「ねーこねこ、ねーこねこロケンロールっと」
なのはのお気に入りで気付くとサビだけ口ずさめるようになっていたんだが…
この歌を聴くとなのはルートor桃子ルートを探して序章を彷徨った思い出が蘇るんだよな、とらハファン的に考えて。
血の繋がらない義母とか我々の業界ではご褒美ですって思ったのになぁ。
まあ身内になってみれば、家族内でそんなキモい事して欲しくはないのは事実だが。
現在パジャマから着替え中な訳だが一向にスカートは履く気にならん……ならんが、俺みたいな美人がスカート履かないとか犯罪な気もする。見せびらかしたい程長く綺麗な足だし。うちはみんな毛が薄いのか首から下の体毛はかなり薄いのばっかりでお手入れとやらが楽でよい。
しかし制服のスカートですらこう頼りない。感覚的にはパンツ一丁で外出歩いてるのと大差無いのだ、元男としては。
すーすーして涼しいし。これから夏になる時期だから良いけど、冬は寒かろうなぁ……
スーツに合わせたタイトスカートとかデニムスカートとか似合いそうだけど、ただでさえでかい胸常備してて視線集めやすいというのに。見られたいか見られたくないかと言えば見られたくはない訳で。
日常生活動作的な女らしさは身についてきた――ような気がするが、こういうのは慣れんなぁ。
忍とかヴィレッタ先生とかエクセレン先生とか、よく平気で振る舞えるよな、あんな注目される程の美人なのに。
「ま、こんなトコか」
ジーンズのズボン、薄手のトレーナーの上にジージャンという素っ気ない着こなしだが別にデートに行く訳でないのでこれで良いのだ。
そろそろ横島達も帰ってくるだろうし、夕飯の仕上げもしないとな。
がちゃ
「おお!?」
「で、キサマは何をしてる」
確かに円なんてやってなかったけどさ、俺に、戦闘民族高町家の無駄にハイスペックな感覚器官に察せられない隠行とかこいつはどれだけ可能性を秘めてるんだ。
「帰ったらすぐ静香ちゃんと話したくて!」
だったらノックして入ってくるなりすれば良かろうが。ドアノブに耳を付けてたから倒れ込んだんだろうに。
「静香ちゃん、海馬ランド行こう海馬ランド!
こないだ行きたがってたっすよね!」
おまえもか。
サザエさんかこの家は。どいつもこいつも一つの話題に終始しおって。
いやまあ確かにこないだの「プロジェクトX~挑戦者達~」に出演した海馬瀬人社長には感動したが、色んな意味で。
一応、社会人(アメリカの大学生兼任だけど)として普通に司会者と接してたけど(社長が敬語とかそれだけで笑えるが)、デュエルシーンになると全力全壊の社長節だもんなぁ、ありゃ惚れるわ。
「チケットの期限は?」
「GWまでっす」
やっぱりか。
「行けるか阿呆」
「なんで!?」
がーんと口に出して打ちひしがれる横島。
とりあえずお前は立て。
「あのな、うちはスイーツ(笑)で全国的にも有名な喫茶店だぞ、しかも海鳴市は観光地。
稼ぎ時に遊園地で遊んでられるか」
全く。これだから高校生はいかん。遊びたい盛りなのは分かるが仕事は仕事だろうに。
……俺も高校生なんだよな、そういえば。
まあ跡取りとして家業に精を出すのは間違いではないから良いけど。
ところでスイーツってなんだかなぁと思わないか? 普通にデザートでいいじゃんね。
全く流行を作らなきゃ死ぬとでも言わんばかりで鬱陶しいぜ。
「やだー!! 一緒に行きたい行きたい行きたい!」
「更に行く気が失せるから黙れ」
頭痛ぇ。廊下に寝転がってじたばたとか幼稚園児かこいつは。
どぉんっ!
「おおお!?」
「下からだ!」
円!
ぐわっと広がりあっという間に広がる念。同時に廊下を走り階段を駆け下りる!
アキラが手に鍋を持って……ユーノか? なのは、フェイト、ライキを背に、両手をキッチンの方へ向けているのは。
……まさかホントに爆発したのか? 爆発はロマンだとか言い出したら張っ倒すぞ?
「なにがあった?!」
部屋に飛び込むと同時に円を解除。
概ね円で得た情報と同じだな。怪我はなさそうだ。
「あ、お姉ちゃん!」
「ビビったぜ、そこの機械が爆発したんだわ」
「ユーノがとっさにプロテクション張ってくれたんだ」
「ライ! ライ!」
「ライキもリフレクターを張ってくれたんだよ!」
なるほど、なのは、フェイトの前、ユーノの後ろにライキがいるのはそういう訳か。
そしてテーブルの上に鍋を置くアキラ。
「怪我は?」
「誰もしてません。けど、機械は完全にお釈迦ですね」
なるほど、居間を見渡せばなのはとフェイトを気遣うユーノ。
どうでも良いが外国人の割にお釈迦とか良く言い回せるよな、ホント。ミッドの共用語って日本語なのか。 その割には金髪外人が多い描写だった気がするが。
ま、兎も角、視線を動かすと、爆発音の原因のなれの果て…?
「アキラが中身をアポート(引き寄せ・物体転移)させたのか」
「おう、晩飯は死守したぜ」
「よくやった、うちの妹をファックしていいぞ」
「…ふぁっく?」×2
「知らなくて良い言葉だよ…というか静香さん…」
「勿論上の愚妹の事だ」
頭痛そうな顔するな、軍隊的冗句だ。
「遠慮しとくわ」
「……で、爆発した割には被害がない、な?」
減圧加熱調理器が爆発した割に、天井どころか側にあった炊飯器や他の食器も焦げ一つないぞ。
「ユーノ君がね! とっさにその機械を『包んだ』の! プロテクションで!」
なるほど、爆発をプロテクション内で完結させたのか。
「なんか変な音してたからな、全員でおかしいって言ってたのが良かった」
「そうか。月村には後で謝罪と補償を要求するとして。
怪我がなくて何よりだ」
間取り的に台所と食事場所(食堂という程ではないがかなりでかいテーブルが鎮座している)、居間が繋がってるんで対処出来たんだろうな。
「静香ちゃん大丈夫っすか!? あとアキラは死んでないか?!」
救急箱(これも一般家庭にあるそれより遙かに巨大で一抱えほどもある)を道場から持ってきたんだろう、横島が駆け込んできた。
ふむ、無意味に終わったとは言え気が利いてるではないか。
「死んでねーよ。まだまだやり残した事があるんでな」
苦笑しつつつまみ食いを開始するアキラ。躾がなってないな。まあ毒味と思ってやるが。
つまんでないけどつまみ食いとはこれ如何に。超能力をンな事に使うな。
「ちっ……で、なにがあったんすか?」
「月村からもらった調理器具が爆発した。
ユーノとアキラのおかげで被害ゼロ。
で、だ。
なのは達も怪我はないのならテレビの続きを見ると良い。
アキラ、すまんがその残骸を庭に放り出してくれ」
「おう」
「はーい」×3
「よ――忠夫はそれ片付けてこい。すまなかったな。
そういえばうちの両親はまだか?」
「あ、そうそう。帰り遅くなるって。町会長さんに呼ばれたとか何とか」
「ふむ? 美由希はこなたのトコへお泊まり会だったな」
「恭也は月村んちっすね。ねたましい」
「では片付けてこい」
「うっす」
おでんの方は問題ないし、飯も炊けたな。蒸らす時間が必要だが。
ふむ、孤児院に行くなら手土産は必要か。
この時間に他所様のお宅へお邪魔するのだしな。
「おう、適当に置いてきたぜ」
「ご苦労」
「アイスラッガー! セブン格好良い!」
「ライ! ライ」
「なるほど、光線をこう使うのか…」
「なのはにも出来そうだよね、アレ」
「ウルトラマンかぁ。俺がちぃせぇ頃は特撮でやってたなぁ」
フロシャイムから怪人役で出演ですね、分かります。
……ウルトラマン・ゼロもアニメ化か。
前世より遙かに充実してるな、この世界のアニメ事情は。少なくとも見るだけなら。
全体的に作画関係が神だから困る。海馬コーポレーションがてこ入れしてんじゃないかと邪推してるんだが。
まあ良い。ちゃんと録画されてるみたいだし、後でゆっくり見よう。
それにしてもテレビに夢中な子供ってのは和むな。可愛いぜどいつもこいつも。ライキもな。
「片付けてきたっすよー」
「うむ。飯が出来るまで待ってろ」
「うっす」
「ライライ!」
「分かったからひっつくな! 痛いんじゃ静電気が!」
「懐かれてんなぁ。横島も一緒に見ようってさ」
「動物語が分かるかい!」
やかましい奴らだな、全く。しかしポケモンは動物に分類されるのかね?
さて、トリュフチョコでも作るか。手順だけは覚えてるが自作は初めて、だがしかしこの程度に失敗はない。
というか来るなら来る、呼ぶなら呼ぶで前もって言えばもう少しまともな物を用意出来ようが、全く。
お気遣いの紳士を見習えってんだ。
****
「大根うめぇ」「餅巾着美味しーの!」
「ちっちゃい卵…」「ウズラって言う鳥の卵だね」
「黙って喰え。横し――忠夫はもう少し落ち着いて喰え」
ガツガツしすぎだ。
ちなみに両親は町会長のトコで飲んでると連絡があったので先に頂いてる訳だ。
「フェイト、フォークを使っても構わんぞ」
ウズラの卵は日本人でも下手な奴はつまめないからな。
むしろ平気で箸でウズラの卵を掴めるユーノの方が異常なのだ。まあ元々放浪する一族の出だから、色んな風習に親しみがあって、その上逆行者だからなぁ。魔法以外でも地味にチートだよな、こいつ。
「ううん、頑張る」
「フェイトちゃんファイト!」
「後でお箸の練習しようか」
しかしうちのガキどもは良い子ばかりだな。
疲れないかねぇ、とか考えてしまう俺はきっと汚れた大人なのだ。
「静香ちゃんお代わり!」
「あ、俺も」
「三杯目はそっと出せ」
よく喰うよ、ホント。
まあうちは人数が多いからご飯が足らなくなるなんて事はないんだが。
アキラも大概だが横島もなぁ、こいつら良く太らんな。
と言いつつそういえば俺も前世でこいつらと同世代の時は食事量に対して体重の変動が少なかったかな。
そういう時期なのかね。三十路になってメタボるがよいわ。
などと考えつつ、大盛りにご飯をよそってやる俺。
「タケノコ美味しいね」
「混ぜご飯好き! キノコご飯とかも美味しいよ!」
「ホント、この国はご飯の国なんですね」
「外国人っぽい意見だなぁ」
「ユーノは外国人やろが、見た目も」
「早く喰え黙って喰えとっとと喰え馬鹿者ども」
あ、まっくんが「○のさん」と討論してる。
まっくんとは国民的ファンシーキャラ……アレだ、ウサコッツたちの親戚だ。
クマのぬいぐるみ型怪人…? とりあえず下は幼稚園児から孫がいる年寄りまで幅広い年齢に支持されてるぬいぐるみ生物なのだ。
これも漫画かなんかのキャラか? 幾ら前世で隠れオタやってたからって俺が知らない作品なんぞ山程あるしなぁ。
生きたぬいぐるみといえば。
天気予報とかの定点カメラでスクランブル写すだろ? 渋谷とか新宿とか。
アレに普通に仮面ライダーに出てきそうなのとかガチ○ピンの親戚みたいのがサラリーマンや学生たちと混ざって歩いてるからな…東京とか都会は恐ろしいトコだ…
「まっくんが何を言ってるのか分からないの」
「私も…」
「これは…政治討論番組なのは分かるけど…
この見た目で未熟な親への教育とか言われるとインパクト凄いね」
「小難しい事ぁいいんだよ。ガンモうめぇ」
「馬鹿野郎、牛すじのうまさを知らんのか」
「やれやれ…」
意外と仲良いんじゃないかこいつら。
まーアキラみたいな心読める人間にとっちゃ裏表ない奴が一番気楽だろうしな。
「ただいまー」
「アルフだ」
あ、忘れてた。
爆発だのですっかりアルフの事忘れてたな。
まあ良い。ガキどもが腹を空かすのはいけない事だからな、先に食べさせてもらったのだ、うん。
「なんだい、人を使いっ走りさせておいて先に喰うなんて薄情じゃないかい?」
「すまんな、これから用事があるんで先に喰わせてもらった」
「まあ良いさ。フェイト、なのは、ユーノ。
プレシアが用があるから後で来いってさ」
「なんだろうね?」
「分かんない。ユーノ君知ってる?」
「多分――まあ行ってみれば分かるよ」
ユーノが知っててプレシアが関係してそうな事ねぇ。
アルフの為にご飯をよそいながら考えてみるが、全く思いつかん。
アニメだと今頃なのはとユーノがアースラに寝泊まりか? それともクロノ参上の頃か?
まー今更だな、うん。前倒しにも程があるしな、色々。
「なんかあるんすか? これから」
「ああ、アキラのトコの妹に会いに行く――「却下ぁっ!」――人が喋ってる最中に叫ぶな馬鹿者」
「こんな夜中に男の家行くとか何考えてるんすか!」
まだ夕方二十時前だが。
閉店の早くね? とか思った奴、ここは東京みたいな大都会じゃないし、うちの店は駅前でもないんだ。
まあ腰の重い客とかがいれば多少は伸びるがたいていは十九時〆だな。
朝昼は兎も角、夕食喰うような店でもないしな。
「小学生じゃあるまいしこの時間で夜遅くとかないだろう」
「男の家に行くってのがダメなんや! 嫁入り前の娘がはしたない!」
テンパると関西弁が出るなこいつ。
それにしてもいつもお前がしてる事はなんなんだと小一時間(ry
「あのな、アキラは施設に住んでるんだぞ? 孤児院だ、所謂。
つまりなのはと同じ位のガキどもが雁首揃えてるトコで、何程の危険があるというのだ?
大体ライキも一緒にいて私がどうこうされる訳なかろう、強さ的に」
念無しでもまだ横島には負けないしな。
苔の一念かどうかは兎も角、徹とか貫とか基本に関しては既に背中にいそうだが、まだまだ実戦的には負けないぜ。
「気持ちは分かるがよぉ、横島。
ぶっちゃけ今回はそんな色っぽい話じゃねぇんだよ」
かくかくしかじかうまうま
「つまり妹を出汁に静香ちゃんを籠絡しようという作戦な訳だなこのヤンキーが」
ちょっとは強くなった自信でもあるのか最近強気だなこいつ。
「てめぇ人の話聞いてんのかコラ」
「止めろ阿呆ども」
「わー、これが修羅場って奴なの。昼ドラなの」
「もう夜中だよね? 昼?」
「なのは、フェイト、部屋に戻ってプレシアさんのトコへ連絡しようか」
「うん」「そうだね」
流石空気の読める男、ユーノ。
一つ目線をこっちにくれるとそのまま二人の手を引いて部屋へ戻って行った。
良い子過ぎるがな。中身知ってる俺は兎も角、うちの両親なんか心配してたし。
まーなのはやフェイトに献身的過ぎると言われれば――と思考が逸れたな。
今はこの馬鹿どもの相手だ。
「ガキが遊園地に行きたくないという。
それは少なくとも本人にとってはのっぴきならぬ事情があるんじゃないのか?
博愛主義を気取るつもりはないが、話を聞くだけでも救いになるならすべきだ」
客観的に見て心配性に過ぎる、横島のはな。
俺に惚れてるんだから当たり前な気もするが……男に惚れられてもな、いや女に惚れられるのももっと困るが。いやいや、男に惚れられるのが当たり前なんだよ、なんだが…なぁ。
「うー…妹に甘いっすね」
「否定はしない」
あんな可愛いの妹(上は兎も角、下はな)が唐突に出来たら誰だって可愛がる、俺だってそうする。
ついで魔王にならないよう教育もする、無駄かも知れんが。
砲撃魔にならなくても高町母の子だしなー、色んな意味で怖くなりそうだよな、なのはは。
ま、ソレは兎も角。
「分かったら大人にしていろ」
「ったく。気持ちは分からなくもねぇが、こっちは色恋なんて浮ついてる場合じゃねーんだよ」
喰うに困ってはなさそうだが、金がありそうにもないしな。こんな機会でもなきゃ滅多に海馬ランドなんて行けないだろ。
ちょっと調べてみたがかなり高いぞ、高いけど納得の値段って評価ばかりだったが。子供料金はかなり安いんだがな。
「ライキ」
「ライ!」
食事を終えたアルフに毛繕いをしてもらってるライキを呼びボールに戻す。
「アルフ、忠夫、うちの両親が帰ってきたら適当に頼む。
あとガキども風呂に入れとけ」
「あいよー」
「了解っす」
やれやれだぜ。
あー、行く前にフィアッセの私物探さないとな…俺の予想通りならこれで解決するんだが。
****
で、孤児院に着いたわけだが。通称、ちびっ子ハウス。
「また2ケツしようぜ。峠攻めとか」
バイクを庭先に移動させながら嬉しそうにのたまうアキラ。
「黙れ」
バイクで二人乗りする場合、後ろに運転しない方が座り、運転する奴にしがみつくのが普通。
そして俺の胸はメロン並だ。割と本気で林檎より大きいから困る。
カーブを走るたびにしがみつく力を強くしないと危険だしなぁ……
恥ずかしいなんてレベルじゃねーぞ!
_| ̄|○
↑のような精神状態を無理矢理立て直す俺。
帰りは歩こう、ちょっとあるが今日は全く運動してないからな、ちょうど良いし。
しかしバイク自体は確かに良かったな、前世じゃもっぱら車だけだったし、自分で運転するなら恥ずかしくもない。
でもなぁ、ZⅡとかCB400F(フォア)とかもう売ってないしなぁ。悪魔の鉄槌とイカス。
アキラのもそうだがくそ五月蠅い音はちゃんと対策すれば静かになるみたいだし。
なんで爆音たてて走らないと満足出来ないんだろうね、こういう奴らは。
「おう、帰ったぜ」
「アキラ! こんな遅くまで何を――」
「お邪魔する」
このお姉さんがタエコさんか。タエコのパンチじゃねーかはちょっと笑ったぜ。懐かしい。
まあ普通お姉さんだな、取り立てて美人でもないが、普通に可愛い。
「アキラ、そちらのお姉さんはどなた?」
「喫茶・翠屋の娘で高町静香という。
夜分遅く失礼。
これはつまらないものだが皆さんで」
つまらなくはないけどな、翠屋謹製の包装紙で包んであるし。
「わ、翠屋の! ちょっとアキラ、お客様がいらっしゃるなら先に連絡しなさいよ!」
「うっせー。静香、こっちだぜ」
「長いするつもりはないのでな、少々騒がしくなるかも知れないが、ご容赦願う」
「はあ…」
まあ、もう21時直前だしガキどもは寝てるだろうしな。
しかし…あのトラウマゲームの舞台をリアルで生身の身体でお邪魔する事になるとは。
本当、あり得ないなんて事は絶対にあり得ないを地で行く人生だよな、俺の人生。
玄関からまっすぐ入って丁字路の廊下を左に曲がって左手の部屋が、アキラとカオリの部屋だったかな?
ビンゴ! よく覚えてなぁ、俺。
トラウマゲーだが神ゲーだったよなぁ…あの頃の四角はまさに神だった…
ところで海馬コーポレーションがスクエ○を傘下に収めてるとか何のギャグだと思う?
「カオリー、入るぜ」
ドアを開けるとぬっと顔を出す変な緑。
ビビったわ! 改造人間…いやアレか、たろいもか。
リアルで見ると何というか不気味だ。背も俺やアキラより頭二つ高いし。
「あ、お兄ちゃん、遅かったのね」
「お邪魔する」
さて、予想通りだと話が早いんだが果たして。
****
「ただいま」
「お帰りなさいっす」
「ガキどもは寝たか?」
「今日も三人で仲良く寝てましたよコンチキショー!」
相変わらず五月蠅い奴だ。
「ライ!」
「で、結局なんだったんすか?」
飛びかかるライチュウを受け止めながら、横島。
「プライベートな話だ。まあ問題は解決したんだが」
まあ一番悪いのは病院連れて行かなかったアキラなのかも知れんが……
HGS患者は下手な医者連れて行くとそのまま隔離施設行きもあり得るからなんともな…
それにコネでもなきゃ海鳴中央にHGSの専門家がいる事も知らないだろうしな。
とりあえず、フィアッセが使っていた抑制ピアスで能力抑えられたんで、ピアス付けてる限り普通に生活出来るだろ。矢沢医師への紹介状も書いてやったし、学校に通う位は問題ないはず。
当然、海馬ランドもな。
「そうそう、静香ちゃんも海馬ランド行けって店長と桃子さんが言ってたっすよ」
は?
「…二人は?」
この稼ぎ時に何を考えてるんだ。
いや子供(この場合はなのは達だけだろうが)を遊ばせてやろうという意図は分かるが。
「酔って帰ってきたんでもう寝てるかヤってるかじゃないっすか?
チケットも町会長から分けてもらったらしいから買う必要もないそうっす」
「ヤってる言うな」
親のそういう話は聞きたくもないわ。
しかしこれでは行かないとか言えんな…なのはに泣かれそうだ。
まあ現実問題、なのは達を東京まで行かせるとしたら、誰か保護者が必要なのは確かなんだが…
「とりあえず風呂入って来る、ライキを洗っておいてくれ」
「うぇー、電気怖いんすけど」
「らぁい」
「分かったから頬叩くな、痛気持ち良いんじゃ」
やれやれ。
明日が土曜日で日曜から水曜まで連休、か。
土曜の授業が終わったら仕事して東京遠征の準備か。
やれやれだぜ。
****
遅くなりましたが投稿。
新生活&身内の不幸のダブルコンボです。
更新頻度は落ちるものと思ってください。
楽しみにしてくださってる方に申し訳ない以上に書きたい物書けない事に対する苛立ちがっ!
次は社長のターンなのにっ!
そんな訳で今回のラストは駆け足にも程がありますがご容赦。