【習作&ネタ?】真・恋姫†無双 ~~~高順伝外伝 河北の王・袁紹伝~~~ 第7話公孫賛・袁紹両軍は界橋にて激突した。公孫賛側の先鋒は厳綱。まず、厳綱は様子見として、5千ほどの兵で攻撃を仕掛けた。それを迎撃したのが、袁紹側先鋒である麹義と、2千ほどの兵士である。「ふん、来たな。手筈通りにやれ!」「ははっ!」兵に号令をかけ、本人も弩を手にする。この戦い、袁紹軍の中で彼は特にやる気に溢れていた。前回の失態を帳消しに出来るほどの働きを見せるのだ! と息巻いている。まず、大盾を持った兵士で攻撃を防がせ、後ろから弓と弩の混合部隊で矢衾にする。「さあ、来い・・・」麹義は弩を構え、厳綱隊が射程に入るのを待つ。厳綱も、盾を構えた部隊が居るのを見て麹義の戦い方を察した。が、このまま止まれば勢いを失って逆襲されてしまいかねないが、ええい、ままよ。とばかりに更に速度を上げて突っ切ろうとする。五千の兵が麹義隊二千と衝突、一気に乱戦となるかと思われた。しかしながら、大盾を構え、長槍で反撃を行う麹義隊の堅守を抜くことが出来ない。麹義隊後衛の弓速射・弩による猛撃を受けながらも厳綱は何とか態勢を立て直そうとしたが、それはできなかった。態勢を立て直そうと軍勢を退かせたと同時に、麹義隊の後ろから文醜隊が突撃。同時に麹義隊も矢を放ちながら前進して厳綱隊に追いすがる。この危機に、方円陣を敷いていた張郃・高覧が救援に向かうが・・・それは間に合わず、単騎突撃を仕掛けてきた文醜の大剣で厳綱は真っ二つに切り裂かれて戦死。武将を討たれた事で、先鋒部隊は混乱。張郃らが救援に入るまでの間、麹義・文醜隊によって散々に蹴散らされる羽目になった。結果、先鋒同士の戦いは袁紹側が制した。麹義隊も少々の損害を出したが、公孫賛側は武将と数千の兵を失ったのである。先鋒同士の戦い、それが自軍の敗北と言う結果を知って公孫賛は歯噛みした。「くそ・・・厳綱・・・。」厳綱は公孫賛が北平太守となってから従い続けた古参である。有能とまで言わなくても、無能といえず。中庸な能力の持ち主であったが・・・。こうもあっさりと討たれるとは思いもせず、また張郃らの救援が間に合わなかったのも誤算だった。公孫賛は麹義の事を知らなかったが、麹義という男は西涼出身で騎馬に対しての戦い方を身につけている。沮授はこれを知っており、だからこそ白馬義従ではなく厳綱歩兵部隊を向かわせたのだが、それも通用しなかったらしい。ただ、1つだけ確信があった。袁紹は、自分や公孫賛の知るお気楽な性格ではない、という事だ。田豊を重用し始めたという話だけでは確信に至らなかったが、麹義の戦いぶりと兵の装備。前までの袁紹ならば何も考えず一気に全軍突撃を行っていただろうに。厳綱を差し向けたのはあくまで様子見のつもりだったがそれは完全に裏目に出てしまう結果となった。だが、厳綱には悪いがこれで現況の袁紹軍を理解できた。自領内に引き込んで結果的持久戦を選んだのも、全て袁紹或いは田豊の策であったと。公孫賛得意の白馬義従突撃を仕掛けていたら、それこそ今の何倍の被害を蒙っていただろう。出来れば一度の戦いで雌雄を決したい・・・戦闘継続力の乏しい公孫賛軍にとって、武将と数千の兵を失ったのは痛恨事だった。そこまで行かずとも南皮を確保してじりじりと勢力を拡大、曹操の侵攻が始まるまで粘るという戦略の目論見が外されてしまった。(致し方なし、か。できれば独力で決めたかったがな)もう1つ2つの策、というほどのものでもないが、そのあたりも織り込み済みだ。公孫賛も理解しているらしく、だからこそ再度の攻撃命令を出さない。「殿、一度部隊を下げましょう。」「沮授・・・しかし。」「南皮までは下がりません。ここに張った陣で守ります。さすれば。」彼女の言葉に、公孫賛は「はぁ」と溜息1つ。「そうか、解った。待たなきゃ駄目なんだな。任せるよ」「御意。なれど、退くには」「殿が必要なんだろ? あたしが行くより張郃に任せたほうがいいかな?」「仰る通り。いえ、彼女の事ですから案外に。」「ははっ・・・そうだな。」沮授は公孫賛から視線を外し、今も皆が戦っているはずの南へと顔を向けた。そして、その南では。「でああああああっ!!」「うえぇぇっ!?」沮授と公孫賛の思ったとおり、張郃は突出してきた文醜隊に攻撃を開始していた。これは、ある意味で狙ったとおりの流れだった。流れに含まれる筈の無かった「厳綱の戦死」という誤謬はあったが、追撃してくる袁紹軍の部隊を釣り出して弓弩を使いにくい乱戦に持ち込むのが本当の狙い。そうなれば袁紹側の騎馬隊以上の攻撃力を誇る白馬義従の突撃を活かせる。読み違いはあったが、釣り出しに成功はした。だからこそ、張郃は命令をされていなくても攻撃を開始したのである。白馬義従は袁紹軍の兵に。そして、張郃は文醜に猛撃を仕掛けていた。張郃は文醜と馬上戦闘を行っている。張郃の武器は槍、というより両刃の大矛だ。虎牢関で高順と戦った時は普通の矛だったが、それを叩き折られた事と、高順の三刃槍に内心で憧れる物があったのだろうか、武器を変更していた。文醜も同じように大剣「斬山刀」だが、リーチの差があって分が悪い(両刃剣なのに刀? とかは思ってはいけない)。また、張郃のほうが武器は重いはずだが、文醜よりも攻撃・引きの速さ・・・手数まで勝っていた。文醜が攻撃を防御、反撃しようとしてもそれを許さぬ速度で追撃を仕掛けてくる。文醜は完全に押さえ込まれていた。「だわわっ!? こいつ、強い・・・!」「はっ。」追い込まれた状況だが、それでも文醜は何とか隙を見つけようとしている。なんとか、あいつが大振りの攻撃を仕掛けてくれば・・・。文醜は息を整えて、大剣を両手で構えた。張郃も「次で決めるつもりか」と読んで、片手で矛を構える。「・・・ふぅっ!」張郃は馬を駆けさせ、文醜に向かって全力で大矛を大上段から振り下ろした。文醜はその一撃を下段から掬い上げるような一撃で迎える。ギキィンッ、と金属の克ち合う音が響き、僅かに文醜の勢いが勝った。下からの一撃に圧し返されて、張郃が馬ごと大きくのけぞる。勿論、大矛を持つ右腕も上に圧し返されてしまっていた。「うくっ!?」「もらったぁぁっっ!」勝利を確信した文醜はそのまま張郃の体へと斬り上げる。だが。「甘いな」「はぇっ・・・どわあぁぁ!!!?」張郃はいつの間にか左手で引き抜いていた剣を、文醜へ投げつけた。文醜は自分の右手側に張郃の姿を捉えていた。張郃の右手と矛ばかりを見て左手側は死角になっていたようだ。投げつけられた剣は文醜の馬の胴に突き刺さり、馬は地面に倒れる。文醜もその勢いで放り出されて、地面を転がっていった。「あぐぐぐ・・・」「ふん。」そのまま斬ろうと思えば斬れただろうが、張郃はそのまま駆けて行き、乱戦模様となった前方へ向かっていく。勝負は付いた、と思ったか、足掻いたところで自分には絶対に勝てないと思ったか。見逃された格好となった文醜は「うぅぅう・・・負けちまったぁ・・・。斗詩ぃ~・・・(顔良の真名)」と涙するのであった・・・。さて、その顔良だが、彼女も彼女で大変であった。高覧も張郃同様に突撃を仕掛けておりその迎撃にでたからだ。張郃の援護をする為に麹義隊へと向かっており、その迎撃である。顔良は文醜ほどの苦戦はしていなかったが、彼女は自分の持つ武器のせいでやはり劣勢に追い込まれていた。顔良の武器は金属で作成された大槌なのだが、かなり取り回しが悪い。そもそも顔良が得意とする武器はもっと小回りの利く剣とか刀なのである。それが何故大槌なのかと言うと、文醜が「こっちのほうが強そうだぜ!」と無理やり押し付けたからであった。袁紹に「これ使い難いんです!」としつこく言ったおかげで、新しく小回りの利く顔良用の鋼刀が作成されている最中で、この戦いには間に合わなかった。。「はっはぁっ! どうしたどうした、その程度の腕で袁紹二枚看板ってか!?」「くぅう・・・このぉっ!」高覧は張郃ほどの強さは無いが素早く矛を振り回し、動作の1つ1つが重い顔良をいいように翻弄している。顔良隊もよく戦っているのだが、弓などを使わない白兵戦闘なら、間違いなく公孫賛の白馬義従に軍配が上がる。先ほどとは逆に、袁紹軍の兵が蹴散らされていた。劣勢であった公孫賛側も張郃・高覧の奮戦によって息を吹き返し、互角以上にまで持ち返している。流石に不味いと考え審配部隊も繰り出す袁紹だったが、それを悟った張郃らが未練気無く退いた為に目立った成果は得られなかった。今回の衝突では双方数千の死傷者を出したが、やはり割合としてみれば公孫賛側の敗北に近いものがあった。これ以降、公孫賛は陣で堅く守り、両軍の戦いは小競り合い程度で終始することになる。~~~番外編。その頃の劉備と曹操~~~呂布を倒して以降、曹操は領内の統治を進めて来るべき袁紹との戦いに備えていた。ところが、帝である劉協の舅にあたる董承という男が多くの自称「憂国の士」を引き入れて曹操の暗殺を計ったのである。一番原因としては自分の敵を炙り出したい曹操がわざと行った「許田の巻き狩り」が挙げられる。帝・劉協に従って狩りを行ったのだが、そこで曹操は中々獲物を仕留められない劉協の弓を奪い、代わりに撃ち抜くと言うことを仕出かした。そこには劉備らもいたし、朝廷の群臣も多い。無礼どころの騒ぎではないこの行いに、朝廷の権威を重んじる人々は怒りを露にした。劉備などは純粋に義憤を感じたのであるが、董承は大きく違っていた。この男、基本的に権力ボケの爺である。彼の常識で言えば、何進も十常侍も董卓も消えた今、権力を握るのは外戚たる自分であるべきだ、と勝手な思い込みをしていた。それがそうはならなかった。力も権力も名声も失墜しきった漢王朝に、曹操が手を差し伸べたからだ。その曹操が高位に昇り、政治を司る立場となったのが我慢できなかった、というのが理由であった。よく誤解されるが曹操は漢王朝が滅びる事を理解していたが、自身が滅ぼすつもりなどは欠片もなかった。結局は曹操の事を高く評価し、また漢王朝の余命が尽きていることを理解していた劉協の要請で「魏」を造り皇帝となる曹操だが、禅譲の強制もせず、劉協に「山陽公」の座を与えている。また、皇帝の一人称である「朕」を終生使用許可を出し、魏にも曹操にも臣下としての礼を取らずとも良い、と大変な厚遇を受けていたりする。まだまだ正常の安定していない状況で曹操を殺すことは即ち、漢王朝の滅亡を意味するのだが、自身の欲しか考えない董承にはそれが解るはずもなかった。最終的に、それを察していた曹操の反撃でこの暗殺計画に加担したものはほぼ全員、その三族までが誅された。処罰を受けなかったのは、暗殺計画に名を連ねたが「ここで曹操を死なせれば漢王朝の灯火が消える」事を理解し、徐州へと逃げ帰った劉備達のみである。そのまま徐州全域を得、曹操へと対抗できる戦力を整えようと、曹操治世下となった広陵(こうりょう)へと攻め入った。守るのは曹操から派遣された呂虔・車冑、そして高順配下であった陳羣である。劉備は主だった武将(呂布は基本的に劉備の護衛のみという契約を結んでいた。主に戦うのは張済や華雄に任せている)と兵を引き連れ呂虔・車冑を抹殺しようと「曹操から書簡を託された」と偽って誘き出そうとした。時間は夜中、篝火を焚かず、わざと不鮮明な状況下で城門を開けさせようとしたのだ。ところが、劉備にとって不幸な事にそれを読む人がいた。陳羣である。彼女は「朝まで待て」と突っぱねて、話し合いに応じようとはしなかった。劉備らは何とかして城門を開けさせようと似合わぬ恫喝までして見せたが、陳羣は全く取り合わず城壁に弩兵を配備して応戦の構えを見せる。この弩兵の数は数千規模。そして弩を残したのは高順である。弩、というのは平たく言ってクロスボウだが、張力が普通の弓と違って凄まじく強力なものだ。命中すれば普通の人間の体など平気で弾き飛ばす威力がある。連射は出来ないが、それを補うために弓の速射部隊との混合にする。こうなる事を予見していた訳ではなかったが、高順の遺した物は広陵を守るための大きな力となっていたようだ。この弩兵の多さ、陳羣の強硬な態度を見て劉備も諦めざるを得ず、力攻めに移行しなければいけなかった。ここでもう1つ。劉備に限らず、諸葛亮や龐統もだったが、曹操は袁紹との戦いを重視していたがそれ以上に劉備の動きのほうが重い、と考えた事を知らなかった。劉備が徐州へ逃げ帰った事を知った曹操は、劉備が自分に逆らって独立を目論んでいると看破。見逃せずとして呂布討伐の時同様、6万以上の大軍を即時進発させ、その上自分で指揮を取った。そのときの劉備側の反応。「・・・(真っ白」←劉備「はわわ」←軍師その1「あわわ」←その2「ふぇぇ・・・鈴々たちの動きがあっさりばれていたのだ・・・」←張飛「・・・。流石は曹操殿、といった所です。桃香様、どうなさいますか。」←関羽とまあ、こんな感じであった。このまま広陵を落としても、すぐに曹操は第二・第三軍を送り込み完全殲滅を図ってくるだろうことは予測でき、そもそも守る戦力もない。主だった将兵を全員連れてきたことが不幸中の幸いだったなぁ、と劉備は思い直す事にした。彼女はすぐに同じ劉性を持つ、荊州の「劉表」の元へ落ち延びる事を決定。そこからの劉備の動きは早い。何1つの事を顧慮せず、一気に南西へと落ちていったのだ。その速さは曹操の進軍速度を大きく上回り、劉備があっさり遁走した事を知った曹操が「大したものね・・・」と感心するほどの速さであったという。(いざと言うときに逃げ足が速いというのは一勢力の主として必要な要素。そしてどれほど惨めに逃げても民の声望厚き劉備・・・ふふ、いいわ。逃げれるだけ逃げて見せなさい、劉備)天下を得る為には1つや2つ、大きな壁があって然るべきなのだ。その気になれば誰よりも天下というものに近い覇者曹操。何事にも多少の労苦が無ければ張り合いが無い。そう考えるのは彼女の英雄性が誰よりも高い故であり、そこが曹操の数少ない欠点の1つと言えた。劉備は荊州へ逃れ、曹操は着々と袁紹との対決準備を進めている。南では袁術が皇帝僭称を行う少し前であり、用意さえ整えば孫策はすぐにでも袁術に宣戦布告をする腹積もりであった。ただ、それはもう少しだけ先のお話。~~~楽屋裏~~~真恋姫キャラソン購入しちゃった&応援してるのは黄蓋さんだよあいつです(挨拶聞いてみての感想。「あれ、漢女道以外何も覚えてない」(何あぁ、でも孫策・周喩と周泰と孫策の歌は良かったと思います。後は何も覚えてません(ぉぉい孫権&周泰の歌は本来曹操が歌うべきだと思いましたが・・・これで、主要陣営の「その間」は殆ど書けたと思います。あとはこの戦いの結末とカントのみ。しかし、真面目な話になると会話・・・キャラ同士の掛け合いががものすごく少なくなる。ギャグ話なのに・・・まぁ、袁紹外伝は割と真面目にやるつもりなんですけどねえ。ギャグを待っておられる方はご容赦を・・・え、いない? それと、よくよく見たら既に投稿数80を超えてるんですねぇ・・・。もしかして、本当に100話までいっちゃうのかなぁ。思えば遠くに来たものです・・・(汗それではまた次回。