元々の構想と変えたので新変装は出しませんでした。申し訳ありません。表現についてのご指摘も出来たらお願いします。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
授業が終わり、生徒達は帰宅を始める。
変わらぬ日常。
そのはずであった。
しかし、日常には無い光景があった。
百代に連れ去られる謙一の姿である。
しかし、それだけならば変わらぬ日常が続くはずだった。
これがもしも、今の百代ではなく、4月の百代ならば。
もしかすると、日常は続いたのかもしれない。
だが、今の百代は誰よりも闘いに餓えていた。
そして、変わらぬ筈の日常が突然と変わり始める。
それに気づく可能性がある者はこの世界にはいない…………………
第二十話 終わりを告げる日常!前編!俺がお前を止めてやる!
放課後、クラスから逃げ出そうとする俺を、裏切った風間ファミリーが捕まえに来た。
いや、元々あいつらは百代の仲間だから裏切ったにはならないか。
しかし、あいつらに捕まるはずがないと遊んでしまったのが運のつき。
大和の策か、気づけば校庭に誘導させられていた俺は其処に待ち伏せていた、百代に捕まってしまう。
そして、そのまま引きずられるように、川神院に連れて行かれる。
この時、逃げ出さなかったことを俺は良かったと思う。
川神院についた俺は、一応道着に着替えた。
梁山泊の弟子の道着だ。
因みに、最強の弟子の格好ではないため鎖帷子は着てはいない。
この格好は我流Xのときにしていた為、時が来るまで封印するつもりだった。
しかし、今回は我流Xとばれても、この格好をしなければいけない。
そんな気がした。
「西方 川神百代!」
色々と考え事をしているうちに学園長(鉄心)が開始の準備を始めている。
この場にいるのは風間ファミリーとルー先生と学園長、そして俺。
後は百代と対戦相手のカラカル兄弟ぐらいだ。
既に夕日が沈めかけている。
「東方、カラカル=ゲイル!」
「オーケー!」
ゲイルは百代の実力を測れないのか、余裕そうに返事をする。
さっきから、いやな予感がする。
何かは分からない。
しかし、それは起こる、起こらないに関係なく、危険な予感がした。
そう、まるで、
前世の最後のときのように…………
「いざ尋常に!!!はじめいっっっ!!!」
その言葉とともに百代に攻撃を放つゲイル。
流石に百代に挑むだけ会ってその攻撃は、常人の域を超えている。
そう、常人の域をだ。
達人の域には達していない。
故に、その一撃はあっさりと避けられてしまう。
「あれ?」
あっさりとかわされた事に戸惑うゲイル。
その腹部に、
「はぁぁっ!!」
疾風のごとき一撃が突き刺さる。
「ぎゃああーッ。」
しかし、その一撃を声を上げつつ耐えたゲイル。
耐えた?
否、耐えられる攻撃をされたのだ。
もしも百代が本気なら、閃光のごとき一撃がゲイルを一撃で倒しただろう。
つまり手加減をされたのだ。
何故?
それは、久しぶりの闘いを楽しむために…
しかし、加減したはずの一撃でゲイルはギリギリの状態であった。
意識も半分は無い。
それでも立っているところは、さすがだ。
しかし、百代は加減した一撃で、ふらふらのゲイルに落胆の表情を隠していない。
そして、既に次の闘い、風林寺謙一との決戦の事しか考えていなかった。
故に、とどめの一撃を放つ。
その時になって、百代の様子に気づいた鉄心が止めに入ろうとする。
しかし、何の準備もなしに止める事はできなかった。
加減など無い一撃は、ゲイルを襲う。
その一撃には何のためらいも無かった。
その一撃は当たり前のように、
ゲイルの命を奪う。
「覇ぁぁぁ!!」
お互いの拳がぶつかる。
この場にこの男がいなければ……
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
そして、ゲイルはばたりと音を立て倒れ落ちる。
「に、兄さん!」
あわてて、弟のカラカル=ゲイツが助けに入る。
「…それまで。勝者、川神百代。」
鉄心が告げる。
しかし、その目は、百代を見たままだ。
「……百代、今何をしようとした?」
その言葉には、どんな思いが込められていたのか。
しかし、その思いは、
「別に、止めをさそうとしただけだ…」
その言葉の前にとどかなかった。
「しかし、謙一。決闘の邪魔をするなんて悪い奴だなぁ?」
その言葉とは裏腹に気にはしていないといった感じの表情をしている。
「まあ、良いさ。お前と闘えるんだったら…」
それらは全て、今から始まる戦いを楽しみにしているが故に、
その為には、関係のない事だから気にしていないに過ぎなかった。
「……なあ、お前がこんな風になったのは俺の責任か?」
「さあ、どうだろう?お前がいなくてもこんな風になったかもしれないし、ならなかったかもしれない。」
百代はそう答える。
…まだ、相手を○していない為に、今は闇の世界と普通の世界の間にいるようだ。
自分が前とは違うようになっていると分かる程度に、まだ落ちてはいない。
「…そうか。ならばお前に、闘いに対する飢えを与えた以上、その責任を取って、お前の餓えを癒してやろう!!」
「ハハハ!!!そうだな。もしもお前が勝てば餓えも無くなるかもな。
勝てればな!!!!」
そうして、此処に止める事ができない、戦いが始まった。
もしもこの場でこの戦いを止めればいずれ道を踏み外す。
故にこの戦いを止める事ができない、鉄心たち。
どうしてこんなことになったのか分からない風間ファミリー。
達人同士の闘い。
今、始まる。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
鉄心side
あの時、わしはしまったと思った。
まさか、百代がこんなにも早く、道を踏み外しかけるとは…
釈迦堂がいなくなり、百代のことを理解しようとする者がいなくなって、百代は危険な気をまとうようになった。
しかし、それでも仲間達がいる限り道を踏み外す事は無いと思っていた。
それだけ、百代にとってあの子達は大事だったのだ。
しかし、4月のあの勝負。
二本ともわしが治めてしまったが、あの時から何かが狂い始めていたのかもしれん。
もしも、あの時、そのまま闘わせていれば…
今となっては意味の無い事よ。
しかし、風林寺に出稽古みたいに川神院で百代の相手をしてもらっていれば…
…結局、わしは怖かったのかもしれん。
あの二人を闘わせる事が、
どんな形にせよ、百代と彼を闘わせていれば、共に修行するような間柄になれた可能性もあったのに…
二人は疾風のごとき速さで闘っている。
此処まできたら彼が止めてくれる事を祈るしかない。
孫娘を頼む。
鉄心は目の前の青年に全てを託すしかなかった…
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
お互いの拳がぶつかり合う。
その威力は一撃一撃が先のゲイルとのそれよりも遥かに早い。
「っく、絶対に殺人拳になどさせないぞ!!」
昔、ある事がきっかけで、道を踏み外しそうになったことがあった。
しかし、そのときの自分には道を正してくれる人がいた。
故に、今度は、俺がそれを間違っているといって、百代の道を正してやらなければ。
その思いゆえに俺は負けられない。
全力を持って!!百代を倒す。
「はあーー!!」
百代の懐に拳を入れる。
しかし、
「甘いぞ!!」
それは百代の拳に止められる。
「かかったな!!」
そのままの状態で、
「岬越寺無限生成回帰!」
百代を投げ飛ばそうとする。
しかし、
「その技は前に見た!!」
驚異的な反応スピードで投げる寸前で外される。
っち、一回受けただけでこれをかわすか!!
「今度はこっちから行くぞ!!」
そして始まる怒涛の攻撃。
一つ一つが必殺の威力を秘めている。
それを最低限の動きで、捌き、避け、かわしていく。
しかし、最後の一撃。
此処に来て今までで一番早いそれをかわす事はできなかった。
「ゲフッ!」
あまりの威力に少しばかり血を吐き出す。
「はあはあ…」
まさか、これほどとは、
一回で奥義を見切るとは…
ある程度、呼吸も読まれ始めている。
…少しやばいな。
「……その程度か?その程度で私を止めるだと?」
百代があきれた風に言う。
「ははは、まさか此処まで強いと思っていなかったからな…」
そろそろ、手札を切らなければいけないか。
「終わりって言うわけではないだろ?」
「勿論!」
構えを代える。
今までのそれとは違う。
かかとを少し上げ、手も上に構えたそれは、
「ほう、ダン・ガード・ムエイか。確かムエタイだったか?それは。」
「さすがだ。知っていたのか。」
「勿論。世界中のほとんどの武術とやったからな。」
…意表をつくのは難しいか…
「私がやった相手には強い奴などいなかったが、期待して良いのか?」
「さあ、それは自分で判断してみろ。」
第二ラウンド始めだ!!!
「テッ・ラーン!」
強力なローキックが炸裂する。
今までの攻撃がほとんど手業だっただけに百代はそれをまともに食らう。
「ぐっ!」
すぐに回復するが、後退する。
今までとは違い、手業、足技と切り替えつつ攻撃する。
「ちっ。」
勢いに押され後退する百代。
百代が後退する中、此処で決めなければと思った。
持久戦になれば、こちらが不利になる。
ならば一撃で止めを刺すしかない。
いかに、瞬間回復といえど、
内部と外部、両方を同時に破壊するこれを受ければ……
ムエタイのリズムに慣れてきた百代が反撃を始める。
この瞬間を待っていたのだ!
その瞬間、俺は構えを解き両腕を脱力する。
「真・呼吸投げ!!」
危機回避反射能力によって体を崩すように誘導させる。
実際には手を動かさずに、体を崩す究極奥義だ。
「ちっ、何だこれは。」
手を使わずに投げられているのだ。
流石の百代もこれを見切るのは難しいようだ。
百代が驚いているうちに、柔術から中国拳法に切り替える。
ムエタイ、柔術、中国拳法。まったく違うそれを合わせる。いうなれば三極の術?
「くっ!」
突っ込んできた俺に攻撃をしようとする百代。
しかし、その一撃は威力が乗っていなかった。
「何!!」
上体をギリギリまで残し、一気に回転して相手の攻撃をかわす。
一瞬で百代の側面に移動する。八卦拳の扣歩。
このタイミングでならまるで消えたように見えるだろう。
これが最後のチャンスになるかもしれない。
望みを込め俺は奥義を繰り出す。
「浸透水鏡双掌!!!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
感想ありがとうございます。
確かにそろそろ動くべきでした。
予定では後数話の予定でしたが、急遽変更しました。
百代の状態に関しては不自然ね点があったらご指摘ください。気がついたら思いついたって感じで一気に書いたので雑になっているかもしれません。
変装に関してはまた機会があればにします。
今回の話で少し内容が変わる場合があるかもしれません。たぶん変えないとは思いますが、そのときはよろしくお願いします。
今回、バトルで初めて前編、後編で書きました。後編はまだ書いていませんが、黒くなります。少しぐらい期待してください。
さて、長くなりましたが、また次話で会いましょう。
貴重なご意見ありがとうございました。
感想、ご意見、ご要望などをお待ちしています。
2009/10/11