ふぁあ~。
ん~、よく寝た。
MPも回復してる。
そういや森から出てから一睡もしてなかったな。
あんまり人間離れした生活送ってると、元に戻ったときが大変かもしれない…。
できるだけ普通の人間らしい生活を送るように心がけよう。
空はまだ薄暗いくらいだが、もうそろそろ行かないと。
あの先生のところでの初仕事だ。
万が一にも遅れない様にしないと。
待ち合わせは夜明け前、今から向かった方がいいだろう。
…
……
…………
「おはよ~、早かったね」
「おはようございます、アンナさん。初日から遅刻するわけにも行きませんからね。それで先生は?」
「奥の診療室で待ってるよ」
昨日は入らなかった奥の部屋に入る。
「おはようございます、先生。お待たせしてしまいましたか?」
「おはよう、シオン。別にさほど待ったわけじゃない、気にせんでいいよ。
それより、今日やってもらうことなんだが」
お、早速か。
「街の北、半日ほど行った所に野草が多く原生している丘がある。
あんたが昨日言ってた薬草採取の知識、確かめておいで」
ということは。
「街の外で薬草を取ってくればいいのですか?」
「そうさね。アンタがあたしが教える前知識無しで、どんな草取って来れるのか興味がある」
「でも、俺は今戦えるほど強くは…」
フォレストウルフ戦での痛みを思い出す。
「わかってるさ。街を出る前にコイツを使いな」
塗り薬のようなモノが入ったビンを渡された。
「これは、魔物除けの道具さ。鼻の効く魔物の嫌う臭いを出す花から作ったもんでね。
人族には何にもわからんが、獣にも効くものさ。コレつけてれば、めったなことじゃ襲われないよ。」
なるほど、それなら安全…
「それに、街の周辺の魔物はほぼ全てFランクのヤツだ。
油断してなきゃ、負けるほうが難しいよ。せっかくだから使わないで戦いを経験しといたらどうだい?」
「勘弁してください…」
せめて格闘戦ができるようになってから戦闘したいよ。
「それじゃ、頂いてきます」
[獣除けの塗り薬を取得しました]
街を出た俺はすぐに言われたとおり塗り薬を使い、北に向かう。
歩いてすぐに気づいたが、通り道に来るときには全く気づかなかった草や花がいくつも咲いてる。
普通に歩いている分には見過ごすような小さい草もあるのに妙に目に留まる。
これ、もしかしてアイテムか?。
[メディカルミントを取得しました]
やっぱりか!
じゃあ、昨日見かけなかったコレ、全部か…?
…
……
ここが先生の言ってた丘かな?
丘は草原になっていた。
ここに着くまでに
メディカルミント×52
オレンジヒソップ×32
マジックハーブ×17
を採集した。
もう既に合計重量がアイテム所持限界の半分を超えてしまっている。
取り過ぎじゃないかって?
これでも、一つの場所から取り過ぎないように注意したんだぞ?
でも、取っているうちにこの技能の便利さがわかった。
この技能があると、対象のアイテムが
だとえ物陰に隠れていて見えにくい場所にあったとしても、一部でも視界に映りさえすれば、
『これは取得できるアイテム]だ、となんとなくわかるのだ。
かなりの距離を離れていても有効のようだ。
コレに気付いたことで、集まり方が飛躍的に増えた。
取ってる途中で熟練度が10を超えたので、声が聞こえた。
[薬草知識熟練度が10になりました。採取できる薬草の種類が増加します]
それで、今まで見えなかったマジックハーブが見えるようになった。
さ、ここでも採集しなくちゃな。
まずは目に付く薬草とおもしき草を引き抜こうと…。抜こうと…。
ん?
抜けない。
いいや、このまま取得。
「ヤドリニンニクを取得しました」
取得した後、ウィンドウから手に出す。
こうすれば無理に引き抜いて草を千切ってしまう必要も
根っこを使うようなものでも、掘り起こしに時間をかけたり
使えなくなる心配はなくなる。
これ、球根か?
それにしても球根の類も薬草になるのか。
普通に探すと相当見つけにくいかもしれん…。
[重量オーバー。拾うことができません]
お、もう重量オーバーか。
ここで集めた合計は
ヤドリニンニク ×35
トリニアの花 ×9
白夢草 ×14
インジャ草 ×22
オトギリソウ ×16
以上だ。
見るからに毒々しいものも、どこかで聞き覚えのあるものもある。
とりあえず目に当たる種類は全部集めた。
1個1個の重量が来る途中に拾った物より大きいせいであまり多くはないが、
今回は種類を見るようなこと言ってたし、辺りに目に付くのは採取済みのものだけ。
もう十分だろう
それに、もう昼を過ぎてるみたいだし、街へ戻る頃合だ。
見ると、既に薬草採取が16まであがってる。
これは後々、技能所持限界が厳しいかもしれないな…。