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No.15829の一覧
[0] 【習作】とある科学の一般人【とある科学の超電磁砲・TS要素有り】[ビェールクト](2010/01/24 12:44)
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[15829] 【習作】とある科学の一般人【とある科学の超電磁砲・TS要素有り】
Name: ビェールクト◆752f6d2e ID:a984f470
Date: 2010/01/24 12:44
六月になったばかりだと言うのに、街は既に茹だるように熱い
日も伸び、時計の針が六時を廻ったところだが、未だ日が暮れる気配はおらず
肌に纏わり付くような陽気のせいもあって、どこか薄気味悪く感じた。

街も、この時間帯なら本来、人混みで溢れかえって然るべきなのだが、
今日ばかりは例外だったようで、閉店時間直前に来たのかと首を傾げるほど街を歩く人並は少ない。

天然のサウナだと言っても通じてしまう灼熱の炎天下は否が応でも夏の到来を感じさせる

そのせいだろう、熱中症で倒れかねない地獄を避け、室内に篭る者も多く活気がない。

通常部活帰りに、大挙して押し寄せる学生連中も一秒でも早く帰りたいのか、
ワイシャツのボタンを誰も彼もが出来るだけ外して、脇目もふらず家路を急ぎ、帰っていく。

疎らな人影、陰鬱で澱んた空気、気が滅入るとしか、表現仕兼ねる風景。

そんな町並みを尻目に私、佐天 智華は姉の待つ場所を目指し歩いていた。

繁華街から少し離れた通りの半ば、自動販売機に差し掛かり、喉の渇きを覚え、買おうと近づいてみると、妙なことに気付く、自販機から覗ける薄暗い路地裏に女性一人と男性数人が居るのを視線で捉えたのだ。

壁を背に震える体を抱く少女は、恐怖からか唇を青ざめさせて、身動きが取れずにいる。

対して、男たちは一様に余裕を醸し出して、これから来る未来を想像してか下卑た笑を漏らす。

一目見て、何が起きようとしているのか把握した。
バッグに入っている携帯を取り出し、こんな事態に対処するここ学園都市の専門家たちに連絡をとる。

「こちら―――」

▽▲▽▲▽▲▽▲


私は自分の採るべき行動を悩んでいた。
今まさに凶事を起こそうとする者たちは、予想でしかないが、つい先日、
隣接する学区で犯罪を多発させる複数のスキルアウトグループを警備員(アンチスキル)が一斉検挙したと聞く、武装集団の残党だろう。

辛くも難を逃れた悪運強い奴らは、早速とばかりに自身の欲望の赴くまま、他者を省みぬ悪徳を尽くすのだ。

「やだ―――こんなのやだよぅ、誰か助けてよ!」

その身に降りかかる災厄を受け入れられず、少女は絶望で顔を染め上げ立ち尽くす。
それを……男は手にしたナイフで、躊躇なく切りつけた。

「―――――――――――――――」

あまりの現実に悲鳴すらあげられない。
男は、地に落ちる上着の一部では飽き足らず身に纏う服を切り裂いた。
ついで、スカートを対象とし、一撃振るう。
服は見るも無残で、無事なのは下着だけ、少女の脳はやっと現実を認識しヒィっとか細い悲鳴をあげる。

心と体の震えを抑えるため、自分の体を痛いぐらいに少女は抱きしめた。

その哀れな子羊を心底楽しそうに見下ろして、少し、少しずつ男は近づいていく。
ナイフを仕舞い、悪意を具現化させて、欲望を少女にぶつけるべく。


―――間に合わない、きっと間に合わない、どう考えても致命的に間に合わない。
呼び出した、アンチスキルもジャッジメントも手遅れ、漫画やアニメのように都合よく救い手は現れない。

この場において、凶行を止められる可能性がるのは私のみ。
その私自身、異能の力を行使出来る訳でもなく、次世代兵器を装備している訳でもない無力な一般人だ。

アイツらには常識など通用しない、あるのは己の都合だけ。
邪魔をすれば何のことはない、彼等の楽しみが一つ増えるだけだろう。
気付かれる前に、此処から逃げおおせなければ、確実に少女の仲間入りを果たす。

客観的に見て、彼女を助ける最低限の行動は起こした。
褒められこそすれ、批判されることはないと理性は理屈を建てる。

だが、そんなものは少女が手遅れになる寸前の表情を見て粉々に消し飛んだ。

絡まった糸は溶け、思考の海から浮上、護身用の武器を引き抜くと同時に安全装置を切る。

……尋常じゃないってことぐらい理解できている。
誰だって、大抵こんな場面を見れば、助けたいと思うだろうが、実行には移せない、理由は至極簡単。

手遅れ確定の少女を助ける為に自分の命までにドブに捨てるのは、あまりにも割に合わないからである……普通は。

―――だけど、普通なんて知らない、無謀だと知っていても退けない。
私には、理不尽に摘み取られる可能性を見捨てることは出来ない。

胸の奥から湧き上る感情に駆られてただ動く、意志と銃の撃鉄を起こし、暴徒鎮圧様のゴム弾が装填された引き金を引く。

「がっ……!?」

銃弾をくらい男は堪らず地に倒れこむ。
ヘビー級プロボクサーのパンチ並みの衝撃を受けたのだから、それも当然、白目を剥いているのを一瞥して疾走を開始する。

スキルアウトたちは呆気にとられて、何が起きたか分からず、停止状態。
奴らはあくまで狩りを楽しむ立場で、狩られるなど思考の慮外なのだ。
暴力を振るうことはあっても、反抗されるなど、まして気絶させられるレベルの者が襲い掛かって来るなど想定していなかった。

そもそも、自分たちの望んだ幻実しか見てない彼等に瞬時の現状把握が出来る筈なかった。

隙を好機とばかりに進路に邪魔な標的を立て続けに無力化する。
奇襲が決まり、相手が無防備な今おいて、数を減らさなければ勝機はない。

無事に少女の元まで辿り着き、彼女の手を引いて走り出す。
最後のおまけと銃を乱射、人通りの多い繁華街に向かい、ただ足を走らせる。

私たちが少し離れてから、遅れること数秒、連中はようやく状況を認識した。

「あのクソッ尼、巫山戯たことしやがって……後悔させてやる!!!」

後ろから、理性を失った獣の叫び声が聞こえると、
本能を剥き出しにして荒れ狂った怒声が追従するとともに獲物を求めて集団が追走に繰り出した。


▽▲▽▲▽▲▽▲

後悔させてやる、か、奴らに捕まれば、
後悔じゃ済まないだろうに、と私は内心苦笑してしまった。
実際、それを有言実行と本気でやってしまうから、当事者にとっては冗談でも何でもない

―――しかし、状況が悪い、獣故か、群れることに関しては中々だったようで、追跡者は何時の間にか10人を優に超えている。

つまり対処可能な数もとっくに超えていた。
更に極度の緊張状態からか、少女の体力の消耗が予想より激しい、ゴム弾を射って牽制しているものの、
最初に離した距離、唯つのアドバンテージは後、一二分で詰められる。

自分独りなら、逃げ切れるかもしれないが、そんなものは論外、本末転倒だ。

私が介入したことによって、怒りに燃える獣はまず間違いなく、当初より激しく、厳しい理不尽を与えるだろう。
そうなれば、私がしたことは意味が無いどころか、悪化させただけの最悪手になる。

私が誰に強制された訳でもなく、自分で選んだ行動だ。
それに責任を持てなければ、自分が許せない。

何が何でも彼女だけは安全な場所に送り届ける。

―――ならやることは一つだ。足りない時間を稼がないと。

手短に少女に意図を説明し、了承を受け取り、少女は行く。

後ろに一度も振り返えらず、走り去ったが別段、薄情だとは思わない。
助けたいから、助けたのだ、見返りを求めたものではない。

こちらを気にせず危険から遠ざかることに専念してくれるのだから、最善ですらある。

上手くいけば、自分の作った時で、呼んだどちらかが駆けつけてくれるかもと、己ですら信じていない気休めを思う。

―――さて、このあたりが良さそうだ。
勝つための戦いを始めるとしよう。


▽▲▽▲▽▲▽▲

戦闘は最初に追いついた四人を引き付けるまでは良かったが、後続が続々と集結した時点で、
追い込まれ、物量に圧され、最後は呆気なく取り押さえられた。

優性を誇っていたのは武器であって、私ではないのだから、武器が尽き、華奢な中学一年でしかない私に、
体格で圧倒する敵対者に近づかれた瞬間に敗北は確定していたのだった。

「ったく!手間掛けさせやがって、可愛い顔してやってくれたな」

頭を手で抑え、身体を地面に押さえつけられた格好の私に、勝ち誇ったように告げる。

「ん―――よく見りゃ、かなり育ってるな 最近の餓鬼は発育が無駄にいいから、けしからねぇよ」

嘗める様な無遠慮な視線が胸や下腹部に向けられる。
汚されたみたいで酷く気持ち悪い……私は肉体が女でも、心は男なのだ。
そういった悪意に晒されると吐き気がする―――だから

「これなら、さっきの奴より楽しめそう―――」

鳩尾辺りに肘打を叩き込んだ。

「ぐっ……!?」

拘束が緩んだ隙にもう一発叩き込み、立ち上がる。

「汚されるぐらいなら、死んだ方がましだ! そして、死ぬなら最後まで、戦ってから死ぬ!」

「はぁ!?テメェ何言ってんだ 莫迦じゃねぇの」

「莫迦じゃない!それに―――彼女は助かった、助けられた……だから私に悔いはない」

そう、堂々と告げると相手は何がおかしいのか、急に笑い出した。

「ハハハハハハハハッ~~~~何それ…その話超おもしれよー!うん!はぁはぁ―――ホント久しぶりに腹を抱えて笑ったぜ」

本当に耐えられないぐらい笑えるのか、腹を抱えて笑い続けて、こう告げた。

「いや、でもよ~お前のやったこと全部無駄だぜ―――だってあっちも今頃捕まってる 俺たちの仲間は既に先の道で待ち伏せ中って訳ですよ?」

「……え?嘘だ」

「いやいや、嘘じゃないんだこれが、テメェがやったことは徒労よりも質がワリィ余計なお世話だったって訳、ホントご苦労様」

「―――――――――――――――」

何を……言っているのか、分からない―――いや分かりたくないのだ。
支えが、砂上の楼閣にしか過ぎなかったなんて。

「お礼にテメェのクソ生意気な意志を矯正してやる感謝しろよぉ!」

立ち尽くす私に他者を蹂躙する力が放たれた。


眼前に迫る暴威、それは抗いようのないものだった。
蟀谷(こめかみ)を穿たんと繰り出される屈強な拳。
意識だけが明瞭になり、世界が冗談の様に遅れてくる

手足は動かず、目は瞬き一つ許されない
ただ、呆然と不可避の衝撃を見つめ続ける
躱すどころか、躱そうとする行動さえ間に合わないだろう。

だと言うのに荒れ狂う猛りを持って用意された殺意は
―――それを上回る理不尽でねじ伏せられた。

聞こえたのはコツっと地面に降り立つ着地の音。

続いて聞こえるは金属が奏でる落下のしらべ、人類が生んだ暴力装置より齎されしもの
およそ、平和には似つかわしくないものであり、発する無機的な威圧感は他者を打倒するのに特化した凶器そのものだ。

温もりなど感じ得よう筈もない、真実ソレは暴虐の具現。
ただ、その暗闇を吹き飛ばすほどの輝きを、その正義の味方を誇っていただけ。

「―――怪我はないか?そこの勇敢なお嬢さん」

闇夜において尚、陽の光を錯覚させる声が響く

「危局を捨て置けず遅参した 管轄外ではあるがこれより我が力を用い、貴方を保護し、平穏無事に家に帰すことを約束しよう ―――誓いはここに」

そう、神託のように告げた。
彼女が言った科白はまるで、これから訪れる事実を語っていると見紛うもので

恐らく……いや間違いなく実現させてくれるであろうと信じさせてくれるのだ。

暗く、昏い中にあって、星照らす日差しの如く包まれ、路地裏は一種の聖域と化す。

永遠に感じられた光景は、刹那より少し長い事象。
でも、その流れは、鮮烈に心に刻まれ、目を瞑ればすぐにでも甦るだろう。

真正面を見据える視線、揺るぎ無い意志に裏打ちされた瞳。
彼女はどこまでも理想の体現者であり、乙女を主張する制服が風でヒラヒラと舞い踊る。

―――その姿を見て、あぁ……本当に力が欲しいと思う。
それは、望み追い求めても、決して手に入らなかったモノ、私の視界は霞んで濡れていた。







あとがき

すいません、習作って表記を入れ忘れてましたorz

TSの本来の常識な意味って本作の主人公みたいな人のことでした
今まで使っていたTSって本来の用法とはまったく関係なかったんですね
作者モノを知らなさすぎだろ、と言うか題名にいれなきゃ、常識的に考えて駄目でした
題名で二回修正とか抜けてるってレベルじゃ……


はい、今作は皆レベル5やレベル4書いてるし、自分が同じ題材で書いても二番煎じにしかならなさそうなので、
普通な力しかもたないレベル0を主役にしてみました。

後、かわいさレベル5の佐天さん、主人公の双子ですし、活躍させたいですね。

それでは、読んで頂いた方に最大級の感謝を

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