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No.11636の一覧
[0] 【習作】天人☆無双(真・恋姫無双×東方Project)[彷徨う吟遊詩人](2009/11/27 17:38)
[1] 1―新たな外史―    (改訂)[彷徨う吟遊詩人](2009/11/27 22:29)
[2] 2 ―徳の人は天人と出会う―  (改訂)[彷徨う吟遊詩人](2009/11/27 22:53)
[3] 3 ―有頂天変―   (改訂)[彷徨う吟遊詩人](2009/11/28 12:36)
[4] 4 ―天人の幼心を理解しなければ共に歩めぬ―[彷徨う吟遊詩人](2009/12/19 20:51)
[5] 5 ―旅立つ天人は何を思うか―[彷徨う吟遊詩人](2009/09/12 02:40)
[6] 6 ―天人、無双と出会う。―[彷徨う吟遊詩人](2009/09/17 04:24)
[7] 7 ―緋想の剣と緋想の霊刀、そして新たな旅仲間。― (改訂)[彷徨う吟遊詩人](2009/12/21 13:21)
[8] 8 ―休暇一日目・北郷 一刀― (改訂)[彷徨う吟遊詩人](2009/12/20 18:13)
[11] 9 ―休暇二日目・永江衣玖+α―[彷徨う吟遊詩人](2009/12/20 18:22)
[12] 10―急いで出立!…と思ったら―[彷徨う吟遊詩人](2009/11/05 22:30)
[13]  11 ―乱の終わり、波乱の予感。―[彷徨う吟遊詩人](2009/11/27 16:03)
[14] 12 ―張三姉妹、弾幕ごっこを知る。―[彷徨う吟遊詩人](2009/12/23 21:59)
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[11636] 9 ―休暇二日目・永江衣玖+α―
Name: 彷徨う吟遊詩人◆a7a52965 ID:b2191fa6 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/12/20 18:22
華一家に泊らせて貰った日にち二日目です。

今日の総領娘様は一刀さんに修行と称して朝からあちらこちらに連れまわしています。

私は早ければ明日、遅くても明後日には出立するので、そのための準備を桜さんと一緒にしています。



簡易鞄に寝袋を入れつつ次に必要な物を脳内にピックアップしているとトトトと軽い足音を立てながら桜さん近付いてきます。

「衣玖、終わったよ。足りない物は保存食だけ。」

桜さんには一刀さんと総領娘様の荷物で足りない物を点検してもらっていました。
報告を聞き、もう一つ聞こうと思い私の隣に座っている桜さんに話しかけます。

「桜さんは足りないものはありますか?」

桜さんは目を瞑りあごに人差し指を乗せて上を向き「んー」と考えます。仕草が可愛いです。

「えーと、水筒はあるし、保存食もまだ残ってる。地図は買ったし……うん、少し保存食を足すだけで大丈夫!」

元気よく返事をしてくれましたがその中に気になる単語がありました。

「ちず?もしかして地図を持っているのですか?」

桜さんは頷きました。

「簡易、だけど。持ってくる?」

本物かは分かりませんが一応見ておいたほうがいいでしょうね。私はそう結論づけ、頷きます。

「お願いしますね。」

桜さんは立ち上がり、「すぐもってくる!」と言って部屋から出て行きましたがすぐに戻ってきました。

「はい。」

手に持つ簡易地図を受け取り、私は机の上に開きました。…たしかに簡易的ですが地図のようです。地名や国名などはありませんが山や谷などの地形が書かれていますし、この精度なら改良すれば軍事用地図にも出来るでしょう。

「この地図はどこで手に入れたのですか?」

私は内心の驚愕を隠しつつ聞きます。

「ん?この街のお店の一つだよ?」

小首を傾げつつ桜さんは言いましたが私は更に驚きました。この精度の地図が店で買えるなんてこの時代ではほぼ有り得ないといっていいでしょう、しかももし買えたとしても途方もない金額のはずですし旅人が買えるほど安いのはありえません。

…ですがこうして起こっている現実を否定するのは間違いでしょう、その店が特殊なのかそうでないのかと考えるのも後です。地図を持っておけばこれからの旅が大分楽になるのはあきらかですし、私たち三人分の地図を買っておきましょう。

あと、足りない物も買い揃えておきましょう、大きな街ですし大抵は揃うでしょう。
私は地図を桜さんに返し、荷物の整理もそこそこに立ち上がります。

「桜さん、買い足しに行きますので買い物が出来る場所に案内してもらえませんか?…あと、この地図が売っている店も教えてください。」

「うん、いいよ。」

桜さんは受け取った地図を懐にしまって立ち上がります。

「地図が売ってたのは『霖雨』ってお店だったよ。あと、お買い物に行くなら『1番街道・繁華街』がおすすめだよ!」

にこやかに笑いながらそう言って扉を開けて部屋から出て行く桜さん、私も後を追いかけます。






「…すみません、わざわざお手数をお掛けして…」

「いえ、丁度良かったですし、お互い様ですよ。」

桜さんに案内してもらおうと外に出ようとした時に、これから買い物に出かけようとしている華鈴さんと会ったので一緒に買い物をする事になりました。



しばらく歩いていると活気溢れる商店街に着きました。

「…これは中々賑やかな場所ですね。」

私は内心少し驚きながら尋ねると華鈴さんは嬉しそうに笑いながら答えました。

「でしょ!此処はこの街の店が一斉に並ぶ『一番街道・繁華街』だから毎日人がいる活気溢れる場所なんだよ!」

そう言って華鈴さんは並ぶ店々を指差しては教えてくれました。

「あれが花屋であっちが雑貨屋、向こうの赤い店が肉屋で隣が…」

意気揚々と説明する華鈴さんには悪いと思いましたが私は口を挿みます。

「すみません、説明しているとこに恐縮なのですが私が探しているのは保存のきく食材と『霖雨(りんう)』という店でして…」

私が探しているものを言うと華鈴さんは一瞬きょとんとした表情をした後、考え始めました。

私の隣にいた桜さんは私の服の裾を掴み、私を見上げ小さな声で告げます。

《衣玖が探してるのここじゃなくて『4番街道・駐屯地』にあるから迷ってるんだと思う。》

なるほど、軍事施設の近くにあるが故に此処の一般人はまず、来ない…来たとしても訳ありかこの街に在住する兵、旅人か商人に分けられる…といったところですか。

「すみません、今の霖雨付近は私たち街の住人は近付くのが危険なので案内するのは……そういえば、桜ちゃんが私のお父さんの案内で一度寄っているので知っていると思います。桜ちゃんお願いできる?」

すまなさそうに華鈴さんが謝まりました。一緒に買い物をする事になっただけなので別に案内できないからって謝らなくても良かったのですが…

「うん!いいよ!」

華鈴さんは元気よく笑顔で返事をした桜さんに「お願いね。」と更に言葉を重ねてから私に向き直った。

「霖雨には案内できませんが、保存のきく食材や保存食を専門に扱っている店に案内します。こちらです。」

そう言って先を歩き始めた華鈴さんに私と桜さんも後に続きます。
内心、元から霖雨には桜さんに案内して貰おうとしていたのでこの案内だけで十分です。と思っていましたがそれを言ってはいけないと思いとどまりました。


ふと、周りに目を向けてみます。井戸端会議をする女性たちや商人に値下げ交渉を行なうも相手にされていない青年、他にも子供たちが集まって騒いでいたりととても穏やかで平和な光景が映り、知らず知らずのうちに微笑んでいました。

「衣玖?」

隣にいる桜さんから声がかかり、顔を向けます。

「どうしました?」

じっと私を見つめた桜さんは私の手をギュッと握り締めました。

「ん、なんでもない。えへへ…」

顔を前に向け、照れくさそうに、でも満足そうに微笑む桜さん。

「そうですか。」

何となく、桜さんが考えているものが読め、私は苦笑しました。


流れる風景を視界に入れながら握られた手をギュッと握り返します、桜さんは少し驚いたようにビクッと震えて私を見上げます。

「甘えたいのなら甘えて下さい。相当な無茶じゃない限り受け入れますよ。」

微笑みながら言うと桜さんの表情は、ぱぁ、と咲き、満面の笑みを零しながら手を再びギュッと強く握り締めます。
私は微笑んだまま前を向くといつの間にか華鈴さんとの距離が離れていました。

「少々、離れてしまいましたね、急ぎましょう。」

「うん!」

私たちは手を握りながら華鈴さんの後ろに小走りで近付きます。流れる光景を横目にふと、今の私と桜さんは他の人からどのように見えているのか…などという思考が頭を過ぎりましたが、手を繋いで走る桜さんを見て如何でもよくなりました。私の視線に気が付いたのか微笑む桜さんに私も微笑み返します。

振り返り、私たちと距離が離れた事に気が付いた華鈴さんが行き交う人の波の中で手を振っています。

私と桜さんも手を振り返し、華鈴さんのもとへと手を繋ぎながら走りよりました。









「…中々の品揃えでしたね。」

私は必要な数の食材を買い、それなりの荷物を持ちながら隣の華鈴さんに言います。

「ええ、元は冬越えと旅人の為の店ですし品揃えや品質もかなりの物ですよ。旅人だけじゃなく街の人もよく来るので中々繁盛してるみたいです。特に冬の手前あたりは人がごった返して大繁盛だって店主さんが言ってました。」

クスリと笑いながら返した華鈴さんですが店を出るとすまなさそうに謝ってきました。

「霖雨は軍の駐屯地が近いので私たち街の住民は今は近付くと危ないので行けません。…力に成れず、本当に申し訳ありません。」

「いえ、この商店街の案内だけでも十分に助かりました。霖雨には桜さんに案内してもらいますので大丈夫ですよ。」

私は苦笑し、そう返します。桜さんも任せて!と息巻いています。

華鈴さんは一礼してから、人ごみの中へ消えていきました。







「ここが、『4番街道・駐屯地』だよ。『霖雨』はもう少し先だけど。」

桜さんに先導されて歩いてきた先には兵舎や鍛冶屋等が立ち並ぶ道で、周囲に目を向けると人は少なく、兵と思われる人も殆ど見かけずがらんとして不思議と淋しい感じがします。

「…こっち。」

桜さんに手を引かれながら道をそれて裏道へと進みます。

「こちらに『霖雨』が有るのですか?」

桜さんはコクリと頷き、どんどん先に進みます。
狭い道や薄暗い道、まるで迷路のような裏道を進み、ようやく桜さんが止まりました。

「あれが『霖雨』だよ。」

桜さんが指差した先を見ると一見ゴミ屋敷のような家?が有りましたが、屋根のところに『霖雨』と看板(のようなもの)がありました。

近付いて見ると、何処かで見たようなデジャヴを感じました。
扉には『開店中』と立て札が掛けられています。店の周りにはたぬきの置物(信○焼)やよく分からない物がゴチャゴチャと置かれています。…やはり何処かで見た気がします。(汗)

「あ、桜さん…!」

私が店(?)の前で困惑し立ち止まっていると業を煮やしたのか桜さんが扉を開けて中に入って行きました、私も慌てて追いかけます。


中もゴチャゴチャと物が溢れ、店と言うより倉庫などの表現が合いそうな感じです。私は先に入った桜さんを探してキョロキョロと見渡し、奥で誰かと話しているのを見つけ、近付きます。

「やぁ、いらっしゃい。この通りゴチャゴチャした店だが欲しい品を選んでくれ。もし、欲しい物が有るなら言ってくれてもいいよ、有るなら持ってくるから……ただし、盗るなよ?」

「え……?」

桜さんと話していた人は想像通りで予想外な人でした。
青と黒の色彩の着物、赤いポシェット(のようなもの)を前に掛けメガネを掛けた男性。そう、幻想郷の魔法の森の近くに店を構える人『森近霖之助』…によく似た人ですね、妖気を感じませんし霖之助さんは白髪なのに対しこの人は黒髪です。

「…僕の顔に何か付いてるのか?」

「え、あ。い、いえ、知り合いと似ていましたので少し驚いてしまっただけです。」

差し当たりのない返答に店主は「そうか。」と返し、店のカウンター(らしきもの)に肘をつき私を見ます。

「それで?お求めは何かな?」

「地図を売っていると聞きましたのでそれを…」

店主は「少し、待ってくれ。」と言って店の奥に入って行きました。視線を周りに向けて置いてある物を一瞥していきます。
八卦炉・火鼠の皮・陰陽玉、のような貴重な物(一部危険物有り)から、意味の分からない土で出来た置物(埴輪)・単なる木彫りの熊・唐傘などといった物まで有り、それらが乱雑に置かれている店内はかなりゴチャゴチャとした空間とかしている。

「…。しかし、商品が多いですね。よく、これで荷崩れを起こしたりしないものです。」

「それ、桜も思った。」

ポツリと漏らした言葉に桜さんが相槌をして、カウンターの横にあった棚に手に持っていた商品を直して別の棚に行き、置いてある商品を物色していきます。

「不思議だよね~、今にも崩れそうなのに崩れないって。」

棚に置いてあった精巧な人形を見つめ、桜さんがそう言いました。
しばらくしてガタンと音がして、カウンターの奥から店主が戻ってきました。

「ふう、ようやく見つけたよ。お探しの品はこれだね?」

店主がカウンターに置いた地図を私は手に取り、広げます。

「たしかに、これですね。これを三つ下さい。」

「ああ、分かった。後二つ取ってくるから少々お待ちを…」

再び、奥に店主が消えていきました。待つこと数分、戻ってきました。

「はい、お待ちどうさま。三つで――――になるよ。」

私は料金を支払い、地図三つを受け取ります。ふと、ある事が気になり訪ねる事にしました。

「この店は情報を売っていますか?」

――瞬間、店主の目線が鋭くなり探るように私を見つめます。ビンゴですか。

「……。」

私はその視線を受け流し、更に続けます。

「売っているのですか?いないのですか?」

「どうしてそう思ったんだい?」

探るような視線もそのままに問いを返してきました。おそらく、ここで下手な回答をしたら情報を売ってくれませんでしょうね。

「こういった裏街道に在る店は情報にも精通している可能性が高いですし、なにより……」

私はカウンターの横に有る『非売品』と書かれた棚の品(間違いなく、妖狐の毛皮。しかも最低5尾は有る妖狐の物です)を指差します。

「ああいった、貴重品の価値が分かる人なら裏の道も知っている。そう確信して訪ねたのです。」

私の答えに店主は首を振り、ため息を吐きました。

「参った、降参だよ。まさかアレの価値が分かる人が来るなんて予想外だ。ああ、確かにここは情報も扱っているよ。」

片目を閉じ、苦笑しながら店主は両手を上げました。

「それで、どのような情報をお望みで?」

真剣な表情に戻し、カウンターに肘をつき店主は聞いてきました。

「今の情勢と八雲と言う金の髪の女性に関するもの、有りますか?」

「情勢なら説明できるが八雲と言う女性に関しては…ん?待てよ?」

八雲に関して何か思い当たったのかしきりに八雲、八雲と呟き、しばらくして思い当たったのか聞いてきました。

「その八雲と言った女性は名は『藍』で合ってるか?」

八雲藍…式の方ですか!幸先がいいですね。

「両方の情報を詳しくお願いします。」

私は頭を下げます。店主は頷きました。

「分かった、二つの情報合わせて―――くらいだな。」

予想よりも安い―――!それほど重要度が高くないから…?
料金を渡すと店主は話し始めました。

「まず、現在の情勢だが黄巾賊は知っているな?それの鎮圧がほぼ終了したようだ。残った黄巾賊は残党を集めて最後の抵抗をする様だな、その情報を得た官軍はあっちこっちの地域の英傑達に召集状を送って連合軍を作る…ってとこまでは確認済み、ここから先は未確認情報で総大将は何進将軍がするってものや、黄巾賊の御旗たる張角、張宝、張梁ら三人は単なるアイドルだ…とかかな。」

黄巾の乱も終盤ですか…私たち殆ど関わってないような?…別に困りませんが。

「次に八雲藍って軍師が官軍の一つである董卓軍に採用されたって情報。今現在は目立った功績は無いがかなりの切れ者だな、何故あまり知られていない董卓軍に入ったのかは分からないが組織内での関係は良好ってとこまでが確認済みの情報。未確認情報は八雲藍は道士だ、とか猫の式神を持っているってとこだな。…流石にこっちの未確認情報の信憑性は高くないかな。」

猫の式神――橙(チェン)さんですかね?しかし、侮れませんね霖雨、このレベルの情報を格安で教えるとか、未確認とはいえ正確な情報を集める手腕。また、情報が必要な時がきたらここに寄った方が良さそうですね。

私は礼を言って霖雨―今思えば香霖堂に似ていますね―を出ようと扉に手を掛け…

「ありがとうございました。またのご来店を~。」

…と店主の声を背に扉を開け、振り返ります。

「桜さん、行きますよ。」

「は~い。」

また別の棚の商品を弄っていた桜さんは持っていた八卦炉を元の棚に戻し、私の元へと駆け寄ってきました。それを確認して私は霖雨から出てました。

―――…一旦、戻りましょう荷物の整理も完全に終わってませんしね。

裏街道を戻りつつ私はその様な事を考えていました。




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



カツカツと音を鳴らし、長い廊下を彼女は渡っていた。

金色の髪に金色の瞳。青と白を基本とし、袖周りと首周りは薄紫の色彩の服。まるで耳の様に尖った所が二つあるナイトキャップに似た帽子を被っている。

しばらくして、彼女―八雲藍―は目的の部屋へと着き、扉を叩く。

――コンコン。

「はい、誰ですか?」

部屋から透明で儚げな声が返ってくる。

「私です月(ユエ)。…入っても宜しいか?」

「あ、はい!どうぞ!」

藍の声を聞いた部屋の主は嬉しそうに答えた。

「失礼します。」

藍は扉を開き、部屋へと入る。中は煌びやかな装飾に彩られた部屋で、一目で上流階級の人が使っている部屋だと分かる。その部屋の真ん中に置かれているテーブルには飲みかけの紅茶が置いてあり、先まで座って紅茶を飲んでいたであろう部屋の主は入ってきた藍に駆け寄る。

「藍さん、あの、父様と母様は…」

藍がこの部屋に来る度に繰り返される問答。部屋の主―董卓―はすぐに進展がないと解っていながらも聞かずにはいられない。藍もそんな彼女の心を理解しちゃんと答える。
しかし、今回の答えは少し違った。

「月、朗報だ。ようやく監禁場所の特定が九割九分終わった。」

藍が優しい表情で告げる。董卓―月―も最初は何を言われたのか分かっていなかったのかきょとんとしていたが内容を理解し始めると花が咲くようにぱぁ、と笑った。

「それじゃ!」

嬉しそうに言う月にしかし、藍は首を振る。

「しかし、場所が場所なので。…黄巾の乱が終わった後の動乱に乗じて救出するのが得策、もう少しの辛抱だ。」

藍の答えに嬉しそうにしていた月もしゅん、と落ち込んだ。

「そうですか、分かりました。…それと、これ位の辛抱は今までの明日も知れない毎日より大分マシですよ。」

儚げに笑う月。一瞬、藍は悲しそうに顔を歪めるがすぐに平静に直した。

「そうか。…では、まだまだやらねばならないものが有るのでこれで。」

一礼して部屋を後にする藍。

部屋を出るとメガネを掛けたツリ目の不機嫌そうな表情の女性と会った。


「詠か。丁度良かった、相談したい事が有るんだが――」

女性―賈駆―は手に持っていた報告書を藍に突き出した。

「…これは?」

「読めば分かるわ。」

藍は報告書を受け取り、読み始める。読み続けるとだんだんと表情が険しくなってきた。

「…これは本当か?」

「ええ、本当よ。…まったく、やられたわ。」

詠は苦々しい表情で告げる。藍は読み終わった報告書を詠へと返す。

「いや、これは逆手に取れるぞ。」

「…どうしてよ。」

聞き返す詠に藍は周りを見回し――

「…いや、ここでは誰が聞いているか分からない。後で説明するから移動しよう。」

――そう言って歩き始める。詠も後へと続いた。








ある部屋の中で二人の人物が話し合っていた。

「全くもって忌々しい!」

ガンと一人が近くにある椅子を蹴り飛ばし、鬱憤を表す。
もう一人が抑えろと言うが聞く耳を持っていないように当たり散らす。

「貴様も分かっているのか!?このままでは我等はお仕舞いだ!あの女狐が来てから今までやってきた事が全て水泡を化しているのだぞ!?このままではあ奴等が逆らってくるのも時間の問題かもしれんのだぞ!!?」

怒りを露に怒鳴り散らす男、しかしもう一人は落ち着いた表情で告げる。

「何の為の人質だと思うとるんだお前。奴等は早々は逆らえんよ、逆らったらあ奴等の大事な大事なお姫様のご両親が殺されてしまうのを分かっていて刃向かうのは有り得んよ。それに万が一、刃向かってきても我等には仙人さまがついているじゃないか。」

落ち着いた表情の老人の説明に納得がいったのか暴れていた男は平静を取り戻していた。

「そ、そうか。…そうだな、俺たちの方が有利なんだよな。」

確かめるように呟く男に老人が頷き肯定する。

「なら、これからどうするんだ?」

問う男に老人が笑いながら返す。

「ファファファ…、もう既に手は打っておる。大丈夫じゃて。」

「そうか、お前がそう言うんなら大丈夫なんだろうな。」

安心したのかドカッと椅子に座る男をしり目に老人は何かを考えているのかあごに手を乗せ上を見上げた。

やがて何かを思いついたのか老人は男に何かを話し始めた。
そんな二人の様子を開いた窓の外からみえる大きな木の枝に居る一匹の二股の黒猫が赤い目でじっと観察していた。


              ―続く―


  あとがき


リザレクション(妹紅的な意味で)!

オリジナルルート突っ走ってるから恋姫キャラと絡ませ(遭遇させ)ずれぇぇ!!

こーりんのそっくりさんを出した理由は作者がこーりん気に入ってるから!
…後、天子たちと恋姫キャラが遭遇しそうな場所って早くて、反董卓包囲網くらいか?(起きるかは兎も角。)

  ―修正しますた。―


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