さて、今の4匹の牙ウサギを倒したことで、
今回のクエストはクリアした。
……これで終わり?
まだ一番難易度の低い依頼だからなのだろうが、これには拍子抜けだ。
確かにこんなに簡単なら、小遣い稼ぎに登録する人も多いのかもしれない。
まだHPやMPも、荷物にも余裕がありる。
時刻も昼過ぎ、13時を少し過ぎたくらいだばかり。
「もう少しここで狩っていこうか」
レベル上げにもなるしな。
ただし、もう4匹一度に相手にするのはやめておいたほうが無難だな。
累計するとMPの消費量がすごいことになりそうだ。
帰りに別の魔物が出る可能性も考えて、できるだけMPは節約しておこう。
狩場を注意深く見歩くと、なるほど確かにここはギルドが指定するほどに狩場。
結構な数の群れが直ぐに見つかった。
しかし、その群れを狙うのは賢くない。
それじゃ、一度に相手にする数は変わらないから。
そこから逸れている1~2匹を主に標的にしていく。
だが、たとえ数の多い群れであっても、中に普通のウサギが含まれていて、
牙ウサギの数が2匹以下ならこれも獲物に入れる。
さっき見ていた様子だと、普通のウサギは戦闘になったら勝手に逃げるからな。
もう通常のウサギは狙わないんだけど。
標的を見つけたら、弓の射程ぎりぎりまで近づいてから射る。
一匹ならそのまま当たるまで弓で。
二匹なら一匹を弓で倒した後、拳で。
このパターンを繰り返す。
これでダメージ無し、MP消費無しで行けるだろう。
さあ、まずはあの2匹からだ。
…
……
作戦失敗。
いや~、危なかった……。
あ、でも完全に失敗だったって訳じゃないぞ?
だいたい10匹位はあの作戦で仕留められたんだ。
先に見つかってしまい、あっちから仕掛けて来る事もたまにあったが、
大抵は突進の一撃を食らった後での俺からの反撃で沈んだ。
問題はその後起こった。
単体では対処しきれないと思ったのか、10以上の牙ウサギ徒党を組んで、文字通り牙をむいて襲い掛かってきたのだ。
さすがにそんな数を一度に対処してはいられない。
すぐさま逃げ出した。
何かしらの範囲攻撃を覚えていれば、また違ったんだが…。
だからと言って、仲間を殺され続けた牙ウサギがそう簡単に逃がしてくれるはずがない。
かなりしつこく追いかけてきた。
相手のほうが足が速く、逃げた背中や足に向けて突進を繰り返してくる。
背後からの衝撃と軽い痛みで、バランスを崩しながらも何とかポーションを飲みながら逃げ続けた。
たぶんそんなにスタミナは続かないだろうから、ポーションが尽きる前に逃げ切ることは出切るだろう。
が、あくまで予想である。
予想が外れていたときに命を失っては元も子もないのだ。
そこで、MP消費を考えずに逃げながら魔法を撃つことにした。
使った魔法は『ウインド』、新しい魔法だ。
風だし、もしかしたら範囲攻撃かと思ってな。
確かに範囲魔法だった。
ただ、攻撃じゃなかったんだけど。
どうやら『ウインド』は行動妨害系の呪文らしい。
唱えると追っ手のウサギ達の方に強い風が吹き、追撃速度が目に見えて遅れた。
風は暫らく(といっても長くて数秒だが)吹き続けていたようで、その間に逃げおおせる事ができた。
逃げ切った後でもう一度、効果を詳しく観察するためにもう一度使ってみた。
自分のいる場所から対象の方へ強風を起こす魔法らしい。
効果は3秒ほど、完全に身動きできなくなるほど強い風ではない。
風を出しながら前に出ると追い風になる、などといった効果はないようだ。
自分に対する支援効果は期待できない。
しかし、これは下手に攻撃呪文使うより役に立つかもしれん。
後々、遠距離攻撃してくる相手が出て来たとき、それを散らせる。
飛行系の敵にも有る程度の効果はあるだろう。
今回の反省点は一つ所で狩り過ぎたせいだ。
血の匂いが辺りに漂うし、此方の場所がすぐに分かってしまう。
一度狩りを行ったら、そこから距離をおく必要がある。
それを踏まえて、再度狩りを行おう。
…
……
おお、またレベルが上がったぞ。
結構早く上がるもんだな。
今狩ったウサギを回収して、と。
そろそろ鞄には入りきらなくなってきた。
数は…え~と、ひの、ふの、みの、…合計23匹か。
…こりゃ狩り過ぎじゃないか?
もはや乱獲の域だ。
ここでは狩り過ぎても猟師協会とか動物愛護~~とかないだろうから、怒られることはないだろうが、
もう止めておくべきだろう。
今日の赤ポーションの合計使用数は6本。
結果的に見れば、用心深すぎたか。
…いやいや、追いかけられたときは危なかったし。
余っても家に追いとけば良いし。
とにかく、問題なく終了だ。
牙ウサギって名前の割には噛み付いてこなかったな。
おそらくだが牙が発達しすぎたせいで、噛み付いて攻撃するような事はできないのだろう。
……何の意味もない牙だな?
とりあえず3レベル分のステータスを振ってから帰るか。
2レベル分のポイントで全体の底上げを。
1レベル分で力、敏捷、魔力を強化した。
帰りは行きよりかなり早く帰れた。
敏捷が上がったので走行速度が上がったようで、風を切る感覚が明らかに変わっている。
勿論薬草を採集しながらじゃない、というのも大きいんだけどな。
なんだかLvを上げるのが楽しくなってきた。
ギルドに戻ると、受付でクエスト依頼品を渡し、報酬を受け取る。
…自分で捌かなくて良いらしい、よかった。
ここの世界で自分で料理するのは諦めた方がいいかも。
報酬は1350ガットだ。
あ~、やっぱりポーションって馬鹿高いんだな。
買取であの値段だし。
矢を補充してフラスコを大量に買い込んでから、帰宅。
うへっ……鞄が血塗れ。
これ洗ってから寝ないと……。
ていうか落ちるのか……?
ライトを使い、魔法の熟練度を上げながら井戸水で鞄を洗う。
……全然落ちない。
次からは直接鞄に入れないようにしないと、毎回洗濯するハメになる。
あ~、何か手を考えないと。
結局完全には落ちなかった。
所持金変動
元所持金 12280
クエスト報酬合計 1150+200
弓矢合計 -1300
矢補充 -10×17
フラスコ代 -30×150
残合計 7660ガット
ステータス変動
薬草知識
熟練度が25.3まで上昇。
熟練度が20を越え、ステータスボーナス 最大HP+10
3LvUP
最大HP+30
最大MP+15
力が+4
重量限界+200
耐久が+2
最大HP+10
素早さ+4
移動速度、回避率上昇
魔法力+3
最大MP+9
器用さ+2
製作系技能成功率UP
弓の攻撃力+
現在ステータス
「
●シオン=ラーク
・LV 5
・称号 ”Fランク傭兵”(Allステータス+1)
・HP 120/120 ・MP 66/66
・力 9 ・耐久 7 ・魔法力 12
・敏捷 10 ・器用さ 11
・装備 杖(両手)(魔法力+5)
弓(両手)(弓術使用可能)
皮のよろい(耐久+6)
皮の脛当て(耐久+2)
皮の手袋 (器用さ+1)
・所持重量 781/2200
・所持金 7660ガット
・所持技能 薬草知識 (25.3)調剤(9.1) 魔法素材知識(0)
一般魔法具知識(0.2) 鉱物知識(0) 魔物知識(2.7)
魔物素材知識(2.0)
基本魔法 (13.1) 弓術(23.2) 体術(19.7)
・技能限界 95.3/1050 」
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あとがき
ステータスの表記方法を変更。
技能補正はそのままステータスにプラスされ、
装備品補正は表記しないようにしました。