ネット上で死んだ人間の魂はどこに行くのか。門倉甲はネットで迎える最期に思ったのは死後の世界だった。最愛の人である水無月空が待っていてくれるのだろうか。戦い続けた彼は空に会いたかった。部下である桐島レインと何度体を交わそうともその想いだけは変えられない。自分が失われる刹那に思うことは失った女と置いていく女。桐島レインについては自分が空の死に引きずられた轍を踏まずに生きて欲しい。「地獄にしてはえらく現実的だな」まるでスラムのような場所、いや荒れてはいるが要塞だろうか。「レベル7にようこそ若人よ。資格者以外がここに来るのは稀であるが、偶然であろうとも羽根を休めたいのなら歓迎しよう」灰色の髪と意志の強い瞳を持つ長身の男。年頃は40代か。インテリ風にも見えるが見れば筋肉の付き方に無駄がないので真っ当ではないのだろう。中華風の格好をしているのでお隣出身なのかもしれないと夢現な状態の甲は思った。「あんたは誰だ? ここは? 俺は死んだんだよな」「死んだかどうかはわからないが、現実として君は存在している。肉体あるいは現実の死と仮想上の死は同一ではない。肉体の死という意味では私は既に死んでいるが、私という自己は私を認識してここにいる。ここリヴァイアサンは肉体の死を迎えたのに電子体というネガが残ってしまった電子体幽霊(ネットワイヤードゴースト)が住まう場所なのだよ。私の名はクーウォン、君の名前も聞こうか若人よ」「門倉甲だ。電子体幽霊って都市伝説だろ。それにリヴァイアサンもネット上の都市伝説だし」死んだはずの自分がいるのもおかしい、電子体幽霊という存在もおかしい、そして最強最悪のシュミクラム「リヴァイサン」に至ってはそんなのいたらノインツェーンどころじゃない騒ぎになるだろう。そんな甲の心中が分かるのかクーウォンは頭を振る。「常識なんて儚いものだ。君は軍人か傭兵のようだが、戦いに身を置くに至る理由、そこに至る理不尽。自分が信じた世界が崩される絶望。戦闘狂でもない限りは理由付けがないと人は戦えないのだよ」甲はふと父を思う。業界で名を馳せる傭兵フェンリルのボス門倉永二が戦い続ける、それこそ母の臨終間際まで戦い続けた理由、そして母が死んで尚戦いを止めない理由は何なのだろうかと。記憶に残る父親は戦いが好きそうには見えなかった。世界を転戦した中で知り合ったやつらは生活の糧であったり、復讐だったり色々あった。「幼い頃は親がいることが常識だった。友ができたのなら今の関係が永遠に続くと思っていた。だが環境が変われば優先順位が変わる。私は己の安寧より理不尽に対する怒りを選んだが、それは私が力と意志を持っていたからだ。君が戦うことを決意し、まだ使命を果たしていないと思うのであれば、ここから立ち去るがいい。目覚めたということは既に傷が癒えたということだ」「・・・戻ります。俺には果たすべき目的が残っていますから」「そうか・・・だが、君がこれから戦う相手が理不尽であるならばこの中にいる者達と交えるといい。この中での1週間は仮想で数分にしかならないのだから」「中尉!」「レイン・・・現状は」「作戦は失敗です。生き残っているのは私と中尉だけ」あそこで見たのは幻だったのだろうか。いや記憶に無い武装が増えている。これは・・・「とりあえず撤退する、ルートの割り出しを頼む」「了解!」FC チャージングストライクを手に入れましたリヴァイアサンの中でやったメニュー、オードブルとして朝倉ひかるさん作成のウィルス百体抜き、その後の第一ラウンド月菜(巨大な)、第二ラウンドバチェラ(全力)、第三ラウンド相馬透と戦う羽目になるわけですが、あまりにも酷すぎるのでカット。想定としては憐ベストエンド後。本来はこれが読み切りになるはずでした。作ったのがDIVE1クリアした辺りだから。しかし、出てしまったのがヒロイン?な空さんと現実でも二ラキャラと定着してしまった菜ノ葉さん。本当にどうしてこうなった。バルド系の男性の中ではクーウォンが一番好きなのでこんな出番。現在のリヴァイアサンの中はマッドサイエンティストとホッドガーの巣窟と化しています。