【習作&ネタ?】真・恋姫†無双 ~~陥陣営・高順伝~~ 第107話。周泰と趙雲の部隊が突入した事で、大勢は完全に決していた。というより、高順が手傷を負った以外は特に大したことでもなく、孫策と周倉だけでも対処可能ではあった。何せ周倉は軽装型とは言え藤甲鎧。火矢がなければ、実質ダメージはない。ともかくも、周泰とその隣に居た少女が隠れている暗殺者をあらかた討ち果たし、その中でまだ生きている者を縄で縛り上げ、孫策の前に引き出していた。「いやぁ、良く来てくれたわね。おかげで助かったわ。ところで、そっちの子と、あなたの後ろに居るのは?」孫策は周泰を労い、それから興味深そうに周りの連中を見渡す。孫家の兵ではないようで、どちらかと言えば海賊といったほうが良いような風貌の者ばかりである。「いえ、孫策様や高順様がご無事で良かったです! あ、こっちの子は私の友人で蒋欽。周りの人達は・・・」説明によると、蒋欽も周りの者も、周泰の昔なじみの元水賊らしい。元が賊であるために戦い方は乱暴なものだが、腕は確かという連中だ。特に蒋欽は、茂みの中に隠れている暗殺者を確実に矢で射抜き、死んだ振りをして隙を伺っていた者の演技を見抜き、頭を踏み砕いて殺す。見た感じでは周泰と変わらない年齢で、女の孫策から見ても可愛い部類の蒋欽だが、人を殺す技術、あるいは冷酷さでは周泰以上の物を覗かせる。人の上に立つには不足だが、あの技術は・・・言い換えれば人を守る技術にもなり得る。人材ってゆーのは、知らないだけでそこら辺にいるものなのねー、とか思う孫策。蒋欽は、3人の暗殺者を縛り上げ孫策の前に引き出している。途中で暗殺者の口の中に手を突っ込み、彼らが「自害する為」に歯に仕込んでいた毒を歯ごと引き抜いていた。中々におっかないというか怖いというか。ここで孫策「・・・あれ?」と、蒋欽の顔を凝視する。どっかで見たよーな・・・うーん、とちょっと悩み「・・・あー、そういえば!」と思い出す。「そーよ、あんた! 私たちがよく使用する海運業者の1つよ!」「あ、覚えてた」蒋欽、彼女の海運は元々周泰も所属していた水賊集団が中核となって旗揚げしたものだ。周泰が孫家に拾われたと同時期に、水賊衆は海運業へと転進していたのだ。既に権益を持っている他の海運ばかりがある中で作成された海運である為、初期は苦労しっぱなしであったとか。だが、周泰からリークされた情報・・・例を言えば袁術との戦い、もっと言えば反董卓連合や黄巾の乱の時も、蒋欽属する海運が孫家の為に働いている。人員・物資移動。或いは物資保護などなど。元来水賊で、船の扱いのみならず戦にも慣れていた彼らだが、規模は小さいながらも確実に仕事をする、として、仕事があれば名指しで指名される程度には信頼されている。規模が小さいからか、孫策勢力が弱小時代の頃からも声がかけ易かったという事。加えて、初めて仕事を任せた時には海運、つまり蒋欽側から「生意気かもしれないけど、最初の料金は貰わない。私達の仕事を見て、信頼できると思ったらこれからも使って」と言い出し、前述の通りの仕事ぶりを見せた。孫家が弱小であった時にも、安めの価格(規模が小さいから可能だった)で仕事を引き受けてきっちりと仕事を果たす、というのが魅力であり、その関係は今でも続いている、というわけだ。孫策は彼女らの仕事ぶりを見て「直接孫家の下で働かない?」と持ち出していたが、蒋欽はそれを断っている。今自分達を受け入れては孫家が苦労をするから、が理由だが遠まわしに「孫家が大きくなったらまた声をかけて」という事でもある。今回の戦(赤壁の事)でも蒋欽らは物資集積や人員輸送などで動いていたが、孫策は蒋欽の顔を見るまで、約束を忘れてしまっていた。単純に忙しくてそれどころではないという事情もあれば、そういった実務の殆どは周瑜が担当していたので、あまり会う機会も無かった。(蒋欽が周泰と繋がっていた、という事も知らなかったし・・・広いようで狭いものねぇ)さて、周泰がそんな連中と同行していた理由は、と言えば・・・「ん? ちょっと待って。なんで兵士連れてこなかったの? 貴方にも兵士いたわよね?」「あぅぅ・・・実はですね。そのぅ・・・反乱が起こったみたいで」「・・・え? 反乱? えーと、周泰の部隊で? それとも寿春内部で? ・・・もしかしてけっこう規模が大きかったり?」「うぅ・・・その、後者ですぅ・・・」「・・・・・・・・・・・・後者って。」寿春内部で何者かが武装蜂起。要所に攻撃を仕掛けて来て内部は大混乱に陥っているという。しかも、規模が大きく、少なく見積もっても1万の兵力があるようだ。この兵には待ちに流入してきたならず者が多く含まれている。当初は孫策を探していた彼女、孫策が待ちの外に居ると突き止めた時に街中に居た為、きっちり反乱に巻き込まれてしまっていた。元々、周泰は密偵方として働いていることが多い為、戦争中以外では兵を率いることも少なく任されている兵力自体も多くない。なので、まず孫策を探すか、他の武将と連絡を取るか・・・を考えいといけなかった訳だが、そこで周泰は連絡を取りつつも昔馴染み達の力を借りることにした。蒋欽は「こんなことで力になれるのなら」と快く応じ、戦力となる者を集めて反乱軍の規模と、何を狙っての動きなのか。そこはまだ解らないが、どこかの主要部を当たれば最低限、誰かと連携できるだろう。そう考えて蒋欽に手伝って貰い少々の情報集めを行い、また水賊衆のおかげで、水軍の訓練を行っていた黄蓋とも合流できた。流石というべきか、黄蓋は不穏な流れを察知していたのか。反乱軍が水軍を掌握しようと寄せた時点で既に港を離れており、集積されていた軍船・軍需物資・兵士を損なわずに済んでいる。他にも程普や韓当や朱治といった孫家宿将とも連絡は付き、彼らも合流して反攻を開始しているようだ。詳しい事ははっきりと解ってはいないが、寿春城も攻められているものの孫権・周瑜が防戦指揮を執っている。兵数に差があって苦戦はしているようだが、防衛戦では強い孫権と周瑜が協力しているので容易には落ちない。実は、周泰が黄蓋らと合流した前後、城内での破壊活動を行っていた賊も周瑜らに捕縛・処断されており、首謀者が誰か、協力者は誰か、という情報も割れている。幸いと言うべきか、釣られて同調する者は少ない。反乱軍は「孫策は死んだ」というような事を声高に主張しているが、城内では「嘘をつくならもう少し上手くやれ」とばかりにあっさり無視して防戦中だ。軍用資材を焼かれはしたもののそれは僅かなものでしかなく、周瑜が迅速に動いた為に大した害も無い。さて、黄蓋率いる水軍衆が反撃は開始したと同時に、周泰は城外に居る孫策と合流する為に動き出した。しかし、反乱軍は外に通じる門を占領しており(だから戦力が分散してしまったともいえる)周泰と少数の水賊衆では・・・突破できたとしても、再度中に入る事は不可能だ。さぁ、どうしたものか。と悩んでいたが、そこでまたも幸運が舞い込む。高順と周倉を探して行動を開始していた趙雲・楽進・沙摩柯の部隊が、門を占領していた反乱軍と交戦。更に馬騰・馬超・馬岱率いる騎馬隊も助成し、極めて短時間に・・・1箇所だけではあるが門を解放してくれたのである。そこで周泰は彼女達に助成を頼み、趙雲・楽進の隊が孫策らの救援に同行。その途上で数百ほどの反乱兵を見つけ、あっさり轢いて今に至る・・・大雑把に言えばこんな感じである。その趙雲達は、少し離れた場所で高順と会話をして居る。「そうか・・・解った。」高順は趙雲・楽進から周泰のものとほぼ同様の報告を聞いて首肯した。「独断ではありまするが、門の確保を続ける為に沙摩柯殿の部隊を残しました。申し訳ない。」「いや、良い判断だよ。向こうは数が少ない上に戦力分散。こっちは黄蓋殿や程普殿、あとは孫権殿あたりが戦力集中か、散らばってる兵を吸収しつつの進軍になるだろうし・・・」問題は市街地への被害だけど、こればっかりはね・・・と、高順は木の幹にもたれて辛そうに呻く。まだ矢が左手の甲に刺さったままで、かなり痛々しい。楽進がその矢を半ばから切り落とし、ゆっくりと引き抜いていく。さあ、治癒を・・・と思った矢先、気にもたれ掛かっていた高順が力を失ったかのように尻餅をついた。「え、隊長? ・・・どうなさいました?」「ふぅ、うぅぅ・・・・・・」荒い息、というよりも・・・どこか、嫌な何かを感じさせる息切れ。楽進だけではなく、趙雲・周倉も「まさか・・・」と血の気が引いて行く様な感覚に襲われる。趙雲は座り、半分に切り折られた矢を拾い上げ先端を凝視する。「高順殿。まさか、この鏃」「あー・・・う、ん。多分、毒が塗られてるっぽい、な。はは。最初は痛いだけだったんだけどさ・・・不味いなぁ、目が霞んで来るし体に力入らな、いし。左手の感覚が、薄れて・・・」「そんな・・・」虚ろな表情で言い終えて中空を見据える高順。何が見えているのか、それとも何も見えないのか。周倉が直ぐに布を取り出し、高順の左肘より少し下あたりをきつく縛る。治癒を行おうとした楽進も「今ここで傷口を塞ぐのは不味いか」と判断して、高順の事場を待つことにした。彼女の癒術は、傷に効いても毒には何ら効果が無い。一度目を閉じた高順は、ゆっくりと趙雲の名を呼んだ。「いい機会、ですから、ここで明言しておきます。俺が死んだら、軍権は全て趙雲殿に、政治権力は劉巴殿に委譲。貴女の裁量で、兵を・・・はぁ、動かしてください」「私が・・・いや、しかし。」「命令だ、聞け」高順の言葉に、周りの人々は硬直した。基本、高順は「ああしてくれ、こうしてくれ」と発令をする事はあっても、命令だから従え、などと高圧的な言い方をした事は殆ど無かった。戦の興奮で口調が僅かに強まったり、という事くらいなら幾らもあった。誰にでも解っていることだが、今のように明確に「命令だ」と押さえつけられた記憶は、少なくとも趙雲には無い。それだけの大事、それだけの覚悟で話している。高順はそう言いたいのかも知れない。「山越や南中など、異民族と呼ばれる、ひと、びとの・・・くっ・・・折衝、交渉は・・・蹋、頓さん・・・に。出来るね?」これは、断れる雰囲気ではないし、断るべきではない。これまで何度も「俺に何かあったら趙雲殿よろしくお願いしますねー」「ふむ、よろしくされておこう」という冗談めいたやり取りはあったものの。それがこうやって現実味を帯びて自身の肩に圧し掛かってくるとはな、と趙雲も覚悟を決めた。「承知した。だが、貴方はまだ死んではいない。故にこれより、臨時で指揮を執らせて頂こう。」「それで、良いさ・・・隊を掌握してくれ」この発言に、趙雲は立ち上がる。「皆、聞いたな。これより、この趙子竜が指揮を執る! 周倉!」「お、おう!」「お主は高順殿を寿春市街の華陀殿の元へ運び込み、そのまま護衛に就け。我が隊も途中まで同行し、その後孫家各部隊と合流し敵を討つ。楽進!」「はい!」「お主の部隊は一時的に孫策殿の指揮下に入れ。それほどの心配は要らぬ・・・と思いたいところだが、先ほどのように部隊が派遣されない保証は無い。では行くぞ、各々の職務を遂行せよ!!」趙雲の号令に、兵士達は「おう!」と鬨の声をあげる。自分達の役割を果たそうと動き出した将兵の姿を見つつ、安堵したのか・・・周倉に背負われたところで、高順は気絶した。楽進が事の顛末を孫策に報告に向かった頃、孫策も暗殺者の口から反乱の首謀者が誰か、などの情報を聞き出していた。当然、「真っ黒」なやり方で、だ。孫策本人は「適当に痛めつけりゃ吐くでしょ」と思っていたが、蒋欽が「そんな程度じゃ吐かない」と、孫策の代わりに拷問を行ったわけだが・・・凄まじく酷い拷問で、拷問をされた1人があっさり死亡。震え上がった残り2人が全ての情報を吐いたが蒋欽は「誰が簡単に死なせるって言ったの?」と、これまたきっつい方法で2人を処刑。それが終わった後、蒋欽が「ふにゃああ・・・」と気絶してしまっている。成り行きを見ていた孫策が色々な意味で唖然とする中、周泰が「蒋欽ちゃん、やっている最中は良いのですけど・・・終わったら、余りの惨状に自分が気を失っちゃうんです・・・」と申し訳なさそうに言った。途中は気分が高揚していて、最後にガックリ下がる、という事だろう。ならやるな、と思いもするが、そのおかげで情報を得られたのだし、最初から暗殺者を生かしておくつもりも無かったのだから結果的には問題なしだ。・・・多分。もしも楽進がその拷問光景を見たら「蹋頓殿が怖いです許してください私は何も悪くないです・・・」と、ガタガタ震えながら命乞いの準備をしていたのかもしれない。寿春市街では、孫家正規軍と反乱軍が各所で激突していた。既に暗殺が成功したと考えて戦意の高い反乱軍と、現在の状況についていけず、一部混乱している正規軍。この反乱軍、爲覧(ぎらん)と戴員(たいうん)が集めた件のならず者がほとんどを占めているが、孫暠率いる私兵もいる。爲覧・戴員の召集に応じた者は、大部分が孫策に恨みを持つ連中。つまり、孫家が飛躍的に領土を拡大したことによって噴出した、歪と言うべき存在。凄まじい速さで勢力を伸張した孫家は、それだけ方々から恨みを買うことが多かったのだ。純粋に孫策に恨みを抱いている者も居れば、良い思いが出来そうだと思って参加した者も居る。それらは暴徒となって火を放ち、略奪をし、女子供に手を出し、破壊の限りを尽くしていた。正規軍が混乱して連携が取れていない状況に於いて、代わりに奮闘していたのが市街警備隊だ。彼らは軍に比べて装備では劣るものの、火消し・市民救出および護衛、反乱軍との交戦などを分担で行っていた。反乱軍に対しても徹底抗戦の構えを見せ実際に矛を交えていた彼らだが、程普や黄蓋ら率いる正規軍、趙雲・馬騰ら遊撃部隊が反攻を開始するまでの時間を稼ぐ等、善戦している。指揮を執っていた者の1人に、警邏中であった太史慈がおり、彼の個人的武力も善戦できた理由の1つだ、と付け加えておくべきかも知れない。一番苦戦していたのは城に立て篭もった孫権の部隊だったが、こちらは純粋に数が少なく、外部との連絡が絶たれてしまった事が大きい。反乱軍も反乱軍で、統率する(まともな)武将が孫暠以外いないという状況で戦っていると思えば、こちらも善戦している、というべきだっただろう。しかし、孫策が周泰・蒋欽・楽進(と騎馬隊)を率いて戦場に到着してからは形勢が逆転した。それまでに黄蓋ら正規軍も分断された部隊を拾い立て直していたし、趙雲・馬騰の騎馬隊が文字通り反乱軍を蹂躙している。(馬騰だけで大丈夫じゃないかなぁ? と思うほどの暴れっぷりであったそうな)また、孫策は包囲されている城に向かって行き「あたし死んでないわよー」と明言し、孫策の無事を知って奮い立った篭城軍の反撃で、反乱軍主力を撤退させている。その後の事は孫権や孫策の生死がわからず日和見をしていた連中も、孫策の無事が確認されてから鎮圧に加わっていたり、という一幕もあったが。これは、それだけ孫策が重きを成し、孫権の影響力が低いという孫家の寒い事情であったのだろう。何にせよ、これで反乱軍は敗北したも同然だった。~~~孫暠邸~~~「そうか、なるようになったか」撤退してきた兵士の報告を受け、孫暠は「まあ、当然だろう」と思っていた。孫策の暗殺に成功して、ようやく勝率は5割まで行くかどうか、というところだ。暗殺が失敗すれば自身の反乱が成功する筈もないし、成功したとしても暗殺と言う手段で、孫家の「真っ当な」武将が自分に付いて来るかどうかも疑問だ。杜撰な計画で成功など考えていない節もあったが、それでももう1つの役割は達成出来たように思う。そろそろ、自分達「反乱軍」は各所で敗北し、ここもすぐに包囲されるだろう。自分が決起したことはいずれ解る事だし、最初から逃げるつもりも無い。そうとなれば、後始末も必要になってくる。孫暠は兵士に「爲覧と戴員はどうした」と、自分を利用していた二者の事を聞いた。「は、姿は見当たりません。」失敗を察知して逃げたか。利用されていることは承知していたが、ここまで鮮やかに逃げるとは。そうなれば、こちらにとっても思う壺だな、とも思う。というのも、孫暠には数人の弟が居る。孫皎、孫瑜、孫奐、孫謙。彼らは兄ではなく孫策を支持する武官だが、この反乱を起こした兄に従おうとしていた。孫静はこの動乱を乗り切る為に息子である孫暠を見捨てたが、弟達は「愚かでも兄は兄。弟の自分達が支えなければ他に誰を頼れるものか」と、孫暠に付こうとしていたのだ。だが、孫暠はこれを断った。弟の支持があればある程度上手くやれたかもしれないが、彼はそれを許さなかった。孫暠から見ても弟達は武将として有能で、ここで道連れに死なせるにはいかにも惜しい。この反乱が成功したら自分の元へ来い、くらいは言って置いたが、成功する確率の低いこの戦いに連れて行くつもりにはなれなかった。自分達、開戦反対派を粛清した後は将兵は少なからず減る。その状態で曹操と開戦したその時に、弟たちは孫家の人間としても武将としても、有効な戦力だ。自分が死んでも、彼らなら・・・恐らく、政治的には不遇だろうが、武将としては重用され孫静の血脈が滅びる事も無いだろう。爲覧と戴員が逃げたのならそれはそれで好都合。その追撃を・抹殺を弟達にやらせて「こいつらが兄を唆しました!」と(事実を)言わせれば助命される可能性も大きくなる。不幸があるとすれば自らの妻子の助命はされない事で、それならばいっそ・・・と、巻き込んだことに後悔しながらも自身の手で始末をつけた。既に邸宅も包囲されかかって、逃げ場は無いし、最初から逃げるつもりも無い。手元に残った兵も残り数十名ほど。他は鎮圧されたか降伏している。こちらに内応し、城内への手引きを行った者達は・・・どうでも良い。所詮不穏分子、遅かれ早かれ処分されていただろう。「さて。そろそろ孫策殿が来る頃か。丁重に出迎えなくては。」「我らの力、存分に見せ付けてくれましょう」「・・・馬鹿者が。お前達は投降せよ。無駄死にでしかない戦に付き合う必要はない」「いやいや。孫暠様お一人では色々と不安がございます。死出の共が数十人くらいは必要でしょう」兵の言葉とともに、武装した兵士が部屋に入ってくる。全員は入りきらず、部屋の外にもいるが、迎え撃つ準備は出来ている、とでも言いたげであった。「・・・救いようの無い馬鹿共だ。俺を捕らえて降伏する道もあるだろうに。」「仕方がありません。上司が馬鹿なので。」兵の遠慮ない物言いに、言ってくれる、と孫暠は苦笑した。「ならば、その馬鹿の最後の足掻きを孫策殿にとくとご覧いただくとするか。」「はっ!」反乱軍を抑えた孫策は、配下の軍勢と共に孫暠邸宅を取り囲んだ。その数、およそ5千。邸宅を囲むのにそんなに多い数は必要ないとして、消火活動や逃げようとした反乱兵の掃討へと兵を回したのだが、それでも一邸宅を囲むには数が多い。囲んだ武将の中には太史慈がおり、彼は高順が毒矢に倒れたという話を聞いて「野郎、よくも俺のダチを!」と、単独で斬り込みかねないほどに猛っていた。包囲が整った状況でいつ突撃命令が下るのかと誰も彼もが待機していた所、城内の処理を孫権に任せて・・・というより、孫権自らが「私がやっておくから」と送り出したのだが、周瑜が到着する。彼女は真っ直ぐに孫策の元へと走り、その無事を確認する。孫策も気付いて「あら、めーりんじゃない。妹達は大丈夫?」と出迎えた。「ああ、こちらは大丈夫だ・・・む、蒋欽・・・?」「どうも」流石に周瑜は蒋欽を覚えており、彼女がいる事に多少の驚きがあったようだ。「お前も手伝ってくれたのか?」「うん。料金は周泰から貰ってるから、安心して」「ふむ。後で事情を聞かせてもらおう」「解った」「何にせよ、無事で良かった。孫権殿達は勿論無事だ。」「そっか、それは何よりね。・・・私は無事だけど、他がね」「他が、とは? どういう意味だ」「高順が毒矢で撃たれてね。私をかばったせいなんだけどさ。」「何・・・!?」毒、という言葉に周瑜が反応する。「周倉が華陀の所に連れて行ったみたいだけどね。まだ、無事かどうかは解らない。無事であって欲しいけどね」「そうか・・・」周瑜の表情が曇る。今まで無茶をさせすぎて体が壊れかかっていたのに、その上で毒とは。「苦労をするとか、運が良い悪い以前に、どうしてこうなってしまうのだろうな・・・お前ではないが無事であって欲しいものだ」「私のせいよ。だからきっちり報いるわ。当然、生きてもらってね」その前に、と孫策は邸宅を見やる。迎え撃つつもりのようだが弓兵などは見当たらない。踏み込んで来い、という事だろうか。「ふむ。しかし、あの孫暠殿がな」僅かばかり見くびっていたか、と言う周瑜に、孫策は「なんとなーく、そんな感じだと思ってたけどね。勘で」と返した。「ほう」「あの人、政治的・・・曹操への姿勢では敵対立場だけどやる時はやる手合いよ。まさかここまでの兵を集めるとは予想もしなかったけどね。口だけじゃない、ってか。」「扇動されてそれに乗ったと言う事か」「みたいね。さぁて、そろそろ行くわ。終わった頃にいらっしゃい」「ああ。だが気をつけろ。」「とーぜんよ♪」孫策は周泰と、気絶から立ち直った蒋欽、護衛役に回っていた楽進に声をかけてたった4人で乗り込んでいこうとしたが、そこに太史慈も「俺も行かせてくれ!」と志願。そういや、こいつは高順と仲良かったわねぇ、と思い出して「じゃ、一緒にきなさい。死ぬんじゃないわよ」と言って孫策は許可を出した。兵士達も供をする、と言いだすが「あーんなちっこい場所に100も200も入れるわけないでしょー、待ってなさいよっ」と、孫策たちは駆け出した。見送る周瑜は「兵の立場も考えるべきだろう」と溜息を吐いていたとか。~~~楽屋裏~~~え、高順どうなったのって? 知らない。あいつです(挨拶またしても尻切れトンボですが、次回で反乱編終了・・・というか、戦後処理(?)です。既に詰んでますが。こうなると、開戦時期が少し遅れる気がしますね。決着を望む曹操、こーいう状況で乗り込むとかしそうにないですし。裏設定ですが、ゾウハは尚香を守って、同じ親衛隊の方々と奮戦、無事に孫権・周瑜と合流しています。関係ないですが、このメンバーで使い古された学園ものをやったらどうなるかなぁ・・・とふと考えてみたり。ま、結果的に・・・変なネタ除けば、ぇろしかなかったですが(ぁ特に李典あたりが凄そうです。現代のぇろ玩具駆使して誘惑してきそうですヨ?ゴム製品とか。電動ネコじゃらしとか。マットとか。ニーソックスの裾にゴム製品挟んでチラチラとスカートをめくって下着なし誘惑とか。ごめん無かったことにして(ぁぁぁぁぁ・・・トウトンさんがヤクザの跡取り娘になってたりして(嫌次回予告。「高順、ビーフステーキを食いかけたところで出撃」「ていうかパインサラダとかこの時代にありますっけ?」「デスクロー10体に追いかけられてます現在進行形で! ダーツガン・・・弾がねぇぇぇっ!?」の3本で(以下省略・・・嘘です。