・・、性能低下は1%以下だからそれほど性能には響かないよ。」





俺に深い工学知識が無いので具体的な利用は説明できていないが、実際に耐久試験やモーションチェックを行うと、言った事に近い結果が出るのだった。

そのため開発者たちから、コックピットに乗せるだけいい万能センサーやスカウターの様に扱われる事になる。

また、実機に乗らない場合でも実機とシミュレーターの違いを指摘し、吹雪のシミュレーターデータを揃えていった。

このことが、どれほど開発に影響を与えたかははっきりとはしないが、トライアルまでに吹雪を満足できる状態に仕上げることが出来ていた。

また、戦術機に乗っていると興奮してしまい、色々なお願いをしてしまう事があった。

それらは、開発者やテストパイロットの意見を聞いたうえで、一部が採用されることになる。







「他の企業からは、以上のような不知火についての報告が行われるはずです。
 次に、吹雪についての説明に入りたいと思います。

 吹雪は、不知火の低コスト生産機というコンセプトの基、開発された機体です。
 それゆえ、機体の60%は不知火のパーツをそのまま使用しております。
 したがって、今回は不知火とは異なる部分を抜粋してご説明します。」


1.装甲形状の簡略化
特に、上半身の装甲は簡素な形状に変更され、肩部装甲は限界まで切り詰められている。

2.主機・跳躍ユニットの変更
主機・跳躍ユニットに使用される部品の材質を見直すことで、コストダウンを図る。
ただし、これにより主機・跳躍ユニットの出力が8%ほど低下。

3.電子戦装備の制限
指揮官用の頭部ユニットを持った機体と情報をリンクさせることで、通常の吹雪に搭載されるセンサー類,対電子戦装備を必要最小限に抑えた。
指揮官用の頭部ユニットとの情報リンクは、不知火との情報リンクで代用可能。

4.ナイフシースの変更
不知火で前腕外側部に装備されている接近戦闘短刀格納モジュール、通称ナイフシースの場所を脇腹部に変更。
脇腹部より飛び出したナイフを、鞘から抜くようにして取り出す簡易な機構とした。
これにより、複雑な取り出し機構を簡略化しコストを削減、ナイフシースが有った部分には、小型のカナードが装備された。
総合的に前腕部の重量は軽減され、これにより前腕の稼動速度が向上した。

5.内蔵式カーボンブレードの搭載
前腕外側部に飛び出し式のカーボンブレードを装備。
65式接近戦闘短刀を抜く暇も無いときに使用される、補助的な役割を持つ。
収納時にはそれ自体も装甲として機能するように考えられており、重量増加を最小限に抑えている。

6.小型可動兵装担架システムの搭載
背面に2基搭載されている可動兵装担架システムを小型化したものを腰部に搭載。
これにより、予備弾倉や小型ドロップタンク(使い捨て外付け小型燃料タンク),新開発の手榴弾 等小型で軽量の物を搭載することが可能になる。


「以上の変更により、主機・跳躍ユニット出力の低下を機体の軽量化により相殺し、機動力・運動性の低下を最小限に留めることができました。
 したがってギリギリではありますが、帝国軍の要求と第3世代機の仕様を満たす機体となっております。

 ただし、ギリギリとはいえ紛れも無い第3世代機である吹雪は、現在帝国軍で配備されている戦術機をはるかに上回る性能を有していることは
 間違いありません。
 また、機体制御システムの改良により性能の底上げが可能、という報告も上がってきている事や、不知火とは異なりある程度の発展性を
 確保している事から、今後の性能向上が期待できます。

 そして一番重要な生産コストですが、現在予定されている不知火の調達枠の半分をいただけるとして、不知火10機のコストで吹雪は
 15機揃えることが可能です。
 もし、吹雪が現在のF-4J『撃震』と同数の生産台数が確保されるなら、不知火10機のコストで吹雪は18機調達できるという試算も出ています。

 御剣重工といたしましては、吹雪と不知火のどちらかを選択するのではなく、二機をアメリカのF-16『ファイティングファルコン』と
 F-15C『イーグル』の関係・・・。
 つまり、『Hi-Low-Mix』での運用を前提に次期量産機として提案したいと思います。」


開発者による吹雪の報告が終わり、質疑応答の時間に入った。

様々な意見が飛び交う中、俺はトライアルでどうしてもやりたいことがあり、この場にいた御剣重工幹部に対して要求を突きつけることにした。


「俺は、吹雪の完成度に大変満足しているが、このままじゃ不知火に一方的に負ける可能性がある。
 なぜなら、有視界での撃ち合いや一撃離脱の戦闘なら性能はほぼ互角だが、それ以外の性能では不知火に劣っているのが現状だ。
 コスト以外でインパクトに欠ける吹雪は、頭のいい人たちなら重要性がわかると思うが、
 頭の固い連中にはまったく相手にされないかもしれない。

 今回のトライアルでは予定されていないが、同程度のコストで揃えた中隊規模でのトライアルを提案できないか?
 具体的に言うと吹雪12機対不知火8機もしくは、吹雪12機対不知火6機+撃震6機でだ・・・・・・。

 私見だが、面白い結果が得られると考えている。」


始めは、中隊でのトライアルの提案を渋っていた幹部だったが、中隊規模の第3世代機を揃えることで得られる戦闘能力の話を行い、
もし中隊規模でのトライアルで吹雪が負けるようなことがあれば、責任は俺が取ると話すと素直に了承してくれたのだった。









トライアル当日、俺は特別に招待されトライアル会場に来ていた。

しかし、トライアル中に行われる会議に参加する予定はない。

軍人さんは、こんな子供がいる事をよく思わないだろうし、何かあった時に俺自身が会議中に爆発してしまいそうだからだ。

会場をぶらぶらしていると、厳ついおじさんに出会う。

俺の方には、用事がなかったので会釈して立ち去ろうとしたところ、向こうから声をかけてきた。


「君が御剣 信綱君かね。私は巌谷というものだ・・・。」


何でも、この巌谷さんは帝国軍の大尉で衛士をしているらしい。

俺はその珍しい名字と衛士という話を聞いて、ある人物を思い出した。


「間違っていたらすみません、もしかして瑞鶴でイーグルを落とした巌谷さんですか?」


「ああ、私がその巌谷で間違いない。」


「あなたに会ったら、是非お礼を言いたいと思っていたのですよ。
 ありがとうございます、あなたのお陰で陽炎を本格量産せずにすみました。」


私のその発言に、巌谷さんは軽く驚いた表情を見せた。


「まさか、その事で礼を言われるとは・・・・・・、もしかしてそれは君なりの皮肉なのかね?」


「いえ、本心ですよ。

 元々、陽炎は研究のつもりで導入した機体だったので、量産の検討すらしていませんでした。
 それを、米国の方が乗り気になってしまって・・・。」


「そうか・・・、そう言ってもらえると気が楽になる。
 これでも戦術機の開発に携わっていたことがあってね。
 戦術機の開発の苦労を知っているだけに、イーグルを改修した者達の努力を無駄にしてしまったのでは無いかと、心配していたのだ・・・。」


「陽炎に対する投資が少なかった分、今回トライアルに出した機体たちに力を注ぐことが出来ました。
 ところで巌谷さん、今回のトライアルに参加した戦術機について、戦術機開発の先人として何か意見はありませんか?」


「それは、不知火に関してかね?
 それとも君が主導して開発した吹雪に関してかな?」


巌谷さんはそう言って、こちらを厳しい目で見つめてきた。


「もちろん、吹雪に関してのことです。
 現時点でも、不知火は疑いようが無いほど優秀な機体ですから・・・。」


「では、その不知火に全ての点で劣る戦術機を開発した理由は何かね?
 それを聞かないことには、私から言う事は何も無いな。」


「巌谷さん、訂正して下さい。
 何点かにおいて、吹雪は確実に不知火を上回っています。」


「ほう、ではその点を言ってみろ。」

 
「吹雪の開発コンセプトは低コスト第3世代機です。
 その吹雪が不知火に勝る点は大きく三つあります。

 まず一つ目は、稼働率と整備性です。
 吹雪は、その開発過程において極限まで無駄を省くことでパーツ数を減らし、一部の機構に第一世代機や第二世代機に使われている
 信頼性の高いものを採用しています。
 それにより、整備時間の短縮やパーツの確保が容易になりました。

 そして二つ目は、必要とする衛士適正が低い点です。
 不知火はその高い性能ゆえ、衛士に高い技量と適正を要求しています。
 このままでは、不知火に機種転換が行えず撃震に乗り続ける衛士がでてくる恐れがあります。
 それに対して、主機・跳躍ユニットの出力を抑え、軽量化により機動力と運動性を確保した吹雪は、衛士にかかる負担が軽減されています。

 最後が、生産性です。
 吹雪はコスト削減と同時に、生産に要する時間も大幅に削減することに成功しています。
 今後の対BETA戦では、優秀な戦術機を数多く揃えることが必要になります。
 そのことを考えると、撃震と入れ替えで導入するには、吹雪が最適な機体であるといえます。

 以上が、吹雪が不知火に勝る点です。
 したがって、吹雪は戦術機としての性能は不知火に劣っているものの、兵器としては上回っていると考えています。」


俺は、ここまでの内容を一気に喋り終えた。

巌谷さんは、俺の説明に少し考える様子を見せた後、さらに質問を投げかけてきた。


「君がそこまで、戦術機の量産にこだわる理由は何だね?
 幸い、帝国は対BETAの矢面に立っているわけではない。
 不知火でも十分数を揃える事ができると思うのだか・・・。」


ここで、未来知識から10年以内に帝国はBETAの進行を受け、国土の半分が蹂躙されることがわかっている事や、不知火の量産が思ったほど進まず、
多くの衛士が撃震で戦い命を落としていくことを知っているなどと言えるわけがない・・・。

俺は開発当初の理由を誤魔化しながらも、BETAが東欧に侵入してからヨーロッパを席巻しイギリスに進行するのに10年ほどしかかからなかった事から、
去年から始まったBETAの東進も10年ほどで帝国に到達する可能性がある事。

大陸に派兵が決定した今、帝国は不知火にだけ資金を注入することもできず、このままでは量産が中途半端なもので終わってしまう恐れがある事を
話していくのだった。

その後、話題が吹雪開発秘話に及んだところで、巌谷さんを呼びに士官の方が来た。

どうやら、これからトライアルの会議に出るらしい。

俺は去り行く、巌谷さんに対して声をかけた。


「巌谷さん、結局のところ吹雪はどうなのですか?
 教えてください。」


「実際に乗ったわけではないのでなんとも言えないが・・・、君の話を聞く限り悪くは無いと思うよ。
 なかなか面白い話が聞けた、信綱君 ありがとう。
 今度会う時は、戦術機以外の話が出来るといいな。」


そう言って、巌谷さんは去って行ったのだった。



この時の巌谷さんとの会話が、その後の会議にどのように影響を与えたか分からなかったが、この日のトライアルの結果は結論を先送りし、
後日行われる中隊規模での再トライアルで結論を出すことに決まった。

後日行われたトライアルでは、吹雪12機(二機が指揮官ヘッド)対不知火8機と吹雪12機(二機が指揮官ヘッド)対不知火6機+撃震6機の2パターンが
比較された。

吹雪12機対不知火8機のトライアルでは、運動性及び短距離の噴射跳躍を行う戦闘機動では互角の性能を有するため、
戦闘地域が限定されたトライアルでは単純に数が多い吹雪が勝利する形になる。

吹雪12機対不知火6機+撃震6機トライアルでは、第3世代機の不知火と第一世代機の撃震という、戦闘機動力がまったく異なる機体を中隊規模で
運用・連携することの難しさが浮き彫りになり、連携の隙を突かれ撃震が全滅すると後は数に勝る吹雪の独壇場となって行く。

そしてトライアルの結果は、すべての対戦で吹雪を駆る中隊が勝利するという圧倒的な差を見せ付ける事になった。

その結果を受け、不知火をエース・特殊部隊用、吹雪を一般衛士用として採用するという結論が出された。

また、吹雪の独自装備となっていた内蔵式カーボンブレードと小型可動兵装担架システムについて、トライアル中に有効に活用される場面が
多くあったため、不知火への搭載が検討される事になる。

不知火の量産時には、不知火と吹雪の設計が近かった事と重量の増加が大きくなかった事から、不知火にも内蔵式カーボンブレードと
小型可動兵装担架システムが搭載される事になった。

今年中にも不知火の先行量産型40機、吹雪の先行量産型60機が帝国軍に納入され、実戦に投入される予定になっている。



俺は第3世代戦術機の実戦投入を機に、各社で開発した兵器を実戦で検証する実験部隊の設立を帝国軍に提案する事にした。

その話は各企業の共同提案という形で、帝国軍に打診された。

実験部隊は各企業の意向が強く反映するものだったが、戦闘員は帝国軍に所属する事,かかる費用は全て企業が持つ事,
検証結果を全て帝国軍に報告する事を条件に、帝国軍は承認を出すことになった。

各企業はこの実験部隊を使い、合同で新兵器・他国の戦術機の実戦データを取っていくことになる。







12月16日

本日は俺の妹である御剣 冥夜と双子の姉である煌武院 悠陽の誕生日である。

俺は悠陽からの招待で、煌武院家で開かれる悠陽の誕生日を祝う宴に参加することになっていた。

悠陽の誕生日を祝うと同時に、この宴の間に冥夜と悠陽を会わせるために、決して煌武院家の敷居をまたぐことを許されないはずの冥夜を、
俺の友人という設定で男装を施し煌武院家に進入させる事になった。

冥夜がばれずに煌武院家に入れる事になったのは、残念ながら俺の力ではない・・・、俺の母が協力してくれたためだ。

俺と冥夜が母に連れられて煌武院家まで来ると、悠陽の母親に出迎えられノーチェックで煌武院家の中に入ることができたのだった。




母が冥夜と悠陽の面会に協力してくれるようになったのは、俺が必死に説得したからだ。

俺が母を説得した理由?

何のことは無い、初めて冥夜と悠陽を会わせた次の日、旅行から帰ってきた母に二人を会わせた事が即効でばれ、説得するよりほか無い状況に
追い込まれたからだ。

幸いにもあの時点で、悠陽と冥夜の面会の事実を知っているのは母だけだった。

俺は、当時10歳だったのでギリギリいけるだろうと思い、母に甘えながら説得を開始する。

なかなか納得してくれない母に対して、最後の方は熱くなってしまい、


「本当の姉妹が離れ離れなんておかしいよ!」

「冥夜と悠陽には、必要なことだ・・・・・・。」

「俺は、冥夜と悠陽を幸せにするんだ!!!」(兄として)


とか適当な事をまくし立てたら、何故か協力してくれることになっていた。

何故だろう?

母は話の最後に、


「信綱さんと悠陽さん,冥夜さんは6歳も年が離れているのですよ?」


と良くわからない確認をしてきたが、俺はその問に自信満々で返事を返すのだった。


「それが、どうしたというのです。

 些細なことです。」(だって、兄妹だからな)


その後、母は悠陽の母親を説得することで、年に2回二人を会わせる事が出来るように取りはからってくれたのだった。




宴の中で目立たない位置にいた俺と冥夜は、頃合を見て悠陽とアイコンタクトを取り、悠陽の部屋へ向かう。

悠陽の部屋に到着すると、二人は互いの誕生日を祝うと共に久々の再開を喜び合うのだった。

そしてしばらくすると、俺も二人の会話に参加することになった。


「信綱様、冥夜の習い事は順調なのでしょうか?
 冥夜に聞いても、最近は詳しく教えてくれないのです。」


「ん? 最近の冥夜か・・・?
俺が直接見たわけではないが、無現鬼道の鍛錬に積極的に取り組むようになってきたらしい。
 祖父さんは、何か目標が定まったからだと言っていたが・・・。
 
 どうなんだ冥夜?」


「兄上! 私は普段通りに鍛錬をしているだけです。
 悠陽さまこそ、最近は習い事についての話を誤魔化すようになりました。」


「ん? ・・・悠陽も順調に習い事を修めているらしいぞ、特に最近は神野無双の鍛錬に力を入れていると聞いた。」


「信綱様・・・、冥夜には内緒にするようにと申したでは無いですか・・・。」


冥夜も悠陽も最近、のびのびと修行をするようになり、実力が上がっているようだ。

やはり、ライバルがいるということは、成長を促すいい材料になるのだろう。

俺はその後、何時ものように二人の遊びに参加していく事になる。

この時の俺は、この時間帯なら悠陽の部屋に誰かが来ることは無いだろうと油断していたのだった・・・。

これがある悲劇キゲキを生む切っ掛けになるとは、想像もしていなかった。




コンコン


「失礼します。悠陽様、こちらに信綱殿が来ていなでしょ・・・ ・・・。」


俺達が悠陽の部屋で遊んでいると、突然真耶マヤが部屋にやってきた。

そして、遊んでいる俺達の顔を見て驚きの表情を浮かべるのだった。


「信綱、どうして冥夜がここにいる!

 貴様は煌武院家からの連絡を・・・・・。」


俺は真耶マヤの声で女中が駆けつけるのではないかと考え、慌てて手で真耶マヤの口を塞ぎ、体を拘束しようとした。

しかし、真耶マヤも無現鬼道を修めている猛者だ、当然のように抵抗することになる。

そしてもみ合いの末、気が付いたときには俺が真耶マヤの上に馬乗りになり、手首を一本ずつ押さえつける態勢になっていた。


真耶マヤ、説明するから静にしてくれ・・・。」


「私は月詠だ・・・。五摂家からの要求には可能な限り応える義務がある。
 貴様の話は聞けないぞ・・・・・・。」


そう言って、真耶マヤは大きく息を吸い込んだ・・・。
どうやら大声を出して応援を呼ぶ気らしい。
どうする・・・、俺は真耶マヤを圧倒できる実力が無いため、手で口を塞げば拘束を解かれる恐れがある・・・。
そうなったら、真耶マヤが応援を呼ぶことを防ぐことが出来なり、もう二度と冥夜と悠陽を会わせる事が出来なくなる・・・・・・。

俺はこの一瞬の間に、恐るべきアイデアを閃き、深く考えることなくアイデアを実行した。

アイデアが閃いた瞬間だけは、天啓だと思ったんだが・・・・・・。


「誰・・・。んっんーーーー。」


俺は、叫ぼうとする真耶マヤの口を自らの口で塞ぐのだった。

急に抵抗が激しくなった真耶マヤに焦り、真耶マヤの息を吸出し酸欠にさせるという行動にでる。

真耶マヤは混乱していたためか、鼻から呼吸が出来ることに気が付かず、次第に抵抗する力をなくしていき、ぐったりとなった。

俺はその隙を突き、ベッドのシーツで真耶マヤの体と口を縛る事に成功する。



しかし、悲劇キゲキはここで終わらなかった。


「悠陽様、どうかされましたか?
 部屋の扉が開きっぱなしに・・・。

 信綱! 何をやってしているのだ!」


何と、真那マナまで悠陽の部屋にやってきたのだ。

悠陽の部屋に来た真那マナが見た光景・・・、それは真那マナをシーツで縛り上げた直後の俺の姿だった。

その後真那マナがどうするかは、分かりきっていた・・・。

俺は叫ぼうとする真那マナに飛び掛かり、もみ合いの末、手首を一本ずつ掴み壁に押し付ける態勢に持ち込んだ。

そして、真那マナの口を塞ぐために真耶マヤと同様の口封じをするのだった。



真那マナ真耶マヤと同じようにシーツで縛り上げた後、正気を取り戻した俺は後悔の念に苛まれていた。

俺は、なんてことをしてしまったんだ・・・。

緊急時とはいえ、真耶マヤ真那マナに無断で二人の唇を奪う結果になってしまった・・・、もしやこれは強姦罪が適応される事例ではないか?

さらに、真耶マヤ真那マナ以外の二人の少女にも深い心の傷を負わせたかも知れない・・・。

俺が頭を悩ましていたところ、先ほどまで呆然としていた冥夜と悠陽が興奮した声で話しかけてきた。


「兄上! さっきの技は無現鬼道の奥義の一つなのですか?
 月詠たちが成す統べなく無力化されるとは・・・、恐ろしい技です。」


「冥夜、侍女から聞いたことがあります、あれは『接吻』というものです。
 侍女がいうには、殿方との接吻は時に気を失うほど恐ろしいものなのだそうです・・・。」


どうやら、二人の少女は心に傷を負うことは無く、逆に興味津々のようだ。

俺は8歳の少女に対する、接吻についての上手い説明が思いつかず、女中達の方が詳しいと誤魔化すことにした・・・。

冥夜と悠陽の接吻についての質問は誤魔化せたが、真耶マヤ真那マナに対する説明を誤魔化すことは出来ない。

接吻については、土下座でもして謝れば許してくれる可能性が残っている。

しかし、冥夜と悠陽の面会については煌武院家の問題であるために、俺の説得でどうにか成るものではなかった。

冥夜と悠陽の面会についての説明をするのは俺よりも、母達の方がが適任だろうと考えた俺は、悠陽に俺の母と悠陽の母親を呼んでくるようにお願いする事にした。

母達が悠陽の部屋に来た時、シーツで拘束されている真耶マヤ真那マナに唖然としているようだったが、俺が簡単な状況説明をすると
直ぐ二人を説得してくれることになった。

俺も一緒に二人を説得しようとしたのだが、何故か母達に悠陽の部屋から追い出されてしまい、仕方なく再度宴に参加することにした。

その後、宴の会場で真耶マヤ真那マナに会うことは無く、家に帰るまでの間の時間は多くの名士たちに囲まれて過ごすことになった。



後日、接吻の件を謝るべく真耶マヤ真那マナに会ったのだが・・・、二人の機嫌は悪くなっておらず、むしろ機嫌がいい様子だった。

俺は二人の様子に、母達はどんな説明をしたのかと首をかしげながらも、機嫌がいいならこのままでいいかと考え、そのままにする事にしたのだった。





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コメント

初投稿後、トータル・イクリプスを4巻まで読みましたが、巌谷さんの登場シーンが少ない上に細かな設定がわからないため、
殆ど描写の修正が出来ませんでした。

巌谷さんには、渋いおじさん分を補ってもらおうと登場させたのですが・・・。

また、唯衣も出そうと考えたんですが、この時点での巌谷さんと唯衣の関係がわからず断念。

トータル・イクリプスの新刊が出れば、もしかしたら書き直すことがあるかもしれません。


最後のキス?シーンに関しては、妄想が爆発してしまったとしか言いようが無い。

今の私には、この程度が精一杯です。


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