<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

チラシの裏SS投稿掲示板


[広告]


No.13626の一覧
[0] 【習作】暁物語(元ネタ:源氏物語)[紫敷布](2009/11/11 22:02)
[1] プロローグ[紫敷布](2009/11/03 16:48)
[2] 1話[紫敷布](2009/11/03 16:56)
[3] 2話[紫敷布](2009/11/18 18:25)
[4] 3話[紫敷布](2009/11/05 23:13)
[5] 4話[紫敷布](2009/11/07 13:48)
[6] 幕間1[紫敷布](2009/11/07 13:57)
[7] 5話[紫敷布](2009/11/08 21:18)
[8] 6話[紫敷布](2009/11/09 22:42)
[9] 7話[紫敷布](2009/11/10 23:15)
[10] 8話[紫敷布](2009/11/13 23:51)
[11] 幕間2[紫敷布](2009/11/15 22:38)
[12] 9話[紫敷布](2009/11/18 18:30)
[13] 10話[紫敷布](2009/11/22 20:07)
[14] 11話[紫敷布](2009/12/01 22:29)
[15] 12話[紫敷布](2009/12/14 22:08)
[16] 13話[紫敷布](2010/02/06 22:48)
[17] 14話(前)[紫敷布](2011/02/23 21:31)
[18] 14話(後)[紫敷布](2011/02/23 22:07)
[19] 帰ってきた「クリスマス特番」(再掲載)[紫敷布](2011/02/24 22:02)
[20] なんで今頃「新春特番」(お蔵入りのお披露目)[紫敷布](2011/02/24 22:16)
[21] 15話[紫敷布](2011/02/25 22:43)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[13626] 幕間2
Name: 紫敷布◆07eba287 ID:a5147822 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/11/15 22:38




 
 
「暁君…。私達はこれから、重要なお話が有るので、席を外してくれないかな?
 
 庭で自由に遊んでいて良いから……」
 
 
 源氏の君が『行幸の件』の話を切出した時、意味有り気な目配せをしたので、
 
 私は、今日初めて会った小さな甥子を、部屋から退出させることにした。
 
 彼は『庭を探検していた方が面白そう』と、如何にも子供らしく、喜んで出て行く……。
 
 妙に大人びて居て、利発な子とは言え、この様な所は、まだまだ年相応の反応らしく
 
 微笑ましくもあった。
 
 子供らしい小さく、そして小気味の良い足音が遠ざかっていく……。
 
 戻ってくる様子は無い様です。
 
 
 
「それで……お話とは何でしょうか?」
 
 少なくとも、源氏の君は『行幸の件』の話をしたい訳では、無い筈である。
 
「兄上……。率直に答えて下さい。……その…お体の具合は如何なのですか?」
 
 源氏の君が聞いてきた『それ』は、今回、我々の目的の1つであり、
 
 今回の件を実行する事になった、核心その物であった。
 
 
「恐らく……貴方の予想通りです。今はすっかり回復したようです。
 
 今朝まで、起き上がるのもやっとであったと云うのに………」
 
 
 今は……是まで生きて来た人生の中で、一番体が軽く感じる。
 
 十人近くの術者が、数日掛けて祓えなかった、病魔を呼ぶ悪霊は、
 
 ………既に私の所には居ない様です。
 
 そう云ったモノ達への耐性が、人よりも弱かった私は、生まれつき体が弱めであり、
 
 常に怨霊や疫神・病魔に悩ませ続けられて来た。そんな自分だから明確に理解出来る。
 
 彼の能力は、本物だ――――!!
 
 今日、暁君の随行をお願いしたのは、会って姿を見たい意味も有りましたが、
 
 源氏の君から聞いても半信半疑であった彼の力を、自らの体を以って確かめられる、
 
 良い機会だとも思った理由も大きかった。
 
 ………そして、結果は前述の通り。彼らの来訪に合わせるかの様に、体調は良くなっていった。
 
 こうして実際に経験しても、俄かには信じがたかったが……。
 
 
 
「やはり、そうでしたか……」
 
 源氏の君の表情が曇る。親としては複雑なのであろう……。
 
 暁君の能力は即ち、歩く魔除け、移動する加持・祈祷。
 
 それも、国の総力を挙げた力より、遥かに上を行くであろう最高度の力を持った……。
 
 事が公になれば、彼は、時の帝ですら無視できない存在になる事を意味していた。
 
 (最も現在の主上は、既に御存知ではあるが………)
 
 そして、それは……時には無用な争いの火種となる可能性すらも…………。
 
 
「安心してください。まだ体調のことは、私と貴方しか知りません。
 
 体調はもう問題ないですが、もう暫くは、わざと臥せっている事にします………」
 
 ………そう、まだ周りにも、そして暁君本人にも、悟られる訳にはいかない。
 
 今は、この急な回復を、周りから不信に思われないようにしなければ、為らないのである。
 
 ここで周りに悟られでもしたら…不甲斐ない兄にも関わらず、私を信じて打ち明けてくれた、
 
 源氏の君に、申し訳ないことになってしまう。
 
 
「いずれにせよ、これで彼の力の検証は出来きました。約束通り…私も出来る限りの後見を致しましょう」
 
 在位中、左程、評判の良い帝では無かった私ではあるが、上皇としての権威は健在である。
 
 万が一の場合には、遠慮なく其れを使い、彼を守る積もりだ……。
 
 それが…
 
 それが、昔、母上達の一族を抑えきれずに、源氏の君に酷い仕打ちをしてしまった事に対する
 
 私が出来る精一杯の償い………。
 
 
 
■■
■■
 
 
 
 
 暁君が三の姫宮に連れられて、部屋を退出する時、
 
 私は、先日の源氏の君との遣り取りを、思い起こしていた。
 
 全てが変わった……その切欠となったあの日――。
 
 今の自分からは、病に侵されている、気だるい気配は無くなっていた。
 
 そして、人と関わることに興味の無かった三の姫は………
 
 あの人見知りする姫が、良く自分から、他人に話し掛けに行ったものだ……。
 
 この短期間での姫の変わり様に、本気で我が目を疑ってしまう事になった。
 
 
 
 そして、もう1人………
 
「兄上……、御見苦しい所を、見せて申し訳ありませんでした」
 
 笏で、自らの息子(見た目が女童)を叩くとか――――
 
 かつて浮き名を流した公達とは、とても思えない行為をした、自分の弟は、
 
 手の掛かる息子の対応に、かなり疲れたような表情をしていた。
 
 時折、人を近づけ難い雰囲気を放つ弟が、こうも親しみやすい、憐憫感を誘う雰囲気を出すとは……
 
 本当に、あの甥っ子は、人の性格を変える特技でも持っているのであろうか?
 
 
 
「全く、源氏の君が父親として苦労をしている…その様な姿を見る事になろうとは……
 
 ………思いもよりませんでしたよ」
 
 
 この華やかな弟が見せた、意外な姿に、思わずそのように呟いてしまった。
 
「いや、何と言うか…お恥ずかしい限りです…………」
 
 そして、同じ子を持つ親としては、相感じる物が有り、同時に微笑ましくもあった。
 
 そして話題の中心人物である、甥の暁君………。
 
 性格は、かなり破天荒としか言い様がない。
 
 しかし、そんな破天荒な甥を、不思議と嫌う気には為れなかった。
 
「良い子ですね………」
 
「はい……。かなり変り者では有りますが、自慢の息子です」
 
「―――守ってあげないと、いけませんね……」
 
「はい………」
 
 
 やがて、この国を支えるであろう次の世代を
 
 そして、皇家の守護を担うであろう雛を―――――。
 
 
 
 
 
 
 
 …
 
 ……
 
 ………
 
 
 
 源氏の君達が退出した後、恐らく沈んでいるであろう姫の部屋を訪れる。
 
 まさか姫が、暁君にあんなに懐くとは………。
 
 誰にでも好かれる…。こんな所も、彼の父親譲りなのでしょうか?
 
「おや、姫……何を御覧になっているのですか?」
 
 何か文の様な物を見ている我が娘……。特に沈んでいる様子はないですね。
 
「暁ちゃん…から文を……貰いま…した……」
 
 成る程………。
 
 道理で思った程、姫が気落ちして居なかった訳ですね。
 
 それにしても暁君……。あの年齢でそこまで気が利くなんて、末恐ろしいですね。
 
 
「でも……お歌が…難しくて…………」
 
 歌ですか……。あの年で………。どれだけ利発な子なのでしょうか?
 
「見せて貰っても宜しいですか?」
 
 そして、歌を見た瞬間、私は(ピシッ!!)と固まるのでした。
 
 
 
 
 ……あの年齢で、文面通りの意を狙った訳でもないでしょうが、
 
 本当に……迂闊過ぎる子ですね……。
 
 ………嗚呼、源氏の君が頭を抱える姿が想像できます。
 
 ちょっとだけ同情しますよ……。
 
 
 
 
 でも……考えてみれば、暁君は、将来の超有望な公卿になるでしょうから、
 
 悪くは無い話ではありますね。姫も懐いていることですし……。
 
 この際、これを利用して、手綱でも付けておきましょうか?
 
 
 最も…娘の身分上、簡単に纏まる話でも無い訳ですが……。
 
 何か障害があって、選択すら出来なくなり、あの姫が泣く姿だけは、見たくは無いですね。
 
 
 
 ふむ……将来、本当にそうなるか?どうかは、兎も角――――
 
 あの子達が選べる選択肢は、『多い』に超した事は無い訳ですね………。
 
 暁君が結婚を考えるまで、約10年程ですか……。根回しをする時間は十分有りますね……。
 
 本気で進めるなら、なにか搦め手を考える必要が有りますね。
 
 今から少し悪巧みでもしてみましょうか?
 
 源氏の君には少し悪いですが、私も親馬鹿なのですから………。
 
 
 
 
 
 
 

あとがき:
 
 感想を書いて下さった諸氏に、感謝の意を……。
 
 今日は裏Partのお話でした。視点は朱雀院さまです。
 それにしても、段段と文章を纏める為に必要な時間が長くなってる気がする………。
 毎日UPしている作者の方の文章作成力が、羨ましくて仕方の無い今日この頃です。
 
 
(了)



前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.025690078735352