【習作&ネタ?】真・恋姫†無双 ~~陥陣営・高順伝~~ 第11話高順です。いかがお過ごしでしょうか皆様。だからね。行く先々で厄介ごとに巻き込まれるのは俺の体質ですか?そうやって叫びたい気分です・・・。大梁までの3日ほどで、高順と楽進たちは随分と打ち解けていた。3人ともすぐに高順に真名を教え、呼ぶことを許可してくれている。最初に真名を教えてくれたのは楽進・・・凪だった。それについては沙和と真桜も随分驚いていた。「あの堅物の凪が!?」といった感じに。凪も「そんなにおかしいか!?」と叫び返していたが。僅か3日間だけの旅だが彼女達の性格について高順は大体理解できていた。何より彼女達のやり取りが楽しい。彼女達が高順の話を興味深そうに聞く時もあった。一番興味があったのは彼女達の腕前だが、これもまた大したものだった。凪は格闘家で「気」というものの使い手だという。かめはめ○のようなレーザーっぽいのは撃てないが、気で弾を作り出し、それを放つ程度のことは出来ると。それくらいの技を持っているので恐らくは硬気功とかもできるのだろう。真桜はどちらかと言えば技術者のようなタイプだそうだ。彼女の変わった槍、螺旋槍という穂先が回転する槍も自作だと言うし、凪と真桜の武具も彼女お手製だと言う。沙和は2人に比べてパッとしないが、2人に比べて普通の女の子らしい感性を持っている。悪い言い方をすれば「中庸」、良い言い方をすれば「バランスが取れている」といったところか。一番性格的に苦労していそうなのは凪だと踏んでいるが。そんな形で僅か3日の旅は終わりを告げるようとしている。「予想通り、賊に襲われるようなことも無かったし・・・今回は平穏に行きそうだな。」と高順は考えていた。そして3日後。ようやく彼女達の村に到着した。だがそこは・・・。唯の廃墟と化していた。「なんや、これ・・・」真桜が信じられない、と言った表情で首を振る。本当に何があったというのだろうか。確かに、村だ。いや、村だった、というべきか。そこそこの数の家があり、規模も決して小さくない。高順が見たところ住んでいたのは200人ほど、と予測した。ただ・・・多くの家が焼かれ、崩れ、原形を留めていない箇所もあった。何よりもこの死人の数。30や40ではきかない。老若男女問わず、といったところだ。「どうして、こんな・・・。」凪もうろたえるばかりだ。「おおーい、誰か!誰かいないのかー!」すると、どこかに隠れていたのか子供数人が出てきた。「その声、凪お姉ちゃん?」「佐和お姉ちゃんに真桜お姉ちゃんもいる!」「・・・でっかいお馬さんと知らないおじさんもいる・・・。」「皆、無事だったのか・・・良かった。」少し安心したのか凪がしゃがみ込んで子供達を抱き締める。沙和も真桜も駆け寄って来て子供達の無事を喜んでいた。高順は・・・「おじさん」呼ばわりされて少し落ち込んだ。「ところで、何があったんだ?他の皆は無事なのか?」凪は子供達に尋ねた。「よくわかんない・・・。知らない人がたくさん来て・・・。他の皆もまだ隠れてる。」「あたしたち、お姉ちゃん達の声が聞こえたから出てきたの・・・。」「そうだったんか・・・自分らの両親とかは無事か?村長は大丈夫なんか?」「うん、村長さんなら家にいると思うよ。でも・・・。」やはり、何人か家族を亡くしたものがいたのだろう。その先を言おうとしない。「そっか・・・頑張ったな。偉いで。」真桜はそう言って目の前にいた少年の頭を撫でてやる。そこで、今まで我慢していた何かがきれたのか。少年は大声を上げて泣き始めた。それにつられるような形で、周りの子供達も。凪、真桜、沙和。彼女達は泣いている子供たちをしっかりと抱き締めていた。そして、彼女達も・・・静かに涙を流していた。高順と虹黒はそれを見ていることしか出来ない。自分たちは部外者だ。このような状況で出しゃばるべきではない。なんとなく、高順は殺された人々を見てみる。子供の盾になろうとして、共に・・・恐らく槍で貫かれた母子がいた。背中を切りつけられて死んだ老人もいる。首を切りつけられた青年や、鍬で応戦しようとしたと思われる人もいた。そして、恐らくは賊だろうと思われる亡骸もあった。やはり、賊か。「くそっ。胸糞悪い・・・!」いつも、弱い人々ばかりがこんな思いをする。自分より力のあるものにはかかって行かないくせに。高順は褚燕と、彼女の村のことを思い出していた。自分より強い存在に必死に抵抗しようとした人々。その思い実らず、追いやられていった人々。高順には褚燕の村と、この村の今の惨状がどうしても重なって見えてしまうのだった。このまま亡骸を放置するのは忍びない。考えた末、高順は墓穴を掘り始めた。凪達は子供達を家に帰した後、村長の家に向かって行った。何があったのかを聞きに行ったに違いない。高順は亡骸を穴に埋めていいかどうか迷ったが、そのまま埋めていくことにした。村の外側に穴を掘ったので邪魔にはならないだろう。少しずつ、丁寧に穴の中へと遺体を納めていく。賊の分まで作ってやるのはやりすぎだと思ったが・・・死んでしまえば皆同じだ。放っておいても周りの迷惑になるのは解っている。一応、村人の感情を考慮して村人の墓からは随分と遠くに墓穴を掘って置いた。賊の亡骸を抱えようとしたとき、高順はあることに気がついた。その賊の左肩に少しだけ見える程度だが「黄天」と刺青のようなものがあったのだ。「黄・・・まさか、これって?」そうか、ついに来たって事か?いや待て、俺の知ってる知識でならまだこいつらが一斉蜂起するのはまだ1年ほどの猶予があるはずだ。ってことは。末端の統制の取れてない連中の仕業か?しかし・・・高順は一人でぼそぼそと呟いていた。彼は時折考え事をするとその考えを呟いてしまう癖がある。その上周りの状況お構いなしにそれをやってしまうこともある。何も知らない人が見ればただの危ない人にしか見えない。そしてすぐ側に凪がやってきているのにも全く気がついていなかった。「あの・・・高順殿?」「誰が率いているかにも・・・うーん・・・。」「・・・高順殿!」「おふぅっ!?」「さっきから何を独り言を・・・。」凪が胡散臭いようなものを見るかのように高順を見ている。「あ、あー。すいません。どうも考え事をすると独り言を続けてしまう癖があるようで。凪殿にも全く気がつきませんでしたよ。」「そうですか・・・ところで。」凪は周りを見渡す。「この墓穴・・・高順殿が?」「ええ。部外者ですからあまり村のことに干渉するのもどうかと思ったんですけどね。亡骸をそのままというのも後味が悪くて。すいません。」「いえ。高順殿のご厚意に感謝したいくらいです。村の皆も完全に意気消沈してしまって・・・。」凪ははぁ、とため息をつく。「高順殿。村長が礼を言いたいので家までお越しいただきたい、と申しています。」「へ?しかし・・・。」「本来なら、村長本人が来るべきなのですが。」いや、そういうことを言いたいわけじゃないのですが・・・。なんで関わりたくないことに限って関わらざるを得ない状況を作られるかなぁ?でも事情を聞きたいところではあるよな。もし黄色の人々が関わってるなら今回1回だけじゃ済まなさそうだし・・・。またしても考え込む高順に痺れを切らしたのか、凪は高順の首辺りを引っ張って歩き始めた。「さあ、行きますよ、高順殿。」「って凪殿!?引っ張らないで!首!首がしま・・・えげぇふっ!?」~~~村長の家~~~「3人を助けていただき、本当にありがとうございました。高順さん。」村長は足を負傷していたが、律儀に立って高順に頭を下げた。「いえ。むしろ俺のほうが迷惑をかけてしまいましたから。」そう言って高順も頭を下げた。両者共に律儀に頭を下げてるので感謝してるのか謝罪してるのかよくわからない図だった。村長が足を引きずりながら椅子に座り、高順にも、どうぞ、と薦める。遠慮しようかとも思ったが、黄巾のことで聞きたいこともある。考えた末で買う順も椅子に腰掛けた。凪たち3人娘も座っている。「凪から聞きましたが、死者を弔ってくれたとか。本来なら我々がやらなければいけないことなのですが・・・。」村長の表情は晴れない。「部外者がこんなことをするのはどうかと思いましたが・・・やはり放っておけない性分のようでしてね。」「いえ、感謝しております。・・・ところで高順さん。悪いことは言いません。早くこの村を出立なさってください。」村長の言葉に3人娘が立ち上がって抗議をする。「村長、それはあんまりとちゃうか!」「そうなの!さっき到着したのに出てけなんて酷すぎなの!」「その通りです!」随分と頭に血が上っているようだ。「落ち着きなさい3人とも。早くせねばまた奴らが来る。恩人を巻き込みたいと申すか?」「それは・・・。」「陳留に救援要請をしようとも思ったのだが・・・皆怯えて外に出て行きたがらない。もしかしたら監視されているかもしれない。馬も無い。どうしようも・・・」「・・・。」村長の言葉に項垂れる凪たち。どうやって会話をそこに持っていくかな?と考えていた高順にとってそこは狙い目だった。「奴ら、とは?この村をこんなにした連中のことですか?」「ええ、その通りです。奴らはまた来るといっておりました。それが何時かは解りかねますが・・・このままでは危険なのです。」「その「奴ら」の素性・・・よろしければお聞かせ願えませんか?」村長は迷っていたようだが、しばらくして口を開いた。「彼らは自分たちのことを「選ばれた神の使い」と。「この村はこれより我らの支配下に入る。全ての物資を献上せよ」とも言っておりました。」「何やそれ・・・!勝手な言い草しおって!何様のつもりや・・・。」「真桜、落ち着け。」「従わねばこうなる、と言って数十人の村人を殺していきました。抵抗をした者もいたようですが・・・。」従えといいながらも村人を殺すか。物が目当てなのは分かりきっているが・・・全滅させるつもりはないということか?今はまだ準備期間ということか。その為に無用な混乱は避けたいと?それにしてはやり方が雑すぎるな。所詮は物目当て、だな。だから賊の死体も残ってたわけだな。これで大体何者かはわかった。あとは最後の確認をするだけだな。「その賊ども。頭に黄色い布を巻いていませんでしたか?」「な、何故それを?」高順の言葉に村長が驚く。「やはり、そうでしたか・・・。」「高順殿・・・何かご存知なのですか?」「ええ。ある程度は。」聞いてきた凪に高順は首肯する。ただ、これを喋っていいかどうかについては高順も悩んでいた。まだ彼らの表立っての行動はあまり無い。今回の一件に関しても名を借りたとか、真似をしただけの暴徒である可能性も捨てきれない。その辺りまでは判断できない現状で言ってしまっていいものか?まだもう1つ聞く必要があるな。「その賊を仕切ってる奴の名前は聞きましたか?あと、どれくらいの人数を率いてました?」「確か・・・波才、と。数は・・・300ほどでしたかな。」・・・大当たり。潁川の黄巾勢力作った1人。つうかリーダー格だろ、波才って。それが300人ほどしか率いてないというのは疑問だが。もしかしてこれから勢力作るつもりなのか?でも、もし本人だとして。今のうちに討っとけばこの当たりの勢力は弱まるよな。もし弱まらなくても有力なリーダーを討ったってだけで十分かもしれない。少なくとも、この人たちは救われる。潁川の勢力が少なくなれば官軍も楽できる→その分戦力を他にまわす余裕が出来る。そんな図式が高順の頭の中で組みあがった。問題はどうやって戦うか、ということだ。この村に、戦える戦力というのはほとんど存在しない。凪たちと自分、あと虹黒のみだ。なんとかして陳留あたりから兵士を引き出したいところではある。何もせず一度帰還した、というのは脅しもあっただろうが・・・おそらく、戦力を補充或いは拡充するために去って行ったのでは?潁川黄巾の全盛期であった数万やらの兵力を出してくるわけはないと思う。しかし、もし自分の読みどおりだとしても千規模の兵を動かすことも予想できる。やはり、この村の人間だけでは・・・。高順は必死になって考えた。この村を褚燕の村のようにしてなるものか。あんな結末はごめんだ。「村長さん。もう1つだけ聞きたい・・・いや、確認したいことがあります。」「はて・・・なんでしょうか?」「あなた方はどうするおつもりです?」「・・・?」「このまま屈するか。勝てる見込みが薄くても抵抗するか。あなたの、そして村の人々の意思をお聞きしたい。」「そんなん解ってるやろ!徹底抗戦や!」「落ち着いてくださいね、真桜殿。あなた達が戦うつもりでも村の人々は違います。」「ぁう・・・。」「我々は戦いたくありません。いえ、戦えません。」沈痛な表情で村長は呟いた。「前に見せしめに殺されたのは若い者ばかりでした。今残っているのはわしのような老いぼれか、年端も行かぬ子供ばかり。抵抗したくてもできないのです・・・。」「・・・。そうですか・・・。」駄目か。彼らがやる気を出して協力してくれなくてはどうしようもない。村長が協力してくれる気になっても村人全員がそうだというわけでもない。手詰まりか。いや?何も全滅させなくてもいいのではないか?波才なり誰なり捕らえて曹操に突き出せば。丁原様も黄巾の存在を知っているんだ。曹操も知っている可能性が高い。どちらにせよ、彼らをどこかに逃がさなくては。陳留以外の選択肢は無さそうだったが。他の村に行くにしても数日かかるようだし、いつ襲われるか解らない現状ではそれが一番無難といえる。(ここで黄布の勢力を削いでおきたかったんだけどな・・・。)だが、戦えない以上は仕方が無い。逃げる策は考える必要は無い。誰かを先行させて陳留へ助けを求める。その間に全員で陳留を目指す。それを3人娘や自分だけで担うのは大変そうだ。怪我人もいるし、年寄りや子供もいる。僅か3日ほどの距離だが随分と長い逃避行になりそうだ。「あの・・・。」そこへ凪が遠慮がちに声をかけてくる。「ん?何でしょう?」「色々と考えてくださるのはありがたいのですが・・・高順殿を巻き込むわけには行きません。どうかお逃げを。」「そうなの、早く逃げて欲しいの!」「せやなぁ。せっかく助けてくれたのに、悪いけど。」「ふーん・・・。で、皆さんはどうするおつもりで?」高順の問いに凪が困ったように答える。「それは・・・陳留に逃げるくらいしか。」「お尋ね者なのに?」「うっ・・・。」「死にますよ、このままじゃ確実に。黄巾が黙ってると思いますか?」「覚悟の上なの!」駄目だな、人の話を聞いちゃいないよ。説得しても聞いてくれないだろうな・・・。高順はため息をついた。「解りました、解りましたよ。それじゃ、俺は逃げさせていただきますよ。」「はい。お世話になりました。それとこれを。」凪は翡翠の璧と銀の延べ棒を高順に渡した。「これはもう不要になってしまいました。高順殿、お達者で。」「ほなな!」「さようならなの!」「・・・。」高順は背を向けて、その場を後にした。~~~楽屋裏~~~どうも、あいつです。この回、実に難産でした。4回は書き直しましたよ、ええ。今回に限らず、この作品全体があれな出来なので偉そうなことはいえませんが、今回はあまり納得できてないですね。本来ならもっと平和的に行くはずでした。流石に3人娘だけでは勝てないでしょう。魏の暴走特急こと惇さんなら勝てるかもしれないですけどwやる気の無い人々を戦争に送り出せませんし。話を作るのは難しいです。基本的に行き当たりばったりで話を作ってるのにも原因が(以下略それと、ここから更新速度少し落ちるかもしれません。忙しいの(吐血むしろ今までが早すぎたのでは?と思う今日この頃。それではまた。~~~楽屋裏終了~~~~~~陳留へ続く道~~~「まったく、いきなり頭突きをかまされるとは。」高順は真っ赤になった自分の頭を押さえつつ文句を言った。あの後虹黒に乗って陳留へ向かおうとしたところ、出会いがしらに頭突きをされたのだ。高順は虹黒が何を言いたいのかはわかっていた。「あの村を見捨てるつもりなのか」と。そんなことは解ってるさ。俺は見捨てない。1人でも多くあの村の人々を救ってみせる。勿論凪殿たちも。俺の力では無理だ。だが曹操を動かすことが出来れば。「それにはまず、お前の助けがいるんだよ。虹黒。」「・・・。」虹黒は更に走る速度を上げる。「頼んだぜ、虹黒。・・・正直会いたくないし、会わせてもらえるかどうかもわからないが。・・・治世の能臣、乱世の姦雄。超世の傑と呼ばれた人の顔を拝みに行きますか!」「ぶるっ!」全速力で走る虹黒。彼らが目指すのは陳留。曹操との出会いの意味。そしてこれから始まるであろう戦いと、その結果動くかもしれない歴史。それが何をもたらすか、それはまだ・・・誰にも解らない。