「テッカマンの、大群!?」
テッカマンの大群がこちらに、いや、デビルガンダムに向けて突撃を開始。エステ隊、コンバトラー、マジンガーは突如出現したテッカマンの大群に気を取られ、シャイニングはボルテッカの巻き添えで行動不能、ダンクーガはデビルガンダムを抑えるのに精いっぱい。ここがチャンスだ。
アニメ本編においてクーロンガンダムからマスターガンダムへモーフィングするシーンから察することができるが、マスターガンダムもまたDG細胞の塊である。
どこでもいいのでマスターガンダムの機体の一部を切り取って回収できれば一番手っ取り早いのだが、これは戦闘後に切り離された残骸に近寄らなければならない為大変目立ってしまう。
他の連中に怪しまれずにマスターガンダムのDG細胞を採取するには戦闘中にそれと分からないさりげなさでマスターガンダムの一部を取り込まなければならない。
そこで今回の改造ブレード――電動鋸を使用する。この絶妙に目詰まりしやすい構造の電動鋸を使う事により、DG細胞の削りカスを流れるような自然さでボウライダーの中に取り込む事が出来る。
今までのブレードと違ってかすりでもすればDG細胞を削り取ることができるという利点もある。今回は増援のお陰で楽に近づけるが、間に合わなかった場合は最強のガンダムファイター相手に接近戦を挑まなければいけなかったのだからこれぐらいの用心は当然だろう。
電動鋸型ブレード起動、重力制御装置により『前方に落下』しながら更にブースト全開で突撃をかける。狙いはスクラップ寸前のマスターガンダム、DG細胞による自己修復が始まっているが俺のブレードが届く方が早い!
デビルガンダムに突撃しようと飛行していたテッカマンを数体撥ね飛ばしつつ高速で接近、周辺の木々を斬り飛ばしながら電動鋸を振りかぶった。
「その首、貰ったぁっ!」
再生途中のマスターガンダム、その胸のど真ん中に電動鋸を押しあてる。ギャリギャリと金属の擦れ合う音が響き、そのままの勢いでコックピット内の東方不敗をミンチに――
しようとしたところで、バリアを突き破り飛んできたビームチェーン付きの鉄球に横っ面をぶん殴られて吹き飛んだ。流石に敵の前で倒れるのは拙いので空中で姿勢を立て直し味方の近くまで後退。機体各部のチェック、損傷は軽微。
これがDG細胞に侵された次世代シャッフル同盟の攻撃か。バリアを貫かれたのは予想外だが、それでも現時点では威力的に取り込む必要性を感じられないからスルーさせてもらおう。
続いて薔薇の花を模したビットが飛んできたが、後方から追いついて来たM9のショットガンの連射により迎撃される。技術的には一番微妙なASでよくあれだけやれるものだと感心してしまう。
「前に出過ぎだ。一人で突出するな」
「ああ、悪い。助かった」
M9の相良宗助から通信で軽く注意されてしまった。あっちでマスターガンダムに突撃かましてボルテッカの巻き添え食らってぶっ倒れてるシャイニングガンダムの中の人と同じ声で冷静に諭されるのは何とも奇妙な感覚だ。
しかし何はともあれマスターガンダムのDG細胞は無事採取出来た。ブレードを格納し刃と刃の間に詰まっているDG細胞の取り込み完了。DG細胞自体はすでに取り込んであるので眠くはならない。流派東方不敗の動作は後で確認しよう。
新たに現れた新シャッフル同盟(予定)とデスアーミー軍団。DG細胞に侵された四人はデスアーミー軍団だけ残してさっさと帰るのが元の流れなのだが、今回はそうもいかないらしい。
デビルガンダムに纏わり付き攻撃を続けるテッカマンの軍団。それを排除せんとするために撤退するはずの四機が参戦する。
拡散粒子弾を避けながらテックランサーでガンダムヘッドを斬り落して行く数百のテッカマン。数体がボルテッカを放ち、ダメージを受けた数体がフェルミオン粒子を限界まで溜めた状態で特攻し自爆攻撃を仕掛けてデビルガンダムの身体を削って行く。
そのまま地の底へ潜って逃げようとするデビルガンダムを追いかけて行く量産型テッカマン軍団と美鳥の変身したテッカマン。その後を四機の新シャッフル同盟候補が追いかけていった。
もうマスターガンダムのDG細胞は手に入ったからそこまでする必要は無いのだが、一体美鳥は何を意地になっているんだ?まぁ兵隊はいくらでも作れるので変に証拠を残さなければ何をやっても構わないが。
下級デモニアックがベースの兵隊はともかく、美鳥は素のテッカマンの状態でブラスターテッカマンに匹敵する強化が施されているから死ぬ心配は無い。その内帰ってくるだろう。
ナデシコチームは現状について行けず置いてけぼり。しかしテッカマンの群れのデビルガンダムへの猛攻撃を見てしまった後だからか、自分たちが標的にならなかったことを安堵している者が多い。
「俺たちは無視かよ!」
「なんだか、眼中に無いって感じだったねー」
「でも助かりました。あの数のテッカマンと戦って無事で済んだかどうか……」
「せやな」
怒る甲児、どことなく呆れている風のアマノ、冷静に戦力を分析してこっそり安堵の溜息を吐いている小介、頷く関西弁。しかし誰一人追いかけようとかそういう提案はしない。
一応主人公チームなのだからもうちょっと血気盛んで良いだろうに、貴重な資金源が!経験値が!とか。赤軍と黄軍が潰し合って嘆くのはあくまでプレイヤーであって、キャラクターからすれば危険が減って大助かりということか。
そんな訳で、周囲の敵は全て撤退、主人公チームに様々な疑問を残しつつも戦闘は終了。念のために周囲を警戒しつつ、改めてナナフシの破壊に向かう事になった。
むぃー、という間抜けな音を立てつつホイールが回る。敵が居なくなったのでほぼ手放し低速運転、今回はもうナナフシに近づいて適当に電磁速射砲を叩きこむだけ。あとはナデシコに帰ったら少し身体を動かして東方不敗の動作を確認、それから風呂にでも――
これからの予定をなんとなく考えていると、ベルゼルートから通信、モニタには困り顔の統夜と泣く寸前みたいなメメメが。
「あの――」
「大丈夫ですか怪我してませんか無事ですか!?」
統夜のセリフを遮りメメメが捲し立てる。統夜に目を向けると頭を掻きながらどうしたものかといった表情で口を開いた。
「卓也さんの機体がハンマーで殴られてからもうずっとこんな感じで……。ほら、卓也さんの機体、何時もは被弾しても吹っ飛ばないし、大きな攻撃は大体避けるか迎撃するじゃないじゃないですか」
機銃で吹っ飛ぶことは無いし、そもそもミサイルだの大鎌だの避けたり回避するのも見栄えの問題なんだけどな。整備班の人に損傷について深く突っ込まれるのは避けたいというのもある。
それにこのボウライダーはそこまで紙装甲じゃない。それどころかスーパーロボット並みの装甲を誇っているというのに何故そこまで心配されなきゃならんのか。
あれか、つい調子に乗って好感度を上げ過ぎたか。それは後で解決するにして、心配されたからにはこれを言わなければロボット物としては始まらないだろう。
「心配するなよメルアちゃん、俺は不死身の男だぜ?」
折角主人公及びその取り巻きと仲良くなれたからには、何時かの為のフラグを立てざるを得ない。これで部隊からフェードアウトするときの演出は決まったも同然だな。
―――――――――――――――――――
予備エンジンでおっかなびっくり空を飛んで迎えに来たナデシコに帰艦する。格納庫にボウライダーを降着させコックピットから飛び降り、整備班の人に軽く挨拶をしてから自室へと向かう。
手には実家から持ってきた姉さんのお下がりのデジカメ。ロボットや珍しい風景(シャトルの窓から見た地球、月面都市、ナノマシン煌めく火星の空、ラダム樹の森など)以外に使用したのは今回が初めてだが、これからはちょくちょく撮ってみようかなと密かに考えている。
先ほどナナフシを破壊した後、みんなで残骸を前にデジカメで写真撮影をした。戦いの記録とかみんなとの思い出になればという口実で撮ったがなかなかの出来だと思う。落ち込んでいたドモンは入らなかったがこれから撮る機会は何度もあるから放っておいた。
正直ナナフシの残骸に手を触れる口実が欲しかっただけなのだが、これはまさしくあのフラグ。後々みんなの回想シーンとかに出演したりその度にこの写真も使われたりなんかしてもう。
何だかんだでちょくちょく援護攻撃も援護防御もして回っているし、飯も度々一緒に食べたり遊んだり訓練したりとパイロット間のコミュニケーションも良好。それなりに仲間らしい振る舞いはできているだろうし、ゲーム的に言えばインターミッションであの悲しいBGMとかが流れるとベストなのだが。
というか、こんな簡単な手で残骸に近寄れるなら無理してマスターガンダムに突撃する必要は無かったか。でもナナフシみたいな大物ならともかく切り離された腕の隣で記念撮影ってのはなんか違うよなぁ。何か上手い言い訳は無いものか。
しかしこのデジカメ、なんだかすごく見覚えがある。直観で言えば拳に付けて相手を殴るのに最適そうだ。エネルギーを流し込むパーツもあるし、表側には何か薄いモノ(メモリ?)を差し込むような部分がある。
思い当たるアイテムはあるが、これ単体じゃ何の意味も無い。実家の物置を探せばベルト本体と付属の携帯とかポインタとかのオプションも出てきそうだが、結局は衛星が無いと全く無意味だろう。
そんなデジカメを弄りながら部屋のドアを開けると、ベッドの上に顔を紅くし汗で全身びしょ濡れ、呼吸も荒く苦しそうな美鳥が横たわっていた。俺の気配に気づいたのかこちらに顔を向け、うっすらと瞼を開けて微笑む。
「お兄さ、ん。おか、えり……」
「ただいま。なかなか酷い状態だな」
ややこしくなりそうだから俺の部屋で寝るなとは言わないでおく。濡れタオルを複製し顔を拭いてやると、美鳥は苦い顔で事の成り行きを説明し始めた。
「デビル、ガンダム、追いかけてたん、だけど、ねー」
―――――――――――――――――――
下僕どもを率いて山から下り、カオシュン基地周辺を見渡して真っ先に目に映ったのは向かいの山の麓で今にも撤退しようとする片腕のマスターガンダムだった。
そこから少し離れて基地寄りの川沿いにお兄さんのボウライダーとASとエステ。どうやら接近戦は諦めて援護に専念しているっぽい。そうそう、こういう状況を待ってたんだ。サポートAIの面目躍如だね。
あたしのすぐ後ろを飛んでいた数体の量産型テッカマンに指示を送る。量産型の肩からボルテッカ発射孔が露出し数瞬のチャージ、苛烈なフェルミオン粒子の奔流がマスターガンダムへ襲いかかった。
着弾。逃げられないように、なおかつ即死しないように少し狙いをずらして撃ったけど、超反応で避けようとしたお陰で予想よりも大きなダメージが入ったらしい。近くに居たシャイニングガンダムにも二、三発直撃したが些細な犠牲、避けられない方が悪いんだし。
お兄さんもこれで安心してマスターガンダムからDG細胞を採取できる筈。これはあたしとしてもチャンス、追いついてきた他の量産テッカマンを率いてデビルガンダムに突撃だ。
二百体に撹乱、二百体に雑魚狩り、残り全部でデビルガンダムを攻め落とす!テックランサーを取り出すとハルバード型だった。いいね、初めてお兄さんと戦った時を思い出す。あの時はあっさり反撃で腕ごと切り飛ばされて使えなくなったけど本当はそれなりに扱えるのだ。
この紫色のアーマーも懐かしい。あたしが初めて変身したブラスレイターのタイプ25『グラシャ=ラボラス』、それを模した鎧騎士のような姿はとても気分を高揚させてくれる。
ランサーを一振りすると、カマイタチが飛んで数本のガンダムヘッドを刈り取り、その後を量産型テッカマンどもが次々と殺到する。ガンダムヘッド諸共拡散粒子弾で吹き飛ばそうとするが、それもけっして正しい選択じゃない。
お兄さんの作った量産型テッカマンは原作のテッカマンとスパロボのテッカマンのどちらにも属さない細工が施されている。
まずボルテッカ。これはスパロボ版のようにENさえ付き無ければ何発でも撃てる代わりに威力は並というものでもなく、アニメ原作のように基本一撃必殺だけど一発で打ち止めというものでもない。
まず全ENの三分の一を使用して高威力のボルテッカを撃てる。が、ボルテッカを撃てるのは二回だけ。これは体内に蓄積されたフェルミオン粒子を使い切らないことで基本性能を下げないようにするという安全装置。
残りの三分の一を蓄えたままクラッシュイントルードやテックランサーなどで戦う。場合によってはボルテッカ一発まで、残り三分の二の半分をコスモボウガンに回して援護役に回ることもできる。
そして最後の三分の一を残したままある程度ダメージを食らった場合、残りの体力やら何やらもENに変換、敵に取りついて自爆するという脳への刷り込み。
これで証拠は残らないし、デビルガンダムに取り込まれてDGテッカマンとかシャレにならない敵ユニットが生まれる可能性も無くなるという寸法だ。
案の定、今の拡散粒子弾の直撃を受けた数体が最後の力を振り絞ってデビルガンダムに特攻を仕掛け始めた。
腕や脚がもげた歪な形の量産型テッカマンどもが拉げて歪んだブースターを無理やり吹かして突撃、デビルガンダムの全身至る所に激突し、いくつもの巨大な爆発で覆い尽くす。
デビルガンダムに張り付きに行く途中でガンダムヘッドや拡散粒子弾やバルカンに叩き落とされて森の中に墜落した量産型が爆発、森が消し飛ぶどころか地面が抉れてカオシュン基地の半分もありそうな面積の巨大なクレーターが生まれた。爆発の規模から見て今のはボルテッカを一度も撃って無い奴だったのかも。
それにしてもえげつないなぁ。大量のテッカマンによる特攻ボンバーなんて荒業、そこいらの連中では思いついてもやらないだろうに。これも数の暴力というか、無限に製造できるからこその発想なんだろうけど……。
ボルテッカの雨と特攻自爆に耐えかねたのかデビルガンダムが地下に潜っていく。逃がさない、ここでお前の細胞を採取しておけばお兄さんはもっと強くなれる!
背部のブースターを吹かしデビルガンダムの掘った巨大な穴へ突入する。日の光の届かない地下だが、暗黒の宇宙空間でも戦えるテッカマンの目には当然のごとく暗がりの中でも逃げるデビルガンダムがはっきりと見えている。
そしてこのトンネルの中は赤や青や緑のフェルミオン粒子の光、量産型がデビルガンダムに向けて絶え間なく放つボルテッカやコスモボウガンの光で更に明るく照らされているんだ、これで見失う道理が無い。さっさと動けない程度に破壊してオリジナルのDG細胞の一部を回収させて貰おう。
「ヘイ!そのお方にはそれ以上近づかせないぜぇ!」
デビルガンダムに近づこうとしたあたしの視界いっぱいに迫る巨大な拳。ガンダムマックスターのファイティングナックルかな?遅くて遅くて欠伸が出る。ギリギリまで引きつけてからひらりと回避、すれ違いざまにナックルガードをテックランサーで切り裂いていく。
「死ぃねぇぇぇ!」
避けた先に竜の頭、ドラゴンガンダムのドラゴンクロー。これも遅い、全身の装甲を折り畳んで急加速、口の中にクラッシュイントルード。腕の中を貫いて肩から脱出。
脆い。弱い。貧弱。只でさえこの世界でMFの性能が微妙だというのに、挙句にそんな魂のこもっていない攻撃ではお兄さんの真心のこもったこのお手製装甲は傷一つ付けられない!
「弱い!弱いなぁあんたら!それでも国家の代表かぁ!?」
あたしの挑発に乗って、デビルガンダムの周りで量産型テッカマンを迎撃していたボルトガンダムとガンダムローズもハンマーとビットをそれぞれ放ってくるが、ハンマーをランサーで叩き割り、ビットはテックランサーからフェルミオンビームを放ち全て撃墜。
攻撃を潰され一瞬怯んだ四機に更に追い打ちでフェルミオンビーム乱れ撃ち。デビルガンダムの掘り進む地下道の中をドス赤い光が幾度となく照らす。
デビルガンダムの掘った即席のトンネルが揺れる。四機が避けた攻撃が壁に当たってトンネルは今にも崩れそうだけど、あたし一人なら即座に地上に脱出できるから気にする必要も無い。
テックランサーを横薙ぎに一閃、四機とあたしの間に赤いフェルミオンビームで線を引く。再び揺れるトンネル。眼下の四機を見下して余裕たっぷりに告げる。
「怒った?怒ってるよね?でも無駄だよ。今のあんたらの雑な攻撃じゃ、あたしには指一本触れられない」
指を振りちちちと舌打ち。今後の展開を考えなければここで撃墜してしまっても構わないのだけど、お兄さんになるべくストーリー本筋に係わるキャラは殺すなと言われている。
掛け替えの無い命、その生殺与奪の権利を手にした時のこの興奮!堪らない。お兄さんには悪いけど、時間いっぱいたっぷりと楽しませて貰おう。
怒りに任せ闇雲に攻めてくる四機をあしらいながら遊んでいると、一体の量産型テッカマンが手に何かの破片を持って近づいて来る。あたしとそのテッカマンを接触させる為、十数体の量産型テッカマンが四機にボルテッカを放った。
量産型から破片を受け取る。デビルガンダムの装甲、オリジナルのDG細胞だ。良くやったと心の無い人形に思わず称賛の言葉を投げかけようとした、その時。
「やらせはせんわぁぁぁぁぁぁ!!」
目の前を巨大な手刀が通り過ぎ、あたしにデビルガンダムの装甲の破片を渡した量産型は自爆する間も無く手刀に磨り潰されて消えた。
「なぁっ!?」
慌てて振り向く。なんとそこには、量産型テッカマンの攻撃を捌きつつも此方に接近するマスターガンダムの姿。あの状態からこんな短時間で再生できるもんなのか!?
撃ちだした手刀を回収しながらこちらに闘気を放つマスターガンダム。拳法独特の構えを取り、こちらに拳を向ける。
「ふん、言うだけの実力はあるようだな。確かにこやつらでは相手にならんほどの難敵。わし、東方不敗マスターアジアが直々に相手をしてくれよう!」
立ちふさがる現時点でのガンダムファイター最強存在である東方不敗。これは、流石にピンチ、かな。
―――――――――――――――――――
美鳥の回想終了。しかしここまでの説明だとマスターは難しいけどMF四機相手になら無双が出来るという自慢がメインのように思える。今こんな状況になっている説明にはならない。
というか何故ここで切るのか。むしろここからが今の状況に繋がる重要な部分だと思うのだが。
「ふんふん。それでそれで?」
話の続きを促しながら背中に手を添えて起きあがらせる。万歳させて服を脱がせ、濡れタオルで首筋を拭いてやると、くすぐったいのかくすくす笑いながら身を捩じらせる。
「マスターガンダムは、ブラスター化して、くふ、なんとか、うひゃ、切り抜けたのはいいんだけど、今度は、採取したデビルガンダムのDG細胞が、ひひ、再生を始めちゃって」
そこをちゃんとした語りで聞きたかったのだが、端折られてしまうとは予想外だ。まぁ自分が苦戦する所を事細かに語りたがる者もそうそう居ないから仕方ないか。
気を取り直し美鳥の身体を拭く。首筋から背へ降り、背の肩甲骨から胸、胸から腹、腹から腰と濡れタオルで汗を拭っていく。
「慌てて取り込んだら容量不足で熱暴走オチか」
呆れた。そこまでしてオリジナルのDG細胞を採取する必要は無かったのに。脇の下に手を入れ持ちあげ膝立ちの姿勢に、そのまま上半身だけベッドに倒れさせ、ズボンとパンツを下ろしてやり、腰から尻肉、尻の谷間へ濡れタオルを滑らせる。
「そ。って、え? あや、やめ、そこはちょっと止め、ひゃう!いやむしろいいけど、むしろバッチ来いだけどちょっとまって、まずオリジナルのDG細胞のデータ、移譲を、あー、もー!」
勢いよく起き上がり振り向いた美鳥にぐいと胸を押され押し倒された。力強いと感じるのは擬態が解けかけて重量が増加しているからか。
俺の肩を両手で上から押えた美鳥が顔を近づけ、唇を落としてくる。もごもごと口の中を滑る舌で探りこじ開け、熱い唾液=オリジナルDG細胞のデータを流し込んでくる。俺がそれを飲み干したのを確認すると唇を放し、改めて軽く触れるようなキス。
そこまでやって力尽きたのか、俺の胸に頭をもたれずるずると倒れこむ。前回スケールライダーを取り込んだ時と違い、美鳥の肉体も全体の記録容量が大きくなっている為、思考がキスのことでいっぱいになるとかそういうエロい展開にはならないらしい。
渡されたオリジナルDG細胞のデータを元に身体を構成するナノマシンの再構築。途端に眠気が襲ってきた。しかし、眠る前にやるべきことが残っている。
俺の上でぐったりと倒れている美鳥の頭に手を置き、汗で濡れた髪を梳くようにゆっくりと撫でる。
今回の無茶はオリジナルのある程度進化が進んだDG細胞を取り込ませて俺を強くするという目的があってのこと。こんなに身体を張ってまで手伝ってくれるとは、俺は良い妹的な存在を手に入れたものだ。
「ありがとな」
「……へへ、どういたしまして」
はにかむ美鳥の頭を腕で抱き、そのまま眠気に身を任せようと――
「卓也さんごめーん! メルアじゃないけどお菓子貰い、に……」
いきなりドアを開けてテニアがお菓子の催促。まずいな、この状況がどう見えているのかは分からないが、どう好意的に判断しても今後の艦内での人間関係が非常に気不味くなって行動し辛くなるのは確実だ。
記憶消去魔法の構成を思い出そうと頭を高速で回転させていると、テニアは慌てて振り返り、うずくまりながら目をこすり独り言を始めた。
「あ、あれッ! 急に目にゴミが入った! 見えないよッ、2人なのかよくわからないッ!!見てない! わたしは見てないからね、なあーんにも見てないッ!」
一気に捲し立て、止める間もなく立ち上がり走り出す。あっという間に廊下の角を曲がったかと思ったら、すぐに戻ってきてドアの隙間から頬を赤らめた顔を少しだけ見せ、ぎりぎりこちらに聞こえる程度の小さな声量で一言。
「ご、ごゆっくり~」
顔を引っ込め、遠ざかっていく足音。眠気が吹き飛んだ。
「美鳥」
「うん。追いかけよう」
―――――――――――――――――――
廊下を走るフェステニア・ミューズは混乱していた。
(あー、こんなことならもっと時間を置いてくればよかったー!)
同じ実験施設から逃げ出して来たメルアがナデシコ内で度々口にしている様々なお菓子。市販の品では無く食堂で買えるものでもないそれが気になり、毎日そのお菓子類をメルアにあげている親切な傭兵のお兄さん、鳴無卓也に頼んで分けて貰おうと考えていたのだ。
脳裏に先刻の光景が蘇る。パンツもズボンも膝まで擦り下ろし、上半身に至っては裸の少女。鳴無美鳥が艶やかな、俗に言う女の顔というやつで卓也の胸に顔を埋めていた。
鳴無卓也と鳴無美鳥。二人はともに傭兵稼業で生計を立てている兄妹だという。自分たちよりも幼い少女が何年も前から戦場に立っていると聞いた時は驚いたものだが、二人だけの家族だから助け合って当たり前と嬉しそうに言っていたのをテニアは記憶していた。
そう、重なり合っていた二人は兄妹なのだ。そういった行為が許される間柄ではない。
(あああでも戦場で生きているならそういう関係もありだってなんかの雑誌に書いてあった気もするしでもそうなったらメルアの立場ってもんが――!)
立ち止まる。そうだ、メルアにはどう説明すればいいんだろう。お菓子を貰いに行く時のあの表情、自分とて少し前まで同じ施設で実験体として扱われていた身、そこまで色恋沙汰に詳しい訳では無いが、あれがどう見てもただお菓子が楽しみでという表情ではないことはテニアでも分かった。
最近ではお菓子の話題の中、お菓子を貰いに行った時に卓也さんとあーだ、卓也さんとこーだと、お菓子では無く卓也さん本人に関する話題の方が多くなってきた程。その表情は明るく、身守る統夜やカティアの眼差しも自然と優しげなものになってきている。
(言ったら、どうなっちゃうんだろ……)
分からない。怖くて想像もできない。言うべきか言わざるべきか、それが問題だ。
一旦カティアに相談するべきだろうか、いや、人生経験は似たようなものだ。じゃあ統夜は――駄目だ。あの鈍感さでは色恋にはあまり疎くないだろう。
ここは人生経験豊かそうなアキさんやエリザベス先生に相談――
「あれ?」
何を相談するんだったか。いやそもそも自分は何故廊下でぼーっと立ち止まっているのか。
首を傾げて頭の上にクエスチョンマークを浮かべるテニア。先ほどまでの苦悩はすっかり頭の中から消えてしまっている。
立ち止まり考え込み始め十数秒、その間に自分が苦悩していた理由も、その原因となる出来事も、そもそも自分が苦悩していたという事実さえ忘れていた。
「よーテニやん、こんな廊下のど真ん中でなにしてるん?」
「寝不足か?睡眠不足は女性の大敵だぞ」
「あ、美鳥、卓也さん……」
そうだ、二人のことで何か、何か相談があって、なんだっけ?あと少しで思い出せそうなんだけど……。うんうん唸りながら首を捻っているテニアの手を美鳥が引っ張って歩かせる。
「ちょーどいいや、一緒に食堂行こうぜ」
「出撃組は朝飯抜きだから腹が減っててな。なんなら奢ってもいいぞ」
「ほんとに!?じゃあカレーライスのトッピング全部載せ!」
忘れてしまう位なら大したことでは無い。そう結論付け、テニアは人の奢りで頼むチャレンジメニューに思いを馳せるのだった。
―――――――――――――――――――
人のまばらな食堂。券売機でカレー大盛りと内容も見ずに嬉々としてトッピングの券を片っ端から買い漁っているテニアを見ながら、隣を歩く美鳥に小声で称賛の言葉を送る。
「詠唱無し予備動作無し発動体無しであれか、流石だな」
「伊達や酔狂でサポートキャラやってんじゃ無いってこと。見なおした?」
天麩羅盛り合わせ定食の載った盆を両手に持ち頷く。記憶消去の魔法、しかも頭がパーになるような不完全なものではなく都合の悪い部分だけを選択式で消して後遺症の残らない完全なもの。
本職ではない俺ではとても真似できない。というか、記憶消去の魔法の恐ろしさを垣間見た気がする。魔力の動きか精霊の働きによっぽど敏感な者にしか感知できないレベルの静かな魔法行使で人からあっさりと記憶を奪うことができる。
こんな凶悪な魔法を学校で基本的なものとして教えるとは、ネギま世界も中々侮れない黒さではないか。赤松補正の無いネギま世界とかあっても正直近寄りたくも無いレベルのえげつなさだ。
「うむよくやった、俺の妹をファックしてもいいぞ」
「お兄さんの妹ってーと……、つまりあたしじゃねーか!」
「なに、やってやれないこともない。試してみるか?俺は横でまじまじと真顔で観賞させて貰うがな」
オリジナルのDG細胞。つまりデビルガンダムから採取したDG細胞の機能としてデスアーミーの生産がある。この機能を応用すれば俺の子機とも言える美鳥を大量に生産することが可能な筈だ。
デスアーミーのDG細胞にも自己増殖機能としてデスアーミーを生み出す機能が備わっているが、これで増殖できるのは自分のみ、能力の劣った兵隊を作り出す機能はデビルガンダムにしか備わっていない。
俺が二人や三人に増えても気持ち悪いし何一つ得な事は無い。しかし美鳥をある程度増産すれば使いっパシリが増えて楽ができる。
美鳥は火星丼タコさんウインナー抜きを載せた盆を机に置き、崩れるように椅子に座りながら渋い顔で首を横に振った。
「そういうのは勘弁してよ……、似たようなネタはやり尽くしたんだし。布巾で鏡ーとか寝転がって幽体離脱ーとかさぁ」
「発想は同じレベルか」
俺も机に盆を置き椅子に座りため息。まぁ自分を増殖させるよりは精神的によっぽどマシなのでデビルガンダムの自己増殖機能は消去ではなく封印としておこう。
暫く美鳥と駄弁りながらテニアを待っていると、微妙な表情のテニアが山のようにトッピングが載ったカレーを持って席に着く。
「カレーのトッピング、あんなに種類あるなんて聞いてない……」
納豆やチーズ、その他諸々の具材の絶妙に異次元的なマッチングに頭を抱えるテニアをひとしきり笑い、食事を開始した。
なお、少し遅れて食堂にやってきた出撃メンバーの中、納豆チーズその他かけカレーを見たメメメが、テニアと少し距離を開けて座ったのは完全な余談である。
―――――――――――――――――――
■月◆日(光子力研究所に暴風警報、いや暴風注意報か。どっちにしても天は揺るぎもしないでしょう)
『カオシュン基地での戦いが終わった後、引き続き戦力としてナデシコに残ることとなった俺達、そしてネルガルの研究所で検査を受ける予定のJヒロイン三人娘と統夜は契約を更新したが、コンバトラーチームに甲児とさやかといった元の所属がある連中はナデシコから降りていった』
『専用の整備機材が無いナデシコでは完全な整備を行うことは難しく、コンバトラーやマジンガーZにも大分ガタがきているとか。まぁ、殆ど間を置かずにナデシコとアークエンジェルの混成チームに戻ってくるはめになるのだが』
『マジンガーZと言えば、ナデシコから降りて直ぐにあしゅら男爵率いる機械獣軍団との戦いでアフロダイを人質に取られてあっさりと捕まってしまい、甲児はパイルダーごと行方不明』
『正直な話、資金に飽かせてやたら改造がほどこされているマジンガーならアフロダイとボスボロットが居なくても機械獣程度の相手なら一機でいくらでも無双が出来るのだが、それでもなお仲間と一緒に戦う道を選ぶとは、流石は兜甲児、主人公の鑑である』
『さりげなくアフロダイも改造してあるので機械獣数機に捕まるほど弱くは無い筈なのだが、それでもあっさり捕まってしまったのはヒロイン補正というやつだろうか。もう少し善戦してくれてもよさそうなものなのだが』
『俺と美鳥も探しに行ったのだが、結局パイルダーもマジンカイザーの眠る秘密格納庫的な場所も見つけることができなかった』
『まぁ、後々合流するから逸る必要は無いのだが、グレートから複製した超合金ニューZはボウライダーの装甲に電磁速射砲の砲弾にとかなり便利に使わせて貰う事ができたので、ついついグレードアップが楽しみになってしまう』
『さて、もうそろそろゲームで言う十三話に到達する頃合い、つまり待ちに待ったゼオライマー初登場の日だ。ここで直ぐ合流するかは覚えていないが、同時に風のランスターも敵としてやって来る筈』
『ここらで今日の日記は終わりにして、体力を持て余しているドモンと組み手でもして身体を温めておこう』
―――――――――――――――――――
人体の発するモノとは思え無い鈍い打撃音が連続でナデシコのドッグに響き渡る。拳と拳、蹴りと蹴り、互いの放つあらゆる攻撃が相殺され身体の芯を鋭い衝撃が貫く。
何も取り込んでいない素の状態でも車より早く駆け、岩を砕き、目前に迫る銃弾を掴み取る超身体能力を発揮していた俺の身体は度重なる融合捕食と最適化により、戦闘モードに切り替わればかなり大型の機体とも殴りあえる程の性能に達している筈だ。
当然今は戦闘機動で動いている訳では無い。室内、というかナデシコを整備しているドッグの隅を借りての組み手である以上、整備中のナデシコや施設を破壊してしまうような戦いはご法度だからだ。
しかし、全力で無いという意味で言えば目の前のドモンとて似たようなものだろう。先ほどから数十分打ち合っているが、劇中に登場した流派東方不敗の技を一つたりとも出して居ない。
俺も大概だが、ガンダムファイターの身体能力も充分に異常なのだ。高層ビルを蹴り飛ばしたり重力百倍で立ち上がったりビルをキック一発で切断したりと無茶苦茶する連中である、例えばMS程度なら生身で撃破など赤子の手をひねるが如しだろう。
ネギま世界で初めて化け物相手に戦った時とは少し違う。まず身体能力で多少優位に立っていて、なおかつ今の俺にはさらに戦う為の技術がある。
空中で飛び蹴りを打ちあい、互いの足裏を蹴り少し距離を取って着地。構えを解かず隙の見えない目の前のドモンが眉を顰める。
「流派東方不敗の動き、どこで覚えた」
そう、先日採取して取り込んだマスターガンダムのDG細胞から読み取った動作ログ、そこから流派東方不敗の動きをトレースしているのだ。
無論、マスターアジアとて日がな一日マスターガンダムに搭乗している訳では無いので全ての動きを完全再現とは行かない。武道家の日常的な体捌きなどはドモンや獣戦機隊の亮辺りを観察してトレースして補っている。
更に言えば俺の似非流派東方不敗は技術であって業では無い、みたいな扱いになってしまうのだろう。まぁ心だの魂だのは使って戦う内に勝手に付いてくるものだと思うので、とりあえずは目の前のドモンで練習させて貰っているのだ。
しかし当然そんなことを口にできる訳も無いので適当に考えた言い訳でお茶を濁す。
「いやなに、ナデシコには日がな一日練習している奴が居るからな。その練習を記録して、あとはこの間のマスターアジアとの戦いも参考にさせて貰ったりして」
フンと鼻を鳴らし、ドモンが拳を打ち出す。下手な銃弾よりもよほど速い、超高速の拳。
「そのような猿真似!通じるほど甘い流派では無い!」
脇腹狙いの拳を肘打ちで迎撃、いや、この拳は囮、逆の蹴りが本命か。蹴り脚にそうように懐に潜り込もうとするも読まれ額に一撃、後方に吹き飛ばされた。
当てられた額が少しひりひりする。生身でこれだけの威力の拳、ガンダムファイターは本気で化け物じみているな。
「猿真似と未熟者、稽古相手としちゃどっこいどっこいじゃないか?」
猿真似を馬鹿にしてはいけない、ジョルジュだってジェスターガンダムの猿真似に負けている。腰を落とし、掌で空中に円を描き十二の梵字を出現させる。
「そら!十二王方牌、大車併!」
梵字から出現した俺の分身がドモン目掛けて軽くホーミングしながら突撃する。
「な、貴様こんな場所で――!」
分身を回避しつつ慌てるドモン、避けた分身が整備中のナデシコへ向けて飛んで行く。このままでは整備中のナデシコが酷い事になるだろう、しかし、この技なら問題無い。
ナデシコへ向かっていた分身を手元に戻し元のエネルギーに還元、体内に戻す。帰山笑紅塵、十二王方牌大車併で大量に放出した分身をこの技で回収することにより、結果的に殆どエネルギーを食わずに攻撃することができる。
ネギま世界で取り込んだ烏頭が、気を使った闘法を覚えていたからこそ使える技。そもそもEN無限な俺には必要の無い回収技だが、このように使えば周りの被害を抑えつつ戦うことも可能なのだ。
もっとも、科学寄りのものでは無いので威力的にはたかが知れている。実戦で使用するなら真正直にこの技を使うのではなく、この技を見せ技にしてミサイルなりビームなりを撃つとかしなければあまり意味は無いだろう。
俺が分身を回収すると同時、組み手開始前にしかけておいたタイマーが鳴った。組み手終了の合図である。
「じゃ、俺はこの辺で上がらせて貰うわ。稽古に付き合ってくれてありがとうな」
「いや、俺にとっても修行になる。礼を言われるほどの事でもない」
愛想がいいとまでは言わないが、それなりに会話ができるようになったのは拳で語ってみたからか。
用意していた折り畳みの椅子に座り擬態用の汗をタオルで拭きつつ、技の型の稽古を始めたドモンに話しかける。
「そういえば知ってるか? 国際電脳の本社ビルが何者かの手によって破壊されたとかどうとか」
「それがどうした。デビルガンダムや東方不敗と関係があるようには思えん」
一心不乱に拳を振るいながらぶっきらぼうに答えるドモン。俺や男性陣だけにこんなんだというならまだいいのだが、こいつの場合はレインに対してもこんな感じだから困る。
この世界ではデビルガンダムコロニーイベントも無いというのに、こんな状態できっちりレインとゴールインできるのだろうか。
「そうとも限らないんじゃないか?国際電脳の本社を破壊したのがデビルガンダム、そうでなくてもデビルガンダムの手先って可能性は無いわけでは無いんだし」
まぁ実際は鉄甲龍の自作自演なんだが、こいつの場合ネットワーク関連をデビルガンダムで掌握して世界征服、なんて短絡をしてもおかしくは無いと思うんだけど。
「そうだとしても、既にその場所にはデビルガンダムの手がかりは無いだろう。もし居るのなら謎の襲撃者の手がかりの話が無ければおかしい」
こちらを振り向きもせずに型の稽古を続けつつだがしっかりと答えが返ってきた。なんだかんだで律儀な性格なのかもしれない。しかも予想外に冷静だ。
「それに、闇雲に怪しい物を追いかけ回すよりもこの船に乗っていた方がヤツを見つけるには近道になる。トラブルには遭い易い船のようだからな」
なるほど、その程度の損得勘定はできるということか。椅子から立ち上がりナデシコに向かって歩き出す。体も温まったし、ボウライダーの調整でもしてこよう。
途中で立ち止まり少し振り返る。一言だけ言っておいてやろう。
「ミカムラさん、もうちょっと労わってあげた方がいいぞ。シャイニングの整備でかなり疲れているみたいだから」
「……ふんっ」
鼻息で返されてしまった。まぁ、こんなんでも幼馴染ならなんとかなるだろう。多分アレンビーは仲間にならないし。幼馴染といえばもっともくっ付き易い男女の組み合わせと相場が決まっている。
例えば俺の身近なところの幼馴染でいえば新聞配達の人に駐在さんだろう。思えばあの二人も俺がまだ生まれても居ない頃からずーっとあんな感じで付かず離れずのままもう三十路過ぎ……。あれ、これは駄目な例じゃないか。
いや、三十過ぎて友達以上恋人未満ってのも別に悪くは無いよな。別に熟年結婚でも構わないと思うんだ。決して幼馴染は近くて遠い立ち位置だとかややこしい事を言いたい訳でも無いし。
あ、でもレインって確か大学時代に恋人が居た気がする。しかも下手をすればアニメ本編と違ってその恋人も無事かもしれん。これはピンチか?
やはり男女の仲というのは難しい、せめてさっさと爽やかで子供に優しいガンダムファイト決勝リーグ時点のドモンになればどうにかなるのだが……。
―――――――――――――――――――
整備中のナデシコの格納庫へ到着した。格納庫の中にはエステの換装用フレームと分離状態のダンクーガ、シャイニングにベルゼルート、後は俺と美鳥の持ち込んだボウライダーとスケールライダーのみ。
ナデシコから降りたのはコンバトラーにマジンガーZにアフロダイ、コンバトラーは分離状態で格納されていたのでこの格納庫から7機も居なくなったということになる筈なのだが、それを補って余りある数のスーパーロボット軍団だ。
そういえばコンバトラーといえば、何だかんだで装甲もENも武装も改造してあるんだよな。風のランスターを一機で倒せるかと言えば少し力不足だが、うっかりゼオライマーではなくコンバトラーが止めを刺してしまいかねない程には強くなっている。
どうしよう、もしもの時の事を考えて八卦ロボの残骸も取り込んでおくべきか。そもそもプレイヤーが操っている状態でもなきゃ全ての八卦ロボをゼオライマーに破壊させるなんて不可能に近いし。
積極的に八卦ロボ周りの雑魚を片付けて誘導するとか、八卦ロボを倒せばゼオライマーから自由になれると言いくるめるとか、宿命の相手なんだから自分で片付けるように説得するとか、決定的な案はどうにも浮かんでこない。
マサキが出てきてくれれば間違いなく自分で止めを刺してくれること間違い無しだが、そこら辺の人格移植のプログラムはデリケート、下手に弄ってマサキの人格が出てこなくなっても問題がある。
これは実際にゼオライマーが来てから考えないと答えは出ないな。せめてゼオライマーがナデシコに来たら目いっぱい改造して貰えるように、また金塊なり何なりを送りつけておこう。
「あ、鳴無兄!ちょっと来い!」
歩きながらゼオライマーのパワーアップフラグの管理に頭を悩ませていると、工具を片手にウリバタケさんが手まねきしているのが見えた。
整備とかは自力でやっているからあの人とはあまり関わりが無いと思うんだが、一体何の用事だろうか。
「はいはい?ボウライダーもスケールライダーも今の処なんの問題も無いですから放っておいて貰いたいんですが」
「お前なぁ、俺は仮にも整備全般を任されてる身だぞ?いくら機体専属のパイロットに整備しなくていいとか言われたからって、はいそうですかと頷けるもんじゃねぇんだよ。例え実際に何の不備も無かったとしてもな」
そういうもんか、技術屋の信条というのもいまいち分からんな。どっちかって言えば責任感の問題なのか?
火星に到着するまではこういう固い事を言うタイプの人でも無かったから、軍と協力するようになって契約内容が変わってしまったというのも原因の一つだろう。
「で、そこまで言うならボウライダーのデータ取り位はしているんでしょう?今さら突っ込みを入れるところでは無いと思うんですが」
初期のプレーンな強化ボウライダーのデータを取られていないのは美鳥が確認済みだし、予備動力のオルゴンエクストラクターとか相転移エンジンは出撃前に複製を作り、艦に戻る直前に消しているので怪しいところは見つかりようが無い。
ウリバタケさんの取ったデータ上では、ボウライダーは良く分からないエネルギーで動き、どことなく超合金ニューZによく似た素材を装甲材に使い、木製蜥蜴のジャンクから取り出して強化したように見える重力制御装置を搭載した普通の機体だ。
充分怪しい?そんな事は無い。いざとなれば最後の手段として、実はこれを作った博士はウィスパードだったのかもしれませんという言い訳があるのでどうとでもなる。もう死んでるから確認できませんとか言っておけばなお良し。
「ああ、まぁなんだ、俺も今さら装甲だの動力だのに突っ込むつもりはねえんだよ。それよりも、だ」
ウリバタケさんの視線がボウライダーの肩のあたりに注がれる。オリジナルのボウライダーよりも分厚くなっている肩の辺り、ここは装甲を剥がすといかにも何か取り付ける為の物ですと自己主張するコネクタが付いている。
これから武装を追加する時の言い訳の為にこっそりと追加した部分なのだが、今の処デビルガンダム以外にはさほど苦戦していない為、追加武装を付けるタイミングが無い。
少し前、ヘリオポリスが破壊された直後なら怒りに任せて右肩に陽電子砲、左肩にグラビティブラストなんて超兵器作って技術だの材料だのの出所を妖しむ輩は片っ端から脳みそ弄繰り回して洗脳して――、とかやれそうだったが今はそこまでテンションが上がっていない。
どうせロウの居るジャンク屋もサーペントテールも探せば見つかる連中だし、どうしても取り込みたくなったらナデシコを抜けた後にでも探しに行けばいい。その方が強化したアストレイを取り込めてよりお得でもある。
仮に付けるとしたらという仮定の元、少し大人しくした代案としてプラズマ発生装置を大型化して俺の身体から取り出し、ここに接続してマグラッシュ的な必殺技にでもしようと考えている。威力的には十分目を見張るものがある筈だし、愛着もある武器なのでどうにかしたいとは思っているのだが。
他にも設定資料集に書かれているアマンダ専用パラディンみたいに反重力推進装置を追加して更なる高機動化を目指すとか、盛大にばら撒けるミサイルを乗せるとか案だけは沢山ある。
「追加武装用のコネクタですか」
「あれ、何積むかは決まってんのか?」
「んー、そうですねぇ」
まぁコンバトラーもパワーアップが始まるし、適当に強化しても目立たないかもしれないが、派手に追加パーツとか付けまくるのも目立ちそうで嫌だ。お金を稼ぐ為にナデシコに乗っているって設定に矛盾してしまうので怪しまれかねない。
ん、そうか、この人に頼めばどうにかなるかもしれん。機体そのものを任せる訳じゃないし、何か変な欠陥があったらこっそり中身を作り替えればいい。
整備員の皆様の厚意で作られた材料費ゼロの追加武装、とでも言っておけば全く問題は無い筈だ。ASを勝手に宇宙戦使用に改造するくらいだしその程度はやってもおかしくは無いだろう。
「図面もパーツも殆ど出来上がっているから、あとは殆ど組み立てだけなんですよ。いざという時の為に、こんな事もあろうかと!って感じで完成させておきたいとは思うんですけどね」
いざという時の為、こんなこともあろうかと、という言葉にウリバタケさんの耳がピクピクと動く。
「ほぉう?で、パーツだの図面だのはどこにあんだ?いや、唯の興味本位なんだけどよ」
「今はまだナデシコに積んでいません。今回ナデシコの整備でしばらく足止めですから、ついでに届けてくれるように頼んでおきました。まぁ、早いうちに届いてくれればゆっくり組み立てられるでしょうしね」
そうかそうかと怪しげな笑みを浮かべながら頷くウリバタケさん。ナデシコに居る間に何か作りたいならこいつらを出汁に使えば簡単に話が進みそうだ、今後利用する機会があるかは分からないが覚えておいて損は無いだろう。
―――――――――――――――――――
■月×日(天気は晴れたり曇ったり、雨は少ない。やることも無い。それっぽい宇宙人が降ってくるかもしれないけどあまり興味も湧かない)
『つまり総じて暇、やることが無い。訓練自体はいつも通りこなしているし、食堂で他の連中と駄弁ったりもしている。毎日15時には欠かさずメメメに餌付けをしているし、その度に統夜やカティアと世間話でまったりしている』
『それでもやることが無い、と感じてしまうのは何故か。それはこれからしばらく積極的に取り込みたいと思うものが出てこないからだと考えている』
『ブレンパワードやグランチャーといったアンチボディも素材としては面白いが、こいつらは文字通り掃いて捨てるほど幾らでも湧いてくるので簡単に手に入ってしまう』
『それこそ偵察任務中に見つけて適当に取り込めばいい話だし、なんなら取り込まなくても構わない。そもそも科学寄りの存在ではないから取り込んだところで急激なパワーアップが見込めるというものでも無い』
『前回の日記で八卦ロボについて書いたが、正直な話攻略法もクソも無いごり押しで勝ててしまった。流石は風のランスター(笑)、原作ですらゼオライマーのメイオウ攻撃一発で蒸発しただけのことはある』
『いや、そもそも原作(OVA版)では鉄甲龍の八卦ロボはほぼ全て一撃で撃破されているので風が特別弱い訳では無い。それを言うならゼオライマーは主人公がフル改造のラスボス機体に乗っているようなものだし』
『俺の魔改造ボウライダーとの機体サイズ差的には酷いことになっていたのだが、そもそも接近戦を挑む訳では無いので余り問題は無かった。むしろサイズ差よりも機動性が高かったせいで微妙に当て難かった事の方が印象に残っている』
『当て難かったとはいえそれは機体サイズの割には、という程度のものでしかない。幾ら速いとはいえ相手はコンバトラー程の大きさ、しかも慣性を無視した不可思議な軌道で飛ぶ訳でも無い。慣れてしまえば少し動くただの大きな的、未来位置を予測して撃てばサクサク当たった』
『装甲もそこらのリアル系ロボット並み、危うく俺が撃墜してしまうところだったが、俺やエステ隊、ダンクーガなどの攻撃でスクラップ寸前になった処で自分からゼオライマーに突撃、この世から跡形もなく消え去っていった。無茶しやがって……』
『あ、でもあいつ出撃前に幽羅帝とベッドの上でにゃんにゃんしてたんだよな。人が姉さん分の補給に苦労しているというのになんて奴。憐れむ必要性は欠片も無い、風ざまぁ』
『今回の戦いで気付いたが、マサキ搭乗ゼオライマーにとどめをやらせると文字通り塵一つ残らない。これでは八卦ロボの残骸を回収するしない以前の問題だ』
『こうなったら意地でも全ての八卦ロボをゼオライマーに撃墜させるしかないな。それでいてそれ以外の時は出撃しないでもいいようになんとか取り計らってみる!』
『……無理かなぁ、無理臭いよなぁ。特に出撃関連、あの強力なゼオライマーを八卦ロボが出ない限り出撃させないとか有り得ないだろ常識的に考えて』
『しかも整備に掛かる費用はナデシコ持ちじゃなくてラストガーディアン持ちだとか。これは詰んだな、こんな経済的な機体、絶対プロスさんとかが放っておかない』
『なんだかなぁ、どうにも上手くいかないって気がする。ゼオライマーはまだナデシコに乗ってすら居ないし、肝心の次元連結システムは取り込む方法すら思いついていない』
『書いてて気が滅入ってきた。他の話題に切り替えよう』
『風のランスターとの戦闘の後、行方不明だった兜甲児がマジンカイザーに乗って帰って来た。本人は今だ意識不明だが、三日も経ったのでそろそろ目が覚める頃合いだろう』
『ついでにこっそりとあしゅらマジンガーとかいう凄いイボイボが大量に付いたいやらしい敵も出てきた気がするが、こいつはいつの間にかシャイニングとコンバトラーに撃墜されていたのでいまいち覚えていない』
『暴走して光子力研究所に攻撃するカイザー。ゲームでは少し苦労したような気がするが、十分の九殺しにしなければ止まらない筈なのにみんなで囲んで袋叩きにしたら直ぐに止まった』
『ここまで戦った機体で初めて電磁速射砲で穴が開かなかったから凄いドキドキしたのだが、こいつが味方戦力としてカウントされるとか余計に戦闘の難易度が下がって退屈になってしまう』
『こんな俺TUEEEな機体が自軍に大量に居るとか、改めてスパロボの主人公チームはチートだと思い知らされる』
『これからサセボシティで買い物をして、みんなで光子力研究所へお見舞いに行く事になっている。できることなら解析中のカイザーの見学もしておきたいものだ』
―――――――――――――――――――
光子力研究所の廊下、メディカルルームへの道をナデシコクルーがぞろぞろと歩いている。これが全員兜甲児へのお見舞い客なのだから仲間思いではないか。
サセボの街で買い物を済ませ、未だネルガル重工のドッグに停泊中のナデシコから各の機体で光子力研究所まで移動してここまでやってきた。
基本的に全機飛行可能だったので確認できなかったが、最新機のエステ二機と軍規格品ではないロボットが二機も空を飛んでいたのだ、何事が起っているのかと地域住民の皆様は戦々恐々とした気分になったのは想像に難くない。
まぁそんな事を気にしていたらスパロボなんて始まらないのでスルーして甲児の見舞いだ。見舞いとして品はメメメ持参の大量のお菓子、あとは俺と美鳥が適当に暇を潰せそうな物を幾らか持ってきている。この時点では甲児が起きている事を知らないので見舞いの品が少ないのは仕方がない。
因みに俺は表紙を適当なバイク雑誌と表紙を科学系雑誌のものと差し替えたエロ本とフルーツ盛り合わせと、本の間にさりげなく挟まれたコンドーム。
美鳥は古道具屋で見つけたルービックキューブのパチモノとジュース数種類、そしてそれらの隙間にこっそり紛れ込ませた避妊薬。俺も美鳥もそれなりに気遣いの心得はできているつもりだ。
「なぁ、やっぱり果物は要らないんじゃないか?まだ甲児くんも起きてるかわからないんだしさ」
「起きてなきゃ起きて無いで研究所の皆さんへの差し入れにもなるだろ?無駄にはならないって」
手ぶらでやって来たテンカワは俺や美鳥やメメメの見舞いの品を見て、自分も何か持ってくるべきだったか少し不安になっているようだ。
一人一人が見舞いの品を持ってくると返って邪魔になるから、ナデシコのみんなからの見舞いの品ということで高めのフルーツ盛り合わせにしてあるから気にする必要も無いんだがな。
友人でもあるボスはともかくスバルとかも明らかに手ブラなのに気にした風も無い、少し位は図太くなるべきだろう。
「つかこれ、全部経費で落ちるし。起きて無くても差し入れを断られても損は無いぞ?」
「メルアも見舞い用ってことにしてお菓子経費で買いこんだしなー」
「ちょっと美鳥ちゃん!言わないでって言ったじゃないですかぁ!」
ちなみにメルアが今背負っている小さめの背負い鞄の中に詰まった大量のチョコやクッキーやキャンディー、その五倍程のお菓子類がこっそりとメメメのベッドの下に隠されているらしい。
経費の使い込みだ。そこら辺は貴重な戦力だから多めに見てくれるかもだが、後々プロスさんから説教を受けるかもしれないな。主に統夜とカティアが。
「何を持ってきたのかと思ったら、お菓子ばっかりそんなにいっぱい……」
「まぁそっちは甲児が起きて無ければお持ち帰りなんだろうけど」
「そ、そんなこと、無いです、よ?多分」
「せめてそこだけはしっかり断言しろよ……」
額に手を当て溜息を吐く統夜。まぁ普段コンビを組んでるカティアはボケないので偶にボケ役と化したこのメメメと組むと疲れるのかもしれない。
そうこうしている内にメディカルルームに到着した。先頭に立っていた兜シローが扉を開ける、するとそこにはベッドの上で弓さやかに押し倒される兜甲児の姿が!
メディカルルームに少し踏み込んでいたシローの襟首を掴んで廊下側に引き戻し、持っていた俺と美鳥の分の見舞いの品をそっと中に滑り込ませ、素早く扉を閉める。この間僅か三秒。
みんなの方に振り返って、一息。
「お取り込み中らしい。少し時間を置いてからまた来よう」
扉の向こうに見えた光景から、それぞれ適当に自分の中で結論付けてくれたらしく大きな反論は無い。
「そ、そうだよな。邪魔しちゃ悪いもんな」
「えー、もっと詳しくみたいよー」
「くっそう、なんであいつばっかり!羨ましいじゃねぇかよ!」
「あ、じゃあこのお菓子は持ち帰っても……」
「研究所の人たちの邪魔にならないように適当に一、二時間ぶらついて、それから改めてお見舞いってことで」
何だかんだ言いつつメディカルルームから離れていく皆に混じり、さりげなく見舞いの品を持ち帰ろうとするメメメ、そのセリフを途中で遮り今後の予定を決める。この中では一応年長だし、少し仕切っても問題は無いだろう。
「だってさ」
「あう」
メメメが少しへこたれているが気にしない。ゾロゾロと元来た道を戻りながら時間つぶしのネタを考える。近づけるかどうかは微妙だが、どうせ暇つぶしなら解析中のカイザーを見に行くってのもありだな。
「ファブリーズとか用意しといた方がいいのかな……」
テンカワが微妙な発言をするが、いくらなんでもその気遣いの仕方はアウトだと思う。むしろ去り際にさりげなく、この部屋なんか変な匂いがしますね、とかメメメ辺りに指摘させるのが一番効果的なやり方ではないだろうか。
俺とて恋人たちの逢瀬を邪魔するほど野暮でもない。ゲームでは主人公達の乱入でうやむやになったが、このまま二人っきりで放置しておけば間違いなくなんとも表現しがたい、しいて比喩表現するならば甲児がさやかにパイルダーオンしたりされたりといった事態に発展するだろう。
からかうなら実際に事が起こってから。殺人未遂犯を捕えるよりも殺人犯を捕まえる方が劇的で面白い大手柄なのである。
「普通そこまで気を使われると微妙な気分になるぞ。部屋に入ってからさりげなく窓を開けて換気する程度でも大分――」
「ちょっ、ちょっとまった!なにも無い!お取り込み中じゃな、痛~~っ!」
メディカルルームから慌てて飛び出してきた甲児によって俺の気遣い講座は中断。改めてお見舞いを再開することになった。無理せず恋人とイチャイチャしていればいいものを。
―――――――――――――――――――
■月○日(オーガニック的な何かが降ってきた。オーガニックって何さ)
『元の世界で下調べしたら、有機栽培の食料や繊維、科学飼料を与えていない動物。とのこと』
『余計に訳が分からない、オーガニック的な何か=有機的な何か?オルファンとかアンチボディが生き物だからそれ繋がりか?』
『そういえば元の世界の隣町のスーパーで売っていたメロンにクインシーとか書かれていたが何か関係があるのだろうか。考えれば考えるほど謎は深まるばかり、人類には少しばかり早すぎるようなのでこの話題はここまで』
『前回の日記の後ボルテスⅤが合流したが、現時点ではコンバトラーのバリエーションみたいな扱いなので取り込んではいない。超電磁ボールを効率よく使えるようになってから改めて融合させてもらうつもりだ』
『Jの原作では少し前にナデシコのメインコンピューターがイカレて味方に攻撃を始めるイベントで一話消費するのだが、そうなる前に連合軍を敵と見なす記憶を部分的に封印してやったのでそのイベント自体が起きて居ない』
『因みにオモイカネに対してハッキングした形跡は残っていない。まさしく俺のログには何も無いな、といった状態だ。機械相手だと話が早くて助かる』
『更に数時間前、グランチャー部隊とデビルガンダム軍団と交戦し今に至る。マスターアジアではないが、周りに主人公チームが居る状況ではグランチャーの捕食もままならない。結局何事もなく全機普通に撃破して戦闘を終えてしまった』
『デビルガンダムが町に突撃をかまし、それをユウブレンがチャクラシールドで弾いたのには驚いた。これが生き物の可能性、オーガニック的な――堂々巡りになるからやめておこう』
『現在はデビルガンダムに破壊された町の瓦礫の山を撤去中、俺はそれなりの量の瓦礫の山を撤去したので休憩しているところだ。面倒な作業の合間に振舞われるトン汁は中々に心温まるものがある』
『ブレンパワードに出てくるらしい施設の人たちが作ってくれたトン汁が中々美味しい。しかしこういう家庭の味、とでも言うようなものを食べるとどうにも家が恋しくなってしまう。もっとも、さっきから一人でがつがつと何杯もお代りを食べている奴を見ていると、どうしてもしんみりとした気分にはなりきれない』
『統夜は瓦礫の撤去という細かい作業なのでカティアをサブパイにしていた筈だから、こいつは本気で何もしていない。なんでそこのところを気にせずに大量にトン汁を食えるのか』
『戦闘後は腹が減る筈のDボウイですら三杯目はそっと出して居るのに、こいつは一体何杯お代りするつもりなのか』
『さて、トン汁を食べながら日記を書いていたのだが、これ以上ゆっくりしていると流石に怒られてしまいそうだ。このトン汁を食べ終わったら撤去作業に戻ろうと思うので、今日の日記はここまでにしておく』
―――――――――――――――――――
日記帳を閉じ、ジャケットの懐に入れ、トン汁の入っていたお椀を施設の人たちに返し伸びを一つ。たまには青空の下で日記を書くのも乙なものじゃないかと思ったが別にそれほどでも無かったな。
休憩している間に大分瓦礫も片付いたようではあるが、見たところまだ人力だけでどうにかできるほどでは無いレベル。もう一仕事だな。
「あの、ちょっとすいません。美久を知りませんか?」
ボウライダーに戻ろうとした時、後ろから声を掛けられた。ゼオライマーのパイロット、秋津マサトだ。
OVA本編の最終回後、大冥界に行った後は追手を撒く為に平気でごみ箱に隠れたり、鉄甲龍の本拠地にリポーターとして突撃する逞しい少年になるのだが、今はそんな雰囲気は微塵も感じられない。
まぁそんな事を言ったら美久だってちょっとドSな普通の女の子になるし、ゼオライマーだって美久とセットで普通に通販で買えてしまえるようになるのだからして、今からその片鱗が見えることはそうそう無いのだろう。
「ああすまん、氷室ちゃんなら女性陣が連れてったぞ。戦闘で汗かいただろうからナデシコの風呂に入って行こうとか強く誘われて」
主に美鳥が強く誘った。歳が近い同年代との触れ合いが少ないからそこら辺は寂しがり屋だとかそういう設定で通してあるからこういう時は相手を断り辛くさせることができるのだ。
というか、そういう設定で通して来たのはこの時の為だとかどうとか。風呂場でお肌の触れ合い(いわゆるお約束的お風呂イベントで女湯から声だけ聞こえてくる感じのあれ)を使ってスムーズに次元連結システムと取り込むんだとか。
容量不足に陥った後の処理は、長湯し過ぎてのぼせたとでも言って自室に運んで貰えばいいという完璧な計画らしい。割とおおざっぱだがとりあえず目的を果たせるから完璧なんだとか。
方法の良しあしはともかく、この世界で最低限手に入れておきたかったものはこれですべて揃う事になる。後は少し先になるが、難易度の高い隠し機体とか火星遺跡中枢ユニットとか相転移砲とかカイザースクランダーとかB・ブリガンディとか月が少し気になるぐらいか。
最悪これらはエンディングの後にこっそり盗み出すという手も無い訳では無いし、これでもう何時主人公チームから抜け出しても殆ど問題は無い。
まぁ、どれを取るにしても主人公チームにひっついていくのが一番楽ではあるのだが……。
「そうですか、どうしようかな……」
少し高速で考え事をしていると、目の前でマサトが考え込んでいる。ここまでの戦闘では全て美久との二人乗りだったため、自分ひとりでゼオライマーが動くか不安なのだろう。
まぁ破壊された町の後片付け程度なら次元連結システムが無くても余裕だろうし、労働力としてきっちり働いて貰いつつ親交を深めておくか。
「どうしようも何も、機体まだ動かせるなら瓦礫の撤去の続きだろ。お椀返したら機体に戻るぞ。瓦礫を拾っては適当な位置まで移動させるだけの簡単な仕事。戦闘よりは気が楽だろ?」
天下のゼオライマーで町の復興作業なんてシュール過ぎる光景だが、50メートル級の機体だと大きな瓦礫も楽に撤去できるから以外に重宝するのだ。
それにゼオライマーはラストガーディアン所属だから国の所有物。こういう復興作業に駆り出されても実際なんらおかしなところは無い。見た目以外は。
「そう、ですね。帰還命令も出て無いし、殺し合いよりはよっぽどマシか……」
「そうそう、ささっと片付け済ませてお前もナデシコ寄っていけよ。ちょっと休んでいく位ならラストガーディアンの人達も文句は言わないだろうし」
「え、いいんですか?」
「氷室ちゃんも今ナデシコの風呂使っているんだから大丈夫だって」
「なんかもう本当に、いろいろとありがとうございます」
素直な良い子だ。これがマサキだったら、『俺に指図するな!だがトン汁の礼に町の瓦礫を掃除してやってやらないでもない』とか捻くれた返事をするに違いない。
ふむ、こうして考えるとマサキも性根は極悪非道ではあるが中々のツンデレ。そもそも人格の移植プログラム自体が不完全なものだからあの人格が発現する時期は限られているし、できればマサキ人格の時に少し話してみたいものだ。
いや、ゼオライマーを取り込めば木原マサキの記憶とか知識とか思考法の記録も手に入るし、脳内でシミュレーションすることもできるかもしれない。
あ、でもここの木原マサキってウィスパードなんだよな。脳味噌に囁きが聞こえるタイプの人は少し気持ち悪いかも。いや、流石にデータ上の人格のコピーにまで影響があるとは思え無い、取り込んでもさして問題は無いか。
考え事をしつつボウライダーに搭乗し瓦礫の撤去作業を再開。合間合間でマサキとしょうもない雑談を交わす。ラストガーディアンは飯の盛りが少ないとか、美久は変なタイミングで微笑むとか、やっぱり苦しそうな表情でもがく少年の姿が好きなんだろうな、などなど。
秋津マサトは基本的にナデシコクルーに対してそれなりに友好的だ。最初にラストガーディアンに連れてかれた時は拉致監禁の上に目の前で親に売られている為、それなりにまともな倫理感を持っているナデシコの連中はとてもまともに見えて少し安心しているのだろう。
このお陰で俺も楽に友好関係を築くことが出来ていい感じだ。一緒に何度か戦う以上それなりに連携は取っておきたいし、変に警戒されてゼオライマーに触れないとかなったら面倒極まりない
最終的にラストガーディアンは人手不足、氷室美久は隠れSという結論が出たところで破壊された町の後片付けは終了。未だに氷室美久が帰ってこないのをいいことにゼオライマーを伴ってナデシコに着艦した。
ゼオライマーもどうしてか分離もせずに50メートルフルサイズで格納庫に収まってしまった。もう細かい物理法則は気にしない事にする。いちいち突っ込んでいたらキリがない。
ボウライダーから降りてゼオライマーの脚に手を付いて融合開始。50メートル級か、ダンクーガにはやってないからコンバトラー以来の大物だな。
ゼオライマーの脚の背をもたれ、背後に隠すように後ろ手にゼオライマーの装甲に手を触れる。ぐじゅ、と肉を潰すような音を立て俺の手の形が崩れ、融合が開始されていく。
「おーい、まだかー?」
「ちょっと待って下さい、なんだか開かなくて。おかしいな……」
コミュニケでゼオライマーに通信を入れてみたがどうにも映像と音声が汚い。やっぱりこの世界でも十五年も前に作られた機体だからか通信機も少し型遅れのもののようだ。
マサトが降りるのに手間取っている内に機体データ取り込み終了。あとは美鳥が次元連結システムを取り込めれば最大の目標は達成したも同然。
取り込んでみて初めてわかる。次元連結システムこそ積んでいないが、これは単体でもかなり価値のある機体だ。なにしろこの機体、BASICで動いているのだ。
流石は十五年前の機体、この感動をなんと表現しよう。今まで取り込んだロボット群がドラえもんのひみつ道具を見た時のような感動だとするならば、こちらはどこのご家庭にも存在する材料で作れるキテレツ大百科の道具を見せられたような不思議な感覚とでも言うべきか。
しばらくこの素晴らしい機体に触れていたいという心を抑え、ゼオライマーからゆっくりと手を放す。手と機体が半ば融け合うように融合している場面なぞ見られたらまた嘘設定を考えなくてはいけなくなる。
「卓也さん、ちょっといい?」
テニアからの通信。こいつも今回サポパイから外れていて暇だったので他の女性陣と一緒に風呂に向かっていたはず、つまりこれはあれだな。
「どうした、美鳥が長湯のし過ぎでのぼせたから看病しろとかそんなんか?」
俺の言葉にテニアが目を剥いて驚く。こいつはいちいち表情が無駄に豊かだ。J組がOGに参戦したら一番顔グラのバリエーションが豊富になるかもしれない。
「すごい、よくわかるね」
そりゃ予定通りだからな。とは言えないので予め美鳥と打ち合わせていた通りのいい訳で誤魔化す。
「どうせ誰かの長湯につきあってそのままクラッといっちまったんだろ?いつものことだ。こういう場所でもなきゃ同年代の同性との触れ合いとかできないからはしゃいでるんだろ」
「あー、風呂場でぺたぺた触ってくるのってそういう理由なんだ……」
当然そういうキャラ作りの為であってレズっ気がある訳では無い。人づてに聞く限りでは大きな胸に対して妬ましげな手つきで揉みつぶそうしてくるらしい。
あたしも本当ならこれくらいは……とか呟きながら半眼で巨乳の女性に対して迫っていく姿はどことなく憐れみすらさそう程の必死さだとか。
当然これも演技――とは言いきれないが、数割本音が混じっていた方がよりリアリティが増すのでここは華麗にスルー。
「誰にひっついてたか、ってこれは聞いたらセクハラだな。すまん」
「うん、まぁやられた本人も気にしないでいいって言ってるからね」
テニアの映っているウィンドウの後ろの方に顔を赤く染めた氷室美久が映っている。漫画原作版では無いからエロにあまり耐性が無いのかもしれない。
「一応自力で部屋まで戻ってたんだけど、ついでにお兄さんを呼んでおいてって」
「把握した。手間かけさせちまったみたいで悪いな」
「気にしないでよこれくらい、じゃ、美鳥にヨロシクね」
テニアの映っていたウィンドウを閉じ、マサトのウィンドウに向き直る。
「そんなわけらしいから案内できなくなっちまった」
「いいですよ。気にしないで妹さんの方に行ってあげてください」
「悪いな。機会があったらナデシコの食堂で飯くらいは奢るから、今日は適当に艦内を探検でもしててくれ」
そして、残ったマサトのウィンドウも閉じる。
長湯でのぼせる、というのは俺や美鳥の肉体では起こり得ない現象だ。つまりこれは間違いなく氷室美久とのお風呂での触れ合い中に次元連結システムの構成情報を取り込んで起きた熱暴走。
見事だ。なんかもう上手くいき過ぎだしその上美鳥が一々お手柄過ぎて、これは何か御褒美の一つくらいはあげてしかるべきかもしれない。
そうだな、まず次元連結システムのデータを受け取ったら真っ先に美鳥に組み込んでやろう。そろそろ体を構成するナノマシンの書き換えもしないといけないし、いっそ一度美鳥の身体を取り込んでオリジナルのDG細胞にも対応させて――
美鳥の強化プランを頭に思い描き、途中ですれ違うパイロット仲間やクルーの人たちと挨拶をかわしつつ、美鳥の部屋へと歩き出した。
続く
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風のランスターさんは省略。現在原作第十六話まで終了。そして無理矢理話しを途中でぶった切ってまで前回引いたのにあっという間にテッカマン軍団の出番は終了。
でもいいんです、どうせ主人公にとって量産型テッカマンなんてちょっと便利なバッタレベルの下っぱ扱いですから。
因みに量産型テッカマンのスペックメモ。
・ボルテッカ、テックランサー、ワイヤー、クラッシュイントルード、自爆ボルテッカなど一般的なテッカマンの能力全般が使える。コスモボウガンも一応使える。
・下級デモニアックとしての能力として、機械への融合と乗っ取りなど。連合のMSとかならひっついただけで無力化出来てしかも乗っ取れる。
・HPはストーリー序盤のボス程度。
・敵として出てきた場合、一マス以内に移動されると自爆して防御無視大ダメージ。
ついでにサポAIテッカマンも。
・主人公お手製強化済みシステムボックスの光=物質変換機能により装甲の硬さ、高性能ブースターの出力は最初からブラスターテッカマン並み。
・武装はほぼブラスターテッカマンブレードに準拠。ボルテックランサーはEN消費無し。
・この状態から更にノーリスクでブラスター化可能。
タイトルにチート主人公とか書いておいて主人公の下僕やサポAIのがよっぽどチートに見えてしまう。これも実は乾巧って奴のせいなんだ……。嘘ですが。
主人公はまだしばらく正体を隠したままの集団生活でストレスをためて貰います。チート力を爆発させるのは多分スパロボ編最終回か最終回一話前あたり。遠い……。
そこに至るまでの話では、前回のブラスレ編で貰った「ストーリー性的な部分が中途半端な状態になりそう」という意見を元に、ラストを盛り上げる為の下地作りに使う予定です。
まぁこの主人公だと、貰うもんだけ貰ってささっと帰っていってしまう、いわゆる投げっぱなしな話になってしまうので、そこんところはサポAIに巧みに誘導させる感じで。
それにせっかくの集団行動、ナデシコのクルーと仲良くやってるイメージを表現していけたらなと思っています。他意はありません。
そんな訳で途中までは盛り上がり所は極端に少なくなってしまいますが、それでもよろしければ気長にお付き合い頂ければ筆者もなんだかだんだん気持ち良くなってそれでそれで、といった感じで喜びます。
以下セルフ突っ込みタイム。突っ込みや回答ですら無いものも交ざってるけど気にしないでほしいです。
一人称じゃない部分があるけどなんなの?ごちゃまぜなの?
↓
三人称を少し使ってみたかったので。その内戦闘シーンとかでも三人称使うことがあるかも。
動きをトレースした程度で流派東方不敗ってマネできるもんなの?
↓
ジェスターガンダムとそのファイターって何気に凄いですよね。ジョルジュがヌケ作だという説もありますが。ステカセキングとかもいいデザインだと思います。
ボウライダーのデータ取りされてるけど?魔改造はばれないの?
↓
火星から帰ってきてネルガルとの契約内容が更新されてそこんところが厳しくなりました。そんなわけで度々データ採取されているため今は下手に新機能を追加できません。性能的にはヘリオポリス出た辺りから変化無し。
超合金ニューZに似た素材?そのまま使っているんじゃないの?
↓
「取り込んだジムがガンダム並みの性能に!」という二話で明かされた超設定のお陰。
ブレードは超合金ニューZの切れ味とか強度を試すために元の性能で複製しているけど、装甲に使っている素材は実はニューZαに近い強度だったり。
精神コマンドの使い方は?
↓
説明できませんでした。説明できるようなイベント=主人公が精神コマンドを使うような強敵との戦闘が必要となりますので。
予告の風呂は?○○ちゃん胸おっきいなー♪みたいなイベントは?
↓
書いてる時にエロい気分じゃなかったのでカットしました。興奮して思わずエロ風呂シーン書きたくなってしまうようなお風呂シーンのある作品教えてください。
主人公に敬語使う奴多くね?主人公マンセーな話なの?それとも距離を置かれてるの?
↓
主人公の年齢、大体22から23程度です。社会人なら若造だけど、スパロボチームだと歳食ってる方に分類されるんですね。で、年上にはとりあえず敬語って感じで。あとは話すキャラが基本的に礼儀正しい人ばっかなので。書き分け難い……。
原作主人公チーム内での主人公の人間関係は?描写足りなくね?
↓
統夜及び三人娘とはそれなりに仲良くやってます。というか、仲良さそうに描写できてますか?そこら辺の意見求むす。
統夜たちとは第一話からの付き合いで、何より戦闘時の敵との間合いが似たり寄ったりなので援護したりされたりで補正が掛かったりするレベルに親密です。
それ以外は初期火星行きメンバーのマジンガー組とコンバトラーチームとそれなりで、エステ隊とも軽口を言い合えるレベルにはなってます。サポAIも似たようなものですがこいつはDボウイにやや苦手意識を持たれてたり。それ以上いけない。
こんなところでしょうか。他に突っ込みどころを思いついたらどしどし感想欄のほうにお知らせください。
次回予告、の代わりに感想掲示板で言われた主人公等の精神コマンド。
鳴無 卓也(おとなし たくや)
愛 レベル1
覚醒 レベル5
不屈 レベル15
集中 レベル20
狙撃 レベル30
直撃 レベル45
主人公の精神コマンドは一話から五話までのイベントに対応。
何よりも先に存在する姉への「愛」
腕切り落とされて生命の危機、隠された力に「覚醒」
妖怪に囲まれてもサポAIに追い詰められても姉の為なら「不屈」
原作イベントには目もくれず能力収集に「集中」
腕を荷電粒子砲に作り替えてICBMを「狙撃」
見事ICBMに「直撃」
といった感じで、最大SPは平均よりやや高い程度。理由に無理があっても気にしない方針でいきます。ついでにサポAIの精神も。
鳴無 美鳥(おとなし みどり)
かく乱 レベル1
献身 レベル5
激励 レベル15
脱力 レベル20
突撃 レベル30
愛 レベル45
前半三つはサポAI標準装備的な精神で、脱力だの突撃だの愛だのは鳴無美鳥という人格が形成されてから自力で学習したものとかそんな脳内設定。多分本編では語られないあれでそれな感じの。
しかし、設定の羅列だけ見てもつまらないでしょ?とか言っておいて舌の根も乾かぬうちに設定書いてますね、どうしましょう、とりあえずあやまります。ごめんなさいゆるしてください。
このSSの更新が遅いのはゴルゴムからクライシスに移籍してディケイドに変身する乾巧ってやつの仕業でFA。動機は主人公の姉にファイズのオプションを強奪されたから。当然嘘ですただの遅筆です。しかし主人公の姉があちこちから恨み買っているのは事実。
そんな作品でもよければ、作品を読んでみての感想、諸々の誤字脱字の指摘、この文分かりづらいからこうしたらいいよ、一行は何文字くらいで改行したほうがいいよ、みたいなアドバイス待ってます。どしどしお寄せください。
アンケート的なもの
一行空けは止めた方がいいですか?書いてる時は空けた方が誤字見つけやすくていいんですけど、PCから読む場合はどんな感じになるんでしょうか。感想ついでに意見お願いします。