【習作&ネタ?】真・恋姫†無双 ~~陥陣営・高順伝~~ 第7話丁原、十常侍との確執を深める也。戦いが終わってから2日ほどで丁原が帰還した。そこまで規模の大きな戦いになるとは思っていなかったようで、「治心行かせて私が残れば良かったぁぁぁっ!」とか叫んでいたが、高順達にしてみれば「勘弁して欲しい」言葉ではあった。ただ、状況は思わしくない。というのには2つほどの理由があった。1つ。晋陽太守であるが「お咎めなし」となったのである。それは何故か?丁原は帰還してすぐ中央(洛陽)に晋陽太守の悪政を糾弾、並びに今回の官軍同士の戦いがどのような理由によるものか、ということを使者を通して説明をした。だが、返って来た言葉は「お咎めなし」ただこの一言。悪政を行い、官軍同士の戦いを招いた事実があるにも拘らず、である。丁原も・・・いや、この戦いに関わったすべてが耳を疑うような結果だった。むしろ、そのような戦いを行った原因が上党側にあるとまで返される始末。洛陽からの使者曰く「黒山賊を討ち果たした功績により不問に処すが次は無いと思え。」とまで言われてしまう。勿論丁原も、そして高順たちも怒り心頭に達するのだが・・・その使者に問題があった。それはまた後にしようと思う。それと、この時点では誰も知らないが晋陽太守は十常侍に莫大な賄賂を渡しており、その為にこのような形の結末になったのだ。それを知った丁原は十常待を憎み、少しずつ確執を広めていくことになる。もう1つ。褚燕たちの処遇について。これが高順たちにとって一番辛い結果になった。使者曰く「今住んでいる村を放棄させ、黒山へ帰らせる」。つまり追放だった。勿論晋陽太守の差し金である。それを伝える使者として赴いたのは高順だが内心「どう言えばいいっていうんだよ・・・」と、暗澹とした気持ちになったのは言うまでもなかった。高順の言葉を聴いたときの褚燕の愕然とした表情。なんでこんなことに?と騒ぐ村人達。幸いなのは誰1人として「上党軍のせいで」ということを口にする人がいなかったということくらいだろう。褚燕も「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。」と頭を下げてきた。謝りたいのはこっちだというのに。しばらくして周りの人々に立ち退きの準備を始めるよう命令する褚燕。浮かばれないのはこの戦いの犠牲者だ。上党・晋陽の兵士、そして褚燕の村の人々。全部合わせれば相当数の被害が出ている。にも関わらず上党が逆に糾弾され、被害者でしかない褚燕達には更に被害が降りかかる。いったいあの戦いは何だったというのか。誰のための戦いだったというのか。高順は褚燕に「何かあったら知らせて欲しい。出来る限りの力になる」と、気休めにもならない台詞しかいえなかった。その言葉に、悲しそうな笑顔で「ありがとうございます。」と褚燕は返したが・・・。後に高順はこの気休めの約束を果たすことになるが、この時点では両者共に知るべくも無いことだった。そして、いい話。これは高順や趙雲たちにとって、という程度のものでしかないのだが。まず、高順。丁原と朱厳率いる部隊が合流した後、若干の部隊を残して上党軍は帰還する。帰還する兵たちの中には義勇兵として参加した趙雲達も含まれていた。その後、上党政庁で「今回の戦いの功労者に褒美を授ける」という話になったのだが、そこに高順も出ることになった。正直に言うと、今回の戦いは何かを得るという戦いではない。あくまで自領内の紛争という形だ。本来なら褒美を与えるような情況ではないのだろうが、丁原は「功績を立てたものにはそれだけの褒賞があって当然だ」と言い張りこのような運びになったのである。今回の一番の功労者は敵将を討った郝萌と趙雲である。郝萌はかなりの額の金子を与えられていた。趙雲は褒美などいらないと言っていたのだが、旅をするには金が必要だろう?と丁原に諭され半ば無理やりに金を受け取らされている。戯志才と程立は「我々は作戦を立てただけで大したことはしていない」と言い張って結局受け取ろうとはしなかった。その後、丁原は趙雲達に仕官の話を持ちかけてみたが、これは断られた。丁原も朱厳や高順に彼女達の活躍を聞いていたので、残念そうではあったが・・・。「無理強いはできんしな。だが、もし何かあったら遠慮なく頼ってくれ。」と言い、これには彼女達も素直に頷いた。朱厳や、ほかに功績を立てたものにも褒美が与えられていく。そして、高順の番。「高順、前へ出よ。」丁原に呼ばれ、歩き出す。椅子に座る丁原。その前まで進み、高順は跪く。「高順、お前は今回少数ではあるが部隊を率いて盗賊を殲滅し、他にも数人の敵兵を討ったそうだな。」「は。しかし、私個人の手柄ではないと思います。回りの皆が頑張ってくれただけです。」「謙遜するな。結果を出せるように人間を動かしたのはお前だろう?謙遜は構わんがそれも過ぎれば嫌味になるぞ。」「はぁ・・・。」「まあいいさ。お前には・・・そうだな。これをやろう。」そう言って丁原は立ち上がり・・・槍のようなものを高順に渡す。槍だが、先端が3つに分かれている。三叉槍というべきだが少し形状が変わっている。3本の刃がついているが、そのうち1本が直線的な槍の形状。1本が薙刀のような反り気味の刃。残り一本が横に伸びた刃。この時代には無いはずであるが、高順の知識で言えばそれは(多少形状が違うものの)間違いなく「戟」という武器だった。「これは・・・?」「黒山賊を討伐した時に首領の張牛角が持っていたものでな。振るう前に本人が死んでしまったのだが。中々いい武器だろう?」いや、討伐した賊の首領が所持してたって・・・嫌がらせですか?そんな気持ちがそのまま表情に出ていたのか、高順の顔を見た丁原が噴出した。「ぷっ・・・くくく・・・。いや、そんな顔をするな。縁起が悪いとかそういうわけでもあるまい?しかし、面白い顔を・・・くっくっく・・・」この人絶対Sだ・・・いや、前から知ってるけど。「ふふ、まあいいさ。その武器・・・たしか、三尖刀と言ってたかな?どう見ても戟なんだがなぁ。ま、呼び名はお前の好きにするといい。」「・・・ははっ。ありがとうございます。」どう見ても刀じゃないよな…。そうだなぁ、三刃戟とでも呼ぶかな?「うむ。下がっていいぞ。・・・以上だ。皆、ご苦労だった。」退出する間際、(そういえば三尖刀って袁術のとこの将軍・・・ええと、紀霊?とか言う人の武器だったような?)と高順は頭を傾げた。なんだか今の世界は・・・自分の知ってる三国志という歴史から少しずつ外れている状態のようだ。(まさか俺が影響与えてるとは思わないけど。でも三尖刀っていうのも演義だけの話だよね。じゃあ問題ないかかも?)こんな感じで褒章授与式は終わった。その後、高順は郝萌と趙雲たち3人娘を誘い、酒処「桃園」へと繰り出した。ささやかではあるが戦勝祝いである。その数日後に丁原が正式に戦勝祝いの宴を開くが、その話も次回にしよう。高順達の座る席に所狭しと料理が置かれている。高順がこほん、と咳をして水の注がれた杯を掲げる。「さて、皆揃ったね?・・・えー、ささやかではありますが大将首上げた郝萌と、趙雲殿。そして策で多大な貢献をしてくださった戯志才殿と程立殿に感謝の証として、このような宴を開かせていただきました。前置きはこの程度にして、と。それでは皆さん・・・乾杯!」『かんぱーい!』全員が杯を掲げ、一気に中身を煽る。「・・・ぷはぁ~。いや、いい酒ですな。店主殿、お代わりを!」「趙雲殿、えらい飲みっぷりですね・・・。」「って、高順?あんたねえ、こんなときくらい酒飲みなさいよ?」「俺は酒駄目なんだよ。飲めないわけじゃないけど強くないの。」「おお、中々美味しい料理です。」「ちょっと、そんながっつかなくてもいいでしょう。料理は逃げませんよ。」「むー。」思い思いに宴を楽しむ。そんな中、全員がある1つの品に興味を持った。「高順お兄さん、この・・・なんでしょう?茶色・・・?の暖かい汁は。」「お、それに気がつきましたか。・・・ふふふ。それはですね。味噌汁というものです。」『みそしる?』聴き慣れない言葉に4人が首を傾げる。「作るのに偉く苦労しましたよ。作り方はある程度知ってましたが、どの菌までか詳しく覚えてませんでしたし塩も高いし。職人さん達にお願いしてやっとここまでこぎ着けました。ふっふっふ・・・」「こ、高順殿?随分顔がおかしなことに・・・それに菌?って何ですか?」「うむ。相当苦労したというのがよく解る表情ですな・・・。」「何があったのか知らないけど・・・で、このみそしる?っていうの・・・食べても大丈夫なの?」この言葉に高順が過剰なまでの反応を示す。「当然!食えるとも!」「ひえっ!?」「何度も何度も作り直して職人さんたちと顔を突き合わせてあーでもないこーでもないと散々苦労してやっとある程度納得できるまでの味にしたんだ食べることができなきゃ話にならないだろうさあ食べてみてくれでもって感想をきk・・・げふっ、はぁはぁはぁ・・・」なんというか肺活量を凄まじく必要としそうな言い方ではあったが、本当に自信があるようだ。「正直に言うと、さ。外部の人に出すのはコレが初めてなんだよ。だから、正直な感想が聞きたいんだ。別に実験台にするって訳じゃないけど。」「・・・では、いただくのです。」「え、ちょっと、程立?」不安そうな戯志才だが、程立は気にすることなくお碗を手に取る。「高順お兄さんの目は真剣なのです。冗談とか嫌がらせをするような感じではありません。だから飲んでみるのです。」そして、お碗の中身の味噌汁の匂いをくんくん、と嗅いで「今まで嗅いだことのない匂いです。でも良い匂い」と言って、お碗に口をつけそのまま流し込んだ。「・・・・・・。」「・・・・・・。」「・・・・・・。」「・・・どうです?」不安そうにしている3人と、高順。違和感無く味噌汁を飲み込んだ程立だったが開口一番「あひゅいれふ(熱いです)。」「がくっ・・・」全員が机に突っ伏した。「あ、相変わらずですね・・・感想が美味しい不味いではなく熱い、とは・・・」「・・・普通に美味しいのです。」「なっ!?」「ほ、本当ですか!?」「うそ、こんな得体の知れない汁が!?」「ちょ、郝萌!お前今なんつった!?」「美味しいのです。皆も試してみるのです。」と言いつつ更に味噌汁をすすり始める程立。高順を除く全員が不審そうな顔をしていたが、意を決して口にし始めた。「お・・・おお?」「あれ?お、美味しい・・・?」「これは・・・今まで口にしたことの無い味ですが・・・悪くありませんね・・・。」「うむ、なんと言うか白米が欲しくなる味だ・・・。」 思った以上に評価が高いのに満足したのか高順はガッツポーズをして「やったぁぁぁっ!」とか叫ぶ。後の話になるが高順は味噌を量産し、この味を広めようと試みる。塩が高いのでどうしても高めの値段設定になってしまうのだが・・・。しかしながらこれが思った以上に上手くいき・・・いや、行き過ぎることになる。肥料の事もあるが、この為に凄まじい額の金が高順の懐に入り込むことになり、その金を元手に彼は私設軍を作ることになる。ただ、入ってくる金額が半端ではないレベルで・・・正直どうしようか?と高順は悩むことになったり。その後、宴も終わり帰路につくが、郝萌はともかくも趙雲たちは泊まる場所を確保していなかったので高順の家に泊まることになった。家には両親がいるし、まあ変なことにはならないだろう。いや・・・母親が凄まじく勘違いをする予感がするが。「ふぁあぁあ~・・・世界が4つに分かれてるぅ~・・・」「郝萌、飲み過ぎだって。だから飲みすぎるなって言っただろー?」「ははは、高順殿も苦労いたしますな。」飲みすぎて完全に駄目な人になった郝萌を抱える高順と、その姿を笑う趙雲。「そう思うなら手伝ってくださいよ。」「何を仰る。私のようなか弱い女にそんな力仕事が出来るはずがないでしょう?」「・・・本当に?」「・・・・・・真顔で返さないでいただきたい。」そう軽口を叩くが、趙雲自身も眠ってしまった程立と、いきなり鼻血を噴いて昏倒した戯志才を抱えていた。「しっかし・・・戯志才殿には驚きましたよ。酒で酔って変な妄想をしつつ鼻血噴き散らかして撃沈とは・・・。」掃除が大変だった、と高順がぼやく。「ふっ、確かに妙な御仁ではありますな。鼻血を噴くのは良くあることですが。」「あるんだ・・・って、つきましたよ。ほら、起きなって。」「んあうぅ~?ここ、あたしの家・・・?」「俺の家だって。・・・おーい、父上ー、母上ー。いませんかー?・・・郝萌、寝てるよ・・・。すごい寝つきの良さだな。」戸をとんとんと叩きながら高順が叫ぶ。しばらくして戸が開かれた。顔を出したのは母親だった。相変わらず元気そうだ。「あらあら、お帰りなさい順。久しぶり・・・って。」「ただいま、母上。・・・どうしたの?」「じ・・・順が・・・女の子を家に連れて帰って来た!?あの朴念仁の順が!?」「おおい!?こんな夜更けに何言ってるのしかも大声で!?酔っ払いより性質悪いよ!!近所に変な風に思われたらどうするの!!」「いつか郝萌ちゃんを連れて来るだろうとは思ってたけど・・・こんなに可愛い人たちを追加で3人も!しかも1人はまだ成人もしてないような幼女!」「人の話を聞けええええっ!4人ともそんな関係じゃないって!」「あの、母君?」遠慮がちに趙雲が声をかける。「このような時間に大声で喚くのはよくありませぬ。話は家に入れて頂いてから、ということで。」「そうですよ、その通りです母上!」その言葉に母親も我に返ったらしい。良かった。変な誤解をされないですむ。「え、ええ。その通りね。ええと・・・あなたのお名前は?」「ああ、これは失礼を。私は趙雲と申します。高順殿の妻1号です。」「ぶふーーーー!!??」「な・・・なんですって・・・妻!?もうそこまで!?」「ちなみに私が抱えている眼鏡をかけた酔っ払いが戯志才。2号です。」「ちょちょちょちょ、趙雲殿!?あーたいきなり何を!?」趙雲は抗議する高順を無視して話を続ける。「そして今私が背負ってるのが程立。」そこにタイミングよく起きて来たのか、程立が挙手して「初めまして、お母様。3号なのです。」「何言ってるの!?違う!違いますから!」「・・・・・・順。」「・・・はい。」嫌な予感がします。むしろ嫌な予感しかしません。これは仕様ですか?「あなたという息子は・・・母はあなたをそんなスケコマシに育てた覚えは・・・!」や、やばい。やばすぎる。何か母上ワナワナ震えてるし。拳握り締めてるし。つかスケコマシっていう言葉この時代にあったの!?「ちょ、趙雲殿!冗談にしちゃやりすぎですよ!はやく弁解を」ここまで言ったところで趙雲が戯志才と程立を離し、高順にしなだれかかる。「ちょ、趙雲殿!?胸!胸あたってますから!」「当てておるのです。それよりも・・・ひどいではありませぬか。高順殿?あれほど私を真名で呼んで欲しいとお願いしたではありませぬか・・・?」「なにぃぃいいぃ!?初耳です!聞いてない!!そんなこと一言も言ってないですよ!?」「ふふ、酒に酔って忘れておるのですな?・・・我が真名は「星」。さあ、高順殿・・・。」そのまま高順の胸あたりでのの字を書き始める趙雲。「あああああああ、わかりましたっ。真名で呼びますから!だから離してー!星殿ー!」「順っ!座りなさい!この母があなたの性根を叩きなおしてあげましょう!」「いやちょっと待ってください母上!母上のは物理的に叩きなおすと言うか叩き潰すって感じでそもそも俺は無実です何も悪くあrぎょえあああああっっ!?」・・・神様。もしおられるのでしたら教えてください。何故俺はこうも巻き込まれなくても良いことにばかり巻き込まれて一方的に辛い思いをさせられるのでしょうか・・・?薄れ行く意識の中、高順はこう思わずには入れなかった。酒場に続いて、この後も大変だった。高順が気を失ってる間に趙雲が冗談だったことを母に説明。誤解は解けるものの・・・趙雲と母親の悪戯で全員が同じ部屋で寝かしつけられ、趙雲と程立が高順と同じ布団で折り重なるような形で寝ておりそれを朝早く起きた郝萌が発見。凄まじい乱闘騒ぎになる。(犠牲者は高順戯志才も前夜の妻僭称事件を知らされ、またしても妙な方向の妄想を全力全開させた上で鼻血を噴出し轟沈した。しかも、趙雲を気に入った母が本気で高順とくっつけようとしたりと、本当に大変な思いをする羽目になるのだが・・・。この2日後、高順から「今回の戦いを手伝ってくれたお礼」として贈られた馬2頭に乗り趙雲たちは旅立っていく。趙雲が高順に真名を預けた理由は・・・自分たちを一番に信じ、仕事を任せてくれたことへの彼女なりの感謝であり、彼への好意の形でもあった。素直に口にするのが照れくさかったのか、悪戯まがいの形で預ける感じになってしまったが、鈍い高順はそのあたりに全く気づくことが無かった。それでもその後は趙雲を「星殿」と呼ぶあたり、妙なところで生真面目な高順だった。何の因果か、高順と星の行く軌跡は重なり合うことになるのだが―――それはまた、後の事になる。~~~楽屋裏~~~1日で書くのはキツイです(何挨拶どうも、あいつです。結局こんな形になってしまいましたね。この後も、高順には頼りになる?仲間が少しずつ増えていきます。それでも彼が死亡するか生き残れるか、微妙なところではありますがw彼が何処へ向かうのかは作者にもワカリマセンが頭の中では一応の形になってきています。その中で次回作のネタが生まれてきてしまったのが不思議ですが(ぉ)なんとか書き上げたいと思います。あと、時系列としては褒美授与→あれこれ→洛陽からの使者 ですので趙雲たちは事の顛末を知りません。知ってたら憤激してたでしょうねえ・・・w感想の方にもありましたが「ここ、言葉の使い方がおかしいよ?」というところがあったら遠慮なく教えてください。ど素人がそのまま突き進んでるので何がおかしいのかよくわかっていません・・・それではまた。次回をお楽しみに。楽しみにしてくれてる人いるのだろうか(汗