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No.14218の一覧
[0] 【とらハ・多重クロス】高町静香のTS人生【ネタ】[陣](2013/05/02 10:31)
[1] 【ネタ】嫌いな要素を詰め込んでみた実験作【基本とらは】[陣](2012/06/06 21:50)
[2] まだまだ増える地雷要素[陣](2012/11/20 19:19)
[3] 分からないようなマイナーネタ、だがそれが(・∀・)イイ!![陣](2011/03/01 22:00)
[4] 地雷作品なので設定のすりあわせなんて考えません(・∀・)[陣](2011/01/02 01:49)
[5] ( ^ω^ )どうしてこうなった!?[陣](2009/11/29 19:17)
[6] 会話が厨二くさい、でも謝らない(`・ω・´)[陣](2009/11/30 23:04)
[7] 戦闘らしい戦闘は始めてかも?(´・ω・`)難しいね[陣](2009/12/02 21:59)
[8] 可愛いは正義(`・ω・´)[陣](2011/03/01 22:00)
[9] 番外:横島の憂鬱[陣](2010/10/24 22:05)
[10] ららいらーいらいららーいヾ(o゚ω゚o)ノ゛[陣](2009/12/06 21:55)
[11] 三人称注意[陣](2009/12/07 21:59)
[12] だが私は謝らない(`・ω・´)[陣](2009/12/09 20:04)
[13] 名前決めが難しい(´Д`;)[陣](2009/12/11 23:44)
[14] 主人公っぽくない能力やね(´・ω・`)[陣](2011/01/02 02:23)
[15] なんかこう書いてて違和感が…?[陣](2009/12/19 23:03)
[16] かよ子さん大好きです(`・ω・´)[陣](2011/01/02 02:29)
[17] 遅れてごめんなさいなんです(><)[陣](2009/12/30 19:03)
[18] 更新は不定期になります(´・ω・`)元からともいう[陣](2009/12/30 22:12)
[19] 先進まない(´Д`;)[陣](2010/01/07 23:46)
[20] 最長すぎた(´Д`;)[陣](2010/03/07 19:04)
[21] 復活(`・ω・´)復活なのでさらっと短編[陣](2010/03/09 15:15)
[22] 閑話的な感じで[陣](2010/03/16 18:34)
[23] 夕方、なのは帰宅後からスタート(・∀・)[陣](2010/03/25 19:19)
[24] 黒髪ポニーで料理上手でクールな美人お姉さんは好きですか[陣](2010/04/13 23:21)
[25] 俺のターン!ドロー!なんだこのカードは!?(|| ゚Д゚)ガーン!![陣](2010/05/29 23:15)
[26] 遊戯王知らん人は飛ばしても大筋問題ないですたい[陣](2010/09/05 19:10)
[27] 本編的な。暑すぎて死ねる[陣](2010/09/05 19:30)
[28] わたしのアルフは凶暴です(せいてきな意味で[陣](2011/03/01 21:44)
[30] 初代ポケ以外も好きだけど(`・ω・´)世代的に思い入れがね[陣](2011/05/29 20:33)
[31] おーまーたーせーしーまーしーたーすーごーいーやーつー[陣](2012/02/17 09:47)
[32] 「\ルナ!/\トリガー!/」[陣](2012/02/25 10:54)
[33] 原作なにそれ美味しいの?[陣](2012/03/01 19:01)
[34] 先に進まない、先の事なんて考えてないが[陣](2012/03/10 08:40)
[35] 強いられてるんだ!(色々と)[陣](2012/03/16 18:38)
[36] 追投稿と全削除の位置が誤爆しそうで怖い[陣](2012/03/23 19:04)
[37] ○と女のぱぴぷぺぽ~♪[陣](2012/04/18 21:44)
[38] 安藤奈津は洋菓子の専門学校での同級生にすれば良かったかも[陣](2012/05/07 19:43)
[39] 違和感感じてるのは静香だけ[陣](2012/05/18 07:40)
[40] 書きたいモノを完璧に書ける人はプロでも少ないハズ、ハズ……[陣](2012/05/30 10:57)
[41] 横島が爆乳音頭と静香を見比べています。コマンド?[陣](2012/06/08 12:11)
[42] P4Gを買ったがVITAを所持していない[陣](2012/06/16 08:50)
[43] OG2を買ったがPS3がない[陣](2012/12/04 18:18)
[44] 露骨な伏線、こなたは便利[陣](2013/05/02 10:30)
[45] あらすじとキャラ紹介[陣](2010/04/04 15:26)
[46] 番外編:ユーノの休日・その一[陣](2010/07/18 12:28)
[47] 番外編シリーズ2-1[陣](2011/03/01 22:03)
[48] 番外編シリーズ2-2[陣](2011/03/01 22:03)
[49] 番外編シリーズ2-3[陣](2011/04/26 20:51)
[50] 番外編シリーズ2-4[陣](2012/02/21 08:50)
[51] 番外編シリーズ2-5[陣](2012/03/03 17:36)
[52] 番外編シリーズ2-6[陣](2012/03/10 08:44)
[53] 番外編シリーズ2-7[陣](2012/03/20 23:34)
[54] 番外編2-8[陣](2012/03/26 07:37)
[55] 番外編2-9[陣](2012/03/26 07:46)
[56] 番外編シリーズ2-10[陣](2012/04/25 00:47)
[57] 番外編シリーズ2-11[陣](2012/04/25 00:48)
[58] 番外編シリーズ2-12[陣](2012/04/24 08:53)
[59] 番外編シリーズ2-13[陣](2012/05/11 09:09)
[60] 番外編シリーズ2-14[陣](2012/05/21 17:10)
[61] 番外編シリーズ2-15[陣](2012/05/30 10:57)
[62] 番外編シリーズ2-16[陣](2012/06/08 12:08)
[63] 番外編シリーズ2-17[陣](2012/11/21 14:24)
[64] 茶を濁す(`・ω・´) 没作品集[陣](2011/05/29 20:34)
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[14218] 追投稿と全削除の位置が誤爆しそうで怖い
Name: 陣◆cf036c84 ID:7d0b3044 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/03/23 19:04


「ふう……良い湯だった」

「横島さんが覗こうとしてたんで縛っておきました」

「ご苦労」

「ふごー! ふがー!」

「五月蠅い」

 ベッドの隙間に転がった横島を蹴飛ばそうとして止まる。
 流石にバスタオル巻いただけの姿でそれは出来んな。
 ふ、女らしくなったものだ。
 
 若干頬を染めて本を読んでいるユーノが可愛いぜ。
 ちなみになのはとフェイト、アルフは団子状態で寝てる。
 これはこれで可愛いな、うむ。
 
「ユーノ、風呂入ってしまえ」

「はい」

 魔法で一瞬のうちに俺の髪を乾かしてくれると、そのまま風呂場へ行くユーノ。
 足取り重そうだったな。
 とりあえず、寝間着に着替えてと。
 
 ま、こんなトコか。
 だぼたぼのTシャツにハーフパンツ、そして美由希のように編み込んだ三つ編みである。
 胸大きいと太って見えるんで普段の服はぴっちりしてるのばかりだからな、やはりこういうラフな格好のが楽だわ。
 自分で言うのもアレだが、だぼだぼのTシャツっとか袖が余ってるセーターとかって萌えだよな、うむ。
 
 とは言え疲れたしなー、寝るだけか。
 明日は中華街回ってマサラ町寄って。
 明後日からは平常運行か。休みなんて過ぎてしまえばあっと言う間だな、全く。
 
 眠い。
 流石に慣れない、いやある意味慣れてるけど、ある意味初めての街を歩き回ったしな。
 寝る、おやすみ。
 
 
 
 朝。
  
 それにしてもユーノと付き合いだしてからうちの妹が日に日におっぱい星人になってる気がする。
 一緒に風呂やシャワーを入りたがるのは兎も角、以前より確実に俺の胸に興味津々っぽい。
 …放っておいてもなのはとフェイトはそれなり以上に大きくなると思うんだけどね、俺ほど大きくなるとは思えんけど。
 
 朝から妹達にセクハラされた、死にたいってか。
 そんな事よりむしろ、妹達が買って来た服に文句言いたいが。
 ロングスカートのワンピース、色は白。あとなんかシンプルで鍔が広い帽子。
 何処のお嬢様の服だこれは。
 
「着て欲しいの」

「着て欲しいな」

 なんかシンクロして遊ぶのがマイフェイバリットになってないかこいつら。
 いちいち可愛いんですけど。

「ま、似合うと想いますよ、静香さん本人がどう想うかは別として」

「ふがー! むがー!」

 目隠しされた上で翡翠の鎖に縛られて転がされてる横島は兎も角、朝のシャワーから上がると、なのはとフェイトに服を押し付けられたのだ。
 バスタオル一枚の俺、そしてジーンズだのTシャツだのは土産などと一緒に纏めて、実家に宅配便としてホテルの人に送ってもらったという。
 何という策士、間違いなくユーノが助言したな、これは。
 
 つまり、俺はこのワンピース以外着る服がないのだ。
 人がシャワー浴びてる間によくもまあ……なのは達が妙に構って構ってと五月蠅かったのはコレのせいか、畜生。
 というか実行犯ユーノじゃねーかこの野郎。

「それ以外服を処分しておいてお前ら…」

 人、それを脅迫という。
 横島の服着ようかなぁ…胸以外はサイズはぴったりなハズだし、身長はほぼ同じだしな。

「横島さんの服も一緒に送っておきましたから、大丈夫ですよ」

「なら横島がワンピース着れば解決だな」

「えー!?!」

「それは酷いよ?」

「ふがーっ!」

 とりあえず横島黙れ。
 俺も横島がワンピース着た姿なんて見たくないけどさ。
 仕方ない、か。はあ…妹に甘い姉というのもなんだかなぁ。
 兄弟姉妹ってこんなもんかね? 前世の頃は一人っ子だったし、よく分からん。


 …下着の下に何も履いてない感覚はすーすーするよなあ…別に初めてでもないが。
 制服はスカートだしな…
 でもやっぱりアレだ、デザインが恥ずい。
 なんだこのお嬢様然とした服は。
 姿見見て思ったんだが、アレだ、マクロス7の花束少女っぽい。
 帽子が麦わらじゃない辺りもそうだし。
 …何の慰めにもならんな。
 
「似合うっ! お姉ちゃん綺麗!」

「静香綺麗だよ」

「ええ、似合いますね」

 苦笑気味なユーノをぶん殴りたい、出来れば硬で。
 ポニーよりはこっちと髪型もストレートに降ろし、首の後ろで結ぶだけにさせられてしまった、フリルなリボンでな。
 身長175㎝もなきゃなぁ、10㎝低いだけでも大分違うだろうに。
 165㎝でも大きい方かも知れんが。
 
「お揃い-♪」

「お揃い♪」

 なのはは桃色、フェイトは黄色の、それぞれ俺と同じ柄の大きさが違うワンピースを着てくるくる回ってる。
 こう、アレだよな。
 女ってなんかお揃いとかにしないと死ぬの? 一緒にトイレ行かないと爆発でもするの?
 ホントよく分からん性質だ…

 胸がぴったりなのはどういう魔法使ったんだか。

「ふぁー」

 欠伸しながら幼女なアルフが横島のバインドを解く。

「ああ、着替えシーンが…しかしワンピース最高! いつもと違って清楚な感じがベルィィィグぅぅぅっ!!」

 スーパーハイテンションって感じだな…うぜー。

「さあ、横島! 朝ご飯だよ!」

「おめーは降りろ」

「嫌だね」

 昨日と同じように肩車状態のアルフ。
 気に入ったんだろうか。

「フェイトもなのはも似合うねー、可愛いよ」

「お姉ちゃんも可愛いの!」

 いやそういうフォローは要らんから。

「まあ今日一日の話だ。行くぞ」

 余計な荷物は全部宅配便で片付けたらしいから、手軽なもんだ。
 有能なのは良いんだがなー、なのは達に変な知恵付けないで欲しいモンだ。
 
 
****


 遅めの朝飯をホテルで軽く済まし、軽く運動――しようと思って服装を顧みて、辞めた。
 鼻の下伸ばしてる横島を軽く吹っ飛ばして憂さ晴らししようと思って、辞めた。
 が、スカートを捲ろうとしたので引っぱたく、うむ、正当防衛だ。
 
 スカートが長い程捲りたくなるとか力説されて、どう答えろってんだこの馬鹿は。

 ホテルを出て、朝と昼の狭間の時間を歩く。
 GWの最中という事もあってそれなりに盛況で、人通りも多い。
 
 見られてるなぁ…うー…いつもの格好なら平気だが、この格好は落ち着かない。 

 制服もスカートだが、慣れないというか落ち着かないよなぁ…スースーするし。
 はあ…似合わないコスプレさせられてる気分だぜ。
 頭はポニーにしてないから軽いけどな、アレは結構重いんだ。
 支点力点作用点ってな、相当重さが変わるから、分からん奴はカツラでも付けて試してみると良い。
 不思議なもんでお団子にして纏めておく方が軽いんだよな、ポニーは重いのだ。
 まあ好きだし似合うから基本はポニー続けるけど。
 
「似合うから大丈夫だって」

 隣を歩く横島が気楽に声を掛けてくる。
 そういう問題じゃねーんだよヴォケ。

「そうですよ、綺麗ですよ、静香さん」

「ユーノ君、なのはとフェイトちゃんは?」

「うん、二人とも可愛いよ」

「ぶー! 可愛いじゃなくて綺麗なの!」

「ありがとう、ユーノ」

 顔と口に乖離した行動をさせつつユーノの左手を取るなのはと、照れ照れと頬を染めながら右手を取るフェイト。
 なんだこの生物ども、可愛いんですけど。

「白いワンピース! ロンスカ! 素晴らしい!」

 阿呆なテンションのこいつをどうしてくれよう。

「横島-、飴ちゃん買っとくれー」

 …飴ちゃんって何処出身だお前は。

「うるせー」

「あーめーあーめー」

 アルフがマジ幼女なんだが。
 やはり身体の大きさによって知能Lvが上下するのかも知れん。

 今、思ったんだけど、俺母親で横島旦那で、アルフが末っ子の子供達。
 ……親子っぽくね?
 ……いや大丈夫だ、いくら年より上に見られるとは言え、こんなばかでかい子供がいる程じゃあない。
 なんつーか無意味な心配ばかりしている気がするな、全く。

 で、気になるので昨日の、大魔術熊猫豆腐とか看板に書いてあった店に寄った。

 店名『中華一番』
 
 どう判断すれば良いのだろうか、これは。
 パクリ? 偶然? いやいや偶然はないだろ、大魔術熊猫豆腐で中華一番だぞ。
 うーん、ご同輩か? それともガチで子孫?
 
「どうしたの?」

「いや、何でもない。入るぞ」

「いらっしゃいませー」

 店員の明るい声。
 昼前の、開けたばかりの時間だからか、客は俺達以外は一組カップルがいるだけだった。
 店内はそれほど広くないが、それでも30人位は席に着けそうだ。
 
「おお!? 西川真樹! 日本初の女性F1レーサーの!――ぐぼぁっ!?」

 いきなり叫びだしたアホを吹っ飛ばす、割とガチで。
 器用にも横島が殴られる瞬間に飛び降りて一回転し着地したアルフ、そして吹っ飛んだ方向へ回り込んでこっそり魔法使いつつ横島を受け止めたユーノ。
 店の中だというのにかなり力入れて殴ったからなぁ…オーラは篭めてないけど。

「すまんなユーノ――プライベートの時に騒ぐのはマナー違反だろうが? あァ?!」

 がすっとぶっ倒れたままの横島を足蹴にしつつぐりぐりしつつ。
 
「さっ…サーセンっした…」

「…お姉ちゃん、お店の中で暴れるのは良いの?」

「……」

 なのはのプレッシャーから逃れるように視線を逸らす俺。
 
「けんかはいけませーん!」

「はい、サーセン」

「なのは、なのはも五月蠅いよ。
 外出てからにしよう」
 
 両手振り上げて俺を叱るなのはの腰を取ってユーノが抱き寄せる。
 何というジゴロ。
 それにしても俺が勢い謝るしかないとは、伊達に魔王だ冥王だと言われる訳じゃないってか。
 
「っつー…サーセンっしたー」

「いえ…あの、大丈夫ですか?」

「あ、日常ちゃめしごとなんで」

「茶飯事だ。騒がして済まなかったな」

 店員にボケた事抜かす横島の尻を蹴っ飛ばしつつ、ゾロゾロと外へ出る俺達。
 ……喰い損ねたなぁ…

「お前のせいで折角旨そうな店喰い損ねたぞ?」

「はい、すいません、ごめんなさい、許してちょんまげ――いてっ!」

 ごんっと頭に一発。

「おねぇちゃんっ! 暴力はいけませんっ! お姉ちゃんも悪いにょ!」

 あ、噛んだ。
 かーっと赤くなるなのはが可愛い。

「あれ? アルフは?」

 そういや何処行った?

「あ、あの、お客様方、大丈夫ですよ?」

「む?」

 外に出ると、後ろから店員が声を掛けてきた。

「西川さんも気にしないとおっしゃってましたし、お食事頂いても大丈夫ですけど、いかが致しますか?」

「…では世話になる」

「この店気にしてたからねー、静香ちゃん」

 俺の立場なら間違いなく気にすると思うけどな。
 ぞろぞろとまた店内に戻ると、アルフが既に肉マン囓ってた。

「アルフー…」

「この黄色い肉マン美味しいねぇ」

 幼女なアルフが満面の笑みだとホントに微笑ましいんだが、大丈夫かこの駄犬。

「とりあえずお前は謝ってこい馬鹿者」

「うーす」

 しかしF1レーサーに女性がいたとは…
 これもゲームか漫画のキャラか? 知らんなぁ。
 まあいいけど。

 横島と付き添いでなのは達が付いて行ってる間、メニューを見る。
 …黄金開口笑、大豆肉の麻婆豆腐、梅干し炒飯、国士無双面……

 …喰ってから考えるか。


****


 旨すぎる…
 
 レシピよこせ言ったら大概出てきたけど、これは家でも作るべき。
 どれもコレも旨いにも程がある。
 朝ホテルで軽く喰った事なんてなかったかのように喰ってしまった…阿呆だ。

「満腹ー」

「美味しかったねー」

「この世界は美味しいモノいっぱいだね」

「Zzzz…」

「…喰ったら寝るとか子供か、いや子供だけどさ」

 横島の膝の上で寝るアルフ可愛い。
 あとユーノ、この世界とか言うな。
 
 で、なんでこんな完璧な再現料理出てくるのか。
 
 1:ガチで特級厨師の子孫。先祖伝来のレシピ。
 可能性はなくはない。清朝末期っつー事は日本で言えば幕末から明治初期だし、日本ならその頃から続く家なんざ掃いて捨てる程あるしな。
 かくいう不破・御神だって数百年続いてる家だし。滅びそうだけど。

 2:店主か調理人かが俺と同じ憑依・転生・トリップのどれか。
 これも今更否定出来ん、実体験が俺だし。

 3:偶然の一致。
 これはないと思いたい。
 というかあってたまるか。

 ちょうどなのは達も食べ終わってデザートのごま団子掲げてるトコだし、客も俺達以外はいない。
 例のF1レーサーとその彼氏? は帰ったし。

「済まないが、このレシピは誰が考えたものなのだ?
 随分と、独自性に溢れていて気になるのだが」

「ああ、それはですね、うちの高祖お爺ちゃんが特級厨師の先生から教わったものを元に、代々その時代に適した形になるよう手を加えたりしてます」

 …高祖おじいちゃん(祖父母の祖父)とやらは『シロウ』か? もしかして。

「元々うちのご先祖様は中国に住んでたらしいんですけど、高祖お爺ちゃんが日中のハーフだった縁で晩年、こっちに移り住んで、特級厨師の先生に仕込んでもらった腕でこの店を始めて、大層流行ったそうですよ」

 特級厨師の子孫じゃなくて弟子の子孫か。
 まあこんな世界だし有り得なくはないか。

「ああ、そうそう。
 高祖お爺ちゃんからの遺言で、『自分の事尋ねた客に触らせろ』って包丁があるんですけど、触ります?」
 
「なんだそれは?」

「さあ? 伝説の調理器具とか何とか…家族じゃもう誰も信じてませんけど、凄い包丁らしいですよ」

 伝説の八厨具キター、とでも言えば良いのか…
 あれらは確か厨具自身が使い手を選ぶって話だから、別に子孫が使えるって訳じゃないのは分かるが…
 こんだけ旨い料理作れて選ばれないんじゃなぁ。

「ま、話の種だ、お願い出来るか?」

「はいはい、お待ちあれ」

 しかし店員さん、中国人なのか日本人なのか微妙な顔つきだな、どっちにも見えるというか。
 ハーフかね?
 
「はい、どうぞ」

 時代を感じさせる古ぼけた木製の箱の蓋を開けると、今し方研ぎあげたばかりのような輝きの中華包丁が姿を現した。
 顔が写って見えそうだ…話に聞いた感じじゃ手入れなんてしてなさそうな感じだが…
 
「では失礼して――」

 パァー!!
 四方八方に店内を切り裂く光と共に、白銀の身に映し出す竜の姿!
 
 おい――おい!?
 
「うそぉっ!?」

 驚く店員の声と共に、少しずつ光が収まり。
 確か、覇龍紋だったか。それは浮かびっぱなしだ。
 というかこれ、永霊刀か!

「すごーい! お姉ちゃん何それっ!?」

「なに、今の? ユーノ?」

「いや、魔力は感じなかった…ハズ」

「なんすか今のは」

「…ちょ、お客さん、ちょっと待って下さいね!」

 準備中の札を玄関先につるしたかと思うと厨房の奥へ引っ込んだ店員の娘さん。
 …どうすんだ、この覇龍紋浮かびっぱなしの包丁。
 これ、俺が継承者なの? もらって良い…もんじゃないよな、単純に歴史的遺物としての価値から考えても。
 
「凄いですね、これ。組成成分は隕鉄が主みたいですが、どうやって鍛えたのかさっぱり分からない…」

 ささっと精査魔法? を使って調べる辺り、学者だな、こいつも。

「お父さん! 見て!」

「お客さん――おおお!? 本当に覇龍紋が浮かび上がってる!」

 ちょっとでぶった、如何にも中華料理人なおっさん奧から出てきた。

「済まないが、何なのか説明をしてくれ。訳が分からん」

 主に俺が手にとって覇龍紋が現れた辺りが、だが。

 説明中――
 概ね原作の八厨具の説明だ。

「で、その伝説の厨具とやらがどうしてここにあるのだ?」

「劉師父から託されたそうです、当時は清朝末期で中国大陸は動乱の世でしたし」

 作中はまだマシな頃なだけで、確かに清朝末期は中国大陸にとって碌なもんじゃなかったのは確かだろうが。

「じゃあお姉ちゃんは伝説の厨具に選ばれた料理人なの! 凄ーいっ!」

「そんなモノが実在してる事がすげー…」

 言うな横島。俺もそう思うが。

「そうだとしてもこれはこの店のモノだろう」

 別に必要でもないしな、不老不死になんぞ興味はないし。

「いえ、差し上げます。
 高祖祖父からの遺言ですし」
 
「覇龍紋を浮かび上がらせた奴にくれてやれと?」

「はい。後はこの遺言状も」

 蜜蝋で厳重に封印された封筒。
 差し出されたソレを、永霊刀をテーブルに置いて手に取る。

「では開けさせてもらう」

 正直、別に必要ないから要らんって突っぱねても良いんだが。
 期待に満ちた親子の視線と妹どもの視線が…オノレ。
 こんなの持ってても厄介ごと引き寄せるだけだと何故分からん。
 
「…………」

「どうっすか?」

 ……出だしが、というか一枚目が。
 
 『うはっww これ読めるとかww マジワロスwww』
 
 …破って良いか?
 流石にコレをこの親子にそのまま伝える勇気はないぞ。
 …この『シロウ』って間違いなくチャンコロかVepperだろこれ…
 あ、二枚目はまともだ。
 
 『これを読んでるという事は永霊刀に覇龍紋を浮かび上がらせたという事でしょう。
  おめでとうございます、別に八本揃わなきゃ凄い包丁というだけなので、気にしないで使って下さい。
  こんな時代にこんな風になってしまった以上、これを読んでいる人がそうでない事を祈りつつ――シロウ』
 
 …つまりこいつもアレか、憑依か転生か、だな。『シロウ』って名乗ってるし。
 そうでないならまさかあの時代に草生やした手紙は残せない、と思いたい。
 というか、現代仮名遣いで『左から右に』横書きしてる時点で、中身は現代人だろ。
 
 …んーむ…よく考えると、『現代』で良かったな、とは確かに思う。
 大戦中の日本とかイタリアとかマジ勘弁だしな。
 
「どういう意味でしょうかね? そうでないとは…?」

 親子で不審な顔をするが、答えようがあるまい。
 
「さあ、な」

 残念ながら、そうであった訳だが。
 どうしたもんかね、これ。

「しかし、これはどうしたものか。
 はっきり言って割と歴史的価値のあるものだと思うが…」
 
「いえ、貴女がお持ちになって下さい。
 先祖伝来の遺言の通りになった以上、そうすべきですから」
 
 こっちの都合は無視か。

「それに、残念だけど私たちじゃ単なる包丁以下だしね」

 まあ選ばれないとそうだろうが。

「ちゃんとした継承者が現れた以上、お渡しするのが筋というものです」

 なんというか欲のない人達だな。

「そこまで言うなら戴いて行こう。
 これが私の実家だ」
 
 翠屋の名刺を出す。

「パティシエですか」

「うむ」

 正直パティシエを選ぶ永霊刀マジ節穴。


****


天空闘技場の八百長ってーか勝ったり負けたりして金稼ぎに関しては次回の番外編で答えます。

それにしても今回でマサラ町に行ってオーキド博士に会う予定だったのにどうしてこう…
筆が乗るとなんか異様に勢いよく長くなるんですよねー、一シーンずつが。


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