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No.15007の一覧
[0] 【ゼロ魔習作】海を讃えよ、だがおまえは大地にしっかり立っていろ(現実→ゼロ魔)[カルロ・ゼン](2010/08/05 01:35)
[1] プロローグ1[カルロ・ゼン](2009/12/29 16:28)
[2] 第一話 漂流者ロバート・コクラン (旧第1~第4話を編集してまとめました。)[カルロ・ゼン](2010/02/21 20:49)
[3] 第二話 誤解とロバート・コクラン (旧第5話と断章1をまとめました。)[カルロ・ゼン](2010/01/30 22:55)
[4] 第三話 ロバート・コクランの俘虜日記 (旧第6話~第11話+断章2をまとめました。)[カルロ・ゼン](2010/01/30 23:29)
[5] 第四話 ロバート・コクランの出仕  (旧第12話~第16話を編集してまとめました)[カルロ・ゼン](2010/02/21 20:47)
[6] 第五話 ロバート・コクランと流通改革 (旧第17話~第19話+断章3を編集してまとめました)[カルロ・ゼン](2010/02/25 01:53)
[7] 第六話 新領総督ロバート・コクラン (旧第20話~第24話を編集してまとめました)[カルロ・ゼン](2010/03/28 00:14)
[8] 断章4 ゲルマニア改革案 廃棄済み提言第一号「国教会」[カルロ・ゼン](2009/12/30 15:29)
[9] 第七話 巡礼者ロバート・コクラン (旧第25話~第30話+断章5を編集してまとめました。)[カルロ・ゼン](2010/07/25 23:08)
[10] 第八話 辺境伯ロバート・コクラン (旧第31話~第35話+断章6を編集してまとめました。)[カルロ・ゼン](2010/07/27 23:55)
[11] 歴史事象1 第一次トリステイン膺懲戦[カルロ・ゼン](2010/01/08 16:30)
[12] 第九話 辺境伯ロバート・コクラン従軍記1 (旧第36話~第39話を編集してまとめました。)[カルロ・ゼン](2010/07/28 00:18)
[13] 第十話 辺境伯ロバート・コクラン従軍記2 (旧第40話~第43話+断章7を編集してまとめました。)[カルロ・ゼン](2010/07/28 23:24)
[14] 第十一話 参事ロバート・コクラン (旧第44話~第49話を編集してまとめました。)[カルロ・ゼン](2010/09/17 21:15)
[15] 断章8 とある貴族の優雅な生活及びそれに付随する諸問題[カルロ・ゼン](2010/03/28 00:30)
[16] 第五十話 参事ロバート・コクラン 謀略戦1[カルロ・ゼン](2010/03/28 19:58)
[17] 第五十一話 参事ロバート・コクラン 謀略戦2[カルロ・ゼン](2010/03/30 17:19)
[18] 第五十二話 参事ロバート・コクラン 謀略戦3[カルロ・ゼン](2010/04/02 14:34)
[19] 第五十三話 参事ロバート・コクラン 謀略戦4[カルロ・ゼン](2010/07/29 00:45)
[20] 第五十四話 参事ロバート・コクラン 謀略戦5[カルロ・ゼン](2010/07/29 13:00)
[21] 第五十五話 参事ロバート・コクラン 謀略戦6[カルロ・ゼン](2010/08/02 18:17)
[22] 第五十六話 参事ロバート・コクラン 謀略戦7[カルロ・ゼン](2010/08/03 18:40)
[23] 外伝? ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド伝 [カルロ・ゼン](2010/08/04 03:10)
[24] 第五十七話 会議は踊る、されど進まず1[カルロ・ゼン](2010/08/17 05:56)
[25] 第五十八話 会議は踊る、されど進まず2[カルロ・ゼン](2010/08/19 03:05)
[70] 第五十九話 会議は踊る、されど進まず3[カルロ・ゼン](2010/08/19 12:59)
[71] 外伝? ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド伝2(会議は踊る、されど進まず異聞)[カルロ・ゼン](2010/08/28 00:18)
[72] 外伝? ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド伝3(会議は踊る、されど進まず異聞)[カルロ・ゼン](2010/09/01 23:42)
[73] 第六十話 会議は踊る、されど進まず4[カルロ・ゼン](2010/09/04 12:52)
[74] 第六十一話 会議は踊る、されど進まず5[カルロ・ゼン](2010/09/08 00:06)
[75] 第六十二話 会議は踊る、されど進まず6[カルロ・ゼン](2010/09/13 07:03)
[76] 第六十三話 会議は踊る、されど進まず7[カルロ・ゼン](2010/09/14 16:19)
[77] 第六十四話 会議は踊る、されど進まず8[カルロ・ゼン](2010/09/18 03:13)
[78] 第六十五話 会議は踊る、されど進まず9[カルロ・ゼン](2010/09/23 06:43)
[79] 第六十六話 平和と友情への道のり 1[カルロ・ゼン](2010/10/02 07:17)
[80] 第六十七話 平和と友情への道のり 2[カルロ・ゼン](2010/10/03 21:09)
[81] 第六十八話 平和と友情への道のり 3[カルロ・ゼン](2010/10/14 01:29)
[82] 第六十九話 平和と友情への道のり 4[カルロ・ゼン](2010/10/17 23:50)
[83] 第七十話 平和と友情への道のり 5[カルロ・ゼン](2010/11/03 04:02)
[84] 第七十一話 平和と友情への道のり 6[カルロ・ゼン](2010/11/08 02:46)
[85] 第七十二話 平和と友情への道のり 7[カルロ・ゼン](2010/11/14 15:46)
[86] 第七十三話 平和と友情への道のり 8[カルロ・ゼン](2010/11/18 19:45)
[87] 第七十四話 美しき平和 1[カルロ・ゼン](2010/12/16 05:58)
[88] 第七十五話 美しき平和 2[カルロ・ゼン](2011/01/14 22:53)
[89] 第七十六話 美しき平和 3[カルロ・ゼン](2011/01/22 03:25)
[90] 外伝? ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド伝4(美しき平和 異聞)[カルロ・ゼン](2011/01/29 05:07)
[91] 第七十七話 美しき平和 4[カルロ・ゼン](2011/02/24 21:03)
[92] 第七十八話 美しき平和 5[カルロ・ゼン](2011/03/06 18:45)
[93] 第七十九話 美しき平和 6[カルロ・ゼン](2011/03/16 02:31)
[94] 外伝 とある幕開け前の時代1[カルロ・ゼン](2011/03/24 12:49)
[95] 第八十話 彼女たちの始まり[カルロ・ゼン](2011/04/06 01:43)
[96] 第八十一話 彼女たちの始まり2[カルロ・ゼン](2011/04/11 23:04)
[97] 第八十二話 彼女たちの始まり3[カルロ・ゼン](2011/04/17 23:55)
[98] 第八十三話 彼女たちの始まり4[カルロ・ゼン](2011/04/28 23:45)
[99] 第八十四話 彼女たちの始まり5[カルロ・ゼン](2011/05/08 07:23)
[100] 第八十五話 彼女たちの始まり6[カルロ・ゼン](2011/05/14 20:34)
[101] 第八十六話 彼女たちの始まり7[カルロ・ゼン](2011/05/27 20:39)
[102] 第八十七話 彼女たちの始まり8[カルロ・ゼン](2011/06/03 21:59)
[103] 断章9 レコンキスタ運動時代の考察-ヴァルネーグノートより。[カルロ・ゼン](2011/06/04 01:53)
[104] 第八十八話 宣戦布告なき大戦1[カルロ・ゼン](2011/06/19 12:17)
[105] 第八十九話 宣戦布告なき大戦2[カルロ・ゼン](2011/07/02 23:53)
[106] 第九〇話 宣戦布告なき大戦3[カルロ・ゼン](2011/07/06 20:24)
[107] 第九一話 宣戦布告なき大戦4[カルロ・ゼン](2011/10/17 23:41)
[108] 第九二話 宣戦布告なき大戦5[カルロ・ゼン](2011/11/21 00:18)
[109] 第九三話 宣戦布告なき大戦6[カルロ・ゼン](2013/10/14 17:15)
[110] 第九四話 宣戦布告なき大戦7[カルロ・ゼン](2013/10/17 01:32)
[111] 第九十五話 言葉のチカラ1[カルロ・ゼン](2013/12/12 07:14)
[112] 第九十六話 言葉のチカラ2[カルロ・ゼン](2013/12/17 22:00)
[113] おしらせ[カルロ・ゼン](2013/10/14 13:21)
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[15007] 外伝? ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド伝3(会議は踊る、されど進まず異聞)
Name: カルロ・ゼン◆ae1c9415 ID:ed47b356 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/09/01 23:42
ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド伝


最後の騎士、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドにとっての最悪の敵とはなにであったか?それは、彼自身の言葉を借りれば、魔法であった。晩年に、魔法学校で行った講演において、ある生徒がその人生での教訓を尋ねたところ、「魔法という巨大な力に魅せられ、全てが見えなくなるなかれ。」と語った。曰く、“メイジは力を持つ。個人としては破格の力だ。が、諸君。我々はエルフとすら戦う。その力は我々よりも大きいのだ。さて、エルフに勝つには知恵を使い倒すしかない。知恵なくして勇を振るうものは、無能という。そして、メイジの力量におぼれる愚者があまりにも多い。故に、私にとってみれば魔法の力こそが敵ですらある。”と。

今日でもなお議論を醸すのは、後には親しい友人に向けて魔法を呪いとすら言いきった手紙が発見され、その真偽が激しく議論されている反魔法思想とでもいうべき独特の魔法観である。少なくとも、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドにとって、その手にした力は、諦めるには大きすぎ、何かを変えるには小さすぎたのだと本人は信じていたという。だが、彼自身は紛れもない真の騎士として人々に記憶されている。後に、彼の親しい友人が書き残した彼の一言がある。『友が、今日逝った。私は気がつくのがいつも遅すぎるが、彼の口癖であったが私も彼を失い、初めてその喪失感に気がつき、愕然とする思いだ。』と。

ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドは一つの時代を生きていた。或いは、それがメイジと貴族が花形であった時代の残り火であったのかもしれない。



{ミミ視点}

「発見しました。間違いありません。わずか、一個分隊です!」

その度胸は認めなくては。なるほど、魔法衛士隊の練度は、人口に占めるメイジの多いトリステインの中から、選りすぐっただけあって少数精鋭の練度としては悪くないどころか、卓越している。だが、いかんせん、少数のメイジにすぎないのだ。盾となる兵もなく、ただメイジだけで戦うというのは賢明とは大凡表現しがたい。

「それで全て?」

「周囲には敵影なし。龍騎士隊が展開済みですので、逃がすことはあり得ません。」

包囲が完了次第、攻勢にでることになっているものの、敵の規模が分隊であれば包囲の手間が少々惜しまれた。まあ、徹底しておくにこしたことはないのだろうが。むしろ、この情勢下では、攻撃時の同士討ちのほうが厄介かもしれない。

「結構。では、敵味方の確認を徹底するように。錯乱されて、同士打ちはごめんよ。」

「もちろんです。」

敵情を把握するまでに時間を浪費したものの、発見してしまえば戦力差は圧倒的にこちらが優位を確保している。積もり積もった仕事の鬱憤を詠唱に宿し、戦場に向けて放つことができるのは一興であるだろう。トリステインの着眼点は恐るべきものであったが、投入する戦力不足という失敗は高くつくことになる。包囲された少数部隊がとりえる戦術など、一点突破か徹底抗戦だが、この分隊では、包囲を突破しようにもそもそも困難だ。包囲の薄いところとて分隊以下の戦力ではない上に、即応用に龍騎士の中隊を持って来てある。

「龍騎士隊を、いつでも上げられるように。」

始まるまで今しばらくの時間はある。だが、それだけに、少々もどかしくもあるものだ。鉱山部の駅舎が破壊されたせいで、業務が山積している上に、連絡網のやりくりに手間取っている。部隊運用にしても、本来ならば、軽装の猟兵で狩りたてるつもりであったのが、召集が間に合わず、この手の任務は不得手の重装歩兵を一部使う羽目になっている。無論、その分だけ、包囲形成に遅延が生じてしまっている。そのために、即応用の龍騎士を用意してあるが、これらは伝令にも使えるだけに長々と待機させておくわけにもいかない。駅舎が連続して襲撃されている今、連絡手段の確保が難しいのだ。

「包囲網の形成状況は?」

「すでに、北方は完全に閉ざしました。西方、東方はメイジの展開が遅れていますが、歩兵による封鎖は完了しております。」

「では、敵は逃れようと思えば、私達のいるここを突破しないことには先に行けないと。」

「そういうことになります。」

包囲網は四方から形成される。そして、唯一包囲が意図的に薄めてあるのが南方のここだ。数で言えば、歩兵隊が少ない。ただ、メイジが集中的に配置されているために、戦力としては十分に、伏撃可能であるといえる。若干個人的な鬱憤晴らしが入っていることは否定しないが、戦力としては十分であると認識できる。

「よろしい。迎撃準備に抜かりがないように。」



{ワルド視点}

「副隊長、やはり、南方のみが手薄です。」

偵察に従事していた若い魔法衛士隊員が、やや上気した表情で報告に戻ってくる。なるほど、若いころに何か手柄をあげたと思うと、初めのころの自分もあのような表情を浮かべたものだ。良くも悪くも、トリステインの魔法衛士隊は政争に巻き込まれることが多いだけに、自分自身のそのような純朴さは消え失せてしまっているが。

「では、君は南方を突破することを進言するかね?」

「はい、それが一番かと思います。」

どうしたものか、と思う。単純に包囲に不手際があるとは考えにくい。あちこちの駅舎をつぶし、連絡線を散々かき乱したつもりであったが、残留部隊の指揮官はよほど優秀らしい。通常であれば、これだけ混乱した状況下では、明らかに処理できる能力が落ちるにもかかわらず、対応は迅速を極めるとしか言いようがない。よほどの組織力と、事務能力をもった官僚集団がなくてはこれほど迅速な対応はあり得ない。それらを考慮すると、手薄な包囲網の一角は、まず罠の可能性を疑うべきだ。それに、これまでは隠してきたものの、こちらはグリフォン隊。空駆けることも、可能なのだ。

「だが、おそらくそれは罠だ。これほど手際よく我々を包囲できる相手が、そうそう隙を見せるとは思えない。」

ゲルマニアのことを野蛮と批判する我々の祖国では、敵情の理解があまり進んでいない。なまじ、大国意識がそれほど強くないというか、中央集権が進んでいないゲルマニアは有事にもそれほど国力をすべて戦争に投入できないだろうと油断していたことも大きな失敗だ。たとえ、ゲルマニアが全力を投じなくても、ゲルマニアは圧倒的にトリステインよりも強大であったのだ。ゲルマニアが全力を出さなくてはならない相手はせいぜいガリアくらいで、消耗覚悟ならばアルビオンとも片手間で戦えるだろう。そういう相手に、我々が抵抗するには知恵あるのみだ。

「それに、グリフォンならば、どこの方角でも空から悠々と突破できる。」

「しかし、それでは我々の素情が明らかになりませんか?」

確かに、一応正体は隠してきたが、それはあくまでも目立つことで、敵にこちらの詳細案情報を掴まれて行動が束縛されることを懸念してのことだ。こちらが、空路を使って移動していることを知られなければ、敵の警戒は陸路に限定され、こちらの移動が容易になると共に、地上から空を飛ぶ我々が万一目撃されても知らなければどこかの龍騎士隊と誤解を期待することもできた。だが、逆に言えば、錯乱作戦は戦略目標である示威行動に発展することが不可欠なのだ。トリスタニア襲撃で、ゲルマニア艦隊はタルブまではその存在をひた隠しにしていた。そして、トリスタニアに堂々と現れたのだ。あれから学ばなくてはならないだろう。

「今のところは隠し通しているが、置いていくわけにもいかない以上、ここで隠し札をきることにしよう。」

「では、どちらを突破されるおつもりですか?」

「無論、南方だ。」

「南方、でありますか?」

釈然としないといった表情を浮かべる部下を見て思わず、自分の入隊当初を思い出す。上官の思わせぶりな態度に困惑していたのは自分もだ。そういう余裕を持っている態度を維持することで、部下の緊張を解きほぐし、あるいは頭を使わせるようにするなどの目的がある。いろいろと苦労してそういう態度であるということを長ずるにつれて彼も理解できるとよいのだが。

「良いかね。敵は確かに優秀だ。成り上がりどもの国家とみて侮る危険性は理解しているな。」
「はっ」

アルビオンへ渡った魔法衛士隊では、その点を徹底して教え込んである。敵を侮ってはならない。自らの力量におぼれてはならない。皮肉なことに、私自身が前線で気がついたそれは、部隊に教えることができたのはアルビオンに亡命してからである。前線で侮っていた敵が恐るべき敵であることを理解したのは、あまりにも遅すぎた。それは、敵情をあまりにも理解していなかったからだ。

「だが、敵は我々がグリフォン隊であることを考慮に入れていない。」

「では、罠も陸だけであると?」

ならば、容易に突破できるのではないかと期待する彼にはすまないが、下手な希望的観測は打ち砕いておかねば、いざという時動揺されて使い物にならなくなる。最悪に備えなくてはならないのだ。

「いや、あれだけ用意周到な相手だ。確かに、罠は陸路に用意していても、フネや龍騎士隊がいないとは考えにくい。」

純粋にフネならば、簡単に振り切れる。快速のフネであっても、グリフォンほどの速度は望むべくもない。接近した時の火力は脅威であるが、振り切ればさほどの物でもない。だが、龍騎士隊は大きな脅威だ。なにしろ、長距離を追撃してくる上に、騎乗したメイジの攻撃にも耐えなくてはならない。我々は、精鋭の魔法衛士隊であるが、無限の敵に無傷で勝つことは叶うわけがないのだ。

「では、何故あえて南方に?」

「相手の思惑に乗るのだよ。おそらく、敵は罠に踏み込むまでは、我々が突破しつつあると錯覚できるように手出しを控えるはずだ。」

「そのために、龍騎士等の展開を控えると?」

「わざわざ罠を仕掛けたのだ。罠に踏み込もうとしている相手に余計な手出しは控えるだろう。」

仮に、相手が対応をどこかで変化させて、攻撃してきてもその時は騎乗して空を駆け抜ければ突破は可能だ。それならば、一番敵の行動が予測できる南方を突破するのが堅実だろう。相手の思惑を挫くことができれば、その打撃も大きい。どちらにしても、不確実な部分が多い以上、それを少なくとどめるようにしたい。であるならば、途中まで相手の思惑に乗る振りもよいだろう。

「さて、手はずを整えるぞ。まず、南方に向けて一心不乱に突破を図る。おそらく、敵の伏兵があるとみていいだろう。」

であるならば、その伏兵を釣りだすことを主眼としなくてはいけない。当然、ここは風のメイジが誇る切り札を切るべきだ。遍在は偵察にも戦闘にもどちらにも恐ろしく有効だ。それだけ消耗もするが、先行させるのは4体。なんとか、やってやれない規模ではない。

「遍在を先行させ、それが襲撃された時点で、空に上がる。」

そうそう、簡単にやられるつもりもないが、足止めできる時間は限られているだろう。だが、その瞬時の差で距離を稼ぎ、追撃を振り切るほかない。分隊規模の遍在に敵が喰らいついた瞬間が勝負だ。全力で敵が攻撃してきた瞬間は、敵の注意がその点に集中せざるを得ないだろう。空は、警戒が薄まる。そこで、しかける。

「ただ、龍騎士隊の追撃が懸念される。最悪、中隊規模の敵が数個来ることも覚悟しておくように。まあ、トリスタニア上空のように何かを、守りながらというわけではない。気楽に突破するように。」

部下達の緊張がややほぐれたのを見て安堵する。言うは簡単だが、龍騎士隊は強敵だ。トリスタニア上空では、奇襲を敢行できたために、一撃で大きな戦果をあげることができたが、今回は立場が逆だ。逃げるという構造は変わらないが、奇襲にも警戒しなくてはならない。追撃を振り切っても捜索の手ものばされるはずだ。当分は、情報収集に専念して潜伏するほかない。

「ああ、そうだ。突破できたら、先日駅舎から頂戴した良いワインを提供しよう。残念ながら、タルブの名物ではなく、ガリア産だが。」

気をはるな。自然体であれ。

「ガリア産?毒でも盛られていませんかねそれ。」

「問題ないでしょう。ゲルマニア人が試飲しているはずでは?」

「いや、我々は繊細だからな。」

怯えは死因だ。笑える兵士は強い。虚勢でも良い。指揮官とは、そういう雰囲気を形成するのが仕事なのだ。

「部下にそういうのがいたとは知らなかった。この発見をアカデミーにでも報告するとしよう。」

「捕まるのはごめんですな。」

「だから、グリフォンに乗っているのでは?」

「なるほど、ならば今回も楽に逃げられますね。」



{ミミ視点}

「かかりました。連中が突進してきます!」

「さすがに、速いわ。もう、第二陣に斬り込みを?」

衝撃力が想像以上だ。予め手薄にしてあるとはいえ、一個分隊にそうそう簡単に突破できる水準の防備ではないつもりなのだ。それがどうだ。本命の第三陣までまだ余裕があるとはいえ、今にも二層目の重装歩兵を突破しようとしている。第一陣の防御に特化したそれをあっさりとだ。第一陣の突破報告と第二陣の接敵報告がほとんど同時というありさまには、敵練度に感嘆するばかりだ。

「メイジ達が交戦中ですが、おそらく突破されるのは時間の問題です。」

「想像以上の練度ね。さすがに、敵後方地域で暴れるだけのことはあるわ。」

少数で後方を錯乱するには、多くの困難が伴い、それらを克服するだけの技量を持ったものでなくては成し遂げられない。技量や精神力のある文字通りの精鋭が突破しようと、全力で突撃してきている。その攻撃力はまさに驚異の一言に尽きる。まともに正面から当たっていたらどれだけの損害を覚悟させられるだろうか。考えたくもない水準にならざるを得ないだろう。

「罠を仕掛けて正解ね。正面からぶつかりたい相手ではない。」

アルビオンからの流入してきたメイジたちは、実力確認も兼ねて第二陣に配置したが、やはり連携と錬度が今一つだ。むろん、急ごしらえにしては良くやっているのだろうが、相手が連携のとれた少数の部隊で突破を図ってくるのは抑えにくいだろう。犠牲が出ることを避けるために無理をさせていないとはいえ、もう少しやりようがあればよいのだが。

「敵の系統は?」

「風との報告が。どうやら、風メイジだけで編成された分隊のようです。」

風メイジ。なるほど、確かに汎用性が高いのは間違いない。何より、連中の耳の良さやすばしっこい動作は後方で策動するには有効だろう。だが、威力に関してならば火が一歩先んじる。決定的な打撃力を発揮すれば、打倒せない相手ではない。

「第二陣抜かれました!突っ込んできます!」

飛び込んでくる報告に、気を引き締める。ここが正念場。まさに、働き場である。杖を構えて、精神を集中させる。

「ひきつけろ!一撃でしとめる!」



{ワルド視点}

南方は確かに手薄であったが、それにしても二層の重装歩兵は少々抜くのに手間取った。接敵するまでは、他方面が四層だったので手薄かと思っていたが、これで意外に時間が喰われる。メイジの数も、大半は遠隔地の防衛に出払っていて少ないと聞いていたのが、かなりいるではないか。大方は、アルビオンからの流入メイジを上手く編入したのだろうが、これほど戦力化されていると、多少なりとも時間が惜しい時に足を引っ張られる。

「第二陣の重装歩兵団が散らばりました。今のうちに、我々も出ますか?」

「遍在との距離を保ちつつ出る。おそらく次が本命だろうが、手ごわいぞ。」

白い仮面を全員でかぶり、こちらの身元を特定できないようにしているために、遍在が同一の顔をしていることにも気がつかれていないために、遍在の一群をこちらの全てだと敵は誤認している。故に、伏兵のつり出しは上手くいくだろう。だが、遍在だとばれるまでにあまり余裕がないかもしれない。

「っ、どうやら本命のお出ましのようだ。一体やられてしまった」

「上昇しますか?」

「いや、今しばらく待て。できれば、敵指揮官を仕留めたい。それで、遅延できるはずだ。」

欲張っているとの自覚はあるが、ここで敵の伏兵指揮官を仕留められれば、おそらく指揮系統の混乱を期待できるだろう。そうなれば、突破の難易度もかなり低く抑えることができるだろう。指揮官先頭の精神は賞賛されてしかるべきだが、さて、突っ込むしかあるまい。どのみち、ここを突破できなければトリステインもルイズも守り抜くことすらできないのだから。メイジたらんと。自らを定義したその初心に帰るのは、いつ以来のことだろうか。笑うほかない。聖地を求め、権力を求めた自分にとって、戦場がこれほど心安らぐ思想場となるとは。

「私の遍在も介入させましょうか?

「いや、引き続き監視にあててくれ。」

投入できる戦力が欲しいとは思う。だが、状況理解と監視の任も重要なのだ。突っ込むだけが戦争ではない。まあ、敵中に活を求める道もないわけではないのだが。

「閃光の二つ名をゲルマニアにも広めておく良い機会だ。邪魔はさせんよ。」

「これは失礼。副隊長に譲ると致しましょう。」

「すまんね。」

そう言うないやな、遍在を一気に飛び出してきた伏兵部隊にむけて突貫させる。錬度の高い良い動きをする軽装の歩兵が弓や銃で発砲してくる。同時に、その間隙をぬって白兵戦に持ち込もうと剣士が突っ込んでくる。良い判断ではある。確かに、メイジは一般的には近接戦闘が苦手だ。メイジ殺しの大半が剣士であることもそういう理解があるからに、他ならない。だが、我々は魔法衛士隊なのだ。杖からして貧弱な木の棒ではなく、実戦を想定した杖剣。剣術とて、並みの剣士に引けを取るつもりは一切ない。我が身を平民の剣にかけられるなどあり得ない。

「命が惜しい者は退くがいい!」

そう怒号すると杖剣を振るい、敵兵に斬り込む。伏撃の初撃で、魔法攻撃。メイジが本能的に平民の武器によって殺されること忌避することを活用し、魔法攻撃に並行しての投げ槍から矢に弩に銃まで放たれた。そして、そこで足が止まったところに近接戦闘。実に、理想的な対メイジ戦闘の教本のような攻撃手順であるが、単純に魔法衛士隊相手であるという一事を理解できていないことが大きな代償を払わされることになる。接近戦に持ち込んでいる歩兵ごと魔法攻撃を行うほど愚かな指揮官で無い以上、この混戦は私にとって有利なのだ。メイジは遊兵となり、結果的に時間が稼げる。なにより、いちいち投射されてくるものに対応する手間がかなり減るのも大きいが。

「その程度か!」

勇を振るって斬りかかってきた剣士を返す一撃で斬り伏せ、そのまま混戦を少しずつ敵指揮官に近付けてゆく。一撃。その機会をうかがいつつ徐々に、そう徐々に斬り込んでいく。指揮官がいると思しきメイジ達の一群。その盾となっている歩兵まで混戦に巻き込めば、指揮官強襲が可能となる。仮に指揮官を仕留められずとも、その防戦に手いっぱいで指揮系統が混乱するのは避けられない以上、時間は稼げる。

「射線を確保しろ!混戦に巻き込まれるな!正対するな。数の優位を生かして押し包め!」

「ほう、驚いた。レディが指揮官か。」

若いが優秀な指揮官だ。混戦の不利を悟っている。杖に手を伸ばしていることから、最初の魔法攻撃にも参加していたのだろう。そして、最悪巻き込まれることも懸念しているあたりは良い読みだ。だが、対応が少しばかり遅い。判断が、教科書通りすぎる。或いは、経験が偏っているのかもしれない。こういった、普通とは少し異なる戦い方はあまり、一般的ではないのだから。

「さて、しかけるか。」

「では、上がりますか?」

「私の遍在が敵指揮官に斬りかかる。その瞬間に上がるぞ。」

遍在が奮戦する一方で、そのやや後方に潜んでいる我々が突破し、脱出するためには敵の組織的な追撃をできるだけ混乱させて、麻痺させる必要がある。故に、南方の伏兵に指揮官がいるのは幸いだ。罠を張り、優秀な手際を見せているよき敵だ。だが、まだ若い。戦場では、経験がものを言うのだ。今しばらくは、経験の差というやつを味わってもらうとしよう。次に活かせる機会があるかは、彼女次第だが。



{ミミ視点}

何故!?何故!?伏撃は完璧に決まった。四方からの魔法攻撃。並行して銃と弓による攻撃。その直後に剣士による白兵戦への移行。全てが、順調であった。なのに、倒せたのはわずかに一人。そして、混戦になった部隊は徐々に抜かれかけている。声をからして指示を飛ばすも、追いつかない。

「かかれえっ!数で押し包め!」

たった、たった三人のメイジ。そこに、白兵戦を専門とする剣士をぶつけたのだ。圧倒するのは時間の問題でなくてはならない。だが、実際はどうだ。また、一人、また一人と斬りかかった剣士が斬り伏せられているのだ。時折、剣を振るいながら魔法攻撃まで放たれている。なまじ接近しているために、剣士達がそれを避けるのは非常に困難となる。

「ミス・カラム、お下がりください。混戦に巻き込まれかねません。」

「お気づかいには感謝しますが、指揮官が下がるわけにもいかない。」

押されているときに指揮官が後退する?それは、できない。いくら合理的な理由があっても、それだけはできない。敵に背を向けないものを貴族と言い、メイジというのだ。我が一門は常に辺境でその勇を示してきた。ここで、その名を辱めることはできない。

「良い判断だ。まさに、基本に忠実といったところか。」

「迎撃!」

抜かれてしまった!?いや、一人が突出して突っ込んできている?っ、歩兵は混戦で動けない。こちらは、こちらで対処するほかない。後手に回り、終始後手ではないか!先手をとったのはこちらで、主導権を握っていたはずではなかったのか?

「む、炎のメイジか。面白い。」

「風で押し返せると思わないことね!」

「芸の無いことだ!」

『フレイム・ボール』を詠唱、手数で押すつもりが、エア・シールドに防がれる。火で圧倒できない?つまり、火力不足。ならば!

「思い切りのいいことだ!」

とっさに詠唱を行おうとしたところに、何かの詠唱が行われた気がして、とっさに回避する。つい先ほどまで立っていたところが不可視の風の刃に切り刻まれている。会話していたのに、魔法を詠唱している?この独特の詠唱方法は、名高い魔法衛士隊のものか!相手が悪い。忌々しいが、相手は手だれの対メイジ戦闘専門家だ。

「槍衾で対応しろ!数の優位を活かせ!」

並みのメイジ相手では、近接して斬りかかるほうが効率的だが、そうでない相手には、槍衾で四方八方から襲いかかるしかない。手数で圧倒するしかないのだ。そうでもしなければ、魔法を使えない兵士では戦闘に特化したメイジ相手には対処ができない。そして、厄介なことに、魔法が使えて、接近戦にも対応しているメイジというものに対峙したがるほどの勇者は、物語にしか存在しない。

「怯むな!押し返せ!」

自分でも無茶を言っていると思う。組織的な抵抗ができているだけでも、兵の士気を讃えるほかない相手なのだ。単純な計算だが、仮に、一体の亜人を5人がかりの戦士で倒せるとしよう。実際は一人か二人が犠牲になれば、その隙に亜人を倒せる。だが、その一人か二人になりたい兵はいないのだ。まして、その亜人を圧倒するメイジをさらに圧倒する難敵が相手では、兵には荷が重い。それが、ここを死に場と暴れまくるのだ。

「化け物め。」

混戦では、切り札の龍騎士隊すら上げられない。並行追撃をかけられては、ここで後退してもじりじりと圧力がかけられてしまう。仕留めることを断念し、防御に徹したとしても、包囲形成中の他部隊が合流し仕留めることができるようになるまでに、考えたくもない損害を出さなくてはならないだろう。いっそ、本当に、突破させて後ろから追いかける方が幾分楽だ。死ぬ気で抵抗されては、本当に大きな損害を出される。

「よそ見する余裕があるのかな?」

「っ!?」

咄嗟に掲げた盾が真っ二つに切断される。鋼鉄製の代物がだ。風のメイジは一般にいろいろと器用ではあるが、単純な火力は文字通り火のメイジに譲るとされるが、これは規格外の化け物だ。正直、突破されていないのが奇跡としか思えない。やつはこちらと会話しながら戦闘する余裕すらあるのに、こちらは指揮すらまともにとれない状態だ。

「センスは良いが、経験が足りないようだな!」

突っ込んでくると予想し、ファイヤー・ウォールを目の前に出すも、あっさりと回避される。突っ込んでくるように見せて、こちらの詠唱を聞きとっていたとしか思えない反応。いくら、風メイジの耳が良いといったところで、この混戦で聞き取れる物なのかと思わず、呆れてしまうほかにない。これだけの相手を押さえこめている?何かの冗談だ。

「何かの、冗談?・・・まさか、貴様!遍在か!」

可能性は一つ。この厄介な突撃と、厄介な混戦は意図的な物。この死に物狂いの奮戦も、遍在という使い捨ての陽動。だとすれば、本隊は別にいる!?だとすれば、この目の前の仮面をかぶった人物は全て遍在。まさか、一人で全ての遍在を出しているわけではないのだろうから、少なくとも2・3人の本隊がこの混乱に乗じて離脱しようとしている?

「ご名答。だが、貴女は気がつくのが少しばかり遅すぎたようだ。」



{ワルド視点}

ゲルマニアの人材は実に豊富だ。いっそ羨ましいというほかないほどに優秀なのだ。数百人単位の兵を、混戦でありながら指揮系統を維持しつつ、スクウェアである自分をまわりの護衛たちと抑え込もうとできる人材が、あっさりと出てくるゲルマニアの軍人が実に羨ましい。アルビオンの空軍と言い、ゲルマニアの諸候軍といい、実に優秀な人材が集まっている。

「経験不足といったところで、いつまでそれが通じることか。」

まだ若いからと侮るか、まだ若いにも関わらず、あれほどのと見るべきか。こちらの遍在が囮だと見破るのが遅かったとはいえ、まあ対メイジ戦闘の専門家でないことを考えれば上出来すぎるくらいだ。

「まあ、なにはともあれ、今はのんびりと飛べますがね。」

「ああ。だが、気が重い。ああいうのを敵にたくさん抱えているのだからな。」

ゲルマニアの龍騎士隊は結局、上がってこなかった。と、いうよりはいつでも上がれる状態で動けなかったというべきか。なにしろ、計画通りに事態が推移しているとばかり、思われていたのだから、上昇命令がなくとも不信感を抱かず、結果的に我々を見逃すことになった。残してきた、監視用の遍在がやられる前にようやく慌てて飛び出したが、遅すぎる。とはいえだ、今回は上手く切り抜けられたが、次もそううまくいくと期待しすぎないことが肝要だ。我々は実に困難なことをやらざるを得ないし、続けざるを得ないのだから。

「それにしても、敵は想像以上の連携が取れていました。あの伏撃など教本にのっていてもおかしくないものです。」

「後方、それも前線に出ていない諸候軍と侮っているつもりはなかったが、甘かったようだな。」

敵は組織的な抵抗を最後まで維持し、結局遍在は仕留められてしまった。次は、容赦なく距離を取って火力で犠牲をいとわずに圧倒してくることが予想される。思い切りのよい指揮官ならば、接近されて大量出血を強いられるよりは、メイジの本領を発揮されても、仕留められる魔法の応酬を選択してくるだろう。今回のような奇手はそうそう使える物ではない。これで、留守を、守っている軍なのだから、主力が帰還した時のことを思うと、率直に言って手を焼かざるを得ないだろう。

「一撃離脱。それに徹するほかあるまい。」



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あとがき(という名の、贔屓の隠蔽?)

7万人を相手にできる素質を持つ勇者と、戦えるワルドは、リアルチート級の戦力何だと思うのです。

アルビオン王家滅亡時に、壁となる兵がいなければとか言われてました!だから、エルフみたいに反則級の防御ができるわけではありませんが、しかし、すごく強くたっていいじゃないか、ワルドだもの。

彼は、立派なゲリラ屋になるのです。でも、軍人ならむしろ武勇伝で、綺麗なワルドだと思うのです。ほら、スカンデルベクとか英雄ですし。

更新が遅れた理由は、パラドックス社の新作です。
Warband、楽しゅうございました。というか、まだ止められませんorz

できれば、できれば今週中には、外伝終えたい・・・。


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