第18話 ファーストコンタクト
皆さん初めまして、ウルザ・プラナアイスです。
今回は、私がご案内をさせていただきます。
このころの私はまだ、理想を夢見る事に一生懸命のころでした。
そんな夢見る少女の時代(自分で言うと恥ずかしいですね。)、私の人生を大きく動かす事となった、黒い魔女に出会った時のお話です。
◇◇◇◇
これはいったい………。
《回想》
少し前、ペンタゴンの本部にいた私に同僚から有る情報を聞いた。
『孤児院を隠れ蓑にして年端の行かない子供達に売春をさせている場所がある。』
と言う、一般人からすれば耳を伺いたくなるような情報だった。
情報をくれたのはフランチェスカ。
2年ほど前に組織に入ったまだ若い組織員だ。
しかしながら現在、その実力から組織内でも注目の的になっている。
彼女の才能それは、
・一流と呼べるほどの剣の腕を有しており、入団初期からいくつもの危険な作戦に参加し無事戻ってくるだけではなく幾つかの作戦を成功させている。
・また、その際に何度か部隊をまとめる状況になったにも係わらず新人とは思えない統率力を発揮したことから作戦の実行能力も高く部隊をまとめ上げるカリスマも高い。
・個人行動にも優れた才能を見せ、何度も潜入作戦を成功させては情報収集能力の高さを示している。
などなど数え上げればきりがないほどだ。
おそらく次の集会で私と同じ
『八騎士』
に、選ばれること間違いないと噂されている。
そして私も注目している。
むろん私が注目しているのは彼女の戦闘能力の高さだけではない。
もちろん、その事も注目している。
が、私が最も注目しているのは、彼女が何かと身近なテロ行為に走りがちな最近の組織の中で数少ない将来を見ることのできる人間だということ。
これまでの作戦も極力無駄な被害を出さないようにしており、目的を忘れて暴走することがまず無い。
まず、一般人を巻き込むようなことはしない上に、そのような状況になった時は即座に計画の変更を行える頭の回転の良さも持っている。
そのため、組織内では比較的穏健派の私と彼女は会話することも多くなり、今では友人といってもいい関係になっていた。
そんな彼女からの情報。
充分、信用できる情報源だ。
最もこの情報、元々彼女は自分で片付けるつもりで作戦計画の草案をネルソン提督に提出したそうだが、
『地味で自分達のアピール度が少ないうえにその後の苦労が割に合わない』
との返答をもらったとか。
………地味って。
提督ってば………。
あの方は組織運営能力や人心掌握術には長けておられるのですが、どうも作戦実行についてはご自分の趣味で行われているところが見受けられますね。
国と対決することをメインとする提督と国民を救うことを第一とする私と最近ぶつかる事が多くなりました。
そして、まだ独断で作戦行動の起こせない彼女は動けなくなりました。
そんな事で困った彼女は、友人であり自分の考えで独立行動を起こせる、現『八騎士』の私の所へ今回の作戦書を持ち込んだのです。
私はこの作戦を聞いたとき、あまりの酷いこの情報に始めから断るという選択肢は思い浮かびませんでした。
また丁度、最近やっと稼働し始めた、弱い立場の方達のための『避難所』が有ったことからその子供達を保護しようと決めたのです。
うん、こんなかわいそうな子供達は一行も早く助けないと。
急ぎ父や兄、同じ八騎士のダニエルに相談し、襲撃計画を練りました。
そして、一刻も早く子供達を助けるため動かせるだけの同士を集めてその孤児院に乗り込んだのです。
…しかし結果は最悪の形で失敗しました。
狭い室内での戦闘は、私達の唯一の利点、数の有利さを生かすことができず、敵の魔法攻撃に次々と倒されていきました。
それでも私やダニエル、父や兄は少しずつ敵を倒していったのですが、時間が掛かりすぎました。
治安部隊が駆けつけてしまったのです。
その上、彼らは建物に火をかけて逃げだしました。
………助けるべき子供は、ほとんど園長達に連れ去られてしまい、残された子供達の多くは火に巻き込まれ犠牲になってしまいました。
………私達はなんと言う失敗を。
◇◇◇◇
《現実》
そして今回、再びフランチェスカから情報が入りました。
逃げ出した園長達が別の場所で再び店を開いたと…。
今度は失敗しない!
今回は前回の失敗を教訓に人数を絞り込み、そのうえ新たに八騎士となったフランチェスカも参戦してくれる事になりました。
これ以上の失敗は許されません。
その為に突入メンバーで会議を開き、現場を想定した訓練もし、万全を期しました。
少しでも早く助けたかったけど、ごめんなさい。
その代わり今回は必ず助けるから……。
けれど………。
メンバーを引き連れ現場に到着すると、目の前には思いもしなかった状況が広がっていた。
…入り口が粉砕されてる。
???!
しかもその周りには店の者とおぼしき死体が!
いったい中で何が起こっているの?
慌てて建物に突入した私達は、それでも連携した行動をとるべく当初の計画通り、右階段を父と兄の部隊に左階段をフランの部隊に私とダニエルは最も激戦が予想される中央の階段を上ったのです。
通路の所々にある従業員兼用心棒と思われる男達の死体。
不安に胸を締め付けられながら店の奥を目指します。
〈〈〈〈・・・シュガーン!!〉〉〉〉
いきなり何かを吹き飛ばすような音と振動が建物を襲った。
咄嗟に身構える私達。
揺れが………、収まった!
いったい何が?
「何事だ!」
普段無口なダニエルも今感じられた膨大な魔力と衝撃に驚愕の声を上げました。
「急ぎます!」
不安から更に奥を目指す私達。
そして最奥の部屋には………誰か居る!
ドアの陰から室内を覗いてみると中には魔法使いらしき人物が3人と子供達が10人くらいいる。
………ゾッ!
何、いまの?
私の本能があの3人の魔法使いに恐怖している。
絶対戦うなと。
横を見て見るとダニエルも同じようです。
あの、血しぶき舞う戦場においてすら冷静沈着な彼が冷や汗をかいています。
私達は今まで色々な戦いを経験しました、その中には魔法使いとも戦ったことがあります。
30人以上の魔法使い達に囲まれたこともあるし、戦った数こそ少ないが魔法Lv2の才能を持つ強力な魔法使いとも戦ったことも…。
そんな私達が今思い浮かべているのは一つの言葉。
『バケモノ』
と。
その身からあふれ出す圧倒的な存在感、こちらに注意を向けていないのに押しつぶされそうです。
………けど、なぜそんな魔法使いが子供達を抱きしめ、更に子供達にしがみつかれて泣かれているの?
そんな状況に混乱しているとその内の一人から声が掛かった。
「あら、のぞき見なんてエッチね。
部屋の外にいる人、入ってきたらどう?」
しまった、気付かれていた!
私達2級市民の魔法使いへの戦い方は奇襲か物量戦だ、この距離での遭遇戦は……。
いいえ、止めましょう。
先ほどの魔力がこの人達のものなら、その気になれば、次の瞬間に私達は消えている。
それに、今の言葉、そして態度、この方達は私達と話がしたいようだ。
なら、まだ道は有るはず。
「失礼しました。
私、反政府組織『ペンタゴン』の一員で『八騎士』の位をいただいております、
ウルザ・プラナアイス
と申します。
本日はそこにいる子供達を助けに参りました。」
私は一礼と供に自己紹介をした。
「あらっ、これはご丁寧に、
ふふふっ、ごめんなさいね、実は………」
私がここまで丁寧に挨拶するとは思っていなかったのだろう。
以外だったのか魔法使いは意表をつかれた感じだった。
そこに突然の怒鳴り声、
「ウルザ、聞くな!」
魔法使いが何か話そうとした瞬間、突然、横から声が掛けられ私の前に人影が現れた。
メガデス・モロミー!!
「メガデスさん、いきなり何を?」
「何をじゃねぇ。
こちらがしっかり自己紹介までして挨拶しているのに、こいつら自分達のことすっ飛ばして本題に入ろうとしやがった。
それどころかこいつら『仮面』着けてやがるぞ。
後ろめたいことがある証拠だ!」
あの~メガデスさん、現在の状況わかってます?
「あらあら、この仮面のことを知っているなんてなかなか物知りねぇ。」
「なめてんじゃねぇ!
これでも、ここにいる連中は対魔法使い戦経験者ばかりだ、へたな小細工が通用すると思うなよ。
バーナード!あたいに付き合え。
ダニエルのじいさん、アベルト、なんとしてもウルザを守れ。
あたい達がなんとしても時間は稼ぐ!!」
モロミーの口から出たのは悲壮なまでの覚悟。
『だめっ、戦っちゃ。』
すべてが、全てが終わってしまう…。
魔法使い達の出方を探ろうにも認識撹乱の魔法のせいで相手の精神状態が全く読めない。
もう、なんてやっかいな魔法なの!
あ!あああー。
しかも、前衛にいるモロミー達が、いきなり不吉な言動を!!
「バーナード巻き込んじまって悪かったね。」
「いやいい、俺の仕事は魔法の使えない者達に明日を作ることだ。
なら、今はウルザを守る事が第一だ。
それにまだ後にはフランチェスカがいる。」
「ふふふ、そういやあんた、フランにほれ……。」
「うるさい、黙っててくれ。」
バーナードさん、なに顔を赤らめてストロベリーな会話をしてるんですか。
…どう考えてもこの会話、死亡フラグですよね、死亡フラグですよね!
やめてー!
この状況でそんな不吉な会話、しないでー!!
冗談になりませんよ。
何とかしなきゃ、何とかしなきゃ……。
“クスクス”
そんな風に私がパニックになりかけている所に笑い声が聞こえてきた。
だれ?こんな時に!
「ごめんなさぁい。
馬鹿にした訳じゃないのよ。
あまりにあなた達が微笑ましくてね。」
魔法使いが話しかけてきた。
そして少し考えるような仕草をした後、
「そうね、確かに私達は一方的すぎて失礼だったわ。」
そう言って、リーダー格と思われる魔法使いが、両手を顔に近づけた。
「ちょっと待ちなさい!ミスP。
まさか………。」
「うん、外しちゃう。」
そう言うと魔法使いは、顔から仮面を外した。
………若い、若い女性だ。
まだ、少女と言っていい年齢のはずなのにその身体からは男女問わず惑わす様な色気がある。
長い栗色のウエーブがかった髪、黒いロングドレス。
そして、何より圧倒的な存在感。
『仮面』によって隠されていたその力が余すことなく周りに放出されている。
そして何より、私は彼女を知っている。
「し、四天の……。」
「しー、バレバレだけど一応私の正体は内緒ということでお願いね。」
彼女は、指を唇に当てて私達の言葉を遮った。
《四天王 パパイア・サーバー》
実力主義で決定された今代の四天王、
筆頭 山田千鶴子
次席 パパイア・サーバー
三席 ナギ・ス・ラガール
末席 マジック・ザ・ガンジー
中でも上位2人はLv50を越え、実力においてゼスで5本の指に入ると噂される。
そして、次席のパパイア・サーバー、彼女はこの政府において情報等、比較的裏の仕事を受け持っている。
そして何より、私は彼女を四天王の中で一番警戒している。
なぜなら、彼女は我がペンタゴンの実質的指導者である
『ネルソン・サーバー』
の一人娘であるということ。
間違っても謀略で彼女とやり合いたいとは思わない。
彼女を知る者の中には、
『彼女こそが四天王の真のリーダーではないか?』
とすら噂されていることを私は知っている。
『ネルソン・サーバー』
如何に、提督が入団した当時、ペンタゴンは各都市ごとに分裂し、組織としての統一性が無かったといっても、名門魔法使い一族のの出身で有りながら、組織に参加して僅か1年で組織を1本化しその実質的リーダーに収まった奇跡の人物。
そのネルソン提督の娘。
実力については疑ってはいなかったけど、こうして直に会ってみると格の違いが自覚させられる。
間違いない、この子は提督を越えている。
「初めましてぇ、謎の魔法使いミスPよ。
名前は言えないけど、その当たりは察してね。」
などとウインクをしつつ、挨拶をする彼女に
『謀略の魔女』
のイメージは無いのだけれど。
その後は彼女からこの場にいる説明があった。
二派に分かれた現政府の状況。
国を正常な状態にしたい王族派とこれまでの特権階級政治を続けたい長官派。
二つに分かれていると言っても未だ勢力は長官派の方が強く四天王の権力と王直属の四軍(まだ三軍しか掌握できてないそうだが。)の力でどうにか互角に持ち込んでいるということ。
そして今回の件、長官派からの諜報過程で情報を入手したものの下手に手を出せばどこから長官派に知られるともしれず。
知られれば諜報が難しくなる上にこういった事案が王族派のウィークポイントと思われ同種の事案を起こすことで王族派の行動の阻害を狙ってくる可能性が有る事から下手に手が出せないこと。などなど。
…有る程度予想できたのだけれど、やはり現在政府は大分揉めているみたいね。
王族派と長官派の抗争。
私達反政府組織にしてみれば、強大な敵が二つに分かれてくれるのだから有る程度の混乱は歓迎するところだけれど………。
そこでペンタゴンに潜らせている諜報員から(いるとは思っていたけどこうはっきりと言われると悔しいものがあるわねぇ~。)、弱者の保護を始めた変わり者のテロリスト(私の事ね)の話をきいて興味を持ち、ものは試しとペンタゴンに情報を流したと…。
フラン!しっかり国側の諜報に引っかかってるじゃないの。
…まぁ、あの子の事だから、判ってて引っかかったのだろうけど。
で、ふがいなくも私達が救出に失敗し、助けるべき子供達に被害が出た事から心配になり私達の事を見極めると供に確実に子供達を助けるために絶対に情報漏れのしないメンバーで救出に来たそうで。
………情けない、結局私達はこの人の手のひらで踊らされていた訳ね。
子供達を助けられず被害を出し、再度助けに来るも結局の所間に合わなかった。
どう考えてもよい印象を与えたとは思えない。
け・ど・ね、私達にも意地がある、そしてこの国を救いたいと思う信念もある。
どんなに、力が違っても只やられるわけにはいかないの!
「あの~、もしもし、何かすごく悲壮な表情してらっしゃるんですけど。
なにか勘違いしてらっしゃいませんか?」
・・・えっ!
「だからね、今回はあくまで子供達を確実に助けるために来ただけで、あなた達をどうこうしようなんて考えてないわよ。」
え、え、え~!!
ストン!
気づけば私は腰を落としていた。
・・・腰が抜けた。
「あ、あ、あ、あのねぇ!だったらそんな強烈なプレッシャー浴びせないでよ、絶対勘違いするでしょう!」
「え?私プレッシャー出してた?」
まぁ、そのあとお互いに話し合い、一応誤解は解けました。
けど、常時あんなプレッシャーを出していないといけないなんて国の中枢ってどんな魑魅魍魎の場所なの。
できれば近寄りたくないわね。
はぁ、こんな事でこの国を革命することなんて出来るのかしら。
『政府における庶民派』
『テロリストの中で弱者救済を訴える穏健派』
立場は180°違うものの、最終的に行き着くものは近いもの。
その上私は、他の組織員と違い魔法使いとも協力していきたいと思っている。
最も現在のペンタゴンでは口が裂けても言えませんが。
話し合う事でお互いの妥協点も見えてきました。
しかし、
「あなた自身、信頼できるし、血に飢えたテロリストで無い事も判りました。けれど、あなたが『ペンタゴン』で有るかぎり公式的には協力できないわ。
判るわね。」
とのお言葉。
確かに『ペンタゴン』は革命思想を唱えていても、やっている事は一般人を巻き込む事を厭わないテロ行為です。
私一人が弱者救済のため尽力しようと、世間は支持者を増やすための宣伝工作としか見られません。
ただ、この厳しい環境で反政府組織を維持していくには悲しい事に『追いつめれば何をするか判らない』という恐怖も必要なのです。
「それは私にペンタゴンを抜けろと言う事ですか。」
「そうは言わないわ。
今の状況では難しい事も判っているし。
ただ今後の可能性の一つとして考えておいてほしいの。
私としてもあなたが内部から組織を変えていってもらえるなら願ったり適ったりなんだから。」
結局の所、今後の状況次第と言う事ですか。
今の状況では組織を出ても裏切り者と認識されるだけで何も出来ません。
そう、組織を出るなら、現体制の象徴ネルソン提督が失敗をしてからでないと………。
「まあいいわ。
で、そろそろ私達戻るけど、保護した子供達まかせてい~い?」
「まぁ、もともと保護するつもりでしたのでかまいませんが、よろしいのですか?
私達テロリストですよ。」
「まぁね、その当たりに多少不安は残るけど、今の私達じゃあ、この子達、違う施設に行くだけになっちゃうの。
さすがにねぇ・・・かわいそうでしょ?」
「…
そうですね、この子達にはこれ以上辛い思いはして欲しくないですよね。
判りました私が責任を持って預からせていただきます。」
「有り難う、助かるわ。」
「けど、貸し1つですからね。」
そう言って私が微笑むと、彼女も苦笑を帰した。
「うまいわね。
けど、そう言うの嫌いじゃないわ。」
そして少し考えると
「…そうね、サービスよ。」
彼女はいきなり私の耳元に口を近づけた。
聞こえてきたのは幾つかの数字。
「私のプライベートナンバーよ。
何か有れば連絡をちょうだい。
けど、むやみに掛けちゃだめよ。わかっいていると思うけど一応敵同士だからね。」
そう言って彼女は踵を帰した。
「出入り口の所に怖いお姉さんがいるみたいだからこちらから帰るわ。
ミスA、ミスM、行くわよ。」
彼女は仲間の二人を誘うと自分達があけた壁の穴から飛び降りて行った。
ミスAと呼ばれた人がやけにペコペコ頭下げて行ったけど、………やけに丁寧な人ね。
そして、部屋には私達だけになった。
「気付かれていたか………。」
そう言って出入り口からフランが出てきた。
「ちょっと前に到着したんだけど、中の状況が戦っているようでもなかったから様子を見ていた。
尤もあの魔法使いがちょっとでもおかしな様子を見せたら飛びかかれるよう準備はしていたけどね。」
なるほど、彼女、姿の見えないフランの殺気を感じ取っていた訳か。
流石に四天王は伊達じゃ無いわね。
「で、どういう状況なの?これ??」
まぁ来たばかりのフランには状況が判らないか。
あのね、私はたったいままでこの国で一番おっかない人と話してたんだよ。
あっと、いけない!
「みんな、話は後々、今は子供達をつれてこの場を脱出するわよ。」
すっかり忘れていたけれど、ここ敵地のど真ん中だった、急いで逃げなきゃ。
そうして、私達の救出作戦は終わった。
あの後フランに状況を説明し、みんなで話を合わせ、子供達を保護施設に入れるとめまぐるしく忙しかったのだけど、どうにかこの状況を乗り切った。
公的にはあの売春宿は私達、『ペンタゴン』ウルザ隊の強襲を受けて壊滅した事になっている。
誰がしたのか知らないが(まぁあの黒魔女さんでしょうけど)見事な隠蔽工作です。
よって、あの場に魔法使いがいた事を知っているのはその場にいた私達だけ 。
今思い返してみても本当に現実にあった事なのかと思うほどショッキングな出来事だった。
今、わたしの手には一枚のメモが握られている。
そこには彼女から去り際に教えられたプライベートナンバー…。
間違いなく彼女がその場に居たというただ一つの証。
・
・
・
いずれこのナンバーを使うときが有るのだろうか。
今はまだ判らない。
ただ、彼女とだけは敵対したくないなぁ~。と思いつつ疲れた身体をベットに投げ出すのでした。
そう言えば、あの後やけにアベルトが嬉しそうにしていたけど・・・どうしたのかしら?
あとがき(というか謝罪)
今回の作品にでるウルザの性格について絶対に
「ウルザはこんな娘じゃない。」
とのご感想をいただくと思いますが・・・・・・すみません!ムラゲの趣味です。
言い訳を言うなら原作のペンタゴン時代のウルザさんて完璧すぎてつまんない気がするんですよね。それに文章にしても私の文章能力ではつまらなくなってしまいましたし。
と言うわけで、表向きは頼れるリーダーに見えて内面ではいつも怖くてどきどきしているが持ち前の優しさと責任感から前に進んでいくけなげな子と言う感じにしました。
みなさまのウルザさんを汚してしまってすみません。なにとぞ寛大な気持ちで許していただけると幸いです。