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No.14434の一覧
[0] 【ネタ・習作・処女作】原作知識持ちチート主人公で多重クロスなトリップを【とりあえず完結】[ここち](2016/12/07 00:03)
[1] 第一話「田舎暮らしと姉弟」[ここち](2009/12/02 07:07)
[2] 第二話「異世界と魔法使い」[ここち](2009/12/07 01:05)
[3] 第三話「未来独逸と悪魔憑き」[ここち](2009/12/18 10:52)
[4] 第四話「独逸の休日と姉もどき」[ここち](2009/12/18 12:36)
[5] 第五話「帰還までの日々と諸々」[ここち](2009/12/25 06:08)
[6] 第六話「故郷と姉弟」[ここち](2009/12/29 22:45)
[7] 第七話「トリップ再開と日記帳」[ここち](2010/01/15 17:49)
[8] 第八話「宇宙戦艦と雇われロボット軍団」[ここち](2010/01/29 06:07)
[9] 第九話「地上と悪魔の細胞」[ここち](2010/02/03 06:54)
[10] 第十話「悪魔の機械と格闘技」[ここち](2011/02/04 20:31)
[11] 第十一話「人質と電子レンジ」[ここち](2010/02/26 13:00)
[12] 第十二話「月の騎士と予知能力」[ここち](2010/03/12 06:51)
[13] 第十三話「アンチボディと黄色軍」[ここち](2010/03/22 12:28)
[14] 第十四話「時間移動と暗躍」[ここち](2010/04/02 08:01)
[15] 第十五話「C武器とマップ兵器」[ここち](2010/04/16 06:28)
[16] 第十六話「雪山と人情」[ここち](2010/04/23 17:06)
[17] 第十七話「凶兆と休養」[ここち](2010/04/23 17:05)
[18] 第十八話「月の軍勢とお別れ」[ここち](2010/05/01 04:41)
[19] 第十九話「フューリーと影」[ここち](2010/05/11 08:55)
[20] 第二十話「操り人形と準備期間」[ここち](2010/05/24 01:13)
[21] 第二十一話「月の悪魔と死者の軍団」[ここち](2011/02/04 20:38)
[22] 第二十二話「正義のロボット軍団と外道無双」[ここち](2010/06/25 00:53)
[23] 第二十三話「私達の平穏と何処かに居るあなた」[ここち](2011/02/04 20:43)
[24] 付録「第二部までのオリキャラとオリ機体設定まとめ」[ここち](2010/08/14 03:06)
[25] 付録「第二部で設定に変更のある原作キャラと機体設定まとめ」[ここち](2010/07/03 13:06)
[26] 第二十四話「正道では無い物と邪道の者」[ここち](2010/07/02 09:14)
[27] 第二十五話「鍛冶と剣の術」[ここち](2010/07/09 18:06)
[28] 第二十六話「火星と外道」[ここち](2010/07/09 18:08)
[29] 第二十七話「遺跡とパンツ」[ここち](2010/07/19 14:03)
[30] 第二十八話「補正とお土産」[ここち](2011/02/04 20:44)
[31] 第二十九話「京の都と大鬼神」[ここち](2013/09/21 14:28)
[32] 第三十話「新たなトリップと救済計画」[ここち](2010/08/27 11:36)
[33] 第三十一話「装甲教師と鉄仮面生徒」[ここち](2010/09/03 19:22)
[34] 第三十二話「現状確認と超善行」[ここち](2010/09/25 09:51)
[35] 第三十三話「早朝電波とがっかりレース」[ここち](2010/09/25 11:06)
[36] 第三十四話「蜘蛛の御尻と魔改造」[ここち](2011/02/04 21:28)
[37] 第三十五話「救済と善悪相殺」[ここち](2010/10/22 11:14)
[38] 第三十六話「古本屋の邪神と長旅の始まり」[ここち](2010/11/18 05:27)
[39] 第三十七話「大混沌時代と大学生」[ここち](2012/12/08 21:22)
[40] 第三十八話「鉄屑の人形と未到達の英雄」[ここち](2011/01/23 15:38)
[41] 第三十九話「ドーナツ屋と魔導書」[ここち](2012/12/08 21:22)
[42] 第四十話「魔を断ちきれない剣と南極大決戦」[ここち](2012/12/08 21:25)
[43] 第四十一話「初逆行と既読スキップ」[ここち](2011/01/21 01:00)
[44] 第四十二話「研究と停滞」[ここち](2011/02/04 23:48)
[45] 第四十三話「息抜きと非生産的な日常」[ここち](2012/12/08 21:25)
[46] 第四十四話「機械の神と地球が燃え尽きる日」[ここち](2011/03/04 01:14)
[47] 第四十五話「続くループと増える回数」[ここち](2012/12/08 21:26)
[48] 第四十六話「拾い者と外来者」[ここち](2012/12/08 21:27)
[49] 第四十七話「居候と一週間」[ここち](2011/04/19 20:16)
[50] 第四十八話「暴君と新しい日常」[ここち](2013/09/21 14:30)
[51] 第四十九話「日ノ本と臍魔術師」[ここち](2011/05/18 22:20)
[52] 第五十話「大導師とはじめて物語」[ここち](2011/06/04 12:39)
[53] 第五十一話「入社と足踏みな時間」[ここち](2012/12/08 21:29)
[54] 第五十二話「策謀と姉弟ポーカー」[ここち](2012/12/08 21:31)
[55] 第五十三話「恋慕と凌辱」[ここち](2012/12/08 21:31)
[56] 第五十四話「進化と馴れ」[ここち](2011/07/31 02:35)
[57] 第五十五話「看病と休業」[ここち](2011/07/30 09:05)
[58] 第五十六話「ラーメンと風神少女」[ここち](2012/12/08 21:33)
[59] 第五十七話「空腹と後輩」[ここち](2012/12/08 21:35)
[60] 第五十八話「カバディと栄養」[ここち](2012/12/08 21:36)
[61] 第五十九話「女学生と魔導書」[ここち](2012/12/08 21:37)
[62] 第六十話「定期収入と修行」[ここち](2011/10/30 00:25)
[63] 第六十一話「蜘蛛男と作為的ご都合主義」[ここち](2012/12/08 21:39)
[64] 第六十二話「ゼリー祭りと蝙蝠野郎」[ここち](2011/11/18 01:17)
[65] 第六十三話「二刀流と恥女」[ここち](2012/12/08 21:41)
[66] 第六十四話「リゾートと酔っ払い」[ここち](2011/12/29 04:21)
[67] 第六十五話「デートと八百長」[ここち](2012/01/19 22:39)
[68] 第六十六話「メランコリックとステージエフェクト」[ここち](2012/03/25 10:11)
[69] 第六十七話「説得と迎撃」[ここち](2012/04/17 22:19)
[70] 第六十八話「さよならとおやすみ」[ここち](2013/09/21 14:32)
[71] 第六十九話「パーティーと急変」[ここち](2013/09/21 14:33)
[72] 第七十話「見えない混沌とそこにある混沌」[ここち](2012/05/26 23:24)
[73] 第七十一話「邪神と裏切り」[ここち](2012/06/23 05:36)
[74] 第七十二話「地球誕生と海産邪神上陸」[ここち](2012/08/15 02:52)
[75] 第七十三話「古代地球史と狩猟生活」[ここち](2012/09/06 23:07)
[76] 第七十四話「覇道鋼造と空打ちマッチポンプ」[ここち](2012/09/27 00:11)
[77] 第七十五話「内心の疑問と自己完結」[ここち](2012/10/29 19:42)
[78] 第七十六話「告白とわたしとあなたの関係性」[ここち](2012/10/29 19:51)
[79] 第七十七話「馴染みのあなたとわたしの故郷」[ここち](2012/11/05 03:02)
[80] 四方山話「転生と拳法と育てゲー」[ここち](2012/12/20 02:07)
[81] 第七十八話「模型と正しい科学技術」[ここち](2012/12/20 02:10)
[82] 第七十九話「基礎学習と仮想敵」[ここち](2013/02/17 09:37)
[83] 第八十話「目覚めの兆しと遭遇戦」[ここち](2013/02/17 11:09)
[84] 第八十一話「押し付けの好意と真の異能」[ここち](2013/05/06 03:59)
[85] 第八十二話「結婚式と恋愛の才能」[ここち](2013/06/20 02:26)
[86] 第八十三話「改竄強化と後悔の先の道」[ここち](2013/09/21 14:40)
[87] 第八十四話「真のスペシャルとおとめ座の流星」[ここち](2014/02/27 03:09)
[88] 第八十五話「先を行く者と未来の話」[ここち](2015/10/31 04:50)
[89] 第八十六話「新たな地平とそれでも続く小旅行」[ここち](2016/12/06 23:57)
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[14434] 第四十話「魔を断ちきれない剣と南極大決戦」
Name: ここち◆92520f4f ID:190f86b3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/12/08 21:25
鳴無兄妹を経由して渡された招待状を手に、初めて覇道財閥の秘密基地に訪れた九郎は、地下深くに隠された秘密格納庫に眠る人造鬼械神、デモンベインとの邂逅を果たす。
覇道財閥現総帥覇道瑠璃の依頼とは、ミスカトニックの学生の中では一番に腕が立ち、なおかつこれまで鬼械神の真作に乗って戦ってきた九郎に、このデモンべインで戦って貰う事だったのだ。
鬼械神の理論を踏襲しながらも、不自然なまでに不備、不足の存在するデモンベインに初めは不信の眼差しを向ける九郎であったが、試しにコックピットに乗り込み、その内部構造を魔術で解析したところ、ある事実に気が付いた。
そう、デモンべインなる人造鬼械神は、驚く程に構造がアイオーンに似ていたのだ。
そして、再開された破壊ロボの攻撃に、九郎は不完全な人造鬼械神で出撃する事となる。

―――――――――――――――――――

コックピットに備え付けられた操縦席に座り、地上へ向けて上昇を続けるデモンベインの中、九郎は先程覇道の若き総帥に言われた言葉を思い出していた。

『私の祖父である覇道鋼造は、デモンベインを動かすには優れた魔導書と優れた魔術師だけでは足りないと言っておりました』
『デモンベインを動かすには、三位一体を成した魔術師でなければならない、と』
『そして、初めてこれに乗る魔術師はこの言葉の意味を理解できるだろうとも』
『……突然呼び出しした挙句に、この様な事を言われても困惑されてしまうかもしれませんね』
『本当に、そのロボットが戦えるのかは私達にも分かりません。構造の解析を行ってきた技術者達は、どうあがいてもこのままでは一歩歩く事すら困難だと言っておりました』
『ですが、祖父が、あの覇道鋼造が、本当に無駄な事にこれほどの手間をかけるとは、私には信じられないのです』
『大十字さん、デモンベインの事、どうかよろしくお願いいたします』

アーカムシティを、いや、世界の半分を統べるとも言われている覇道財閥の現総帥である少女が、しがない学生であり、魔術師としても未ださほど位階の高くない自分に頭を下げた。
覇道の名を出して招待してきたが、権力をかさにきて命令をした訳では無い。依頼料も支払われるが、金に物を言わせて依頼してきた訳でも無い。
それは、街を自らの力で守る事の出来ない少女の、切実なる願い。
身の縮まる様な思いとはこの事を言うのであろう。
何しろ、九郎自身はこの人造鬼械神、デモンベインのある秘密を理解した瞬間、とんでもない拾い物をした、程度に考えていたのだ。
これを使えば、まともに機神召喚を行うよりも遥かに負担を少なく戦う事が出来る。
だが、あそこまで真摯な態度で頼まれたのであれば、少しばかり考えを改めるべきだろう。

「頼んだぜ、デモンベイン。お前には俺の相棒を預けてるんだからな」

九郎は自分の足の間、操縦席の下に備え付けられた機械を掌でぽんぽんと叩く。
その機械からは無数のコードがコックピット内部の到る所に伸ばされ、中央には一冊の本が添えられている。
力の殆どを失ったアル・アジフの魔導書形態。
術者を能動的にサポートする程の力は失ってしまったが、ラテン語版からの逆翻訳移植などにより僅かに力を取り戻し、術者からの命令を受け取り受動的にサポートする程度の力は取り戻している。
九郎は気付いていた。この機械は魔導書を制御する為の装置なのだ。いや、魔導書の機能を最低限に抑える装置と言い換えた方が適切か。
この機械に組み込まれた魔導書は記載されている術式の半分以上をデモンベインの機体制御に向ける為、その力を十全に発揮する事が出来ない。
そう、魔導書に記された術を使用しても、それらの魔術が不完全にしか発動しないのだ。

「アル……」

目を瞑り、命を賭して自分を助けてくれた相棒の事を思う。
未熟な自分に今一度、力を貸して欲しい。
いや、借りる。ブラックロッジを討ち、お前の仇を取るまでは何度でも力を貸して貰う。
嫌だとは言わせない。死んでいるから嫌だとは言えないだろうが、それは死んでいる方が悪い。
文句があるなら化けてでも現れてみろ、そうしたら首元引っ掴んででも力を貸して貰う。
始まりは偶然、しかし、一方的に巻きこんだのはあちらの方。一人だけ先に抜けるなんて誰が許してやるものか。
たかだか『死んだ程度』で逃れられると思ったら大間違いだ。
何故なら俺達は、死が二人を『別つとも』途絶える事の無い強い絆で結ばれた、相棒。
故に、

「地獄の底まで、付き合って貰うぜ!」

目の前の、アル・アジフの装填された機械に、逆手に持ったバルザイの偃月刀を突き立てる。
振り降ろされた刃は機械を破壊せず、溶け込むように融合、内部に搭載されたアル・アジフと、そこから更にデモンベインへとリンクする。
機械に封じられたアル・アジフのページは舞わず、しかし周囲に設置されたモニタや機械類が唸りを上げ、光を点す。
変則的詠唱形態へと移行したバルザイの偃月刀の柄を握り、モニタを見つめる。
無残にも破壊されたアーカムの街並みと、未だ無秩序に破壊活動を繰り返す無数の量産型破壊ロボ。
その鈍重な玩具の様なデザインとは裏腹に、破壊ロボ達は軍隊でも相手をする事が不可能な程の力を備えている。
対するこちらは、まともに動くかどうかも怪しい、継ぎ接ぎだらけの鬼械神の紛い物。
だが構わない、足りない部分があるのならこちらで補ってやればいい。

『召喚回数に関する問題は、たぶんそこで初めて解決する筈です』

ふと、秘密図書館での会話を思い出す。
あいつはこの事を知っていたのだろうか。あの場所にこの機体がある事を、この機体を見て何を思いつくのかを、あいつは直感だけで予見していたのだろうか。
予見していたのか、知っていたのか、それとも、あの時に自分に会えば誰であれあの言葉を口にしたのか。
勘か作意か運命か、どちらにしても、今は目の前のポンコツ共をジャンクにするだけだ。
偃月刀を通しリンクしたアル・アジフの記述にアクセス。
制御に取られ、穴だらけになった記述に魔力を流し込み、もはや御馴染となった大魔術を、初めて誰の補助も無く発動させる!

「機神、召喚!」

力量の足りない術者の、不完全な記述による鬼械神の召喚。
生み出されるのはいくつものパーツが欠損した鬼械神のなり損ない。
腕は欠け、脚は脚足らず、心臓たるアルハザードのランプに至ってはパーツの一欠けすら召喚できていない。
満足に人型すら構成出来ていない、未完の鬼械神。
そして、それらのパーツは過たずデモンベインの不足部分に合致、結合される。
断絶されていたデモンベインの全身の回路が、『数十年ぶりに』完全に接続された。

【That is not dead which can eternal lie(久遠に臥したるもの死する事なく)】

【And with strange aeons even death may die(怪異なる永劫の内には死すら終焉を迎えん)】

燃える街を映し出すモニターに、誓約の言葉が流れて消える。
デモンベインを構成材料に召喚された、機械技術と魔術の混ざり合った異形の鬼械神が、完全戦闘形体への移行に成功したのだ。
偃月刀を通し、デモンベインの動きを確認する。

「アイオーンよりは鈍いが、やれない程じゃねえな」

武装を確認──頭部備えつけのバルカン以外、デモンベインの武装は間違いなくあてにならない、魔術兵装はほぼ自力で使用できない。
対する敵は地上だけでなく空中にも存在している。
シャンタクもまともに使用出来ない今、空の敵に対して使える手は限られている。

「アトラック=ナチャ!」

デモンベインの頭部より光輝く蜘蛛の糸が伸び、空高くより爆弾を落とし続ける量産型破壊ロボに巻き付く。

「どおりゃぁぁああっ!」

デモンベインは自らの頭部より伸びたアトラック=ナチャの糸の束を鷲掴み、全力で地面を蹴ると同時に、力任せに手繰り寄せる。
操縦者の意を汲んだのか、未完成状態のまま搭載され、安全装置の掛けられた断鎖術式が限定解放され、重力を操りデモンベインの重量を半減させた。
アトラック=ナチャに絡め取られた量産型目掛け、デモンベインは砲弾の如く宙を跳ぶ。
この間僅か三秒。しかし、量産型に搭載されたAIが異常に気付くのには十分な時間であった。
自分を足掛かりに飛ぼうとするデモンベイン目掛け、量産型がビームを照射、直撃。
いや、ビームが打ち抜いたデモンベインがガラスの様に砕け散る。
ニトクリスの鏡による幻影だ。
目標を見失い、周囲を見回す量産型の頭をデモンベインが踏み抜く。
九郎は量産型に察知される前にデモンベインの幻影を作り出し、自らは空中に鍛造し滞空させたバルザイの偃月刀を足場に更にジャンプ、一気に高度を稼いだのである。
一見、この方法であれば空中を無限にジャンプする事が可能であるように見える。
が、この移動法には重大な欠点が存在する。
まず、デモンベイン自身の重量を軽減した状態でしかこの移動法は行えず、自然と未完成状態の断鎖術式に頼らなければならないという不安定さ。
そして、術者である九郎に掛かる負担の問題だ。

「はあっ、はぁっ、はっ、は」

魔術師としては未熟な九郎が、不完全ながらも鬼械神を召喚しながら、移動の度にバルザイの偃月刀を鍛造し、更には敵の攻撃を逃れる為にはニトクリスの鏡を使用しなければならない。
仮にバルザイの偃月刀を使い捨てずに再利用するにしても、今度は偃月刀を手元に呼び戻すために力を使わなければならないのだ。

「このっ」

手元に呼び戻したバルザイの偃月刀で周囲の量産型から迫るミサイルの雨をたたき落とし、時には展開し盾にしながら、確実に一機一機斬り伏せていく。
だが、予想外に消耗が激しい。
十機、二十機、三十機と落としていく度に九郎の息は上がり、疲労は溜まり、魂は削られていく。

「どうせなら、先生の蜂蜜酒もくすねておけば良かったかな」

半分本気の冗談を口にし、疲労により萎え始めた闘志を振るい立たせる九郎。
シュリュズベリィ先生が生身の人間のまま鬼械神を自在に操り続けていられるのは、あの黄金の蜂蜜酒に秘密があるという噂を聞いた事があったのだ。
学術調査中ならそれほど研究室に大量に置いていないにしても、少なからず貯蔵していた筈だ。戦うつもりなら何故持って来なかったのか。
今さら思い付いても使用の無い事を考えながら、次々と量産型の上を跳び移りながら切りつけ、殴り潰し、蹴り壊していく。
身体や魂に掛かる負担を考えなければ、単純作業と言ってもいい程に慣れてきた所で、いや、慣れてきたからこその油断が生まれた。

「うお」

次の足場にするつもりで跳んだ先の量産型が、踏み台になる直前で自爆した。
自分達が足場にされている事を、量産型のAIが理解し始めたのだ。
空中で突如足場を失い、バランスを崩すデモンベイン。
同時に、同士撃ちを避ける為に控えめに抑えられていた周囲の量産型から、雨霰とミサイルやバルカン、ビームの嵐が降り注ぐ。

「んなもんで、やられてたまるか!」

弾数の関係で出し惜しみしていた唯一まともに機能するらしいバルカンを使用し、迫りくるミサイルを撃ち落とす。
が、ビームとバルカンはどうにもならない。
足場にした偃月刀を呼び戻す時間も、鍛造し直す時間も無い。
どうにかして受けるダメージを最低限にせんと、九郎はデモンベイン身をよじらせ、気付く。
デモンベイン目掛け攻撃を続ける量産型に混じり、一機だけ、別の動きをしている量産型の姿。
他のほぼ無傷の量産型とは違い、全身いたるところにダメージを負ったその量産型は、デモンベイン目掛け一直線に飛びながら、手を差し出している。
すれ違いざまに手を取り合いそのまま離脱、間一髪のところで量産型の集中砲火から逃れた。
他の量産型とは一線を画した動き、九郎はその傷だらけの量産型の動きに見覚えがあった。

「エルザか!」

「ダーリン、助けに来たロボ!」

外部スピーカーから聞こえる、語尾がロボットっぽい少女の声。
ブラックロッジが誇る狂気の天才、ドクターウエストによって生み出された人造人間エルザ。
かつてアイオーンに乗って戦っていた頃、破壊ロボのパイロットとして幾度となく相対し、時には苦戦を強いられた相手。
そう、彼女はドクターウエストの部下であり、つまりはブラックロッジなのだ。

「どういうつもりだ、なんでお前らが手を貸す!」

すかさず追撃を仕掛けてくる他の量産型の群れ。
機体性能に差が無く、ダメージと荷物であるデモンベインの重量分だけハンデがある為、追う者と追われる者の距離は見る間に詰められていく。
更に、量産型達はエルザの乗る量産型にも容赦なくミサイルやバルカン、ビームを放っている為、回避の度に更に距離は縮められる。
六百、五百、四百と短くなる距離にエルザの量産型はデモンベインを、

「手を貸すから、博士を助けて欲しいロボ! 助けてくれるなら、幾らでも協力するロボ!」

迫る量産型の上方へ、力の限り放り投げた。
──内臓がひっくり返る様な浮遊感を感じながら、九郎はエルザの言葉の内容を考える。
助けて欲しい、あのキ○○イ科学者を。
どういった経緯なのかは分からないが、悲痛な、切羽詰まったエルザの口調には真剣味が感じられた。
平気で自分の創造主をトンファーで殴打して頭蓋を陥没させるような娘がここまで慌てている以上、本気で急がなければならないような事態なのだろう。
改めて見れば、エルザの破壊ロボは他の量産型から攻撃を受けている。
恐らく、逆十字の造反とマスターテリオンの死を切掛けにブラックロッジの中でも色々とごたごたがあったのだろう。
ドクターウエストも悪党ではあったが、逆十字の様な邪悪さは持ち合わせていない。
仲間割れ、いや、破壊ロボの量産型が完成した時点でブラックロッジ内部でのドクターウエストの役目が終わり、切られたか。
ともかくこの状況で無碍に断る必要も無いし、見捨ててどこかで野垂れ死にされるのも後味が悪い。

「良いぜ、一時休戦だ。話はこいつらを潰してから聞いてやる」

量産型の群れの真上に到達した九郎は頭部のバルカンから砲弾をばら撒きながら、先ほど置き去りにしていたバルザイの偃月刀を呼び戻し、更にもう一本偃月刀を鍛造。
一方を展開しブーメランのように真下の量産型の群れに投げ込み、遠隔操作で纏めて数体両断。
そして、迫る偃月刀をギリギリのところで回避した量産型を、

「ありがとうダーリン、愛してるロボ!」

エルザの乗る量産型のビームが貫いた。
二機の連携で次々と量産型の破壊ロボがスクラップと化していく。
量産型の数が半分を切ろうかという所で、デモンベインが地面へと着地。
空からの援護があるのならば無理に空で戦う必要も無いと踏んだのだ。
投擲した偃月刀をキャッチし、残りの量産型へと視線を向けた、その時。

「──────ッ!?」

「ロボ!?」

大地が振動している。
地下に大量の水が流れている様な、巨大な蛇がのたうっている様な、そんな重低音が鳴り響く。
轟音と共に、大地を突き破って高層ビルを超える高さの巨大な水柱が天を突いた。
それも一つではない。
二、三、四、五、六本もの水柱が円環状に並び立ち、その輪の中に魔法陣が輝く。
目を焼く魔法陣の輝きが増すにつれ、水柱の噴射の勢いも増す。
強大な魔力が渦を巻き、膨大な密度の情報が急速に収束し始める。
天に噴き上がる水柱が捻子曲がりながらも交り合い、一本の巨大な渦を形成する。
爆砕。
魔術的高密度情報体が渦を媒介に顕現化し、巨大な質量を伴い現実に実体を結ぶ。

「ゲェハハハハハハハハハハハハッ!」

鉄の塊の様な無骨で剛健なシルエットが、圧倒的な存在感を放ちながら威圧するように聳え立つそれは、刃金を持って作られた神の模造品。
──クラーケン。
ブラックロッジの幹部、逆十字の一人、カリグラの招喚する鬼械神。
デモンベインから微弱なアル・アジフとアイオーンの気配を感じ取った逆十字が送り込んだ刺客。
機械の身体にアイオーンの不完全な身体を継ぎ足してようやく動いているデモンベインでは、勝てる道理の無い相手。

「エルザァッ!」

大蛇の如く迫るクラーケンの両腕をバルザイの偃月刀で切り払い、アトラック=ナチャをエルザの破壊ロボ目掛け展開する。

「了解ロボ!」

エルザは自らの機体目掛けて飛んでくるアトラック=ナチャの糸を掴み取り、急上昇しながら腕の可動範囲ギリギリまで一気に糸を掴んだ腕を振り上げた。
宙を舞い、エルザの破壊ロボを死角から狙っていた量産型の頭を踏みつぶし着地。
量産型破壊ロボ五十機余りと逆十字の操る鬼械神を相手取り、不完全な鬼械神一体と、弾薬の尽きかけている量産型破壊ロボ一機のみ。
それでも、九郎の闘志は衰えを見せない。

「やぁってやるぜぇ!」

コックピットの中、操縦桿代わりの偃月刀の柄を握りながら、獰猛に歯を剥き笑う。
戦闘は新たな局面を迎え、九郎の精神もまた、新たな高みへと登らんとしていた。

―――――――――――――――――――

アトリーム月 暴徒鎮圧装置日(いやぁ、クラーケンは強敵でしたね)

『強敵だったかはともかく、デモンベインはそれなりに苦戦していた』
『マギウススタイルの補助なしでバルザイの偃月刀とか鍛造するから防御魔術とか使えるのかと思ったら別にそんな事は無かったらしい』
『お陰で今回のデモンベインと来たら避けないわ脆いわで、それはもう見ていられない有様だった』
『クラーケンのコックピットを偃月刀で叩き潰したのは大十字のデモンベインだったが、間違いなくあの勝利はエルザの飛行型破壊ロボのお陰だ』
『というか、エルザの破壊ロボの中には腹部を負傷したドクターウエストが乗っていた筈なのだが、大丈夫だったのだろうか』
『まぁ、あっちこっちで腹部を刺されるのはドクターウエスト唯一の死亡フラグと言われているが、少なくとも原作では三人のヒロインのどのルートでも死んでいない。つまりは死ぬ死ぬ詐欺用の偽装フラグ』
『どうせ今頃勝手に病室から抜け出して、機能的に不完全な上に、クラーケンとの戦闘でズタボロのデモンベインを勝手に修復しながら『毎日牛乳飲んでるからな!』とか、地元の酪農家の爺さんみたいな事を言ってピンシャンしているに決まっている』
『……と、ここまで書いて気が付いたのだが、一度相手の身を案じた後に『なぁに、どうせ元気に○○しているに決まっている』みたいな発言は、相手側に押しつける形の呪術的死亡フラグではなかろうか』
『どう転んでも大十字は次のループに落とされるにしても、できる事ならドクターにはデモンベインの魔術武装、断鎖術式とか昇華呪法とか、その辺の改良とかもして欲しいというのが本音』
『まぁ、それも次のループでドクターが無事に覇道財閥に辿りつけるように手を回せばいいだけの話で、そこまで気にかける様な問題でもない』
『しかしなんというか、この世界がループしている、という事を理解しているせいか、少しばかり心に余裕を持ち過ぎている気がする』
『これが姉さんの言う、幾らでも代えが利く相手に対する心の持ち方、というものなのだろうか』
『だとすれば、俺はまた一歩姉さんに近づいた事になる。実に喜ばしい限りだ』
『さて、栄えあるデモンベイン世界第一週目のイベントも、残すところあと二つか三つくらい。気合いを入れ直して頑張ろう!』

―――――――――――――――――――

アーカムシティ地下、デモンベイン秘密格納庫。
小型の作業ロボットが覇道財閥の秘密兵器であるデモンべインの上を忙しなく動き回っている。
量産型破壊ロボや鬼械神クラーケンとの戦闘を経てスクラップ同然になったデモンベイン。
しかし、その身体に刻まれた傷は、既にその大半を修復されつつある。
高速稼働する作業機械群を眺めながら、九郎は感嘆の溜め息を漏らした。

「本当に、良くここまで直せるもんだ……それも二日で」

九郎の搭乗していた鬼械神アイオーンであればそもそも自己修復機能(メリクリウス・システマ)によってそのまま放置しておくだけでも直ってしまう。
が、このデモンベインは違う。
一部に魔導技術を組み込んでいるとはいえ、その身体は通常物質を建材に使用した機械人形。
単純に考えてみよう。50メートル級のロボットを建造するのに、一体如何程の労力、時間が必要になるのか。
一般的な50メートル級の高層ビルですら、完成までにかなりの時間を要するのだ。

「ふはははは! 当然であーる! 我輩をそこらのとりたてて見るべき所の無い平凡な科学者と一括りにできると思ったら大間違いである! そう、我輩が、我輩こそが神に選ばれし真の大、天、才! ドォォォ、グボォフッ!」

ミシィ、ブチブチブチ、パキン、という余り耳にしたくない生理的嫌悪感を覚える危険な音を立て、車椅子に乗ったドクターウエストの腹部にトンファーが減り込んだ。
ドクターウエストは顔からじっとりと冷や汗をかき、ボディスーツの上から巻かれている包帯は真っ赤に染まり、眼の焦点はふらふらと揺れまるで定まる気配が無い。

「博士、あんまり騒ぐと傷が開くロボ」

「いや、むしろ今ので悪化したんじゃねえか?」

片手にトンファーを構えたまま、腹を抱えて呻く事すら出来ずにいるドクターウエストを気遣うエルザに冷静に突っ込みを入れる九郎。
このロボっ娘、これがボケでも殺意を持っている訳でも無く、本気でドクターウエストを気遣った上での行動だから恐ろしい。
勝手にデモンベインを弄られて文句を言いたそうにしていたメカニック担当のメイド(覇道財閥でデモンベインに関わっているメイドは何故か全員ミニスカメイドである)、チアキですらハンマーを抱えたまま硬直している。
が、傷が開いたにもかかわらず医者を呼ぶ素振りすら無いところからして、ドクターウエストへの気遣いは存在していないらしい。
手に持っていた白木の杭でも仕込んでありそうな凶悪なデザインのハンマーを地面に下ろし(柄から手は放していないが)、ドクターウエストへと質問、いや、尋問を始めた。

「そんで、人様の庭に勝手にあんなもん解き放って、一体どういうつもりやこの○○○○犯罪者が」

「あ、あんなもん、とはなんとも酷い言われようであるな」

腹部から血を滲ませたドクターウエストが、傷口を手で押さえて痛みを堪えつつも顔を上げ、チアキの言葉に不満を漏らす。
チアキの言うあんなもん、とは、今現在デモンベインを高速で修理している作業機械群の事だ。
本来、デモンベインの修復はあの様な自動機械を大量に使用するモノではなく、その殆どが整備員頼りのものであった。
というのも、今現在の覇道財閥の持つ科学力では完全無人、完全自動の修理機械などというものは構築できないのだ。

「大体、もしも我輩がトイ・リアニメーターを用意していなければどれだけ修理に時間がかかったと思っておるのだ。これだから凡人は困るのである」

「うぐっ」

ドクターウエストの反論に言葉を詰まらせるチアキ。
ここでドクターウエストが口にしたトイ・リアニメーターとは、チアキの言う『あんなもん』こと、デモンベインに大量に取り付いている修復作業を続けている作業機械の事だ。
これは本来、アイオーンとの度重なる戦闘の度にバラバラのジャンクになってしまう破壊ロボの修復の為に作り出された機械であるらしい。
破壊されても破壊されても次の日には何事も無かったかのように街で暴れまわっている事も多い破壊ロボの秘密は、この完全自動の修理ロボの活躍が合ってこそのものだという。
簡単な治療を終えたドクターウエストは病室を抜け出し、エルザからこれまでの経緯を聞き出し、即座にこのトイ・リアニメーターを作る自動機械を作る自動機械を作る自動機械を作る自動機械を作り出した。
三十センチ程しか無いトイ・リアニメーターを作る自動機械を作る自動機械を作る自動機械を作る自動機械は、一時間でトイ・リアニメーターを作る自動機械を作る自動機械を作る自動機械(四十センチ)を五体造り、
トイ・リアニメーターを作る自動機械を作る自動機械を作る自動機械(四十センチ)は、一時間にトイ・リアニメーターを作る自動機械を作る自動機械(五十センチ)を五体造り、
トイ・リアニメーターを作る自動機械を作る自動機械(五十センチ)は、一時間にトイ・リアニメーターを作る自動機械(六十センチ)を五体造り、
トイ・リアニメーターを作る自動機械(六十センチ)は、一時間にトイ・リアニメーターを五体造り出した。
こうして四時間あまりで最終的に生み出された六百二十五体のトイ・リアニメーターの自壊も辞さない超過駆動により、デモンベインは通常では有り得ない速度で修復されたのである。
なお、修理途中で破損したトイ・リアニメーターは、周囲の無事なトイ・リアニメーターにより一分と掛からずに完全修復されるため、減り過ぎて修復速度が落ちる、という事も無いのだとか。

「ふぅん、それでもなおいちゃもん付けてくる、という事は、ん? あれか、凡人故に感じずにはいられない天才たる、世紀の大・天・才! たるこのドクターウエストへの嫉妬であるか?
なぁに気にするなメガネを付けた凡人、むしろ凡人眼鏡よ。凡人たる貴様がいかに努力を重ねても辿り着けなかった境地に我輩が片手間に辿り着けてしまうのも、まぁ言ってみれば埋めがたい歴然とした才能の差であるが故に。
つまりこれは貴様が悪いのでは無く、我輩の溢れんばかりの才能こそが、凡人眼鏡が欠片も得ることが叶わぬ神の愛を一手に独占してしまっている我輩の神秘の頭脳こそが元凶なのだ。嗚呼! 天才であるが故に凡人眼鏡に嫉妬の念を抱かせるという罪を犯さざるを得ないこの頭脳を! 我輩は憎む!嗚呼、ああ! 許しておくれ、平凡な凡人眼鏡──!」

遂には車椅子から立ち上がり、歯茎が剥き出しになるほど大口を開け涙も鼻水も涎も垂れ流しの笑い顔で凡人眼鏡──チアキを指差し笑いながら謝罪(?)するドクターウエスト。

「だ、だ、だ、誰が凡人眼鏡やこの超犯罪級○○○○ィ! 盛大に人をコケにしながら自己陶酔かぁ! 殺す、死ね、百ペン死んで詫びぃ入りゃれぇぇぇぇぇぇ!!」

「うわぁぁぁ! 凡人眼鏡が乱心したあぁぁぁぁぁっ!」

「平凡過ぎて頭がおかしくなったロボね」

「天丼をするなぁぁぁぁ!!」

激昂し、顔を真っ赤にしながら一度降ろしたハンマーを振りかぶるチアキと、腹の怪我など無かったかのように元気に走り回るドクターウエストとエルザの追いかけっこを尻目に、九郎は修復されたデモンベインを見上げた。
──実の所を言えば、ドクターウエストが無事にデモンベインの格納庫に辿り着き、修理をする事が出来たのは九郎の進言を聞き入れた覇道瑠璃の手引きのお陰である。
鬼械神にも匹敵する巨大ロボを建造できる組織などそうそう存在しないため、覇道財閥、ひいては地下秘密基地が狙われるのは時間の問題。
敵が攻めてくる前に最大戦力であるデモンベインを修復出来なければ、抵抗する間もなく壊滅させられてしまう。
そこに来たのが、ブラックロッジを追い出されたドクターウエストである。
祖父、覇道鋼造が死んで以降、覇道財閥の総帥としてアーカムシティを何年も取り仕切ってきた瑠璃は、ドクターウエストの頭脳は敵に回しては危険だが、味方につける事が出来ればそれなりに役に立つだろうと当たりを踏んでいたのだ。
そこに、九郎からの進言があった。ドクターウエストにデモンベインを任せてみてはどうか、と。
瑠璃とはまた違った理由からではあるが、九郎もドクターウエストの科学力に対する期待を抱いていた。
まだ九郎がアイオーンを駆って戦っていた頃、ドクターウエストはアイオーンに似せた破壊ロボを作り上げた事がある。
ドクターウエストが作り上げた偽アイオーン、スーパーウエスト無敵ロボ28號DX──通称『AEOM』……アイオーム。
それまでの科学技術一辺倒だった破壊ロボとは違い、アイオーンのみならず逆十字や大導師の鬼械神から観測したデータを基に、ドクターウエストが用いる事の出来る最大限の魔導技術を駆使して作られたそれは、アイオーンを一度ならず二度三度に渡り苦しめた。
そう、ドクターウエストは覇道財閥よりも先に、機械で作られた人造鬼械神、或いは準鬼械神とでもいうべきマシンを、より高い完成度で作り上げていたのである。
万が一、今の量産型破壊ロボが従来のドクターウエストの破壊ロボではなく、アイオームをモデルに作られていたら。
そんな事を考えると、九郎は背中に冷や汗を掻いてしまう程だ。
もっとも、魔導技術をふんだんに利用したアイオームはコストの問題で量産が効かないという問題点がある為、九郎の想像は完全な杞憂なのだが。
とはいえ、御蔭でデモンベインは完全修復どころドクターウエストの手により更に改修を加えられ、不安定過ぎて使えなかった魔術兵装もほぼ使用可能になり、シャンタクを召喚展開出来ないまでも空中を駆け抜ける事が出来る様になった。
空を飛ぶというよりは空中ジャンプを続けて跳び続けると言った方が正しい無様な動きではあるが、それでも一々足場を製造しながら戦うよりは余程安定している。
これで、デモンベインは更に強くなった。
だが、それでも戦いぬく事が出来るかは未知数だ。
カリグラはどうにか倒せたが、そのせいで逆十字は本腰を入れてくるだろう。
隙を突くような戦いはもう通用しない。エルザの破壊ロボはクラーケンとの戦いで大破してしまっているので、今度はまた一人。戦術の幅はさらに狭められる。
アルとアイオーンを失った自分に勝てる見込みがほとんどない事を、九郎は自覚していた。
だが、

「アル……」

それでも、戦い抜かなければならない。
九郎は手の中の魔導書を強く握りしめる。
アルが死んだのは自分が不甲斐無かったせいだ。だから、大十字九郎は戦い続けなければならない。
ツケはきっちりと払わなければならないのだ。最後の最後まで戦い抜く。
もう二度と、この街の大切な人達を死なせたりはしない。
九郎がそう心に堅く誓った時、周囲の照明が赤く点灯し、けたたましいアラームの音が鳴り響く。
襲撃、この状況で現れる敵と言えば、ブラックロッジしかありえない。
通信機から聞こえる声は基地内への逆十字の侵入を知らせている。
生身の逆十字が侵入してきている。その知らせに九郎の背筋に冷たい物が走った。
相手が生身で、鬼械神を運用できない場所での戦いとなれば鬼械神による戦力差の誤魔化しが利かない。純粋に魔術師、戦闘者としての差が現れるだろう。
持ち得る限りの手を使わなければ、倒すどころか一矢報いる事すら危うい。
九郎は手持ちの武装と弾薬を確認しながら、エルザと共に基地内部、侵入者の居る辺りへと駆けだし始めた。

―――――――――――――――――――

……………………

…………

……

「とまぁ、そんな感じのやり取りが行われているとか居ないとか」

現在地、無人の荒野と化したニューヨークの一画、人気の無い崩れかけた廃ビルの一室。
姉さんが遠隔透視能力(日本語吹き替えあり、副音声で状況や心理状態の説明あり、予告あり、映画泥棒CMあり、NG集あり)で覗き見た状況を、懇切丁寧に解説してくれていた。
因みに、この辺り一帯に展開されていた陸戦用量産型破壊ロボは姉さんが運動がてらアメリカ軍毎纏めて蹂躙してしまっている為、少なくとも俺達の探査範囲には俺達以外の動体反応は存在していないのだ。

「ドクターは腹刺されても平常運転やね」

「全パートでギャグ補正が利くってのは強みだよなぁ」

ドラゴンボールとこち亀の公式コラボ漫画でもフリーザ様が両津さんを殺せなかったし、その補正の強大さが良く分かると思う。
まぁ、主人公補正やラスボス補正同様、持ち主を取り込んでも手に入らない能力だからどうしようも無いのだが。

「で、どうするの? この周はロリコン御用達ルートだから糞餓鬼の死体も手に入らないから、手に入る物はあんまりないと思うけど」

「ううん、どうしようか」

姉さんの言うとおり、これが金髪シスタールートであればぐちゃぐちゃになったクラウディウスの死体と精霊の出ないセラエノ断章とかが手に入る場面なのだが。
しかし残念な事にこの周の大十字はものの見事に下衆野郎(ペドフィリア)と化してしまい真に遺憾である。
デモンベインが本当の意味で完成して、なおかつ最初からアイオーンが無いような状況が固定されたなら姫さんルートがメインになるのだろうが、それまでは余程の事が無い限り大十字は性的な意味で社会不適合者であり続けるしかない。
デモンベインの断鎖術式もいい感じに完成しつつあるようだが、どうせ次の週に改造持ち越しだろうからわざわざこのタイミングで取り込みに行く理由も薄い。
というか、流石にこの状況下で以前と同じようなザル、いやさ枠警備であるとは思えない。

「アル・アジフの復活劇辺りはドラマティックだから見ておきたいけど、アーカムシティにはまだ俺の端末が残っている訳で」

○○○○補正でドクターウエストにひっつかまりそうだから、覇道財閥保有の地下基地に潜入させていた分は街に放っている。
一応ブラスレイター化出来る個体も残してあるけど、流石に鬼械神を融合して取り込めるほど出鱈目な残像、もとい出鱈目な強化が施されている訳でも無い。
あれはあくまでも機械に対する優位性しか持ち合わせていない。というか、そんな真似ができるならとっくの昔に俺がやっているし、そこまでできる様にしたならそれは強化ではなく別機能の組み込みだろう。

「卓也ちゃんが煮え切らない感じなので、美鳥ちゃんは何か意見ある?」

悩んでいると姉さんは美鳥の方に矛先を向けた。
が、美鳥もあまり現状のアーカムシティに興味が湧かないのか、というか、別の物に気を取られて姉さんの言葉が右から左に抜けて行っているようだ。
気絶した大十字から取り上げた魔銃の複製を腕と融合させ、嬉しそうに変形した銃身を撫で回している。

「ふっへっへ、見ての通り、接ぎ目すら無い美しいフォルムだろ?」

「まぁ、接ぎ目も埋めてるしな、腕の肉で」

表面のモールドに沿う様にして埋め込まれた血管がドクドクと脈打って(演出なので特に何が流れている訳でも無いらしい)いて中々にキモカッコいい。
もうチョイどうにか出来なかったのかと聞きたくなるようなグロテスクな混ざり方だ。
ああいう生体兵器っぽいフォルムも悪くは無いが、せっかく大量に複製が作れるんだから、いやでもまだ構造を完全に理解した訳でも無いのに過剰な魔改造は、ううむ。

「んー、じゃあ美鳥ちゃんは試し撃ちがしたいの?」

「いや、この魔銃の美しい構造があたしの身体と混じり合っている様をもうしばらく眺めてたい。試し撃ちは次周にでも外装を誤魔化して教授の課外授業でやればいいかなーなんて」

課外授業よりも先に、日本各地の邪神眷属群の拠点を潰しながらスカウト待ちしてる間に充分試す機会はあると思うが。
最初はミスカトニックと縁もゆかりも無いから、まずシュリュズベリィ先生と遭遇する所から始めなきゃならん訳だし。
次周も日本語写本のあったあの遺跡で張ってれば間違いないかなぁ。他にも奇怪な遺跡はあちこちにあったし、そこら辺も虱潰しにしていってもいいかもしれない。
しかし、シュリュズベリィ先生か、今頃どうしてるんだろうあの人。
アーカムに戻ってこないって事は何処かの国で破壊ロボから街を守る感じのイベントでもこなしているのだろうか。
どうにかこうにか合流出来ても、南極での決戦でゲスト参戦するくらいか?
そうだな、南極でちょっと戦ってみるのも悪くないかな。ダゴンは邪神の中でも割と組みしやすい部類だろうし。
まだ人間の魔術師に擬態したままでの機神招喚は難しいけど、魔銃の技術を武装に応用すればボウライダーでもどうにかなるだろう。
というか、本当にどうにかなるのか調べておいて損は無い筈だ。
いざ魔銃や魔術でないと戦えない相手を目の前にした時に『理論上は可能でしたが、実際は色々と問題がありました』では話にならない。

「そういうお姉さんはこれからやる事あるの?」

「お姉ちゃんはちょっと目隠ししたままラブプラスのデータ改造したら、三つのセーブデータが統合されて修羅場なのよ。今さっき寧々さんの瞳からハイライトが消えた所だわ……!」

「美鳥も姉さんもちょっと待った。その話は実に興味深いけど、まずは俺の話を聞いてくれ」

とりあえずの方針は決まった。
姉さんのラブプラス変則プレイを後ろから見て、美鳥と一緒に魔銃の構造にうっとりした後から、ワープは使わずにゆっくりと南極へ向けて移動を開始しよう。

―――――――――――――――――――

……………………

…………

……

俺が普段から適当にばら撒いている端末は、スパロボJ世界で望める最高精度のカメラや集音装置などが小型化された上で組み込まれており、そこらの映画やドキュメンタリー顔負けの映像、音声を俺に届けてくれる優れ物。
状況によっては各種センサーなどが内蔵されることになるが、そういう状況の場合は直接出向くか美鳥に行かせるかした方が早いのであまり使用する事は無い。
何が言いたいかと言えば、カメラやセンサーが付いていても、50メートル級の巨大ロボのコックピット内部のあれやこれやは正確には伝わらないという事だ。
大十字とアル・アジフの復活の夫婦漫才こそ外部スピーカーから駄々漏れだった為に聞く事が出来たが、それも正直期待していた程面白いものでもなかった。

「まぁ、あの二人の漫才が見れる場面はあと一つあるはずだし、感じ感じ」

ブラスレイターの飛行能力でゆっくりと移動してきたが、ようやく目的地が見えてきた。
南緯四十七度九分、西経百二十六度四十三分の辺りに存在する、クトゥルーが収める海底都市ルルイエ。
最近では宇宙人向けのアミューズメント施設になっている場合もあるらしいが、人間サイドでボケが合っても、邪神側は一片の隙もなくコズミックホラー全開なこの世界では浮上したが最後、マジでシャレにならない絶滅エンドしか訪れない危険な都市。
その直上の水面に顔を出す、夢幻心母に融合したクトゥルー。
まだまだマップ換算にして三十コマはありそうなのに、やたらと濃い存在感のお陰でここからでもはっきりと見る事が出来る。
サイズだけならオルファンの方が巨大だが、こっちの方がシャレにならない程危険だという事は見た瞬間に理解できる。
あんなにわさわさと触手生やすとかマジで正気を疑わざるを得ない。身体から生える触手はもっと効率的な器官であるべきだ。
反省させる意味も込めて、あの触手群は念入りに微に入り際に粉砕させていただこう。

「じゃ、行ってきます」

振り返り、空飛ぶ大型サイクロン式掃除機に跨った姉さんと美鳥に片手を上げる。

「卓也ちゃん、ファイトだよ!」

「お兄さん、魔道兵装の試験を重点的にお願い」

姉さんは運動に飽きて魔法でカロリーを消費しダイエットに成功したため、美鳥は完全融合状態では無い俺の戦闘力の確認のため、ダゴンや破壊ロボや触手の攻撃が届き難い距離から見学だ。
正直あり難い。姉さんは呪霊錠が限界を迎えてパワーアップしたばかりだから、この海域ごとクトゥルーを殲滅しかねないし、美鳥に外から俺の戦い方を分析して貰うのは面白い。
前方に向き直る。目に映るのは次々と交戦状態に突入している軍艦、戦闘機。
今の所破壊ロボ相手にどうにかこうにか踏ん張っている様だが、ソナーには巨大な影が映り込んでいる。
ダゴンが交戦可能域にまで近付きつつあるのだ。
丁度いい、破壊ロボ相手だと魔道兵装を使うまでも無いから、標的にするには最適だろう。
掌を天に向け、空間自体を握り潰す様にして拳を作り、叫ぶ。

「顕在化(マテリアライズ)!」

そこに存在していないという現実を、そこに存在しているという事実で塗りつぶす。
空間が裏返る様にして、巨大な機械の鎧が俺を中心に現れる。
俺の身体を組み込み具現化した力の塊、黒いボウライダー。
魔術戦闘を主眼に置いてあるため、最初から『魔法の杖』を機体そのものに組み込んであるデモベ世界仕様。
取り込んだ魔導書の記述から、戦闘用に再構築した術式を呼び出し、腕と一体化しプラズマ発生装置と魔銃の構造も組み込まれた『魔法の杖』へと装填。
精神コマンドを全て使用し、胃の中に直接非常食の中身を生成しSPを回復しながら、俺はダゴンの群れへ向けて吶喊した。

―――――――――――――――――――

《大十字! 無駄弾を撃つな!》

「え?」

「なんだ?」

機神招喚により南極の海に現れたデモンベイン、そのコックピットの中に居た九郎とアルは、クトゥグアの神獣弾を撃つ直前に掛けられた声に、一瞬動きを止めた。
そのデモンベインの上を、小さな影が通り過ぎる。
人型、そう、破壊ロボとは全く違う、人型のロボットが翼も無く空を駆けているのだ。
サイズは破壊ロボに比べて小さいデモンベインと比べても半分も無い小兵。
その小型のロボットが、杖と砲と銃の混じり合った暗い青に染められた腕を海魔の群れへと向け──

《ファイルロード・フサッグァ!》

青い稲妻とそれに追随する無数の火球が放たれ、海ごと、海魔の群れの五分の一程を蒸発させた。
青味がかった稲妻に導かれ、火球一つ一つが核をも上回る熱量を持って焼き尽くし、しかし、海魔や深きものども、破壊ロボ以外には一切被害を与えていない。

「クトゥグアの眷属、炎の精達の長フサッグァか。九郎、どうやらあの砲、こちらの魔銃と似た理論で動いているようだぞ」

それに、下級神性の神獣弾か……面白い真似をする。という、興味深そうなニュアンスを含むアルの言葉も九郎の耳には届かない。
口調こそこれまで聞いてきたモノとは全く違う粗雑なモノだが、あのロボットからと思しき通信から聞こえてきたのは聞き覚えのある、いやさ、聞き間違えようの無い声だ。
それに、魔術を使う時のあの独特な口結。

「お前、卓也か!」

その大十字の声に応える様に、先行している人型ロボットが振り返り、砲と一体化した腕を片方だけ持ち上げた。

《新兵器の実験ついでに、露払いをしに来てあげましたよ!》

そう言い、今度はもう片方の腕、ほのかに青白く発光している灰色の腕を海魔の群れに付き付ける。
銀とは言えない不浄の灰色に染め上げられたその腕に内臓されている巨大な回転弾倉が、ガギンと音を立てて回転し──

《ファイルロード・アフーム=ザー!》

極低温の冷気を帯びた灰色の炎が、海面に顔を出した海魔を舐めつくした。
青白い輝きを帯びた灰色の炎の周囲を、周囲の大気中の成分で作られた結晶が火の粉の様に綺羅綺羅と輝く。
ダイヤモンド・ダスト現象を起こしながら、容赦なく灰色の炎が燃え上がり、吹き荒れる波諸共にダゴンの群れを凍結させる。
アフーム=ザー。クトゥグアの眷属であり、ハイパーボリア大陸の北部を氷河で覆った神性である。

「クトゥグアとイタクァの模倣を、クトゥグアの眷属だけで済ませたか。あやつ、思ったよりもやるではないか」

「はは、すっげぇの」

九郎は、後輩の思わぬ力に驚きと歓喜を隠せずにいた。
以前から邪神眷属や高位の魔術師にも通用する武装を開発していたが、まさかあんな、巨大ロボットまで自作していたとは。
しかも、ブラックロッジと戦うとは言っていたが、この場面でこんな形で助太刀に来てくれるとは。
しかし、あのロボットは一体何処で? 材料はどこから? 誰にも気付かれずに作り上げていたのか?

《雑魚程度ならこちらで処理できますから、先輩はクトゥルーを!》

尽きぬ疑問が頭を駆け巡り、しかしその当の後輩の言葉によって九郎は正気を取り戻した。

《ヘーイそこな怪しげなロボット! 我輩を差し置いて我が宿敵の花道造りなど十年百年一億光年早く、行き過ぎて一周巻き戻り貴様にとっては明日の出来事であり一日遅いであるぞ!》

《あ、あの時の黒い恩ロボットロボ。ヤッホー、元気してたロボか?》

後方からはドクターウエストとエルザの駆る量産型破壊ロボの改良版が迫り、レーザーを放ち次々と破壊ロボを撃ち落としている。
ようやく追い付いてきた覇道艦隊旗艦ノーデンスからの援護射撃も間隔を短くし始めている。
ノーデンスから通信が入った。

《大十字さん、あの黒いロボットは?》

通信から聞こえた声は覇道財閥総帥、覇道瑠璃のもの。
突如として現れた謎の機体が敵なのか味方なのか判断しかねている所で、九郎との面識ありという事を聞き、素性を訊ねようとしているのだ。

「あいつは学校の後輩で、多分味方だ。撃墜しないで貰えると助かる」

この状況で偽物が出てくる意味は薄い。
そして、あの後輩なら資材の問題さえ解決できればああいった発明も不可能ではないだろう。
それに、あれほどの火力があるならダゴンや破壊ロボを攻撃して信用を得るのではなく、直接艦隊にあの火力を叩きこめばいいだけの話になる。

《撃墜しようにもできないでしょうが……、分かりました。ここは連合艦隊と後輩さんに任せて、一刻も早くクトゥルーを》

「いや、それは」

危険だ、と、一瞬反駁しかけ、ちらりと戦場を、もっと言えば後輩を見直す。

《ファイルロード・フサッグァ!ファイルロード・フサッグァ!ファイルロード・フサッグァ!ファイルロード・フサッグァ!ファイルロード・フサッグァ!ファイルロード・フサッグァ!フサッグァ、フサッグァ、フサッフサッフサッ、フサフサフサフサフサフサフサフサ! 申し訳程度にアフーム・ザー!》

日頃毒を吐く時もあれど、基本的に外面だけは品行方正を売りにしていた後輩は、海の水を干上がらせる勢いで火砲を連射していた。
ものっくそ楽しそうに。
連合艦隊が添え物にしか見えない、八面六臂の大活躍だ。

《ええ、と……、ぐ、幸運を(グッドラック)》

「あ、うん、そちらこそ」

心なしか気不味そうな口調の覇道財閥の総帥にあいまいに返事を返し、デモンベインはクトゥルーの頭頂部、剥き出しの夢幻心母へ向けて飛び立った。
『たぶんあいつ一人で大丈夫なんじゃないかな』
その一言が言えずに、九郎はコックピットの中で静かに肩を落とした。

―――――――――――――――――――

「ふむふむ」

デモンベインを送り出してから数分、無尽蔵のエネルギーと人間を遥かに超える圧倒的演算能力による強引なお兄さんの魔術行使も、大分洗練され始めてきている。
一度クトゥグアを召喚しようとしてうっかり身体の半分を消し炭にされ掛かっていた時はどうなる事かと思ったけど、一つ二つランクを落とした神性の記述ならまともに操れるかな。
戦況は……、原作ほど悪くは無いけど相変わらず戦闘機も軍艦もボンボン落とされ続けてるか。
ま、戦闘機やら軍艦やらが戦ってる所に援護射撃をしている訳では無い上、敵もクトゥルーと夢幻心母を落とさない限り無尽蔵に湧いてくるから当然かな。

「美鳥ちゃん美鳥ちゃん」

「何? 修羅場をくぐり抜けた? やっぱりリンコ落ち?大穴で寧々さん?」

「んーん、みんな死んだ。そうじゃなくて、そっちはもう撮らなくてもいいと思うの。卓也ちゃん、他の所に行くみたいだし」

「え?」

言われた直後ボウライダーはオートパイロットに切り替わり、ひたすらホーミングレーザーを打つだけの簡単なお仕事を始めて、ボウライダー内部からからお兄さんの反応が消え、直ぐ別の場所に現れた。
そこは海面、いや、お兄さんが散々アフーム・ザーを放った事で生まれた巨大な流氷か。
不自然に亀裂が走ったその流氷から、巨大な海魔や破壊ロボ、戦闘機やお兄さんのボウライダーよりも更に小さい、背に翼を負った白い影が飛び立っていくのが見えた。

「メタトロンね」

そう、アイオーンが現れるまで、たった一人でアーカムシティを守っていた正義の味方。
その正体は、極々稀に大十字を社会不適合者(ペドフィリア)の道から引きずり上げる事の出来る稀有な魅力を持った金髪巨乳眼鏡シスター。
この周がアル・アジフルートだとして、ここでメタトロンが出てくる場面と言えば……。
考えていると、メタトロンが飛び立った流氷目掛け、ダゴンの一匹がダイブしてきた。
恐らく、メタトロンに殺されたもう一人の改造人間から放たれる死肉の匂いを嗅ぎつけてきたのだろう。
あれには殆ど人間のパーツなど残って無いだろうに、浅ましい事だ。あれじゃ神と言ってもそこらの野犬か何かと変わらない。
内心で畜生同然のダゴンを見下していると、流氷を砕きながら再び海の中に沈み込もうとしたダゴンの動きが止まり、破裂した。
破裂、というのも言葉が足りないか。爆砕とか、粉砕とか、緑色の汚らしい血液が派手にばら撒かれたせいで大喝采とはいかないけども。

「卓也ちゃん、荒れてるわね」

お姉さんは、眉をハの字にして困ったような表情で頬に片手を当て、ダゴンの血溜まりと化した水面を眺めている。
お姉さんはお兄さんとのリンクがある訳でも無いのに、あれをやったのがお兄さんだと理解し、お兄さんの精神状態まで言い当てて見せた。
流石、あたしの年齢の数倍姉弟やってるだけの事はある。

「お姉さんは、あんな感じのお兄さんを見たことは?」

さっきのダゴンを粉砕した力、念動力は、これまでのどの場面で使われた念動力よりも遥かに爆発力の高い力だった。
魔術師としての術理を学んだ事によってお兄さんの念動力も威力を増したとはいえ、平時ではここまでの出力は望めない。
感情の爆発、違う、巨大な熱を含む感情のうねりを、機械の様に正確ではなく機械そのものと言っていいお兄さんの理性が制御し、もっとも単純な破壊の力へと精錬した。
だけど、ここまで強いお兄さんの感情は見た事が無いと思う。
単純な喜怒哀楽では示しきれない複雑な感情。少なくとも喜んでも楽しんでもないけど、怒っているのでも悲しんでいるのでも無い。

「卓也ちゃんが高校生の時、しばらくあんな感じだった事があったのよ。友達がお姉さんと酷い喧嘩したとかでね。卓也ちゃん、変な所で感情移入し始めたりする癖に、人様の家庭の問題には下手に口出ししないのが礼儀だって思ってるから」

「そうだね、伊佐美姉弟の時も、身体張っても説教とかはしなかったし」

不要な感情ではないけど、間違いなく何の意味も持たない感傷。
だけど、お兄さんはそれでいいのかもしれない。お兄さんに、そういった心の余裕(ヒマ)がある限り、お兄さんは人間で在り続ける事ができるのだから。

―――――――――――――――――――

重油や緑色の血液、肉片やスクラップが緩慢な速度で降ってくる深く、しかし海底には届かない深さの海中。
流線形と鋭角の混ざり合った、甲冑の様なパワードスーツの様な銀の人型が、同じく人のシルエットを残しながら機械的な要素を含んだ人型を抱えていた。
銀の人型は、自らの腕の中の黒い人型を仮面の中の瞳に映し、微動だにしない。
抱えられている黒い人型は一眼で致命傷と分かる傷を負っており、顔を覆う仮面は半ばから割れ砕け、覗く瞳はこの世の何者をも映していない。

「………………」

どちらも、一言も言葉を発さない。しかし、どこか圧迫感のある静寂。
海中において無防備な彼等を狙い近付く海魔は、彼等を取り囲む強大な念動の力によって尽く粉砕され、その静寂を侵す事すらできない。
音も無く、事態は進展する。
銀の人型から伸びる無数の触手が、黒い人型の姿を隠す様に巻き込み、飲み込む。
触手に包まれた黒い人型の脚が、腕が、胴が、次々と消えて、いや、取り込まれていく。
もはや胸から上しか残っていない黒い人型、その割れた仮面から覗く、ざんばらに切り揃えられた髪が海のうねりに靡き、触手の動きが止まる。
割れた仮面から覗く、穏やかな表情の青年の顔の上を、銀色の手が瞼を閉じさせる様に通り過ぎる。
手が離れた時には既に割れた仮面は無く、割れる前の物と何一つ変わらない、どこまでも黒く、暗い、顔の無い仮面が乗せられていた。
そうして、今度こそ、黒い人型は完全に触手の中に取り込まれ、銀の人型の一部と化した。
もはや何も抱きかかえていない両腕を、掌を見つめ、一度拳を作り、ぽつりと呟く。

「勝って生き残ったのはメタトロンで、負けて死んだのはサンダルフォン。それだけの話だな」

もはやここには用は無いとでも言うかの様に振り返り、浮上を始める。
周囲の荒れ狂う念動力は次第に静まり始め、しかし決して完全には消え去らない。
迫る海魔を念動力で磨り潰しながら浮上し、海面に辿り着く寸前、静かに、しかし強い感情を秘めた言葉が漏れる。

「また、いずれ」

誰に向かうでも無い言葉は微かな音の呟きであったにも関わらず、戦場の爆音にもかき消される事なく、確かに南極の海に響いた。

―――――――――――――――――――

……………………

…………

……

マスターテリオンを追ってあの門の向こうに行ったら、二度とこの世界には戻れない。
今確かにある俺の総てを、これまで積み重ねてきた諸々を捨てなければならない。
それで迷わない筈は無かった。
アルは一晩だけ、俺に考える時間を与えてくれた。
だが、たった一晩という時間は総てと決別するには短過ぎて、決意を鈍らせない為には長すぎる時間だ。
だけど、それでも──

「珍しく暗い顔をしていますね、先輩」

「え、……卓也? どうしてここに」

肩を叩かれ振り返ると、そこには大学の後輩の一人、鳴無卓也が居た。

「一応、さっきの戦闘ではそれなりに活躍しましたから、先輩の証言のお陰で武装解除しただけで乗せて貰えましたよ」

「武装解除って……いいのか?」

「ええ、渡したのはダミーですからね。どうせ、渡した処で内容を検分できるわけでもありませんし」

「お前なぁ……」

確かに、魔導書を渡した処で、その内容を正気を失わずに確認できる様な人員が居なければ、その魔導書が本物であると確認する事は出来ない。
まぁ、艦隊を丸ごと殲滅できるような戦力を持っている相手が罠にかけてまで欲しがる様なものがこの船に積まれていないからこそなんだろう。
だからと言って、天下の覇道財閥相手に偽物掴ませて堂々と船に乗り込むとは、相変わらず何処か頭のネジが吹っ飛んでいるとしか思えない後輩だ。
卓也は俺の隣に立ち、手すりに寄りかかり海を眺め始めた。とことんマイペースな男だ。

「……で、何しに来たんだよ」

「最後に同郷の先輩の面を拝みに来たんですよ、これでお別れでしょうから」

「っ」

後輩のあけすけなもの言いに、息を詰まらせた。

「俺は、まだ行くなんて」

「言わなくても、心に決めたって顔に書いてますから。丸分かりですよ?」

「~~~~っっっ」

海の方を向いたままの後輩の、何時もは柔和な顔の造りのバランスを壊している鋭い目つきが、緩く眦を下げているのを見て、俺はガリガリと頭を掻いて唸るしかできない。
見透かされている。こいつの妹もやたらと観察力に優れていたが、どうしてこう内面を簡単に見透かされてしまうのか。
天を仰ぎ溜息を付き、海に背を向けて手すりに背を預ける。
互いに顔は見ない。見てもどうせこいつはニヤケているだけだろうし、こいつはこいつで見なくても分かる、程度に考えているに決まっている。
少し、数十秒か数分ほどの沈黙を挟み、海を見たままの卓也が口を開いた。

「ホントの所を言えばですね」

「ああ」

「もっとこう、何か気の利いた事を言おうと思った訳ですよ。でも、今までの行いがロウじゃなくてカオス方面に傾いてるから、いい言葉が浮かばなくて」

「いいよ、別に。つうか自覚があるなら直せ」

後輩の思わぬ言葉に、苦笑しながら首を横に振る。
なんだかんだ言いつつも、この慇懃無礼を絵に描いたような後輩なりに気を使っていたという事に何処か嬉しさを感じている。
それに、一人で無ければ意地も張れるから、今を失う恐怖に震えずに済む。
今は、それだけでも十分にありがたい。

「さて」

卓也が手すりから離れ、背を向けた。

「行くのか?」

「これ以上居ても湿っぽくは成れませんからね。先輩も、アル・アジフの所にいってみればいいと思いますよ。多分、格納庫に向かってる所かと」

「ああ、サンキュ」

「いえいえ。それじゃ、運が良ければまた何時かお会いしましょう」

振り返りもせずに片手をひらひらと振って元来た道を歩いて行く卓也を見送り、俺は格納庫へと向かう事にした。
──そこで、一人で勝手に出撃しようとしていたアルと出くわし、互いの意思を確かめ合う事になるのだが、それはまた別の話だ。

―――――――――――――――――――

……………………

…………

……

昼の少し前、拝礼者も居ない時間帯を見計らい、教会の戸を叩く。
ここはアーカムの隅にひっそりと佇む孤児院を兼ねた教会。
とはいえ、ここで聖職者といえば神父ではなくシスターただ一人、しかも、そのシスターもモグリであり正式なシスターではない。
そもそも洗礼を受けたかどうかすら怪しい訳だが、それは気にする必要も無い些細な事だ。
俺だって廃教会を改造してねぐらに使っていた時期があるのだし、ここのシスターの事情を鑑みれば身分を偽るのも仕方の無い事だ。
決して、弟を持つ姉、という属性故に甘くなっている訳では無い。

「居ないみたいね」

「ガキ連れて炊き出しにでも出てるんじゃねーの?」

「そうか、困ったな」

デモンベインが扉の向こうに消えて、扉自体も消えうせてから、既に数日の時が経過している。
アーカムシティは壊滅状態ではあるものの、他に行き場の無い人々は荒地同然のこの土地に残り、仮設住宅や奇跡的に残っていた建物に住まい、復興作業を行っているらしい。
らしいというのは、姉さんから聞いた他のデモベ二次創作世界での話だからだ。
とはいえ、アーカムシティもまともな街ではない。帰る故郷を持たない人も多く、あの混沌とした活気を気に入り、元のアーカムに戻そうと考える人が多いのは変わらない筈だ。

「姉さん、時間は大丈夫?」

「……駄目ね、あと二分も無いわ」

あと二分。それが、俺達がこの一週目の時間に存在できる制限時間。
普通の作品として成り立っているループもの二次創作ならあって当たり前のループの原理だが、俺達が今居るこの世界にはそんな物は存在しない。
大十字や大導師のループと同じ理論では、外から来たトリッパーはループできない。
最初に主人公は現実来訪型と条件を付けられて造られたこの世界は、例によって例の如くそのループの理論を構築する事ができなかった。
まぁ、元々ループものをあまり書かない千歳さんにそんな物を注文する方がお門違いなのだけど、そのお陰で俺達は『特に何の原理も無くループ』する事ができる。
そして、そのループのタイミングは例によって例の如く姉さんの超感覚で正確に測る事が可能なのだ。
だから、昼頃まで余裕があると聞いた時、部屋の整理を済ませた上でここに来たのだが。

「ポストに突っ込んどいたら? 盗まれるようなもんでも無し」

「それもなんだかなぁ」

できれば、これは直接シスターさんに渡したい。というか、渡さなければならない。
やっぱり何処かの仮設住宅に移動したのだろうか、この教会も屋根とか壊れて雨風しのげそうに無いし。

「あのー、どうかなさいました?」

端末にでも教会を張らせておけばよかったかと考えだした処で、後ろからおっとりとした女性の声が掛かった。
振り返ると、そこには豊満な身体をシスター服に包んだ金髪の女性。この教会のシスター、ライカ・クルセイドだ。
良いタイミングだ。が、あと一分と少ししかない、手短に済ませてしまおう。

「すいませんシスター、これ無縁仏の様なものでして、といっても髪の毛一房と遺品が一つだけなんですが、そちらで供養していただけませんか?」

無縁仏とか供養とか、あきらかにキリスト教ではなく仏教臭いけど、他の言い回しが咄嗟に出てこなかったから仕方が無い。

「ええ、こちらで丁重に供養させて貰いますから、ご安心くださいな」

笑顔で受け取ってくれた。ここら辺インチキシスターだからそういった部分で緩いのかもしれない。

「ありがとうございます。では俺達はこれで」

姉さんと美鳥と共に、その場をそそくさと離れ、復興作業中の市民を避けながら人気の無い場所に移動する。
見られた処で何か困る訳では無いのだが、転位の瞬間を見られない様に人目を避けるのはもはや癖の様なものだ。

「卓也ちゃん」

道すがら、姉さんが俺に物言いたげな視線を送ってきた。
間違いなく、さっきの遺品の事だろう。トリップ百戦錬磨の姉さんからすれば、随分と無駄な行為に見えたかもしれない。

「魔導ダイナモのお礼みたいなものだから、次の周からはやらないよ」

「んーん、卓也ちゃんはまだ十回もトリップしていないもの。そういうのも、悪くないってお姉ちゃん思うな。そういう顔、してるでしょう?」

確かにそういう顔をしている。つまりは意外な事に許してくれた訳だ。
まぁ、トリップ先の人間に感情移入してはいけないと直接言われた訳でも無いし、注意されると思ったのは過敏だったかな。
姉さんもトリップ始めた頃は普通に友情とか育んでいたみたいだし。トリッパーにも友情はあるんだー! といった感じなのだろう。

「お姉さんから見たら、お兄さんもあたしも、まだまだ登り始めたばかりだからなー」

「ああ、このトリップ坂をな……」

「ミカン食べたいな」

さて、次の周では、もう少し頑張ってカリキュラム受けてみようか。学術調査に積極的に同行するのも悪くない。
何しろ時間だけは無駄に大量にある。修行と並行してマンネリ回避の手段も色々と講じておかなければ。

―――――――――――――――――――

クトゥルーの砲撃の余波で荒れ果てた教会に、仮設住宅で生活するのに必要な日用品などを取りに戻ってきたライカは、唐突な依頼に困惑していた。

「なんだったのかしら、あの三人組……」

割り当てられた仮設住宅の中で、東洋系の、多分九郎と同じ日本人の三人組から渡された箱を前に首をひねる。
思わずここまで持ってきてしまったが、どちらにしろあの教会の周辺には墓地が存在していない。
箱の中身が危険物で無い事を確認した上で、今回の事件の被害者の内の一人として集合墓地に入れられる事になるだろう。
自分が頼まれたモノだし、他の神父さんシスターさん達は他の死者の埋葬や祈りなどで忙しい。正規のシスターでない自分も、こういった作業をおこなうべきだろう。
そう思い、ライカは机の上に置かれた箱の蓋を空け、

「え──」

目を見開いた。
箱の中に収められていた遺品は、仮面。
自らの変身する戦士、メタトロンと同じデザインの、しかし漆黒に染まり、ひび割れて欠けた仮面。
メタトロンと対になる黒の戦士、サンダルフォンの仮面だ。
そして、仮面を被せられ隠れていた、一房の髪の毛。
ごわごわとして男っぽい、茶色の、ライカ・クルセイドの弟、リューガ・クルセイドの遺髪。
箱の中から、仮面と髪の毛を取り出し、胸に抱きかかえる。
仮面と髪を取り出された空き箱の中に、ぽたり、ぽたりと、

「お休みなさい、リューガ」

涙が落ちた。





【二周目に続く】
―――――――――――――――――――

ループ初期設定だから、色々と想像で補うしかない部分は独自設定
色々とツッコミどころが多いデモベ編一週目終了の第四十話をお届けしました。

尚、ラストのシスター・ライカが目を見開く辺りから機神飛翔のエンディングから、いとうかなこで『Roar』でも掛けて頂くと曲の雰囲気に誤魔化されていい感じの場面に見えるかもしれません。

今回のあらすじテレビくん十三月号風。
壊(こわ)されたアイオーン(あいおーん)に変(か)わる新(あら)たな戦士(せんし)、デモンベイン(でもんべいん)!
アイオーン(あいおーん)のパーツ(ぱーつ)と合体(がったい)して戦(たたか)うんだ!
デモンベイン(でもんべいん)の必殺技(ひっさつわざ)が炸裂(さくれつ)、敵(てき)のデウスマキナ(でうすまきな)はいちころだ!
つまり、テレビ版とは展開が違う幼年雑誌のやたら振り仮名の多い解説漫画でも読むような、広い心でお楽しみください。

以下、突っ込まれそうな部分を自問自答。
Q、姫さんがデモンベインに関して事務的過ぎない?
A、原作よりも遥かに早い段階で覇道鋼造が死に、デモンベインについて祖父本人からではなく人づてで知らされた事、原作よりも長い期間覇道の総帥をやっているので原作よりも人間的に熟成している事などが原因。
Q、原作との時間のズレ。
A、時間と空間とが通常空間とは隔絶された秘密図書館の中では、外での半日が二日三日に伸びたりしてもいいじゃあないですか。設定少ないし。
Q、クラーケンが破壊されてからクラウディウスの襲撃まで時間掛かり過ぎじゃね?
A、今回、というか、ここまで覇道財閥に殆ど出番が無いので、デモンベインの場所を探すのにも時間がかかったとかで勘弁。
Q、黒いボウライダー?
A、まだ完全には鬼械神が召喚できないので。
Q、ファイルロード!
A、フサッグァ・ナパーム! みたいな武器名とくっつけて感じで使おうかと思ったけど、ほんの少しだけ冷静になって止めた。ファイナルアタックするかは未定。
機械的に記述を管理してそれを読みこむ形で使うとか何とか、あるいはCDかDVDに焼いた魔導書をサポAIの口に突っ込んで鬼械神召喚とか。
本編で説明するかは未定。

ようやく、ようやく一週目が終わった……。次からは容赦なく飛ばせる。飛ばせるんだ。
二周目以降はダブりイベントはやりません。何かしらの差異が無ければ描写する意味も無いと思うので。
二周目はほんの少しだけ日本で創作者の思考のノイズ説明とか、大学への入学方法の違いだとかやってから、只管に学術調査同行編。
後々の展開の為に、シュリュズベリィ先生とかハヅキとかの好感度稼ぎまくりです、お楽しみに。

今回もそんな感じでお別れのお時間。
誤字脱字に文章の改善案、設定の矛盾への突っ込みにその他諸々のアドバイス、
そしてなにより作品を読んでみての感想、短くとも長くとも、短くも長くも無くとも、心よりお待ちしております。


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