高町静香は永霊刀を手に入れた!
ちゃらちゃらっちゃちゃー♪
五月蠅え、馬鹿か!
こんな厄介なモン押し付けやがって…
あの店主達もきっとコレで迷惑したに違いない!
具体的には料理勝負とか料理勝負とか!
そもそもパティシエ志望だぞ俺は…
ジャン辺りにくれてやりたいが、永霊刀の方が認めないと単なる包丁以下だからな…
なんというふざけた包丁、鋳直して俺用の短剣にしてやろうか、全く……
とりあえず近場のコンビニで宅配便として実家に配送した俺。
持ち歩いて捕まったら馬鹿だしな。
ポケモン連れ歩いてる時点で危険とかそういうのは余り意味ない気もするんだが、気は心である。
****
「ここがマサラ町か」
地味に新幹線停止駅、マサラ町である。
「…まあふっつーの田舎町っすね」
「まあな」
「でもポケモンがいっぱいなの!」
「可愛い!」
普通にポケモンがいる町といない町と、差は何なんだろうか。
ラッタが走り抜けて舗装路から森へ飛び込む姿はシュールだな、たぬきみたいなもんかも知れんが。
「ほら、行くぞ」
目指すはオーキド研究所だ。
レッドさんいないかなー? イエローハグしたいぜー。
紹介状と共に父に描いてもらった地図を見ながら、閑散とした田舎町を歩く。
長閑と言えば長閑なんだが、人いなさすぎだろ。
この町から何人もポケモンマスターやチャンピオンが生まれてるってのが不思議だ。
「あっ! バタフリーだ!」
「大きいね…ちょっと怖いかも」
「モスラって蛾はもっとでかいよ」
「でかいスズメだねぇ」
「ありゃポッポってポケモンだ」
がやがやと騒がしい一行だな、全く。
「お姉ちゃん、ポケモン達と遊んでて良い?」
目の前に広がる公園と遊んでいるポケモン達と子供達。
大人もいるし野良試合やってるのもいるな。
「ああ、構わんぞ。横島は目付な」
「えー?!」
「知らん土地でガキどもだけにしておけるか。
すぐ戻る、と思う」
「へーい」
存外素直だな? まあいいや。
「あの、僕も付いて行って良いですか?」
「構わんが…」
「えー」
横島の真似は辞めろっての。
「なのは」
「あ、うん。そうだね…行ってらっしゃいユーノ君!」
うん?
フェイトと相談したかと思うと、一転物わかりがよくなったな。
「お姉ちゃん気をつけてね」
「ユーノもね」
「うん」
****
「妙に物わかり良かったな?」
「はやてとシャマル先生に何か吹き込まれたみたいで…」
ああ、良い女がどうのとかそういう話か。
どっちも20過ぎて彼氏一人いなかったハズだがな、この世界でどうなるか知らんが。
…はて、シャマルは一体何歳で計算すれば良いんだろうかね?
殺気!?
「プロテクション!」
俺が後ろへ飛ぶと同時に横にいたユーノの魔力障壁が展開する!
「ぐぉぉぉ!!」
青い竜!?
――野生の???が現れた!! ってか!?
どう考えてもおかしいだろ!
「っざけんな! ライキ!」
ぽんっ
同時に円!
ちっ! 家屋の中以外はボール投げられる距離に人がいないだと!?
「らぁい!」
静電気をバチバチを発しながらライキが向かい合う!
草むらじゃねーってのに、全く!
そして旅行中だから黍団子が作ってない!
が、負けようがないな。
「ライキ! 電撃波!」
胸が揺れないように左腕で抑えつつ、右手で飛針を飛ばす!
予想通り、上空へ飛んだよく分からんのに電撃がヒット!
ばちんっ!
電撃が弾ける音と共に落ち――ない!? 飛んでる癖に電気は今ひとつか青い竜!
ちっ!
「ユーノ、手を出すなよ」
ライキの後ろ、ユーノと並んで声をかける。
さっきのプロテクションはもはや言っても仕方ないが、人目が何処にあるかも知れんのに魔法は使わせられんわ。
「はい!」
俺の後ろへ回りながら、素直なユーノ。
多分いざとなったら問答無用で魔力障壁張るんだろうなっ!
「ライキ、影分身!」
「らいっ!」
青い竜の吐き出した玉状の何かを軽く躱すライキ。
とりあえず図鑑を広げ――…あれ?
……あ、海馬ランドで貸したままだったわ、なのはに。
…多分竜タイプ、飛行ではないが空飛んでる、なら浮遊か?
図鑑がないと使われた技もよく分からんのが困るな、トレーナーが叫んでくれるならまだしも。
影分身して増えてみえるライキが可愛いと思いつつ。
両手が頭で合計三つ頭があるとか、ドードリオみたいだな。喧嘩するのかな、やっぱり。
「電磁波!」
「らい!」
とぅっと飛び上がって両手から薄く光る電気を放出するライキ。
ばじぃっ! と焦げるような音を立てて身じろぐ青い竜だが、強引に攻めてきた。
三つの首が三方向から別々のライキの影へ噛みつく! 空振った一番太い首へ尻尾を絡ませ、勢いを付けて地面へ着地するライキ。
ターン制などと言う事はないので問答無用で攻められるし攻め立てられるのが生のポケモンバトルの醍醐味だな。
青い竜の攻撃を躱しまくり隙を窺うライキ。こちらの指示がなくとも電撃を発して牽制したり、やはりポケモンは頭が良いな。
「今! 気合いパンチ!」
腰溜めに構えるライキに襲いかかる青い竜。
しかし6も的が分散して電磁波で麻痺っていれば、三つの顎で別々に噛みつこうともそうそう当たるものではない!
噛みついてきたのを躱し、泳いだ青い竜の胴体にライキの可愛い拳が突き刺さる!
「ぐぉぉぉ!?」
どぉぉぉんっ!
おお? 意外な程苦悶の表情を浮かべて地に落ちた。
竜は格闘弱点じゃなかった気がするんだがな? まあ良いけど。
そしてゲームではないのでぶっ倒してからでもゲットは出来るのだよ。
……図鑑がないからマーカーが出てるかどうかも分からん。
竜っぽいのと俺の知らん地方のポケモンって事位か、分かるのは。
とりあえず空のボールを投げてみる――反応なし、かんっと音を立てて青い竜に当たった後、ころんっと地面に転がった。
それをライキが取って来て手渡してくれる。可愛い。
もうね、両手でこっちにボール手渡してくれるライキが可愛くて可愛くて。
ボール受け取る前に頭を撫でぐりしまくってたら、ユーノがしげしげと青い竜を観察している事に気付いた。
「珍しい形態ですね…本来両手となるべき所に頭があるとは…
ひょっとしてこの生物は、どれか一つでも頭が残っていれば生命活動に支障はないとか?」
知らんがな。
というかポケモンの不思議な生命に突っ込んでたらキリがないぞ、それをするのが学者なのは分かるが。
大体2mの大きさか、長さ的には。太さはまた太いというか、落下音からすると相当重そうだな。
ライキを抱っこしながらユーノと一緒に観察する俺。
しかし可愛くないな、何処の地方のポケモンか知らんが。
やはりライキが、ライチュウが世界一可愛いというのは不変の真理という事だな、うむ。
で、目が覚めてまた暴れられたら問題だし、田舎とは言え町中だからな、何事かと家から覗いてるようなのや通りすがりが足を止めて始めてる。
さてどうしたものか。
****
「いやあ、迷惑をかけたが流石士郎君の娘じゃ!」
ただいまオーキド博士の研究所の応接間。
アレはイッシュとか言うトコから研究の為運んできたポケモンでロケット団(残党)のテロに遭って逃げられたそうな。
グリーンがたまたま研究所に用があって滞在中だった為、あっと言う間に蹴散らしてしまったそうでそいつらは警察の世話になっているんだってさ。
……なんでニュースにならんのか。圧力でもかかってるのかね?
「いえ、貴重なポケモンとバトル出来て幸運な位ですよ」
「オーキド博士、サインもらえますか?!」
うちの子達はポケモン大好きなんだがユーノだけ方向性が違ってて、研究家的に好きなんだよな。
で、持ってきたオーキド博士の著書をサインを強請ってる訳だ。
「おお、それは構わんが。
士郎君の子かな?」
「あのボケ親父が何処で隠し子拵えてようと驚くには値しませんが、この子は私の妹の彼氏です」
「ほほう! 最近の子は進んでおるのぉ」
サインをさらさらと書きながら大して驚いた風でもない博士。
まーオタクんトコは11歳から大人顔負けの恋愛事情なカップルばかりですしおすし。
おすしってなんなんだろうか?
「して、静香君はわしに頼み事があるとか?」
「はい、リザードンの谷は何処にあるのでしょうか?」
「ふむ……リザードンをゲットしたいのかな?」
「欲を言えばヒトカゲから育てたいと思いますが、なかなか…」
「伝説級とは言わんが、それでもピカチュウクラスより珍しいポケモンじゃからな」
ユーノで論戦したいのかそわそわしてるし。
それはそれとしてゲーム的な事情は兎も角、最初の三匹はどういう経路で手に入れたんだろうか、それぞれの博士は。
「ふむ、確かうちのグリーンのリザードンが卵を産んだとか言っていたな」
マジで?
「他ならぬ士郎君の子の頼みじゃ。グリーンの奴に譲るよう頼んでおいてやろう」
「ありがとうございます!」
思い出すぜ、最初のポケモンで格好良いからとヒトカゲ選んでニビジム・ハナダジムと無駄に苦労した事を……
子供の頃は補助技の大事さや相手によって手駒を切り替えるという発想がない力押しばかりだから困る。
その後ハナダはライチュウで惨殺空間だったけどなっ! あれ? ピカチュウだったっけ?
まあ後のライキである、きっと。
「オーキド博士、僕が書いた論文を読んで下さい!」
…お前いつの間に……いやいいけどね。
タイトルは『ポケモンの分布実態と変遷』ねぇ。
「ほほう…まだ小学生に見える君がこれを?」
「はい!」
「あー…研究所の中、見学させてもらっても宜しいでしょうか?」
「ああ、構わんよ。なにかあったら職員に相談しなさい」
「はい」
話が長くなりそうだからな。
興味深そうにユーノの論文に目を通す博士と楽しげにそれを待つユーノを放置して席を後にするのであった。
それなりに広いんだな、この研究所。
妙に狭い印象があったのは何でだろうな、ゲーム補正?
旅立ちのイベント以外は特に用があった覚えもないから、小さくても問題はないんだろうが、ゲーム的には。
おお、剥製コーナー。
ゲームとかだと出てこないが普通はあるよな。
おお、こっちはプトティラ――ではなくプテラとカブトの復元標本か。
他地方……なんだっけ、ルビサファで出てきたのとダイパで出来た化石ポケモンの復元標本もある。
アレは…なんだろう? 同じ陳列コーナーなんだから化石ポケモンなんだろうが、全然分からんのがあるな。
田舎町の研究施設にしては所員も見学者の子供も結構いるな。
二、三人に話を聞いてみるとこの町の子供で将来はポケモンマスターになりたいんだと。
夢を見るのは自由だけどね、うむ。この町に産まれた辺りチャンスは十分あるしな。
「だーかーらー! 東京はこの中じゃねーっつの!」
…ポケモンの研究所でめぐさんな声。
ムサシキター?!
ばっと振り向くと俺と比べて大分小柄なな赤い道着姿の赤い三つ編みのお下げの少女。
お下げの少女。
やべ、可愛い。
いや違う、なんでここにいるんだ早乙女らんま!
乱馬だと男姿なのでらんまなのだ、いや懐かしい、我が青春。
エロかったよなー、らんまは。
…まあ自分でああいう体質になりたかった訳でもないのだが。
じーっと俺が見てるのを気付いたのだろう。
虎柄のバンダナにばかでかいリュック? 登山用のか? まあ馬鹿でかい荷物を背負って番傘までリュックに差し込んである。
うん、アレだ。
ピーちゃんだわ。
……東京か海鳴にいるなら兎も角、なんでこんなトコに――ああ、方向音痴か。
「なんだよ?」
「…いや、失礼。仲が良いな、と思ってな」
うむ、恋人つなぎで手を繋いでる辺りとかその左手と右手が手錠で繋がってる辺りとかな。
「分かるか? 俺らラブラブだしな!」
うーん、心底嬉しそうならんまの顔。綺麗より可愛い寄りだが、美人が笑うと絵になるな、元男だけど。
いや肉体的には男が女に化けてるというべきか?
いやそもそもなんで『ラブラブ』? こいつらデキてるの?
…あれ? らんま1/2ってそんな話だったっけ?
「誰がだ! 俺はあかねさん一筋なんだよ!」
「バンダナ、声がでかい。
ここは研究施設も兼ねてるのだ、静かにしろ」
「そうだぜ、全く。大体俺を傷物にしておいてそんな言い訳通じるかよ」
「ほう。それは酷いな、そんな可愛い彼女がいて本命は他にいる等とは」
とりあえず話には乗っておこう。
「おりょ、美人に褒められちったぜ♪」
しかし元男なのか現役で男なのか知らんが、らんまが良牙とイチャついてるのを見ると色々と我が身につまされるというか、明日は我が身かと恐怖を覚えるというか。
……男と付き合う自分、ねぇ?
無理無理。当分いらんわ。
「きずッ!?――そっそれは! お前が!」
「良牙ったらケ・ダ・モ・ノ♪」
茹で蛸のように顔を真っ赤にする辺り、ホントに喰っちまったのか?
いやまあ中身は兎も角、らんまは確かに美少女だしスタイルも良いけど。
小さいしなー、小柄な美少女、スタイルも良し。
俺より確実に20㎝は低いからなぁ。
……あれ? 男溺泉がこの世界にはある、という事か?
****
ちょっと短いですかねー。
念の考察にハマってしまい本編が遅くなってしまいました、申し訳ない。
そして折角だから俺はこのらんまを選ぶぜ。
エロかったですよねー面白かったですよー、最後ら辺は兎も角。
yxmzte3iz2.doorblog.jp/
こちらで念の考察とか作中では長すぎて、あるいは静香の知識不足で考察出来無いような事も書いてます。
頭に付け足してください、どうも禁止ワードが…