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No.14161の一覧
[0] 【習作】麻帆良に現れたクラウン(GS美神+ネギま+その他)[クランク](2010/11/14 23:00)
[1] 落し物を拾ったのは誰?[クランク](2010/03/21 22:45)
[2] 判明[クランク](2010/03/28 15:34)
[3] 対決 横島対タカミチ[クランク](2010/10/21 21:42)
[4] 出会い[クランク](2010/10/21 22:06)
[5] ナンパ成功?[クランク](2010/10/21 22:17)
[6] 初仕事[クランク](2009/12/13 01:46)
[7] デート?(午前の部)[クランク](2009/12/18 00:14)
[8] デート?(午前の部・2)[クランク](2009/12/26 22:57)
[9] デート?(終了)[クランク](2010/03/01 22:20)
[10] はじめての自宅訪問[クランク](2010/03/14 00:04)
[11] 動き出した主人[クランク](2010/02/22 21:48)
[12] プールに行こう 前編[クランク](2010/02/22 21:49)
[13] プールに行こう 後編[クランク](2010/02/22 22:06)
[14] 秘密がばれる時はこんなもんだ[クランク](2010/06/21 21:50)
[15] 大停電 前編[クランク](2010/03/14 00:20)
[16] 大停電 後編[クランク](2010/04/29 23:03)
[17] 本文で紹介されないのでココで、名前は「お市」 これ以降出る予定なし[クランク](2010/03/28 15:51)
[18] 次回もこんな感じで、短めの話を2~3つほど[クランク](2010/04/04 17:45)
[19] あと1人出す予定だが、5人でやめようかと思う今日このごろ[クランク](2010/04/11 00:30)
[20] 原作主人公来訪  だが出番なし[クランク](2010/04/29 22:15)
[21] またもや、出番なし。 次は出ると思われる  追加分完成[クランク](2010/09/05 20:53)
[22] 黒百合  出番あったが、今回は主人公が出番なし[クランク](2010/05/23 16:05)
[23] この二人の技の前に、作戦など不要[クランク](2010/05/23 16:26)
[24] 猫の友達はまだいます[クランク](2010/07/11 22:31)
[25] この話は今回では終わりません。申し訳ありません。[クランク](2010/07/11 22:29)
[26] スフィンクスは、ちょっと苦手(作者の趣味で申し訳ないですが)[クランク](2010/08/08 16:05)
[27] 見合い (前編) …前編では、全く見合いしません[クランク](2010/10/19 22:26)
[28] 見合い(後編)…題名に偽りあり。後編でも、見合いしませんでした。[クランク](2010/10/19 23:03)
[29] 母、張り切り 娘、悲しむ  (ちなみにアキラはバーサーカーモードです)[クランク](2010/11/13 23:00)
[30] 1人だけシリアスなお話[クランク](2010/12/05 23:00)
[31] お泊り (千雨が玄関に座ったら、ボディブローをくらい悶絶でした)[クランク](2011/03/24 23:37)
[32] 次回予告 『横島、少女に襲われる』[クランク](2011/02/13 22:36)
[33] 申し訳ありません、嘘つきました。違う話が出来てしまいました。[クランク](2011/03/24 23:53)
[34] 全く関係のない少女が、色々知ってしまう。(次回予告 関係のない少女、進路決まる)[クランク](2011/11/16 21:44)
[35] 一名と一体、参戦決定(別題:出席番号28の子は、どうなってしまうのだろう)[クランク](2011/12/28 17:03)
[36] 娘の友人には激甘な吸血鬼   (次回予告:原作より一話早く小動物登場)[クランク](2011/12/28 17:32)
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[14161] 一名と一体、参戦決定(別題:出席番号28の子は、どうなってしまうのだろう)
Name: クランク◆6c156288 ID:a4ab4e09 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/12/28 17:03
「茶々丸ちゃん、今日休みなんだね」

「…そうみたい。どうしたんだろう?」

「さあなあ。気分でも悪いんじゃあねえのか?」

下着姿のアキラ・和美・千雨が、身体測定の合間に集まり、休みの茶々丸について話し合っていた。
周囲の少女達が、巷で噂になっている、吸血鬼の話で盛り上がる中、この場にいない友人を心配していた。

そんな中、和美が千雨の顔を見ながら、楽しそうに笑っていた。和美が笑った理由は、以前の千雨だったら、
ガノノイドである茶々丸に対して、体調不良の心配などしない思考を、持っている事を理解しているためである。
それを、千雨自身の口から、心配する言葉が出たため、少女が変わったことに対して、嬉しくなって
笑ってしまったのであった。

和美に笑われてることに気がついた千雨が、軽く睨みつけながら、

「人の顔見て笑ってんじゃあねえよ」

「いやいや、何でもないよ~」

和美のふざけた態度にいらっときた千雨が、頬でも抓ってやろうと手を近づけたが、

「甘いわ千雨ちゃん」

「待ちやがれ和美!?」

「千雨ちゃんじゃあ、私を捕まえるのは無理よ」

不穏な気配を感じた和美が、教室を逃げ回り始めた。両手を振り上げ、笑顔の和美を追いかける千雨を、
アキラがぼーと眺めていた。そうしていると、アキラの周りにチアリーダー部の面子が集まってきた。
そして、追いかけっこをする二人に苦笑しながら、

「千雨ちゃんもここ半年で変わったわ」

「そうだね。あんな感情的な行動なんて、しなかったのにねぇ」

「前までは冷めた目で周り見てたよね。まあ私は、今の長谷川ほうが好感持てるからいいけど」

各々が好き勝手に千雨の話をしていると、アキラが同意のため無言で頷いていた。アキラも横島と出会う前は、
千雨との交流など皆無であった事を、思い出していた。彼と出会え、さらに今まであまり接点のなかった
クラスメートと、仲良くなれ本当に良かったと思っている。そんな思いから頬が緩むアキラに、
柿崎が昨夜の詳しい事を知りたいため、アキラの肩を突っつきながら問いかけた。

「ねぇねぇ、昨日は本当に何もなかったの?」

「…?」

「ほらほら、誰にも言わないから喋っちゃいなよ」

柿崎は、横島について尋ねたのだが、いまいち判っていないアキラが、昨日何かあったか考え出した。
そして、唯一の心当たりに行き着くのである。アキラ本人としては、全く覚えていない事であったが、

「…昨日は、噂になってる吸血鬼に襲われたくらいかな」

「………マジで…どんな奴だった? もしかして倒しちゃったとか?」

アキラの的外れな答えに、数瞬意味がわからなかった柿崎であったが、直ぐに意味に気がつくと、
唖然としながら詳しい話を聞きだしにかかった。他の二人も、意外な方向に進む会話に耳を傾けている。

「…覚えてないんだ。私や千雨は、横島さんが見つけたときには気絶してたから」

「千雨ちゃんも襲われたの! 二人とも、その大丈夫なの?」

暴走したときのアキラの力を、身を持って体験した柿崎が、アキラが負けたことに戦慄しながらも、
二人の身を案じた。柿崎の声が自然に大きくなっていくと、物騒な言葉を聞いた少女達が心配そうに集まりだした。
集まってきた少女達に、心配させまいとアキラが、手を振りながら、

「…大丈夫だ。私が背中を少し痛めただけだから」

少女達の目には、アキラの背に張られたシップの隙間から覗いた肌が、青くなっているのが見え、
口を閉ざしてしまった。


アキラの周囲にいる少女達が、気落ちする中、

「困りましたわ」

「どうしたの、いいんちょ体重でも増えてた?」

「ひゃあ! 夏美さん、やめなさい。それに増えてませんわ」

悩み顔のあやかに、村上がわき腹を摘みながら話しかけた。くすぐったさから悲鳴を上げ、身体を捩じらせたあやかが、
村上の手から逃げ出た。そして、胸を張ったあやかが、村上に対して悩みを打ち明け始めた。

「横島さんと、朝倉さんたちのことですが」

「…ああ、うん。…聞かなきゃダメ?」

「はい、聞いてください」

横島の名を聞き、朝の事を思い出してしまった村上が、嫌そうな顔をしたが、あやかに押し切られ、
聞くはめになってしまった。肩を落とした村上に、あやかが真剣な表情で、

「困った事に、日本では重婚が認められてないんですわ」

「…え、えーと、そんな当たり前のことで困られても…しかも本気っぽいし」

あやかの表情から、村上は冗談で言っていないと理解すると、自分では助言など出来ないと悟ってしまった。
村上は、あやかが何故このような、アホなことで悩んでいるのか判らずにいると、

「いいですか、このままではあの方達は、一人しか幸せになれないのですよ。あの方達を見れば、
横島さんに好意を抱いているのがわかりますわね?」

「…それはまあわかるけど…だから重婚なの?」

「そうですわ。重婚が可能なら、幸せになれる可能性が広がりますわ! 幸いな事にあの方達は仲が良さそうなので、
他の方を蹴落としてまで、横島さんを独占するとは考えにくいですし」

力説するあやかに、早くこの話が終わらないかと思っている村上だったが、更に話をややこしくする人物が、
あやかの背後から現れた。その人物を見た瞬間、村上は嫌な予感から、表情を曇らせるのであった。
そして、あやかの背後に立った人物が、少女の肩を叩きながら、

「あらあら、あやかそんなの簡単よ。重婚が可能な国に渡ればいいのよ」

「なろほど! その手がありましたわ。さすがですわ、ちづるさん」

「ああ~予想通り話が変な方向に。しかもいいんちょも納得してるし。 …絶対にちづ姉もその中に入って、
外国行く気だし」

千鶴の意見に、村上は頭を抱えぶつぶつと小さく呟くため、誰も内容に気がつく者はいなかった。
そして、色々な人間関係を知る村上が、心労から身体がだるくなってきていた。村上の状態に気がつかず、
重婚について真剣に話し合う、千鶴とあやかに対して、ストレスが溜まる一方の少女が、

「もういっそ、日本の法律変えちゃえばいいのに」

その適当な呟きを聞いた千鶴とあやかが、勢いよく村上の顔を覗き込んだ。二人の反応にびっくりした村上が、

「ど、どうしたの?」

「それですわ。夏美さん」

「いい事を言ったわ。夏美ちゃん」

「え、え、な、何が?」

突然二人から肯定された村上が、困惑していると、

「法律を変えてしまえばいいのですわ」

「夏美ちゃん、すばらしいアイデアよ。今晩のおかずは、夏美ちゃんの好きな物を作ってあげるわ」

「ありが…へ? ほ、本気?」

好きなものが食べれると一瞬喜んだ村上だが、二人の会話の意味に気がつき、放心状態になってしまった。
思考が停止する村上の目の前で、千鶴達が本格的に話し始めていた。放心状態の村上の耳に、

「私たちは、裏で…」

「表はこの子にまかせ…」

「今から、ある程度の立ち振る舞いなど…」

「それから、資金とコネを…」

二人の未来設計の話し合いに、興味を持った超が、

「楽しそうな事を話してるネ。私も混ぜてほしいヨ」

超の参加したいという言葉に二人は、直ぐに頷き超を仲間に引っ張り込んだ。『麻帆良の最強頭脳』に二人が、計画を話すと、

「村上を政治家にするのカ。それは面白そうネ」

「え!? どうしたらそういう話になるの!」

聞き捨てならない言葉を聞いた村上が、大声を上げ説明を求めると、

「大丈夫よ。夏美ちゃんは、原稿を覚えて喋るだけでいいから。演劇部だから、役作りは得意でしょうし」

「そうですわ。ちょっと息苦しいバイトと思ってください。あっ副業が政治家で、本業を持って別に構いませんから」

「任せるネ。いろんな裏の情報を手に入れて、最速で政治家になれるようにするヨ」

笑顔を浮かべた3人に、親指を立てられた村上が、

「無理だよ~~」

絶叫したが、既に計画は動き出しているのであった。将来、『豪腕』『暴君』『支配者』と呼ばれる政治家が、
誕生した瞬間である。全く持って、この少女に似合わない字であった。


騒がしいクラスメートを壁際で見ていた、龍宮と刹那が小声で、

「吸血鬼だとさ。全くクラスメートを襲うとは」

「…お嬢様に手を出さなければ、私からは干渉しない」

犯人の想像がつき呆れ顔の龍宮と、我関せずの姿勢を貫く刹那。そして、まだ測定が全て終わっていない刹那が、
離れていくと、窓から外を眺めた龍宮が、

「しかし、よりによって長谷川と大河内か。また犯人も、面倒なことになりそうな奴らの血を吸ったものだ」

被害者の名を聞いたとき、ある男の間抜け顔が浮かんだ龍宮。あの男が関わると、碌な事にならないだろうなと、
思った龍宮が少しだけ唇を持ち上げると、

「気が向いたら、どうなるか見てみるのもいいか。あの人が勝つ事はないだろうが、少しは楽しめるか?」

龍宮の予想では十中八九、横島が負けると思っている。それでも、万が一が起こるかもしれないと、
興味が引かれる対決になると感じていた。



下着姿で逃げ回る和美が、余裕の表情を見せながら、顔を下に向け追いかけてくる千雨に、

「いい加減諦めなよ」

「ゼェゼェ、ま、まちや…がれ…」

日ごろの運動不足がたたり千雨は、息を切らせ青くなりながらも、和美を追いかけていた。既に走るというより、
歩く速度に近くなっている千雨が、

「…な、何で私…追いかけ…てる…んだ…ハァハァ…ぎゃ!」

「千雨ちゃん!」

疲れから追いかける虚しさを感じてきた千雨が、諦め立ち止まろうとした。が、止まろうとしたが体力の消耗から、
足がもつれフラつき、近くの机に足を取られてしまった。そして、こけた千雨に驚いた和美が、反射的に手を出し
助けようとしたが間に合わず、千雨は転げまわると、教室のドアに激突し止まった。そして、かなりの衝撃だったのか、
ドアがハズレゆっくりと倒れ、千雨の身体が教室の外に出て行ったのである。



教室のドアの前にて待機しているネギが、中の騒々しさを聞きながら、

「みなさん、楽しそうですね。僕も元気に一年間頑張っていこう!」

これから一年、頑張ろうと気合をいれるネギ。そんな少年の感覚に、教室の中から微弱な魔力を感知すると、

「あれ? いま本の少し魔法の」

教室に背を向けていたが、振り向いたネギが教室の中の気配に、感覚を研ぎ澄ませ探ろうとしていると、
突然ドアがネギ目掛けて倒れてきた。逃げようとした時には、すでに目の前までドアが迫っていたため、
反射的に手で押さえにかかったネギであったが、

「わ、うぐ。ぎゃふん!」

ドア+千雨の重さにネギの細腕では、全く耐える事が出来ず、ドアに押し倒されてしまった。
ドアの下でもがくネギが、

「く、苦しい…こ、これ重すぎです」

ドアを挟んで、千雨が乗っていると思ってもいないネギが、ドアを退かそうと悪戦苦闘している。しかし、ネギの腕力では
動かすことが叶わず、上に乗る千雨が身体を動かす度に、ドアが動きネギの身体に苦痛を与えていた。


ドアの上にて、頭を振りながら上体を起こす千雨に、追いかけてきた和美が手を差し出しながら、

「はい、千雨ちゃん」

「わるい」

差し出された和美の手を、素直に千雨が取ると、和美が手に力を込め千雨を引っ張った。千雨もタイミングを合わせ、
ドアの上に一気に立ち上がると、

「うっう、い、いふぁいへす」

「何か聞こえたような」

転がった影響からふらつく千雨が、何処からかくぐもった声が聞こえたため、周りを見回した。
しかし、目の前にいる和美しか見つけられず、気のせいと判断しようとした。すると目の前の和美が、
千雨の踏んでいるドアを指差しながら、

「千雨ちゃんの下から、声が聞こえたけど。誰かそのドアの下にいるみたいよ。退いてあげたら、千雨ちゃん重そうだし」

「ば、ばっきゃろう、重くねえよ!」

和美の軽口に、目を吊り上げ千雨が反論した。体重はともかく、身体測定の結果を和美達と見比べたら、
アキラとウエストが同じであった。3人の中で背が一番低い千雨が、一番高いアキラと同じという事実が、
ショックな千雨であった。

そんな為、体型が少し気になりだしている千雨に、下にいるネギが苦しいために、

「お、重い~ は、はやく、ど、いて」

「重くねえって言ってるだろうが! 退くから少し我慢してろ!?」

言いながら千雨が、ドアの上から退避すると、ドアの下から潰れ気味のネギが、はい出してきた。
ヨロヨロのネギに、和美がネギの背を擦りながら、

「ネギ君、大丈夫?」

「な、何とか大丈夫です」

顔を顰めるネギだったが、和美に介抱してもらい、気分的に楽になっている。そして、押しつぶしていた千雨も、
年下相手に悪い事をしたと思い、

「悪かったな」

そっぽを向きながら、素直に謝罪の言葉をかけた。落ち着き、二人に目線をやったネギが、

「いえどう…ブッ…ふ、二人とも、な、何で下着で…」

下着姿で廊下に立つ二人に、驚きのあまり息を噴出し、赤くなりながら目線を逸らした。ネギの反応に目の前に立つ二人は、

「下着なのは、身体測定の最中だからね。別に、子供に見られても平気よ」

「ガキがませた反応すんな」

余裕な態度をとる二人である。元々肌を露出させる服をよく着る和美は、特定の人物以外から、
見られることに耐性がついていた。千雨は、本当は少し恥ずかしかったが、先程押しつぶした負い目から、
少しは我慢する気になっていた。

二人が平気な言葉を発していたが、いまだに視線を逸らしているネギに、

「くす、こういう反応も可愛いわね」

ネギの初々しい反応に、和美の琴線に触れる物が合ったのか、ネギの頭を撫でだしている。下着姿を見ないように
顔を上げないネギは、和美にいいように弄くられている。そんな、生徒にされるがままのネギの感覚に、
再び魔力が感知された。意外なほど近くから感じたため、自然とそちらに目線を向けた。目を大きく広げ見つめる、
ネギの視線に気がついた少女が、

「どうしたネギ先生? …あんまり見るようなら、学校に訴えちまうぞ?」

見つめていた千雨からの苦情に、慌てふためいたネギが、

「わっわわわ、ご、ごめんなさい…やっぱり、長谷川さんから?」

謝りながらもネギは、千雨から微弱な魔力を感じ確信を得た。千雨とネギを、交互に見た和美が、
ネギのつぶやきに気がつき、

「ネギ君、千雨ちゃんがどうかしたの?」

「い、いえ。 …あ、あの最近、長谷川さんに、何かありませんでしたか?」

会話にてさりげなく聞くスキルがないネギは、直球で千雨に問いかける事を試みた。質問された千雨は、
質問の意図がわからなかったが、

「何だ急に。まあいいけど、最近かあ」

ネギの謎な質問に、律儀に考え出した千雨は、

(こいつの質問は、多分春休み中についてだよなあ。寮ではみんなで宿題やって、飯食ったな。
横島さんのところじゃあ、飯作ったり、茶々と遊んだぐらいか…いつも通りだな…え、ええと、『ア~ン』は、
私だけ出来なかったしな。あいつらよく出来るよな。恥ずかしくねえのかよ。全く人前で。
べ、別に、う、羨ましくなんかないからな!)

違う方向に思考が傾きだした千雨が、表情を様々に変化させていると、大人しく待つネギに、和美が楽しそうに目を細め、

「何々ネギ君、千雨ちゃんみたいなのがタイプなの? 顔もスタイルも、もっといいのがいっぱいあっちにいるのに。
ほらほらアレなんて凄いよ~」

和美は、ネギの頭を掴みドアが外れ中が丸見えの教室に、強制的に向けた。色鮮やかな下着姿の少女達が、
不意に視界に入ってきたネギが、「あわわ~」と呟きながら、目を手で隠した。ちなみに、ネギの視線の先では、
外の様子に気がついていた千鶴が、ニコニコしながらネギに手を振っていた。残念ながらあやかは、
村上に集中しているため、ネギには気がついていない。

和美にムカつく発言をされた千雨が、額に血管を浮かべ、

「黙れヘタレ女! エロイ事平気そうなこと言うくせにチキンな、エロチキが」

ヘタレと言われ和美は、ちょっと神経がざわついたが、ここで怒ったらヘタレである事を認めてしまうため、
いつも通り軽い感じで、

「私のドコがヘタレなのかな~ あとエロチキって何よ?」

「ふん。前々からそうじゃあねえかと思ってたけど、朝の行動で確信したぞ。お前、口じゃあ
『誘惑する』とか言うけど全然しないだろ。そう言うのを、口だけのヘタレって言うんだよ。
エロチキってのは、エロいこと言うのは平気だけど本番になったらチキンになるやつ、
略して『エロチキ』だ。いま作った言葉だ、反論したければしろ!」

「……」

千雨の言葉に、沈黙しネギの頭に手を置いたまま、考え込みだした和美。そして、身に覚えがあったのか、
頬から一粒の汗が流れ落ちた。そして、肩を落としながら、

「…私、ヘタレかも…だ、だって横島さんと、キ、キスとか、か、考えるだけで、キャー!」

「う、うわ、く首が~~」

恥ずかしがり出した和美が手近にあった、ネギの頭を両手で廻しだした。ネギは、首の稼動限界まで、
動かされ痛みが走り出している。そして、和美の反応に満足した千雨は、「ふん」と鼻で息を出すと、
さきほどのネギの質問に答えるため、口を開いた。

「最近というか昨日だけど、吸血鬼に襲われたらしい。アキラと二人で桜通りに倒れてたよ。…聞こえてるか先生?」

いまだに和美に、頭を廻されてるネギに声が聞こえてるか、気になった千雨が声をかけると、

「…ふゃ、ふゃい、ひゅ、ひゅおえま、し、た…」

あまり言葉になっていないネギの返答に、千雨が首を傾げたが、

「答えたし、まあいいか。さて教室に戻るか。おい和美、お前も来い。先生の首をねじ切るきか」

「あ。ゴメンネ、ネギ君。千雨ちゃんあんまり引っ張んないでよ」

自身の手で和美の手を止めた千雨が、そのまま和美を引っ張って、教室に戻っていった。

和美の手から解放されたが、首が廻るのが止まらないネギが、

「きゅ、吸血鬼…さ、桜通りですね。こ、今夜、にでも…」

と呟いたかと思うと、目を廻しながら倒れてしまった。


余談であるが、和美がはじめてキスするときは、さほど問題もなく済ませれた。が、
初体験時にとても恥ずかしがり、「こ、怖い」や「は、初めてだから、や、優しくね」と
涙目で訴えたらしい。ちなみに、アキラは正反対に「…初めてだから、痛くしたらゴメン」と、
相手を気づかったとさ。こんな未来もある…かも。



探し回り見つけた茶々を膝に乗せた横島が、喫茶店にてコーヒーを飲みながら、呼び出した知り合いを待っていた。
ウェイトレスの揺れるお尻を眺め、時間を潰す横島の耳に、ドアに取り付けられた鈴の鳴る音が聞こえた。
反射的に目を向けると、横島は会釈をしながら、

「タカミチさん、すんません呼び出してしまって」

キョロキョロと周りを見渡すタカミチに、声をかけた。呼ばれたタカミチも横島に気がつくと、
穏やかな表情のまま片手を挙げながら、

「気にしなくていいよ。しかし珍しいな、僕に相談したいことがあるなんて、どうしたんだ?」

タカミチが横島の対面のイスに腰掛け、接客のため近づいたウェイトレスにコーヒーを頼んだ。
横島の元を離れた茶々が、タカミチの膝に飛び乗ると、タカミチが茶々の耳の付け根を撫で始めた。
茶々を撫でながら、横島の言葉を待つタカミチ。珍しく真剣な表情を見せる横島に、タカミチが怪訝そうにしていると、

「昨日のこと何すけど、アキラちゃんと千雨ちゃんが襲われたんすよ」

「な… 二人は無事なのか?」」

予想外の単語に驚き、茶々を撫でる手を止めるタカミチ。タカミチの元には、何ら情報が入ってないため、
最悪な状況ではないと予想したが、念のため二人の安否を確認した。

「アキラちゃんが怪我したくらいで、一応無事ですよ。学校にも出てますから」

「そうか」

横島の話を聞き、安心したタカミチが息を吐いた。それと同時にタカミチは、アキラが傷つけられた事に、
横島が大分気が立っていることに気がついた。そしてタカミチは、横島の相談が犯人の情報を欲して、
自分を呼び出したと思い至った。携帯を取り出したタカミチが、情報を集めようとした瞬間、横島の口が開くと、

「犯人は、『吸血鬼』らしいんすけど。何か情報ないっすか?」

「…まさか、エ」

吸血鬼という言葉に、呆然としたタカミチが無意識の内に、脳裏に思い浮かんだ人物に対して、
言葉を発してしまった。途中で目の前に横島がいるのを思い出し、慌てて口を閉じたが、目を見開いた横島が、

「何か知ってるんすね!」

タカミチの反応に、何らかの情報を持っている事を確信した横島が、身を乗り出しながら詰め寄った。
そんな興奮する横島を、タカミチが宥めるため、両掌を目の前に掲げながら、

「…少し待っててくれ。その話をする事は、僕の一存では決められない」

そして、確認をとるため席を離れようとするタカミチが、膝に陣取る茶々を持ち上げた。手にじゃれ付く茶々を、
タカミチが優しく横のイスに移動させると、携帯を片手に外に出て行った。


タカミチを待つ横島は、落ち着かないためか、テーブルを指で叩いている。数分間、そわそわしていた
横島の元に、電話を終えたタカミチが席に戻ってきた。タカミチから、有力な情報が得られると思っている横島が、
タカミチからの言葉を待っている。しかし、中々口を開かないタカミチに、横島が怪訝に思いだした。
そして、やっとタカミチが重い口を開きだした。

「横島くん。学園長に確認をとったんだが… 君はこの件に関わるな、とのことだ」

「…は…どういうことっすか!」

茫然とした次の瞬間、語気を荒げる横島が、タカミチを睨みつけていた。学園長の真意までは、
わからないタカミチであったが、睨みつけてくる横島から目を逸らさず、

「学園長の指示を抜きに考えても、吸血鬼を追うのはよせ。 …僕程度に勝てないようでは、
その者に触れることすらままならないぞ」

「…そいつは、本気を出したタカミチさんより強いんですか?」

「ああ」

「……」

首肯するタカミチに、手加減状態のタカミチに圧倒された横島は、無言のまま前を見つめている。
しばらく無言のまま、視線を絡ませあう二人だったが、空気を読めないニャンコが横島の頭に飛び乗り、
横島の頭をペシペシ叩いている。気を抜かれた横島が、タカミチに向かい、

「さて、そろそろ帰りますわ」

笑顔になり言葉短く言うと、伝票を取り立ち上がると会計を済ませるため、レジに向かいだした。
横島が、タカミチの横を通り過ぎると、

「待て、横島くん。学園長も考え合っての事だと思うから、大人しくしててくれ」

タカミチの声に、横島が立ち止まった。自身の知り合い同士が、ぶつかるかもしれない状況に、苦悩するタカミチが、
横島を説得にかかった。そして、立ち止まった横島から、

「タカミチさん、痛いのが嫌いな俺が、そんな危ない奴に、手を出すわけないじゃないっすか」

「……」

「情報のお礼に、ここの代金は俺が払っとくすよ。いや~ 危なかった危なかった。
あやうく死に掛けるところでしたよ」

陽気な横島の声を聞いたタカミチであったが、横島の記憶を知り、半年以上横島を見ていた彼は、理解していた。
横島忠夫という男が、自身の大切な者達を傷つけられ、大人しく傍観するはずがないと。

横島が店を出て行った後、一人残されたタカミチは、一口も飲まず冷えてしまったコーヒーに視線を合わせながら、

「力の大半を封印されたエヴァとはいえ、横島君ではきついだろう。…何より彼女の従者は…」

弱体化しているとは言え、最強を誇った魔法使いが、襲われたときの対策がないとは考えられなかった。
そしてなにより、エヴァの側には横島と、とても親しくしている少女がいるというのが、一番のネックだと思った。
ポケットからタバコを取り出し、慣れた動作で口に咥え火をつけ吸ったタカミチが、不味そうに息を吐き顔を顰めながら、

「…それに、学園長の指示もあるから……横島くんが、戦うなら…僕もエヴァの側か…」

さきほど、連絡を取った学園長からの、指示を思い出していた。タカミチへの大まかな指示は二つ。

一つ、横島にエヴァの情報をあまり与えない事

二つ、この件に横島を関わらせないようにする事

特に、この二つ目がタカミチを苦しめていた。この内容には、タカミチの実力行使も認められていたためである。
この日から、学園長の指示のもと古くからの友につくか、それとも新しき友の為に力を貸すか、苦悩するのであった。




学校に行かず、時間が余った茶々丸が普段行う一通りの家事を終えると、

「…地下も整理しましょうか」

地下に移動した茶々丸が、所狭しと並べられている人形を見回した。

「どこから手をつけましょうか」

効率よく片付けれるように、茶々丸が計算していると、人形の群の中から、

「ヨー我ガ妹、マタ刃物デモ借リニ来タノカ?」

計算中の茶々丸に、声をかける者がいた。声に反応した茶々丸が、視線を向けると横に倒れた
70cmほどの人形を発見した。静かに近づいた茶々丸が、その喋る人形の姿勢を直した。そして、一礼したあと、

「チャチャゼロ姉さん。刃物は要りません」

声を発した人形は、茶々丸と同じエヴァンジェリンの従者・チャチャゼロであった。茶々丸が、
不要と答えると、場を静寂が支配した。元々茶々丸も、お喋りなタイプではなく、自分から話題を
振る事はなかった。そしてチャチャゼロの方は、じっと茶々丸を観察している。観察を終えたチャチャゼロが、

「ケケケ、イツモ無表情ナオ前ガ、今日ハ更ニ雰囲気モ暗イナ。全ク辛気臭エッタラネエゼ」

「申し訳ありません」

いきなり毒を吐くチャチャゼロに、特に気分を害さなかった茶々丸が、素直に頭を下げた。そして、頭を上げると、

「それでは、失礼します」

チャチャゼロの機嫌を損ねる前に、この場を去る選択をした茶々丸が、背を向け歩き去ろうとしている。
そして歩き出した茶々丸に、

「マア待テ、少シ話相手ニナレヨ」

「…ですが」

「暇ダカラヨ、何ガアッタノカ話セ。時々、ココニ来テタ時ト雰囲気ガ違イスギルゾ」

稀に地下に訪れる茶々丸と、目の前にいる茶々丸では、何となく違う様に見えたため、チャチャゼロの興味を
引いてしまった。そして引きとめの言葉により、振り向いてしまった茶々丸と、チャチャゼロと目が合った。
話していいのか判断に迷っている茶々丸を、チャチャゼロが静かに見つめている。数分が過ぎたとき茶々丸が、

「姉さんは、人をどう思いますか?」

「特ニ何モ思ワナイナ。ダガ、強イ奴ナラ斬リタイ」

素直に自分の意見を語るチャチャゼロに、無表情のままの茶々丸が、

「そうですか。私は、あの人ともっと一緒に居たいと思いました。あの人と他愛無い事を話たり、
作った食事を食べてもらい、おいしいと言ってほしかったです」

茶々丸の紡ぐ言葉に、簡単なことに何を悩んでるのかと、チャチャゼロは馬鹿馬鹿しいと思いながら、

「ダッタラ、ソノ人間ト居レバイイダロ」

チャチャゼロの言葉に、茶々丸は静かに首を左右に振り、否定を表すと、

「無理です。なぜならその人はお母様と…マスターと敵対するはずですから」

「ン、何ダソイツハ、魔法使イカ? 御主人ヲ倒シテ、名デモ上ゲタイ馬鹿カ?」

「魔法使いかどうかわかりません。名を上げたいわけでもないです。ただ、マスターが
…あの人にとって、許せない事をしただけです」

そして茶々丸は、チャチャゼロにエヴァの吸血行為に、自身の友人であり、横島にとって大切な人を
傷つけた事を語った。更に茶々丸が、横島をエヴァに会わせないため、横島の前に立ちはだかる事を
決めたことを話した。誰かに話をぶつけたかった茶々丸にとって、動けず誰かに会うことのない、
チャチャゼロは格好の相手であった。

茶々を入れるでもなく、静かに茶々丸の話を聞いていたチャチャゼロは、

「面白クモナイ話ダッタナ。モウイイゾ、上ニモドレ。アア、チナミニ男ノ名前ハ何テ言ウンダ」

「横島忠夫さんです。では、失礼します」

茶々丸に向かい、早く去れと目線を送るチャチャゼロ。茶々丸が去った後、一体残されたチャチャゼロが、

「機械ノ妹ニ、好キナ奴ガ出来ルカ。アンナ奴デモ妹ハ妹ダカラナ、俺ガ動ケタラ御主人ニ会エナイヨウニ切ルカ」

妹が思い人と敵対しては、哀れと思ったチャチャゼロが、行動が出来たら横島を妹の代わりに
切ってしまおうと決めた。ただただ、怪しく笑う人形が、その場に残っていた。



物騒な人形に、狙われてるのを知らない横島は、アパートへの帰り道を、頭の上の猫を撫でながら、

「ごめんな茶々。もしかしたら俺、仕事がダメになるかもしれないんだわ。そしたら、
お前のエサのランクちょっと下がるかも知れないけど、我慢してくれ」

学園長の指示を、無視する気満々の横島は最悪の場合、仕事をやめることもあると考えていた。
律儀に飼い猫に謝っているが、茶々は横島の手に自分から摺り寄せ、甘えきっている。
この猫としては、横島と少女達が遊んでくれれば、幸せであるためご飯は食べられれば良かった。

腕を組み悩みながら歩く横島が、

「ここにいる吸血鬼は、タカミチさんよりも強いのかぁ。そんな奴に、ニンニクとか効かないよな」

元の世界では、友人の吸血鬼ハーフの友人に、効果覿面の物が効果がないと予想し、困り果てる横島である。



学園長室にてイスに座り、タカミチから連絡を受けてから、手の者に調べさせた報告書に目を通した学園長が、

「ふむ、被害者と思われるのはこの5名と、昨夜襲われた2名か」

学園長が持つ書類には、少女達の顔写真と、プロフィールが載っていた。その中に、
アキラと千雨の写真も覗いている。書類を机に置いた学園長が、

「エヴァめ、このような行動に移るとは、思わなかったわ。被害者には、何か詫びなければな」

頭を痛め、ため息をついた学園長だったが、一転して笑みを浮かべると、

「ふぉふぉふぉ、不謹慎じゃが、楽しみじゃのう。ネギ君は、少しでも実戦を経験できるだろうしのう。
そして、彼らがどのような選択をするか。横島くんは、おそらくエヴァと対するだろうが、
動かなければ扱いやすい人物だとわかるな」

学園長としては、横島がどのような決断をしても構わなかった。動いたら動いたで好ましい人間であるし、
動かなければ指示を聞く、扱いやすい人間であることが証明されるためである。そして、最も気になる人物は、

「タカミチは、どういう決断をするかな。彼がどのような判断をするか、気になるのう。
最近は壁にでもぶつかったのか、力も増えておらんし、これを気に成長の兆しが出るといいの」

若者達が、困難にあったときに、どのような判断と答えを出し、そしてどう成長するのかが、楽しみな学園長であった。






感想をくださいまして、ありがとうございます。

レス返し

コンテナ様、今回も和美が、恥ずかしがりますが、原作とキャラ変わっちゃいすぎてるので、徐々に修正していこうかと思います。
誤字報告ありがとうございました。

トマト様。横島の記憶は、まあそのうち。和美の記憶だったら、もうチョイ先の予定です

良様。裕奈は、これからもちょいちょい暴走する予定ですが、どこかでフォローでもしてみます。

ミオ様。印象の良し悪しは、そのうち何名か書いていきますが、悪い印象もまあまあいますよ。

最後に読んでいただき、ありがとうございます。


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