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No.15181の一覧
[0] 【嘘予告】Fate/-Also sprach Zarathustra- 不完全版[角](2009/12/30 16:51)
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[15181] 【嘘予告】Fate/-Also sprach Zarathustra- 不完全版
Name: 角◆904d8c10 ID:4dc5c200
Date: 2009/12/30 16:51

※冬木市の地図が手元にないため、スワスチカを引いてません。
※ご都合主義の設定擦り合わせ。
※香純ルートアフター。
※今回の既知世界では女神降臨は無理と察したニート、獣殿の遊びに付き合っているだけです。














聖槍十三騎士団との戦いが終わり、櫻井によって蓮が戻ってきてから。
友人たちが散り、大勢の行方不明者が出たことで諏訪原市では生きづらいと感じる二人は、新学期が始まると同時に別の場所へと移ろうと決意した。
そのための新居、土地を探し始める二人。とは云っても、未だ蓮は入院中の身である。

香純は様々な資料を取り寄せながら、さてどこが良いかと思案に暮れる。
この一月ほどで、様々なことがあった。思いもよらない別離が幾度も起こり、友達や、友達となれるはずだった者も消えた。
だからせめて手元に残った恋人との未来ぐらいは明るいものにしたい。

そんなことを考えながら、彼女は自分たちが住みやすい場所を探す。

そんな日々をすごしていると、だ。

「お嬢さん。どこか、新しい場所で暮らし始めるのかな?」

妙な既視感――どこか蓮と似た風貌の男に、一つの街を勧められたのである。













Fate/-Also sprach Zarathustra-











勧められた街へ、蓮と香純は足を伸ばす。
小旅行を兼ねた下見であった。
近代的な新都と比べ、モダンな雰囲気を残す住宅街。
どこかちぐはぐなイメージのある街並みだが、しかし、それが気に入った。

ここにするのも良いかもしれない。
そんなことを香純は思いながら、蓮と共に一日目を終わらせる。
そのつもりで帰路に就き――




――それでは、今宵の恐怖劇を始めよう。




マスターを殺害したキャスターは、消える寸前の身を抱えながら夜道を歩いていた。
その時だ。なんとも濃密な香りを発する一組の男女を発見し、彼女はうっすらと笑みを浮かべる。
なんたる偶然。好機。
神に裏切られ続けた自分にこんな幸福が舞い降りるとは。

これも何かの罠なのか――そんな妄想すら抱いてしまいそうなほどだった。

魔術師だろうか。それはない。魔術回路の数は多いようだが――
マスターにするか、食ってしまうか。
その二択を選んでいると、キャスターは怖気に襲われた。
少女の方は良い。天然物か養殖物かは定かではないが、常人とは思えないほどの魔術回路を要している。
が、しかし、男の方。

なんておぞましい。
人の形を取ってはいるが、あれは違うとキャスターは認識する。彼女にはそう見える。
第一印象は鞘だろうか。あらゆる武器を収めるための器のように思える。
が、その形が歪すぎる。何者があれを生み出したのだろう。自然に生まれ落ちる形などではない。
完璧な――完璧すぎるからこその歪。その異常さがキャスターにだけは理解できる。
人にあれは作れない。星が生み出したと云われてもまだ信じられない。
もし生み出せるというのならば、おそらくは神か悪魔か――

その存在を意識したせいなのか、否か。
"何か"が自分を見ている。脚本通りに動けと強要している。
覚えがある。これは、以前、自分の運命をねじ曲げた神々と同種の――

衝動に突き動かされるまま、自分の意志もなしにキャスターは眼前の男女へと襲いかかる。
そして予定調和のように斬首され、その魂をギロチンに食われたのだった。















早々にキャスターが消えたことを、言峰綺麗は気付いていた。
これはどういうことか。聖杯戦争は未だ始まってもいないというのに。
自らの従僕であるランサーに調査を言付けようと腰を浮かせ、しかし、その瞬間に気付く。

「ごめんください。いやぁ、夜分に失礼します。
 同じ神の家に住む者としても、やはり常識的な時間にやってきたいと思っていたのですがね」

どこから現れたのか。
声の発する方に顔を向けると、そこには一人の優男がいた。
流れるような金髪を後ろで束ね、人を食ったような笑みを浮かべた顔を眼鏡で覆っている。

ヴァレリアン・トリファ。男はそう名乗り、社交辞令もそこそこにずけずけと自らの目的を語り始めた。
曰く、この地は我々が頂く。
思わず、言峰は失笑する。

盗っ人猛々しいとはこのことか。
それに、自分にはこの地で行うべきことがある。
誰にも祝福されず生まれ落ちる存在を迎え入れるという目的があるのだ。
故に言峰は――

全力で男から逃げ出した。

あんな化け物に勝てるわけがないのである。
ギルガメッシュを使えばあるいは。
しかし、今はまだ切り札を明かす時期ではないのだ。












ランサーを連れて逃げ出した言峰を眺めながら、ヴァレリアン・トリファは薄笑いを浮かべる。
なかなかに聡いようだ、と彼の印象を定めながら。

それにしても、と彼は思う。
諏訪原市でのスワスチカ発動の際、自分が首領と副首領に反旗を翻そうと企んだことはバレたと思っていたのだが、これはどういうことだろう。
再び自分は聖餐杯としての役割を与えられ、再び始まった聖誕祭の議事進行を任せられている。
そのことに関してはまったく問題がないのだが……。

「困りましたねぇ。こうも唐突に始められては、策の一つも練ることはできない。
 手駒も少ないようで……おや、これはこれは」

そのとき、トリファは気付く。
この街に自分を打ち負かした彼と彼女がいることに。

とてもではないが、彼が自分に協力してくれることはないだろう。
いくら自らの渇望に気付き、成すべき事をなそうと今際の際に気付いたと云っても彼には酷いことをした。

故に――

「……藤井さん。ならば、ああ、ならば私は手伝いましょう。
 あなたがあの悪魔に再び弄ばれるというのならば、私はあなたに力を貸しましょう。
 あなたが動きやすいよう、そうなるべき、という状況を用意してあげようではありませんか」

――今度こそは、と聖餐杯は笑う。

愛すべき子供たちはもう救えない。
ならば自分のなすべきことは、彼らの鎮魂を願い、二柱の悪魔を打ち破ることだけである。

第一のスワスチカは焼け野原となった場所。
そして、第二のスワスチカは――















遠坂稟は、唐突に転がり込んできた兄弟子をはた迷惑そうに眺めながら、彼から聞かされたことの顛末を整理していた。
早々にサーヴァントが敗北し、ほぼ同時に聖杯戦争を乗っ取ろうという輩が教会に現れる。
サーヴァントを倒すことは人間に不可能。ならば、キャスターを破ったのは魔術師なのだろう。それも、サーヴァントを呼び出した。
冬木の管理者としてそれを見逃すわけにはいかない。

心底からの溜め息を吐いて、遠坂稟は立ち上がる。
ならば自分も戦力を用意しなければならない。
それらと同等に戦えるだけの使い魔を。












最初の一滴として漏れ出したのは、聖餐杯であるヴァレリアン・トリファ。
そしてそのおまけ、こびりついたと形容しても良いレベルで着いてきた形成(笑)。

彼は取りあえず自分の本領ともいえる情報収集のために冬木市をかけずり回る。
その脳裏にはやはり首領、副首領両名へと反逆がちらついているが、しかし、ツァラトゥストラにぶち殺されたことがあったからかその気は半ば失せていた。
戦奴の中の使いっパシリ、我らがシュピーネさん。
彼の明日はどっちだ。

ちなみに彼が殺されるべくして殺されたのは聖餐杯のせいなのだが。

おおっとシュピーネさん、どうやら質の高い魂を見付けたようです。
正義の味方を志しているどこぞの彼。あれを食らえば少しは強くなれると思ってしまったようで。
強いぞシュピーネさん……! 一般人に毛が生えたレベルの主人公を圧倒しています……!


「問おう。貴方が私のマスターか?」


ここに、第二のスワスチカが開かれた。












では始めよう。
聖杯"戦争"の名に恥じない闘争を――










『他者封印・鮮血神殿』

『Briah――Der Rosenkavalier Schwarzwald』

血色の帳が落ちる。
しかしそれを塗り潰すのは真の暗黒。

自らの造り上げた結界が塗り潰されたことで、ライダーは何が起こったのかと眼帯の奥の目を見張る。
そして、姿を表す一人の男。

ナチスのSS制服に身を包み、病的を通り越した白さの肌、髪を持つ一人の男。
体中から杭を生やしたそれは、ライダーを見てくつくつと喉を鳴らす。

「てめぇ、どうやらマジモンの吸血鬼らしいな。
 上等だぜ。面白くなってきた。
 どっちが本物か……白黒つけてみようじゃねぇかよ、あぁ!?」













影の海に溺れる桜を見ろしながら、ルサルカは思案する。
自分と似た属性――というよりは、渇望を持つ少女。
ゾーネンキントの代用品として確保を命じられたものの、あまり良い気分はしない。

同情だろうか。らしくない。
けれど、なんら悪いことをしたこともない少女がただ運が悪かっただけでこうして道具扱いされるのは、どうしても気に入らない。
身内から嫉妬の念を抱かれて、という点も親近感が湧く。

助けてやろう、などという気持ちは微塵もルサルカにはない。
しかし――ああ、しかし。
このままでは"面白くない"。

いつかの自分。まだ人間だった頃の自分は、転がり込んだ幸運によって魔女狩りから逃れることができた。
もしそれと同じことをこの少女にしてやったらどうするだろうか。

影の中へと引き摺り込みながら、彼女の深層意識を暴いてゆく。
あなたはどうしたいの? こんなことになって満足かしら? 復讐、してみたくない?
魔女の囁きそのものの声を受け――間桐桜は、己の渇望を口にする。

それを聞いたルサルカは、面白くなってきたと口元を歪めた。













「■■■■■――!」

「ear、earrrr、OAHHHHHHHHHHEEEARRRRRR――!」

己の意志というものが微塵も存在しない怪物同士が、己の獲物をぶつけ合う。
その激突を眺め見る者は二人。
それぞれの従僕へと指示を飛ばしながら、己の敵を睨みつけている。

死を死と思わぬ、認識できぬ死体。
数多の命を要する英雄。

その二つが大地を揺るがし、雷光を瞬かせながら轢殺の斬撃を振るい続ける。












「控えろ雑種」

「黙れよ劣等が」

宙に浮かぶのは頭の刀剣と、一昔前の近代兵器。
それらが火花を散らしてぶつかり合うも、その持ち主たちは微塵も動かない。

一方は腕組みをしたまま、立ちはだかる人間風情に苛立ちを隠さず。
一方を紫煙を漂わせながら、忌々しい悪霊風情に侮蔑を隠さず。

「ふん。趣味が悪いな。反吐がでる。
 装飾のほどこされたそれらなど、戦場に持ち込むべきものではない。
 巣に帰り一人寂しく愛でていろ、成金趣味の凡夫が」

「壮美のなんたるかも理解できぬ人間風情が、王に何を云うか。
 無骨な鉛玉など無粋極まる。
 ……ああなるほど。しかし、似合っているやもしれぬ。
 醜く焼け爛れたその顔では、いくら着飾っても無意味というものだ」

「――」

「――」

「Briah――Muspellzheimr Laevateinn!」

「天地乖離す――開闢の星!」















男が地面へと放った一撃により、アーチャーの固有結界は霧散した。
その一撃――ただの拳によって。
魔術か。それとも宝具か。その見極めすらも未だできぬ。

ただ確かなのは、あの拳に触れてはならぬということのみである。

黙して拳を構える偉丈夫に、アーチャーは小さな笑みを浮かべる。
良いだろう。そちらが一撃で破壊するならば――

「さて、いつまで保つかな?
 聖剣魔剣……それらに幾度、その拳は触れられる?
 往くぞ、鋼の英雄――」

掌に最も馴染む愛剣、干将・莫耶を生み出して。
弓兵は鷹の目でこの戦場を如何に勝ち抜くか、見極める。














「斬り抉る――」

「刺し穿つ――」

肩を並べ、姿の見えない敵を見据えて。
本来ならば肩を並べることができなかった両者は、微かな笑みを浮かべる。

耳に届くエグゾースト。自分たちの命が散るのは秒か、刹那か。
それだけの時間しか残されていないのかもしれない。

白騎士が暴虐を振りまいて、自分たちへと肉薄してくる。
とても目に見えないその速度。だがバゼットは相棒に導かれ、フラガラックを浮かばせた手に力を込める。

願わくば、この一撃が――

「――戦神の剣!」

「――死棘の槍!」

後より出でて先に断つ戦神の剣。
突けば必ず相手の心臓を貫く呪いの槍。
敵よりも必ず先に動けるという、未完成の渇望。

その三つが概念を歪ませ、激突する。














「ほう――」

黄金の獣は目を細め、喉を微かに振るわせる。
なるほど確かに。
剣の丘。
世界から切り離されたこの世界で命を散らせば、城に命を吸われることもないだろう。
ここで私を倒せたならば、この城も意味を成さなくなる。
考えたなツァラトゥストラ。否、聖餐杯か?

だがしかし、甘い。

眼前に存在する者らを眺め、獣は笑みを消さない。

戦奴となりつつも屈しない櫻井の末裔。
カールの女の助力をなしに立ちふさがるツァラトゥストラ。
人間の域を脱していない、無力とすら云える魔術師の少年と、そのサーヴァント。

それらを眺めながら、ラインハルトは玉座から立ち上がる。

「精々楽しませよ。余興にはなってくれよ。
 Yetzirah――」

ラインハルトの掌に神殺しの槍が顕現する。
スワスチカはすべて開ききっていない。今のままだと、実力は出せて本来の十分の一といったところか。
だがしかし、不完全なラインハルトを前にしただけで、魔術師の二人は心を砕きかけている。
エイヴィヒカイトを手にした二人ですら、玉の汗をびっしりと顔に浮かべている。

さあ、今のままでは勝ち目がないぞツァラトゥストラ――

――足掻け。私に未知を見せてみろ。













Fate/-Also sprach Zarathustra-


はじまりません。












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