不正義の平和であろうと正義の戦争よりはよほどマシだ。では、不正義の戦争はどうか?実のところ、正義の平和に勝るのである。何故か?答えは単純である。そこに、利益があるのだ。故に、それは、国家の意志によって遂行される。ガリア・ゲルマニア二国間の友情を評して叙勲されたこと、このことは政治的には毒薬のように周囲に悪影響を及ぼす。しかし、少なくとも表面的にはハルケギニアに平穏が戻り始めている。ゲルマニア・トリステイン間の火種は、ようやく解消に向かい始めた。人々を緊張させたアルビオン・クルデンホルフ大公国の動向もゲルマニアと利害の妥協を見出した。最大の緊迫を迎えたガリア両用艦隊越境事件も、最終的には両国間の妥協が成立した。故に、本当に稀なことながら、ロバート・コクラン卿なるゲルマニアの辺境伯は自領に軍務から帰郷することが叶い、ようやく領地経営に勤しむことになると世間には語られた。「北部開発こそ、本業ですからな。無論、契約の一環として軍務を果たすことを厭うものではありませんが、やはり領地を治めてこそ貴族と言えましょう。」そう語るコクラン卿について、多くの事情通はこの喰えない平民上がりの辺境伯がまた平然と騙るものだと受け止め、次の動向に油断なく注視することを決意した。トリステインを散々かき回し、ガリアとの一戦すらやってのけた新興の貴族である。大人しく、隠遁するはずがない。それが、ヴィンドボナが概ね一致する風見であった。「・・・おかしいですな。」「さて、何か動きは有りましたか?」だが、観察者たちを困惑させる事態が生じるのはそれからしばしたってからである。コクラン卿は、申告通りに自領に引きこもり、内政に勤しんでいた。まあ、それそのものは、驚くには値しない。なにしろ、本業と本人が建前だろうが口にしている通り、北部辺境伯の職分は、北方の開発なのだ。職分を全うしていることそのものには、なんら問題の生じようはずも、ない。「ヴィンドボナへの連絡もムーダを使った定時の報告のみ。」「領地の視察もごく、普通のものです。誰かと密かに接している模様がない。」だが、それ以外のところで、当然あるべきアクションが見られないのだ。策謀家が策謀を欲するヴィンドボナの主と連絡を絶やすことが有るだろうか?無論、公的には職務上の報告書を上げている。だが、それは多くの衆目にさらされるルートで送られている。公用文章を搬送するムーダ船団の行政書簡として送られ、ヴィンドボナの担当官吏によって開封されるようなものが、秘密の連絡を取り合うにはふさわしくない。では、秘密裏に使者と接しているのではないか?聞けば、コクラン卿は視察や、狩猟と称してしば山野を馬で駆けるという。当然、人目を忍ぶことも可能であり、そこで接触していると考えるのが、当然の判断となる。だが、多大な労力を割いて監視を行い、防諜関係の部門と散々揉めに揉めて得られた成果は、本当に何もないという結果だけである。代わりに、多くの情報入手手段がつぶされたことを思うと、採算が全く合わない。「囮、ということですかな?」「でしょうな・・・。」故に、ようやくヴィンドボナの一角で囁かれる会話に理解と、厄介だという頭痛をこらえるような感情が込められるようになる。陰謀家は、何もしないという策謀で持って他を混乱させることも可能という証明だ。全くもって、有能な貴族というやつは、いけすかない。なにしろ、存在するだけで、誰にとっても緊張を強いる相手なのだ。まして、こちらの油断を見出すや否や、そこを重点的につついてくる相手ともなれば、気を張り詰めざるを得ない。それ事態が、相手の目的であるとしても、相手方としてはそれに乗らざるを得ない。「と、まあ、勝手に気苦労を背負い込んでくれている間に、のんびりやるわけだ。」今日も今日とて、しぶとく付きまとってきたどこかの密偵を、ようやく警備の衛兵たちが追いこんでいる喧騒を余所に、熟練の鍛冶屋達が集っている技術開発用に築かれた兵舎の一角で、ロバートは手にした試作の猟銃を実に気分良さげにながめていた。「ふむ、単発、紙制薬莢、後装式。微妙というほかにないが、まあ、一定の水準には達している。」プロイセンのドライゼ銃を参考にせざるを得なかったのは、不本意極まりないが、職人が量産を度外視してようやく実現できた水準がこれだ。当初弾丸は、エスカルゴのミニエー弾を、量産性度外視で試作。これは、精度はともかく取りあえずは作れた。しかし螺旋など、量産しようにも、失敗続き。猟銃ということもあり、散弾で妥協すべきかもしれない。連発式のボルトアクションなど、夢のまた夢だ。そもそも、ボルトアクション一つとってもまともに動くのは、さんざん試作して、試行錯誤のすえに、これだけというありさま。そして、雷管の性能は遂に満足いくものができていない。「しかし、これだけでも、心躍るものだ。」撃鉄ばねの強化や、雷管に使う起爆薬の調整等課題はあるにしても、一発試射できた。それで、十分だ。ようやく、ようやく可能性が見えてきた。猟犬の訓練は、すでに一定の目処が立ちつつある上に、衣装は完全に古式通り仕上がっている。「それで?実用に耐えるものは、いつ頃にはできるのか?」肝心なのは、これだけなのだ。なにも、1会戦分の弾薬を用意しろとは言わない。数回、狐に向かって発砲することができる程度のもので良いのだ。生産性も、最低限度でいい。要するに、完全に趣味の代物だ。確かに、純粋な技術的革新という視座から、見れば、異常なまでの発展であるかもしれない。「量産性皆無、趣味本意の代物だ。そう、難しくもないと願いたいのだが。」だが、言葉の通り、量産性はまったく考慮せず、職人が工芸品のように作り上げた代物なのだ。それならば、良く言われるマジックアイテムの劣化版でしかない。なにしろ、この銃は、大量生産し、大量配備することで火力戦を行うという思想背景がある。個々の威力は、せいぜいがメイジの不意を打てば、撃てるかもしれないという程度。同じ金をかけるならば、費用対効果、実用性を考慮して、メイジをそろえたほうが戦争には使える。「いや、この火薬の調合に難渋しておりまして。」だが、いかんせん技術的に突出した代物なのだ。可能か不可能かで言えば、可能であるとしても、純粋な技術力の課題は解決に時間を要する。理論上可能という新型兵器や新種の道具が必ずしもうまく機能するわけではない。で、なければ我が祖国は今頃理論上設計されていた空軍ご自慢の飛行船による帝国ネットワークを達成していた。まさか、その構想を祖国よりもその分野の技術では遥かに劣るであろうこの地で、実地する羽目になっているのは、まさに驚き以外の何物でもない。「うむむむむ、湿気る時以外に使えればよい程度でも無理だろうか。」だから、取りあえず、要望を出すだけ、出しておく。私個人の知性は、あくまでもこの問題に関して解決策を導き出す答えを持ち合わせてはいない。だが、私の視点以外から物事を眺めた場合、他の解決策もあり得る。「その、衝撃で爆発するなど、安全性に問題がありすぎるものでして。」「いや、少量なのだから、銃機構を頑丈にできないだろうか。」雷管が鈍感では使えない。確かに、既存の火縄銃に比べれば取り扱いも厄介だろうが、兵に新型銃の講習を一からする必要があるわけでもないので、多少機構が複雑になってもこの際構わない。紙制薬莢の信頼性も取扱いに配慮すれば、狩りができない程ではない。軍の蛮用に耐える代物ではなく、狩猟用の趣味のためだけに作らせている逸品なのだ。無論、私財を投じてのである。で、有る以上、例えカラム嬢のような行政官兼監視役のような有能な補佐官がいくら抗議しようとも、自分のライフスタイルを取り戻すことに一切躊躇する気はない。「ああ、試射の結果、もう少し調整してみようとは考えておりましたが。」「よろしく頼む。なに、試射までこぎつけたのだ。先に期待している。時間も惜しい。」そう、すでに、だいぶ時間を使ってしまった。研究開発に時間がかかるというのは仕方ないことなのかもしれないが、ここでの談笑も多少の時間に含まれるのだ。意見交換が終わった以上速やかに邪魔をしないように立ち去るべきだ。と、いうか、執務室に戻らねば厄介な量の裁量を待っている案件が積み上げられかねない。最近思うのだが、どうも忙しすぎる。猟銃が完成した暁にはいっそ休暇をとって、象撃ちに近い何かを探して旅を楽しむべきかもしれぬ。「やれやれ、ともあれ、目の前の課題を解決するとしよう。」そう嘯き、ロバートが手にしていた猟銃を戻していた時、ヴィンドボナで鼻の聞くアウグスブルク商会を筆頭として、きな臭いものを彼らは嗅ぎつけていた。煙がなくとも、硫黄の匂いがあれば、火を予想し、それに備えること。それは、彼らが競争を生き抜く上で養ってきた本能とも言える。「・・・鍛冶師を大量に集めていた?」報告は二件。情報の重要度が低いものも、いくつも組み合わせれば、一つの重大な秘密にたどり着きうる。あるいは、その可能性を察することができてしまう。一件目は、有る程度は知られている技術者の収集。しかし、これだけでは北部開発という職責上求められる行為の範疇に留まる。「従来のものよりも高性能の銃を開発させているようです。」だが、それが純粋な軍事目的ともなれば話は違ってくる。各地の貴族達もメイジを鍛え、兵士達を訓練するなどしているが、北部新領全体の兵への武具ともなれば相応の額が動く。必然、取引の好機である。そう判断していたが、自給されるとなるとまた少し状況が変わって来てしまう。「だが、武器の改良程度どこのゲルマニア武門系ならばやっている。何故召集を?」そう、ある程度の領地を持つ貴族ならば誰だろうと有る程度の武具の自作程度はやっている。まして、名門貴族や選帝侯に加えて、武門を専門とする貴族ならば、自領の戦力強化に余念が全くない。シュペー卿のような酔狂な粋人など、自ら平民の武器である剣を魔法で鍛造しているとの評判ですらある。だから、その程度の情報を総合した程度でわかるのは、北方で大々的にコクラン卿が戦力強化を図っているという程度の事。無論、情報の価値自体は大きい。だが、単純に各領で行われていることをコクラン卿も行っているということであれば、定例会合まで待てばよいことだ。「遠目から見ても異常な銃だったとのことで。」そう、この情報がなければ今日の招集はありえなかった。ただの銃ならば、まあ気に留める必要は乏しい。なにしろ、銃の強化といったところで、平民の持つ武器の一つだ。陸戦の決定的な要素はメイジの力量であり、せいぜいが撹乱と足止めの銃兵では決定的な要素ではない。「遠目から見ても異常な銃?それは、おそらくマジックアイテムか、場違いな工芸品では?」だから、参列者は思う。それは、銃の形をした何かではないのかと。例えば、銃の形をしたもので銃に擬態した他の何かではないかと。「いえ、それが、異様に連発性能の高い銃を試作させています。」だが、実際には銃以外の何物でもないが、これまでの火縄銃とは大凡別物というべき代物が試作されているのだ。抱えている鍛冶師にそのような銃が作れるかと尋ねたが、到底作れるとは思わないとのこと。よしんば、作れるにしても相当の研究が必要になるはずだと言っている。「・・・連射できる銃の開発でしょうか?」しかし、それの目的が分からない。まさか、銃の改良のためにあれほどの予算をつぎ込むものだろうか?コクラン卿は、辺境伯だ。おまけに、新領の行政権を委託されているだけに、その実入りは悪くない。だが、私財をなげうったとするならば、家を傾けるような額なのだ。最初は道楽かとも疑ったが、道楽にしては目的が不明すぎる。だが、そこで、ハタと気になる指摘を、技術に詳しい部下から指摘されている。曰く、『極論すれば、火縄銃を巨大化したのが大砲です。』「空軍の兵器開発。その可能性が高いと判断します。」「空軍の?しかし、銃が空軍にそれほど重要ですか?」そう、銃という単体では、と思う。例えば、メイジの杖職人達が懸命に大量の剣を作っていた時に、剣か、と思っては騙されるのと同じだ。例えば、それが杖剣であるとすればどうか。一見すると、対したことがない武器でも、実は、とんでもない用途を目的とされていることも多いのだ。「銃で試して、それを大型の大砲に流用するかと。」そう、銃という小さな比較的作りやすいもので実験し、その成果を大砲に使えば、新しい早く撃てる大砲が作れるのだ。コクラン卿は平民上がりの新興貴族ながらも空軍における地位を確立している。そんな、人物が大人しく自領で、湯水のごとく私財を投じて銃などというものをいじくりまわしていると考えるのは、無理がありすぎだろう。とすれば、当然空軍の予算で、軍備を秘密裏に整える準備だ。「可能なのですか?」「どうも、可能なようで。」同じ考えに至ったのであろう。これからは、更に空軍のフネは高価な商品となる。同時に、我々が取り扱ってきた商品の人気も下がりかねない。とすれば、新しい商品を確保する必要がある。問題は、それが、事実であるかということである。だが、それも確信に近い。「だとすれば、その空軍の底上げというのも納得できる範疇ではありますな。」「なるほど、確かに銃そのものは戦争に影響せずとも、フネの砲撃力が底上げされるとなると。」「両用艦隊を砲撃戦で叩き潰した経歴を鑑みれば、銃砲の改良に血眼になるのも通り。」そう、経歴を見れば、何を考えているか程度の予想は子供にでもできる。砲撃戦で勝利を収めている空軍の指揮官が、より性能のよい大砲を求めるのは当然のことだ。龍騎士隊の強化や、訓練といった事も並行して行われているとしても、こうした目につかないところで牙をといでいる。「・・・そう言えば、ガリアの叛乱に参加していないフネに新型の砲が搭載されたとか。」耳よりな、というよりはやや旧聞な情報である。だが、改めて考えてみるとガリアとゲルマニアの考えるところは大凡、予想がつく。空軍軍拡競争だ。実質的にこの戦争で戦果を一番上げたのは空軍であり、その性能改善は急務ですらあるだろう。「具体的には?」「従来のものよりも射程が長く、さらに命中率も高いとか。」「なるほど、ではガリア・ゲルマニア共に空軍の改良に勤しんでいるというわけですな。」そう、本格的な空軍の時代が来たのだ。ゲルマニア・トリステインの小競り合いで陸戦においてトリステインのメイジは暴れ回ったが、大局を決したのは空軍だ。少なくとも、大きな打撃力を有し、これまでのおまけのような存在とは程遠い存在感を発している。「アルビオンの動向は?彼の国がこと、空軍の増強で後れを取るとは考えにくい。」そうなると、必然的にこれまで空軍こそが国の守りであったアルビオンの動向が気にならざるを得ない。これまでの、艦隊戦力の整備に安穏としているような国ではないのだ。当然、他のどこの国よりも先に、ゲルマニアとガリアの艦隊戦力増強が持つ意味を理解し、それに対応する必要に迫られることになっているだろう。「本国艦隊に新造の何隻かが加わっているほか、すでにこれまでの戦訓を反映したと思しき新規建造計画が、有るはずだ。」特に、弱点となりがちな上方を守るためと、コルベットの増強を目的とした建造計画が囁かれ、特需に沸いている。おまけに、一部のフネは改修のためにドッグ入りしたとの情報すら伝聞ではあるものの漏れ聞こえてくる。実態は、現在急ぎ調査中であるにしても、おそらく、この情勢であるならば事実であるだろう。「アルビオンの名高い龍騎士隊を増強するとか。」大々的に行われた、式典によればトリステイン出身の貴族らを中心として、アルビオン王家とトリステイン王家の一体化という名目だったが、実態はアルビオンが戦力を増強しようとしているともとれる。今の視点から見れば、戦力増強以外の何物でもない。なにしろ、疲弊したとはいえ、旧トリステインと今日では囁かれるトリステインの西部を事実上併合しているのだ。将来的な国力の伸びを見込めば、さほどの負担もないやもしれぬ。よしんば、無理をしているとしても、資金の融通から始まり、各種利権確保の機会はどちらでもありえるだろう。「他国もそれなりに、対応策を持っているかと。」「そういえば、大公国でも兵力の増強を行っていましたな。」空軍の大幅な底上げは必要。しかし、国力と対外関係から、それほど強力なフネを配備しにくい大公国は、龍騎士隊の増強に走っている。龍騎士隊の足止めがすさまじいことを勘案すれば、守り抜くだけならばかなりの期待ができるという。「では、今後は、空軍という要素を各国が強化していくというに認識であるならば、我々は、当然一つの疑問に対応しなくてはならないでしょうな。」「左様。単純な事です。」仮定に過ぎないが、かなりの信憑性でもって各国が空軍に傾注している。この認識に基づいて行動計画を立案するならば、当然多くの権益の中でもゲルマニア商会達として取り組むべき課題が一つある。「風石の調達は、いかがしますか。」そう、フネを動かす風石だ。もともと、ムーダによる大規模船団方式による風石の使用量そのものが増大しつつあった。まあ、風石に風メイジが力を注ぐことで有る程度の消費量は抑制が効いた上に、絶対量が不足するという事態はこれまでは、早々なかった。だが、これからは、風石が絶対的に必要になってくる。「・・・誰も、これまで気にしては来ませんでしたが、そもそもあれはどこから?」ガリアでやや多めに流通している傾向が有る他、時折ロマリア経由で流れてくることもあるものの、現在の風石は力が満ちるまでは、代わりがないのでフネが動かなくなる。風メイジを酷使すれば、動かないこともないだろうが、軍用としては実に致命的だ。だから、当然代わりの風石を求めることになる。ムーダも定期的な運航のために予備の風石を常に用意しているという。だから、これまで以上に風石の需要が急騰するのは目に見えているだろう。だが、どこで取れるのかさえ、実は曖昧なのだ。「一説によれば、風の力が強いアルビオンが特産品として有しているとか。」「さすがに眉唾ものだがエルフが売っているとさえ囁かれる代物だ。」「ガリアが秘密裏に製造方法を持っているというのは、良く噂になりますが、さて。」「トリステインがラグドリアンの精霊から聞き出した製造法が有るという噂はいかがですか?・・・ようするに我々はこの程度の噂しか持ち合わせていない。」だから、空軍が新しい取引相手として安定的に風石を供給してくる新興の商会と出会えば、これまでの既得商会はことごとくお得意相手を失うこととなってしまう。風石を納入するだけで、その商会が落ち着くだろうか?住み分けができればよい。だが、単価でも相応の値段がする風石を扱える規模の商会ともなれば、住み分けが平和裏に実現するわけもない。「少々、よろしくない。」「さよう、望ましくない。」「いかがします?」「選択肢など、有りますまい。」「個々に至っては、学術的な探究心を発揮するほかにありますまい。」結論は、単純。いかなる費用も惜しまずに、風石の製造方法か製造地を発見すること。それ以外には解決方法が期待できない。最悪の場合、為すすべもなく駆逐されかねないのだ。この世界の競争は、お互いの被害が大きすぎるとなれば、手打ちが期待できる。だが、駆逐する見込みがあり、しかも駆逐すれば大きな利益があるにもかかわらず、利益が減ってしまいかねない妥協を選択するほどお人よしな商会はない。少なくとも、抵抗しなくては、悪戯に餌食となってしまう以上、風石というどこからともなく流れてくる商品も、とにかく調べねばならないのだ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~あとがき最近、妙に多忙であります。何故か知らないけれども、やはり師走というように、師匠も走り回るほどの忙しさなのでしょうか?ちまちまと、更新、更新そのものは、なんとか・・・。取りあえず、実戦で活躍した新兵器鉄砲を見た商人の反応。→これからは、鉄砲の時代だ!:堺衆みないなノリで、新兵器関連の技術を囲い込んだりしませんか?例えば、麗しの産軍複合体とかも発想としては、新しい有望なジャンルに積極的に投資して、経済発展に貢献していますし。あと、軍隊でも一緒な気がします。超ド級戦艦の建造競争とか、そういう気がします。なんとなくですが。本作は、誠に遺憾ながら、登場人物たちは戦争そのものには、消極的です。(戦争が目的化しては、あれです、戦争中毒。依存性が高いのはいけません。)つまり、英雄譚は、あんまり有りません。⇔ちょいちょい、ワルドにやらせようとは思っていますが。盛り上がりに欠ける傾向が当面続くと思われます。『平和』こそが、最良の道と信じる、『平和』主義者達による、ユートピア実現のための物語。夢も希望も理想も、正義もなくとも、たぶん当分は、『平和』な時代を描写していこうと思います。・・・でも、『平和』の描写の方がすごく厄介です。今しばし、のろのろとした更新でよければ、お待ちくださると幸いに存じます。