触れ合い球技会 それは、入学したての生徒達が交流を深めるために学年で行われる球技会だ。選択できる種目はソフトボール、バレー、テニス、ペタンク、バスケット。この中から好きなスポーツを選び、同じ選択者との仲を深める。
僕が選択したのはもちろん、
「………」
「…………ゴクリッ」
「…………」
ズシッという音を立て、手にすっぽりと収まる程度のボール(ブール)がビュット(目標物)の近くに落ちる。
「よっしゃっ!!」
勝利を確信した相手の声が聞こえる。
ふふっまだまだ青いな
中学生だから青いのは当たり前だが、そんなことを考えながら僕もブールを投げる。
そう、ビュットの近くにある相手のブールをディールさせるために。
つまるところ、ペタンクという競技は陸上カーリングのような物だ。
ビュットの一番近くにブールを置けた者が勝つ凄まじく地味なスポーツである。
もちろん、競技中に会話などない。
一連のゲーム(メーヌ)が終わった僕は、友人達の活躍を見ようとバスケットコートへ向かう。
「よっしゃ行くぜっ!!」
風を纏って裕也が走り出す。バスケ部の期待の星として活躍することになる裕也の片鱗がそこにはあった。
「Hey Yuya!pass!pass!!」
そして、アメリカ人留学生、アレン=アイバーソン 身長183センチの巨体を惜しみなく発揮しコートを支配するその姿は正しく王者の風格を漂わせていた。
このツートップを主砲に、一方的な攻めを見せるチームにバスケット界の発展を見た気がした僕は、翔太を見に行こうと思い、コートを後にした。
コートの方から、裕也の名乗りとピャーーッという音が聞こえた気がした。
グラウンドに着いた僕が見たのは、信じられない光景だった。
マウンドに刺さったどこかの国旗
マウンドに唾を吐く投手
追い詰められながらも自身の勝利を疑わず悪球をカットしチャンスボールを待つ選手。
そこから先は正しくドラマのようだった。
フォークボールをそのバットの芯で捉え、外野へと運び込んだバッターは悠々と、しかし恐るべきスピードでベースを廻り、ホームの土を踏んだ。
これが、僕と将来の日本球界を代表する男、鈴木一郎との初めての遭遇だった。
半ば放心状態でテニスを見に行った僕の目の前には、ハリウッド映画さながらの光景が広がっていた。
シングルスのコートの中、片方の選手は汗をかきながら必死にボールに食らい付いている。しかし、一方の選手はコートの中央に立ったまま一歩も動いていないのだ。
「な、なんだこれは……」
思わず言葉を溢してしまう。
「ふむ。これは恐らく手塚ゾーン。この技を使用している手塚の元にボールが返っていく確率は、100%だ。」
日本の未来に輝かしいものを感じた僕は、そっとその場を離れ、自分の平凡さに泣いた。
どうやら、私にはネタに走る才能はないようだ・・・
普通の日常物にするか・・・
誰かアドバイス下さいお願いします。
主人公よりも周りがチートな件…