最近、お姉さまは風林寺君の事を良く聞いてくる。
確かに風林寺君は凄い。
お姉さまとまともに戦える事自体すごいのに九鬼君の話じゃ芸術の世界では知らない人がいないくらい凄いらしいし(本人は知らなかった)
けど、今は無理でも私も其処まであがって見せるんだから。
第九話 達人の道は登るもの??いや自分的には落ちるもの
しかし、凄いものだ。
不良たちを山積みにしてから十分ほど。
時間的に学校が終わってから始めたとすれば一時間ほどか。俺が作品を出しに言っている間もこいつは頑張っていたのだろう。
手に握られている薙刀。それを振るう姿はまさに真剣。
しかし、何故外で薙刀の練習しているんだ。ま、唯振っているだけで技の練習している訳じゃないからいいかもしれないけど。
しかし、こうしてみるとあれだ。
一言で言うとなってない。
あれでは全然意味が無い。
あの真剣な姿を見ているとつい応援したくなってしまう。助言もしてやりたい
しかし、憧れの姉と(大和曰く俺はターゲットになったが学園長に止められているらしい)まともに戦いあった男がさらに武器まで使えるとなると流石に落ち込んでしまうだろう。
どうにかしたいと思ったその時、ふと手元にあるものがあることに気づく。
そうだ、これを使えば。
一応あっちでもいけない気がするがそこ等辺は大丈夫のはずだ。
何故なら……
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今日も鍛錬を続ける。予定されている訓練も終わり今日は薙刀を振る事にした。
しかし、自分の技はじいちゃんのそれにはまったく及んでいない。
何が悪いのだろう、そう思い自分の努力が少ないと結論付ける。
自分の頑張りが少ないからじいちゃんみたいに出来ないのだ。そう思って薙刀を振る。
それでも、じいちゃんのようには出来ない。
「なっとらんわ。」
その言葉に驚く。いつの間にか自分の目の前には一人の人物が立っている。
先日とは違う柔道の格好。
しかし、顔の仮面でよく分かる。
お姉さまが探し続けている一人の男。
我流Xが此処にいた。
「なっとらんわ。大事な事だから二回言ったぞ?」
こっちが何も言わないから聞こえないと思ってもう一度言ってくれた。
「え、貴方本物?」
川神院が真剣に探しているのに見つかっていない、それが目の前にいる事に驚きを隠せない。
「私のほかにこの仮面をしている者がいるだと?まさかXが現れたのか!?」
え、我流Xじゃないの?
「私の名は我流ピンク。Xと同じ世界を守るヒーローの一人さ。」
え、ピンク。そう言えば確かに我流Xと違いそのお面にはピンク色が入っている。
「偶然にも此処に来たら君が鍛錬している姿が映ったのでな。気になって話しかけてしまった。」
そうなんだ~~けど色々と我流Xと似ているけど兄弟か?
「あ、それでなっていないって何がですか?」
「何がだと思う?」
え、なっていない事……!!
「分かった!!」
「分かったか。」
そういえば忘れてた。
「まだ休憩していない。」
適度に休憩を取らないと鍛錬の意味が無いからね。
あれ、何で転んでいるの?
「……それもあるが違う。」
え、違うんだ。これじゃないとすると…
「……ごめんなさい。思いつきません。」
そう答えた。
「まあ、そうだろう。これは簡単な事だが、達人といわれる者は間違いなくやっている事だ。」
!!それがまさかじいちゃんと私の違い!!
「教えてください!!」
「よし教えてやろう。その為に話しかけた訳だし。」
「まず、お前は武器に頼りすぎている。」
??武器に頼りすぎている??
「武器を唯振り回すだけならそこ等の不良にも出来る。しかしそれでは意味が無いのだ。」
「えっと、どう違うんですか?」
「武器とは自分の体の一部。すなわち空手家の拳、ムエタイの膝である。」
??つまり、
「武器を唯振り回すのではなく、自分の体の一部として扱え、って事ですか?」
「おお、よく分かったな。」
頭をなでられる。
「そう、武器を扱うという事はすなわちその武器を体の一部として扱うことなのだ!!」
成程。つまり闇雲に振り回しても意味が無いのね。
「いいか、武器を扱うものとして武器に頼ってはいけないぞ。それでは武器の主にはなれない。」
「??どうすればなれるの?」
「いいか、武器を己の一部とする以上、一番大切なのは己自身の主になる事だ。」
己の主??
「今は分からないかもしれないが、それを頭に入れて訓練するんだ。」
そういうと、ピンクは私から少し離れる。
…己の体の一部。
そんな事考えた事なかった。
唯自分さえ鍛えていればいずれ届くと思っていたけど、甘かったみたいだ。
ゴメンね?今まで気にしないで。
これから一緒に頑張ろう?
そう思いながら薙刀を振る。
それは確かにじいちゃんに及ばなかった。
しかし、今までのそれに比べると明らかに何かが違っていた。
「…見事。まさかあの言葉だけで理解するとは。その集中力はすばらしい。」
ピンクは褒めてくれた。
「ありがとう、おかげで何かつかめたわ。」
何かは分からない。だが何かがつかめた気がした。
「そうか、それは良かった。」
少しうれしそうにそう言った。
「最後に少し稽古を付けてやろう。」
稽古??
「いつか、達人と戦った経験が生きる、そんな可能性もあるかもしれないだろう?」
…達人。もしかするとお姉さまと戦うときの練習に。Xの仲間ならお姉さまに近い力を持っているかもしれない。
「…はい!!お願いします!!」
「いい、返事だ。一つ条件を付ける。三秒で終わりにする。その間は投げ技以外の攻撃はしない。そしてそっちが私に少しでも触れたらそっちの勝ちだ。」
三秒間のうちに少しでも触れれば勝ち。…何だ簡単じゃない。投げ技だって掴まれない様にすれば良い訳だし攻撃をしないなら、少しぐらい触れる事ぐらい簡単でしょ。
「それではいくぞ。」
「!!お願いします。」
「始め」
その瞬間目を疑った。目の前には寸止めされた拳がある。
「っつ!!!」
そのまま、薙刀を振る。しかし掠りどころか振った時にはすでに姿自体ない。
一秒、その間で後頭部、顔面、鳩尾などを数回寸止めされている。
二秒、寸止めされたはずの拳で飛ばされている。
三秒、何時掴んだかすら分からない、気がつけば投げられていた。
結局、最初の一回以外まともに攻撃を出来なかった。
これが私とお姉さまの差。
「これで達人のレベルが分かったか?」
絶望的だ。今の私じゃまったく届いていない。
「…何を言いたかったのですか?」
声が自分でも気づくほどに低かった。
「今の君では達人にはなれない。」
!!!
「しかし、今日私と会ったことで上を知ったな?」
???
「良いか、達人への道は登るものじゃない。落ちるものだ。中途半端に落ちるな。思いっきり落ちろ。」
上るのではなく落ちろ?
「今日、上の存在を知ったな?才能なんて関係ない。其処に誰かがいるなら其処にいけないわけが無い。」
だんだんと言いたい事が分かってきた。
「あきらめるな。頑張れ。君には努力という才能がある。」
その言葉とともに我流ピンクは歩き出す。
「いつか、達人の世界でまた会おう。」
夕日に向かって歩き出すピンク。
「……ありがとうございました。」
私はその背中に出来る限りの声で礼を言う。
その背中はとても大きく見えた。
そのときから心の中で師匠と呼ぶ事に決めた
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これからどうなるかはあいつ次第。
達人との壁の大きさにあきらめるか。
それとも自分の限界にくじけるか。
達人になる事はとても難しい。
しかし、彼女ならなれるかもしれない。
謙一の頭にはこの世界にはいない筈の兼一の姿が一子に被って見えた。
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謙一は気づかない。
素顔を見られてはいないが、孫の成長を見守っていた人物に見られていた事を。
謙一は知らない。
この時の事を、その人物は感謝していた事を。
その事が後にもたらす事にまだ気づいてはいない。
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やっちゃった、やっちゃった。今日の投稿第二段。やばい、九鬼の話じゃないけどやり過ぎた。何かご都合主義が入っている気がするし前話の件もあるので様子を見たいけどだが書きたかった。この小説を書き始めようとしたきっかけの一つがこの話。まだまだだと思いますがこれは有りでしょうか?無しなら明日変更したいと思います。
実を言うと我流ピンクっているとすると時雨だと思うのは自分だけでしょうか?
この話は後にどうなるのか。
因みにこの主人公は野球には出れません。…何故かってそれはホームランどころかヒットすら打てないからです。
~~丸いバットで丸いボールが真っ二つ~~~って感じになります。
因みに三十一日のイベントの一つを一週間ほどずらし、イベント二つにしてもいいと思いますか?これで最後が思いっきり変わりますが…
最後までお付き合いありがとうございました。
ご意見、要望、必殺技などお待ちしています。
感想ありがとうございます。とても参考になります。
2009/9/20