【習作&ネタ?】真・恋姫†無双 ~~陥陣営・高順伝~~ 第128話~~~陳倉的日常~~~「いやー、参った参った」「だなー。あのクソガキ、これで負けたらぶん殴ってやる」いや斬罪じゃないかなあ、と周倉の暴言を聞き流しつつ自分も暴言を口にする高順。馬謖が到着し、それは良いのだが、直ぐに「軍議をするから来いなのです」と武将達に通達。そこまでは別に良い。高順は援軍の将として、一応は軍議に参加する権利あるでしょ? と参加しようとしたが「お前らが参加する必要は無いのです!」と拒否されてしまう。「おいおい、おかしいだろ」と高順は当然厳顔や魏延ですら文句を口にしたが、強制的に追い出されてしまった。去り際に「山頂に布陣とか言ったら殴ってでも止めてくださいね」と厳顔に言ったものの、望みは薄そうだ。「あんなへっぽこちんちくりんが大将扱いっておかしいたぁ思うけどよ…諸葛亮もガキだしさぁ。これが大将の言ってた「人材の薄さ」「派閥間の争い」って奴なのかねぇ?」「そうだよ。」この世界は子供でも実力あれば司令官になれるってことなのかね? と高順も首を傾げているが。「こっちも急いでもらわないと、色々危ないな…」「あー、あれか? 李の字に任せた」「ん。しかしあれ、量産できるもんなのかなあ」「本人が出来るっつーんだからやれるんじゃね?」「…ちょいと様子見に行くか。行こう、周倉」「あいよー」ガキーンとかガショーンとか、金属を叩きつける音が響く工房。本来はこの地に住む職人達の工房だが、とある目的の為にここを借り上げている。高順と周倉が足を運んでみると、李典があれこれ指示を出しながら自分も忙しそうに工房内を走り回っていた。「おーい、捗ってるか?」「うーっす」「あぁん!? 今忙し…って何や、こーじゅんにーさんに周倉やないの。」「どうだ、あれ。出来そうか?」「さっき、試作の一本は出来たんやけどな。まだ試し撃ちもしてへん。材料もやけど、ぶちこむ弾の調達がおっつかへんのや。」「出来たのかよ。材料は麗羽さんに頼んだが…あの人でもさすがに難しいか」「あーら。高順さんったら私を甘く見ておいでですわね」「おわぁっ!?」いつの間にか後ろに居た麗羽の言葉に、高順は本気で驚いて悲鳴を上げた。「そこまで驚かなくても。大体、遅れる以前に私に割り振られた仕事が多すぎるだけですわ。材料調達に、もしもの時のための傭兵集め。漢側の物資が足りないと見越しての物資集め…身体が幾つあっても足りませんわよ…」はふー、と疲れきった溜息を尽く麗羽。顔良と文醜も手伝っているとは言え、流石に無理難題だ。「そ、それはすまない。で、どんな按配なのかな?」「数自体は揃えましてよ。ただ、少し問題がありまして」「??? 材料? それとも人?」「人、ですわねえ…李典さん、私少し席を外しますわ。高順さんも一緒に来て頂ける? 会って欲しい人達が居りますの。」「はぁ。俺にですか。」「ええ。…周倉さんは来ないほうが良いかも知れませんわね」「へ? 何でだよ」「来るのなら止めませんが、多分、不愉快に」そう言って歩き出す麗羽の後ろを「何が?」と思う二人。連れて来られたのは、とある茶店…人払いはされている。ここに連れて来られた二人は「会って欲しい人達」に引き合わされて本気で驚いた。「あ…お前達はあの時の!」「あらぁ。お久しぶりですねぇ~」『え…袁術に、張勲!!』そう、孫策に追放され行方知れずになった筈の袁術らである。「こ、これは流石に…判断がつかない、って事ですね」「ええ。私の一存では何とも」「……」袁術主従を睨む周倉。睨まれている方は少し怖がっている。「な、七乃ぉ。怖いのじゃっ」「怖いですねぇ~。でもあれはお嬢様を憎んでいるみたいで私には関係ないみたいですよぉ」「あー、周倉。そんな目で見てやるな」「だから来ない方が良いってか」周倉は面白くなさそうだったが、それは当然だった。彼女は袁術の悪政を快く思っていない。麗羽が来た時は「まあ、血縁ってだけだしな。」と渋々ながら認めていたが、流石に本人が来てはそうも言えないだろう。「一応、どうしてこうなったか聞かせていただけます?」・追い出された後、益州方面で傭兵をして日銭を稼いでいた。・傭兵部隊を編成できるくらいになり、勢いに乗って益州で「仲」という国を建国しようとしたら、速攻で劉備達に潰された。・何もかも失い、途方に暮れて流離っていたら麗羽に見つかって連行された←今ここ。「……」「……」「……」説明をした麗羽も、説明を受けた高順達も無言。自業自得と言うか、劉備の情報を収集していなかったの? と言うか。(一時的に運気上昇してもどっかで底辺に叩き落される辺り、やっぱり袁術だよな。浮き沈みの激しさはおそらく三国志一だよなぁ…)「ま、まぁそこは置いとこう。しかし、随分とやるもんだな」「何がだよ、大将」「傭兵部隊を指揮して小なりとは言え国を建てかけるまで行ったんだぞ?」「…ちょっと待ってくれよ。こいつらを孫家の領内には入れないって話だろ? 受け入れるつもりなのか!?」俺は反対だからな! と怒鳴る周倉に、袁術主従はビクッと肩を震わせる。「まあ聞け。別にこっちで面倒見るとは言っていないんだ。麗羽さん、少し良い?」「はあ」「貴女はこの二人を受け入れるつもりですか?」「経緯はともかくも…高順さんのように、実績のほうに目を向ければ悪くない、と。張勲さん、思ったよりやり手のようで」「そこまでやれるならなんで孫家相手に打つ手なし状態になったのやら。ふーん」「攻めの戦に特化しすぎて他が駄目、と言うべきかもしれませんわね」流石に難しいかなあ、と高順も悩む話だった。有能さ、という視点で見れば中々の逸材だ。しかし袁術が爆弾過ぎる。大人しくしていれば、と思いもする。もう2度と会うことは無いだろうと思っていたが、なんか不幸っぽいし助けてやりたいところではある。傭兵隊の部隊長って事にして…戦功挙げれば…いやしかし。「麗羽さん。二人の世話、頼めます?」「宜しいの?」「傭兵として志願してきたという事にすれば…有能なのに放り出すとか出来ないし、むしろ手元に置いてしまうほうが変な暴走されなくて済むよな」「おい、大将」「まあ聞け。俺の部将として受け入れるわけじゃない。麗羽さんの商会の構成員にでもなってもらおう」ただし、と条件は付けた。「俺達とは戦場外で出来るだけ関わらないし変な野望も捨ててもらう。」麗羽さんが監督して、ここら辺に商店作って適当に任せてやりゃ良いでしょ、と結論付けた。「そういう話になったんで麗羽さんは二人に色々教えてあげてくださいな。周倉も、何とか抑えてくれ」「そこまで仰るなら…」「知らない振りはしますけど、責任を追及されたら俺の名前を出せば良い。それでも駄目なら」ここで責任とやらを果たすさ、と高順は自分の首を掻き切るジェスチャーをする。「…気に入らねーけど、大将がそこまで覚悟決めたんなら何も言わねぇ」「高順さんの首と引き換えにするくらいなら、全力で反旗を翻しますわよ」「やめてください本当に」彼らの話の最中、袁術と張勲は「やっぱり私達の受け入れには難色を示してますねぇ」とか話していた。「大体、妾はもっと早く別の場所に行こうと言って…あうう、麗羽に見つかるなんて災難じゃぁ…」「でも「もう動けないのじゃぁー、蜂蜜水を所望するぅー!」ってお嬢様が駄々コネまくってたから、それが原因で捕まったんですよねぇ。それを棚に上げて文句ばっかり言うなんて、流石お嬢様! 反省の色無し♪」「うははー♪ もっと褒めてたもー♪ …ぁ」そんなやり取りをしている二人を、高順達はジト目で見つめている。「なぁ、周倉、麗羽さん。こーゆー連中が、雇われ状態から野心満載で成り上がろうとか考えるだろうか」「考えねーと思う…」「考えたとしても、手段がありませんわ」だよな、と高順も納得した。(一応孫権殿に手紙書くか。まだ先は長いんだから使えるものは使いましょ、と。それに、袁家だって曹家に比べて劣るとは言え名家だ)勢力が大体3分割された現状で、袁家を奉じても意味は無い。かつての敵でも受け入れるって度量を見せるのも孫家にとって必要でしょ。となんとか自分を納得させた。その後、彼は孫権に手紙を出しており、それを見た孫権は「…はぁ」と溜息一つでその手紙を燃やした。孫権にも判断はつかず、曹操との対決直前の孫策に手紙を出し「高順の部下に袁術主従が紛れ込んだようです。本人も知らなかったようで、処遇で悩んでいますが如何します?」と判断を仰いだ。孫策としては領地を取り戻した所で袁術への遺恨は忘れていたし、今頃あの駄目っ娘が何をしようとどうしようもない、と解っていた。仲良くできればそれで良いけど、くらいにしか思っていないので「良いんじゃないの? 好きにやらせてあげて」と返書を書いている。その返事が高順に届くまでにかなり長い時間はかかったが、とりあえずは平和的に解決できたようだ。麗羽の話を終えて、高順と周倉は再び李典の元へと赴く。彼女に依頼した「新しい武器」の試し撃ちを見るためである。「おー。来た来た。早うしーや、始めるでぇ」二人に気づいた李典。彼女は既に準備を終えていた。他の職人連中も並んでいて試射を待っている。李典が手にしているのは、厳顔の使用する豪天砲を基にした「量産型豪天砲」とでも言うべき代物であった。事の発端は、この地に来て直ぐに豪天砲を間近に見た李典が大興奮したところからだ。「なぁ、なぁなぁ! 厳顔はん、これ何やの!?」「あ? 豪天砲がどうかしたかの?」豪天砲ちゅう名前かー。凄いわー、どーゆー構造してるんやろか? と興味ありありでじぃっと見つめる李典。高順はじめ他の面々も「凄いなこれ」と見ていた。鉄の塊ぶっぱなす武器やな、ものごっつい勢いで撃ち出すんやろうけど…鉄以外でも撃ち出せたりするかもな! と騒ぐ李典。厳顔が微妙に引くぐらい興奮している。と、そこで李典が「うぅん?」と首を傾げた。「なぁ、厳顔はん。これちゃんと整備しとんの?」「整備?」「せや。なんか錆あるし、きっちり整備せんときっちり動かんで。この類は」この言葉に厳顔はばつが悪そうに「うーむ、それがなぁ」と豪天砲を持ち上げた。「昔に購入したモノなんじゃがな。武器自体が特殊すぎるせいか、整備できる者もおらん。騙し騙し使っているが…」この頃は、狙った場所に飛ばないことも多くてなぁ、とぼやく。「なんで整備できる奴がおらんの? 製作者はどうしてん」「既に亡くなったと聞く。これが最後に作成した武具だ、とも聞いた。魏延の鈍砕骨も作成者は同じらしいがの」ここで李典の目が (☆ω☆)ラリーン と輝いたのを高順は見逃さなかった。内心(あ、やばい)と思い止めようとしたが李典が口を開くほうが幾分早い。「なあ厳顔はん。これ、うちに任せてみん?」「むう?」「こー見えてこの類の扱いには自信あるでぇ。時間と場所さえあればきっちり整備したる」「材料や道具は」「探せばあるやろ。幸いこの地域は良質な鉄が豊富にある。道具はうちが持っとるしな!」「ふん…失敗したら何とする? 」「ないない、失敗なんて絶対ありえんわ。万が一失敗したらこーじゅんにーさんが責任を取るし!」「うわこっちに飛び火した!? 勘弁してくれよ」「なはは。今言うたやん。絶対に失敗は無いって。うちの腕、信用できんかぁ?」自分を親指でビシィッ! と指す李典。確かにこういった仕事で彼女が大きな失敗をしたことは無い。小さな事で失敗はあっても、普段から整備・作成を続け努力をして自分を高める努力を怠っていない。それを考えれば失敗するなど思いもしないし、李典を心から信頼している高順には反対する理由も無い、とさえ言えた。失敗したら、それこそ上司である高順の責任になるが…こういう時にこそ、責任者の覚悟は必要だよな。と高順も覚悟をした。「…もし、失敗したら」「?」「俺の責任の及ぶ範囲で、何らかの補償をさせて頂く。何が宜しい?」高順のこの発言に、周りの面々は「いや、それは不味いのでは」と言い寄ったが、高順はこれを腕を上げて遮り厳顔の返答を待つ。「ほーぉ。では…代わりの武器は無論として、兵糧、武具、資金。それらで補填して貰えるのかの?」「ええ。兵糧であればこの都市の兵が1年で必要とする量を約束しますよ。今すぐ、とはいきませんがね。李典が失敗するなど思いもしませんしね。」「ふふん、言い切りよるわ。」「厳顔殿にとっては、自分の命を託す大切な武器。それを貸せと言うのです、それに見合うモノは用意しなければ」これは厳顔という存在がそれだけの事をするに足る、とも言っているに等しい。「ふ、はっはっは。そこまで言うのであれば否やは無い。おう、李典」厳顔は豪天砲を李典に手渡して「きっちり整備せぇよ。お主を信じたこ奴の信頼、きっちり応えてみせぃ」と笑った。「勿論や!」「ふむ。そうじゃな。失敗を期待するわけではないが、賃料を貰おうか」「そうきますか。貸した後に言うとは…」「ぬっふっふ。そう無茶を言うつもりはないわい。知ってる店でな、良い酒がある。しかし、これがちぃっとばかりお高くてなぁ」「奢れ、と」「旨い酒、旨い肴。賃料としてはこれで充分よ。戦があれば更に良いがなぁ!」わっはっはっは、と大笑する厳顔。「はぁ…解りましたよ。じゃあ、今日は俺の奢りです。皆も良いよな? 俺は呑めないから厳顔殿に付き合ってくれよ?」「ふ、そこまで仰るなら仕方ありませんな♪」タダ酒、という事で趙雲はご機嫌である。楽進らも悪い顔はしていないが、やはり複雑そうではある。「軍務もあるから程ほどにな…」「では、案内するとしよう。楽しみよなぁ」機嫌よく歩く厳顔。その後ろを歩きながら、高順は李典の肩をぐいっと抱き寄せた。「頼むぞ」「にっしし。信頼にはきっちり応えるでー♪」李典も高順を抱き返し、満面の笑み。それから数日。李典は趙雲や楽進に手伝ってもらいつつ普通の錆、血錆。詰まっていた埃などをきっちり取り払い、綺麗に磨き上げ、へたっていた部品を取替え。彼女は胸を張って「どや! 最高の状態に仕上げたでぇ!」と厳顔に豪天砲を返した。厳顔も愛用武器の仕上がりを見て、実際に使用してみて出来栄えに満足。「見事に応えたな」と李典を褒め称えた。が、それだけではない。李典は信頼通りに豪天砲をきっちり整備してみせ、更にその作成技術をモノにしていた。その後直ぐに李典は「豪天砲、作成してええ?」と高順に聞くのであった。厳顔の持つそれよりは細身で、しかし長くなった砲身。李典オリジナルの豪天砲は「ある程度は使いやすく」がコンセプトだった。厳顔の所持するものは銃剣、というよりは銃刀と言うべき物が取り付けられていて近接攻撃も可能だ。どちらかと言えば質量で叩き潰すと言うのがしっくり来るが、あれはそれだけの膂力が無いと振り回すことすら困難な代物だ。整備をしている最中に「これを使いやすくするにはどうしたらええ? 短くは出来んから長くするしかない。それやったら振り回すより純粋に刺突用の鋭剣…いや、戟みたく…」と考えた結果が、この外見になった。元々の原案は「これを量産できたら兵数の疎を埋める事が出来るかもな?」と整備作業を見ていた趙雲が発した一言からだ。厳顔のと同じ形では弾の重量なども加算されてまともに振り回せない。どちらかと言えばあれは攻城などで威力を発揮するべきもので、人に対して使うには明らかにオーバーな物だ。それを対人限定にすればこうなる、という形にすぐに修正してそれをこうして形にしたのだから、李典もまたチートな存在である。(何度も試用して、色々調整を続けてきたんや。まだまだ弄る所はあるけど、現状ではこれで手一杯。こーじゅんにーさんも期待してくれとる…成功させたる!)誰も彼もが固唾を呑んで見守る中、李典は木で作った的に照準を合わせて、すっと引き金を引く。瞬間、的が「ぱかんっ!」と音を立てて割れた。「おお」「…おおおおおっ」「っしゃぁ! 大・成・功やーーー!!!」職人達も李典もガッツポーズやら喚声を上げるやらで大興奮。立ち会った高順ですら「すげー…」と呆気に取られるくらいだ。「照準良し。射程も威力もまあ期待通り! 木の杭とかも撃てるように調整すれば多少は資材も再利用できるやろなー。あとは連射速度を上げたり出来ればええけど…そこまでは無理やな」あとはこれの数を揃えて一斉発射すればどんなんなるやろなー! と、鼻息が荒い。「凄いなぁ」「せやろ、せやろ!」「武器もだが、こんだけの物を作れるとは。設計図も何も無しに…」「ふふん。図面からやったらもっと時間かかったやろうけど、まんま手本があったんや。ウチに出来ん訳があるかいな」「だが、金属を加工するには人手も時間もかかっただろ? これだけの短期間で」「あー、それか。実はな、うちが自分で雇った奴があるんよ。そいつがまた凄い奴でなぁ。加工技術に関してはウチ以上やで?」「いつの間に雇ったんだ? いや最初に話を通して欲しいけど。で、その凄い奴って誰だよ」「蒲元(ほげん)って奴なんやけど」「…はぁ?」「誰? 大将知ってるか?」神刀じゃねーか…。何でそんな大物が居るんだよ、と高順は何度目になるか解らない複雑な気分になった。「後はこれを量産できるかだけど。あとどれくらい作成できるもんかね?」「いいとこ10くらいやろなぁ。これにしたって、攻めよりも守りで使うべきモンやし。」「連弩みたくはいかんか」「…なぬ? 連弩?」「うん。ああいった形で運用でk「それやあっ!」「!?」「そうやそうや、そういえばそんなんもあったなぁ! けど普通の弩はともかく、個人携帯できる連弩なんてあったか…? 威力は低い…せやけど毒を塗れば…」「…(何と言うか、地雷を踏んだと言うか踏み抜いたような気がするな)」実際にこれは地雷だったようで、李典はほぼ不眠不休に近い形で個人携行型連弩と量産型豪天砲の生産にかかり、街停の戦いまでに各々10丁ほどを作成。テストも行い、実戦に耐え得ると判断して全てを投入していく事になる。街亭への行軍中これらを見た蜀漢軍には「あいつら何を作ったんだ?」と思われていただろうし、厳顔などは「豪天砲を量産じゃと…? 後で見せてもらうか。しかし、これを量産するとはなぁ」と素直に驚いていた。これで多少は街亭の戦いも楽になるだろうか、と考えていた高順だが魏軍が姿を見せない。いや(結局)山の上に布陣しても、魏軍が出撃してこない。布陣する前にある程度の小競り合い。相手方の斥候がこちらの出撃を察知している頃合になっても出てこない。何より、向かう最中にある村や町。そのほとんどが破壊されていた。魏が自国の領内を荒らす理由が無く、かと言って蜀漢からしてもそんな事をする理由も無い。これはおかしい、と高順はその時点で「影」に探索を頼み、同じく不審を抱いた厳顔らも細作を放って情報収集を開始。街亭に布陣して直ぐに、厳顔と高順の両方に情報が入ってきた。「魏軍、街亭より完全撤退。更に、街亭より東方にある安定も壊滅状態にあり。居住地も破壊され民も多数死傷」誰がやったのか、そもそも何故そんな事になったのか。こちらが出撃するよりも前に、どれだけの兵が動いたのか。何一つ解らなかったが、この報告を受けてすぐ高順は厳顔・黄忠の陣に使いを出した。一刻の猶予も無い。直ぐに漢中方面へ進むべし。殿はこちらが務める。この「提案」に厳顔と黄忠は直ぐに「応」と返事を返し、軍を纏めて東方へ進軍。馬謖に相談しなかったのは高順が「諸葛亮・龐統・馬良ちゃんならともかくあのお子様に状況を纏めれるとは思えん」と至極真っ当な感想を抱いていたからだ。実際に「どどどどどうしようどうしようどうしよう!!!?」と慌てるばかり。緊急事態に即応できないのは諸葛亮譲りとも言えたが、その馬謖に話を通すより厳顔達に提案をしたほうが絶対に良い、とこれまた真っ当な意見がある。その考え通りに厳顔はきっちり軍を掌握して東方へと向かってくれたのだから、有難い事だ、と高順は感じていた。漢中へ向かって急進する中、沙摩柯が高順に並び話しかけてきた。「高順。この状況を作り出したのは誰だと思う」「誰、と言われても。うーん。山賊じゃ無理。かと言って纏まった兵を集めてそれを一気に進軍…。…ん!?」この時期、というか三国鼎立状態で勃興する勢力などそういない。もう少し時代が下れば、魏国内で兵乱が起こっただろうがあれはあくまで国内での反乱に過ぎない。では、それ以外の纏まった勢力と言えば。「西羌か氐族、その両方ですかね」「かもしれん。烏丸は誰と結んでいた? 山越や南中を一時的とは言え孫家と同盟関係に持ち込んだのは誰だ? 公孫賛、お前だ。ではそれ以外は?」「抑える人が居ない、だから攻めてくる。ですか」「西羌と氐族を抑えていたのは西涼の馬家。魏では抑えきれずに、という事は考えられる。大体、異民族と呼ばれる人々だ。漢民族に良い感情を持っていない奴も多い」「だから、漢民族の居住区を破壊して、そこに住む人々を虐殺して回った?」「充分考えられるだろう? 本気で急がせたほうが良いぞ。何せ奴らは見境無い。何もかも潰して殺して真っ平らにするつもりだ」「うーん。そうなると馬騰殿にも御出馬願うべきだな。あと、関羽殿にも手紙書くべきか。じゃないと劉備軍の展開力が薄くなるしな。」「ただでさえ数が少ないからな、劉備側は」「うん。ったく、民族が違うってだけで殺しあって滅ぼさんと気が済まん連中ばかりかねー」言い捨てる高順を見やり、沙摩柯は「お前みたいな奴のほうが少数派だ」と少しだけ笑った。「しかし、こうなると魏はともかく劉備の方が危ないな。」「何であれ急がないと不味いか。しかし、こっちは殿だからな。一部だけ漢中に急行させて良いか打診してみるか」そんな話をしている彼らの近くで、趙雲達もこんな話をしていた。「なあ、凪、真桜。あのお二人はあのように言っているが…」「なんやねん、急に」「どうしました、星殿」「高順殿がいなくなったら、南中はもとより山越、武陵蛮、五渓(ごけい)蛮らの諸族は誰が抑えるのだろうな?」「それは…」「どうなんやろうなぁ」「抑えが居なくなれば、か。どう対応するのが正解なのだろう。今のうちに考えておかねばならんのかもなあ」「あらあら、随分と気忙しいこと」「麗羽? 気忙しいとはどういう」「そのままの意味でしてよ。本当に西方異民族相手なら、先よりも今を考えたほうが宜しくてよ?」「せやなあ、こんだけの数しかおらんし。今襲われたら逃げるのに手一杯やで。今んところそれは無さそーやけど」「馬騰殿、孫権殿。下手をしたら南中諸族にも応援を要請しなければいけない状態。魏と孫家の戦いに横槍が、といったところですね」「ええ。今のこの状況を乗り切れるかどうか。異民族の抑えよりも生き残るやり方を考えるほうが先ですわよ」「麗羽の言うとおりだ。まずは漢中にたどり着かねばな」漢中方面へ進軍する蜀漢と高順隊。その途上、漢中へ近づくにつれて次々に。「魏軍と蜀漢軍が交戦していた五丈原に西方異民族が乱入。魏軍は被害を出しつつも撤退。蜀漢軍は数の少なさもあって壊滅」「張飛、劉備らの撤退を助ける為、西羌軍に突撃。時間稼ぎは出来たものの力尽き戦死」「諸葛亮ら、蜀漢の参謀も逃げ切れず討ち取られる」「劉備もその際に重傷を負い、僅かな供回りと漢中へ逃げ込むも、その傷が元で死亡」芳しくないどころじゃない知らせが入ってくるのであった。~~~楽屋裏~~~「あいつさんや、MH4とGE2でキャラ作成しただろ、名前教えれ」「八雲○と」「東○厨め」「全裸いだー飛竜」「どうしてそうなった」 あいつです(挨拶遅れに遅れて申し訳ありません。死なすかどうか迷いましたが「まあいいや」で(非道遅れた理由についてですが上記全てですね。ごめんなさいorzそういえば、璃々ちゃん置いてけぼりにしてしまいました。…大丈夫だろう、うん、きっと。ここからは真恋姫蜀ルートラストに近い流れとなります。さすがに魏呉蜀に100万ずつ侵攻してくるとかはないですが。どんな形に持っていこうかな…それでは、また次回。