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時は、平安…… 冷泉帝の御世であった頃……
(略)
( 本日は、前話の続きの意味合いが、非常に強い為にイントロを一部省略させて頂きます。 )
( ※話数が狂った為、次の使う予定の物が、使えなかったとか…… )
( 2時間考えても、何も出てこなかったから、手抜きしたとか云うんじゃ無いんだから…!! )
これは、数奇な運命を辿り、遠き異世界から、平安の世に生まれ変わった、
暁の君の半死半生の物語 ―――――
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寝殿を抜けると、そこは大きな池であった………。
実際には、前に広場が有るんですけど、川端先生(?)調に、決めてみたかっただけです。
しかし……。これ、やっぱり湖っぽいよなぁ……。人が掘って作れるレベルの物なのか?
でも古代の大王なんて、はた迷惑規模な墓とか、ポコポコ作っていたし……。
多分、大人が海釣り用の仕掛けを思いっきり投げても、対岸には届かない程の大きさは有るよ。
金持ちの考えることは、庶民には理解できません……。
あっ!?ここ!! 釣りをするのに良いポイントだ!! 今度、釣具でも持ってこようか?
あ~~でも? この時代に釣り針なんてあるのかなぁ……。
などと考えつつ、池を散策していると、不意に昔、湖の湖畔で良くやった『跳ね石遊び』を思い出した。
手頃な石を1つ拾い、池に投げ入れる!!
パシッ!! ポシャン!!
1回だけしか跳ねないのかよ!!
むぅ…。嘗て『跳ね石の帝王』として勇名を馳せた黄金の左も、酷く錆付いたものだ…。
これは…嘗ての栄光を取り戻さねば為るまい!! 特訓有るのみ!!
パシッ!! ポシャン!!
パシッ!! ポシャン!!
…
…… 夢中になってやっていたら、周囲の大人の目が、少し険しいモノに、なってきている様な気がする?
はて…? 私が何か?? あっ…!?
ここは、何処? ⇒ 朱雀院
どんな場所? ⇒ 太政天皇の御所
自分は何をしている? ⇒ 御所の池に石投げてま~す!!
はははは………。やっても~~~~たぁ!!!!!!!
庭に植えてある木々の間を縫う様に……
小さな体である利点を有効に利用して、大人の追跡を撒く……
ハンター(大人)は視界に、入った獲物(自分)を見失うまで追跡する!!
捕まれば、死……あるのみ!!
ハンターの視界を避け、人の居ない方へ逃走せよ!!
タイムリミットは、一刻(2時間)!!
逃げ切れば………父上が助けてくれる……
自首は許されない………
そ れ が !! ―― time for the life 逃 走 中 in 朱雀院!!!!
………作品(番組)が、違う~~~~~~~~~!!
PiPiPiPiPiPi…!! 【確保情報: 残時間: 1:58:02 暁、寝殿正面前にて確保!! 残り0人】
逃走、 失 敗……………。
(完)
…………別に死んでませんよ!?
広場前の石投げは目立つから、隅っこでやりなさい…と注意を受けただけです。
パシッ!! パシッ!! パシッ!! パシッ!! ポシャン!!
ですから…場所を『釣り殿』の脇、さらに奥まった目立たない場所に移して、特訓を継続しています。
パシッ!! パシッ!! パシッ!! ポシャン!!
うん、まだ本調子じゃ無いけど、この年齢の体力ならば、こんなモノでしょうか……。
それに、しても………。流石に一寸した騒ぎを、起こしたせいでしょうか?
先程から、誰かが私を監視している様です。
庭石の影から衣が、はみ出ています。頭隠してなんとやらです。
隠密として失格です! 落第です!!
いや、監視は構わないので、せめて、堂々と来て欲しいかなと思うのです。
一言、言いましょうか……。と足を忍ばせて近づくことにします。
気付かれたら、逃げられてしまうかも(?)しれませんから……。
……庭石の影に居たのは、小さな女の子でした。
小さなと言っても、私よりは年上みたいですが……恐らく、姉上と同世代くらいでしょうか?
監視じゃ無かったんですね……。
最近、誰かに見張られることが多いから、被害妄想が大きくなって来ているのでしょうか?
いつの間にか、視界から居なくなった私を、キョロキョロと探してる居るようですが……。
……もしもし? 私、暁!! いま、貴女の背後に居るの!!!
こうなったら、やることは1つです! お約束です!! 私に背中を向けた、貴女が悪いのです!!
息を殺し…背後に接近…………… そのまま、大きく息を吸って!!
「わっ!!!!!!!!!」
掛け声と共に、背中を押します。
「きゃっ!!!!!!」
いや…、驚きすぎでしょう。前のめりに倒れた後、振り向いて、
尻餅を付いたような格好になって、振るえちゃっています。小動物系ですね………。
最近、姉上の相手ばかりしていた為でしょうか? この様な、女の子的な仕草が新鮮です。
ちょっと涙目の姿が、なんか琴線に掛かって……。思わず『ぎゅっ』って抱きしめたいかも?
やばい……ちょっと意地悪したくなってきた。
「あらあら…いずれは立派な女人となる御方が、覗き見なんて……」
すこーし責める様に…それでいて優しく、ニッコリと微笑んで、ジワリ…ジワリ…と近づく……。
嗚呼、顔をちょっと赤くして、俯いている………。うん、可愛い………。
同じ生き物・同じ位の歳の筈なのに、なんで此処まで、姉上と違うのだ?? 謎だ!?
「これは、罰を与えなければいけませんねぇ……」(ニヤッ)
「え!?」
驚愕の中に少し怯えが混じる。しかし、もう遅い!! 既に貴女は射程圏内!!
しかも、獲物は腰が抜けて動けない模様。 チャ~ンス!!!
「姉上~直伝!! 必・殺!! くすぐり地獄!!一丁目バージョン!!」
馬乗り状態になって、退路を塞ぎ、脇をくすぐる………。 逃げる術は………無い!!!
「えっ!! あっ!! 嫌!!!!!!」
ここか!? ここが、ええんか!?
「あぁぁぁぁ!! いやーーーーーー!!」
まだまだ行くぞ!! どんどん行くぞ!!!
「だめーーーー!! あぁぁぁぁ!!」
は~~はっは、 へぷっ!!!
調子に乗りすぎたようで、獲物が暴れて振り回された手が、顎にクリーンヒット!!
流石に腐っても姉上と同世代……。力は、自分より遥かに上でした………。
「えっ!? あの………大丈夫…です…か?」
貴女、被害者でしょ? 加害者を心配してる場合ですか?? 天然さんですね……。
ここで姉上が相手なら、死んだ振りをして、反撃のチャンス待ちも有るのでしょうが…
相手は、初対面の『微妙おっとり天然さん』、本気で心配されて騒がれる前に、起きて問題ない事を告げます。
ちなみに、あれ位で伸びていては、二条院では生きて行けません!!
どうもこの子は、人との関わりを、余りしたことが無いのでしょうか? 色々な加減の機微が疎いようです。
…
……
「そう、最初は、なるべく水面と同じ角度になるように、投げるべし!」
そして、何時の間にか、この子相手に『跳ね石遊び』の講習会になってました……。
石が跳ねる様子が、妙にお気に召したらしい……。
まぁ気持ちは分からなくもないのですが、こっそり背後に立たれると、つい反応しちゃうから止めてね。
しかし、今時珍しい(?)運動神経の切れてる子です。 敢て言うなら『ドジっ子』です。
何?この歩く萌え要素のかたまりみたいな子!?
前世の世界だったら、悪いオジサンとかに攫われちゃいそうですね。
パシッ!! ポシャン!!
「あっ!! でき…た……」
おめ~~~! いや~~~よかった。 途中で『この子には無理じゃないか?』と本気で思っていたのは内緒。
「ありが…とう…」
そんな目で見られると、お持ちかえりしたくなるからやめて下さい。ペット的な意味で……。
「????」
いや、何でもないデス……。
…
……
………
「おや、此方に居たのですか…。少し探しましたよ…」
あっ!父上!! もう、お話は良いのですか?
「はい、貴方を連れてくるようにと……、っ、貴方、随分と汚れましたね?
その格好で連れていくのは一寸不味いですね…」
はっはっはっ………。そういや転げ回ったから汚れが酷いですね。
女の子も汚れてますな、傍から見たら…私が押し倒していたようなモノだし。
嗚呼、大丈夫!! ……怯えないで!! 凄く怪しそうに見えるけど、これでも一応、僕の父上だから…。
「『これでも』って貴方!! まあ、良いでしょう……それで、其方は?」
弟子1号っす!! ここで拾ったっす。
「拾ったって…(汗)。 ん?…もしや、貴女は朱雀院さまの…?」
「…………三の姫…です」
伯父上の、三の姫??
げぇっ!! 『女 三 の 宮!!』
…
……
………
庭に植えてある草木の間を縫う様に……素早く駆け抜けろ!!
小さな体である利点を有効に利用して、大人の追跡を撒き……
この難攻不落の朱雀院から脱出せよ!!
ハンター(大人)は視界に、入った獲物(自分)を見失うまで追跡する!!
エリアのハンターは50人!! 捕まれば…確・実・な・死……!!
タイムリミットも助けも無い……気付かれる事なく、ここを脱出せよ!!
そ れ が !! ―― DEAD OR ALIVE 逃 走 中 From 朱雀院!!!!
PiPiPiPiPiPi…!! 【確保情報: 開始時間: 0:14:19 暁、池の桟橋上にて確保!! 残り0人】
逃走、 失 敗……………。
(暁日記:第7巻 「女三の宮」より抜粋)
あとがき:
感想を書いて下さった諸氏に、感謝の意を……
2日遅れてヒロイン候補登場……。本当は此処までが第5話だった筈なのに……。
なんでこんなに膨らんだんだろ?
(了)