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No.12938の一覧
[0] 【ネタ】鬼畜王じゃないランス【R‐15】[Shinji](2009/10/24 19:30)
[1] 鬼畜王じゃないランス2[Shinji](2009/10/27 07:37)
[2] 鬼畜王じゃないランス3[Shinji](2009/10/29 23:40)
[3] 鬼畜王じゃないランス4[Shinji](2010/06/20 06:32)
[4] 鬼畜王じゃないランス5[Shinji](2010/01/13 18:24)
[5] 鬼畜王じゃないランス6[Shinji](2010/06/20 06:24)
[6] 鬼畜王じゃないランス7[Shinji](2010/06/20 14:56)
[7] 鬼畜王じゃないランス8[Shinji](2010/09/03 02:55)
[8] 鬼畜王じゃないランス9[Shinji](2010/08/31 02:01)
[9] 鬼畜王じゃないランス10[Shinji](2011/11/18 05:32)
[10] 鬼畜王じゃないランス11[Shinji](2011/08/24 15:07)
[11] 鬼畜王じゃないランス12[Shinji](2011/11/16 01:02)
[12] 鬼畜王じゃないランス13[Shinji](2011/11/20 06:55)
[13] 鬼畜王じゃないランス14[Shinji](2011/12/10 03:59)
[14] 鬼畜王じゃないランス15[Shinji](2011/12/15 06:23)
[15] 鬼畜王じゃないランス16[Shinji](2012/02/23 05:10)
[16] 鬼畜王じゃないランス17[Shinji](2012/03/20 01:49)
[17] 鬼畜王じゃないランス18[Shinji](2012/07/10 21:32)
[18] 鬼畜王じゃないランス19[Shinji](2012/12/04 20:16)
[19] 鬼畜王じゃないランス20[Shinji](2013/04/29 03:22)
[20] 鬼畜王じゃないランス21[Shinji](2013/05/24 16:48)
[21] 鬼畜王じゃないランス22[shinji](2014/02/01 21:23)
[22] 鬼畜王じゃないランス23[shinji](2014/03/15 03:29)
[23] 鬼畜王じゃないランス24[shinji](2014/03/23 04:03)
[24] 鬼畜王じゃないランス25[shinji](2014/06/20 03:25)
[25] 鬼畜王じゃないランス26[shinji](2014/09/16 22:26)
[26] 鬼畜王じゃないランス27(2015/04/14 01:34)[shinji](2015/04/16 21:04)
[27] 鬼畜王じゃないランス28[shinji](2015/05/07 13:41)
[28] 登場人物紹介[Shinji](2011/12/20 10:52)
[30] 別に読まなくても良いキャラクター補足[Shinji](2015/04/18 00:57)
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[12938] 鬼畜王じゃないランス15
Name: Shinji◆b97696fd ID:1391bf9d 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/12/15 06:23
鬼畜王じゃないランス15




=LP03年06月2週目=


エクスに案内された宿泊施設で一夜を過ごした翌日。

次は"ラジール"を目指す為、白の軍はMランドに向かう為に俺達はエクスを見送られながら中継地点の町を後にした。

此処で思うに予定と違って"解呪の迷宮"の攻略がサイゼルの存在も有って早く済んだ為か、Mランドが凍結する前に通過できたワケだが、その所為でサイゼルとメルフェイスが一時離脱したので余り意味が無かったのは さて置き。

エクスもエクスで俺の最終判断を仰ぎたい気も有った為、ギリギリまで俺達が通るのを待った結果 今に至っていた。


≪ドドドドドドドド……≫


――――エクスとの面会の翌日。街道を駆ける"うし車"内部にて。


「宜しいですか? ランス王」

「ああ」

「では右の掌に魔力を集めて下さい」

「分かった」


今現在の俺は馬車(面倒なので こう表現する)内部の隅で胡坐をかいた状態で魔法による簡単な訓練を行っていた。

そんな俺の傍にはウィチタが居り彼女が先生役を担ってくれているのだが、何だか距離が近いと思うのは気のせいか?

揺れの所為で基本 立てないので何やら抗議してくれる時は四つん這いになって一生懸命 保ちながら努めてくれてるし。

まァ……初対面で抱かれたと思われる印象と比べると相当 前進してるって事が分かったし深く気にしない事にして置こう。

それも さて置いて。どう考えても訓練に集中できる状況では無いと個人的に思うのだが、彼女が曰く戦闘中で切羽詰る事が多いのは当たり前なので有る意味 ガタガタ揺れている今でも魔力をコントロールをする練習には持って来いらしい。

よって俺はカオスを左手(利き腕)で握っている事が多いと言う事で、言われた通り右手に雷魔法のカタチを結成させる。

いわゆる"雷の矢"と成るであろう球体であり、発動させる(飛ばす)事はともかく維持し続けるのは体力がゴリゴリ減る。


「その調子です。そのまま3分間維持して下さい」

「……ぐッ……」

「一分経過です」

「や、止めて良いか?」

「駄目です! 180秒と言えど実用を考えた過程では最低限 必要な時間ですからッ」

「マジかよ……(まァ現役の学生が言うなら間違い無いだろうが)」

「魔法剣士を目指すならば……いえ目指さずとも攻撃魔法を活かしたければ、いずれは左手で武器を振りながらも右手で何時でも発動出来るように時間差で待機状態に させて置く事も重要に成って来ます。ランス王で有れば基本さえ覚えれば実戦で直ぐに応用 出来るでしょうが、その基本が疎かだと何の意味も有りませんから……っと後60秒ですよ?」

「うぎぎぎぎぎぎぎッ!」

「もう少しですランス王ッ! そのまま形を維持させて下さい!!」

「維持ィ!? いかん、危ない危ない危ない危ない……!!」

「終了です! お疲れ様でしたッ」


≪――――バチンッ≫(散布)


「はぁッ、はぁ……意外とキツいなこりゃ……雷の矢を維持するダケでも、こんなキツいのか~」

「ですが短い時間で凄い進歩ですッ。本当に今迄 魔法を使った事は無かったのですか?」

「何年か前に手触り程度ダケは有るんだがな。剣の方が性に合うモンだから、もう忘れちまってたよ」

「それならば納得 出来ると言うモノですが、何故 急に魔法を活かしたいと?」

「う~ん……今後の展開を考えると剣が届かない敵に対する攻撃手段が無いのは痛いからかな。ダンジョンを出た時 何となくそう思ったダケさ。それに現に物理が効果の無い敵も多少は居たし、何時でも何処でも仲間が居るワケでも無いから覚えて置くに越した事は無いだろ?」

「ふむ……」

「そう言う意味で考えれば、剣と魔法を同時に使えるウィチタの戦い方は俺にとって見習いたい位だよ」

「えっ?」

「しかも今は学生なんだろ? それなのに大したモンだってホント。ウィチタに習って正解だったな」

「!? か、かかか買い被りですッ! 私はまだまだ若輩で"通信教育"中の身ですよ?」

「通信教育?(……地味に進んでるんだよな、この世界の文明)」

「は、はい! ですから今回の冒険には、この通り教科書も沢山 持って来てまして――――きゃっ!?」


褒められたのが意外だったのか、ワタワタと慌てながら道具袋からゼスの教科書を取り出すウィチタ。

今回の勉強については1や5Dでランスが魔法を使えていたので【俺にも魔法が使えないか】と聞いてみた所、貯蓄量は魔法使いと比べて少ないが素質は多少は有りそうなので、つまらない訓練(暇潰し)に付き合ってくれたのだ。

その後 言われた通りにしたダケで何と初級の雷魔法は使えそうな感じには成ったので、自然と作った笑みを浮かべつつ思った事を言ったというのに御覧の有り様である。

現在の彼女は前述の様に見せて欲しいとも言って無いのに次々と本を見せ学生身分と言うのをアピールするのだが、こんな状況下で立ち上がれば結果は見えており、ウィチタはバランスを崩すと此方に倒れ込んで来た。


≪――――どっ≫


「おっとっと」

「あッ……?」

「大丈夫か?(まだ成長中と言ったトコロだな)」

「!?!? す、すすすすみませんランス王ッ! 何て粗相を――――」

「はははッ、もう少し周りを見た方が良いんじゃないか?」

「あぅうっ」

「ともかく今度も頼むぞ? 先生」

「か、畏まりました!」

「……ってワケで かなみ~ッ、其処のファイルを投げて寄越してくれ!」

「はいは~い」


≪――――パシッ≫


「サンキュー!」

「もうランス王ッ、書物は投げて良いモノでは有りませんよ?」

「悪い悪い」

「……ところで、何が書かれているんですか?」


≪――――ずいっ≫


「JAPANの内情についてだな(……それにしても、さっきから妙に近いな)」

「内情?」

「まァJAPANは忍者が怖いから簡単な哨戒しかさせて無いが、近いウチに攻めるつもりだからな……現地に居るマリスの手の者に調べさせて纏めたのを先日 報告に来た神楽に送って来て貰ってたんだ」

「成る程……」

「どれどれ?」

「……ッ……」


魔法の練習に区切りが付いたので……と言うか疲れた為、俺は何時もの読書に移るべく手に取ったファイルを開いた。

だが何故か傍を離れないウィチタさん。どうやら既に今のページを読み終わり、俺が次を捲るのを待っている模様。

ちなみに今の彼女は膝を崩した状態で両手を支えにファイルを覗いているのだが……時よりの揺れで体が互いに触れている。

ソレにウィチタは違和感を感じたりはしないんでしょうか? 俺が無駄に意識し過ぎてるダケかもしれないけどな。

だとすれば本来(素)のウィチタは心を許した友達や俺みたいな"仲間"が相手で有れば、魔法学校の"女友達"感覚で今の様に近い距離で接するのが普通なのだろう。

故に諦めて共にファイルを見続けるしか選択肢は無さそうな為……俺は懐から(目が疲れ難いと言う地味に有り難い魔法が掛かった)眼鏡を取り出すとソレを装着したのだが……


≪――――スチャッ≫


「!?!?」×2

「んっ? どうした? ウィチタ」

「い、いえッ! 失礼しました!」

「かなみも何を見てんだ?」

「!? な、ななな何でも無いわよ!」

「……ぐぅ……」


眼鏡の恩恵を受けつつJAPANの情報を読んでいると、意外な内情や原作との違いに首を捻ってしまう事が多々有る中。

ふと違和感を感じて視線を移すと、近距離のウィチタと少し離れた所で武器の手入れをしていた かなみが俺の方を鳩が豆鉄砲を食らった様な顔をして見ていた。(尚アームズは昨夜 一人でレベル上げに行ったらしく舟を漕いで寝ている)

いや……確かにランスに眼鏡は似合わないとは思うが、こっちに来て既に相当な数の本を読んでるから最近 導入したとは言え……そんなに意外だったのだろうか? 容姿は自分自身のモノでは無いにしろ少し傷つくじゃないかッ。

だが直ぐに慣れるだろうし気にしないで置こう。イチイチ細かい事を気にしていては、この先 遣って行けないだろうしな。

ちなみに今更 今回の冒険で読書時 眼鏡を使った理由は、サイゼルが居たりと色々な事情で本を読む時間が無かった為だ。


「(わ、私が目を奪われるだなんて……ランス王……眼鏡一つに何て博識な雰囲気に……やっぱり私の運命は……?)」

「(もうッ! 何で今迄の遣り取りにイライラしてたのにランスに見惚れなきゃダメなのよ!? ランスの馬鹿~!!)」

「それよかウィチタ」

「は、はい?」

「もうちょっと近付け。その体勢だと見辛いだろ?」

「そ……それでは御言葉に甘えてッ」


――――ではウィチタを寄り掛からせると言う役得を感じつつ、此処でJAPANの内情を説明して置こう。


独眼流家:存在しない

浅井朝倉家:存在しない

明石家:滅亡(ぬへは居なかった)

今川家:滅亡(ハニーの国では無かった)

島津家:滅亡(4兄弟は存在した)

巫女機関:存在しない(オロチは長崎)

毛利家:滅亡(女性は戦場には出ない為3姉妹の存在は不明)

天志教:存在しない

北条家:滅亡(陰陽師の国では無かった)

種子島家:存在しない

武田家:滅亡(風林火山っぽい連中は居た)

徳川家:滅亡(タヌキは居ない)

伊賀家:存在しない

原家:存在しない(姓は探せば有りそう)

足利家:滅亡(戦国と違い名家だった)

上杉家:滅亡(女性国家では無かった)

タクガ:存在しない

織田家:健在(織田信長は鬼畜王仕様)


……つまり清清しい程の"織田家"天下で有り、攻撃が効かないレベル89の魔人"織田信長"に誰も勝つ事が出来ずに居た。

更には鬼畜王とは違い彼の使徒が藤吉郎に加えて"玄武(魔導)白虎(煉獄)青龍(式部)朱雀(戯骸)"と揃い踏みで、彼らが真の姿に変態せずとも圧倒的な力で他の国を滅亡に追い込み、織田信長が憑依され快進撃が始まってから僅か1年でJAPANは彼が支配する国と成ってしまった。

そして20年以上が経った今でも織田信長は老いる事無くJAPANの頂点に君臨しており、民の恐怖の対象と言える模様。

何せ逆らう人間達は女子供 関係無しに皆殺しにした上に、味方でも殺戮に躊躇したら容赦なく首を飛ばすらしいからな。

だが彼の圧倒的な力から"柴田勝家"の様に絶対的な忠誠を誓う家臣達も非常に多いらしく……武将の戦死を避けると言う事で考えると、原作と違って一筋縄でいかない厄介な国だと言うは確定的に明らかだ。

しかし戦国の仕様も幾つか混ざっていると言う事で、此方では名無しな強力な女性が居る可能性も決して否定は出来ない。


「織田信長が支配する小国JAPAN……か」

「老いる様子が無いと言う"織田信長"と言う男は一体 何者なのでしょうか?」

「それが分かりゃ苦労しないよ。だが人間じゃ無い可能性は高いな」

「だ、だとすれば――――」

「ナニが何でも倒すべきかな? そろそろ内乱にも飽きたらしく大陸進出も視野に入れてる様だし」

「……厳しい戦いになりそうですね」

「違い無い。だから其の為にも更に強く成らないとな」

「……ッ……(でも私は……もう……)」

「ランス! そのファイルを私にも見せてくれ」


≪――――ずいっ≫


「アームズ!? お前 起きてたのかよッ!」

「"厳しい戦い"と聞いて」

「おまッ。それ以前にコレって一応 機密の書類なんだぞ?」

「では……ダメなのか?」(´・ω・`)

「!? い、いや問題無いぞ? 情報共有は大事だしな! うんッ!」

「有難う!!」

「安い機密ね」

「五月蝿いぞッ! かなみ~!」


――――非常に強力らしいJAPAN軍。だがヘルマンとゼスを攻める前の良い予行練習に成るとポジティヴに考えよう。




……




…………




……同時刻。JAPANの大阪城・天守閣。


「今日も美酒よのう? 藤吉郎」

『ウキキッ』


≪――――ザッ≫


「呼んだか?」

「おぉ~。待っておったぞ? 龍馬よ」

「何の用だ?」

「この度の戦は大儀だったな!」

「……別に そんな事ァ無ェよ。敵将 殺って来たダケだろ?」

「だがきゃつらの顔は良い見物だった。のぅ藤吉郎?」

『ウキャッ』

「…………」

「きゃつらにとっては長年の下積みと多くの命を掛けた決死の覚悟で挑んだ戦い! そんな中 敵軍が撤退を余儀なくされ、それが"意図的なモノ"とは言え希望を見出した瞬間! 主が背後から現れ総大将の心臓を一突きし絶望の淵に追い込む。カカカカッ! あの時の馬鹿共の間の抜けた顔を思い出すと笑いが止まらんわ!! 誠に大儀よッ!」

「…………」

『ウキッ! ウキキキ!!』

「ふむ……」

「何だよ?」

「だが藤吉郎は満足して居らんかったようじゃな。あの時は心臓では無く真っ先に首を撥ねるべきだったと」

「……ッ!」

『ウキャキャキャッ』

「更に幾つもの血管を同時に斬り、血の雨を降らせ大将は大将らしく壮絶な死をくれてやるべきだったと言うておる」

「そうかよ」

『ウキキキキキ……』

「ふ~む……だが手際の良さにより きゃつらは呆気無く降伏し捕虜となったからのう……主の御蔭で魔導は人形造りの為に女共の髪を斬れ、式部は殆どの捕虜を甚振り殺すと言う一時を得れ、残った奴らは戯骸が片端から灰にし、それはそれで楽しめた故 次も期待させて貰うと藤吉郎は言うておるぞ?」

「……あぁ」

「では主には後に褒美を取らす。下がって良いぞ」

「…………」


≪――――ザッ≫


『キキキッ』

「うむ。張り合いの無い奴よのぅ? だが命ある限り儂の楽しみの糧と成って貰うぎゃあ! カカカカカカッ!!」

『…………』

「だが最早JAPANのみでは式部達が楽しめなくなったのも事実よ。今回の反乱で逆らう者も居らんくなった様だし、そろそろ大陸で暴れてみるのも悪くは有るまい? 藤吉郎よ」

『ウキャ!』

「ならば今宵の宴の後は早速 戦の準備よ!! 勝家ッ! 勝家は居るか!?」




……




…………




……数分後。


「…………」


織田家の家臣の一人と成って8年となる"坂本 龍馬"は死んだ魚の様な目で大阪城 内部の廊下を歩いている。

そんな"彼女"は捨て子で有り気付いた時には忍者として育てられ、10歳で何時の間にか信長の暗殺部隊に加わっていた。

その龍馬の人生を掛けた"暗殺"は彼女以外は信長の場所に辿り着く事も出来ず全滅し、自分ダケが特別だったらしい。

とは言え信長には攻撃が通じず彼に殺される直前。偶然 父の酌をしていた香姫が止めに入ってくれた事で命が助かる。

対して"殺せ殺せ"と五月蝿かった龍馬で有ったが、香姫の優しさに触れた事で彼女の気持ちを汲んで織田家の忍者となった。

一方 織田信長も自分に一太刀を入れた事で龍馬の事が気に入ったらしく、当初とは桁違いな待遇を得る事が出来ていた。

だが信長に対する態度に彼女の事を快く思わない家臣は多く……それは彼の使徒も同様である。(信長は無敵なので別だが)


≪――――ゴリッ≫


「坂本さんよ。お疲れさ~ん」

「……何だよ? ハゲ野郎」

「煉獄だ。いい加減 覚えな」

「それよか その物騒なモン……さっさと どけろよ」

「お前こそ信長様に対する態度を何とかしろ」

「あァ? 寝言は寝て言いやがれ」

「なら撃つぞ?」

「楽にしてくれるのか? そりゃ~有り難いねェ」

「ちぃッ!」


≪――――ゴッ!!!!≫


「がっ!?」

「……フン」


≪――――ドドォッ!!≫


福耳の大男。サビエルの使徒 煉獄は龍馬の頭に突き付けていた"ハニワ砲"で彼女の頭を強打した。

手加減したとは言えソレを抗わずに食らった龍馬は、床を転がった後に倒れ頭から決して少なくは無い血を流していた。

そんな彼女を冷めた目で見下ろす煉獄。対して龍馬は立ち上がろうとしている様だが、戦いの後で体力が残って居ない様子。


「うッ! ぐっ……!」

「何だ他愛の無い。以前は腕を折られても向かって来たってのによ」

「こ、殺して……やッ」

「やっぱり人間は弱ぇなあ。いけねぇいけねぇ もっと手加減しとくべきだったぜ」

「……くッ……う……」

「まァこれに免じて今回は多めに見といてやる(……それ以前に俺が殺らなくても近い内に壊れそうだしな)」

「……ッ……」

「さ~て。アイツらは未だに遊んでやがるし、早く信長様に御挨拶に行かんとな」




……




…………




……30分後。


「…………」


アレから龍馬は何とか尻餅を突きつつ背を柱に預ける事 位は出来たが、度重なる疲労も重なり未だに動けなかった。

意識は有るモノの光が微塵にも灯っていない瞳……今や彼女の精神はボロボロで有り、一人の存在だけが支えである。

されど龍馬は民からは"裏切り者"と蔑まれてる上に、家臣達からも煙たがられており通り掛る者達にさえ無視される始末。

故に彼女は"このまま死ぬのも悪く無いか"と迄も考え意識を手放そうとした矢先。彼女は差し伸ばされた手に気が付いた。

それが何者かと龍馬が視線を移すと、目の前には忍者仲間でも有る"しのぶ"が膝を折り無表情で彼女の事を気遣っている。

忍者しのぶ。彼女は7年前 反・信長を企てたモノの無念にも討たれた武将の親族だった為に真っ先に命を奪われる存在だったのだが、ドサクサに紛れて龍馬(当時11歳)が助け出し、そのまま月光(両腕有り)に預けて忍者として教育した結果……才能を瞬く間に開花させ今に至っており、目つきは悪いが彼女は龍馬を実の姉の様に慕っていた。

そんな"しのぶ"の傍には若干 距離を置いて前述の"月光"の姿も有り、何時の間にか龍馬の事を見下ろしている。


「…………」

「しのぶ?」

「…………」

「世色癌だそうだ。飲んで置け」

「……すまねぇ」


≪――――ゴクッ≫


「…………」

「はァ……死ぬかと思った。ありがとな? しのぶ。助かったぜ」

「…………」

「礼は"ふかしイモ"しか無ェんだけど……良いか?」

「……ッ?」

「頂きなさい」

「……うん」


月光としのぶは龍馬の数少ない気を許せる存在である。よって此処で初めて龍馬の瞳に僅かな光が灯った。

……とは言え2人も彼女の肩を持てる立場では無い為、人通りが少なくなった時間を見計らった故に声を掛けて来るのが遅かったのだと言う事も、3人の間の信頼関係から万が一 会話しているのを見られるリスクをも承知で しのぶが手を差し伸べてくれた事をも龍馬は察している。

さて置き。彼女達は早々と城外の庭園に場所を変えると、ふかしイモを黙々と頬張る しのぶを他所に龍馬は岩に腰掛けダラしなく足を崩しながら、腕を組んで静かに佇んでいる月光に向かって言葉を投げ掛ける。


「なァ月光」

「何だ?」

「アイツって……"織田信長"じゃね~んだよな?」

「…………」

「どうなんだ?」

「そうだな。信長様は"あの時"から別の何かに変わられてしまっている」

「だったら、何時まで"こんな事"を続けんだよッ?」

「信長様が存在する限りは、俺達の任務に終わりは無い」

「でも今度は大陸の奴らを沢山 殺すんだろ!? 冗談じゃ無ェよ!!」

「場所が何処で有ろうと命令は絶対だ」

「フザけんなって!! 其処を終わらせる様に何とかすんのが真の忠臣ってモンだろ!?」

「口が過ぎるぞ。お前も香様の為に何が出来ていた?」

「ぐッ……」

「あんな所で命を投げ捨てるのが お前の忠誠とでも言うのか? 笑わせる」

「だ、だって……仕方無ぇだろ!? 何年経っても何人殺しても、幾ら探しても奴を殺せる糸口さえ見つから無ぇんだ!!」

「…………」

「だから……たまには そう思いたくも成っちまうんだよッ! ……沢山殺した後は……特に俺ッ……」

「ならば行くが良い。香様の下に。既に見張りは眠らせて有る。それに香様も お前に会えず寂しがっておられた」

「えっ?」

「香様の存在こそが今のお前の生き甲斐なのだろう? 成らば それで自分を繋ぎ止め、何時までも足掻いて見せろ」

「お前等……」


――――此処で龍馬が しのぶの方を見ると、おやつを食べ終えた彼女は黙って頷いていた。


「だが もしも……もしもの話だが」

「な、何だよ?」

「大陸に赴いた結果 万が一 信長様が命を失う様な事が有れば」

「…………」

「香様としのぶを頼んだぞ」

「言う迄も無えっつ~の」


周囲に煙たがられている龍馬は信長の娘で有る香姫(22)と対面できる事は滅多に無い。

少なくとも一ヶ月以上は顔すら見る事が出来ておらず、彼女のストレスが募っていた原因でもあった。

だが月光と しのぶが気を利かせてくれた様で、龍馬は再び香姫に頭を撫でて貰えると僅かな幸福感を抱く。

ソレだけで幸福など安いモノだが、今の龍馬にとっては生きる糧であり……無論 左腕でも大歓迎だ。

また此処で月光の真意が聞けて意外だったが、彼も彼で化け物(使徒)達を見ると流石に揺れざるを得なかった様だ。

一方しのぶは、香姫に会いに行こうと走り去ってゆく龍馬の背中を少々 羨ましそうに眉を落として見送っていた。


「そう言えば、お前は龍馬の方に頭を撫でて欲しかったのだったな」

「…………」

「そう睨むな。ともあれ明日からは大陸にも哨戒の足を伸ばさねば成らん」

「…………」

「龍馬には挨拶をして行けよ? その時は言いそびれるな」

「……うん」


――――こうしてJAPANの内乱は圧倒的な武力によって終わり、間も無くランス達の耳にも入る事となる。




……




…………




……その日の夜。某所の宿。


「くぅくぅ……ランスぅ~……」

「……ッ……」


≪――――ぴとっ≫


「ひゃっ!! えっ……メルフェイス!? な、何で貴女が あたしのベットの中に来るの!?」

「サイゼルさんが悪いんです……綺麗な御尻で私を挑発するから……」

「し、してないッ! そんな事はしてない~!!」

「ランス様は我慢 出来なければサイゼルさんに相手をと仰ったんです……すみません……」

「そんなっ!? ままま待ってよッ! まだ心の準備が――――って我慢って どう言う事ォ!?」

「ソレは追々説明しますから……もう辛抱たまりませんッ!」


≪――――がばぁっ!!!!≫


「ちょっ!? アッーーーー!!!!」

「うふふ♪ 今夜は寝かせませんよ♪」


――――更に場所は変わって、馬車の中で野宿をしているランス一行。


「えっと……ランス」

「何だ~? かなみ」

「そう言えば"してない"っぽいけどメルフェイス様は大丈夫なの?」

「前者については突っ込まんが、余裕が無くって結局 抱けて無かったな」

「だったらメルフェイス様は苦しんでるんじゃ?」

「タイムリミットはあと2週間 程度だと思う」(4話参照)

「そ、それならッ!」

「うむ。遊びに付き合ってくれている彼女の為にも、きっとサイゼルが体を張って治めてくれるだろう」

「えぇ~っ? 女性が相手でも大丈夫なの?」

「分からん。だが試して見る価値は有ると考えた」

「あ、呆れた……案外 素直に行かせたと思ったら、ソレをさせるのが目的だったのね」

「否定はしないぞ。だがメルフェイスを抱けなかったのはサイゼルの邪魔も大きかったし自業自得だ」

「うぅ~ッ。それで仕方ないって感じる辺り、私も相当ランスに毒されてるみたい」

「どんどん毒されてくれ給え」

「(何の話をしているのだろう?)」

「(べ……別にランス王と かなみさんが仲がよさそうなのが羨ましくなんて無いんだからッ!)」


――――そんなワケで明日にはラジールに到着だ。エクスと同様にハウレーンも上手く軍を纏めているだろうか?








●レベル●
ランス   :54/無限
かなみ   :50/40(+10)
メルフェイス:48/48
サイゼル  :88/120
ウィチタ  :35/35
アームズ  :40/44

リック   :41/70
メナド   :37/46
ハウレーン :33/36
レイラ   :37/52
ジュリア  :32/38
ガンジー  :50/99
カオル   :26/33
サテラ   :100/105
メガラス  :98/146

信長    :89/200
龍馬    :44/44
しのぶ   :30/47
月光    :46/46




■あとがき■
サイゼル終了のお知らせ。貞操的な意味で。そしてJAPAN魔改造。思い切って影の薄いキャラを活躍させる方向に。
龍馬=処女。呪い憑きでは無い。18歳。容姿と衣装は全く同じ。目が死んでる。戦国に比べかなり強い。香姫大好き。
しのぶ=処女。くのいちでは無く忍者。12歳。忍者だけど衣装は全く同じ。龍馬大好き。月光も大好き。小動物みたい。


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