高らかに鳴り響く指パッチンの音と共に、現在お兄さんの背後に突如として現れる全高20メートル程の鉄巨人。
マジンカイザーをベースにしながら内臓武器を全てオミット、格闘戦主体のMFを参考に機体の剛性や柔軟性の強化に力を注ぎ、装甲材も超合金ニューZαの強化版に差し替え済み。
主動力は次元連結システムを搭載したお兄さん。強化済みの光子力反応炉とオルゴンエクストラクターを予備動力として搭載。
頭部から胸部にコックピットを移動したことにより空いた頭部に、ジンのヘッドパーツのジャンクをデザインベースにバーザム顔に差し替え。
機体表面の意匠はMSやMFを参考にカモフラージュ。
MMI(マン・マシン・インターフェイス)には東方不敗式モビルトレースシステムを採用。
そして、バックパックにはちゃっかりプレート回収用のCDラックのようなものと、さり気無く挟まれているビームサーベルの柄のようなものが二本。
これが、これが、これが、お兄さんが数分でササッと考えて作ったスーパー系格闘厨機体『シャイニングバーザム』だ!
……なんでバーザムなのかはこの際脇に置いておくことにして。
「ふぁ、決めポーズかっこいいタルー……」
『あれ、後で思い出して恥ずかしさに悶えるからちゃんとフォローしなよ?』
頭の中に響く未来あたしの声。
ここはグランチャーとブレンパワードの相の子のような機体(以下暫定的にブレンチャー)に変形した未来あたしのコックピットの中。
あたしは両掌をコックピットの両脇に貼り付けてお兄さんの機体を見ている。
そのまま未来あたしがパイロット無しで動いても十分いけるのだけど、やはりパイロットが居てそこから力を吸い取って動いた方が効率もいいし、なにより気合いが入るのだとか。
『じゃ、俺はバイタルネットの結界担当で決まりとして、あとの手筈はそっちで決めてくれ』
シャイニングバーザムの召喚に隠れてこっそりテックセット完了した未来お兄さんがいつの間にか未来あたしの肩の上に乗り、魔法による念話で話しかけてきた。
どうやら必要以上に目立つつもりは無いようで、テックセットした後の姿はいつか見たブラスレイターもどきとほとんど同じ形をしている。
戦いからなにから現在のあたし達(ブレンチャーになった未来のあたしは現在のあたしが操縦しているのでノーカウント)に任せきりにするつもりなのか、テックランサーどころかボルテッカの発射孔すら見えない。
『ま、未来から来たあたしらがあーだこうだ言いだすとややこしくなるからねー』
ブレンチャーになった未来のあたしがそれに補足し、お兄さんの返答を待つ。なるほど、次あたしが未来あたしとしてこの時間に来た時もこう言って適当にやっておけばいい訳だ。
腕組みしたシャイニングバーザムに乗ったお兄さんはしばし沈黙してから、これからの予定を大まかに話し始めた。
―――――――――――――――――――
……………………
…………
……
異様に色が薄い光景を見ながら、あたしはブレンチャーの中でごろりと寝そべった。
ブレンチャーの隣には現在お兄さんのS・バーザム、少し後ろにテッカマン形体に変身した未来お兄さん。
宙に浮かぶあたし達に誰一人として気付くこと無く、眼下ではオルファンのグランチャー部隊がプレートの回収作業を行っている。
「いや、こんな真似が本当に出来るもんなんだね」
あたし達は今、次元連結システムの異次元からエネルギーを引っ張ってくる機能とワープ機能の拡大解釈で、少しだけ位相をずらした次元に存在している。
双方ともに触れることはできず相手からはこちらの姿も見えないのに、こちらからは相手が何をしているのか丸分かりというご都合な機能。
ちょっとこれはオリジナルの次元連結システムでも再現できないものだろう。
『これも強化型次元連結システムのちょっとした応用だ』
『はいはいめいおーめいおー』
お気楽な会話をしている現在お兄さんと未来のあたし。
未来お兄さんはバイタルグロウブの循環を弄って結界を作ってからはずっとどこかを見ながらぼうっとしている。
何を考えているのかは分からないが、未来のお兄さんの悩み解決のお手伝いをするのは未来のあたしの役目、今は気にする必要も無い。
暫く眺めていたけど、そろそろグランチャー部隊がプレートの回収を終えそうだ。
『そろそろだな、出るぞ』
『ん』
あたしが短く返事と共に起き上がると同時に、現在お兄さんは位相のずれた空間を元に戻した。
突如上空に現れたあたし達に戸惑うグランチャー部隊の面々。
でも、ジョナサンの指示に忠実に従い、こちらに攻撃するでもなくバイタルグロウブの流れに乗ろうとし、初めて異変に気付く。
バイタルジャンプで一瞬消え、しかし元の場所に現れる。
自分が何か失敗したと思ったのか、グランチャー部隊の内の何体かは繰り返しバイタルジャンプを試みている。
自分たちが一番うまく使えているものを把握しきれず、相手がそれを掌握しているなんて夢にも思わない。想像力の欠如、頭を切り取った蛙みたいだ。
未来のお兄さんが片手間に作ったバイタルグロウブのループにこんなあっさり引っ掛かって、笑える奴ら。
と、笑っていたら黄土色のグランチャーがこちらに近づいてくる。マザコンジョンのおでましだ。せいぜい派手に迎えてやろうじゃないか。
あ、でもこのブレンチャー、ブレンバーもソードエクステンションも無い。どうやって戦えばいいんだ?
『じゃ、あたしには今からちょっとチャクラ光の出し方とかフィンの使い方とかレクチャーするよー。それまではお兄さんに頑張ってもらうってことでー』
「それじゃ遅いって、大体──」
『そぉらそらそらそらそらそらぁぁぁぁぁっ!』
他の呆けていたグランチャーの目の前に転位したS・バーザムが布、いや、ビームで出来たマフラーを振るい、マザコンの引きつれていた五体のグランチャーのボディをズタズタに引き裂いている。
かなり狙いを甘くしたのか、五体全てのグランチャーが無事。
遊んでいる、というよりは、機体に乗ってサイズ差のある敵相手にどれほど流派東方不敗の技が使えるかの実験なんだと思う。
が、それでもサイズ差やパワーの差は大きい。このままでは──
「あたしがジョナサン潰すまでに他のグランチャー全部食われちゃうってば」
いや、プレートの回収が最優先目標なのは覚えてるよ? でもあたしにもそれなりの矜持ってものがある。
せっかくの人型ロボット(正確にはロボットじゃないけど)での初陣なのに、相手がジョン坊やだけなんてショボ過ぎる。
折角フィンなんてかっこいいコンボ武器があるのに敵が一体だけだなんてあんまりだ。
『我儘言わない言わない。さ、取り敢えずは目の前のグランチャーで遊んでみよー。なぁに、このブレンチャーはただ戦うだけでも楽しいからさ。あたしが言うんだから間違いない』
そりゃ経験済みの未来あたしからしてみればそうなんだろうけど、まだ経験してないあたしは納得できないんだって。
あああもう、こうなったら目の前のマザコンで徹底的に遊びつくしてやる!
この逃げられない状況で、圧倒的な力の差を見せつけて、心が折れてもあたしが満足するまで絶対に終わらせてやらない。
あたしを包む未来あたしのブレンチャーの身体越しに、周囲の大気の流れを操る。
暴風を、軽い機体であればまともに立っていることすらできないような風を起こす。黒々とした雨雲が湧き出し、絶え間なく稲光が走る。
海底深くまで潜れるアンチボディだけど、これだけ荒れた天気で小揺るぎもしないってのは有り得ない。目の前のジョナサン・グランチャーは姿勢の制御に必死だ。
ジョン坊、この戦闘のオチは死や撤退じゃあありえないぞ? そう──
「絶望が、お前のゴールだ!」
―――――――――――――――――――
……………………
…………
……
首元から引き抜いて使うタイプのマフラー型ビーム布、バーザムクロスを振るう。
それにしても脆い。軽くかすめただけで肘から先が千切れた個体まで居る始末。いったいどういうことなの……?
暗躍──プレート回収にかこつけてモビルトレース式の機体で流派東方不敗の技のとりあえずのまとめをしようと目論んでいたのだが、これでは奥義を出すまでも無く通常攻撃の一撃でも直撃すれば一発でバラバラだろう。
しかも、それと並行して予備として生きたままのグランチャーを捕獲するなり取り込むなりしなければいけないのだ。
最初はクロス振って牽制、サーベルで切りつけて、って流れを作る予定だったのに、脆過ぎたからサーベルはバックパックに戻してしまった。
「あぁ、もう。なんでもかんでも同時にはこなせないってことだな」
俺にプレートを奪われたグランチャーがこちらに攻撃を仕掛けてきた。逃げることはできないし、プレートを奪われたままではおめおめと帰れないという意地もあるのだろう
俺の動きをトレースするS・バーザムは、そんなソードエクステンションで斬りかかって来たグランチャーを掌で軽く撫でるようにいなす。
目いっぱい、子供を撫でるが如き絶妙な力加減だった。むしろ姉さんの肌を愛でるフェザータッチレベルの優しい撫で方。
しかしそれでもこちらの装甲が堅過ぎたのかパワーがあり過ぎたのか、装甲のような表面組織が大きく削れている。
プレートの回収と予備のグランチャーの捕獲を万全なものとする為には、やはり敵を圧倒できる強い機体でなくてはならない。
しかし、その圧倒的な機体性能が手加減すらも難しいレベルに達しているのだ。
これではロボット戦での流派東方不敗の試しなんてまともに行えない。今回は奥義系の確認は諦めるのが賢明か。
元をただせば格闘家の体捌きというものを手に入れるためだったのだから、基本的な立ち回りだけ確認できれば問題ない。そう決めた。
バーザムクロスを首のビーム発信装置に戻し、プレートが一枚だけ納められたバックパックに両手を伸ばす。
サーベルの柄部分を取り出し構え、二刀流。
こちらのパワーを見て近距離戦を避けたか、五体のグランチャーが遠巻きにしながらチャクラ光をソードエクステンションから放ってきた。
避けない、当たってもダメージは欠片も無い筈だが、被弾を分かりやすくする為にダメージフィードバックは過剰に効かせている。
斬り払いでどれだけ撃ち落とせるかのチェックなので撃ち漏らした個所を身体で覚えて反省しなければ意味がない。
手に握った柄にエネルギーを送り込む。薄暗く暗くぼんやりした刀身が二本のサーベルの柄からそれぞれ伸びる。
二刀を構え、身を捻り、勢いよく振り抜き身を回し、ゴッドスラッシュタイフーン。
正直これが流派東方不敗の技なのかと言われると少し疑問が残るが、マスターガンダムの動作ログにも残っていたし、ドモンも組手で使ってきたことがあるので手の内の一つではあるのだろう。
そもそもマスターガンダムにもクーロンガンダムにもサーベルは搭載されていないから、マスタークロスか何かでやるのが正しいのかもしれない。
結構回転系の技多いんだよなぁ、ドモンと超級覇王電影弾の撃ちあいになっても最終的にはあの竜巻もどきが発生するし。
剣閃の結界とでもいうものに阻まれ殆どのチャクラ光が叩き落とされ、というか、あらぬ方向に向かって飛んで行く。
チャクラ光は狙ったモノでなくとも何かに接触すれば爆発する。しかし、それでは何故俺はそれを切り払うどころか打ち返せたのか。種は当然武器にある。
そもこのサーベル、熱で切っている訳でもなければ物理的に当たり判定があるものでは無い。
ディストーションフィールドの技術を応用して生み出した空間歪曲刀。
空間を歪ませて触れた飛び道具の進行方向を捻じ曲げ、敵に斬りつければ相手の装甲を空間ごと歪ませて体内深くに潜り込む防御力無視の剣。
バリアとして展開できるから刀にしてまで防御に使う必要は無いのだがまぁそこはそれ、無手でもプレートの回収だけなら余裕だし、武装はお遊びのようなものなので実用性なぞ求めては面白くないのだ。
運悪く跳ね返ってきたチャクラ光に当たり、グランチャーが一機体勢を崩し落ちる。
墜落してくるグランチャーの下に駆け寄り、一閃。
まだ落下中、追加でもう一撃、更に追撃、まだいける。ダメ押しとばかりに追撃追撃追撃追撃追撃追撃追撃追撃追撃。
「むむむ」
おかしい、まだ地面に着かない。
目の前には何分割か分からない程細切れに裁断され、強化パーツのオーガニックビットとしてそのまま使えそうなグランチャーの破片が無数に中に浮かんで、いや、よく見るとジワリジワリと地面に向けて落下している。
ふむ、いつの間にか俺の時間だけ加速していたか。
落下しきるまでに何回切りつけることができるか記録に挑戦とか考えたせいで、無意識の内にクロックアップしてしまったらしい。
まったく、無意識レベルで勝手に加速するのは良し悪しだな。これじゃ流派東方不敗の機体上の動作確認ができないじゃないか。
「クロックオーバー」
タキオン粒子を意識的に操り、俺の加速した時間を標準にまで減速させる。
無数のオーガニックビットと化したグランチャーが地面に落ち、無傷のプレートが一際大きな音を立てて落下、地面に衝突して跳ねた所をすかさずキャッチ。
二枚目のプレートをバックパックに収めながら残りのグランチャーのリアクションを確認、どいつもこいつもうろたえているのが一目でわかる。
チャクラ光を跳ね返され、一機がすれ違い様に訳も分からぬ速度でバラバラにされてしまったのだ、当然のリアクションだろう。
で、被弾箇所は肩に、頭部の角の先端。回転で防ぎ辛い箇所だな。今後の参考になるかどうかは分からないがとりあえず覚えておこう。
天気が荒れている。いや、何時の間にか美鳥が天候を操作したか。爽やかな晴れの日って光景でもないから相応しいと言えば相応しいな。
サーベルをバックパックに戻す。増援とも戦う事になるが、とりあえずはこいつらで確認できる処は確認してしまおう。
最初にプレートを俺に奪われたグランチャーに接近する。ブースター、重力制御などは使用しない純粋な肉体操作による高速移動。
こちらの接近に気付いた。最初にプレートをあっさり奪われた割には、いや奪われたからこそ警戒を深めていたか。ソードエクステンションを構え、こちらの動きに対応しようとしている。
こうして20メートル級の機体で10メートル級の機体を相手にして初めて実感が沸くが、小さな相手は狙い辛い。
というか、同じサイズの敵と戦う事を考えている格闘技では中々対処に困る。
結局こういう相手だといつもと同じ、とりあえず接近して斬りつけるとか、遠距離から狙い打つとかそんなシンプルな戦い方に行きついてしまいそうだ。
宙に浮かぶグランチャーに、何時もドモンや他のシャッフル同盟の連中とやり合う時と同じような感覚で軽く拳を振るう。
チャクラシールドを突き破りグランチャーのどてっぱらに、いや、ソードエクステンションをとっさに盾にしたか。ダメージフィードバックで棒切れの圧し折れるような感触が拳に返ってきた。
拳に打たれる瞬間、ソードエクステンションを盾にすると同時に後ろに飛んだのだろう。だが甘い。後ろ向きに吹き飛ぶグランチャーを追いかけ、追い越す。
振り向き様に肘を叩きこむ。頸椎の辺りを狙おうと思って放ったが、そのまま頭部、アンチボディのオーガニックエンジンを粉砕してしまった。頭部の大きさの目測を誤ったか。
誤りついでにもう一撃、グランチャーの股間に蹴りを入れ、残った胴体を真っ二つに。
敵戦闘員側の目撃者は少なければ少ないほどいい。これで残り三枚と三体。
殴る蹴る歩く走る跳ぶといった簡単なところは確認できた。東方不敗式モビルトレースシステムの調子も上々だ。
欲を言えば同じサイズの機体や自分よりも大きな機体相手にも戦ってみたかったが、それは後々で充分だろう。
あっという間に味方を二体潰されて呆然としている残り三体に挑発的に手まねき。
この三体の中で最後に生き残ったモノか、あるいはこっちに近づいてきているグランチャー部隊の増援の中から予備の生贄を捕まえて終了かな。
残りは美鳥のストレス解消のサンドバッグにでもなればいいや。
―――――――――――――――――――
……………………
…………
……
「ふむ」
こうして改めて違う視点から見ると、自分の動きがどういうものか分かりやすくて中々勉強になる。
過去に戻ってやり直し、しかも同じ場面をもう二回見てるから結界張ったら適当に流せばいいやと思っていたが、中々実りのあるやり直しになるものだな。
反省すべき点も少なからずあるが、それを差し引いても格闘系の動作はかなりのものと言っていいだろう。
うん、文字通りの自画自賛。しかしまぁ今の、じゃない、あの時点の俺でもグランチャー十ダース位なら軽く一ターンで全滅させることもできるだろうし、これぐらいの評価はしてもいいと思う。
W美鳥のブレンチャーも中々いい感じだ。なんというか、乗ってるのも乗られているのも美鳥だからか機体と乗り手の間に一切の齟齬が無い。
中の美鳥は文字通り自分の身体で直接戦っているような感覚を味わっているだろう。
そんな絶好調の美鳥に思う存分遊ばれて、ジョナサン・グランチャーは満身創痍というか、スクラップ同然のダルマ状態で何度も何度も宙を撥ね飛ばされ続けている。
あの状態でもジョナサン・グランチャーがまだ生きているのは、ブレンチャーに変身している方の美鳥が、アンチボディがどれくらいで壊れるかをという知識を有し的確に手加減しているからだろう。
あっちは何だかんだで楽しそうでいい感じだ。それに比べると、俺の相手は――
『くっ! この、このぉ! ちょこまかと避けるな!』
「はぁ……」
新兵か雑兵みたいな、癇癪を起した子供みたいな声を上げながら空振りを繰り返す赤いグランチャーとその取り巻きの白いグランチャーども。
面倒臭いだけというか、実質ただの作業になりかけているというか。
アンチボディを取り込んだせいでアンチボディ同士の回線のようなものが開いているのか、さっきからクインシー・イッサーの叫び声が耳に響く。
まぁそれでも何のBGMも無い状態でただ見学しているのも暇だし、一方的に遮断するつもりは今のところ無い。
結構いい声だし、本人もカルト宗教にハマっているような感じではあるが可愛い女の子だしな。せめて音量をどうにかして欲しくはあるが、濁声で叫ばれるよりはよほど耳に優しい。
しかし、相手方、しかも女性に一方的に喋らせる、というのも紳士的でない、かな?
「ひとつ、アドバイスというかなんというか」
通信のようなもので繋がっているとはいえ、これで相手の方にこちらの声が届いているかは分からないんだよなぁ。
『な、なんだこれは……、何者だ! どこから話している!』
おお、繋がった繋がった。繋がり過ぎて脳直で声が届いてる風だけど、意志の疎通に問題は無いので気にしない。
「さっきからずうっと空振りばっかりな理由を教えておこうかなと。攻撃は続けてもらって構わないので」
『やめ、やめろぉっ! あたしの中に入ってくるなぁ!』
なにやら錯乱しているご様子。でもま、最初からまともな精神状態とは言い難かったし、いいか。
「実のところ、俺はさっきから回避行動を一切取っていないんです。何故だかわかりますか? 分かりませんよね? ああいいんですよ、分からないのは仕方がない。無知は決して罪ではないのですから恥じることはありません」
我ながらよく滑る口だなぁ。クインシーも取り巻きも脳直で聞こえてくる俺の解説に混乱しているようなので続けさせて貰う。
調子にのって上から目線で話し始めると何故か丁寧語になってしまうのも気にしない。どうせこういうシチュエーションはそんなに無いだろうしな。
「オーガニック・エナジー、という名前でしたっけ。アンチボディを動かしたり、生き物の大半に備わっているものという触れ込みのエネルギー。俺はその流れを見て、その流れの中で一番穏やかな場所に漂っているような感じだと考えて下さい」
こちらの解説を聞いているのか聞いていないのか、がむしゃらにソードエクステンションを振り回し斬りかかってきたり、十数体に及ぶグランチャーで取り囲みチャクラ光を一斉に放ってきている。
が、その尽くが俺をすり抜けるように逸れて、いや、最初から俺を狙っていないのではないかと思えるほど見事に外れて行く。
俺はさっきクインシーに一方的に説明した通り、回避する為の動きもしていなければ、特殊な防御装置を使ってもいない。
ただオーガニック・エナジーの流れを見極めているだけに過ぎないのだ。
「激流に逆らえば飲み込まれる。むしろ激流に身を任せ同化する。激流を制するは清水、激流では勝てないってことなんですが、ご理解いただけます?」
つまり俺は、もうお前の死兆星見えてるから、といった旨を彼女に伝えたいのだ。
因みに北斗七星脇の死兆星は実際にアルコルという名前で存在しているが、これはただ単に目が良ければ見えてしまうものなので見えたからと言って怯える必要はない。
『う、あ、あああああああああ、やだ、やだぁ! たす、助けて、ゆうぅぅ!』
大分錯乱してる、いや、錯乱というかこれ本当に大丈夫なんだろうか。
さっきから美鳥のばら撒いてるチャクラ光も何度か当たっているし、そのまま墜ちてくれれば簡単なんだが。
とりあえず生きてさえいればオルファン説得イベントもどうにかなる、しかしこの後で伊佐美勇が何らかのフォローを入れたらいい感じに姉弟仲が回復すると思うのだがどうだろう。
と、そんな事を考えながらぷかぷか浮かんでいると、過去俺から念話が繋がってきた。
『プレート回収完了。そろそろ適当に決めてくれ』
適当に、か。なんとも敵をなめ切ったセリフだが、俺も全く同じセリフを吐いたのでどうこう言えた義理は無いか。
『あたし、お兄さんのちょっといいとこみてみたいなー』
美鳥(たぶん俺が連れてきた方)からリクエストが入った。
いいところが見てみたい、などと言われたら派手なのを決めざるを得ないな。
敵の並びは――、ここからだと見栄えが微妙か。少し陸側に移動しよう。いつの間にか現れていたギャラリーとグランチャー部隊の間辺りに転位する。
身体の構成は適当だからボルテッカの射出孔すら無い。が、そこら辺はいくらでも外付けで対応できる。
例えばダガーはボルテッカが撃てない代わりにコスモボウガンを持っていたが、あれの弾丸は体内に蓄積されたフェルミオン粒子。
ブレードを追う為に戦闘用テッカマンへのフォーマット途中で排出されたから不完全なのだと言われているが、ラダムを取り込んだ俺はダガーがきっちりと完成した場合どのようなものになるか知っている。
テッカマンデッド。黒歴史との呼び声高いテッカマンブレードⅡのラスボス格であるこいつも、コスモボウガンに酷似した武装を使いボルテッカを放っている。
ダガーの完成系とはつまりこれ。コスモボウガンはボルテッカ発射孔の出来損ないなのだ。
少なくともこのスパロボJの世界ではそうらしい。ラダムの知識ではそうなっている。
戦闘用フォーマットの設計図を思い描き、体内のフェルミオン粒子を外付けの武器に送り込むラインを形成。
今さらただのボルテッカというのも芸が無いし、一回前の俺に習って一捻り。
グランチャー部隊の適当な一体に拳を向け、ボルテッカの外付け発射装置を生成、組成はコスモボウガンを更にコンパクトに、クリスタルボックスを少し調節したモノを加える。
刃も何も無い、グリップと銃口換わりのクリスタルのパーツのみ。
玩具のような、という形容を使うには些かデザインがシンプル過ぎるテックランサーもどき。
クリスタルフィールドの遠隔操作はぶっつけ本番だが、まぉやってやれない事も無いなだろう。
テックランサーもどきにフェルミオン粒子を送り込み、なんとなく直感でクリスタルフィールドをそれに乗せるイメージを頭に思い描く。
狙いを澄まし、人差し指を引き金を引くように曲げ、
「ばん」
ボルテッカ。いやリアクターボルテッカがグランチャーを一体だけ飲み込むと、反物質粒子フェルミオンがグランチャーの肉体を形成する物質と反応して爆発する。
この爆発のエネルギーをクリスタルフィールドで包んで、フェルミオン粒子を再生成、それに指向性を持たせて再ボルテッカ、と。
一連鎖、二連鎖、三連鎖、以下たくさんー。
集中力も精神力も糞も無いな。機械的に誘導して機械的に収束しているから文字通り手足を動かすが如しってやつだ。
むむ、単調な作業過ぎて余計なこと思いついたぞ。
今ボルテッカに追いかけられてるグランチャーの思考を拾ったらすっごい恐怖リアクションが拾えるんじゃなかろうか。
いかん、いかんなぁ。せめてこういうのは録音機で、いや、脳直だから録音機には残せないか。
もったいない、携帯の着信音に登録したら絶対聞き逃さない絶叫系最高の物になりそうなのに。
まぁいいや、今はさっき聞いた錯乱クインシーの絶叫で我慢しておこう。あれは中々に満足のいく出来の叫び声だった。
いやいやいや我慢とか満足とかそんな、それじゃまるで変態じゃないか。
俺は確かに実姉実妹とリアル近親相姦プレイ済みでなにより実姉を心の底から愛しているし、マンネリ回避という名目で触手プレイに興じることもあるし、姉さんや美鳥からエロゲ世界のエロ魔法を幾つか教えて貰っても居る。
しかし決して、断じて直接顔を合わせた事も無い他人、むしろ他姉に欲情するような変態では――
あ、完璧に思考逸らしたせいで連鎖が切れた。惜しいな、クインシーのグランチャーまで繋げることができれば20連鎖突破したのに。
『助かった、いや、見逃がされた、のか……?』
いえ、ただの連鎖ミスです。
まぁいいや、確か後ろでボウライダーに乗ってるこの時間の俺もクインシーだけ助かる光景を見ていたし、これが歴史の修正力的な何かなんだろう。
気にせずに撤退準備、ブレンチャーの肩の上に移動し、クインシー・グランチャーにジョナサン・グランチャーの残骸が投げつけられる光景を眺める。
『うわぁぁああっ!!』
今見直すとあれ、クインシーはともかく意識を失ってそうなジョナサンは墜落の衝撃で死にそうだな。まぁ生命力にかけては群を抜いてそうだから気にするだけ無駄か。
しかし、あれだな、『姉キャラが死ぬのは多少嫌な気分になるだろうし、グランチャーがバロンズゥに再リバイバルする瞬間を見てみたいというのもある筈だ(キリッ』ってお前っていうか俺、明らかにただの凡ミスですよ?
思い出すのも恥ずかしい、ああもう本当に恥ずかしい。
なにあの推理、何一人で勝手に良い空気吸ってるわけ? 別にクインシー殺してもプレーンなグランチャーをDG細胞でバロンズゥに強制的に進化させるくらい可能ですよー! ばーかばーか! 猫のうんこ踏め!
数日前にお手製TUEEE用巨大ロボでノリノリ決めポーズの次は衝撃の新事実発覚でこんな恥ずかしい気分になるとは。
もういいや、双子のプレートはヒメちゃんが回収したみたいだし、ささっと元の時間に帰って寝よう。それがきっと一番だ。
―――――――――――――――――――
……………………
…………
……
そんなこんなでまた人気のない山の中。俺達の前には回収した四枚のプレート(一枚は双子が生まれる直前だったのでヒメちゃんに渡した)と、股間のコックピットを潰され、それ以外の部位も半ば以上DG細胞に侵されたごくごくプレーンなグランチャー。
グランチャーは先に動きのいいのを見つけコックピットを潰し、ラースエイレムで時間を止めてこの山の中に転位させておいたモノ。
DG細胞も数分前に投与したばかりだが、もう間もなく完全にDG細胞の虜となる頃合いだろう。
テッカマンもどきに変身していた未来の俺は、この山に戻ると同時に未来の美鳥と共にそそくさと元居た時間に戻っていった。
ここからの作業工程に未来を知っている自分たちが居るといろいろややこしくなる、ドラえもんの漫画家先生の話みたいな事態になるのは極力避けるのが賢明だろうとの事だ。
まぁ、実際問題どうして急いで帰って行ったかなんて、俺がもう一度この日付にジャンプしてテッカマンもどき役をやる時に分かるから気にしなくてもいいだろう。
「このグランチャーは俺が取り込むとして、問題はこっちだな」
四枚のプレートを前に、切り株に座り込む。港町からこの山に転位して十数分経過したが目の前のプレートは未だリバイバルの兆しすら見せない。
「エッガの増援タイミングから考えたら、もうとっくにリバイバルしててもおかしくは無いんだけどね」
スパロボJの作中では、プレートの回収から数分と経たずにリバイバル、エッガをパートナーに選んで即座に戦場にやってこれる程だった筈。
プレートの段階で取り込んで、うっかり孵化しかけの鶏の卵を茹でた料理みたいになったら目も当てられない。貴重なプレートをグロ画像の材料にするつもりは毛頭無いのだ。
プレートはリバイバルせずに硬化して石のような物になることもあるが、このプレートからは僅かに生命の鼓動のようなものを感じる。
具体的にはグランチャーやブレンパワードと同じくオーガニック・エナジーの反応があるのだ。まだ孵化しないと決まった訳では無いだろう。
やはり、何かしらの刺激を与えなければどうにもならないのか?
「こういう時、ゲッター線とかそれ系のエネルギーが使えれば便利なんだが……」
ゲッター線の意思に取り込まれる危険を考えるとメリットばかりとも言えないが、とりあえず未知の刺激と言えばゲッター線。
無限力のようなものは次元連結システムでどうとでもなるが、よその世界からピンポイントで制御が可能なレベルのゲッター線を拾える確率はかなり低い。
「無い物ねだりしても仕方ないって。取り敢えずは今あるネタでどうにか、ね?」
切り株に座る俺の太ももに頭を乗せ、ぐでっとプレートを眺めていた美鳥が起きあがり、次元連結システムでどこかの世界に干渉しながら言う。
この世界で手に入れたエネルギーを使うのは芸が無いので、次元連結システムで他所の世界からゲッター線を避けて適当なエネルギーを引き出すのだろう。
今あるネタって言っても、この世界じゃ精々超電磁エネルギーとかオルゴンとかそんな程度のものしか無いしな。
ノヴィス・ノアから取り込んだ人工オーガニックエンジンを使うとか、グランチャーが完全にDG細胞に侵されるのを待ってから手を出すとか、そんな空気の読めないことは俺も美鳥も言わない。
「じゃ、とりあえずビムラーと負の無限力から試し──あ」
美鳥がその手に二種類の怪しげなエネルギーを呼び出した瞬間、四枚のプレートが一斉に光を放ちながらリバイバルを始めた。
身の危険を察知してのリバイバルか。これならプレートにDG細胞を近づけるとかでもよかったのかもしれない。
さて、双子ほど時間がかからないにしてもこのままぼうっとリバイバルの光景を眺めているというのも間抜けな話だろう。
「美鳥、そろそろDG細胞の侵食が終わる頃だろうし、こっちは任せていいな?」
異次元(たぶん他のスパロボ世界)から取り出したエネルギーを納得いかなそうな顔で元の次元に戻している美鳥に声をかける。
そろそろ世にも珍しいDGグランチャーが出来上がる。俺はこれを取り込んで、更に最適化の為に少しの間休眠状態に入る。
リバイバル直後の生まれたてのアンチボディが逃げ出さないように見張りを付ける必要があるのだ。寝ている間に逃げられました、じゃあ話にならない。
「あ、うん。……あのさ、このプレートからリバイバルしたアンチボディ、あたしが取り込んでいいかな。もちろん逃げられないように縛り付けてからDG細胞で機械化するし、後でお兄さんに譲渡するから」
なんとなく提案してみた風を装ってはいるが、リバイバルの光を眺める美鳥の表情は何時になく真剣だ。
前々から積極的にノヴィス・ノア所属のブレンパワードにちょっかいを出したりしていたようだし、何か思うところがあるのかもしれない。
どうせこれから一足先にDGグランチャーを取り込んでオーガニック的な要素は手に入る訳だし、見張りを任せるのだからそれぐらいの事は許しても構わないだろう。
「ふむ、容量は?」
「十分足りてると思う」
思う、か。こういう、生き物か生き物で無いかが微妙なモノを取り込むのは今回が初めてだから予測がつき難いのだろう。
まぁいざとなればその場で俺が美鳥から取り込んだアンチボディの要素を吸いだせば解決する。
「分かった。なんか問題起きたら言えよ」
「ん、わかった……」
真剣な表情でリバイバルの光を見つめ続ける美鳥に後を任せ、俺は九割九分DG細胞に侵されたグランチャーに触手を伸ばした。
―――――――――――――――――――
DGグランチャーを取り込み最適化の為に眠り始めたお兄さんを膝枕しながら、リバイバルの光に目を向ける。
ふしぎなひかり。これが生き物の、命の輝きってやつなのかな。
最近のあたしはアンチボディ、というか、ブレンパワード関係の連中が言うオーガニック的なものに惹きつけられ過ぎている。
自然界の法則を捻じ曲げて生まれてきたあたしに足りないもの、それをこいつらは補ってくれるのかもしれない。
そんなあたしの思念に反応したのか、プレートが一際眩い光を放ち、遂にリバイバルを終えてアンチボディが姿を現した。
数は四体、グランチャーが二体とブレンパワードが二体で綺麗にバランスが取れている。
しかしどうも普通のアンチボディでは無いようで、どのアンチボディも体色は暗く、しかし目や所々の隙間に光る部分は異常に強い光を発している。形状もバロンズゥやネリーブレンのような雰囲気。
バロンズゥもどきは肩のフィンがゆらゆらと何かを求めるようにあちこちを探る動きを止めず落着きがない。
目や身体のあちこちの光は不安定に明滅を繰り返して、何か不安を訴えているような思念を送ってくる。
ネリーブレンもどきは、頭部の長さ以外は特に何の違いも無い。動きも殆ど無く、隙間に見える光も一定に保たれている。
精神面で自己主張が薄いというか、自己主張が薄いんだよ、という主張を精一杯前面に押し出してきているような。
運がいいのかどうなのか突然変異かもしれない。そばに居たのがまともな生き物で無かったのも原因の一つかも。
いや、それよりなにより、どのアンチボディもあたしやお兄さんを受け入れようとしているのがわかる。これがヒメのやっていた意思疎通なのかな?
これは都合がいい。逃げないならお兄さんを膝枕したままこいつらを取り込むことができる。
「それっ」
手をアンチボディの方に伸ばし、細い触手を撃ち込んだ。先ずはお兄さんに言っておいた通りDG細胞で浸食しよう。
細い触手はアンチボディのビットとビットの間にものすごい勢いで潜り込み、幾度となく体内で分岐して全身に行き渡る。
これで万が一こいつらが心変わりしてももう逃げることは出来ない。じわじわとDG細胞がアンチボディの肉体を侵蝕していく。
でも、これでオーガニック的な何かが、あたしに足りない何かが手に入るんだろうか。
これで出来上がるのはあくまでもオーガニック・エナジーを操る機械のようなものであってアンチボディそのものでは無い気がする。
せめて一体、いや、四体居るんだから二体はそのまま取り込んでも構わないんじゃなかろうか。
侵蝕が遅い方から二体の侵蝕を中断し、そのまま全身に行き渡らせた触手から融合を開始する。
ほとんどありのままのアンチボディ、しかもあたしの影響を受けてリバイバルした変種、何が起こるか分からないけど、やってみる価値はある。
体の中を貫く針や糸のように細い触手からじわじわと自己を侵され取り込まれながら、目の前のアンチボディ達は身じろぎ一つしない。
いや、どこか喜んでいる節すらある気がする。こいつら、なん――っ!
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……
息苦しい、息をしていたなら間違いなくそう感じるだろう感触と共に、俺は最適化の為の眠りから目を覚ました。
口が塞がれている。それだけじゃなく、着ている服がじっとりと湿っており、身体の上に丁度人一人分程の何かが圧し掛かっている。
周囲に何らかの自動反撃を試みた後が見られないということは、少なくとも敵性体ではないということだけは確かだろう。
が、俺の口にヌメヌメざらざらした舌のようなものを入れ唾液を吸い上げている何かは一体なんだろうか。アンチボディを取り込んだお陰で野生の獣に懐かれるようにでもなったか。
「はぷ、ん、じゅ、ずず、じゅるぅ、……んっく。ぁは、おにいさんの、美味しぃ……」
……いや分かってる。みなまで言うな。
何が起きているかなんてわざわざ改めて確認するまでも無く、オーガニック的な何かを感じ取る新機能とかそういったモノを使うまでもなく身体で理解している。認めよう。
ただ、なんでそうなったのかとか、どうしてそうしたかという動機が分からない。
状況を整理する為に順を追って思い出そう。俺はリバイバルの始まったプレートを美鳥に任せ、DGグランチャーを取り込んで一足先にオーガニック的なチャクラの流れとか、そういったモノを感じ取れるようになろうと最適化に入った。
ここまでは間違いなく覚えてる。では次、俺が最適化の為に眠りに付いた後。
推測だが、眠りに落ちた俺を美鳥はそのままにせず、どこかに布を敷いて寝かせるか、さもなければ膝枕するとか、そういった行動をとる確率が高い。
これはいつも通り、スキンシップをかなり好む美鳥なら何か敷物になるものを複製するよりも膝枕の方をとる確率が高いのも言わずもがな。
そして最適化を終了し目が覚めた今の状況、美鳥と俺の野生が激突している。
より詳しい描写を行うならば、着衣の乱れた美鳥が俺に覆いかぶさり、こちらのズボンから断空剣を取り出し、そそり立つそれに跨り腰をガクガクと激しくアグレッシブビーストしている。
どうやら目が覚める前に一度ガンドール砲が発射されたらしく、かなり大きな水音が響いている。
諸事情により具体的な名詞は伏せさせて貰ったが大体はこんなものだ。これ以上の具体的な描写は命にかかわる。
「うあ、おに、さ、お、はよぉ」
俺の起床に気付くと顔中の筋肉を弛緩させただらしない笑顔を向けてきた。が、身体というか腰の動きは止まらない。
いや冷静に考えている場合ではない、とりあえず話を聞かなければ。
筋トレになりそうなほどの速度で上下に動いている美鳥の腰を掴み、力尽くで動きを止めさせた。
が、それでどこか壺にハマったのか、背を仰け反らせ白い喉を震わせる。
「あ、ひ、や、やだ、止めちゃ、そんなぐりぃって押しつけたら、なか、潰れちゃうってぇぇぇ♪」
歌うように嬌声を上げ、汗で濡らした身体を俺の身体にぐったりと倒し預ける美鳥。流石にこれで話が聞けるだろう。
そう考えたのも束の間、倒れた状態から顔を近づけ舌で俺の口を舐め回してきた。
かなりエロい、普段ならこの勢いで襲ってしまっても構わないと思えるほどだ。
しかし、臭い。致命的なまでに大蒜臭い。残念なほど大蒜臭い。萎えるほどでは無いが興奮するよりも先に大蒜臭さへの不快感が先立つ。
「おい美鳥、一旦落ち着け。いい加減にしないと怒るぞ」
話が進まないのでドスを聞かせた声で脅しつける。
美鳥の腰を押さえつけていた手を片方放し、バチバチと音を立て、暗い森を昼間の砂漠の様に照らす眩い電撃を掌に生み出す。人間なら一撃で全身余さず炭化しかねない程のエネルギー量。
美鳥が一瞬ビクッ、と身を竦ませて動きを止めた。怖がっているような表情で電撃と俺の顔を交互に見つめ、何故か頬を赤く染める。
「おにいさん、ちょうだい、おしおき。あたし、わるいこだから、わるいこになっちゃったから、いっぱいおしおき、ちょうだぁい……!」
言いながら表情を再びとろけさせ、片手が離れ固定が甘くなった腰を無理矢理グラインドさせ始める。
これは、本気で頭がイカレたか? いや、四体もアンチボディを同時に取り込んだんだ、一時的に混乱しているだけかもしれない。
どうにかこうにか組み伏せて、アンチボディの機体、いや、生体情報を俺の中に移せば元に戻る可能性はある。ここは一つ、立ち位置逆転を狙おう。できればそう、口の臭いを嗅がないで済むような感じの姿勢に。
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意識が朦朧としている。お姉さんの因子に引き摺られて寝坊した時と似たような感覚だけど、身体の方はあたしの制御下から離れ、いつも以上に機敏に動いている。
求めている、父性を、雄を。生き物が生まれながらにして当然持っている本能。その本能に赴くままに同種の異性を求めている。
あたしは生き物でないだけあって元はそういった生臭い感情は薄い筈だったんだけど、取り込んだアンチボディのせいでそういったモノを担当する部分が割り振られてしまったらしい。
そう、朦朧としているのは寝起きが悪くなる因子のせいだけじゃない。
恐らく今身体を操っているのは、あたしのそういった本能の部分。今のあたしはそういったモノから殆ど切り離された状態の理性担当みたいなもの。
切り離された精神の分、思考に力強さが付いてこない。
ん? じゃああたしって本能切り離されたらまともな思考速度も保てない程理性が弱いってこと? ああやめやめ、これは考えるとどつぼにハマりそうだ。
「母を求める子供、みたいな感情を持っているんだっけ?」
グランチャーもブレンパワードも、オルファンやその対となる存在から生み出された子供のようなもの。
だから、母性だの父性だのを強く求める感情があるんだろう。グランチャーのオルファンへの依存もその表れだと聞いている。
多分母親も父親も居ないあたしは、その感情の矛先として無意識の内にお兄さんを選んでいたんだと思う。お姉さんだと相手にされなさそうだしね。
グランチャーの持つオルファンへの依存レベルがお兄さんへの依存、というか、あたしがお兄さんに元から抱いていた感情、つまりその、好意というか、横恋慕というか、そういう感情を増幅させてしまった。
だから、今あたしの身体がお兄さんの上でガクガク腰ふってるのも仕方がないことだと納得して貰えるはず。
本能担当のあたしと完全に切り離された訳じゃないから、身体が得ている感覚を感じることもできるんだけど、今つないだら間違いなく酷い事になる。
お兄さんが相手してくれてる体の方はいいとしても、相手の居ない精神世界的な場所で一人でよがり狂うのはなんとも情けないしね。
取り込んだものから引き継いだ感情やら本能の暴走は、あたしの身体がお兄さんの身体みたいに取り込んだモノを上手く自力で最適化できないからこそ起きた現象だし、どうにかこうにかお兄さんがあたしからアンチボディの要素を吸い上げることができれば終わる。
身体の状況はここからでも分かる、今まさにお兄さんがあたしを組み伏せて、唾液交換という言い訳でデータ回収用のナノマシンを口から送り込み、取り込んで強調され過ぎたアンチボディのデータを集めている。
でも、それが何時頃回収されるかは少し分からなくなっちゃった。
あたしの痴態で興奮してくれたのか、組み伏せたあたしにお兄さんからあれこれし始めた。
頭を地面に押し付けられたままガスガスと後ろから小突かれて、内臓が圧迫されているのが分かる。なかがお兄さんの形に矯正されているのがわかる。
あー、これ、どうせならあたしも表に出てる時にして欲しかったかも。すっごい気持ちよさそうだし、力尽くで征服されてる感じが堪らない、甘えたい。
いやでも、本当はもうチョイ抱きしめて貰いながらとかそういう体位の方が好きかな、キスしながらとかそういうのがベスト。そのうち手柄を立てたらおねだりしてみよう。
それはさておき、あたしの身体の中に入り込んだナノマシンがデータを回収し終えて、お兄さんが満足行くまであたしに溜まっていたものを吐き出し、それからナノマシンを口移しで取り込んで、と考えれば、もしかすれば丸一日こんな状態が続くかも。
仕方ない、お兄さんが興奮してあたしに何をしたかとか何を口走ったかとか覚えておいて、あとでからかう材料にしてしまおう。
最初にこっちが何を仕出かしたかで反撃されそうだけど、そこは自爆覚悟でいくということで。
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×月○日(またかよ)
『まただよ(笑)とか言われそうだけど、まあつまりあれだ。またやらかしてしまった』
『美鳥がアンチボディの特性というかあり方に強い興味を示していると分かっていながら全部任せて放置した俺も迂闊と言えば迂闊だった』
『せめてDGグランチャーを取り込むのは少し待って、美鳥が安全にアンチボディを取り込むのを確認、何らかの不具合が発生したら即座に対応できるようにしておけば、あんな事にはならなかったろうに』
『いや、そもそも俺が自ら全部のアンチボディを取り込んでおけば何の問題も無かった筈なのだ。これははっきりと俺のミスだろう』
『子供を作る為の機能は無いのでそういった心配は無いのだが、嬉しそうな表情で穏やかに下腹部を撫でる美鳥の姿はかなり心臓に悪い』
『アークエンジェルに戻ってからはいつも通りに振舞おうとしているが、それでも所々で美鳥からのスキンシップが前よりも過剰になっているような気がする』
『ナデシコと合流してからは更にそれが顕著というか、特にメメメの前では露骨にくっついて離れない。オーガニック的な物に触れて独占欲のような感情が生まれたのだろうが、実家に帰る頃までには直さないと姉さんに粛清される可能性が高いのでどうにか頑張って自粛させようと思う』
『不幸中の幸いと言っていいものか、DGグランチャーとDGブレンパワードの複製を作り出すことには成功したし、オーガニック的な何かについても直感的に扱えるようにはなっている』
『近くに居た美鳥や俺の影響で普通のグランチャーやブレンパワード寄りは違う方向に進化したものが出てきたらしいが、DG細胞の自己進化作用でかなり元の形からかけ離れてしまっているのでどういった違いが現れたかは分からない』
『性格面でもかなり両極端な個性を持っていた風であったらしいが、今ではただの操り人形。性能面でも普通のアンチボディと比べれば破格になっているのだから何の文句も無い。外見の問題も複製を作り出す時の細かい調整でどうとでもなる』
『これでどうにかこうにかアンチボディ関連の技術収集は終了。合流したナデシコから相転移砲も取り込み完了。あとは是非とも欲しいのは超電磁ボール生成機能とベルゼルートの後継機だけ』
『今オーブのモルゲンレーテに乗り込んでも後継機は完成していないし、乗り替えイベントまではこのチームに同道させて貰うのが妥当だな』
『そうそう、テロリストとシスコンの話はあっという間に終了した。姉ではない偽姉に利用されている哀れなやつだったのでコックピット直撃の最大火力で一瞬にして葬り去ってあげた。せめて痛みを知らず安らかに死ぬがいい……』
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…………
……
DOGEZAの姿勢で地面に拳を叩きつけているテニアと、それを見下しクールに鼻で嗤う美鳥。
「やめてよね、あたしが本気になったら、テニアが敵う訳無いないじゃないか」
「ちくしょう、ちくしょう……!」
確かに本気になったら人間とは比べ物にならない思考速度と神経伝達速度を誇る美鳥に、人間が格闘ゲームで敵う訳がない。
しかし、わざわざ食堂でそのやり取りはアウトではあるまいか。
珍しくナデシコの食堂に食事を取りに来ていたキラが胃を抑え苦しげにうつむき、そのキラと腕を組んでいたフレイが気不味そうに明後日の方向を向いている。
この場にサイが居なかったのが不幸中の幸いというものだろう。
「そんな訳で、プリンちゃんは頂いていく。あむ……うめぇ、甘くてうめぇ。人から奪った甘味はうめぇなぁ!ゲハハハハ!」
「この泥棒猫! 人のモノを奪おうだなんて恥ずかしくないの!?」
「プリンちゃんがあたしに食べられたかったんだろぉ? ひひひ、うまうま」
ああ、視界の隅でキラがついにがっくりと膝をついた。フレイも此方にちらちらと疎ましげな視線を向けながらも止める理由が見当たらないのかそそくさと退散していく。
これ、美鳥は間違いなく狙ってやってるんだろうけど、テニアは素でこんな感じのリアクションをとってるんだよなぁ。
これが天性の才能というものか。個性薄いなとか思っていたらこんな輝く才能を持っていたとは、侮れんやつよ。
「あの、どうかしましたか」
テニアと美鳥のやり取りをいつものこととスルーしていた統夜がこちらに話しかけてきた。
「いや、平和だなって思ってなぁ。まだ戦争の真っ最中、しかもここは一番厄介な連中の相手ばかり押し付けられているような部隊だってのに」
「それもそうですね、でも、張りつめっぱなしでいるよりはましですよ」
俺の言葉に苦笑しながら返す統夜。こいつも最初の頃に比べればかなり余裕が出てきた感じだ。
それこそナデシコに初めて乗りこんでいた頃はこういうやり取りを見かけたらなんて気楽なんだとかどうとか愚痴り出していたのに。
それがこんなに早く戦場の流儀的なものを悟るとか、凄い適応力だ。多分これが、
「……騎士の血ってやつか」
いやまぁ、内紛で負けて逃げのびてきた連中だから、騎士っていってもさほど凄い感じはしないけどね。
サイトロンへの適合率が上がって、戦場を体験したことのある父親のメンタリティが移ったとかそんな感じのもあるけど、なにより実戦を幾度となく乗り越えたってのも精神面での成長に大きく繋がっているんだろう。
「騎士の、血?」
俺の呟きに反応したが、意味が伝わらなかったのだろう、統夜は疑問の表情。
またやっちまった。後々統夜が自分の出自とか知った時にこの事を思い出さなければいいんだが……。
「ああ、何でもない何でもない。……で、メルアちゃん?」
「はい」
俺と統夜が会話をする脇で、後ろ手に何かを隠し持ちじっと待っていたメメメが返事をする。
ナデシコ合流後、通信機の件でこちらが難儀していたことを説明し、ああまどろっこしい、つまり今後の為に『待て』を覚えさせたと言えば通じるだろうか。
俺に金髪巨乳に反応する性癖は一切ないが、ステイステイとお菓子の前で待たされて涙目になる様は中々に来るものがある。涙目から泣きに移行するギリギリを見極めるのが通のやり方。
だが決してSではない。俺はそれなりに優しさを兼ね備えた男、サディスティックな趣味なぞ持ち合わせてはいない。
ただ単にそう、メメメの反応にゾクゾクしてしまっただけ。不思議な事は何も無い。
「あの、これ、受け取ってください」
後ろ手に隠していた何かをもじもじとこちらに差し出してくるメメメ。
シンプルなデザインの小箱だ。少し長方形で、長さは500のペットボトルほどだがやや平たく、厚みや重みはあまりない。
その小箱を受け取り、しげしげと眺める。何故だろう、少し嫌な予感がする。
訝しげに小箱を弄り回している俺と、もじもじするばかりでなにも言いだせないメメメを見かねたのか、カティアが脇から説明を入れた。
「目つきが悪いのを少し気にしているっていうのを覚えてたみたいで、月面で休暇の時に買いに行ってたんです。お菓子も買いに行かずに一日中どれを買うか迷ってたみたいですよ」
「へぇ……、いやはや、そりゃまたなんとも」
受け取り拒否も使用拒否もしにくいようなエピソードありがとうございます。
箱の包装紙を剥がし、中身を確認する。
そこにはどこの眼鏡屋で一日迷ったのか、以外にしっかりした作りのレンズの丸い黒メガネ、というか、グラサン。
いや本当に、これを選ぶセンスもあれだが、これを置いてある月面都市の眼鏡屋半端無いな。
今どきこんなデザインのやつを扱うとか、どう見ても趣味全開というか、傍迷惑極まりないというか……。
「気に行って貰えますか?」
こちらの顔色をそろりそろりと窺うようなメメメの問いかけに、言葉では無く行動で示す。箱の中からグラサンを取り出し、装着する。
あ、でもこれ付け心地はそれなりにいい感じだな。
レンズが小さい割には視界にもあんまり違和感無いし。ガラスのようでそうでない新素材なのかレンズ自体の重量も気にならない程度、なのにかなり頑丈そう。
見た目はともかく、このグラサンの出来というか機能性は中々素晴らしいかもしれない。
「うん、いい感じいい感じ。ありがとうな」
とりあえず飴玉を与え、頭を撫でる。
この世界に来てからほぼ毎日のように餌付けを行い、その合間合間のスキンシップによって頭のどの辺りを撫でるといい感じかは学習済み。
この頭を上手いこと撫でた時に脳に発生するα波を感知し、メメメの体内に潜むナノマシンがそれを増幅、通常の数十倍の時間長持ちさせる。
「ほわ、あ、あの、あふうぅぅ……♪」
撫でられて一瞬慌て、しかし即座にヘブン状態に移行するメメメ。
頭の中でリフレインし続けるα波のリラックス効果により、撫でられた時の心地よさは通常の勝ち組みオリ主達が使っている撫でポのそれに匹敵するほどに増加するのだ!
いや、それ以外にもいろいろな脳の働きとか弄ってるんだけど、簡単に説明できるメカニズムはこれだけなんだよなこれが。
……本当はここまで派手な効果は、いや、もういいや。
メメメの頭を撫でる俺を見て、統夜とカティアが一歩後ろに下がって眉を引き攣らせている。
予想通りのリアクションだし、理由も察しがついてるけど、一応聞いておくか。
「なにそのリアクション馬鹿にしてるの?」
「いや、そうじゃない、そうじゃなくてですね。いつも見てる光景なのにいつもと印象がまるで違うというか」
「そう、ね。これは少し、嫌な方向に意外性が出たと言えばいいのかしら……」
直接的な感想は流石に口にしないが、態度からありありと言いたいことが分かる。
と、丁度俺の注文したメニューをテンカワが運んできた。何故か隣にはホシノを伴っている。
恐らく前にジャンクフードを食べるのを止めさせたいなら自分でやれ、というのを実践しているのだろう。ホシノの手のにもシンプルな醤油ラーメンが。
「はーい、ご注文のチャーハンとネギラーメ、うわ卓也、なんだよそれ」
「人身販売の業者さんですか? 似あってませんねそのサングラス」
「お前らは、ほんとズバズバとモノを言うね」
俺とメメメの今の状況を知らない人が見たら、飴玉一つで簡単に騙されて誘拐されそうになっている少女と、上手いこと新商品が手に入ってホクホク顔の人身販売やらの非合法な商品を扱う謎の商人といった具合だろう。
さっきからこいつらのリアクションをみればメメメもしょげそうなものだが、どうやらまだ頭撫での余韻に浸っているのか一切耳に入っていないらしい。
現時点でのメメメの好感度の高さから言っても脳内美化かかるのは間違いないだろう。逆に凄い似あってるから気にしなくていいですとか言い出しそうで怖い。
未来俺が言ってた、グラサンかけなきゃならん状況ってのはこれなんだろうなぁ。
これ、ずっとかけっぱなしにしてたら憲兵にしょっ引かれかねないぞ?
いいや、後でもう一回過去に戻ってプレート奪取のサポートしよう、で、そこでなんか、グラサン使わなくて良くなるいい感じの言い訳とか考えよう。
グラサン俺の怪しさにドン引きしている馴染みの連中に辟易しながら、俺はメメメの頭をぐりぐりと撫で弄り続けたのであった。
続く
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戦って戦って戦ってサポAIと主人公がセッションしてメメメに科学的な根拠と種と仕掛けのある撫でポをする回終了―。あとサポAIが建てたフラグはジョナサンの生存フラグです、アクセル的な意味で。
内容うすいなー、でももともと全回と併せて一話だったから仕方ないね。いつもより早めに投稿出来たのも、十四話投稿時点で半分以上出来てたからだし。
しかもまた勢いでエロ書いちゃった。ごめんね、でもこれ後々に繋がる複線的なあれだからごめんね。
実は前回の勢いで書いたエロ風シーンより話の上での重要度は上だからごめんね。
この程度のギャグ混じりというか、おふざけレベルの描写なら流石に削除依頼とかきませんよね。問題ありそうならもう少し描写ぼかします。
そういえば、前回は初めてトリップ中でありながら戦闘シーンの描写が無いお話だったんです。だからなんだって話なんですが、これってかなり貴重な気がします。
さっき思いついたんですが、このあとがきについて言及する人も少ないですし、なんかここで色々言っても気付かれないじゃないかと思うから唐突に下ネタとか書いてもいいんじゃないかってうへへ。
ジョークですがね。
さて、今回のセルフ突っ込み一個だけ。
・プレートから生まれた畸形のアンチボディは何? 動きが変だったり発光が不自然だったりする意味は?
プレートがサポAIと主人公に身体を形成する不思議ナノマシンに反応して進化したということで。そこまで影響されねぇよとか言われそうですが、オーガニック的な何か故そういうこともあり得るだろうという拡大解釈です。
バロンズゥもどきの動きとネリーブレンもどきの発光はそれぞれサポAIの内面の本心と外面の建前を現してるとかなんとか。本篇でそこら辺かける技量は無いですがここで説明するのも間抜けなので詳しい説明はしません。
このあとがき書いてる時点でPV十万に届く寸前なんですが、なんか特別編とかやれたらそれっぽくていいですよね。
でもそんなに欲を出すと番外編の方ばっかり更新し始めて本編が進まずにエターなるはめになりそうなので当然自粛します。やるとしてもスパロボ編が終わってから。
いっつも言ってますねスパロボ編が終わったらとか。でも流石にそろそろ折り返し地点が見えてきましたよ。
次回は書きたいエピソードができたというか思いついたのでまだキンクリできませんが、次の次の次か、そのまた次位にはJ本編原作沿いルート最終回的な話が出せる筈です。
亀の歩みというか、一向に話が進みませんがそれでもよろしければこれからもお付き合い頂ければ幸いです。
諸々の誤字脱字の指摘、この文分かりづらいからこうしたらいいよ、一行は何文字くらいで改行したほうがいいよなどといったアドバイス全般や、作品を読んでみての感想とか、心からお待ちしております。
次回「カーテンの向こうで」お楽しみに。