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No.11872の一覧
[0] 【習作】アニスの冒険(現実→ランスTS転生)[ムラゲ](2010/01/20 00:04)
[1] 第一話  なんでエロゲ・・・[ムラゲ](2009/10/24 16:02)
[2] 第二話  やっぱり誰かの陰謀のような・・・[ムラゲ](2012/03/29 00:30)
[3] 第三話  千鶴子の思い[ムラゲ](2009/10/24 16:08)
[4] 第四話  学園編と思いきや・・・[ムラゲ](2009/09/18 23:05)
[5] 第五話  征伐のミト参上です。[ムラゲ](2009/09/18 23:06)
[6] 第六話  ガンジーの思い[ムラゲ](2012/03/29 00:31)
[7] 第7話  歴史を変えるのです。[ムラゲ](2012/03/29 00:34)
[8] 第8話  アニスの長い夜です。[ムラゲ](2012/03/29 00:37)
[9] 第九話  友と呼んでくれた人のために[ムラゲ](2012/03/29 00:41)
[10] 第10話 パパイアの思い[ムラゲ](2012/03/29 00:43)
[11] 第11話 悪役登場![ムラゲ](2012/03/29 00:47)
[12] 第12話 最強と最恐(少し百合的描写があります。)[ムラゲ](2012/03/29 00:48)
[13] 第13話 ハードボイルドな師匠、その名はケビン![ムラゲ](2012/03/29 00:53)
[14] 第14話  アリスちゃん参上!~私が女になった訳~[ムラゲ](2012/03/29 00:58)
[15] 第15話 笑っているからって嬉しい訳ではないのです。[ムラゲ](2012/03/29 01:00)
[16] 第16話  長官とペンタゴンと工作員[ムラゲ](2012/03/29 01:07)
[17] 第17話  天使達の巣をつぶせ![ムラゲ](2012/03/29 01:14)
[18] 第18話  ファーストコンタクト[ムラゲ](2012/03/29 01:18)
[19] 第19話  でたな変態!   ~ストーカーのススメ~[ムラゲ](2012/03/29 01:19)
[20] 第20話   失ったもの[ムラゲ](2011/09/28 01:52)
[21] 第21話   騒動終わって・・・何も解決していない?[ムラゲ](2012/03/29 01:23)
[22] 第22話   仲間との出会い・・・話的に最後に出るのがふつうでは?[ムラゲ](2012/03/29 00:24)
[23] 第23話   まずは進みましょう。[ムラゲ](2012/10/20 01:01)
[24] 第24話   みんなが主人公![ムラゲ](2012/10/20 01:00)
[25] 第25話   ヘルマンでの情報[ムラゲ](2012/12/18 20:17)
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[11872] 第16話  長官とペンタゴンと工作員
Name: ムラゲ◆a283121b ID:a7d82135 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/03/29 01:07
第16話  長官とペンタゴンと工作員



こんにちは、アニスです。


前回、神様からいろいろ今後のためのお話をいただきました。
確かにその内容は衝撃的でしたけど、それ以上に気にかかることがあります。

最後に見せた、あのアリスちゃんの笑顔………。


なによりも人間が好きで、その人間を助けるためには、別の人間に頼るしかなく、その別の人間を傷つけてしまう。
更に成功のためその別の人間に犠牲になることが確実の呪文を渡さなければいけない。
………人を助けるために人に犠牲になってくれという矛盾。
きっと自身を引き裂かれるような思いなのではないでしょうか?

あの泣きそうに見えた笑顔が忘れられません。



………複雑です。





え~と、アニスちゃんが何か鬱々とふさぎ込んじゃったので、今回は私、パパイア・サーバが進行を務めさせていただきます。


えっと、時代は元に戻りますよ!!





◇◇◇◇



「なんか、納得できないのよねぇ。」

そうぼやいたのは最近、私の部屋(跳躍の塔)によく遊びに来るようになったマジックちゃん。

何でも始めは千鶴子の所に魔法を習いに行ったそうなんだけど、私用でいるのが居づらくなってこっちにきたとか。

たぶん現在、千鶴子はゼスでもっとも忙しい人間だからね、そりゃあ居にくいわよ。

なんせ、これまで旧四天王達が手を抜いていた四天王本来の業務の過去と現在分が一気にきている上に長官達との政治的攻防、新たにこちら側についたナギの教育などなど、考えただけでも頭が痛くなる状況。

もっとも、実際に3日で限界がきて、あの千鶴子が王に泣きついたんだから、どれだけとんでもない仕事量かがよくわかる。
今ではやっと応援が来て、応援に呼ばれたクインシー家やスケート家の事務方の人間が総掛かりで処理してる。

…まぁ、それでも業務がパンクしそうになったらしいけど。
その後、更に一人の増援が来たことで状況が変わった。
なんでも王とアニスから推薦された中年男性らしい。
名前は……なんだっけ?
まぁいいわ、何でもあの情報魔法を使える千鶴子と互角の事務能力を持っているとか。
ただ残念なことに魔法使いじゃないためこれまで表舞台にでれず、実力にあった地位に就けなかったそうだ。


………魔法使いじゃないのに情報魔法を使ってる千鶴子と互角ってどんな化け物よ、一度会ってみたいわね。



千鶴子曰く、

「現在は過去の借金を整理している状態、これを何とかしないと改革なんて夢のまた夢。」

だそうだ。

千鶴子ご苦労様。



もっとも私だって遊んでいる訳じゃない。

クインシー家やスケート家から来る情報の整理や対策をたてる情報部の様な仕事や、過去や現在進行中の魔法研究や実験の確認、なにより貴族達の窓口も私がしている。

説明しなくてもわかると思うが、どんなに長官派の貴族達と反目しているとはいえ実際の所領地を管理しているのは貴族だ、円滑に国内を治めるためにはどうしても貴族達からの情報提供や協力がいる。
そのためには、お互いの利害をすりあわせるための折衝役が必要になるの、その役目を現在私が任されている。

なぜ私かという理由については簡単。
たしかに同じ四天王なら役職的に誰でもかまわないのだけど、悲しいかな目の前のマジックちゃんはまだ『11歳』で応用学校にすら入学していない。
何でも王族には12歳から入学して4年間きっちり学校で勉強することが義務づけられているそうな。

………面倒なしきたりよね。
そんな一人前と認められていない人物は、お飾りの名誉職ならともかく流石に実務は………ということ。
だから本格的に実務をするならせめて学校に入学してもらわないといけない。

………ふぅ、あと1年か。


ナギについてはいわずともわかるだろう、これまで魔法しか勉強せず、一般常識や教養が存在しない危険人物に政務は任せられる訳がない。
ケンカになっちゃうわよ。
千鶴子の教育次第だけど、やっぱり実務を任せるには1,2年はかかりそうね。




「………で、マジックちゃんは何が納得いかないのかな?」

確か前回は、『千鶴子VSチェネザリ』の戦いについてだったわね。
千鶴子が、ああもあっさり勝負に勝ったことが納得いかなかったようで、しつこく聞いてきたっけ。

まぁ、確かに正面からの戦いならもっと手間がかかったでしょうし、事実としてチェネザリの実力は当時の千鶴子よりわずかに上だった。
しかし勝ったのは千鶴子だ、しかも見た目には圧倒的に。

あの勝負は始まる前から千鶴子の書いたストーリーの通り進んだ。
そう、千鶴子の強さは魔法じゃなくどんな相手に対しても勝利する方法を組み立てられるところなのだから。
ただ、これを他人に納得させるのって、すっごく難しい。
人間をそう簡単に誘導できるはずはないし、そのときの気分でどう行動するか分からない。
これって他人からみれば、一つ間違えばすぐにほころびができてしまうギャンブルみたいに見えるのよね。
事実、これをマジックちゃんに納得させるのにずいぶん掛かった。
最後には黒板まで持ち出して千鶴子の行動一つ一つを説明することになったわ。
……さすがにもう、勘弁してほしいわね。



「そう、構えないでよ、今回は単なる愚痴だから。」

「愚痴?」

「そうよ、愚痴。
 同じ四天王なのに全く私には何もやることがないの!」

「ああ、そのこと………。」

「わかってるわよ!
 まだ11歳の応用学校すら入学していない子供に政務は任せられないなんて。
 そんなことで駄々をこねるほど物わかりは悪くないわ。
 けどね、お父様も、千鶴子もパパイアもみんなこの国を変えるために頑張ってるのに私はどんなに急いでもあと2年は手伝えないのよ。
 誰よ、王族は12歳から入学し4年間学校生活をおくれなんて決まりを決めたのは。」

なるほど、なまじ大人並の知能を持ってるせいで、みんなが頑張っているこの時期に、何もできない自分が歯がゆくてしかたないと言う訳ね。

しかし、こればっかりはあきらめてもらうしかない。

四天王なんて大層な肩書きを持っているせいで、千鶴子の所の事務の達人のおじさまみたいに裏方で頑張ってもらうこともできないし………2年したら今の言葉を後悔するくらい仕事をおしつけてやる。

もっとも、私にしてみればこうやってマジックちゃんと話したり、魔法を教えたりする時間はこの忙しい中でのいい気分転換になるし、結構重宝してるのだけど。



そんな事を考えつつ、マジックちゃんの愚痴を聞いていると、ノックが聞こえた。

「ど~ぞ~。」

「失礼します。
 パパイア様、お茶のお代わりはいかがでしょうか?」

「あー、ありがとう。お願いできる。」

「はい、わかりました。」

入ってきたのはにんじん色の髪で眼鏡をかけた女の子。
最近、私の助手として採用した子だ。

「そういえばマジックちゃん、この子とは初対面だったわね。
 この子は、『キャロット・シャーリー』、最近私の助手として採用した子よ。」

「よろしくお願いします。」

「………よろしく。
 ねぇ、パパイア。私この子見たことないんだけど、やっぱりクインシーかスケート家の者なの?」

「ううん、違うわ。
 この子は私がスカウトしたの、まだ学生よ。」

現在、私たちは人材の確保に力を入れている。
理由は簡単、今までの職員達は、みんながみんな長官派と言うわけではないけれど、何らかの利益または義理で長官派とつながっている可能性が高い。
そんな人材を私達の直属にすると一々スパイを気にして仕事をしなければいけなくなり非常に効率が悪い。
さらに、そういうスパイを警戒するクインシー、スケート両家の人材を自分達がメインで使っているのだから現在なかなか危険な人材難の悪循環にはまっている。
人材を確保するにしてもまず長官派の手が伸びている可能性を考えなければいけないため、一般事務ならともかく直属には下手に今いる公務員達は使えない。
よって、人材確保は一般企業や学生の引き抜きがメインとなる。
これがなかなかの手間なのよねぇ。

私は運良くキャロットちゃんを発掘できたし、更にキャロットちゃんの紹介で何人か人材を確保できたので運がよかったといえる。
千鶴子なんか、あからさまに長官達に人材確保を邪魔されて、キれる一歩手前だから。

………そのうち謎の長官襲撃事件が起こるんじゃないかしら。


「マジックちゃんも、来年から学生なんだし、いい機会だから友達作りなさいよ。
 将来きっと心の支えになるから。」

「わ、わかってるわよ、そんなこと…。」

ちょっと顔を赤くしてうつむきながら返事をするマジックちゃん。

……かわいい。

まぁ私達自身、年も近いし友達といえば友達なんだろうけど、やっぱり学校での友達は見つけてほしい。
将来、自分のブレイン候補という意味だけでなく、心の支えとして。

…私はそれで救われたのだから。

けどね~、むずかしいかなぁ、マジックちゃん。
………なんて言ったっけ?
アニスから教えてもらった言葉で、
………ツンドロ?ツンデデ?
あ!…『ツンデレ』だから。




そんな世間話をしていると、また新たな来訪者が………。

「パ~パ~イ~ア~さ~ん!!」

泣きながらやってきたのはアニスだ。

「ナギちゃんが、ナギちゃんが~……。」

「はいはい、わかったから、泣かない泣かない。」

考えてみればこの子もおかしな子だ、この前無理矢理襲ったのに(最後の一線は必死で抵抗されたけど)次の日から、けろっとした様子で以前と変わらない様子で接してくる。
………そこで壊れるような薄っぺらい付き合いじゃ無かった、と言う事かしらね。
まぁ、私もそこのところが分かってて押し倒したんだけど。

そうそう、あの一見で自覚したのだけど、どうも私は性的欲求について、同性、異性に関わらずノリと快楽に弱いところがあるらしい。
とはいえ、私の相手に対して求める要求レベルはかなり高いようで、寝てもいいかなと思える人間は今のところいない。

アニスはどちらかというと襲いたい方だし、
………リバもいいかも。

千鶴子はどちらかというと友達だからあまりそっちの欲求はない。

…もっとも一緒にアニスを襲うならノリで一緒に食べてしまうかもしれないけどね。


あれ以降、私達の付き合いは変わっていない。
忙しい千鶴子に、その千鶴子を独占したくてアニスに対して敵対心をぶつけてくるナギ。
で、ナギに千鶴子を独占されて私に泣きついてくるアニス。
それを慰める私。
最近パターン化されてきたような……。





アニスも慰めて、一段落したところで私は以前から相談しようと思っていたことを話すことにした。
なにか仕事をしたくて仕方がないマジックちゃんがいるのもいいタイミングかもしれない。


「みんな、ラドン教育長官は知ってる?」

「え?むろん知ってるわよ。
 長官派、ああ、今では守旧派か、その中心の1人よね。」

「確かガチガチの魔法使い至上主義者で、自分の城で奴隷達を戦わせて喜んでいると噂されている方でしたよね。」

まぁ、普通の感覚ならこんなものか、私もそのあたりは否定しない。

しかし、最近私はこの人物は他の長官たちに比べてもっと深い人物では無いかと思っている。
現在私はこちらの陣営(王様派)で情報長官みたいな事をやっている。
そのことから、長官たちの弱みを握るため色々と情報を集めていたのだが、その情報からまとめてみると、この人物は他の長官たちに比べて遙かにマシではないかと思いだした。


まず、人間についてだが、本人は魔法使い至上主義を唱えながら魔法の才能は著しく乏しい。
魔力、魔法量ともにそこら辺の学生並みだ。
普通の貴族ならそこであきらめて、護衛を雇うなりして自分の実力不足を補う。
しかし、彼は才能が無いなら無いなりの戦い方を考えた。

実戦レベルで『スリープ』を使えるって、どれだけ努力したのこの人は!

魔法『スリープ』、この魔法は使用魔法量も少なく、魔力もさほど必要ないため初歩の技として知られている。
しかし、同レベルの魔法に比べて魔力構成が難しく発動時間も掛かるためまず実戦で使うものはいない。
はっきり言ってうちの四将軍クラスの技術がないと実戦レベルには使えない。
私がラドン長官に興味を持ったのはこのことからだった。

その後、更なる調査で色々なことが分かり、結果、他の長官達に比べて遙かにマシとの思いを深めた。

まずは家族愛、彼にはエミという一人娘がいるが彼の娘に対する愛情は本物だ。娘のためならば政敵の千鶴子に頭を下げてでも力を借りることを厭わないだろう。
これは親として普通に見えるかもしれないが実はゼスの貴族では当てはまらない。
ナギの親は極端な例としても、私も千鶴子も親の愛情はかなり薄かったし、他の長官たちにしてみても政治のための道具としてしか考えてないのはよくわかる。
もっとも、ラドン長官の溺愛のために娘の方はかなりわがままに育ってしまったようだけど。

次に注目したのは、あのムシ使い達に対する大虐殺を起こした1人にも関わらず彼の家にはムシ使いがいまだ雇われていると言うことだった。
これについてはかなり驚いた。
あの大虐殺の時、都市部で働いていたムシ使い達は脱出できた極一部を除いて皆殺された。むろん大貴族に使えていたもの達も。
助けた理由は『娘が懐いていたから』らしいが実に解せない。
このことは他の長官達に裏切り者呼ばわりされる恐れもあるし、何より自分はムシ使い達を殺した原因なのだ、あの用心深い男が復讐の対象になる可能性を考えなかったとは思えないから。
この事について、この男の心理状態は未だ不明のままだ。

そしてラドン長官の持つ『奴隷観察場』についても幾つか分かった。
まず、ここには購入した奴隷、または魔法使いに刃を向けたような直接な意味での犯罪者しか入っていない。
無実の罪や疑い、騙されて入ってきたものはいないと言うことだ。
さらにその中でも女子供など戦いに向いていないものは入れていない。
これは良心なのか自分ルールなのかは分からないがそのあたりは一環している。
また、この奴隷観察場にしても一般的には奴隷達が死んでいくところを眺める娯楽施設と言われているが、その割には奴隷達にご飯も武器も支給し、安全に眠れる場所も作っている。
しかも、ここで一定以上の成績を収め、国に忠誠を誓うなら正規軍の奴隷兵として雇っている。

以上のことから私はラドン長官は『まだまし』と判断した。

まだ噂だが2級市民を騙して犯罪を犯させ、それを捕まえていじめ殺したり、罪のない人間を無差別に殺して喜んでいるものもいると言う。
…………近いうちに警察局なんとかしなきゃ。



なんてことを二人に説明した後、更にもう一つ話題を振った。


「で、話は変わるけど、長官派ともう一つ私達に問題があることは知ってるわね。」

「ペンタゴンね……。」

「そう、マジックちゃんの言うとおり、ペンタゴン。
 現在、私達王様派はこの二つに対して工作を実行するため工作員を潜入させているわ。
 長官派には情報収集と情報撹乱がメインね。
 そしてペンタゴンには情報収集だけじゃなくて、アニスの発案で組織を2つに割る工作もしているの。」

「ちょっ、そんなことできるの!?」

この事についてはむろんトップシークレットだ。王と私達そして現役の3将軍しか知らない。
長官達に対しての工作員は以前から潜入しているクインシー家の者が使えた。
だが、ペンタゴンについてはかなり苦労した。
はっきり言ってペンタゴンはテロリストだ、そのテロリストに対して情報収集だけでは常に後手に回るし、下手にくい止めると情報を流した工作員に危険が及ぶ。
そこで考えたのが、その工作員を目立たない様にするのではなく逆にそれなりの立場につければどうかと考えた。

しかし口で言うほど簡単ではない。
組織でのし上がると言うことは実績を上げると言うことになる。
そう、味方であったものを状況によっては殺さなければならないと言うことだ。
大抵の潜入工作員はここでためらったり精神に傷を負って失敗する。
しかも組織で上につくにはそれなりのカリスマも必要だ。

そんな都合のよい人材が………いた。


『フランドール・スカー(女性)』

炎の将軍、サイアス・クラウンの副官だ。
魔法Lv2、剣戦闘Lv2を持ち、忠誠心人格ともに文句なし。
しかもずっと軍務でアダム砦に配属されていたため、中央に顔見知りが少なく、少し顔を変えただけでまず味方からもばれる事はない。
以前、サイアス将軍を四天王に入れて彼女を将軍につけようかとの話も出たくらいの実力者だ。
彼女を工作員にするのは人材の無駄遣いだ、との意見も出たが結局、彼女以外に任せられるものがいないと判断され、彼女はその任務に就いた。
サイアス将軍はかなり渋っていたけどね。

その後、彼女は自身の有能さを示すように、私達に情報をリークしつつも組織内での地位をあげている。
なにより、ときどきサイアス将軍の元に戻ってきては今の副官が対処できていない案件の処理をしたりするスーパー有能っぷりを見せているのは純粋にすごいと思う。

あれは、サイアス将軍に気があると見たけど、……どうだろう?

ちなみに、それを聞いて仕事に押しつぶされそうな千鶴子が副官に欲しがっている事は蛇足である。



「へぇ~、そんな人が居たんだ。」

「分かってると思うけど、第一級の極秘事項だからね。
 どんなに信頼できる友達ができても喋っちゃだめよ。」

「わかってるわよ、そんなこと。
 ……そういえばアニス、あなたはその人の事は知ってるの?」

「はい、以前に2,3回。
 元々ペンタゴンを過激派と穏健派の2つに分けるという案は私が出したものでしたので無理言って会わせていただきました。」

「この作戦自体、私達が四天王になる以前からのものだから、四天王になってからのメンバーで知っているのはあなただけよ。
 ちなみに彼女、ペンタゴンでは『フランチェスカ』と名乗っているわ、覚えておいてね。」


さて、前置きが長くなってしまったが、これからがいよいよ話の本番だ。




ラドン長官とペンタゴン、今回の話はこの2つの情報から始まった。


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