【習作&ネタ?】真・恋姫†無双 ~~陥陣営・高順伝~~ 第133話敵本陣を目指し駆け行く特攻部隊。先頭は呂布。左右に華雄・張遼。その後ろには趙雲、楽進、李典、干禁、沙摩柯、高順。5万程の騎兵隊と、1万前後の歩兵部隊。敵中央を迂回し抜けて、西羌軍をやり過ごし、更に本陣へと。無茶にも程があるが、それでもやらなければならない。こちらを行かせない為に、少しずつでも妨害に入るだろう。それを抑えるための歩兵1万。彼らは全滅前提の捨石だ。三国側の反撃、或いは攻勢が強くなれば多少は生き残れるかもしれない。そして、それは敵本陣へと仕掛ける特攻部隊も同じ事。三国側の投石器まで使った一斉反撃で五胡・・・異民族連合の前線部隊も崩れかかり、混乱は未だ収まっていない。北方・西方異民族連合の主力後方部隊も、三国側の騎兵隊の行動に気付き始めて行動を始めるが、どうにも行動が鈍い。(これなら、抜けられるか…?)華雄は未だに行動の遅い敵主力を見やりつつ(いや、そこまで上手くは行かんな)と直ぐに思い至った。少しずつこちら側に対して移動、攻撃を試みる部隊が多くなり始めた。行動は遅いし、こちら側の機動力に叶わず攻撃に至らない場合が多いため、今のところは然して脅威ではないが。ただ、どうしても向こうの妨害が間に合ってしまうという所が出てしまうだろう。その時に一気に突破をするか、それとも更に迂回をするか。迂回をするとなると更に右側に逸れて行き、西羌の真正面、とまでは行かないが程近い場所に向かわねばならなくなる。さあ、どうしたものか? と思っていると。鮮卑の一部隊が、こちら側に向かってくるのが見えた。真正面からではなく、左前方から。「華雄姐さん、どないする!? あれこっち狙って来とるでぇ!?」「解っている!」言われるでもない、と得物を握る手に力を込める華雄。「呂布、どうする! 応戦・・・」「・・・」「おい、呂布?」返事が返ってこないことを訝しみ、再度呼びかける。「・・・ぐぅ。」「・・・まだ寝ているのか」『何故!?(やねん!?)(なのぉ!?)いやその状況でどうやって馬を!』楽進、李典、干禁の声が重なった。寝ているのにどうやって馬を操っているのだ、とかいう突っ込みも添えて。「うっくっくっく・・・いやあ、変わらんなあ恋は♪ 自分の出番が来るまではずっと寝とるつもりやなぁ?」張遼が肩を震わせ笑う。「まあ良ぇやろ、あんな程度やったら頭を潰せば終わる。見てみ?」溜息を吐く華雄と、『えぇ・・・』と困惑する3人娘、それに高順らも、張遼に促された方角を見る。一騎駆けの武者、その後方に続くそこそこの数の騎馬・歩兵部隊。先頭の武者は自分の力量に自信があるのだろう。追従して来る兵もその強さを理解しているのだろう。こちらとてそれは同じ事、だから解る。あれは先頭の武者の強さに引っ張られているのだ、と。「ふむ、そういう事か・・・」「我々と同じでしょうな。覚悟の程は違いましょうが」そう言って納得する沙摩柯と趙雲。「そういうこっちゃ。だから華雄に任せとき」「私か! 左側から来るのだから解っていたけどな!」張遼に言い返しがらも華雄は大斧を構え、他の将らは左前方、弓、構え。と兵に号令をかける。すると、戈を掲げる一騎駆けの武者は更に馬の速度を上げた。華雄は「ほぅ? 本当に自信があるようだな?」とそちらに馬首を向けて行った。「我が名は鮮卑が将、鬱築鞬(うつちくけん)! 貴様ら全員叩き斬ってくれるわぁ!!!」わざわざ「こちら側」の言葉で名乗りを上げた鬱築鞬は、華雄との擦れ違いざまに巨大な戈で斬り込もうとする。対する華雄は無言で大斧の刃の部分―――ではなく、刃の無い柄の部分を構える。「ヌゥッ!」「ふっ!!!」戈で真横に斬りつけた鬱築鞬だが、瞬間、華雄の姿が馬の背から消えて、戈が空しく宙を切った。「っ!? な、ぁ!!?」いや、消えていない。そのまま馬の側面にするりと落ちるかのように己の体を傾け、右手で馬の鞍を引っ掴んで無理やり落馬を防いでいた。そして、左手で柄の部分を思い切り突き出す。それは戈を振り抜いて隙だらけとなった鬱築鞬の脇腹に突き刺さった。「げぁっ」鬱築鞬は喀血、戈を取り落とし、脇腹に突き刺さった柄を引き抜こうとするがそれも無駄だった。その間に華雄は右手に力を込めて、自身の身体を馬の背に引き戻して柄に身体を抜かれた鬱築鞬を引っ張り、その頭を引っ掴む。この時点で鬱築鞬は柄に刺さったまま空中で固定される。突き刺された瞬間に少し身体を浮かされた為に馬から引き離された形になっている。華雄は苦痛に顔を歪める鬱築鞬の頭を右手で掴み脇に刺さった柄を力づくで引き抜き、ぽいっ、と後方に投げ捨てた。「ひ、あっ・・・え」空中に放り投げられた鬱築鞬。その先には楽進が居て・・・。ゴッシャァア!!!鬱築鞬の顔に、楽進の全力の裏拳が叩き込まれ、吹っ飛ばされた。まあ、死んだだろう。ぱっと見、目とか飛び出していた。もっと言えば頭蓋骨が粉砕されている。 鬱築鞬に付いて来た兵達は勇者と名高い鬱築鞬があまりにあっさり討ち死にした事に、浮き足立った。浮き足立ち、勢いを無くした事で棒立ち状態になった彼らは、号令通りに矢が射込まれてあっさりと戦闘能力を失い追撃する事が出来なくなった。それどころか、前衛が足を止めてしまった事、その理由に気付いていない後方部隊も混乱している。そんな彼らを横目に見つつ。「姐さん、何故私の方に放り投げたんですか…?」「スマン、なんかあいつの顔が油でベッタベタしてたからつい…その、投げた」戻って来た楽進の抗議に、華雄はゲンナリした表情で応える。「うっわぁ。華雄姐さんひっどいなあ」「凪ちゃんもえげつないのー」「なっ!? 私は悪くないぞ!? 文句は姐さんに言うべきだろう!」「いや、本当にすまない」『………』「お前ら何か言えよ!?」油まみれだから楽進の方に投げた、という華雄。そんな彼女を擁護する事も無く、且つ彼女の抗議に何一つ応えない張遼・趙雲・高順、兵士達であった。その後、呂布を先頭にした特攻隊は敵中核である鮮卑を目指して猛進していく。対して異民族連合、中央主力部隊は一部の兵を割いて妨害を仕掛けるがそれに向かって、歩兵1万が挑みかかって行く。騎馬隊の被害を少しでも減らすため、捨て駒のための捨て駒。彼らはそれを理解しつつ、それでも臆する事無く気炎を上げて突撃して行く。そんな歩兵隊に高順…いや、高順だけではなく、全ての兵達が彼らの無事を祈りつつ、見送る事しか出来ない。互いに、一人でも多く生き残ってくれ、としか思いようが無かった。特攻隊はひたすらに走る。命がけで時間を稼いでくれた彼らに恥じないように。~~~その頃の西羌軍、本陣~~~【暇じゃなァ・・・】【またですか、王よ。そのお言葉、何度聴いたか解りません。】本陣の天幕、寝台に寝転がった大男。頭は少々禿げ上がっている―――年齢は50かそこらか。五胡の者らしく、簡素な服だがその上からでも解る位、筋骨隆々。暇だ暇だ、と口癖のようにぼやいている。そんな彼の傍に立ち、呆れたかのような態度と、それを素直に言葉にするのは、同じく簡素な服と、こちらは仮面を付けた30歳ほどの女性。寝転がった大男に呆れたかのような態度。腰に手を当てて・・・彼女もまた、何度目になるか解らない溜息を吐く。【だって暇じゃもんワシィ。】【暇じゃもんじゃありません、お子様ですか。少しはシャキッとなさいませ。】【えー、ワシやだァ。大体こんな面白くない戦とは思わんかったわァ。】ここまでツマランとはのゥ・・・と、またぼやく男。【えーと、ほらアレじゃァ。鮮卑の・・・か、かひ・・・? かひぽー? じゃったかァ?】【軻比能、ですよ。かひぽーって何者ですか我が王よ。】【おお、そんな名じゃったかァ。あやつの提案に乗ったのが間違っておったなァ。ここまで心躍らん戦と知っておれば参加なぞせんかったわァ。】鮮卑から見れば中華の長城以南、西羌から見れば以東の中華軍。それと戦(や)り、中原を奪った後、五胡同士で覇権を争う。軻比能が言ってたのはそんなものだった。覇権そのものには興味は無い。ただ強い者と戦いたいという欲だけで突き進んできた彼は、その欲求を更に強い形で満たそうとしているだけに過ぎない。それが西方で馬騰と長年争ってきた男。西羌の王の一人、徹里吉。その傍に控えるは雅丹。強者と戦う事、そして馬騰と雌雄を決する事以外に興味を持たない主を影に日向に支える宰相。~~~楽屋裏~~~すいません今回短いっす(下座寝数年ぶりの更新です。皆様お元気ですか? 私はもう駄目です。あと・・・巣作りカリンを買おう!私はさっき購入してきました!(ステマ