ナデシコ艦内、メディカルルームにて、俺と美鳥はある姉弟と兄妹と向かい合って座っていた。
(おい、これどうすんだよ)
(いやほんと、どうしようねぇ……)
俺達は表面上は平静を装いながらも、念話でこそこそとぼやきあっている。
向かい合う姉弟はアルバトロ・ミル・ジュリア・アスカとアルバトロ・ナル・エイジ・アスカのレイズナー出身組。
もう一方の兄妹の方はDボウイことアイバ・タカヤとアイバ・ミユキのテッカマンブレード出身組。
この二組のうちレイズナー原作の二人が、神妙な顔で俺達二人と向き合い頭を下げているのだ。
この二組、例えばジュリアさんは原作の展開ではゴステロに撃墜されて今はトゥアハー・デ・ダナンに保護されているのが普通だ。これは味方に参入するイベントをこなしていようとこなしていなかろうと共通。
そしてDボウイの妹であるアイバ・ミユキはこの時点では外宇宙開発機構に移送されて治療を受けなければ延命も危ういような状況だった筈だ。
が、現実としてジュリアさんは撃墜されずにブラッディカイザルも戦闘による多少の損傷はあるが格納庫にきっちりと納められている。
アイバ・ミユキの方も見た限り生命の流れ、オーガニックエナジーに澱みなどは一切見られず、不完全なフォーマットにより残りの命が少ない、という事も無いように見える。
「ありがとうございます。本当に、何とお礼を言ったらいいか」
頭を上げたエイジが真剣な表情で礼の言葉を告げてくる。
「いいっていいって、どうせ俺がやらなくても他の誰かが助けに入っただろうしな。そこまで気にされると背筋がぞわぞわするから」
「しかし、事実としてあなたは私の命を救ってくださいました。何も無し、というのも……」
微妙にあいまいな表情のジュリアさんが控えめな口調でしかしはっきりと告げてくる。
助けられたのは事実だが、まだ地球人に蟠りが残っているのも確か、という事なのだろう。
あ、もしかしたら前回の登場時に開幕グラビティブラストで乙らせた事もしっかりと覚えているのかもしれない。
が、今回は一切攻撃を仕掛けていないし、むしろ戦意を喪失したジュリアさんのブラッディカイザルに不意打ちを仕掛けたゴステロの機体(名前忘れた)を荷電粒子砲で乙したのだからとりあえずそこら辺はチャラにして欲しい。
俺は明後日の方向を向き、指を立てくるくると回しながら提案する。
「あー、じゃああれです、地球人の事、もっと良く知ってやって下さい。野蛮な毛の抜けた猿とかそんなんじゃなくて、地球にもまともな人格の人間が居るんだってこと、弟さんと一緒に学んで貰えれば」
「この部隊に暫く居ればすぐに分かることだと思うからさー、取り敢えずはそれが恩返しってことで納得してよ」
俺と美鳥の言葉に、改めて深くお辞儀をするジュリアさん。
ていうか、感謝の意を表す時にお辞儀をする文化はグラドスと地球(というか日本)の文化と共通なんだな。
まぁ世界有数の超テクノロジーが集結する国だから、回収して無いグラドスの刻印とかの複線が関係してても何ら不自然では無いか。
「……そろそろいいか?」
と、こちらのやり取りが終わった事を見てとったDボウイが、今まで一文字に結んでいた口を開いた。
警戒している、という訳でもないが、微妙にやり難そうな雰囲気がにじみ出ているのは未だに美鳥に出会いがしらにアームロックを掛けられた事を覚えているからか。
ああいや、そういえばスケールライダーに搭載したグラビティブラスト(MAP版)の巻き添えに成りかけたことも何度かあったか。
まだ命中とか回避とか挙げるタイプの精神コマンドを持って無いからって、避ける系のユニットに乗ってる味方は範囲内に居ても容赦なく撃つからなぁ。
「あー、うん、聞きたい事は何となくわかってる。どうやって妹さんの身体を『直した』かってことだろ?」
これまた口元をムニムニとうねらせ微妙な表情の美鳥がひらひらを手を振りDボウイの言葉に応える。
そう、こいつ、何を思ったのかアイバ・ミユキの身体を直してしまったのだ。
テッカマンブレードがスパロボに参戦した回数は今のところ二回だけだが、そのどちらでも生き残る救済ルート的なものがあるし、こちらにはこの世界における殆どの技術が敵味方問わずに揃っているのだ。
ラダム樹の能力を持っているから負担の掛からないゆっくりとした再フォーマットで洗脳されておらず、しかし肉体的には完全に正常なテッカマンに作りなおす事もできるし、余分な機能を取っ払ったDG細胞改めUG細胞で肉体の機能を正常な物に作り替える事も出来る。
が、そのどちらもが俺達の異常性を示すものになるので迂闊には使えない。
ラダムの技術を持っているのも制御できるDG細胞を持っているのも通りすがりの傭兵、という設定では無理があるのだ。
不完全なフォーマットによる肉体の崩壊からは免れたものの、未だに月面のラダム基地からの逃走劇による戦闘の傷が癒えていないアイバ・ミユキがベッドの上から美鳥に顔を向けた。
「あなたが私の身体を治してくれたのね。でも、排除された不完全なテッカマンの身体を直すだなんて、あなたは一体?」
「うー、なんて言えばいいのかなぁ……」
コイツから言い訳がさらさら出てこないってのも珍しい。
なにかしらの目的があっての行動ならあらかじめ言い訳の十や二十は考えておくタイプだろうに。
……もしかして、今回は完全に何の理由も無い思いつきでやったのか?
「できればさ、今はそこらへんを追及するのは勘弁してくんない? ほら、今まであからさまな偽記憶喪失に付き合ってあげてたんだし」
うわぁ、間違いない、完全に思いつきだけでやりやがったんだ。
いや、別に人助けが悪いとは言わないが、せめて言い訳程度は考えてからやってほしいというか。
Dボウイはしばし黙考し、美鳥の提案に一つ頷いた。
「ミユキを助けて貰ったのは間違いないし、お前達がラダムの手先ではない事は分かる。今はそれで納得しておこう。だが、他の連中へはどう言い逃れるつもりだ?」
基本的にラダムの手先=テッカマンだから、テッカマン同士の感応で見分けがつくからスパイとかそういうのは基本的にすぐに見分けが付くようになっている。
まぁ、俺も美鳥もテッカマンに変身できるが普段はテッカマンにフォーマットされていない人間に擬態しているから感応も糞も無いんだけどな。
そこら辺はこの世界の常識的にみれば想像も出来ないことだから仕方がない。
「手持ちにいい感じの薬があったとでも言っておくよ。ついでにさ、ちょおっとばっかり妹さんと二人でお話させてくれないかな」
頼む、と手を合わせてDボウイに頭を下げる美鳥。
「む、それは……」
「お兄ちゃん、女の子同士の会話に混ざるつもりなの?」
肉体の崩壊が無くなって今すぐどうこうという危険が無くなったとはいえ、やはり心配なのだろうDボウイをアイバ・ミユキが悪戯っぽい笑顔でたしなめる。
未だラダムとの問題が解決した訳でもないが、とりあえず今すぐに自分の命がどうこうなる訳じゃないという安心感からか、ちょっとしたジョークを言う程度の心の余裕が出来ているようだ。
そんな訳で、美鳥とアイバ・ミユキの二人を残し、俺とアスカ姉弟とDボウイはメディカルルームから出て行く事になった。
「卓也」
廊下に出ると、Dボウイがこちらに話しかけてきた。まぁ何を言いたいかは分かる。
「大丈夫、美鳥もお前らの事情は知っているんだ、下手な話題振って地雷踏んだりはしないさ」
十中八九碌でもない事を吹き込むだろうことは目に見えているがな。
―――――――――――――――――――
……………………
…………
……
メディカルルーム内、アイバ・ミユキはベッドに座り込んだままシーツをギュウ、と掴み俯いている。
「でも、アキさんとお兄ちゃんはお似合いだし……。私、お兄ちゃんにとってはただの妹で……」
その言葉の中に、どこか自分を納得させようとする響きが含まれているのを美鳥は見逃さなかった。
行ける。そう踏んだのかどうなのか、美鳥は畳み掛けるように、しかし慎重に言葉を選んでミユキに語りかける。
「そんな理由でなぁんで諦める必要があるのさ、アンタ程の女が」
美鳥はミユキの臥せるベッドに腰掛け、身を起こしているミユキの肩に腕を廻し言葉を続けた。
表面上は慈悲深い聖母のような表情で、しかしその内で何を思っているのかはここに居るモノでは探ることすらできない。
「あんたもテッカマンと人間の違いは知っているんだろ? しかもこんな時代だ、テッカマンの隣にただの人間が居たって生き残れるはずがないよ」
耳に唇が触れる程の距離から、息を吹きかけるようにそっと囁きかける。
「そうしたらDボウイ、あんたのお兄ちゃんは一人ぼっち。家族も恋人も失って……」
魔法による催眠効果を含むその囁きを受け、次第にミユキの脳はその誘惑を受け入れていく。
焦点の合っていない瞳は濁り、頭は朦朧とささやかれる言葉を記憶していく。
「なぁに、弱い所を見せればころりと行く、一度間違いを犯せば二度目三度目、その内にDボウイはあんたのモノ。ほうら簡単だろぉ? そうやって奪い取ればいい。今は悪魔が微笑む時代なんだ……」
「あなたは、あなたはなんでそんな事を言うの?」
それは恐れでも抵抗でもなく、純粋な疑問であった。
合ってまだ数日、向かい合って言葉を交わしあったのは今回が実質初めての自分の欲望を見抜き、押さえつけているそれを成就させる為にこんなにも背中を押してくれるのは何故か。
アイバ・ミユキの疑問を聞き、鳴無美鳥は皮肉気に口の端を歪めてみせた。
「同病相哀れむ、ってとこかな。──お兄ちゃんの事が好きなんだろ?」
「え……、じゃぁ、あなたも?」
「そ。兄を慕う妹、というポジションなら、あたしは無条件で応援するよ」
あたしはもう諦めてるけどね、と、心の中でだけ付け足して、アイバ・ミユキへの洗脳を再開した。
―――――――――――――――――――
◇月▲日(逃亡中ー。後にフューリーやらボアザンやらが降ってくるけど、そんな事より今は釣りだな)
『さて、エイジ姉を助けたりDボウイの妹を美鳥が助けたりした裏で、トールが圧死したりキラが行方不明になったり、敵のボソン砲から逃げて宇宙まで飛んだりといろいろあったが、その間特に面白い出来事も無かったので久しぶりの日記になる』
『ボソン砲の騒動の時に木星から大使として白鳥ユキナ、とかいう少女がやって来て、その少女を引き渡せという命令に背きナデシコのクルーが散り散りに逃亡するはめになった』
『木星といえば木星系連邦。かのサイボーグ民族なら国民全員サイボーグ化が義務づけられてため、軍人に捕まってもそう簡単にはやられないのだが、ナデシコ世界の木星人は極々真っ当な人間の惰弱ボディしか有していないため即座に逃亡、今はどこぞのアパートで艦長やテンカワ達と隠れ住んでいる』
『生き物が住める環境でも無い癖に碌に人体改造もやらないとか、信じられない。正義とか強さに憧れるならまずサイボーグ化だろう』
『ぎっちぎっち動く機械の身体♪国民全員サイボーグ♪ 走れサンダー!唸れダイナモ!とか、この応援歌の歌詞の血圧の高さから推察するに、かなりこの世界の木連と波長が合いそうな気がするのだがどうだろうか』
『話が逸れ過ぎたので軌道修正。今現在俺と美鳥は余り人目に付かないような山奥の湖畔にてキャンプをしているのだが、実はキャンプってあんまりやった事が無かったりする』
『せいぜい小中高の林間学校やら臨海学校やらでやった程度か。だがまぁ、庭先で姉さんや数少ない地元の知人たちとバーベキューをすることは結構多かったので余り苦労はしていない』
『そもそも最初にトリップしたブラスレイター世界ではかなりのホームレスぶりを発揮していたので、この程度なら特に不便とも感じないのだ』
『まぁ、成り行きで統夜達と一緒になってしまった為に、ナデシコの中と変わらずそれなりに人間らしいリズムでの生活を強いられるのは不便と言えば不便だが、それもこれも人間らしさを失わない為という姉さんが教えてくれた事を守っていると考えれば問題は無い』
『しかし、なんだ。良く良く考えてみれば、これでネルガルとの契約は切れてしまったということになるのだろう。元から金を貰った所で使い道も無かった上に、貰った以上の資金をナデシコ宛てで寄付しているのだからそこら辺は気にするだけ無駄なのだが、ナデシコがネルガルの指揮下を離れたというのは俺や美鳥にとっては結構なプラスになる』
『ナデシコでボウライダーやスケールライダーのデータ採集が定期的に行われていたのは軍とつながりが出来たネルガルの意向に沿っていたからという理由がある。つまり、ナデシコが独立愚連隊になった今、わざわざデータ採集をする必要性は全くと言っていいほど存在しない』
『つまり、ボウライダーとスケールライダーのバージョンアップが再開できるのだ。いままでの鬱憤を晴らすかの如き超魔改造を行えるのである』
『……とはいえ、実際のところ余り強化する必要性を感じない。いままで手に入れた技術はすべて俺と美鳥の肉体に直接反映させているし、急いで機体を改造しなければならないほど力不足という事も無い』
『ていうか、もうそろそろ部隊から抜けようと思っていたし、このままぬるっとフェードアウトしたいという欲求もある』
『ああ、はやくオーブのモルゲンレーテに行って後継機を取り込みたい。ついでにフリーダムも取り込んでおくべきなのだが、今更ニュートロンジャマーキャンセラーとかなぁ』
『実のところ、もう既にニュートロンジャマーキャンセラーは手に入れていたりする。そう、山のバーストンの核ミサイルにさりげなく搭載されていたのだ。そして当然同じ武装を搭載しているグレートゼオライマーを取り込んだ時点で入手済みというわけだ』
『この世界でも既に核ミサイルの代わりにフェルミオンミサイルが主流になる流れが生まれつつあるが、それにしたってこれは酷い。ナチュとコーディの戦争?何それってな具合の技術格差である』
『それともう一つ正直な話をすれば、フリーダムよりも三馬鹿の機体の方が魅力的だったりする。ビームを曲げたり振動ブレードだったりハンマーだったり……』
『どれもこれも既に似た様な技術を持っているのだが、あの三機のけれんみに溢れたデザインは中々魅力的だと思う。大量に複製を作って暴れさせたいなぁ』
『まぁ、なにはともあれ今はホシノからの連絡待ちだ。それまでは適当に統夜達の相手をして時間を潰すとしよう』
―――――――――――――――――――
プラスチック製の皿に載せられた川魚の塩焼きや野草の天ぷらを摘まみつつ、時折ホカホカに炊けた白米を頬張る。
塩や醤油などの調味料に米や小麦粉といったモノはある程度機体に積み込んであるので問題無い、という設定でこっそり複製したモノを使っているのだ。
現状で食糧やらなにやらについては何ら問題は無いのだ。個人の好みを別にすれば。
「肉が食べたい」
魚と山菜と白米を綺麗さっぱり平らげた美鳥がおもむろに呟いた。
軍人やネルガルのシークレットサービスにナデシコを追い出されてから数日、このキャンプ生活で碌に肉を食べれていない美鳥がそんな事を言い出した。
「いやいやいや、魚で充分だって! ね!?」
「そうよ、卓也さんと美鳥が魚を釣ってきてくれて、食べられる野草を教えてくれたおかげでレトルトだけの生活は避けられているのだから。それだけでもありがたいわ」
テニアが大慌てで反論し、カティアもどこか話の論点をずらしながらの説得を美鳥に試みている。
「あ、ほら、持ってきたレトルト食品の中にチキンハンバーグがあったからそれで」
「でもそれって根本的な解決にはなってませんよね?」
ナデシコから持ち出した非常食を美鳥に差し出しなんとか誤魔化そうとする統夜と、冷静に突っ込みを入れるメメメ。
いや冷静か?しかしこのタイミングでそのセリフが出てくる辺りには確かな成長を感じる。餌付けしながらの英才教育が身を結んだようだ。
さて、何故統夜と三人娘が頑なに肉食を拒んでいるか、その理由を知るにはこのキャンプ生活が始まってからすぐの頃まで遡る必要がある。
ナデシコからの連絡があるか、あるいは他に匿ってくれそうな場所を見つけるまでひたすらこの森の中に隠れていることを選んだ統夜達と、それにとりあえず付き添うことになった俺と美鳥。
隠れ潜む上で最初に問題になったのは食糧関係。
ナデシコ脱出の際に倉庫から持ち出した自販機に補充する為のレトルト食品はあったのだが、何時まで続くとも知れない逃亡生活をするのだから、保存料が入っていて長持ちするレトルト系の食品はなるべく温存しておく事になったのだ。
そこで俺と美鳥が持っていたサバイバル知識(地元の山で釣りや山菜狩りに出かけた経験だったり、ネットから知識だけ持ってきたりとソースは様々)で食料を調達したのだが、その際に少し問題が発生する。
調達した食材の一つである、猪やら兎などの野生動物を捌く場面を見た統夜、そして三人娘の内の二人がそのグロテスクな光景に耐えられなかったのだ。
これがもっと切羽詰まった状況なら気持ち悪さやら罪悪感やらを押し殺して肉を食べたのだろうが、生憎魚や山菜、あるいはレトルトにもある程度は手を付けることが出来るこの状況ではそこまで我慢が利かなかったらしい。
三人娘の内カティアとテニア、そして統夜までもが、あれやこれやと理由を付けて獣を狩って肉を作る必要は無いと言い始めて、それからはずっと魚と山菜とレトルトの日々。
別に俺も美鳥も栄養バランスだのなんだのに気を配る必要もないし、肉が食いたいと言いだしている美鳥本人も本来は肉少なめの和食派。
これはどちらかと言えば、肉を食わないといざという時に力が出ないとかそういった理由で統夜と三人娘に肉を食わせたいのだろう。
予定ではナデシコの再起動に合わせてフューリーもやってくる筈なので、統夜には是が非にでも力を付けておいて貰うべきだ。ここは俺からも肉をプッシュさせて貰おう。
「一応、初日に捌いた猪と兎、冷凍して保存してあるぞ」
「お、さっすがお兄さん」
「う……」
初日に捌いた、というフレーズにテニアとカティアが解体場面を思い出したのか顔を顰めるが、目の前で再びグロい光景を見せられる訳では無い為か特に反論は無し。
「まぁ、捌いた分は食べないと罰が当たるしな」
統夜は親の遺産で暮らす苦学生だった為か、食べモノを残すことに対して罪悪感のようなものを覚える節がある。もったいないの精神というやつだろう。
「あ、でもお肉の前におやつにしません?」
三人娘の中で唯一肉を捌くシーンに難色を示さなかったメメメが、ここでもやはり甘味をねだりだした。後でマシュマロ辺り、ある程度保存が利いてここで出しても違和感の無いものを与えておこう。
やいのやいのと肉やおやつを巡り騒ぎ出す俺達。今日もナデシコから連絡は無かったが、おおむね平和な一日になりそうだ。
―――――――――――――――――――
◇月◇日(この世界で初めて)
『イレギュラーというかバタフライ効果というか、そんな出来事が起こった。いや、起こった、というよりは起こるべき出来事が起こらなかったというべきか。この事態は少しだけ予想外』
『フューリーが出てこないのだ。本来ならナデシコ奪還とその次の話でグ=ランドン以外のネームドユニットが全員登場し、オーブの防衛戦初期でベルゼルートはラースエイレムキャンセラーの中核を残して大破する予定だったのだが、そのイベントも一切起きていない』
『これは一体どういう事、とか思い悩むほど難しい問題でもない。フューリーが何をやろうとしているかは大体察しが付いている』
『しかし、そうなると色々と問題も出てくる。成長した統夜の操縦にベルゼルートが反応しきれなくなって来ているのに、急いで後継機に乗り換える理由が生まれない、いや、むしろ何時攻めてくるか分からないような状況では下手に機体をばらす訳にも行かないと考えるだろう』
『原作では機体が大破したことでそういった可能性が考慮されなかったが、このままではオーブを出るまでは機体の乗り換えは無しという結論に至るだろう』
『さらに言えば、現時点で統夜の乗り換える予定の後継機が未完成。どうやら俺の送った統夜の戦闘データを元に組直した結果、微妙に開発が遅れてしまったらしい』
『コアの移植は間に合わないだろうし、せめて連合が再び攻めてくるまでに俺と美鳥も手伝ってどうにかこうにか完成させて、機体だけでもナデシコに積み込んでしまわなければなるまい』
―――――――――――――――――――
モルゲンレーテ、大量のM1アストレイが立ち並べられたMS工房内に、一機だけ毛色の違う機体が混じっている。
いや、毛色が違うというレベルでは無い。そもそもMSですらない。
この機体を構成する理論は地球人のモノではない。遠い遠い昔、故郷を追い出された異星人達が齎した超技術の塊。
地球人とフューリーのハーフである、統夜・セルダ・シェーンの新しい剣。
「とかなんとか脳内ナレーションを入れてはみたものの」
「見事に未完成だねぇ」
隣に立つ美鳥が呆れた顔で目の前の青い巨人を見上げている。
見事に未完成、というが、強化用外骨格からコアモジュール以外のベルゼルートの強化された基本フレームまで、あと少しで完成まで持って行けそうな処までは出来上がっているのだ。
まぁ、いくらあと少しあと少しと言ったところで、必要になるタイミングで実際に完成してなければ何の言い訳にもならない。
「そう言ってくれるな。実際の処、君らが送りつけてきたベルゼルートのパイロット特性やそれに合わせた改修案を受け入れていなければもう完成していた筈なのだ」
と、俺達をここまで連れてきた黒騎士ことアラン・イゴールが肩を竦めながら告げた。
実際、元々この機体に搭載されていたほぼ変更点の無い武装は完成しており、未完成部分は統夜の戦闘の癖に合わせて改修案を送った部分が殆どとなっている。
「でも、あれが無かったら結構大変な事になってたと思いますがね。元のこの機体の特性と統夜の操縦、合致してると思いますか?」
「別に文句を言った訳ではないさ。あの改修案が有効だと踏んだからこそ、こうやって君達をここに連れて来たのだからな」
君たち、というのは何も俺と美鳥に限った話ではない。後ろを見渡せば、ナデシコ整備班、しかもウリバタケ班長とその肝入りの精鋭達がそろそろと付いてきている。
「おいおいおい、最近は整備の手伝いにもこねぇから何してんのかと思ったら、おめぇら俺様に内緒でとんでもねぇこと考えてやがったな?」
「可愛い弟分の新しい機体、ちょっとくらい口出しするのは当然じゃないですか」
今の統夜の戦闘スタイル、統夜パパからの遺伝もあるだろうけど、部分的には俺の戦い方を見てそれがうつったってのもあるだろうし。
それに、今まで散々ナデシコで機体を無断で複製させてもらっていたんだ、こうやって多少のフォローを入れる程度の事はしても罰はあたらんだろう。
「かーっ! よく言うぜ、散々自分たちの機体ばっか改造しまくってよぉ。しかも俺達には詳しい構造は教えようともしねぇ」
「技術は教わるものではなく盗むモノとう名言を知らないのかよ。ほら、目の前にいかにも盗んで欲しそうな技術が転がってんぞー?」
ウリバタケ班長のセリフに挑発を返す美鳥。その光景を無視し、アラン・イゴールがこちらに顔を向けた。
此方を見る目には疑惑の色は無く、信頼の色も無い。
未知の情報をとりあえず置いておき、今ここにある事実のみを見つめる誠実な眼差し。
「君が何時、何処でこの機体の情報を仕入れたか、そして、一介の傭兵が何故あそこまで充実した技術提供や資金提供を行えたかは分からん。しかし、それが彼らにとって有益な結果を齎す事は確かだ」
疑うべき部分は数多くあるが、今のこの状況では実益優先、ということだろう。
こういう連中ばかりなら、もう少し悠々自適にTUEEEライフを楽しめたのかもしれないが、同じ機体でこんな長期間戦い通したのも、長い目で見ればいい経験になるだろう。
「まかせて下さいな、ここを出るまでには完璧に仕上げてみせますよ」
置き土産として恥ずかしくない程度に立派な物にしてやろう。
俺は未だ名無しの後継機を今一度見上げ、アラン・イゴールに頷きを返した。
―――――――――――――――――――
……………………
…………
……
まるで太平洋艦隊の全てを相手にしているかのよう、との言葉が誇張とは言い切れぬほどのMS部隊による波状攻撃、次々と送り出されてくる連合のMS部隊、その物量に対し、ナデシコ、アークエンジェルは苦戦を強いられていた。
背水の陣を敷いて奮戦を続ける二艦に、守っている筈のオーブの前代表から、戦闘の中止と撤退を懇願される。
ナデシコとアークエンジェルという未来への希望を残す。これから滅ぶ国の為にその希望の灯が潰えるべきではない。
ウズミ・ナラ・アスハの意思を、願いを受け、アークエンジェルの艦長、マリュー・ラミアスは全機に撤退命令を下す。
オーブの中央から高エネルギー反応が検出されたのだ。自爆により連合の兵力を減らし、ナデシコとアークエンジェルが撤退する時間を稼ぐ算段なのだろう。
ここで抗い捕まっては、ウズミ前代表の犠牲が無駄になる。
「全機に告ぐ! 速やかに当戦闘領域を離脱! 繰り返す、全機戦闘領域を離脱せよ!」
苦渋の選択であった。ブリッジクルーは残らず涙を流し、歯を食いしばり自らの感情を押し殺し、出撃していた機体のパイロット達もコックピット内部でやり場のない怒りや憤りを持て余しながら母艦へと戻って行く。
しかし、未だ母艦へ戻る気配が無い機体が一機。
紫雲統夜のベルゼルートが虚空を睨みつけるようにして再び臨戦態勢を取った。
「ベルゼルート、統夜さん、早く帰艦してください」
ナデシコからの通信、艦長が放心している為か、オペレーターのホシノルリが直接命令を下している。
普段通りの平静を装ってはいるが、心なしかその声は震え、僅かながら語気も荒げている。
が、そのホシノルリの状況も気にしていられない程に焦った統夜の声が通信を通して全機に伝わった。
「いや、ダメだ。奴らが、フューリーが来る!」
最悪のタイミング。
今までの連合のMS部隊との連戦で殆どの機体がボロボロ、弾薬の補給をしている暇も無い。フューリーとの戦いの要であるベルゼルートとてそれは同じだった。
ラースエイレムキャンセラーを発動することは出来る。しかし、そこまで。
万全の状態で向かってくるフューリーを相手にできるほどの余裕は一切無い。
では、今から帰艦して全力で離脱すればどうにかなるか。
いや、フューリーの機体はもれなく転位機能を有している。如何に地球上において他の追随を許さない性能を持つナデシコといえど逃げ切ることは出来ないだろう。
単体での大気圏離脱能力を持たないアークエンジェルなどは言わずもがな、というやつだ。
「くるぞ!」
ビームに実弾、オルゴン粒子弾が豪雨のように降り注ぎ、目前まで迫っていた連合のMS部隊が一機残らず爆散した。
自爆する寸前のオーブに大量の、いや、無数のフューリーが降り立つ。
連合のMSを破壊したのはナデシコやアークエンジェルを逃がす為では無く、横あいから手を出されて作戦に支障が出るのを恐れてのことだろう。
「だめ、これじゃあ逃げ切れない!」
「くっそぉ、ここまで来てこれかよっ」
「万事休す、というやつか……」
目前に迫るフューリーの軍勢、しかし、敵を前にしても殆どの機体は戦闘に耐えられる状態ではない。
『殆どの』機体は。
例外がいるのだ。この連戦でもほぼ消耗も無く、補給も無く戦える機体が。
―――――――――――――――――――
破壊されたオーブの施設、死屍累々と転がるMSの残骸。燃える木々、砕けた山、濁る海。
ラフトクランズに乗るフューリーの騎士、アル=ヴァン・ランクスは眼下に広がる戦闘による破壊痕を見下ろし、深いため息を吐いた。
「愚かな、フー=ルーの仕掛けに踊らされたとはいえ、何故かくも同胞同士で殺し合うのか」
「ははははは、 地球人はやはり滅びたがっているのですよ。おかげで俺達は楽ができる」
準騎士であるジュア=ムの軽口に軽い苛立ちを感じるアル=ヴァン。
彼は本来、このような自らの手を汚さない戦い、搦め手を好まない性質(たち)であった。
一言、取り敢えずはジュア=ムを諌めようと口を開こうとするより早く、横から別の通信が割り込んだ。
今回の作戦で部隊の半分を指揮する事になっている騎士、フー=ルー・ムールーだ。
「あらあら、それは私達が言えた義理では無いと思いませんこと?」
「どういうことです?」
「む……」
フー=ルーの戯れに返した言葉にジュア=ムは疑問を返し、アル=ヴァンは反論を返すことも出来ない。
今や知るものの少ない事実ではあるが、この地に訪れたフューリーは内乱の末に敗れ、故郷を追われた者達のなれの果て。
この地に来る原因からして同胞同士による殺し合い潰し合いにあるのだ。
「子は親に似る、ということなのでしょうね」
で、あるならば、子が親に似るようにやはり親も子に似るのだろう。やもすれば自分たちも、知らぬ間に滅びへの道を歩んでいるのかもしれない。
その疑念を、アル=ヴァンは捨てる事が出来なかった。
あの白い機体、不吉な未来を見せる、滅びの未来を齎す平常の狂気。
あの機体に拘る思考は、あの機体に拘る行動は、滅びへの道を自ら進むに等しいのでは無いか。
自らの思考に埋没しているアル=ヴァンの機体に、青い機体、紫雲統夜と実験体の少女達が乗る試作機、ベルゼルートから通信が入る。
『その機体、アル=ヴァンか!』
その機動、間合いの取り方、視線の動きに至るまで、全てがかつて見た恩師の面影を残し、そして以前見た時とは比べ物にならない程の力強さ、逞しさを感じる。
「統夜か、残念だが、今日は君の相手をしに来た訳では無い」
『そんな勝手を──』
突如として響いた爆音が統夜の叫びを途絶えさせる。
空間を歪める程の重力波による砲撃、グラビティブラストの範囲内に存在した十数機の従士の機体が一撃の元に爆砕された。
ナデシコのモノではない。ナデシコは今宇宙へ脱出する為に艦尾を向けており、即座にフューリーに対応できない。
続けざまに二度、三度と苛烈な重力波が襲いかかる。
転位を使いこなせない機体は必死に逃げ惑い、しかし更に違う位置から放たれたミサイルの雨や荷電粒子の奔流に呑み込まれ破壊されていく。
転位に成功した機体は、一機残らずグラビティブラストの放たれた方角から射手の位置を割り出さんと警戒する。
「来たか」
白い装甲に身を包み、片手には平行に連結させた砲を構え、片手には回転する凶悪な刃を構え、肩からは異形じみた巨大な鉤爪のある腕を生やした歪な人型。
グラビティブラストを放ち、今また多くの同胞を葬った憎き敵。
ラフトクランズの半分程の大きさも無いその機体は、しかしその危険度は地球上のどのような存在よりも高く、悪魔染みた性質を隠し持っている。
黒い装甲を纏い、その身に数えきれぬ火器を備え、翼からは目を焼く程に眩い光刃を伸ばした、鳥のようなシルエットを持つ戦闘機。
背を向け逃げる事を許さぬとばかりに容赦なく逃げ惑う同胞を撃ち落としてきた恐るべき敵。
白い機体につき従うかのような動きを見せる怪鳥、白い機体と同質の気配を持つそれは、やはり悪魔のような歪な気配を纏っている。
『各機、白い機体と黒い戦闘機のみを狙え。他の機体は無視しても構わん。第一にあの二機を始末する事だけを考えろ』
各機へ号令を下しながら、アル=ヴァンは従士が全滅する勢いで掛かってもあの二機、いや、あの白い機体は落とせないだろうと予測している。
真の勝負は従士を撃墜し尽くした瞬間にこそある。
従士を捨て駒同然に扱わねば敵を倒せぬ自らの不甲斐無さを嘆きながら、アル=ヴァンはその瞬間が訪れるのを待っていた。
―――――――――――――――――――
周囲一体、余すところなくフューリーの機体が埋め尽くしている。遠くには遠距離戦強化のドナ・リュンピーが数百にも届かんというほど控え、リュンピー、ガンジャールもそれぞれ互いに邪魔にならない程度に距離を開けつつ同じような数だけ控えている。
それだけではない。温存しておくべきフューリーオリジナルであろう機体、ヴォルレントが十数機、動きから見るにどれも乗るのは騎士に届く寸前の準騎士か。
そして極めつけに黒、白、赤の三機のラフトクランズ。
「統夜、ナデシコに戻れ、ここは俺が食い止める。この軍勢は、俺へのお客様だ」
ボウライダーとスケールライダーを包囲するように展開されたフューリーの機体群。
未だナデシコにもアークエンジェルにも戻っていない他の機体も僅かに残っているのにまるきり俺達しか狙っていない。
いや、それどころか真っ先に破壊するべきベルゼルートすら無視した対ボウライダー配置。
多分あの大量の雑魚共とこの状況が『万全の準備』というやつなのだろう。
まるっきり力技の物量作戦と、時間さえかければこの国の自爆に巻き込んでしまえるという算段。
騎士の誇りとかそういったものをかなぐり捨てた泥臭い作戦。一騎討ちに拘ってくるものと踏んでいたんだが、なかなかどうして騎士様も必死らしい。
自爆プロセスこそ止まっていないが、さっきのフューリーの弾幕によってウズミ前代表の居た施設は跡形もなく破壊されている。
空気を読んで自爆で死なせてやる程度の気遣いもできなくなる程俺に夢中らしい。これが有名税とかいう奴か、全然嬉しくないがな。
せめて相手が美人な姉系の人なら嬉しいかもとか少し考えたが、唯一の女性ボスユニットは男らし過ぎるウォーモンガーだし。
だが、これは好都合だ。俺が一人でここに残ってナデシコから離脱する理由としては十分過ぎるシチュエーション。
予定していた抜け方とは違うが、これはこれで乙な抜け方ではあるまいか。
『無茶だ! ベルゼルートを下がらせたら、あの時間を止める攻撃には対抗できない!』
いい正論だ、感動的だな。だが無意味だ。
ここで抜けると決めた以上自重はしない。どうやってでも納得した上で宇宙に上がってもらう。
サブMMIにサイトロンコントロール設置、予備動力にオルゴンエクストラクターを生成。
「統夜、お前は何時の時代の話をしているんだ?」
オルゴンエクストラクター起動。稼働率安定域到達。以後この出力を維持。
『マサトくん、これは!』
『ああ、間違いない……、ボウライダー、スケールライダーからベルゼルートと同じ種類のエネルギーが放出されている』
ゼオライマーからの通信で氷室美久の驚愕の声とマサトの冷静な分析が聞こえてきた。
驚くのも無理はない。かの天才、木原マサキでさえフューリーの技術を再現しうることはなかったのだから、一介の傭兵がジャンクからそんなものを作れるとは夢にも思わないだろう。
いかなスパロボ世界でも無理があるが、ナデシコの格納庫には俺が回収して修復したガンジャールやリュンピーが数機転がっている。
これ以降ボウライダーとスケールライダーを調べられる事が無ければ、あっちで色々考えてどうにでも辻褄を合せてくれる筈だ。
「つまりはこういうこと。俺達にはもう時間停止攻撃は通用しない」
『ダメです! 戦えるからって、二人だけを残して行く訳にはいきません!』
『艦長、今の状況考えてモノ言えよ。どうするのが最善か、分からねぇあんたじゃねぇだろ?』
ナデシコ艦長のミスマル・ユリカが俺達を止めようとするが、美鳥の言葉を聞き口を閉ざす。
後数分せずにオーブは爆発消滅し、そのカウントダウンを止めることは出来ない。
アークエンジェルはすでに大気圏外へ脱出する為のレールに設置され射出を待つばかり、しかも艦も機体も傷ついたアークエンジェルはナデシコの援護無くして宇宙で生き抜くことは出来ない。
ナデシコとて無傷ではなく、自爆に巻き込まれては無事では済まず、乗っている機体も整備無しでは戦えないような状況のものばかり。
そして、敵はボウライダーとスケールライダーしか眼中に無い。
俺達の機体は損傷無しで弾薬も気にせず戦えるので時間もそれなりに稼げる。俺達を置いて行けば安全に宇宙に離脱することができる。
シミュレーションでは優秀だという艦長の頭脳はこの答えを一瞬で導き出せただろう。
モニタには悔しげに俯き、唇を噛んでいる艦長の姿が映っている
『卓也! 美鳥ちゃん! 馬鹿な真似はやめろよ! そんな真似しなくても、他に、他に何か方法が……!』
「テンカワ、コックの修業もちゃんとやれよ。偶に揚げ物がべしゃべしゃになってたからな、忙しくても油の温度は小まめに気をつけるように」
『次までにギンギー料理作れるようになっとけよー』
テンカワの必死の形相がモニタに大写しになった。山田のことでも思い出しているのだろう。
なるほど、そういえばこうやって自己犠牲で仲間を見送る役は提督と山田に次いで、俺と美鳥で三人目と四人目になる訳だ。だからどうだって話だが。
これ以降食う事も無いだろうが、とりあえず他に言うべき事も無いので料理の粗を指摘しておく。美鳥は以前から繰り返してきた無茶振りをここでも行っている。
『卓也、貴様、死ぬ気か?』
「死ぬ気は毛頭ない。だから次会う時には流派東方不敗の奥儀、ちゃんと見せてくれよ?」
『ふ、任せろ。次会う時には最終奥義で貴様の猿真似を叩きのめしてやる』
頼もしい言葉だ。まぁ次会うことも無いだろうから、最終奥義はラスボスにでも決めててくれ。
次々と繋がる通信、それに手短に言葉を返していく俺と美鳥。これでこいつらとはお別れかと思うと少し感慨深いものがある。
周りのフューリーも空気を読んでいるのか照準を合わせながらもこちらに仕掛けてくる様子は無い。
ボウライダーをナデシコとアークエンジェルから遠ざけるように移動させる。それに合わせるように付いてくる周りのフューリー。
程なくして全ての機体がナデシコかアークエンジェルに帰還するのを確認し、スケールライダーとのリンクを確認する。
本来ならオリジナルのボウライダーが狙撃の際にスケールライダーから送られてきた標的の観測データを受け取る為のモノなのだが、これを双方向にすることにより、両方の機体の死角が狭めることが可能となっているのだ。
砲を構え、さぁ戦闘開始という段になって、ナデシコのブリッジから通信が繋がった。
ブリッジクルーとの交流はあまり無かったんだが、ホシノから美鳥宛てか?
『ダメです! 卓也さん! いっちゃ、やです、戻ってくださいぃっ!』
メメメだ。今回は移動の殆ど必要無い防衛戦ということで一人サブパイからあぶれて、自室に詰めている筈のメメメがブリッジから通信を繋げている。
顔は汗と涙と鼻水でぐしゃぐしゃ、控室から走って来たのか息も絶え絶え。
『待ってください、いま、いま迎えに行きますから、すぐに――統夜さん! カティアちゃん! テニアちゃぁん! なんでおいてきちゃったんですかぁっ!』
錯乱気味に泣きわめくメメメ。さて、これは、どうするべきか。言葉が見つからない。
「ごめん、メルアちゃん。これから三時のおやつは自分で何とかしてくれ」
『違います!なんで、なんでそんなお別れみたいなこと言うんですか!? それに、お菓子なんて、違う、ただの言い訳なんです! 私は、私は本当は、お菓子じゃなくて、卓也さんが──!』
通信を一方的に切り、溜息。遠ざかるナデシコを見送り、改めて周りのフューリーに集中する。
が、始まらない。白いラフトクランズから通信。クスクスという笑い声がスピーカーから響く。
『随分と慕われているのね』
「やることやって、やった分の評価を受けていただけですよ」
『そういう意味では無いのだけど、いえ、わかっていて惚けているのね、残酷な人。ああ、人じゃなくて鬼だったかしら』
女を捨てているとしか思え無い戦争狂に言われたくないので無視。今は軽口に答える気分じゃあ無い。
ボウライダーの顔を黒いラフトクランズに向ける。通信はこの戦場全体で聞こえる筈だが気分の問題だ。
「悪いね、わざわざ待って貰って」
『貴様を滅ぼさねば、我らフューリーに未来は無い。しかし、これから死ぬ者とその仲間の別れを邪魔する程、我ら騎士は無粋でもないつもりだ』
言い、ソードライフルをこちらに向ける黒いラフトクランズ。
ソードライフルはその銃口に眩い光を湛え、今にもこちらを撃ち抜こうとしている。
しかし、これから死ぬ者、ね。
「ふ、くふふっ」
『くっくっくっく……』
笑ってしまう。笑ってしまう。
堪え様としても腹から笑いが湧きだし口から溢れてしまう。
スケールライダーと繋がっている通信からも美鳥の含み笑いが聞こえてくる。
『……やれ』
黒いラフトクランズ、アル=ヴァンの号令と共に、マシンガンの鉄弾が、ビームライフルのビームが、ソードライフルの粒子弾が、粒子砲が、結晶弾が俺のボウライダーと上空のスケールライダーに襲いかかり、爆炎で包み込んだ。
―――――――――――――――――――
アークエンジェルブリッジ、サイ・アーガイルが状況を報告する。
「制空権離脱しました。連合軍、フューリーの追撃、共にありません」
その報告を聞き、パイロットスーツのまま控えていたムウ・ラ・フラガが安堵のため息を漏らす。
機体の整備の為、パイロットには一時休息を、ということでブリッジにマリュー・ラミアスの様子を見に来ていたのだ。
「追ってこられたらヤバかったが、……まだ鳴無兄妹が足止めをしてくれているのかな」
フラガとて、これから自爆して更地になるような場所、しかも無数の敵の中に残してきた二人に、申し訳ない気持ちが無いでもない。
しかし、あの二人が言っていたようにあの場合はやむを得ないだろうと、冷たい軍人としての頭脳が判断もしていた。
事実として自分も開戦初期には似たような役回りを任せられたこともある。戦場ではそう珍しいことでも無い。
が、直前に自分たちは同じような任務を放り出してここに来ているのだ。
軍を抜けていながら、その命令を下した軍人と同じ、冷たい判断を下す羽目になった二人の艦長の心境を思えば自分が暗い表情で暗い雰囲気、というのも頂けない。
そう思い、努めて平常通りに振舞いで艦長へと話しかけた。
「そうね。ナデシコに通信を繋いで」
マリューは努めて冷静に次の行動を起こさねばと努力している。幾度となく戦闘で活躍し、窮地に陥る前にどうにかしてくれたとはいえ、自分たちはあの二人とさほど交流も無かった。
ショックを全く受けていない、という訳でも無いが、戦闘や航海に支障が出るほどでは無い。どちらかと言えばウズミ前代表の死の影響の方が大きい。
が、ナデシコは違う。火星行きの旅から鳴無兄妹が同道していた。少なからず影響を受けている筈だ。
やる事は山積みだ。艦長として、できる限り最善の行動を取ろう。
―――――――――――――――――――
ナデシコ艦内、ブリッジ。
ナデシコにとって、今回の状況はまさしく火星脱出の焼き直し。
普段はお気楽な艦長であるミスマル・ユリカも、二、三重の意味でライトスタッフなブリッジクルーも自らの力の無さを嘆いた。
あれから幾度となく戦いをくぐり抜けてきたのに、自分たちはまたも他人の犠牲の上で生き残っている。
しかし、そんな状況でも事態は進んでいく。
今度こそはこんな事にならないように、艦長もブリッジクルーも自分の職務を果たしていた。
「じゃあそっちはカガリさんが……」
『そっちは?』
「あ、はい、えっと、メルアちゃんが、部屋から出てこなくて」
『そう……、仕方がないわね』
空気が重く沈む。
ベルゼルートのサブパイロットの一人、メルア・メルナ・メイアの悲痛な叫びを思い出す。
メルアが鳴無卓也に好意を寄せていたことは二隻の艦では誰もが知っているほどだった。
そして、今回の出撃では運悪くサブパイロットから漏れて自室待機。メルアは只想い人が死地に向かうのを見送るだけで止めることすらできなかったのだ。
精神に負ったダメージは計り知れないだろう。
しかし、少女が心に消えない傷を負っていても、長旅を共にした仲間が死んでしまっても状況は進む。
二人の艦長は改めて、今後の二隻の行動方針を話し合い始めた。
ウズミ前代表の、そして鳴無兄妹の犠牲を無駄にしない為に。
―――――――――――――――――――
ナデシコ格納庫、エステバリス整備ブロック。
「くそ、くそ、くそっ!」
テンカワ・アキトがパイロットスーツのヘルメットを壁に叩きつけ叫ぶ。
ボソンジャンプという力を得て、戦闘で震えることも無くなって、自分は変わることができたのだと思っていた。
だが違った。同じ状況で同じ犠牲を出してしまった。変わったつもりで何も出来ることなんて無かった。
ボソンジャンプで迎えに行く事が出来ただろうか。いや、迎えに行ったとしても一緒くたに撃破されてしまっただろう。機体は満身創痍、身体は疲労困憊、とても役に立てる状況では無かった。
いや、そうではない。アキトは自分の頭に思いついた状況分析の結果を、頭を振って追いだした。
見捨てたのだ。打算によって、天秤に掛けて、どうせ助からないと。救えないと、切り捨てたのだ。
二度目。ガイに続いてまたも友人を見捨ててしまった。
ガイの時のように咄嗟でなにも出来なかったという訳でもない。考える時間は十分にあった。しかも今回は片方が自分よりも何歳も小さい女の子。
生き残ってしまった。背中を預け守り合うべき存在と、背に庇い守るべき存在を犠牲にして。
自分は、テンカワ・アキトは、正義の味方に、ゲキガンガーになれなかったのだ。
「ちっくしょぉぉぉぉっ!」
「テンカワ……」
叫ぶアキトに、同じくエステバリスから降りてきたリョーコは声をかけることすらできなかった。
―――――――――――――――――――
ナデシコ格納庫、ゴッドガンダムのコックピット内。
ドモン・カッシュは目を瞑り坐禅を組み、自らと国を犠牲に自分たちを宇宙へ送り出した老人と、ある傭兵の事を思っていた。
老人の名をウズミ・ナラ・アスハ。未来への繋ぐ為の希望の灯と自分たちを呼んだ。
平和を、と。命を掛けた託されたこの願い、全力を持って果たしてみせよう。そう堅く胸に誓った。
そしてもう一人、いや、二人。
戦士の名は鳴無卓也と鳴無美鳥。時に拳を重ね、時に背を預けた戦士。
死ぬつもりは無い、と言った。死ぬ人間が良く言うセリフで、あの状況ではどんな屈強の戦士でも生き残ることは容易くは無いだろう。
だが、不思議と心配はしていなかった。拳を重ね戦い合った仲だから分かる。あの二人はこんな所で死にはしない。
再会を誓った。再戦の約束を交わした。
ならば次に相見えた時の為、最終奥義、しかと我がものとしておこう。この拳に宿るキングオブハートの紋章に誓って。
ドモンは自らの拳を掲げ、その拳に誓った。
―――――――――――――――――――
ナデシコ格納庫、コンテナ置き場。
紫雲統夜は戦闘終了後暫くして、アラン・イゴールと共にモルゲンレーテから搬入された物資のコンテナが積まれた区域に足を運んでいた。
なぜこんな所に足を運んでいるか、その理由は統夜の乗るベルゼルートにある。
先の戦闘で、ベルゼルートが限界を迎えた。
統夜の反応に無理やり付いて行けるように限界性能までひきだしていたのだが、とうとう機体の方がダメになったのだ。
大規模改修を行えばどうにか動かせるようにはなるが、今はそれをしている程物資にも時間にも余裕が無い。
これからどうやって戦うか途方に暮れていると、アランが見せたい物があるとここまで連れてきたのだ。
「何ですか、見せたい物って」
アラン・イゴールは無言で、一つの他のコンテナより二回りほど大きな機械式のコンテナの前で足を止めた。
コンテナの隅に設置されているコンソールを操作し、空ける。
重々しい音を立てながら開くコンテナを見上げながら、アランが口を開いた。
「君の知人から託されたものでね。本来は君のベルゼルートの性能をそのまま引き継いで強化したものになる予定だったのだが──」
コンテナが開き、その内容物の全容が明らかになる。
「鳴無卓也、彼が送ってきてくれた君の戦闘データと改修案を元に組直した結果、メインは遠距離での射撃のままだが、格闘戦もこなせるようになっている」
重厚な装甲を身に纏った青い機体。ベルゼルートの面影を残しつつ、全体にどこかがっしりとしたシルエット。
肩周りが心なしか太くなっており、格闘戦でブレードを振り回すのに足る程のパワーを得ているであろう腕部。
地上戦での踏み込みの強化のために芯が強く、粘り強い動きのできそうな、しなやかで逞しい脚部。
拳や肘、踵や膝には鋭いエッジが付いており、文字通りの格闘戦もこなせるだろう。
「これを、卓也さんが、俺の為に……」
どういった感情からか、統夜の咽喉奥が震えた。熱い何かがこみ上げて、眼尻から溢れだしそうになる。
その統夜の横で、アランが説明を続ける。
「彼が敵の指揮官機から奪った、まぁ仮にソードライフルとでもしておこうか。ソードライフルを解析し、モルゲンレーテにデータを送りつけて来てね。その機能を両腕に備え付けた二丁のオルゴンライフルに組み込んである」
一息、更に付け加える。
「送りつけられたデータの中にこう書いてあったよ。『このパイロットはあんな機体で敵陣のど真ん中に突っ込んでいくから危なっかしくてしょうがない。万が一の時の為、近距離の乱戦でも使える武装案を幾つか送っておくから、是非組み込んで置いて欲しい』とな」
良く見てくれていたようじゃ無いか。と、アランが続けようと統夜の方を振り向くと、
「っ……、ぐっ、くぅ……!」
地に膝を付き、堅く閉じた瞼の隙間から、堪えていたモノを溢れださせながらの、感謝。
初めてベルゼルートで戦った時、火星への道行で不満をたれていた時、強くなりたいと願った時、並んで戦った時。
様々な記憶。共に戦ってきてくれた人の姿を思い出し、
(見守っていてくれた……! 確かに、最後まで……!)
「ありがとう……、ございました……!」
その姿に、感謝と共に、別れの言葉を告げた。
―――――――――――――――――――
ナデシコ、居住区、元、鳴無卓也の個室。
メルア・メルナ・メイアは鳴無卓也の使用していたベッドに座りこんでいた。
少し前まで卓也のベッドに突っ伏して泣いていたが、目元を赤くさせ頬に涙の痕があるものの、今は概ね落ち着いていた。
深く物事を考える力が残っていない、とも言える。
暫くすればまた泣き出してしまうだろう、と、メルアは奇妙な確信を抱いていた。
顔も拭かず、ぼうっと電灯の点いていない暗い部屋の中を眺め、部屋の作りは自分達に割り当てられた部屋と同じだな、などと、ぼんやりとした頭で考える。
改めて見れば、そこは驚くほど物が無い部屋だった。
備えつけの冷蔵庫に、旅行鞄だけが置かれていた棚、日記を書く為にのみ使われていた机に電気スタンド、後は何冊か他から借りてきたであろう雑誌が数冊。
ここに残されているモノから、彼の人柄を知ることは難しいだろう。それほどに、この部屋には部屋の主の生活感というものが残っていなかった。
そう、ここには鳴無卓也は残って居ない。信じられない程に、あっという間に消えてしまった。
だが、それを実感できない。あまりにも急過ぎたからか、そのショックを脳が拒絶しているからか。
メルア・メルナ・メイアは奇妙な程に落ち付いていた。
「……おなか、すきました……」
唐突なメルアの呟きと共に、その腹からグゥと空腹を訴える音が鳴る。
コミュニケを確認すれば、オーブを飛び立ってから既に数時間が経過していた。
泣き疲れて眠ってしまい、食事を取り損ねたのだ。更に言えば、昨日今日とおやつを食べていない。
昨日はなにやら用事があったらしく、あらかじめ用意してくれていた卓也のお菓子があったのだが、もしかしたら早くに用事が済んで、いっしょにおやつを食べられるかもしれないと待っていて、待っている間にあの戦闘が始まってしまった。
他のみんなが戦闘している中でおやつを食べる訳にも行かないと我慢していたが、その戦闘は日をまたいで行われ、そして、ナデシコのクルーが二人減った。
二人、減ってしまったのだ。
「……」
悲しい、しかし、やはり涙は出ない。
お腹が空いていると泣く力も湧いてこないのかもしれない。が、今のメルアにはこの部屋を出る気力も無い。
メルアはのろのろと身体をベッドから降ろし、四つん這いで暗い部屋の中を探し始める。
すぐに目当てのモノを見つけた。
冷蔵庫。メルアが自室に取り付けてもらった物に比べれば小さいが、それでも一般的な一人暮らし向けの冷蔵庫よりは大きい。
取っ手に手をかけ、開ける。
「あ……」
ジュースやお菓子作りに必要な材料の中、ポツンと小ぶりなチョコレートケーキが鎮座している。
以前食べた時にメルアが、これが一番好きなんです。と教えたモノ。
数人で分け合って食べると丁度いい量になるだろうそれを取り出し、机の上に乗せ、椅子を引き、座る。
フォークが無い。机の中を漁ると、使い捨てのプラスチックフォークが袋に入ったまま何本も放置されていた。
プラスチックフォークを一本袋から取り出し、チョコレートケーキに突き刺す。
切り分けもせず、贅沢な食べ方です、などと考えながら、切り取ったケーキの一部を口に運ぶ。
「……しょっぱい?」
美味しい、甘い、でも何故か少し塩気があるような。不思議な味だ。
続けて一口、二口、口に運ぶ。
ボロボロと食べカスをこぼしながら無我夢中で食べていると、手に水で濡れたような感触を覚え、メルアは自分の手を見る。
水滴が付いた手、しかし、その手がゆらゆらと歪んで見えた。
泣いている。乾いた涙の痕をなぞるように、涙が流れている。自分の目から、涙がとめどなく溢れている。
泣いている、泣ける。泣けることに気付いてしまったのなら、もう、我慢する必要は、無い。
「う、ううぅぅぅ、うあぁ、うあああぁぁぁぁ…………!」
ケーキを食べ、そのケーキを二度と作って貰えない事を知り、遂にメルアはしっかりとその事実を認めた。
鳴無兄妹は、鳴無卓也は、初めて好きになったあの人は、もう、どこにも居ないのだと。
続く
―――――――――――――――――――
はい死んだ。これにてスパロボ編本編沿いルート終了な、主人公がウソ臭い死亡フラグをおっ立てて回収したりする話終了。
ラスト辺りのナデシコクルーの辺りでは悲しげなBGMでも流しておけばそれっぽく見えるんじゃないかなぁとか。
思ったよりも短く纏まったけど、御蔭で前半と後半のギャップが凄い事になってます。しかも視点変更の数が半端無い。これ、どこら辺で誰に切り替わっているかわかります?
正解は、『わざと三人称と一人称がごっちゃになっている部分がいっぱいなのでカウントするだけ無駄』でした。
とかなんとか書いても反応は無さそうですね。今回ネタが三個くらいしか無いですし。しかもアレンジしすぎてたりシリアスの間に挟まってたりで分かり辛い。
因みに、この後の展開なんですが、実はラストは共通だけど分岐させる事が可能です。
☆一つ目の道は、このままシリアスで突っ走ってスパロボ編完! な道。
★二つ目の道は、シリアスの連続に耐えられない! 色々と台無しな『王道では無い』寄り道編を一、二話挟む道。
できれば、その、なんて言いますか、ご意見とか頂けたらいいなぁなんて、思ったりなんかして。
賢明なエスパー系の読者の方々ならばお気付きとは思いますが、自分、上の行でそちらを20回くらいチラ見しましたのでそこら辺よろしくおねがいします。
今はとりあえず真っ当なスパロボ編最終回へ向かう話を書いておりますが、二つ目の道を選ぶ人が居れば、もしかしたら何かの弾みで寄り道外道枠ストーリーが始まるかもしれません。
でも、アンケートとかってある程度感想数が無いと機能しませんよね。そもそもこのあとがきをどれだけの方が読んでいるのかわからないし。
試しに凄い下品なみさくら語でも書いてみるかなぁ。削除怖いからやらないけど。
そんなわけで、諸々の誤字脱字の指摘、この文分かりづらいからこうしたらいいよ、一行は何文字くらいで改行したほうがいいよなどといったアドバイス全般や、作品を読んでみての感想とか、心からお待ちしております。