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No.15304の一覧
[0] メノス・ワールド(迷宮世界)現実→*異世界*TSもの(R-15)[ru](2013/04/18 21:09)
[1] 導入(プロローグ)[ru](2010/01/21 01:13)
[2] チュートリアルその1[ru](2010/01/21 01:08)
[3] チュートリアルその2[ru](2010/01/26 01:21)
[4] ようこそ迷宮都市へ[ru](2010/01/23 23:39)
[5] 職を得るために[ru](2010/01/26 01:23)
[6] 職業選択[ru](2010/01/26 01:24)
[7] 職と信仰[ru](2010/02/08 00:13)
[8] ゆめのなかへ【序・終】[ru](2010/02/11 22:15)
[9] 【コマンドヘルプ】[ru](2010/02/11 22:26)
[10] はじめてのめいきゅう[ru](2010/02/18 01:20)
[11] 暗い迷宮の中へと[ru](2013/04/18 21:05)
[12] エンカウント[ru](2010/02/18 01:54)
[13] 取引[ru](2010/02/22 07:11)
[14] 承諾[ru](2013/04/18 20:57)
[15] 第二層[ru](2010/02/22 07:26)
[16] 探索終了[ru](2010/03/02 00:07)
[17] *R指定*夜、熱に襲われる【一章・終】[ru](2013/04/12 02:57)
[18] ------【一章までの設定など】------[ru](2010/03/04 22:14)
[19] 二章導入[ru](2013/04/12 02:55)
[20] PTを組むこと[ru](2013/04/06 02:31)
[21] 酒盛り[ru](2013/04/13 01:29)
[22] 色々初体験なこと[ru](2013/04/06 02:19)
[23] 初心者の塔・第一層~[ru](2013/04/13 01:31)
[24] 初心者の塔・第二層~[ru](2013/04/13 01:32)
[25] 初心者の塔・第三層~[ru](2013/04/13 01:33)
[26] 初心者の塔・第四層~[ru](2013/04/13 01:35)
[27] 頂上にて[ru](2013/04/13 01:46)
[28] ダンジョン探索は帰るまでがダンジョン探索です[ru](2013/04/13 01:49)
[29] 逃走劇[ru](2013/04/18 20:26)
[30] *R指定*一夜明けて[ru](2013/04/18 20:30)
[31] 入手品を試すのこと[ru](2013/04/26 02:35)
[32] 行きはよいよい帰りは~~[ru](2013/05/06 02:27)
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[15304] 探索終了
Name: ru◆9c8298c4 ID:4ac5bc85 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/03/02 00:07







 胸がムカムカする。
 最初に斬った人型のモンスターは小人だった。
 脳天をかち割られ、苦悶の表情で倒れる顔は絶対に夢に見そうだなとかそんなことを思ったりもして。

 二人目も同様に小人であったが、そこであることに気がついた。小手を狙うのは得策ではないということだ。
 何故ならそこを斬ったところで剣は振り下ろされるし、一方の手を使えなくしたところで、もう片方で剣を振ってくるからである。
 剣道のような小手の打ち方だと骨に遮られて斬り落とすことができないってのもあるし、他にも力を込めるなら別の場所を狙った方がいいってのもある。
 最も、一番の原因はドクドク流れる血に構わず剣を振り上げる姿はどうにもスプラッタで俺自身が耐え切れなかったというか。


 叫び声をあげ、剣を振り上げて突進してくる男。それは先ほどのような小人ではなく、俺と同じ人間のモンスターである。
 種族が変わったと言っても、体格が多少小人より大きくなっただけで、攻撃やら何やらは特に変わるわけでもない。
 勿論、心情的な面を除けばであるが。

 俺は八相に刀を構えて応じる。

 ただ振り上げ、走ってくるだけの姿は随分と隙だらけであると感じたが、そいつの人相に、俺は少しだけ刀を振っていいものかと躊躇。
 何故ならそいつの顔が俺の従兄弟のゆうと君に似ていたからで。

 もっとも、顔を歪ませ、血走ったその姿はとても刀を振らなくてもどうにかなるといった感じではなく、
 どこか恐怖のようなものが全身を駆け巡り、それを打ち消すために、
 「イヤッ!」 と一声あげて、袈裟懸けに刀を振り下ろす。

 ざくり、と嫌な感触を感じ、ずずずっと刀が沈んでいくかのような感触を覚え、
 ごつりと刀が相手の斬り裂いた中心部分で何か硬いものに遮られ、止まった。

 やば。と思ったのはその刹那である。
 明らかに致命傷。相手の動きが止まるかと思いきや、そのまま剣を振り下ろしてきたのだ。

 俺は止まった刀を持ちながら、左足を踏み込み、対角の右前へと進む。
 刀はしっかり相手の身体に挟まっているようで、つるり、と柄が手からすべり、俺は刀を放す。

 そのまま相手の横を抜ける。 

 「あ・・・はぅ・・・あ」
 と、その男は吐息を漏らす。

 刀は相手の身体の肩から中心部分まで裂き、留まっている。

 俺は右ポケットに手を入れた。
 今俺の手に武器は無い。だからそれに変わるものとして麻痺薬の入った試験管を手に持ち、構える。

 男は振り返り、そのままこちらへと一歩踏み出し、

 そのまま前へとうつ伏せに倒れた。


 蒸気が噴出し、流れ出した血液は蒸発し、男の身体は砂のように崩れていく。

 ふうっと一息。
 胃の辺りを右手で抑えつつ、蒸気を上げ消えようとしている男へと近づき、留まったままだった刀の柄を左手で掴み、引き出す。
 すぐ先ほどは相手の肉に挟まったような抵抗があったが、砂と化し始めてるせいかスルリと刀を抜くことが出来た。

 一瞬俺と一緒に笑いながら話すゆうと君の顔を思い浮かべ、胃を抑えたまま俺は洞窟の壁へと背中を預けた。

 気持ち悪い。本当に気持ち悪いのだ。今斬った種族は俺と同じ人間、しかも日本人のような顔で、さらにゆうと君に良く似ていたからだろうな。
 等と考えつつ、この胸のきゅーと締められるような感覚を少し軽減しようとしてみる。

 「大丈夫です?」
 ミュレンさんが言った。

 「いえ、あの。あまり大丈夫ではないような」
 俺は深呼吸して少しだけ気持ちを落ち着けた。

 「少し休んだほうが……」
 警戒するようにぐるりと部屋を見回した後、心配そうにミュレンさんが言った。

 「そうですね」
 と、俺は言った。
 「ちと吐きそうなのでご飯にしましょう。小腹も空きましたし」


 「え?あ、はい」




 ちなみに例え調子が悪くてもご飯だけは欠かさないのが俺である。










 迷宮世界






 



 「慣れません?」
 タコスのようなものを一緒に食べながら、ミュレンさんが言った。

 「慣れません」
 俺は一口だけ齧ったタコスのようなものを見つめながら言った。
 「でもまぁ、躊躇するってことは無さそうです」
 死にたくないし。

 「それならまぁ……いえ、矢張り慣れた方が。
 迷宮内には知恵あるユニークモンスターなんてのも居ますし」

 「ユニークモンスター?」
 俺は尋ねた。

 「神々の恩恵を受けた同じものが居ないモンスターのことです。
 対峙すればこれは違うものだってわかりますよ。
 人語を話したり、魔法を使ったり、武具を身につけていたり、身を隠すように潜伏したり……色々です」

 「流石に逃げたり意思が通じ合えるようなのとは闘いたくないな」
 俺は苦笑する。

 「人型で人語を解し、それでいてしっかり理性を持ちつつこちらを攻撃してくるようなのも居ます」

 「……ああ、成程」
 そういうのとは遭いたくないなぁと思いつつ。

 気分が多少落ち着いてきたので、タコスのようなものをハグハグと口に含む。

 「先ほども言ったような気がしますけど、同じ冒険者を襲う冒険者も居ます。
 迷宮内ではそういうのもモンスターのようなものです」

 「はぁ」
 と、溜息。ふと乞食を槍で殴り倒したミュレンさんを思い浮かべること暫し。

 「いやですか?」

 「気持ちのいいものじゃないですね」
 俺は苦笑する。
 「でも、早く慣れようと思います」

 タコスを食べ終わり、俺は立ち上がって伸びをする。

 「コボルトとかは特に問題ないんですけどね」
 多分リザードマンとかそのへんも大丈夫そうだ。多分触れ合っていないからだろうなーなんてことを思いつつ。





 ***





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 緑色ににごった薬が落ちている。
 
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 試験管に入った薬をミュレンさんから受け取る。
 コボルトが落としたものだ。

 「要ります?」という言葉に、「あ、ください」とそんな感じで受け取り、なんかこの色俺の持ってる毒薬に似てるなぁとか考えつつ、

 「鑑定」と、呟く。

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 それ は 毒薬 であることが完全に判明した。

 使用した対象に毒ダメージを与え、毒に侵す
 もし店で売れば 3G ぐらいになるだろう
 
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 やっぱり毒薬かーと考え、ドルーグの恩恵を確認しつつ、そういや、トルネコも武器商人だったなぁ等とゲームを思い出すこと暫し。
 ちなみに持っている中で一番高い薬は体力回復ポーション(75G)であったり。

 あの魔術師の遺産を恩恵で確認しながら売り払えば、それなりに生活の足しになりそうだなんてそんな事を思いつつ。

 「便利そうですね、アイテム師」

 「便利です」
 アイテム鑑定自体は別にアイテム師になったことで身についたわけではないのだけれど。

 「ところで」
 ミュレンさんが多少広々とした洞窟の空間を歩き回りつつ、うつむいて言った。
 「地図が埋まりました」

 「そのようで」
 俺もうつむきつつ(というのも地図を見ているからなのだが)応じる。

 「微妙に探索したりない感じもしますけど」
 苦笑しつつミュレンさんが言った。
 「仕方ないですね。帰りましょうか」

 「いえ、でもありがとうございます。勉強になりました」

 そう言うと、神殿で会ったときのように柔らかな笑みで、
 「いえいえ。こちらこそいいものを見つけて頂きまして」
 と、応じた。






 


 ***







 

 一層へと戻り、それから真っ直ぐ入り口へと戻る。
 敵とは遭遇せず、逆にあれだけ残ってたのが珍しいことだったのかなとかそんなことを思い、
 そういや最下層では結局アイテム落ちてなかったなと考えること暫し。

 「そういえば」
 ふと疑問に思ったので尋ねる。
 「どうしてミュレンさんは俺と一緒に迷宮潜ろうと思ったんです?」

 「えっとですねー」
 うーんと考えるような仕草をしつつ、
 「迷宮初心者を案内すると奉納点がもらえるってのもあるんですけど」

 「あら。私だからってことじゃなかったんですね」
 苦笑しつつ言った。まぁ、そんなものだろう。

 「いえいえ」
 くすりと笑いつつミュレンさんが言った。
 「えーじさんだから案内しようと思ったのですよ」

 「え、あ。それは……」
 そんなものでもなかったらしい。
 「……光栄です」

 「ふ、ふふふ」
 何故か笑いつつ、
 「そういう可愛らしいえーじさんが気に入ったからですよ」

 可愛らしいときましたか。
 「あ、はい」

 「あら?お世辞なんかじゃないですよ」
 その俺の返事に思うことがあったのかつけ足す。

 「あ、いえ、なんていうか……」
 可愛らしいと言われるのはその、ね。


 そんな事を話しつつ、洞窟の外へ。
 結構時間が経ったのか、外は薄暗く、星が見えていた。

 「コマンドタイム」

 ▽
 □
 ▲

 空中に投影された砂時計を見ると、真ん中の砂は随分と減らしていた。
 なんだかんだで長い間潜っていたのだなぁと感じつつ。

 そして後ろを振り返り、成程。もう入れないってのはこういうことかと俺は理解する。
 というのも、外に出た瞬間、今出てきた迷宮への入り口が、幻だったかのようになかったからで。

 少しばかり先ほどまであった場所の位置を手で触ること暫し。
 ひんやりとした石の冷たさが手へと伝わる。

 「不思議ですか?」
 とミュレンさん。

 「妙な感じですね」
 振り返り、ミュレンさんへと歩き出す。

 待機していた馬の背中へと俺が乗り、それからミュレンさんも飛び乗るように馬の背中へ。

 「ではしっかり捕まっててくださいね」

 「りょうかい」
 と応じ、ミュレンさんの腰へと手を回す。

 「ではしゅっぱーつ」
 そんな声と共に、馬は駆け出し始めた。












 後書き
 初めての迷宮探索終了のようなそんな感じ。
 次章から本格的に迷宮の厳しさみたいなものをかけたらいいなぁとか思いつつ。


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