誰が予想しただろう。
誰もが逆の考えをしていた。
ただ一人を除いて。
第三話 瞬間回復?それなんてチート?
side????
完全に入った。あの某弟子ですらまともに受ければ危険だったあの一撃を。
しかし何故この技を使ったか。
それは瞬間回復。
それを知っているものからすればこの位しなければまともにダメージを与えられない事くらいわかる筈だ。
本編では地震が起こるほどの連撃をくらっても一瞬で回復するというチートな技である。
そんな相手にダメージを与えるならこのくらいは当たり前だろう。初日から遅刻はしたくないし。
しかしギャラリーから視線を感じる。
ま、百代が飛ばされたと知れば米国もビックリなことなわけだし。(火柱も、なんだMOMOYOか。で片付ける国だし)
ああ、お面付けといてよかった。転校初日からこれじゃ友達作れないし。
ちなみにお面は某長老を意識してみた。…何か毒された気になった。
しかし反応無いけど大丈夫か?いまさら心配になってきたけど。さすがに達人級の一撃は回復できないか。
そう思い飛ばされた方向に足を進めようとするととんでもない量の気に襲われた。
"気当たり"。それこそ並の人間のそれを越える気は回りの観客を襲い次々に押し倒していく。(幸い何故か全員意識を失っていない)
其処には傷などもとより無かったかのように武神が立っていた。
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百代side
いつ以来だろう。こんな気持ちになったのは。
世界の狭さに絶望する前からだろうか。
チャンピオンが私の攻撃を一撃も受けられず倒れていく姿を見る前だろうか。
私は仲間達と遊ぶ以外、最近では楽しいと思った事が無かった。
格下との戦い。それが世界クラスと聞いて世界の狭さに絶望したはずだった。
ならば今、目の前にいるのは?
どこから来たかは知らない。しかし日本人ならそう遠い距離でもないだろう。
ああ、そうか。笑える話だ。
世界が狭いわけではなかったのだ。
世界は限りなく広かったのだ。
この男の存在が教えてくれる。少なくともこいつの師匠もこいつレベルのはずなのだから。
「くっ……くっくっく……ははははっ!!!」
「――――――何がおかしい?」
「だってそうだろ?私は世界の狭さに絶望していたんだぞ。それが日本にまだこんな使い手がいたなんて。」
「これがおかしくないわけ無いだろう?」
男は少し驚いたように
「…そうか。なら続きを始めますか!」
私の待ち望んだ言葉を続ける。
「!!ああ。勿論だ。」
世界の前にこの男との戦いを楽しむ事にしよう。
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side????
ああ、やばいよな。
どれくらいやばいかって?いきなりフカヒレが食べたい!!って師匠に鮫を狩りに行かされたときよりもやばい。
一応、言って置こう。
雷声は秘法です。一撃必殺です。
それをまともに受けて何あれ?
さっきよりも強そうなんですけど?
……やっぱり、一瞬で意識を駆らなきゃ無理かな?
だけど当身意味ないし。というか奥義より下のレベル届きそう無いし。
さっきの一撃も油断してなきゃ避けられただろうし。
しかしこれが、望んだ結果だ。ならば戦ってみようではないか。
「さて、時間もないし感謝もこめてこの一撃で終わりにしようか。」
なんて声をかけられる。
ってまだ奥の手も出してないのに。
「化剄だよな?さっきの技。凄まじい"功夫"だったぞ。」
「はぁ、ありがとうございます。」
「しかし、いかに化剄といえども受け流せない威力で攻撃すれば破れる。」
って一応練度的に達人級の技を簡単に破れるとか言うなよ。いくら何でも無理があるだろう。
「安心しろ。治療は家で面倒見てやる。金は心配しなくて良いぞ。」
あ、少しカチンと来た。
「もしかして、自分が負けるとか思っていませんか?」
「いや、ぜんぜん。」
まさに即答。何当たり前の事聞いてるの?みたいな顔してやがる。
「ああ、遅刻したくなかったけど、もういいや。」
「?お前、学生だったのか?」
「ああ、皆勤賞目指すつもりだったけど、もうどうでもいいや。」
そして構えを解く。
「まさか、私に勝つつもりか?」
「ああ、お前に敗北というものを教えてやるよ。」
その瞬間、二つの影が交差する。
そして武神と後に無敵超人と呼ばれる男との本当の戦いが始まった。
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「はぁぁぁぁ!!!」
刹那に繰り出される二十を超える連撃。
「ふっ!!」
そしてそれらを全て受け流していく。
「そろそらそらそら~~~」
先の攻撃を上回る回数の攻撃。しかしそれでも一撃を与える事はできない。
「思った以上にやるじゃないか。ここまでやるとは思わなかったぞ。」
「伊達に鍛えていないからな。しかし反撃させてくれないのか?」
「さすがに二度もあれをくらいたくないからな。」
どうやら先の一撃ダメージこそ残らなかったが相当な衝撃を与えていたようだ。
「しかしそろそろ破るとするか。」
ちょっとコンビニ行ってくる、みたいなのりで言われた言葉に、
「ならば、やぶってみせろ!!」
と挑発で返す。
「ははははっ。やはりお前は面白いな。」
その言葉と同時に攻撃が始まる。
先ほどと同じ連撃。しかし、
(威力が段違いだ!)
先ほどとは違い、拳圧すらも凶器のレベルに達している。
徐々にだが捌いていた攻撃が体に掠りはじめる。
「そろそろ締めだ。…本当に楽しかったぞ。」
そう言って距離をとる。
まずい。これが最初に言っていた奴の切り札だ。
構えを太極拳から空手に代える。
「川神流! 無双正拳突きぃぃぃっ!!」
百代の渾身の一撃。まさに必殺の一撃に。
「前羽の構えから十字受け!!」
必勝の防御に切り替える。
「!!前羽の構えだと!!何故その構えが出来る!?」
鉄壁の防御とされる前羽の構え。そして全ての力を受けに集中させる十字受け。
どちらも空手の技であり、太極拳、まして中国拳法ですらない。
「まさか、これを使わされるなんて。さすがは武神。ここからは梁山泊の技を使わせてもらうぞ!!」
その言葉に男からの気が静かになる。
唯でさえ、謎の強さを持っていた男は更なる力を隠していた。
百代にまた笑みが浮かぶ。
「面白い!!来い!!倒してくれる!!」
逆に気を高め対抗する百代。
最後の戦いが始まる。観客は見逃すまいと二人を見守る。
この二人の戦いは神以外に防ぐ事はできまい。
そんな雰囲気に詰まられる。
「いくぞ!」
「応!」
その言葉と同時に両者が空に駆け出す。
二人が激突するであろうその瞬間、
「顕現の三・毘沙門天!!」
突如現れた巨人による不可避の鉄槌により二人は地面に叩きつけられた。
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これで連続投稿も終わりにします。たくさんの感想ありがとうございました。続きは気が向いたら書きたいと思います。あと感想と一緒に主人公のクラスを書いていただけるととても参考になると思います。(できれば誰ルートかも)。
息抜きの投稿でしたが時間があれば続きを書いていくんでよろしくお願いします
2009/9/14