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No.12279の一覧
[0] 【習作】ルイズちゃん達と寝不足の技術者才人[ADFX-01 G-2](2010/06/06 02:14)
[1] 【習作】ルイズちゃん達と寝不足の技術者才人-1[ADFX-01 G-2](2009/09/28 02:47)
[2] 【習作】ルイズちゃん達と寝不足の技術者才人-2[ADFX-01 G-2](2009/09/29 00:26)
[3] 【習作】ルイズちゃん達と寝不足の技術者才人-3[ADFX-01 G-2](2009/10/05 21:05)
[4] 【習作】ルイズちゃん達と寝不足の技術者才人-4[ADFX-01 G-2](2009/10/05 21:21)
[5] 【習作】ルイズちゃん達と寝不足の技術者才人-5[ADFX-01 G-2](2010/06/06 02:09)
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[12279] 【習作】ルイズちゃん達と寝不足の技術者才人-1
Name: ADFX-01 G-2◆a9671369 ID:b14f60b8 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/09/28 02:47
 魔法が使えなかったから、あらゆる魔法の本を読み漁り、それを試してみた。
 どれも、結果は爆発。お母さまはそれを見て、もう怒ることすらなかった。難しい顔をして、完全に矯正した完璧な詠唱なのにと、原因を探していた。
 私は次の本に取り掛かる。それは使い魔に関する魔法の本。私は何度もその呪文を読み返し、完全に覚えて、本を置く。口の中で何度も反芻して、もう絶対間違えないくらい反芻して、深呼吸する。
 そして、サモン・サーヴァントの呪文を唱えた。

 爆発。

 閃光、衝撃波、砂粒とが私を襲い、泥んこの私をもっと汚す。
「……また失敗ですわ」
「いいえ、ルイズ。成功です」
 お母さまの言葉で、私は初めて爆発した場所を見た。
 人間が、恐らくは平民が、両手と背にパンパンに膨れた鞄を持った平民が倒れていた。
「嘘……嘘です! これは多分、空を飛んでいた平民が落ちてきただけです!」
「ルイズ、落ち着きなさい。平民は空を飛びません。この平民は貴方の使い魔なのです。さぁ、コントラクト・サーヴァントを」
「判りました……」
 何故、平民が。私は始祖を呪いながらコントラクト・サーヴァントをする。意識は無いが、死んではいない。黒髪で黄色い肌の、ここらでは見慣れない珍しい服を着ていた。年齢は、あねさまと同じぐらい。
 顔は……歳相応に精悍というべきか。眼を閉じたままなのでまだ判断できない。だが、心臓は加速していく。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我が使い魔となせ!」
 ファーストキス。それもこんな平民に。これはノーカンと自分に言い聞かせ、触れるようなキスをした。
「ッくぅ……」
 ルーンが刻まれているのだろう。無意識なのだろうが、左手の甲を押さえて転がり回ろうとして、できない。背中の荷物がそれを許さない。
「ってぇ!? なんなんだ?」
 どれだけの痛みなのか。眼を覚ました。
「あ? え、えー、あ、貴方、誰?」
 怒気の含まれたその声に驚いて、私はどもってしまう。
「……ここは誰? 俺はどこ?」
 寝ぼけているのか混乱しているのか、わざとボケているのか。
「ここはラ・ヴァリエール公爵邸よ。貴方、名前は?」
「平賀才人だけど……ラ・ヴァリエール公爵家? それって東京のどこら辺だい?」
「トーキョーってどこよ? ラ・ヴァリエールを知らないなんて、どこの田舎者よ。貴方は私に召喚されたの。この、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールに!」
 何故こんなのが私の使い魔なのか。始祖ブリミルを本気で恨みそうになった。
「東京は世界有数の先進国の首都だぞ……というか、召喚って?」
「私が、サモン・サーヴァントの呪文で喚び出したの。何の因果か、貴方みたいな平民が喚ばれたのは判らないけど」
「……もう一度聞くけど、ここがどこだか教えてくれないかい? できるだけ詳しく、国名から……いや、どこの大陸か、から」
 奇妙なことを訊く。
「ハルケギニア大陸のトリステイン王国。そしてここはラ・ヴァリエール領を治めるヴァリエール公爵家の私邸よ」
「は?」



 ハルケなんとか大陸のトリステイン王国。この時点でアウト。地理に疎いとはいっても、190以上ある世界の国家全てを知っているわけじゃないけど、それでもそんな国、この地球上にあるはずが無い。
 世界はユーラシア、アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、オーストラリア、南極の六つの大陸で構成されている。ハルケなんちゃらなんて大陸が入り込む余地なんて全く存在しない。かつて太平洋上にあったとかなかったとか謳われるムーとかアトランティスとかか、なんて冗談が頭を巡るが、あまりにもナンセンスだ。
「ハルケ……なんだっけ?」
「ハルケギニアよ」
 このルイズとかいう子の言うことが正しければ、ここは地球じゃない。馬鹿みたいな話だが、別の星とか別の次元とか、簡単に言えば異世界だ。
 少なくとも、嘘をついているようには見えないし、その必要もない。話した感じでは馬鹿ではないようなので信憑性もある。
「北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、オーストラリア大陸、ユーラシア大陸、アフリカ大陸、南極大陸、どれかに聞き覚えは?」
 地殻変動で新しく大陸ができたとか、そこに変な王国が起こったとか、アメリカの衛星兵器を情報収集に使ったとか、C.P.D.U.に囲まれていたりとか、もしかしてここは未来か過去かとか、どこかにラインハルトとがいたりとか、そんな妄想とも想像とも言えない何かが頭をかする。んなまさか。
「何を言ってるの? 大陸はハルケギニアとアルビオンの二つに決まってるでしょ」
 かつて世界は、大陸はパンゲアと呼ばれる大陸一つだけでした。地殻変動によってだんだんと分裂していき、長い時を経て今の世界の形になったのです。パンゲアには人類はいませんでした。たとえ二つに分裂したころでも、まだまだ人類はいませんでした。ならば? 完全別世界の可能性が。というかむしろそれしかない。そして少女の言動から察するに、ルイズは貴族とかそんな分類に属する人種だ。更に言うと、俺をこの世界の住人と思っているらしい。
「別の星? 分岐世界? 召喚したと言ったね? どうやって?」
「サモン・サーヴァントの魔法で、よ。平民は知らないでしょうけど」
「召使召喚? そんな事の為に、俺をこんな世界に喚び出したってのか」
「違うわ、使い魔として喚んだのよ。感謝しなさい、貴族の元で働けるだけで名誉なことなのに、使い魔よ? 平民にとってこれ以上幸せな――――」
「……ふざけるな」
 何かが気持ちいいほどいい音を立てて切れる音がした。ここまで勝手な話があるか。特権に長い間浸かっていたから仕方ない、なんてのは言い訳にもならない。流石に小さな子供だ、衝動に駆られるまま激情を叩きつけるようなことはどうにか堪えられた。その代わりの低い声が、喉から漏れた。
「人を一人、さらっておきながら、その言い方はないだろ」
「な、なによ! 平民風情が貴族に口ごたえするんじゃないわよ!」
「この世界じゃ基本的人権すらないのか?」
「なにそれ?」
「なんてこった……『朕は国家である』とかの時代か? よっぽどの恐怖政治じゃないと存続しねぇタイプの」
 絶望的だ。生意気を言ったら殺される、切り捨て御免の世界だ。
 だからといって、簡単に従属なんてしてやるものか。これでも誇り高き日本人なんだ。
「まあいい。俺を元の世界に戻せ。君も俺が使い魔じゃ不満なんだろ」
「無理よ。そんな呪文、存在しないもの」
 ここまで一方的だとは。召喚して戻せないなんて、まるで戦車に乗って世界を旅する四人組みたいな運命だ。
「判った。使い魔ってのを『やってやる』。ただし、条件がある」
「なによ、突然。生意気ね。でも私は寛大だから聞いてあげる」
 いちいち腹が立つが、この年齢ならまだ矯正できる。
「衣食住の保証。生命と、ある程度の人権の保証。俺を元の世界に戻す方法の捜索。この世界の常識を教えてくれること。ついでに言うと、それをあまり強制しないこと。これが守られないなら、俺はどこか別の場所に行く」
「元の世界に戻す? 何言ってるのよ、まるで別の世界から来たみたいなもの言いね」
「その通り。証拠は、このクソ重たい荷物でどうだ。俺の世界の人類の英知が大量に入ってるぞ」
 貴族なんてものが威張ってる時代なぞ、はるか昔の話だ。はるかに進んだ文明の技術の書き記された教科書や技術書は宝の山だ。大学の帰りでよかった。あのクソ教授の出した課題のおかげでこんな大量の資料を毎日運搬する羽目になっていたのだが、今は奴に感謝だ。ダイエットしたい奴は工科大学入って一人暮らしをするといい。新兵訓練なんかしなくても勝手に痩せる。
「ふーん?」
 リュックのせいでひっくり返った亀状態の俺の手から、荷物を奪う。
「なによこれ。読めないじゃない」
「日本語だからな。というか、君、日本語話してるじゃないか」
「はぁ? これはハルケギニア語よ。で、その平民の英知がなんの役に立つってのよ」
 ルイズは普通に喋っているつもりのようだ。極めて日本語に似た文法や発音でありながら、全く違う文字、という可能性が考えられるが、まずあり得ん。
「鉄より硬い金属を造れる。畑の収穫も増える。音より速く空も飛べる。上手く発展すれば医療技術も治せない病気が無いほどに発展するぞ。医学は工学と密接に関わっ……」
「今、何と言いましたか」
 あ? ルイズの他に誰かいたのか?



 治せない病気が無い。まさか。水の秘薬を大量に使い、高名な水メイジが束になってかかっても治せなかったちいねえさまの病気が、こんな平民に治せるはずがない。
「今、何と言いましたか」
 しかし、お母さまはその言葉に食いついた。
「へ? うまくいけば、治らない病気がほとんどなくなるほど医学が発展する?」
「それは真ですか?」
「この世界の文明の進度にもよりますが。ただ残念なことに、この中に医学書はないんですよ。素人が下手に手を出せるほど医療技術は甘い世界じゃないし、成長するまでの時間は他に比べて長いでしょうね」
 平民ヒラガサイトはお母さまがいることを始めて知ったらしく、その姿を見ると口調を変えた。どうにか起き上がろうとしているみたいだけど、背の荷物が重すぎて起きれないらしい。まるで亀だ。
「判りました、条件を飲みましょう」
「ええ!? お母さま、こんな平民の戯言を……」
 まさか、お母さまがあんな条件を受け入れるなんて思わなかった。ちいねえさまには治ってほしいけど、こんな平民に任せたくはなかった。
「この方が嘘をついているようには見えません。それに、誰もが匙を投げたのです、ならばもう、藁にもすがらなければならないのです」
 だからって、こんな、地面をはいつくばっている平民に頼るというのですか。
「ただの妄言かもしれないじゃないですか」
「ええ。ですから暫くは様子を見ます」
 成果が出なければアウト。その後、お母さまにひどい目に遭わせられるだろう。少しだけ、ヒラガサイトに同情した。
「話は決まった?」
 



 結局俺がどうなったかというと、質素だが広い部屋をあてがわれて、そこで研究とか開発とかをすることになった。資料を本棚に詰め、荷物を適当に整理する。ノートパソコンやポケコンは電池やAC100Vが発電できるまでバッテリーを抜いておく。携帯はどうせ使えないので同様の処理を。ノートやリーズリーフ、筆記用具は机の上に山積みにされている。
「さてさて、これからどうなるんだろうな」
 異世界なんてものが存在するだけで驚きなのに、今度は魔法と来た。
 あの馬鹿みたいな量の荷物を、杖を振るだけで浮かして運んでいくんだから。
 なんて非常識な世界だ。外を見上げれば月が二つ。地球じゃないのは確実。
 しかも予想通りに科学技術は中世と同等か遅れている。魔法が科学の発生自体を阻害しているようにも見える。
「まずは鉄と農業かな……」
 この時代で、今、最も儲けることができるのは農業と鉄鋼だろう。第一次産業が発展すれば税収も増え、第二次産業に回す金と人員の余裕ができる。この時代において、省力化・効率化・機械化は重要だ。魔法が貴族のものであり、簡単に産業に使えないのだから、機械は確実に普及する。そしてその機械を作るための材料の質、すなわち鉄の質によって機械の良し悪しが決まる。ただでさえ汎用性の高い鉄の質が上がれば、それだけで道具の寿命や効率も上がるし、鋼鉄などの精製で付加価値をつければかなり儲かるだろう。ステンレスや装甲材料クラスの鉄合金ができたら億万長者間違いなしだ。
「なにニヤニヤしてるのよ」
 いつのまにか部屋に入ってきたルイズが訊いてきた。確実に儲かる話を考えれば、誰だって自然に笑みがこぼれるもんだ。
「儲け話を考えていたんだ」
「儲け話?」
「何を研究するにも、お金は要るからね。今ある知識でどれだけ儲かるか考えてた」
「それで、どうだったの?」
「工場一つだけで税収が要らなくなるかな」
「へ?」
 あまりに予想外だったのだろう。
「税収がいらなくなる?」
「逆に平民に給料が払えるかもな。というか、平民に働いてもらわないと動かない産業だな」
「そ、そんな嘘でお母さまが騙されると思わないことね。失敗したらあんたなんてすぐに殺されちゃうんだから」
「話も聞かずに最初から嘘と決めつけるのは損だぞ?」
「へぇ? じゃあ説明してみなさいよ、その儲ける方法とやらを」
 興味は持ってくれたようだ。そう簡単に話を聞いてくれるとは思ってはいなかったが。案外素直なのかもしれない。
「じゃあ……まず、この国の鉄鋼業のことを知ってるかい? 知ってたら教えてほしいんだけど」
「は? 私が訊いてるんだけど」
「条件。この世界の基本的なことを教えてくれること」
「判ったわよ。だけど、そもそも鉄鋼業って何よ?」
「鉄を作る産業だよ。砂鉄とかから鉄の塊を生産する産業。結構重要な産業なんだけど」
「土メイジが石とか土とかから練金して作るのよ」
 ……なんだって?
「練金して、好きな形に加工するの。砂鉄なんて面倒で使わないわ」
 なんという便利な。というか、何と言うチート。いやいや、そんな感心する前に、儲け話が一つ消えたかも。
「なに絶望的な顔をしてるのよ。もしかして……」
「いや、まだ判らない。それで、それは平民が手に入れることができるのか?」
「物にもよるわ。製作者が高名なメイジだったり特殊な魔法がかかってたりすると高くなるし、領地を持たず役職も与えられてない貴族が作ったのは平民の間でも普通に使われてるわ」
「切削加工とかはないんだね?」
「なにそれ?」
「鉄を切ったり削ったりして加工する技術なんだけど」
「そんなもの無いわよ」
 最悪のパターンが。別の策を考えるべきか……
「全く同じ物を大量に作ることは」
「全く同じ物……どうかしらね。同じ物を買ったのに大きさとか形に少しばらつきがあるわ。手を抜いてるだけかもしれないけど」
 ……希望が見えてきたか?
「一人の生産量はどんくらいだ? 一日何ktとか生産しないよね?」
「キロトンとかよく判らないけど、そんなに多くはできないと思うわ。精神力の残りにもよるし、そもそも鉄なんてそこまでたくさん必要としないし」
 勝った。これはいける。
「品質は? 簡単に歪んだり割れたりしないか?」
「すぐ錆びるし、テーブルから落としただけで壊れるし、そう言えば軍艦の装甲が大砲ですぐ割れるとか……」
「判った。それだけ判れば充分だ」
 子踊りしたい気分だ。これなら大丈夫。安定した大量生産の安価な鉄製品を市場に送り込めば怪しげな『練金』製の製品なんぞには負けない。
「そう。で? 私ばかり答えるんじゃ不公平よ、あんたも話しなさいよ」
「ああ、いいぜ」



 信じられなかった。
 メイジが作る物よりいいものが、安価で大量に生産できるなんて、そんなこと信じられる訳がない。
 しかもヒラガサイトは塔みたいな図を私に見せて、その原理を私に懇切丁寧に教えてくれた。変な文字列と一緒に。
「――――ここで赤鉄鉱ってのを精製するんだ。赤鉄鉱には酸化した、つまり錆びた鉄と、不純物が混ざってるから、これをどうにかしないといけない。で、コークスと赤鉄鉱と石灰石を層にして積み上げて熱い空気を送ってやるんだ、すると――――」
 訳が判らない。
「――――で、還元反応が起こるんだ。化学式ではFe2O3+3CO→Fe2+3CO2となって錆びた鉄は純粋な鉄になってここから流れてくる。高温になると不純物と石灰石が化合して軽く硬く脆くなって溶解した鉄の上の方でスラグって塊になる。錆びの成分は煙に、不純物はスラグにって完全に分離されるんだ。だから――――」
 訳が判らないが、訳が判らないところを教えてもらおうとすれば明日の朝になるだろう。それだけチンプンカンプンなのだ。
「――――という訳なんだ。どう、判った?」
「何も判らないことが判ったわ」
「あー……ハハ。流石にこの世界にない概念が多いからなぁ。判らないのも仕方ないね」
「なんですって?」
 仕方ない。それは私の幼いプライドを突き刺した。まるで教えても無駄、と言っているように私には聞こえた。
「怒るなよ。この世界より遥かに進んだ技術だよ? まだ大人でも理解できるかどうか……」
「だったら教えなさい」
「まぁ、いいか。でもな、そりゃ人に物を頼む態度じゃないぞ」
「むぅ。オシエテクダサイヒラガサイト」
 子供扱いされているのも、なんだか腹が立つ。でも、ヒラガサイトには教えて『もらう』立場なのでそれを表に出すと負けだ。
「おう、承った。じゃ、もう遅いから明日な?」
 ヒラガサイトに部屋の外まで見送られ、私は自分の部屋に戻る。
 初めて上手くいった魔法。そして現れた変な使い魔。そして、ちいねえさまの病気を治せる可能性のある存在。
 不思議だった。貴族を恐れない。無礼だけど、そこまで悪い気はしなかった。私に普通に接してくれるからなのだろう。
 でも、私が魔法を使えないと知ったら……。
 考えたくない。使用人のように陰口を言ったりするんじゃないか……。
「かがくしきでは、えふいーつーおーすりーぷらすすりーしーおーはえふいーぷらすすりーしーおーつー……」
 ヒラガサイトが説明していたことを反芻して、嫌な考えを追い払う。まるで魔法の呪文だ。
 そうしているうちに、私の意識は闇に溶けていった。


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