「やれやれ…」
「テンション低いっすよ静香ちゃん」
テンション上がる道理がない。
ただいま新幹線で移動中。ついたら東京駅で海馬ランドまで直通電車、SR(旋風寺レール)のな。
JRじゃない事に初めて気付いたわ、新幹線のチケット取ってから。海鳴じゃ滅多に電車乗らんからなぁ…
それは良い、正直海馬ランド自体は――まあ苦手なアトラクションはあるが――楽しみなんだがなんで横島となんだ。嫌いじゃないけど。
別に横島がどうのじゃなくて、単に男とデートしてるという自分がアレなんだ、言えないけど。
男だった頃は別に女友達と遊んでても=デートって気はしなかったんだが(無論相手次第ではあるが)、女になってからはどーもなぁ…
それにも増して仕事放り出して遊ぶ感覚がツライ。うーん、ここら辺は前世の俺、仕事人間だった頃の影響でかいなぁ。働かずに喰う飯は不味い事不味い事。
GWなんだからさぞ海鳴には人が来るだろうに…温泉もそうだがうちのシュークリーム以外にも色々あるしなぁ。
温泉と言えばオンセンマンに遭遇したぜ! 昨日うちの風呂に浸かってた!
意外と可愛かったぜぇ。オンセンボコボコしてもらった後入ったらもー極楽なんてLvじゃねーぞって位気持ち良かったぁ。やべ、思い出したらまた蕩けそうだ。
風呂上がりに高町母と美由希から追求される程肌が綺麗になってたしな、美人湯にしてくれたんだろう、特にリクエストはしなかったが。
また来てくれるよう頼んでおいたけどどうだろうか。近所に銭湯がないからな…クアハウスとかスーパー銭湯的なのはあるんだが…
一日経っても肌艶が凄いんだよなぁ。横島どころか恭也すら今日はいつもと違うぞ的な発言する位に。
「きゅいきゅい!」「きゅー!」「きゅい!」
「静かにしないか」
窓際に座る横島の膝の上にでんっと乗る、ペット持ち運び用の箱、キャリーケースとか言うのか。
それの中に三匹のフェレットと子狼が一匹。流れる窓の外の景色を見てきゅいきゅい鳴いたりお互いの毛繕いしたりして遊んでいるこれらは勿論、うちの妹と彼氏と友人である。はて、この場合、フェイトは義恋人とでも言うのだろうかね、なのはから見た場合。限りなくどうでも良いが。
新幹線代浮かす為――ではなくフェレットになって遊んでたんでそのまま持って来ました、別に新幹線代を浮かせる為でなく。大事な事なので二回言いました。
それにしてもフェレット可愛いなおい。アルフも可愛いけど。
ユーノは普通に黄土色というか茶系の毛に翡翠の瞳。瞳ったってよーく見ないと分かんないぞ、これ。フェレットの目すら大きく書くアニメ技法恐るべしってか。
なのはは純白の毛に桃色、フェイトは茶褐色というか黒系の毛に金色の瞳。どうも魔力光が瞳の色になるっぽいな。
通路歩く人達からも可愛い的な視線で注目されたり子供達が通るとわいわい騒がれたりしてるぜ。
なのは達の荷物は全部横島のでかいリュックに入ってるから問題ないしな。
まあ最悪、ユーノとアルフに転移魔法使ってもらえばいつでも取りに行ける、全く情緒のない話だが。
ユーノが東京行った事ないから転移魔法使えなかったんだが、帰りは出来そうだなぁ……
ま、兎も角。
テンション下げてても仕方ない。
楽しむか。
まあ、横島と仕事云々を除けば理想的な話だしな、海馬ランド行けるし東京の旨い店喰いに行けるし。
日の出食堂wktkだぜっ! 味皇料理会も見てみたいなぁ。
後は浅草の満月堂とか、横浜の五番町とかな。もしかしてこれ料理? を生で見られるかも知れん!
後、東京で見てみたいのはアキバだよな。どんだけ俺の記憶にある世界と変わってるのか楽しみ過ぎる。
新宿で伝言板見てくるのも忘れないぜ。あるかどうか知らんが。
あとあとアカギの墓も見てこないと。ギャンブラーの聖地として○chでスレが立ってた!
テンション上がってきたかも。
しかしガイドブックがカオスだな…普通に怪人とかぬいぐるみ生物とかポケモンとか写真で登場してたりするし。
特撮の特集本とかじゃないから困る。この世界はホント地獄だぜフゥハーハー。
「う? 楽しそうっすね?」
「ああ、割り切って楽しむ事にした」
「そーすっよね! 楽しまないとね!」
「お前はテンション高すぎだ、落ち着け。あと頬に米粒付いてるぞ」
「取って――自分で取るっす」
ったく……
「きゅい!」
「あ? ああ、お前らも食べたいか」
「きゅー!」
こくこくと頭を上下させるフェレット可愛いなぁ。
「お握り一個で十分そうっすね、アルフ以外」
「ああ、一応肉も用意してあるがな…」
期待の視線も可愛いけどな。まさに目は口ほどに物を言う。
ちっちゃいアルフも可愛いなぁ。
もふもふしたいぜ。
一つのお握りを三匹で食べるフェレットどもも可愛いが。
「俺も腹減ったっす」
「今お握り喰ったばかりだろうが」
まあそんなこんなで新幹線の旅は過ぎて行き――
****
「やって来ました海馬ランド!」
駅を降りてハイテンションな横島である、まだ駅から出た段階なのだが。
ちなみに子供達は駅のトイレで元の姿に戻り、キャリーケースは大型コインロッカーに突っ込んできた。
屋内型アミューズメントパークだった初代海馬ランドだが、周辺の土地を更に買い上げて拡張、遊園地型のテーマパークに大改造、という経緯らしい。確かに双六の青眼白竜を破った時はナンジャタウンのような屋内型だったな。多分、モデルがナンジャタウンなんだろうけどね。
「この世界の、遊びに掛ける情熱って凄まじいですよね」
「青眼白竜がいっぱいだ…」
「はしゃぐなガキども。まずは――入園時間前だが…ふむ、案内によると入園ゲート前に集合らしいな、何かイベントでもあるのだろう」
まああの社長の事だからど派手な挨拶かましてくるんだろうが…
舞浜の駅からてくてく歩く高町家ご一行。周囲にはちらほらと海馬ランドに向かう人、人、人。
殆ど静岡県人なんだろうな、今回の招待的に考えて。
しっかし歩道がかなり整備されているのは良いんだが……駅からこっち、何処を見渡しても青眼白竜だらけだな…案内図から誘導の矢印、信号機もそういう風にデザインされてるのは有りなのか? 法律的に。
この世界の法律がどうなってるのか今更な気もするが。
「遊園地なんて何年ぶりやろーか」
「私だって同じだ。というか行った覚えがない」
前世はまあ…多分、高校生くらいの時に行った覚えがなきにしもあらずだが、高町静香は本気で行った事ないな。恭也達も同じだが……あの馬鹿親父め。
そんなんだからなのはがなのはさんとか冥王計画ナノライマーとか呼ばれるようになってしまうんだ。
「私も初めて!」
「まあ僕達も当然初めてですね…管理世界でも、こういうアミューズメント施設がここまで充実している世界はありませんから」
「楽しみだね、アルフ」
「あたしゃバイキングの方が楽しいけどねぇ」
「色気より食い気は分かるがな…」
ホントプレシアがまともだからか腑抜けてるな、アルフ。まあそこが可愛いと言えば可愛いんだが。意外にも部屋の片付けとか掃除とかちゃんとしてくれるしな。
ああ、でもStSじゃ何故か幼女姿でユーノの手伝いとかしてたからそういうのも得意なのか?
しかしあの設定も謎だよな…フェイトに負担かけないとかいう理由ならむしろ子供時代の時こそ負担かけちゃダメだろ、体力的な意味で。クロノの子供達の面倒見るなら大人姿の方が都合が良いハズだしな。
まあ既存のキャラを空気にしたかっただけなんだろうな。
「プロのデュエリストとのデュエルも出来るらしいし、楽しみだね!」
そう、このイベントの最大の目玉がプロのデュエリスト達とのデュエルである。
誰がどのデュエリストと対戦出来るかはランダムなのだが、運が良ければキングとすら対戦出来るのだ。
ちなみに武藤遊戯である。相棒か闇王様かは知らんが。
本日の参加プロデュエリストはキング、城之内、孔雀、羽蛾、エド位だな、俺が知ってるのは。
エドとか名前しか知らんけど、D-HEROは好きなのだ。原作しか知らんから知ってるのは名前だけだけど。
羽蛾がプロとかびっくりだ。けど一度はチャンピオンになった事もあるんだしある意味当然なのか?
そういやアニメの方だとペガサス生きてたらしいんだが、この世界だとどうなのか。遊戯王原作だと暗殺されたって話だが。
死んでるっぽいかなー、I2はKCに吸収合併されたらしいし。
「やっぱりキングと戦いたいよね!」
「そういや横島はヤるのか?」
「DMは好きっすけど別にプロと戦いたいとかはないっすねぇ。
まあ話のタネと思って参加はする予定っすけど」
「似たようなもんだな」
正直キングとは戦ってみたいのは確かだ。
DMやってて相棒or闇王様と戦ってみたくない奴などおるまい。
「私はブルーアイズ ジェット・コースターって乗ってみたいな。自分で飛ぶのとどう違うのかな」
「DEATH・T体感シアターって面白そうだねぇ。敵をやっつけるんだろ?」
「バトル・シティ ザ・ムービーだな」
生の王様vs社長とかマジパネェ。実写ドラマ(笑)なんて目じゃないぜ。
というかあの髪型があり得ないんだが。とがりすぎです、リアルで見ると笑いがこみ上げてきます。
あの染め方も謎だ…地毛か? 地毛なのか? まあこの世界でそんな事言っても始まらんが。
「未来館は興味ありますね…あそこまでの技術、それの先が見られるんですから」
「カイバーマンショーを生で見れるの!」
全開の笑顔のなのははマジ可愛い。ユーノと手を繋いで歩いてると魔法少女なんて嘘みたいだな…ちなみにユーノの反対側の手はフェイトと繋がってる。
しっかし流石社長と言わざるを得ない。カイバーマンまさかのカード化、しかも青眼白竜がガチで3枚+双六じいさんのトコしかないこの世界ではコレクターカードとしての価値しかないという。
正直何の為に流通してるのか分からん、そこまでするならレプリカでも良いから青眼白竜も流通させろと。
「あ、飛行船! アルーアイズ!」
なのはの声に空を見上げると確かに青眼白竜を模した飛行船。もしかしてバトル・シティ決勝戦のアレか?
低空飛行なのか、かなりでかく見える。すげー。
「この世界はホント、多様性という点では全次元世界一かも知れませんね」
感心したように言うユーノの声。内容が酷く子供らしくないのが頂けないがまあ中身は大人だしな。
「アレ乗ってみたい…」
「自分で空飛べるだろうに」
「アルフ、お前には情緒というものがないのか」
まあ、ないとは思ってたけど。
まあそんな風にだらだらと他愛ないお喋りしつつ、入園ゲート前。
かなりの広さがあるが、イベント用に開けてあるんだろうか。中を広く取るなら兎も角、入り口前をここまで広く取る必要は一見なさそう、だがこの人数を入り口前に留めるなら必要かもな。
見渡す限り人人人。
コミケのようだ。アレよりは少ないだろうが。確か50万人とかだったからな、アレは。
まさか静岡県からそこまで人が来るハズもないだろうし、そもそもいくら何でも収容人数オーバーだろ。
後に聞いた話じゃそれでも3万人はいたそうで。パネェ。
まあ静岡県は孤児院などの完全無料招待客(移動費から宿泊費までKC持ち)と無料チケット配布客がメインで2万人、残りは協賛企業や協力財閥などにばらまいた無料チケット持ちらしい。
まあ横や縦の繋がりも大事だしね、社長ではなくモクバの発想っぽいが。
そういえば社長が大学生って事はもうモクバも中学生辺りだよなぁ。
社長はプロジェクトXで見たがモクバはどうだろうか。社長は結構イケメンだった。やっぱこの世界ちょっとおかしいわ。
頭よくて金持ってて天才なイケメン多すぎだろ。男女問わず。
イケメンと言えばうちの親父とかどうなってんだろうな。イケメンとか以前に若すぎる。40過ぎてるハズなのに未だ30代の若造と見られる。下手すると俺の兄貴扱いだからな…この世界の空気は何か老化防止の成分でも混じってるに違いない。
ああ、関東に入ったのにこの辺り、ポケモンいないな、そういえば。新幹線からは空飛ぶポケモンは見えたけど。
草むらがないからか? まあここらは町中というより郊外も郊外、それも完全に人の手の入った、整備された場所だからポケモンがいなくてもおかしくはないが。
しかし草むら云々はゲーム的な理由だと思うんだが…単純にゲットされたポケモン以外は人の生活圏内には余り入ってこないのかも。マンホール開けたらベトベトンとかいそうだが試す勇気はない。
それはそうと毒ポケモンはもう少し優遇されるべき。というか水に抜群じゃないのが納得いかん。鋼も腐食されろ。
鋼は雷も弱点であるべきだろ、常識的に考えて。
そうそう、ポケモンも増やして帰りたいところだな。理想は飛行系と四つ足系の大きめなのが良い。
移動の足として使えるしな。町中では当然の如く禁止だが、法律的に。
「で、これから何が始まるんすかね?」
「知らん。が、黒服どもが人を誘導してるな?」
ふむ、そうこうしているうちに俺らの前にも黒服――磯野さんがやってきた。
入場制限らしい。ゲートが幾つかあって、静岡県の何処何処から何処何処の人はAゲートから、Bゲートからと振り分けて混雑を避けようという意図らしい。
あとAゲート、つまり俺らはプロデュエリストとのデュエル会場へ最初に入り、後はB、Cと通ったゲート別に順次、時間が来たらアナウンスでデュエル会場入りするらしい。
よく考えられてるな、これなら比較的待たずに済む。
「全く! 海馬の傲慢男は何してるのかしら! こんなトコで人待たすんじゃないわよ!」
…? 妙に聞き覚えのある声だが…
しかし傲慢とは良く言う。いや傲慢だけどね、こんなトコで良く言えるわ。
「園子、ちょっと落ち着きなさいよ」
…そのこ、だと?
「園子お姉ちゃん、もう少しで開場だから我慢だよー」
「大人なんだから静かにしてなよ」
………
どう聞いても高山みなみです本当にありがとうございましたぁ!?
存在する死亡フラグ、名探偵 コナンだとお!?
ヤバいヤバい! 俺達の命がマッハでヤバい!
殺人事件が起こってしまう!
確かに園子なら財閥のお嬢様だからなぁっ、社交界で社長と交流があってもおかしかないが!
今日この日に来るなよ! なのは達は子供だから死なないかも知らんが俺や横島は普通に死ぬだろ!
………落ち着け、念能力があってライキまでいて、なのは達のサポートが受けられる。
この状況で俺を殺すのはまず不可能、なハズ。ゴルゴとか依頼される覚えもないしな。
とりあえず殺人事件でなく爆破事件や誘拐事件である事を祈ろう…あいつがいる場所で事件が起きない訳がないしな……
ユーノにも後で警告しておこう…子供は死なないが巻き込まれる事はあるし……
くそっ楽しいハズのテーマパークが一転リアルDEATH・Tに早変わりかっ!
「あ、飛行船…」
フェイトの声に空を見上げるとなるほど飛行船。でかいってーか低空飛行しすぎっていうか。
ぱーんっと盛大な音を立てて飛行船から花火が上がり――
あ?
飛行船から何かが落ちて――ソリッドビジョンの青眼白竜を三匹、従えるかのように一緒に降りてくるアレは――
「ハーッハッハッハッハ!」
ぼんっと小気味良い音を立ててパラシュート(勿論青眼白竜を模した奴)が開き、ゆっくりと降下するソレの回りを踊るように回るソリッドビジョンの青眼白竜。
そして入園ゲートの上に着地するソレ――そう、海馬瀬人社長その人。
同時に、恐らくソリッドビジョンであろう巨大に投影された社長のビジョンが青空に映る。当然、青眼白竜を従えて。
「ようこそ! 海馬ランドへ!」
無意味にすげー…感動モンだわ、色んな意味で。
なのは達なんか声も出ない程感動してるわ。
やれやれだぜ。
****
遅くなった上に遊戯王知らんと今回は厳しいかも?
社長MADは原作知らなくても一見の価値有りのが多いですよ。
お待たせしてホントすいませんがペース掴めるまで厳しいです。
とりあえず六月中に一本は上げるつもりで頑張ります。