なのはがフェイトと友達になりました。
何を言ってるのかわからねーと思うが俺も何が起こったか分からない。
嘘です、分かります、別の意味で納得出来かねるけど。
順を追って話そう。
まずこの数日、ジュエルシードの反応は今日の一回あったきりだ。つまり随分間が空いた。
ちなみに現在、横島がうちに同居してから数日ほど経っている。その間にくだらない事は色々あったが割愛。
明日、士郎が監督を務める少年サッカーの試合がある、と言えば分かる人は分かるかも知れない。
尤も夜ではなく昼間に堂々とジュエルシードが発動したもんだから、初期被害がでた。
場所が場所だけに、即俺も恭也も参戦出来たから人的被害は大した事なかった(美由希はとっとと帰宅したおかげで参戦出来なかった)のと、ユーノが駆けつけた後の封時結界のおかげで建物などへの被害が抑えられたのも良かったが。
計算外と言えば、フェイトが早々に参戦してきた事だ。
先に結論を言ってしまえばどうもなのは(と俺たち)をジュエルシードを狙って襲撃した「犯人」の方だと思ったらしい。
どうしてそういう結論に至ったのかは兎も角、ドンパチやらかした後、へへやるじゃねーか的展開、ではなく双方が疲れるまでやらせておいて、ユーノが自分の身分とジュエルシードの回収を頼んだ事を告げて戦闘終了。
ユーノとしてはプレシアをどうにかしないと、(いきなり)フェイトとは友達になれないと思い込んでいたから対応が遅れた、という事らしい。
と、いうのもだ。
どうもプレシア、善人っぽいのである、話に聞いた限りでは。
まあそれはいい、正直可能性としてはあり得ない事ではないと思っていたし。
問題は金欠金貸し魔術士の参戦だ。
恭也と互角に戦えるとかどんだけ高スペックなんだ、魔術というチートがなしで。
ちなみにユーノはアルフの抑えに回っていた。こっちはむしろ楽勝だったようである、まあアルフとも付き合い長いだろうし、それは納得なんだが。
ところで、何故金欠魔術士が魔術を無しで戦ったか? 俺がユーノに「無音結界」を作成するよう依頼、それを今回投入した結果だ。
フェイトと一緒にいる以上、いつ敵に回るか分からんかったからな。
戦いは勝形を備え、然るべき後に戦うべし、だ。
音声魔術は音が出なきゃそれで終わりという脆い欠点があるから出来た事。
まさかこんな早く役立つとも思ってなかったが。
魔術という魔術士の最大の武器奪われて恭也と互角とか、どんだけチートなんだこいつは。
尤も、恭也は右肋骨を二本ほど骨折と打撲多数、オーフェンは右の上腕骨骨折及び全身に裂傷と双方かなりの大ダメージを受けているが。
ちなみになのはとフェイト、アルフとユーノは無傷である。勿論非殺傷設定でやり合っていたから。
まあそれなりに魔法どかすか撃ったり喰らったりしてたから疲れてはいるみたいだが。
「しかし牙の塔のキリランシェロにこんな所で逢えるとはな」
後の為にフラグを立てておく俺。
「――てめぇ!」
釣れやす杉w
まあこんな異世界で自分の事知ってる奴がいるとは思わんだろうよ。
ちなみに次元漂流者でプレシアに拾われたそうだ。
「オーフェン、まだ動いちゃ駄目」
「ユーノ君の結界凄いね! お兄ちゃんもオーフェンさんもどんどん怪我が治ってる!」
フローターフィールド・エクステンドというそうだ。
アニメで気絶して落下するなのはを受け止めたあの魔法である。それにフィジカルヒール(即効性の回復魔法)の効果を足したユーノオリジナルの結界魔法の一種らしい。
そういやAsでも防御用結界に回復効果付け足してなのはに使ってたっけか。
もう戦闘は起こってない&けが人が複数いるから防御用ではない結界魔法に効果付与したって所か。
ちなみにここは風ヶ丘高校の屋上である。
全く、こんなトコで暴れてくれるなと言いたい。ちなみにユーノに封時結界を張ってもらっているので、人外とか魔法使いとかじゃない限りは入ってこれないし認識も出来ない。
この街では本当に気休めにしかならない、という事である。
横島? ウェイターとして頑張ってる筈。なんせ俺と恭也がここにいる以上、バイト頑張ってもらわねば。
「しかし…ユーノの魔法は素晴らしいな、もう殆ど痛みがないぞ」
折られた肋骨をさすりながら恭也が感嘆する。
確かに素晴らしい効果だわな。ユーノに言わせると大した事ないらしいが、この世界でなら十分大した事あるわ。
「後十分ほどはじっとしていてくださいね」
学校全てを覆う封時結界を維持しつつ、恭也とオーフェンを癒すサークル系結界を展開。
さらになのはとフェイト、アルフの質問に答えているユーノ。
これからはもっと全力で修行出来そうだな……とか怖い事呟いてる恭也。まあ単純な骨折程度なら問題なく直せてしまう以上、その発言は間違いじゃないけど怖いぞ。
「これから一緒に頑張ろうね、フェイトちゃん!」
魔法少女仲間が出来て嬉しいのか、やたらハイテンションななのは。
ちなみにアニメだと最初はボロ負けに近かった筈の初対戦、今回はほぼ互角で終了。ユーノの教え方がよかったらしい、まあそらそうだ、最初の対人戦が誰と戦うか分かってれば対策も立てるわ。
で、フェイトとアルフも、なのはが魔法手にして一ヶ月どころか一週間程度しか経ってないのに、と大層驚いていた。
ユーノ君の教え方が良いからだよぉとふにゃあと笑うなのは。ふにゃあ。
「とりあえず、プレシアさん、だっけ?
フェイトのお母さんに連絡とりたいんだけど…出来るかな?」
うん、大人の対応だ。これはポイント高――くなさげだな、なのは。うーん?
ああ、自分の事放って余所の女に~か? 仕事の話してるだけだろっていうのは、多分男性的な考え方なんだろうな。
さっきから俺を睨み続けるオーフェンなんだが……こんなトコでバラしていいのかね?
ちなみに俺はアルフ狼Ver.の毛皮に顔を埋めてもふもふしてます、もふもふ。ああもふもふ。
「プレシアなら家に帰ればいるんじゃないか?」
家と言ってもアニメでフェイト達が使ってた、あのマンションらしいが。
時の庭園はどうしたんだか。
「念話で呼び出してみるね」
フェイトはアニメの性格そのもの、か? 何かフェイントがあるかも知れんがとりあえずは問題なさげ?
アルフはもふもふしながら耳の後ろとかしっぽの付け根とか掻いてあげてるから気持ちよさげである。
もふもふ、ああもふもふ。
「しかし…静香がここまで動物好きだとはな…」
黙れ恭也。もふもふの前には全てが無意味なのだ。
「今から来てくれて大丈夫だって」
「まあ待て。
これからと言っても戦闘後だし皆大なり小なり疲労している。
とりあえずは一旦、皆自分の家に帰って一休みした方が良いだろう。
そのあと、翠屋に招待した方が良いんじゃないか?」
本拠地にお邪魔するとかお互いにとっても良くないだろうし。
特に逆行前にあれだけ狂気に踊らされたプレシア見てるユーノとかは、否応なく緊張せざるを得ないだろうし、一旦間をあけるべきだ。
明日に、と言わないのは明日サッカーの試合があるからだ。
シード暴走の現場で話し合いもなかろう。
という事を目線のみで話しかけると小さく頷き返すユーノ。
そしてぷうとむくれるなのは。可愛いのぅ。
そしてフェイトはずっとオーフェンの手を握ってる。
オーフェン×フェイトとかどんな新ジャンルだ。
「もうそろそろ大丈夫ですか?」
「ああ、俺はもうすっかり良い」
「こっちもだ。ありがとよ」
しっかし黒ずくめ、目つき悪い、身長高い、良い男×2とか結構壮観かもな。
サークルが消えると同時にすくっと立って身体を動かし、ボディチェックに入る二人。
「昨日、シュークリーム買った場所、分かるか?」
「ああ、問題ない」「分かります」
ぶっきらぼうなのとおどおどしたのと、二種類の同じ返事が返ってくる。
「そうだな、午後七時頃、翠屋に来てくれ。
夕飯を馳走する。桃缶もつけてやろう」
くくっと笑うと、更につり上がるオーフェンの眦。
どうでもいいけど無表情に近い美人な俺がやるとホント挑発にしか思われんな、狙ったんだけど。
「私たちも一度家に帰ってお湯の一つも浴びたいからな」
名残惜しいがアルフから顔を上げる俺。
前世では動物アレルギーだったからこんな事は出来なかったのだ、始めて転生して良かったと思えたぞ、心から。
その後、転移魔法でユーノがフェイト達を送り、更にモノは試しと俺たちも転移魔法で飛んでみた。
ポゾンジャンプキタコレww やっぱ魔法は便利だねぇ、リンカーコアあればよかったのに。
俺たちの到着場所は自宅の庭――ではなく道場の中。誰に見られるか分からんしな、庭先だと。
「さて、一っ風呂浴びるとするか。なのはも入るか?」
「うん! ユーノ君も一緒!」
「えええ!?」
今度は流石に汗を流したいからな、まあ俺は裸見られる位何ともないけど、ユーノは気まずいだろうなぁ。
だが一緒に入れる。
「恭也も一緒に入るか?」
「断る!」
つまらん奴だな。
****
「むう…静香お姉ちゃんおっぱいおっきい…」
なのはよ、色気づくにはちと早いぞ。
そして居心地悪そうにそっぽ向いてるユーノ。三人、湯船に浸かってます。子供二人と大人一人、でももう二人くらい入れる程度に余裕。でかい風呂はいいねぇ、人類が生み出した文化の極みだよ。
そういやあのホモはいるのかね。どうでもいいけど。
「私としては別に必要のないものだが、まあ大きい方が世の男性諸君は喜ぶ事が多いな」
俺も前世でこんだけの巨乳&美人な彼女がいたら泣いて喜んでたよ、全く。
しかし自分のじゃなあ…揉んで気持ちよくない訳でもないが、むしろむなしいしなぁ。
「おっぱいがお湯に浮いてる…」
ちなみに大きい乳房はマジでお湯に浮く。ある程度大きさが必要だけどね。
「あたしもお姉ちゃん位大きくなるかなぁ?」
「ユーノが好きな大きさなら小さくても大きくてもいいんじゃないか」
「そっか! ユーノ君はおっぱいは大きい方が良い? 小さい方が良い?」
何という拷問ww
「えーと…あの…好きな人のおっぱいが一番好きになれるかと…」
優等生やね。顔まっかだけどw
「まあ、なのははアレだ、母さんの子で私の妹なんだから、放っておいてもそれなりに大きくなるさ」
確か結構なサイズになってた筈、Stsでは。このなのはがどうなるかは知らんけどな。
「うん!」
まあ巨乳は巨乳で苦労するんだがな。何処行っても視線感じるわ下手に運動すると胸が痛いわ(下手すると胸の毛細血管が切れて真っ青になる、ガチで)可愛い下着はないわ(元男としては別に構わんけど)でまあ良い事はあんまりないんだよな。男と付きあえばまた別の意見も出るだろうが。
「わっ! ユーノ君が真っ赤に!」
「のぼせたか」
やれやれ。逆行してきた割にはうぶだねぇ。それも魅力といえば魅力だが。
とりあえず温めの水シャワーで攻撃か。
****
「お兄ちゃんあがったよー」
湯上がりぽかぽかななのはが居間のソファーに座ってテレビを見ていた恭也に抱きつく。
「なのは、髪を乾かしてからにしろ」
ほれ、と複数あるドライヤーの一つをユーノに放る。
俺も自分の髪を乾かさねばならんのだ。始めての頃、寝る前に風呂入って面倒くさがってドライヤー当てずに寝たら布団が凄い事になった過去が忘れられん。朝起きたら子供のお漏らしなんて目じゃない位濡れてたぜ、布団が。
「ほらなのは、こっちにおいで」
「はーい」
ユーノの前にちょこんと座るなのは、そして大事そうになのはの髪にドライヤー当てるユーノ。
なんというラブラブ空間。恭也も大人げなく睨むな。
「早く入れ馬鹿兄」
俺もテレビを見ながら髪を乾かす、その時衝撃の映像が!
「赤コーナ~~! 355パウン~~~!
ザ・グレート~~~~~ベンッケ~~~~!!」
はああ?!
「続いて青コーナ~~! 245パウンド~~~!!
モモォ~~~タロォ~~~~!!」
は、ビデオ録画されてやがる! いやいや問題はそこじゃない!
マジでモモマスク被ってるプロレスラーが…相手はまさにベンケー! どっかのボクサー免許もったプロレスラーとは訳の違う本物さ! と言うかでかすぎごつすぎだろ! ホントに日本人かこいつ!
てゆーかこれアースクラッシュトーナメントか!
「あつっ」
余りの驚きにドライヤーを動かす手が止まってしまったぜ……
なのは達がきょとんとしてこっちを見てるがどうでも良い!
今画面に映ったちっちゃいのはもしかして牛馬鹿丸!? というか普通に天狗の面被った行者姿のおっさんが空飛んでるんですけど!? いやいやプロレスなのに機銃装備したカラスとか排除しとけよ!
「わっ! 魔法もなしに変身した?!」
それはもんがーと言って別に変身……変身?
というかリアルで見るとキモいな、もんがー。知ってなきゃ特撮じゃねーかと思う位一瞬でモモタロウからもんがーに切り替わるし。アレどう考えても反則だろうに。
いやしかしこれは燃えるわ。
クラスで盛り上がってなかったのが不思議だが……プロレスだから?
しかしリアルで牛馬鹿とか鋼鉄朗のギャグを見るとえぐいななかなか。
これ、なのはに見せて良いLvじゃないぞ。
と、思ったら興味ないのか知らんがフェイト戦の反省会をしてた、なのはの髪を弄りつつ。
正直魔法に関しては門外漢なんで口も挟めん。挟む気もさらさら無いが。
とりあえず録画してるしチャンネル回すか。
ところでチャンネルを回すという言い方もそろそろ通じない世代が増えてるんじゃないかとかなんとか。
「宝珠天身!
天の光もて 身に纏わせよ 七つの宝珠!
一心 二天 三神 四界 五色 六光
七つのパステル その身にまとえドミニオン!」
ぶつん
俺はもう――テレビは見ない。
「どうかしたの? 静香お姉ちゃん」
「世の中の理不尽とこの世界の混沌具合について脳内会議中だ」
リアルで魔法少女が身内にいるのにアニメで魔法少女とかどうなんだ、全く。
まあパッパラ隊よかこっちアニメ化するという点だけは評価してやろう。見ないけど。
****
夕方。
「じゃあちょっとオーフェンだけ借りるぞ」
大量の桃缶をコンビニ袋にぶら下げ、翠屋の入り口の前。
事前にプレシアと交渉するのはユーノ、オーフェンと話し合うのは俺と決めておいたのだ。
プレシアがのほほんと翠屋まで来るようならもはやユーノの「逆行前の知識」も俺の「知識」も無駄だからな。
とすれば「ジュエルシードの管理責任者」としてユーノがビジネスライクに交渉した方が良いという判断。
オーフェンに関してはユーノにだけはその生涯を知ってる限りでバラした上で、俺に話し合いを任してくれるよう頼んだのだ。
まあ本音トークじゃないと味方に引き入れるのは難しいからな、へそ曲がりだし。
「え、オーフェン何処行くの?」
オーフェンの手を握り、不安そうに見上げるフェイト。
その肩にそっと手を置く知らん人。話に聞くリニスとやらか?
まあプレシアが善人で健康なら契約切る必要はないのは確かだが。
アルフは俺が頼んでおいたステーキの匂いに心惹かれてそれどころじゃないようです。
そしてそんなフェイトを「にこにこ」しながら見守っている、プレシアと思われる女性。
「すまんなフェイト嬢、オーフェンは少し借りていく」
うーん、どうも懐くというか依存してね? アニメではなのはに依存気味だったのが前倒しでオーフェンに?
しかしこんな懐くもんかね?
「えー、オーフェン何処行くのぉ?」
( ゚д゚)
( ゚д゚ )
プレシア? だよね? いやなんか予想より若いけどこんなリリカルな世界じゃそれは仕方ないとして。
え? なんでそんな鼻にかかったような甘えた声出してんの?
ユーノの呆然顔とかかなりレアな表情です、よ?
「すまんな、プレシア。ちとこの女につきあわねーといかん」
「高町静香だ。すまんな、プレシアさん」
こういう時表情筋の能力が乏しいと便利だな、俺。
「早く帰ってきてねぇ」
プレシアが語尾伸ばして……
どうしてこーなった(AA略
後ろ髪引かれるように振り返りつつ、翠屋の中へ消えていくテスタロッサ一家。
「それじゃあプレシアの方は頼む。
なにか本当にアレだが、頼んだ」
予想外にも程があるが、どうも魔力的には逆行前に戦ったプレシア以上のものがあるらしい、ユーノ曰く。
病気になってないとかそういう事なのか?
そんな事よりどうしてああいう性格になったのかが気になる。普通にフェイトの手を握って歩いてたし。
「ええ、そちらもお気を付けて」
オーフェンに軽く頭をさげ、翠屋の中へ。
「さて、それでは少し付きあってもらおうか。
鋼の後継殿」
「…ちっ」
さて、微妙にぎすぎすした雰囲気を引きずりつつ、近所の公園、風ヶ丘中央公園へ。
ベンチに腰掛ける俺と、側の外灯に凭れつつ突っ立ったまま腕を組むオーフェン。
「そう警戒しないでも良いと思うんだがね、キリランシェロさん」
「オーフェンだ」
「はいはい」
ほれ、と桃缶と缶切りを放る。
「始祖魔術士結界は壊した後か?」
「……何者だ? てめーは」
「ただの女子高校生さ。まあちょっとばかり――大分、変わった人生歩んでるかも知らんがな」
うん、確かに人より変わった人生だと思うけど、この街で出会ったりした色んな人達よりは大分普通な人生だと思うよ。
たとえば目の前にいる黒ずくめやくざとかよりは普通普通。
せっかくだし俺も一個開けて食べるか、桃缶。
「訊きたい事がいくつかあるんだが。
次元漂流の原因は天人の遺産とやらか?」
「…ほーら」
「だから口にモノを入れたまま喋るな」
桃うまー。
「ふむ……キエサルヒマ大陸には戻れそうなのか? プレシアの意見でも良い」
「無理みたいだな、現状のままでは。
こっちからも質問させてもらうぜ、なんでお前はそこまで知ってるんだ?」
こえー。殺気がびしばし飛んでくるぜ。
「レアスキルで未来や過去が見えるのだ、限定的かつ不随意ではあるがな」
「レアスキル…特定の個人に極まれに発生する特殊技能、だったか」
フェイト・プレシアの電気変換なんとかもレアスキルだったな、そういえば。
「そう。だから、私はクリーオウの事もマジクの事も知ってるし…マリアベルが今なお誰かさんに懸想してるという事も知ってる」
「…嫌な能力だな」
「同感だ」
「で、なんでこんなトコに二人きりで会う必要があるんだ?」
「この能力は家族にも秘密にしてるからだ。その上でお前と敵対したくはないからだ」
こんな能力持ってたら当然だろう、オーフェンもそれでとりあえずは納得してくれたようだ。
「で、未来が見えるってなら俺はキエサルヒマ大陸に戻れるのか?」
「知らん。限定的かつ不随意と言っただろう。見たい奴の未来が自由に見られる訳じゃないんだ」
「役立たないな」
「否定はしない」
食い終わったようなのでコンビニ袋ごと放ってやる。
「明日俺は死ぬかも知れん」
「死んだら桃缶で棺桶埋めてやろう」
桃缶如きでガチで泣くなよ。
「プレシアのトコじゃまともに飯食わせてもらってないのか?」
「……愛情いっぱいの手料理とか毎日出てくるんだ」
「………マダムキラーオーフェン爆誕」
「嘘かほんとかまだ25だと言い張ってるぞ」
「……無理だろ?」
「否定し切れん、色んな意味で」
確かに見た目は凄く若いんだが…というかホントに若いのかも知れんと思う位には若いんだが。うちの高町母も含めて。
「そういえばフェイトにも随分懐かれてるな? このペドフィリア」
「誤解だ! 人をシリーズ人間のくずと一緒にするな!」
「フェイトは確か9歳だろう? お前は20歳じゃないのか?」
「21だ」
「なら12歳差か、余裕だな」
「あり得ん」
「別に良いけどな」
確かオーフェンの女の趣味は「自立して他人に頼る事ない年上の女性」だったか? 作者のインタビューかなんかで見た覚えがある。
明らかにシスコンの変形だよな、こいつの恋愛観は。そして異世界まで来て女性に振り回されてるわけか。
「ああ、ジュエルシード集めてる理由、プレシアから聞いてるか?」
「放っておいたら97管理外世界の人が困っちゃうからと言ってたぞ」
………ホントにプレシア・テスタロッサなのか? そいつは。
まあ、良い。そっちはユーノが担当だ。正直ユーノに丸投げして良かったと思えてしまう、ユーノには悪いが。
「まあ良い。敵対しないなら、帰る方法が見えた場合教える」
「分かった。まあ話聞く限りじゃ敵対する理由もないだろうしな」
尤も、お前さんが帰る方法を俺が見つけるなんてまず不可能なんだけどな。
オーフェン×プレシアorフェイトか。なんという新ジャンル。
「ところでお前も巨大な猿の化け物を素手で殺せたりするのか」
「…なのはの姉だが、私はそこまで人間は辞めてない」
「そうか…」
お前の姉貴と一緒にするな、全く。
****
KYOUYAじゃないので魔術使われると100%負けます<対オーフェン