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No.16270の一覧
[0] 【習作】空から降ってきたアーチャーさんの話。(Fate再構成)[レレレの掃除夫](2010/07/04 22:19)
[1] 空から降ってきたアーチャーさんの話。②[レレレの掃除夫](2010/08/15 18:45)
[2] 空から降ってきたアーチャーさんの話。③[レレレの掃除夫](2010/07/04 22:19)
[3] 空から降ってきたアーチャーさんの話。④[レレレの掃除夫](2010/07/04 22:20)
[4] 空から降ってきたアーチャーさんの話。⑤[レレレの掃除夫](2010/04/25 17:39)
[5] 空から降ってきたアーチャーさんの話。⑥[レレレの掃除夫](2010/07/04 22:20)
[6] 空から降ってきたアーチャーさんの話。⑦[レレレの掃除夫](2010/07/04 22:20)
[7] 空から降ってきたアーチャーさんの話。⑧[レレレの掃除夫](2010/07/04 22:21)
[8] 空から降ってきたアーチャーさんの話。⑨[レレレの掃除夫](2010/06/20 05:09)
[9] 空から降ってきたアーチャーさんの話。⑩[レレレの掃除夫](2010/05/05 20:02)
[10] 空から降ってきたアーチャーさんの話。⑪[レレレの掃除夫](2010/06/20 05:09)
[11] 空から降ってきたアーチャーさんの話。⑫[レレレの掃除夫](2010/06/20 05:06)
[12] 空から降ってきたアーチャーさんの話。⑬[レレレの掃除夫](2010/07/12 06:59)
[13] 空から降ってきたアーチャーさんの話。⑭[レレレの掃除夫](2010/09/12 19:36)
[14] 空から降ってきたアーチャーさんの話。⑮[レレレの掃除夫](2010/09/12 19:35)
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[16270] 【習作】空から降ってきたアーチャーさんの話。(Fate再構成)
Name: レレレの掃除夫◆56463aaa ID:9314d31a 次を表示する
Date: 2010/07/04 22:19
魔力が伴った誰かの呼び声が聞こえる。
その呼び声によって、自我しか存在しない魂の渦に形の方向性が与えられる。
呼び起されるのは生前、最も馴染んだ姿。
形の存在しない魂がその記憶の情報に基づいて、英霊の体を形作る。

180強の身長。褐色の肌。色の抜けた髪に赤い外套。
英雄エミヤの最盛期の頃の姿──────。


どうやら、これは召喚のようだ。
何者かがこのオレを現世に呼び寄せようとしている。
これは決して、守護者における世界からの招聘ではない。
意思がある。自我がある。恐らく、現世に召喚されても己の意志を持って、動く事が出来るだろう。
珍しい事もある──────と、そこまで考えてオレは目を見開いた。

風を感じたのだ。
焼け焦げた火の粉が舞う風でなく、身を切るような冷たい風だ。
懐かしい風だった。
久しく感じた事が無かった。
だから、ふと疑問に思った。
なぜ召喚早々、こんな風を感じるのか。
そうして、開かれたオレの目に映ったのは、

いつか、どこかで見た夜の空―――ああ、そう詰まる所、オレは今落下している。


なんでさ。


頭の中で久しく口にしていない口癖が飛び出す。
はあ、なんて、ふざけたマスターなのか。
後で思いっきり、嫌みを言ってやろうと心に硬く誓い、オレは次の衝撃に備えた。








どかーん、がしゃーん、どんがらがっしゃーん!




まあ、何とでも効果音は付けられるが、オレはとある家の屋根を突き破って、召喚された。

実のところ、かなり痛い。

恐らくだが、一応ここがオレを召喚した主の家で間違いはないと思う。
召喚の衝撃でかなり、部屋は崩壊しているが、部屋の端々に魔力を帯びた物品が散乱しているし、まさか、全く召喚主と無関係な魔術師の家に落下したはずもあるまい。

しかし、此度の我がマスターはとんだ未熟者のようである。
いくらなんでも、このような乱暴な召喚今まで類をみないものだ。
全く実力もないというのに英霊等という存在を召喚しようとは、どう考えても、これから先が思いやられる。
一体このマスターはオレをどういう意図で、召喚などしたのだろうか。
通常ならば召喚された時にある程度、その召喚における情報が英霊に供給されるものだが、そういった気配は全く感じられない。

この時代が一体いつ頃なのかも、どこの国であるかもわからない。
このきっちり破壊された調度品を見る限り、どこか見慣れたものばかりで、それほどオレの生きていた時代とかけ離れた時代ということもなさそうだが、ずいぶんと古臭い建物であるし(物置のようだ)、はっきりとはわからない。

もしかしたら、全く違う時代の可能性もある。
下手をすれば、召喚されたは良いが意思疎通が図れないなんて事もあるかもしれない。


どちらにせよ、厄介なことである。
これより、合間見える召喚主との邂逅に頭痛を感じつつも、いい加減、オレは先ほどまで腰かけていた瓦礫の上から立ち上がった。
このような廃墟でいつまでも、座り込んでいるのも馬鹿馬鹿しい。
今の所、召喚主が現れる気配はないし、早々にこちらから相手に接触を図る方が無難かもしれない。


そう思い、廃墟となった部屋から扉を開け、外に出る。
視界に広い庭が広がった。
どこか、懐かしいと感じさせる。
どうやら、この家は武家屋敷であるようだ。
今、出てきた部屋を振り返った。白い土塀の建物。土蔵だ。


懐かしいエミヤシロウの部屋──────。


心に小さな動揺が広がった。
すぐさま、土蔵の中に駆け戻る。
今度は土蔵内にあるモノをつぶさに観察する。
修理中と思しきストーブに、ペンチ等といった工具。
ペンギンのかき氷機に、屋台で使うような鉄板、用途不明の皿、エロ本、自転車、ラジカセ、パソコン、


そして、見た。


中身のない形だけのガラクタ。
投影で造られたモノでありながら、短期間で消え去ることなく、存在し続ける異物。
投影であって、投影でない魔術の証。
エミヤシロウだけの魔術。
それが、─────ここにあった。

気が付けば、知らず笑っていた。
歪んだ笑みだった。
そう、願いは叶った。今ここに召喚された理由など分からぬが、そんなことは最早どうでもいい。
エミヤシロウが衛宮士郎を殺す事が出来る。
その事実だけがあればよかった。
それはひどく破滅的な願いではあったが、ただの掃除屋に成り果てたエミヤにとっての唯一の希望だった。





「あんた、いったい何なんだ」



声が聞こえた。初めて聞くようで、だが、馴染んだ声音だった。
振り返る。暗い夜の中、月明かりに晒されて傷だらけの少年が、立っている。
年の割には幼い顔で、赤毛。身長は低い。
少年時代のいつかの衛宮士郎。体が震える。
これは本来であればありえない邂逅だ。
叶うはずのなかった希望。
それが、今ここで叶う。


──────トレース・オン。


言霊を口に乗せる。
それを聞いた少年がわずかに動揺した。
己と同じ呪文に反応したのだろうが、だからといって何かが変わる事ではない。
イメージするのは一本の黄金の剣。
かつての衛宮士郎が初めて投影した宝具だ。
伝承によるならば彼の剣、主が騎士道に反する行いをした時、真っ二つに折れたという。
この先、誓いを裏切る衛宮を裁く刃としてはこれ以上、ふさわしい剣はない。

剣の丘より、引き摺り出した黄金の剣が右手に現れた。
少年の頭上に剣を振りかざす。
剣のきらめきが視界に眩しい。
セイバーを思い出した。






「問おう、貴方が私のマスターか──────」




忘れもしない。一瞬にして、永遠の記憶。
例え、地獄に堕ちようと鮮明に思い出す事ができた。
金砂の髪とどこまでも穏やかな聖緑の瞳。
かつての少年が誰よりも愛したその奇跡。
ふと、これでいいのかと、思ってしまった。
初めから正しくない事はわかっている。
だが、それでも、それ以外望む事ができなくなった。

悲願だった。
妄執だった。
希望だった。


何を、迷うか──────エミヤ。




だが、剣は止まった。
目を見開き、死を待っていた少年は不思議なものを見る様にオレを見た。
そして、すぐさま身を翻し、土蔵の中から駆けだした。
当たり前だ。
突然、土蔵の中から現れた不審な襲撃者が手を止めたのだ。
自殺志願者でもあるまいし、すぐに逃げ出すのは当然だろう。
少年の走り去っていく、後姿を眺める。
自分の後姿を眺めるなど、こんな経験をしたのは自分くらいのものだと、少し可笑しくなった。

まあ、いい。
幸い、この身の魔力は満ちている。
少年を仕留める機会はまだある。
迷いがあるならば、今はまだ。





その命、預けておく──────。








─────────

2010.7.4 修正


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